<論文>経営経済学と経営(財務)分析の比較研究
著者
亀川 俊雄
著者別名
Kamekawa Toshio
雑誌名
経営論集
巻
24
ページ
1-34
発行年
1985-03-20
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005792/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja経 営経 済 学 と経 営( 財務)分 析 の 比 較研 究
亀
川
俊
雄
1[ま し が き
企業 目的は, 株主 の富 加, 利 潤 か, 収益 性 か( さらには自己資本利益率か総
資本利益率か),経済 性か, 企業 成 長(繁栄)か,…… あ るい は単一 目的 でぱ な
く複数 目的 な のか等 々果 てし ない 議論 が闘わさ れて きた。 筆者は 実践的 立場
から, 経済的 意 思決定 のため, 経営 分析 の体系 化を 試 み てきた。 それは 経 営
者 の経 済的意 思決定 の道 具とし て の経 営指 標 の連鎖体系 で あ り,「∼ か∼」
では な く「∼ と∼」 とい う立 場から, また, 経 済的 な複数 目的は 単一 目的に
集約さ れ うる とい う立場を とってきた。 経 営財 務論な どでしばし ば 試 みられ
てきた企業 の行動方 程式 のモ デルに おけ る企業 の目的 関数に対 す る一 群 の説
明変 数( 経営経済についての変数)は, アプ ロ ―チは 異な るとし て も, これら
の経 営指標 の連 鎖体系 と対応 する。 し か 乱
最近 の経 営財 務論にお け る意 思
決定 モデル の うちに, 生 産関数を 含め るもの が現われ てきた。 これ は, 企業
の経済理 論 の立 場 からい えば, 価 格理 論・生 産理 論・資 本理論 の統合 問題 で
もあ った。 また, こ の ような モデルは, 経営学 用 語にお き換え れば, 販売 ・
仕入 ・雇用 ・技術 ・投 資・資 金調達 等につい ての諸 意思決定に つい て の管理
上 の長期 経 済計画を 総合 調整す る基 礎的 理 論や技術 を提 供す るも のと 考えら
れ る。 他 方におい て, ド イツ経 営経済学 におい て論争 され て きた特 有の企業
(財務)概 念と経 営( 生産) 概 念 がい かに 統合さ れるべ き かを, 経 営財 務論 が
示唆し てい るかに みえ る。 さらに, 生 産関数 を統 合す るこ とに よ
って, そ れ
は, 単なる財 務モ デル から 企業 (経営)経 済 モデルへ と展 開され, 将 来 の 経
営経 済学の1 つ のお り方につい て も示唆し て くれてい るよ うに も考えら れ
る。
以上 の間題 意識の もとに, 小稿 では, 株主 と富 ・残 余利益 ・ 企業成長 率・
自己 資本 利益率 ・総資 本( 産)利益率 ・ 経 済性 ・ 生 産 性さらに は 市場価 格が
2
い かに 統合 され るべ き であろ うかを, 筆者 の提 案せ るモ デルとG.
エ リクソ
ン のモデルを 対照し つつ,経営指 標
(経済変数)が「∼ と∼」 とい う方 法で, 如
何に体 系化 されてい る かとい う問題に 限定し て検 討す る のが 目的 であ る。 以
下つ ぎの 項 目にし た がって これら の検討を 試み る。 なお 小 稿は, 別稿 「経 営
経 済学 の体系化 のた めの利潤 ・収益 性 ・経済性 ・生 産性 関連 の 取 扱 に つ い
て」(東洋大学経営論集,第23号,昭和59年) の続 編に 該当し てい る。
[1 ] 問題 意識
(1卜 企業 目的 論に 関す る2 つ の流 れ
バ2)
企業 経済理 論へ の若 干 の私見
(3) 実践的 立場 から みた企業 経済 理 論の問題 点
(4) 応用(技術論的)経 営経 済学にお け る経営 指 標利用 の必要 性
[2 ] 応用 経営 経済学 とし ての経営 分 析
(1) 財 務(諸表)お よび経営 分析
(2)J. フ ィールの 「経 営 と企業 分析」
(3) 筆者 の経営 分析体 系(企業の経済的「目的」一「手段」の体系:TKSM
)の
基本的 構図
(4)TKSM
におけ る諸変数 の関 逆 比
[3 ] ア メリカ財 務論 の1 つ の傾向
ト(1
) 意思決定 財 務論におけ る1 展 開(2)G.
