献
辞
経済学部ファイナンス学科教授の片山貞雄先生が,平成8年3月末日をもっ て停年を迎えられ,退官されることになりました。 片山貞雄先生は,昭和5年7月京都市にて出生。昭和23年3月に大阪府立生 野中学校を卒業,同年4月日本学部の前進である彦根経済専門学校に入学。 翌年,学制改革によって同校が滋賀大学経済学部として発足するとともに同学 部に入学,昭和28年3月にその第一期生として卒業されています。その後,直 ちに神戸大学大学院経済学研究科に進学,新庄博教授の下で金融論を専攻され, 研鎖を積まれました。そして,昭和33年に同研究科を了えられるとともに母校 に赴任されて以来,今日まで実に38年の永きにわたって本学教官として教育と 研究に貢献してこられました。 片山貞雄先生の本学でのご経歴は,先ず経済短期大学部講師としてスタート され,3年後には助教授に昇任されました。そして,昭和39年1月に経済学部 助教授に配置替えされた後,昭和47年5月に同教授に昇任されておられます。 その間,昭和45年11月から15ヶ月にわたって,文部省在外研究員としてアメリ カ合衆国・連合王国等に留学され,さらに昭和51年11月から6ヶ月間はフルブ ライト上級研究員としてアメリカ合衆国ジョージア大学において研究生活を重 ねておられます。 片山貞雄先生の研究業績は,専攻された金融論ならびに金融政策を中心テー マとした多数の著書・訳書・研究報告・書評ならびに60編に及ぶ論文群から成 っておりますが,その最も主要な業績としては,昭和42年2月にミネルヴァ書 房から刊行された著書『ドルの歴史的研究』を上げることができます。本著は, 今日なお国際的な為替制度の中で最も中心的な通貨としての役割を担い続けて いるドルについて,その副題にありますように「生誕より連邦準備制度まで」 を歴史的に研究されたものであります。本著は,それまで,わが国の金融論研 究の領域において,必ずしも充分に体系化されることのなかったドルの歴史的発展にかんする体系的研究を完成させたものとして,その刊行とともに金融論 学界のみならず,広く国際経済にかかわる多くの研究者から注目されました。 そして,今日まで,国際通貨制度の研究を専攻する学究が一度は必ず目を通さ なければならない基礎的文献の1つとしてその評価が定まっております。なお, 片山貞雄先生は,本著をもって,昭和42年11月に神戸大学より経済学博士の学 位を授与されました。 片山貞雄先生はまた学内行政に対しても極めて大きな貢献をなされておりま す。昭和50年10月から6年半にわたって経済経営研究所長,昭和56年から併せ て3期5年にわたって評議員,そして,昭和61年から2期2年半わたって経済 学部長ならびに大学院経済学研究科長を歴任されておられます。その間,つね に冷静沈着に滋賀大学の将来のあるべき姿を見すえてその発展に努力されたこ とは,後進の私たちに大きな示唆と教訓を与えてくれました。とりわけ,経済 学部の発展については,平成3年におけるファイナンス学科の設置に対するご 貢献が特記されなければなりません。従来,それぞれ個別的に教育研究されて いた財政・金融および財務に関する諸学を総合的に教育研究するための新しい 学科として,就学に先駆けてファイナンス学科を設置されたことは,全国的に も大きな注目を浴び,本学の名を高らしめたものでありました。 このように片山貞雄先生は,研究者として,行政職として,教育者として本 学に大きな足跡を残されました。そのご功績を記念して,滋賀大学経済学会は ここに退官記念論文集を進呈したいと存じます。 ご退官後は,くれぐれもご健康に留意され,本学のために今後も変わらぬご 指導を賜りますようにお願い申し上げます。 平成8年1月