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VoIPの性能評価と待ち行列モデル

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Academic year: 2021

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(1)

VbIPの性能評価と待ち行列モデル

滝根哲哉

京都大学大学院情報学研究科数理工学専攻

1 はじめに

インターネットの高速化と利用者の増大に伴い、インターネットにおける実時間制約をもつアプリケー ションが注目されている。実時間制約をもつアプリケーーションを快適に動作させるには通信サービス品質 (QoS:QualityofServices)の確保が重要となる。本稿では特にインターネットにおける音声通信に焦点を あて通信サービス品質を評価するための道具としての待ち行列モデルを紹介する。 音声トラックは異なる回線速度をもつドメイン網、アクセス網、スタブ網の三つのタイプのネットワー クを経由して伝送される。インターネットのバックボーンを構成するISP(IrltCl・netServiceProvider)が 管理するドメイン網は高速の回線を持っているが、ドメイン網ヘアクセスするための回線群であるアクセス 網は比較的低速なものとなっている。また、スタブ網は大学や大きな建物に施設されたLAN(LocalArea Network)に村応しており、小規模ながら高速な回線を持つ。

⊂こ

′一一一 SPeed,backbonenetwork

≠−−・・・−、、、、

一 / l l AnlSPdomain

//10WSPeed,aCCeSSnetWOrk

ニニ仁ニニ:二 ヽ ヽ l J / / /

(=J

Another)SP ー ーー ーーー__一 一一一一′ 図1:ネットワーク構成 インターネット上でQoSを確保するための基本的な機構についてはIETF(IllternetEngineeringTask Force)によって、ⅠIltCgratedServiccs(IntScl・V)やRcsourccRescrⅦtioIIProtocol(RSVP)といったもの が標準化されているが、まだ未解決の問題が二つ残されている。一つは、低速なアクセス網において適当な QoSを提供するために遅延に課せられた制約を如何に満たすかということである。アクセス網で同時に扱 う音声フロー数は比較的少ないため、多少、手の込んだ制御であっても実装可能と考えられる。もう一つ の問題はどのようにして高速なドメイン網を流れる多数の音声フローを扱うかという問題である。鱒ほぼ 10Gb/sの回線は10kb/sの音声フローを最大1,OOO,OOOまで収容できる。高速網では、適当な帯域割り当 て制御を行うことで網内の遅延に関しては無視できる考えられるため、そのような帯域割り当てを大量の 音声フローに対して如何に行うかが主な問題となる。 以下では上記二つの問題を考える。まず初めにアクセス網で音声フローが被る遅延を評価するためのモ デルを考察する。アクセス網では音声フローのみならずデータなどのトラヒックが混在していると考えら ー21−

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れる。そこで、音声フローが要求するQoSを満たすため、音声フローが他のトラヒックに村して非割り込 み優先権を持たせることを想定する。このようなシナリオの下で音声フローの遅延分布関数の導出ならび に非優先フローのパケット長が遅延分布に与える影響について考察する。続いてドメイン網での帯域割り 当て制御法として複数の音声フローを収容するトランクという概念を導入し、トランク単位で帯域を割り 当てる手法の性能を評価するためのモデルを考察する。

望 訝タセ認綱臆お柑る遅延性能評個竜弄飽

前章で述べたようにアクセス網では将来に渡って比較的低速な回線が利用されることが予想されるため、 ここでの遅延が音声フローのQoSを決める重要な要素となる。現在、この間題はIETFIntServ−SpeCific linklayers(ISSIノL)workinggroupで議論が行われており、音声パケットの遅延を減少させる手法として、 ヘッダ圧縮とセグメント化の二つの提案がなされている。ヘッダ圧縮は音声パケットに適用され、低速な回 線における送信時間の短縮を目的としている。一方、セグメント化は非音声パケットに適用され、パケット を小さい単位に分割することで、優先権をもつ音声パケットへの影響を小さくする目的で用いられる。以下 では、これらの方策がどの程度有効かを定量的に評価するための待ち行列モデルを考える。 30msec/24bytes frame 巨頭 ■− RTP Pay10ad 20 8 12 24bytes mpressedheader Pay10ad (WithCRC)