エ リ クソン の財 務モデル とTKSM
[4 ] 要
約
あ とがき
[1 ] 問 題 意 識(1
) 企業 目的論 に関す る2 つ の流れ
営 利企業 (以下たんに企業と呼ぶ) の 目的に つい ては 学問 的に 多 くの論争 が
繰 り返さ れて きた が, 大 きな流れ とし て, 現 在基 礎的に は2 つ の対立す る理
論 があ るとい わ れ る。1 つは 企業 の行動 科学thebehavioral
であ り, い ま1
つ は新 古典派 の経 済理論 に属す る企業 の経 済理 論theneoclassical
に 大 別
され るI)
。 前 者 の行動 科学におい ては, 経 営者 の権力 ・信望 ・身分 ・高い所
得, 財政 的独立 等 々を 確 保す るこ とが企業 目的 とさ れ る。 こ れら の諸 目的 は,
経営経済学と経営( 財務)分析の比較研究3 し ば し ば 組 織 の 維 持 と 繁 栄 , 企 業 に あ っ ては , 会 社 の 規 模 と か成 長 率 と組 み 合 わ さ れ る とい う。 と く に, 自 己 資 本 の 出 資 者 の 企業 組 織 へ の支 配 権 の 低 下 せ る 大 規 模 企 業 に あ っ て ぱ , 資 本 と 経 営 の 分 離 と, 専 門 経 営 者 の 出現 に よ り, 経 営 者 は 企 業 の利 潤 追 求 (理論的には「利潤最大化原理 」) を 企 業 目的 とす る の では な く, 支 配 権 を もつ 経 営 者 の 動 機 に も とづ い て, 上 記 の企 業 自的 論 が 展 開 さ れ る。 こ の 行 動 科 学 は 利 害 関 係 者 理 論 と 結 び つ い て, 経 営 者 は 制 約 化 さ れ た 合 理 性 の も とに 行 動 し , 心 理 的 な 意 味 の 適 正 利 潤 や 企 業 成 長 が 企 業 目 的 と さ れ る2)。 こ れ ら の系 譜 に 属 す る企 業 目 的 論 も多 く の 主 張 に 分 か た れ る。 た とえ ば , 経 営 者 は 将 来 の環 境 の不 確 実 性 に 関 連 し て , 経 営 者 の 経 験 則 に し た が っ て, 収 益 性 ・ 支 払 能 力 ・ 配 当 性 向 等 々に つ い て, 一定 の 目 標 す な わ ち, 経 営 者 が 適 正 とみ ら れ る 目標 を 達 成 す る よ うな 行 動 が とら れ る とい う所 論 が展 開 さ れ る。 また, 一 方 に お い て, 経 営 者 の 動 機 づ け の 理 論に お い て, ‥複数 目的 論MultipleObjectives が 広 く 支 持 さ れ る3)。 た とえ ば , 経 営 者 は , ①売 上 高, ② 組 織 の 成 長 率, ③ マ ー ケ ッ ト ・ シ ェ ア ー, ④ 満 足 す べ き 労 使関 係, 犬⑤ 仕 事 の 満 足 , ⑥ 公 共 サ ー ビ ス等 々 の 諸 目 標 に 当 面 す る とい う。 また , あ る 調 査 に よれ ば , 経 営 者 の 諸 目 標 は , ① 組 織 効 率 , ② 高い 生 産 性 , ③ 利 潤 最大 化, ④ 組 織 の 成 長 , ⑤ 産 業 の リ ー ダ ー シ ップ , ⑥ 組 織 の安 定 性, ⑦ 従 業 員 の厚 生 , ⑧ 社 会 的 厚 生 等 々が 高い ウェ イトを 占 め てい る とい う。 