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含硫黄配位子を用いた第10族元素と第11族元素を含む複合錯体の構造及び金属原子間相互作用に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

含硫黄配位子を用いた第10族元素と第11族元素を含む

複合錯体の構造及び金属原子間相互作用に関する研究( 内容

の要旨(Summary) )

Author(s)

所, 健児

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 甲第049号

Issue Date

1996-03-25

Type

博士論文

Version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/1770

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本 籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月日 専 攻 学位論文題目 所 健 児(岐阜県) 博 士(工学) 甲第 49 号 平成 8 3 25 日 物質工学専攻 含硫黄配位子を用いた第10族元素と第11族元素を含む複合錯体の 構造及び金属原子間相互作用に関する研究 学位論文審査委員 (主査)教 授 川 村 尚 (副査)教 授 矢 野 紳 一 教 授 加 藤 普 論文内容の要旨 安定な分子が局所的分子間力により集合して形成する巨大な"分子"は SuPramOlecule とよばれ,このような分子集合体は新たな物理的・化学的性質を発 現させるものとして注目されている.分子集合体の形成に遷移金属原子,さらには 金属原子間結合または局所的な結合性相互作用をもつ化合物を用いることは分子認 識などの機能の発現のための有用な手段であると期待される.しかしながら,金属 原子間相互作用に関する研究は現在発展途上であり,その性質を明らかにしていく ことが必要と考えられる. 本論文は、後周期遷移金属原子間に結合性相互作用を有する錯体における相互作 用様式の詳細を明確にすることを目的とし、合硫黄配位子を用い第10族元素と第 11族元素からなる新規複合錯体の合成、構造ならびに物理化学的性質に関して申 請者の行った研究成果をまとめたものであって,序章から総括まで全5章から構成 されている. 序章では,平面4配位型白金錯体が形成する種々の複合錯体ならびに配位子とし てのジチオカルバマートの特性について概説するとともに,研究の目的について述 べられている. 2章では,白金およびパラジウムのジチオカルバマート錯体と銀イオンまたは銅 イオンがモル比3:2で会合した多数の複合錯体を合成し,その構造および金属原 子間相互作用について検討している.いずれの複合錯体も同じ組成式をもつが,2 次元網目状カチオン性ポリマー構造を有する錯体,対称性の高いディスクリートな 分子構造を有する錯体および対称性の低いディスクリートな分子構造を有する錯体 といった3種類の構造が金属原子の組合せや置換基に依存して生成することを単結 晶X線構造解析により明らかにしている.これらの複合錯体における金属原子間距 離ならびにジチオカルバマート錯体部分の歪み等の比較にもとづいて金属原子間相

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-52-は 発は 認 届く ″ 港に子金 い 作第 申 成 互と て 構 】「「「 ま.モ / .、ノ し 述 号て ヽ ヒは銅 臣属原 )ミ,2 -トな 5錯体 を単結 F間距 手間相 互作用の強さを検討し,その強さは周期律表のより下段の金属原子を含む複合錯体 ほど強いと報告している.そして,白金・銀複合錯体のNMRにおける白金原子核 と銀原子核の核スピン結合定数等の実測値の解析にもとづきジチオカルバマート錯 体から銀イオンまたは銅イオンへの電子密度の非局在化により金属原子間相互作用 が生じていると結論づけている. 3章で払白金ジチオカルバマート錯体とハロゲン化銅との反応により3次元ポ リマー構造を有する錯体が形成することを新たに見出している・銅イオンはハロゲ ン化物イオンとともに1次元のらせん構造を形成し,このらせんを白金ジチオカル バマート錯体が4つの硫黄原子を用いて架橋していることを明らかにしている・こ のジチオカルバマート錯体の高い酷位能力によりポリマー構造が形成されたと報告 4章で払2章で得られた研究結果をふまえて,金属原子間相互作用の配位子依 存性を明らかにすることを目的とし,アニオン性錯体である第10族元素マレオニ トリルジチオラート錯体とカチオン性銀ホスフィン錯体からなる複合錯体について 検討している.白金,パラジウムおよびニッケルのマレオニトリルジチオラート錯 体とカチオン性銀ホスフィン錯体反応させ,モル比1‥2で会合した複合錯体が生 成することを見出している・これら複合錯体の単結晶X線構造解析により金属原子 間距離はそれぞれの金属原子のフアンデルワールス半径よりもかなり短いことを明 らかにしている.しかしながら,銀ホスフィン錯体の会合によってマレオニトリル ジチオラート錯体の電子状態が受ける影響はわずかであることを電子スペクトルや NMR等の物理化学的測定結果の解析にもとづいて明らかにし,この複合錯体にお ける金属原子間相互作用は非常に弱いものであると結論づけている・これら複合錯 体の電気化学的挙動を調べ,いずれの錯体の-一増子酸化体も安定であり,さらに白 金・銀複合錯体は二電子酸化休も安定に存在することを明らかにしている・ 最後の総括の章では,2尊から4章までの研究成果がまとめられている・合硫員 配位子を有する第10族元素錯体と第11族元素イオンからなる複合錯体は硫黄原 子の高い配位能力のため形成されたと解析している・これらの複合錯体の金属原子 間相互作用は配位子に大きく依存し,また周期律表下段の元素を含むものほど強く, 金属原子間の共有結合的相互作用であることを明らかにしている・ 論文審査の結果の要旨 本論文は,後周期遷移金属原子間に結合性相互作用を有する錯体における相互作用 様式の詳細を明確にすることを目的とし、合硫兵配位子を用い第10族元素と第11 族元素からなる新規複合錯体の合成、構造ならびに物理化学的性質に関して調べたも

