Title
Significance of Myocytes With Positive DNA In Situ Nick End-
Labeling (TUNEL) in Hearts With Dilated Cardiomyopathy( 内
容の要旨(Summary) )
Author(s)
加納, 素夫
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第421号
Issue Date
1999-03-31
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14702
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氏 名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 加 納 素 夫(岐阜県) 博 士(医学) 甲第 421号 平成11年 3 月 31日 学位規則第4条第1項該当
Significance of Myocytes With Positive DNAln Situ Nick End-Labe=ng
(TUNEL)in Hearts With DiIated Cardiomyopathy (主査)教授 藤 原 久 義
(副査)教授 森 秀 樹 教授 森 脇 久 隆
論 文 内 容 の 要 旨
アポトーシスは,形態学的には特徴的な核物質の凝集,細胞のshrinkage,アポトーシス小休として,生化学 的にはヌクレオソーム単位(180bp)でのDNA断片化として定義される。これらから,アポトーシスの証明には.
電子顕微鏡による観察およびDNA断片化の検出(DNAのアガロpスゲル電気泳動あるいはin situ nick end labeling(以下TUNEL法))が用いられている。 近年,拡張型心筋症(以下DCM)において約1%程TUNEL陽性心筋細胞がみられることより,DCMにアポトー シスが存在するとされている。しかし,アポトーシスの特徴的な超微形態は見られない○さらに,成人心筋細胞 には増殖・分裂はきわめてまれで,かっアポトーシスの全過程は短いので,約1%というTUNEL陽性心筋細胞 のすべてがアポトーシスすなわち心筋細胞死とすれば,DCMにおいて心不全は急激に進行し.少なくとも1年以 内には死に至るはずである。しかし,DCMは慢性疾患でこのような急激な臨床経過をたどらない。一方,DNA の複製・修復を示唆するproliferatingcellnuclearantigen(以下PCNA)がDCMあ心筋細胞で発現すること が以前より報告されている。そこで我々は,DCMにおけるTUNEL陽性心筋細胞はアポトpシスやネクローシス ではなく生存心筋細胞であり,そのTUNEL陽性所見のメカニズムは肥大心筋細胞に伴うDNA障害の修復にある と仮説した。この仮説を証明するために本研究では..ヒトDCMの心内膜心筋生検組織を対象に,同一心筋細胞 でDNA断片化と超微形態を同時に観察しうる電顕レベルでのTUNEL法を行った。さらに,3'-OH末端における sing19Strandのみならずdouble strandのDNA断裂を意味するTUNEL法と異なり.最近開発されたdoublestrand
のDNA断裂のみを標識するTaq polymerase-based DNAin situligation assayを光顕用のパラフィン切片を 用いて行った。また,DCMの心筋細胞におけるTUNEL所見とDNA複製・修復の関係を明らかにするために, 光顕レベルのTUNEL用切片のミラー切片にてDNA複製・修復を示唆するPCNAまたはDNA∴複製を示唆するKi-67の発現を免疫組織学的に検討した。 対象と方法 対象患者は左右心内膜心筋生検のなされた20名のDCM患者(DCM群),20名の正常者(コントロール群)で ある。DCMは,臨床経過,心臓カテーテル検査.心エコー図法および生検病理組織により診断された。20名の 正常対象群は,非定型的な胸痛を訴えた患者からなり,心電図.心エコー図法,胸部Ⅹ線写真,冠動脈造影が正 常であり組織学的にも正常と判定された例である。 左右心内膜心筋生検組織を10%中性ホルマリンで固定,パラフィン包埋し,4〟mの薄切切片を作成し,光顕 レベルでのTUNEL法ならびにTaqpolymerase-basedDNAinsituligation assayを行った。通常の電顕用固 定した標本にてpost-embedding法による超薄切片上でのTUNEL法(電顕TUNEL)を行い.反応産物を最終的 に金コロイドで標識した。 さらに,光顕にてTUNEL陽性心筋細胞を認めた症例について,そのミラー切片にて酵素抗体法によりPCNA 免疫染色(抗PCNA抗体(DAKO),1:100)またはKi-67免疫染色(抗Ki-67抗体(DAKO),1:100)を行った。