経 営 者 は, 多 く の 制 約 条 件(時 間的・人的・法 律的・物理的 な制約条件)の も と に, これ ら の諸 目標 の 問 に 矛 盾 が あ れば , 広 範 な 政 治 的 ・ 社 会 的 ・ 経 済 的 ・ 倫 理 的 観 点 か ら, 望 ま し い 水 準 の諸 目 標( た とえば,望 まし いレ ベルの利益desiredlevelofprofit や公害 制 御・マ ーケット・シェアーの確保,流動性 の維持, 労働環境 の確保等)を 目指 す と い わ れ る4)。 こ の さい , 目標 の 選 択 ・ 調 整は , 経 営 者 の 哲 学 や 組 織 能 力 に 依 存 す る とい う主 張 が な さ れ る。 組 織 能力 は , そ の 性 格( 成長 の段階・製品0 系 列・市場におけ る競争関係等)・ 人 材( 経営者の質・雇用者 の質や適正等)・ 技 術 的 資 源(外部技術環境へり 適応性・技術的発展 の動 向等)・財 務 資 源(財政の状態・現 在及び将来の収益性・資本調達 能力)・ 物 理 的 資 源 ( 設備・資材・ 材料等) に より 決 定 さ れ る の であ る か ら^) 経 営 者 は 彼 の 哲 学 に も と づい て , こ れ ら の要因 を 総 合 的 に 調 整し て, さ まざ ま な 意 思 決 定 が 下 さ れ る 。 一 方, 企業 経 済 理 論 で は, 小 企 業 七 あ れ 大 企 業 であ れ, 一 般 に 利 潤 最 大 化
4
□’
原理に もとづい て行 動す る と仮定さ れる。 長 期動 学的 な立 場 から みれば, 企宍
業 の将 来配 当金 の現 在価 値す なわち 株式の市場 価値し た が って 企業 価値 の最
大 化を 経営 者は 目指す もの と仮定 され る。 こ れは とりもなお さ ず 企業所 有者
の富 の最大化maximizingthewelfareofthefirm'sowners
を 意味し て ご
ト る。 この よ うな 理論は, 複数 目標論に対し, 単一 的な経 済 目標論に ほ かな
らない6)。(2
) 企業経 済理 論へ の若 干 の私見
こ の企 業の 行動 科学 理論 と経 済理論は 基本的に 相対立 す るも の であ ろ うか。
,
両者 の比 較を 理論 的に 検討す る こ とは, 筆者 の能力の範 囲 外であ り, 小稿に。
おい て取 り上げ る課 題では ない。 ただ, 拙稿に おい て, 企業( 経営) の経 済
学(理論)を 展 開す る立場 から, 以 下 の論述に関 連があ る ので, そ の範 囲に‥
おい て筆 者の立場 を 明ら かにし てお くこ ととす る。
(1) われわれ が属す る自 由主 義 市場経済体 制は, 価 格 メカ ニズ ムに よる自
由競争 の取 引 に よる市 場原 理に支 えられ, 消費者 も生 産者( 企業) も市場
価 格に もとづい て消費 量や 生産量を 決定す る。 この よ うな 市場 経済 体制下
におけ る価 格 メカ ニズ ムに 対応し て, 企業 が合理 的利潤 を 追 求す る結果,
社会全 体 の経済 的資 源 が効果的に 活用さ れ, 社 会全 体( マクp;
の 生 産 性
を 高め, 国 民全 体に 豊 かな物 質的生 活を もたらす とい う前提 の も とに形成レ
された 組 織体 が市場 経済 シ ステ ムに ほ かなら ない7)
。 このこ とは, 社 会全
体 の経済的 厚生を 大 ならし め る とい う前提に 立つ も0 と思わ れ る。し た 誤
って, 企業 の 経営 者は 経済的 な 利害 関係者( たとえば,消費者・従業員・取引
先等)とは, 市場 価 格を め ぐる需 給関係に よって, 販 売価 格や 賃率・取 引
価格 が決定さ れ, 基 本的な 利害 関係 が結ば れ る。 消費 者・ 従業 員 のみなら