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ー53-のであり、得られた成果は次のとうりである。

白金およびパラジウムのジチオカルバマート錯体と銀イオンまたは銅イオンが 反応し、モル比3:2で会合した新しい複合錯体を形成することを見出している。 れらの結晶構造は金属原子種、配位子上の置換基、ならびにカウンターイオンに依 して多様な結晶構造を取り、その構造が2次元網目状カチオン性ポリマー構造、対 性の高いディスクリートな分子構造、および対称性の低いディスクリートな分子構 の3種類に分類できることを明らかにしている。これらの複合錯体結晶構造の比較 もとづいて金属原子間相互作用の強さを検討し、その強さは周期律表のより下段の 屈原子を含む複合錯体ほど強いことを明らかにしている。また白金・銀複合錯体の MRにおける白金原子核と銀原子核の核スピン結合定数等の解析にもとづきジチオ ルバマート錐体から銀イオンまたは銅イオンヘの電子密度の非局在化により金属原 間相互作用が生じていることを明らかにしている。

白金ジチオカルバマート錯体とハロゲン化銅との反応により3次元ポリマー 造を有する錯体が形成することを新たに見出している。銅イオンはハロゲン化物イ ンとともに1次元のらせん骨格を形成し、このらせん骨格を白金ジチオカルバマー 錯体が4つの硫黄原子を用いて架橋していることを明らかにしている。このような 晶構造の形成がジチオカルバマート配位子のイオウ原子の高い配位能力によものと 案している。

アニオン性の第10族元素マレオニトリルジチオラート錯体とカチオン性銀 スフィン錯体の反応により、モル比1:2で会合した一連の複合錯体が生成するこ を新たに見出し、それら複合錯体結晶構造を明らかにしている。さらに銀ホスフィ 錯体の会合によってマレオニトリルジチオラート錯体の電子状態が受ける影響はわ かであることを電子スペクトルやNMR等の物理化学的測定結果の解析にもとづい 明らかにし、この複合錯体における金属原子間相互作用は非常に弱いものであるこ を示している。またこれら複合錯体の電気化学的挙動を調べ、いずれの錯体の--1一電 酸化体も安定であり、さらに白金・銀複合錯体は二電子酸化体も安定に存在するこ を明らかにしている。 以上要するに、本論文は合イオウ配位子をもつ第10族元素錯体と第11族元素 体が反応して新規複合錯体を形成することを見出し、これら一連の複合錐体の結晶 造、物理化学的性質、金属原子間相互作用の様式、ならびに酸化還元挙動を調べ、 くの知見を得たものであり、学術上ならびに実際上寄与するところが少なくない。 って本論文は博士(工学)の学術論文として価値あるものと認める。

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