40bytes

original G.723.1 6.4kb/s

uncomp帽SSed

岬虻a胞gramstream 17.1kb/s COmPreSSed ロPdatagramstream 7.5kb/s (円『C2508) 4 24 図2:音声パケットヘッダの圧縮 Ⅳ本の音声フローと非音声フローがアクセス回線を共有していると仮定する。それぞれの音声フロー は、時間間隔β毎に周期的に伝送時間ぁの固定長パケットを送出する。ただしそれぞれのフローの初期位 相は互いに独立に(0,叫の一棟分布に従うと仮定し、Ⅳわ<刀であるとする。音声パケットは非音声パケッ トに対して非割り込み優先権をもっていると仮定する。音声パケット間でのサービス順序はFIFOとする。 また、非音声パケットの伝送時間は一定で†lであるとし、伝送すべき音声パケットがない場合は直ちに非 音声パケットの伝送が開始されるとする。1 このモデルは休暇付き作β/β/1待ち行列である。詳細は省略するが、Ⅳを音声パケットの待ち時間 1最後の仮定は、音声パケットから見た時の最悪な場合に対応している。

(3)

を表す確率変数とし、評(諾)=Pr(Ⅳ>∬)を待ち時間の補分布とすると、次式を得る。 αγ止+7▲(ヱ) α,止+†▲(∬) 軒(諾)= †ム+1Ⅳ−γい−2 ∑ ん=0 れ ︵ ︶ ( ) 〔Ym頼‘(諾) ん+ (上m軒u(£) ?l 上) 上) ( 響)ん] †l十1Ⅳ−γl−2 ∑ 人:=l) 〃−2 一 l ︵ ︶ 71 + m ,hれ ︵ ) αれわ(∬) 上) この式はInaX(0,(Ⅳ−1)む+祝−β)≦諾≦(Ⅳ−1)わ+混なる諾に対して数値的に安定である。 図3は、回線速度1.536Mb/s、音声パケット長28byte(内ヘッダ4byte)、符号化速度6・4kb/s、非 音声パケット長500byteの場合の負荷Ⅳむ/βに対する待ち時間分布の99パーセンタイル、最悪値ならび に平均待ち時間を示したものである。これより、99パーセンタイルは高々平均の数倍程度であるのに対し、 最悪値は負荷に線形に増加することが分かる。よって確率的受け付け制御を行うことでより多くの音声パ ケットが収容可能であることが分かる。 0 5 0 5 0 5 0 32211 ︻0¢S∈一計一名ぎ苛っ当b 0.2 0.4 0.6 0.8 1 Nb/D 0 図3:待ち時間分布 図4は、回線速度128kl)/s、Ⅳ=7、符号化速度6.4kl−/sの場合にヘッダ圧縮を行わない場合(音声 パケット長68byte、内ヘッダ40bytc)とヘッダ圧縮を行った場合(音声パケット長28byte、内ヘッダ4 byte)の待ち時間分布の99パーセンタイルを非音声パケットのサイズの関数として表したものである。こ の固より、ヘッダ圧縮によって99パーセンタイル待ち時間が川汀1S程度減少すること、ならびに99パー センタイル待ち時間が非音声パケット長に対してほぼ線形の関数となることが分かる。

3 バックボーン網におけるフロー管理

インターネットにおいて実時間制約をもつアプリケーションを収容する方法に関してはIntServ/RSVP が標準化されている。しかしRSVPはフロー毎の管理を前提としているため、大規模化に対応できないこ −23 −

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︻0¢S主計一¢でぎ旬コ当b些luむOL乳の・采 0 5 0 5 5 4 4 3 0 5 0 5 0 5 0 3 2 2 1 1 0 50 100 ¶50 200 250 300 350 400 450 500 non−VOicepacketsize[byte] 図4:99パーセンタイル待ち時間 とが指摘されている。この間題を解決するためIETFではDiffcrentiatedServices(DifrServ)の標準化が進 められている。DiぽServでは「網端」2という概念が導入されており、網端においてパケットに対するマー ク付けならびにトラヒック整形が行われる。一方、高速なバックボーン網を構成している網内のルータでは 各パケットをマークによってのみ差別化を行う。この差別化はPHB(Per−HopBellaViol・)と呼ばれている。 この結果、Dif円ervではフロー集約が行われることになる。すなわち、ドメイン網の内部では同じマーク をもつ多数のフローはまとめられ、単一のフローとして扱われることになる。 一 一− ̄−− 一 − ′ − − / 、 / 、 / / / ′ ′ ′ ′