ず, 経営 者や 資本家(大企業における株主) も利害 関 係者 の一 群を 形成され
るも のと考え られ る。 これ ら の グル ープに対す る報 酬 も, 企 業に とっては
市場価 格に よっ て決定 され, コストを 形成す る要 因 とな る。 前者は 企業者
賃金 であ り, 後者 は 資本 コ スト(正常利益率)とみなさ れ る。 この 意味で,
社会 経済的 観点 から みれば, 企業ぱた んな る資 本家0 ため の制 度ではな
く,-社会経 済 の要求に 応 え るた め の制 度とし て捉え るこ と がで き る。し た が づ
て, 株主 の富 最大 化の 原理 も, そ の よ うな立場 から み れば, 社 会経済 的資
源 の時間 的配 分 とい う要請 にし た が う派生的 原理 とみら れ る。 企業 の立場
経営経済学と経営(財務)分析の比較研究5i から み る と, 市 場 に お け る 公 正 な 競 争 の 結 果, 動 態 経 済 の も と では , 企 業 こは 利 潤 追 求 を 意 図し て も, 市 場 に お け る 競 争 の 結果 , 利 潤 を め ぐ っ て プ ラ ス ・ マ イナ ス (損失) の業 績 に 追 い こ ま れ, あ る企 業 は 成 長 し , 他 の企 業 核 衰 退 ・ 倒産 す る か, あ る い は , 適 正 利 潤 (経済的 意味 のう を 獲 得 す る立 場 忙 追い 込 ま れ る と 考 え ら れ る。 い ず れ に せ よ, 合 理 的 な 公 正 な 市 場 価 格 競 争 に よ っ て 形 成 さ れ た 企業 の
生産行為一
企業利潤の追求の結果にもとづく
潤の追求の行為は, より次元の高い 目的
手段 とし ての立場にお かれる。
ぱ, 市場 の価 格 メカ ニ
のズ ムによる企業間の分業体 制をとおして, 国民経済全体の生産国民所得向
上を 目指すのが市場原理とみなされているのである から,企業 の合理的利
国民経 済 の経済的 厚 生
摺
企業 の経 済理 論(経営経済理論の母胎とみなされる。
)は, 経営 者 に と っ
ては経 営の経 済的 意思 決定 の道 具 とし ての役割を果 た す。 労働 者 の報酬 丸
経 営 者の報酬 も資 本家 の報 酬で すら, 一 度は物 的概 念 の中 に押し 込 められ
る。 この点, 企 業 の行 動科 学 が組織にお け る経営者や 組 織 メン バーの個人
や 集 団の人間 行動を 対 象 とせ る意思 決定 の記 述論的 説明を 認識 対 象とし て
い るり とは, そ の役 割を 異に す ると 考え られ 奇。 経 済理論 におい ては, 経
ノ
済的観点 から, 利潤 と利潤を 決定 す る他の経済 変数 との 関連を 関数 形態 で
切 ら かにし で くれ る。 さきに か かげ た 複数 目標 の大 部分は, 短 期静 態理論
もし くは 長期動学 理 論 のい ず れ かにお け る利潤 の説明変 数 もし くは パ ラ メ
ー ターとし て取 扱わ れ, 利潤 決定 要因 とみな される。 複数 目標 とし てか か
竹 られ る大 部分 の指 標, た とえば, 売上 高 ・企業 成長 率 ・マ ー ケット・シ
ェアーや 労働 のモ ラー ル・労 使の 倫理 さら には, 適正 な商 品の価 格や 給与
水準 の維 持・従業 員 へ の経 済的 厚生 ・生 産性・財 務安全 性 等 々は, 利潤 決
定 の背後 の要囚 とし て体 系的 に捉え る こと ができる。 複数 目標論 の ごと く
バラバラの 目標論 とし て取扱 えば, 企業全 体 の統一 方 向へ の舵取 りは 困難