-5-結 果 光顕レベルのTUNEL陽性心筋細胞核は,コントロール群では40切片中0切片,DCM群では40切片中6切片(15 %)に認めた(p<0.05)。各切片におけるTUNEL陽性心筋細胞の頻度は,DCM群では1.0±2.7%でコントロー ル群(0±0%)に比べ有意に高かった。 電顕TUNELにおいてコントロール群の心筋細胞核への金コロイドの集積を軽度に認めた。DCM標本の電顕 TUNELにおいて,形態的に異常を認めない心筋細胞核への金コロイドの集積はコントロール群と同様に軽度で あった。一方,DCM標本において,TUNEL陽性を示す核への著明な金コロイドの集積を認める心筋細胞が光顕 レベルのTUNELと同程度に観察されたが,それらの核はbizarrcな形態を有し,散在性の非特異的核クロマチン の凝集を示した。細胞質のshrinkageやアポトーシス小体はみられず!ミトコンドリアはほぼintactに保たれて いた。すなわちこれらはアポトーシスのみならず,ネクローシスの特異的な超微形態でもなく,超微形態的には 肥大したbizarrcな核をもっ生存心筋細胞であった。また,全例でTaq polymerase-based DNAinsituligation は陰性であった。 PCNA陽性心筋細胞は,コントロール群では40切片中27切片(63%),DCM群では40切片中27切片(68%)に 認められ差はなかったが,各切片におけるPCNA陽性心筋細胞の頻度は,コントロール群では2.0±2.2%,DCM 群では8.1±9.7%であり,コントロール群に比べDCMで有意に多かった。一方,Ki-67陽性心筋細胞は,コント ロール群及びDCM群において認めなかった。 次に,TUNEL陽性心筋細胞を認めたDCM6切片のミラー切片上でTUNEL陽性心筋細胞核とPCNA陽性心筋 細胞核の関係を検討した。ミラー切片上で.TUNEL陽性心筋細胞核は全てがPCNAの陽性像を示した。 考 察 DCM群においてTUNEL陽性心筋細胞を約1%に認めた。電顕TUNELにおいてこれら核への著明な金コロイ ド集積を示すTUNEL陽性心筋細胞の超微形態はt アポトーシスやネクローシスの超微形態とは明らかに異なり, 肥大心もしくは不全心にみられる,いわゆる「肥大した核」を有する生存心筋細胞の超微形態を示していた。 次に,TUNEL陽性のメカニズムとして「肥大した核」では何が起きているのかという疑問を検討した。PCNA は,DNAの複製や修復に関与し,Ki-67はDNA複製のマーカpである。DCMにおいてTUNEL陽性切片のミラー 切片を用いてTUNEL陽性とPCNAおよびKi-67の発現との関係を免疫組織学的に検討した結果,TUNEL陽性心 筋細胞核はPCNA陽性であり,Ki-67は陰性であった。これは,DCMにおけるTUNEL陽性所見は心筋細胞のDNA の複製でなく,修復を意味することを示している。 結 語 DCMにおけるTUNEL陽性}L、筋細胞は,アポト∼シスやネクローシスではなくDNA修復の元進状態にあるい わゆる「肥大した核」を持っ生存心筋細胞である。すなわち,TUNEL法はアポトーシスの信頼できるマーカー ではない。 論文審査の結果の要旨 申請者 加納素夫は,DCMにおけるTUNEL陽性心筋細胞がアポトーシスやネクローシスではなくDNA修復 の元進状態にある生存心筋細胞であることを明らかにした。 この新知見は循環器病学の進歩に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌]
Significance ofMyocytes With Positive DNAIn Situ Nick End-Labeling(TUNEL)in Hearts With Dilated Cardiomyopathy
1999年 Circulation 99:2757∼2764