血u

、7●ニ、

/ / − 一 / dataf10W 、 、 ■■■ ′ ■■ − ■− 一 一■一 一■ , 図5:フロー集約とルータの役割 以下では音声フローが集約された場合の性能とフロー管理のためのオーバーヘッドについて入口ルータ に注目し考察する(図6参照)。入口ルータにおける呼の振舞いをモデル化すると図7に示すような、2ス テージ呼損モデルが得られる。ここでトランクとは多くの音声フローが集約されている1つの管理単位で あり、網内のルータはこのトランクのみを認識している。ある音声フローーの設定要求が入口ルータで発生し たとき、このフローを収容するトランクが利用可能でなく、帯域に余裕がある場合は、出口ルータまでの 2通常、ISPが管理するドメインの端点を指す。

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経路に沿ってトランクが確保される。もし、帯域に余裕がない場合はこの設定要求は却下される。さらに、 トランクが確保されると、トランク内では最大グーも本の音声フローを収容することが出来る。トランク内に 既にm本のフローが収容されている時に発生.した新たな音声フローの設定要求は棄却される。この結果、 呼損の発生はフローが確立されているが新たなフローを収容できない場合と、新たなトランクの確保が出 来ない場合の二通りの場合に起こる。

Egressrouters

_...・・・‥●‥・・・・.._

、●、

J■

lngressrouter

ヽ 、 ヽ 、 ● ▼−■・・・ 、 ・・ ●・ 図6:対象システム

Thefirststage:

b10CkingtscausedbycontentionsamongfIowsinatrunk

Thesecondstage:

b10CkinglSCauSedbycontentionsamongtrunks

link

図7:2ステージ呼損モデル 音声フローをトランク単位で扱うため、フロー単位の管理と比較して、管理しなければならない情報量

はおよそ1/mになる。しかし、トランク内の帯域が完全に利用されているわけではないため無駄が生じ、

結果として呼損率は悪化するものと考えられる。以下では、各トランクへの音声フローの発生はポワソン

過程に従い、各音声フローの保留時間は独立同一一分布に従うと仮定して、以下のような2ステ・−ジモデル の呼損率を求める。 −25 −

(6)

トランクは収容する呼の性質によって♪個のタイプに分類される。タイプたのトランクは〃元本あり、 これらのトランクのそれぞれへの呼の発生は率入んのポワソン過程に従う。タイプんのトランクは汀蟻個 の呼を収容できるとし、2役目における回線は合計C個の呼が収容できると仮定する。 伽=入たんたを一つのタイプたのトランクへの負荷とする。このとき、一つのタイプんのトランク内に 少なくとも1個の呼が収容されているという条件の下でのタイプたのトランク内に収容されている呼の平 均数〟たは次式で与えられる。 伽(1−β(汀妬,伽)) Jも九= 1−J㌔(0)’ ただし、島(0)はC=∞の場合におけるタイプたのトランクが空である確率であり −1 享キ 島(0)= で与えられる。またβ(mも,β)は負荷がβである〟/G/m/”もにおける呼損率であり、β(0,β)=1ならびに 〝β(叩い−1,β) β(れl,β)= 〃l=1.2,.‥ 叩け〝β(mもー1,〝)’ によって計算できる。また、タイプたの空のトランク内に1個の呼が収容されてから再び空になるまでの 平均時聞耳たは 1一島(0) ガ●ん= 入た几(0) で与えられる。 以上の準備の下で呼損率を考える。Q(可れ=(γふぃ‥,↑↓p)をγもん(ん=1,…,P)本のタイプんのトラ ンクが回線を確保している定常確率とする。このとき m∈T(JV.C) P ∑ Ⅲ m∈T(Ⅳ,C)ん=1 0, ¢(m)= otllCl・Wi$e となる。ただしⅣ=(Ⅳい‥.,Ⅳp)であり、Jんならびにγ(凡C)は Jん=入んガん, ん=1、‥.,P P ∑7・W勒≦qO≦γもん≦Ⅳん(ん=1・…,P) ん=1