とな るのに対し, 特定 の利潤 概念を 用い るこ とに よ って, 企業 全 体 なら び
拡 それを 構成 す る各 要素に つい て の意思 決定に 対し, 企業経 営を一 定方 向
礼 導 く有用 な理論 的道 具を 提 供す ると思わ れる。 また, 利潤 決定に 関連す
るパ ラ メータ ーとそ の背後 の 事 情(それは尨大な要因,恐らくは人間の心の間;
題まで入りこむように考えられる)を も含 め て, 経済 的観 点 から 統一し た論 理
6
が 形 成され うる道具 が与 えら れれば,
そ の よ うな 道具は 応用 経営 経済
学 に よって提 供さ れ よ う
性や 悟性
実践に 対し て強 力な 武器 とな りえ よう。 もし。
に 依存 す るこ ととなる。し かし,
こ の よ うな経 営経 済理論 が形成されば, 経 営経 済 理論 は 経営 者に とって,
将 来 の 経済的不 確実 な環境 に対し, より合 理 的な 意思 決定のた め の役割を
果た す こと とな る。
(3) 企業 は 本質 的に経 済的組 織であ る。 そ れは,(1)
に 述 べた全 体経済的要
請に 基づ くも のであ る。し た がって, 経済的 観 点 から 構 築さ れた経営経 済
理 論は, 経営 者に とって, 有用な 経済的 判断 の 道具を 与 え るが, 万全な道
具 ではない。 経済 自体は人 間の福 祉の手 段だ から であ る。 た とえ ば, 公害
・環 境破壊 さら には 精神文 明とのか かお り合い など と経 済的問 題 との間に
矛 盾 があ れば, より高い 次 元で調整さ れ るべ き問 題で あろ うし , また, 現
実 の企業 の利益 政策 の中には, 非合 理的 要因・ 非 倫理 的要 因を含む こ とが
多 い。し た が って, 実 際の 意思決定に 当 っては, 意思 決定を 下す人 間の知
そ の背 後には かれの心
経済理論は,経済的な範躊に限定された問題につい ての説明に役立つため
の理論にすぎない。経営哲学や経営理念が重要視され るゆえんと思われる。(4)
経済理論と行動科学はそれぞれ対立すべき関係にあ るのではなく,理
論形成の役割( 認識対象) が異なるものと考える。 経済理論では企業経営の
利害関係者の動機は抽象化され,物的化されて, 企業 の経済行動について
理論構築が行なわれる。その理論を利害関係者が実践 の説明のために利用
するのに対し,行動科学では利害関係者の動機そのものが研究対象とされ
る。したがっ七,両者は,経営現象の認識のためには, 相互に補完する役
割を果たす とい う立場から,経営の経済理論を位置づけ ようとするのが,
筆者のビジ ョンである8)。(5)
以上(l)
∼(4)の立場から,経済的観点から, 経営経済学の研究対象は次
表のB 行に 集約されるとい う立場を とる。( 本表は別稿「東洋大学経営論集第(
表1)
企業経営の経済的「目的一手段」の基本的構図
言しド ∼∼一上 竺竺
目
的
手
段
A
全体(国民)経済的観点
①
国民経済の
生
産
性
②
企 業 利 潤
B
私経済的観点
③ 企 業 利 潤
④ 企業の生産性
経営経済学と経営(財務)分析の比較研究723
号」においても取扱っているが,説明のため,再度かかげさせて頂く。
)
(3) 実 践 的立場 からみた企業 経 済理論 の問題点
企業 の経 済理 論は, 実際 の会社 のモ デルを説 明し た ものでは ない とい う主
張がな され る9)
。 い わば, 意思決定者 の判 断 の道 具 とし て も役立 たない と
い
われ る。 筆者はそ の理 由 とし て3 つ の要 因を あげ たい 。 第1 は, 企業 の利潤
最大 化原理 に みら れ る, 限界収 入 と限 界費用 一 致 の原 理 は, 極め て抽象的・
数学的 叙述 に終 ってい るこ と, すなわち, 企業 目的 とし て の利潤を 目的関数
とし そ の最大 化条 件を特定 の戦略変 数につ い て数学的 に誘 導さ れる。 そ の前
提 とし て, 非常 に多 くの パラ メーターが存 在す る。 す なわち, 経 済理論では
しばし ば,“他 の事 情におい て等しけ れば”ceterisparibus とが
条 件一定”
,constancy
あ るいは,“制約条 件”,costraints,restraints“外生 変数”exoge-nousvariables,
与件parameters
のも とに 理論 が 構築 さ れ る。 そ のため 高度
に抽 象化 され る1o)
。 経 営者に とっ ては, 背後 に与 えら れ てい る多 くの パラメ
ーターこそ が重要 であ るこ とが多い。し か もそ れら の パラ メー ターの背後 に
もさらに 多数 の重 要な要因 が隠さ れてい る。 経営者 に とっては, 目的変数 と
ともに 背 後に ひそ んでい る多 くの要 因を 体系 的 ・総 合 的に捉 え 七お くことが
必要 であ る。 第2 は, 企業 経 済理論は, 価 格 の理論 ・生 産 の理 論・資本 の理
論(投資の理論・財務の理論)が個別 的に分 析さ れ るID。 企業 の経 営者 が, 特
定の事 項につい て意思決定を 行 うさい には, た とえば , 新製品 の開 発にし て
も,工 場 の建設 や 廃棄, 雇用 量 の決定 等 々い ず れ も, 価 格・生産 ・投 資・財
務 の問 題 を 長期 的な予 測の もとに総 合的に評 価し て 意 思決定を 行 うのであ る
から, 価 格 (市場環境)
・生 産・資 本・利 子の理 論 が統 合さ れた シ ステ ムの理
論モデル の構築 が望 まれる。 こ のよ うな モデル 化 の傾 向は, 後 で 触れ るよ う
に, ア メリカ の財 務論 におけ る1 つ の傾向 とし て モデ ル化 か図ら れつつあ る。
この よ うな モデル 化は, 価 格 ・生 産・投 資 ・財 務につ い て重 要な経 済的諸変
数 が内生変 数 または外 生変数 の形態 で動学 的行 動方 程式 のモ デル の中に 組み
こ まれ るこ と とな る。 した が って, 企業 におけ るすべ ての経 済的行 動 がモデ
ル の中に含 まれる。 ド イツの伝 統的経営 経済 学でい わ れ る,
「企業(財務)
」と
「経営(狭義:生産)
」のすべて が集 約的・抽 象的 かつ 体 系的 ・動 学的に含 まれ
るのであ る から,「財 務」 モデル とい うよ りむし ろ 「経 営 経済」 モデ ル と い
う呼称 の方 がふ さわし い と思わ れ るし, 総 合的 ・部 分 的諸 目的を含 む 意思決
8
定 の基 礎理論を 提供し て くれ るも の と思 われ る12)
レ
こ のよ うな「経 営経済 モデル」は, 企業 経 営におけ るす べて の仕 事を 抽象
的な 経済的変数 の形 態で表 現し て くれ るの みならず, 企業 経 営 の諸 目的を 総
合的 ・体 系的に 記 述し て くれるた め, 経 営者 の意思決定を 論 理的 に整 理し て
くれ る利点があ る。 反 面, 現 実の変 数 の測定問題 とか, 変数 の背後 にあ る尨
大な 事情を 説 明す る ことは で きない 。 た とえば, 資本利益 率や多 品 種生 産企
業 の コス ト測定問 題 とか, 組 織や 技術 革 新の生 産性へ の 影響・ 労働 意 欲の生