T(Ⅳ,C)

で与えられる。 仇(Ⅳ,C)を回線を確保しているタイプんの平均トランク数とする。 ぴん(凡C)= ∑ γんん(∼(叫 穐∈T(」Ⅳ,C) このときタイプたのトランクに収容される呼の呼損率月。朋(ん)は 職こ互(JV,C) 月。8。(ん)=1− 職鋸

で与えられる。また、1段目で呼損となる確率をJ想。(た)とすると

【九(Ⅳ,C)β(m7・ん,伽) j禦β(ん)= Ⅳた 1−J㌔(l))

で与えられる。よって2番目で呼損となる確率J霊。(た)は几M(た卜祀8(ん)で与えられる。

図8はトランクのタイプが一種類の場合の呼損率を示したものである。

(7)

m=100,N=100,K=80(SyStemCaPCity=8,000f10WS) 倉ニq雲OJdP壷00云 ∽ き ⊇ ■●・・・− ⇒暮: 0 2 4 6 8 10 rho 図8:呼損率 最初に述べたようにmの値は管理のオーバヘッドと密接な関係があり、mlを増加させることでオーバ

ヘッドを1/mにすることが出来去。しかし、その対貨として性能が劣化する。しかしトランクの容量が大

きくなると大群化効果によってその差は小さくなる。表1は各フローの速度が10Kb/sでⅣ=100の場合 に、呼損率を10 ̄4に押えるために必要なリンク容量を、トランクを用いないシステムで同じ呼損率を達成 するために必要な容量と比較したものである。表より、大規模なシステムではトランクを導入することで必 要となる余分な帯域は相対的に小さくなることが分かる。 表1:大群化効果 β Meall#of Ratiooftllepl・OVisiolled nowscarl CapaCityofawal・CSyStQI11tO beaccepted thatofll11aWareSySteltl 10Mb/s 1,00() 2・18 100Mb/s 10,00()

温帯

1・33 1,000Mb/s

100.000

1・09

参考文献

【1】K.Iida,T.Takine,H.SunaharaandY.Oie,“Del之WAllalysisforCBRn・afEcillClassBasedQucueing:

Single−NodeandHoll10geneOuSCBRTra用・CCase;’ProceedingsqfSPIECoTゆrence qfPerhrmance

and ControlqfNetworks,VOl.3231,pP.311−322.Da11a$,TX,Novclnbcl・3−7,1997. 【2】K.Iida,T.Takine,H.Sunal1araalldY.Oie,“Delay Analysis払rCBRTrafRcillStatic−Priority Scheduling:Single−NodealldHcterogc11eOuSCBR.Trafh(:Casc,”Procccding$qfIEEEGLOBECOM ’98,pp.1256−1263,SydIley,Australia,Novelllber8−12,1998. 【3】K.Iida,K.Kawahara,T.TakincandY.Oic.“PcrfbmlaIICeAnalysisofFlowAggregationofConstant BitRateTypenafEcatIngressRo11tel・”Proceedin9S qfIEEEGLOBECOM’99,pp.92−99,Riode Janeiro,Brazil,5−9Decembcl・,1999. −27−

(8)

【4]K.Iida,K.Kawahara,T・TakineandY・Oie,”PerformanceEvalllatiol10ftheArchitectureforEnd− to−EndQuality−0トServiceProvisioIling:,IEEECorTmuni(:atiorL・SMagazinc,VOl・38,nO・4,pp・76−81, 2000. 【5】K.Iida,T.Takine,H・SunaharaandYOie,“DelayAnalysisfol・CBrtJTrafhcinMultimediaEnterprise Network,”toappearinIEICE升ansactionsonCommunications,2001・ 【6]K.Iida,T.Takine,H・SunaharaandY・Oic,”Dcl叩AnalysisforCBRTrafhcunderStatistic−Priority Scheduling,”toappearinIEEEPC紺耶ⅦnSaCtionsonNetu・Orking,2OOl・

参照

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