産性へ の影響な どは そ の一 例 であ ろ う。し かも
実際の 企業 経 営にお け る業
務は, 数学 的に 一方 因果 論的 変数 ・関 数関係 で説 明でき るほ ど単 純 ではない。
企業 経済 理論や経営 財 務論 で発 展し つつ あ る緻密な 理論 的 モデ ルを 基 礎にし
た,あ るい はそ れに対 応せ る, より実 践的な要 請に堪えう る「経営 経済 モデ
ル」 が必要 なのでは ない だろ うか。
第3 は, 企業 の経済 理論 は, 第2 に おい て指 摘された ように資 本の理 論を
含 む 結果, 長期 動学理 論 の性 格を もつ。 経 営者 があ らゆ る経 済的 な意思 決定
を 下す さい には,一 方 におい て総合 的な 調整 が必要であ る とと もに, 他方にお
い て, 長期 的視野に た って 調整 がな され る必 要 があ る6 そ の経済 的 な理論的
基礎 とし て, 動学 的な キ ャ ッシ ュ・ フ ロ.―・プ ロフ ィットの論理 が確立され
る必要 があ る。 こ の面 で 乱
経営財 務 論 がそ の理論的基 礎を 与え て くれる13)
。
第4 に, 企業経 済 理論に おけ る諸 変 数(たとえば利潤・資本・ROI 等々バ ま,
会計理論な どで も扱 わ れ るが, あ る面 では両 者の概 念は 一 致す るが, 他 の面
では 異な るご とが多い 。 経営 者 の経済 的 意思決定基 準は , 経済 理論を 基 礎と
し た 諸変 数 から導 かれ る。し かし , 経 済的変 数は概 念を 示し て くれ る意味 で
は重 要であ るが, 実 際に は 測定 でき難い。 そ こで, 慣行 的な 会計・経 営上 の
測定尺 度 が代用 され る。 これ ら の測定 尺 度につい て の ‘解 釈≒ ‘情 報評価’
は 経済 理論に もとづ い て 行わ れ るこ とが有効 と思わ れる。
(4) 応用(技術論的)経 営 経済 学にお け る経営指 標利用 の必 要 性
ド イツの技術 論的 経 営経 済学や そ の系 譜に 属す る経営 比 較論 ・経 営分 析・
財 務お よび管 理会 計学 ・原価 管 理論等に おい ては, 利潤 ・売上 高 ・販売量 ・
設 備投 資・雇用 人員 等 々の絶 対 数(実数) とこれら の実 数を 比 較し た 諸 比 率
が用い られ る。 た とえば, 各 種 の収益 性・平均 コスト ・生 産性 等 々の比率 が
用いら れ る。 これらは 一 括し て経 営指 標(経営情報)と名づけ ら れ る。 これ ら
経営経済学と経営( 財務)分析の比較研究9 の 指 標 の背 後 に は 尨 大 な 経 済 事 情 を も っ て い るた め , そ れ ら の 指 標 につ い て は , そ れ ぞ れ の学 科 の 領 域 に お け る 「解 釈 」 あ るい は 「情 報 評 価 」 の研 究 が 必 要 で あ る。 財 務 (諸表)分 析 や 経 営 分 析 等 の 学 問 の 領 域 に お い ては ,「経 営 経 済 モ デ ル」 に お い て 扱 わ れ る多 くの 変 数 がし ば し ば 実 数 や 比 率 の形 態を と お し て 個 別 的 に 情 報 評 価iの 対 象 と な る。 経 営 分 析 等 で 扱 わ れ る 変 数 は, 企 業 の 経 済 理 論 や 財 務 理 論 モ デ ル に お い て 扱 わ れ る変 数 と 異 な り パ ラ メ ー タ ーを 前 提 とし な い。 た とえ ば , 商 品 の 販 売 量 の 水 準 が 何 故 こ の よ うな 実 績 とな っ た の か, あ る い は 来 年 度 の 販 売 量 の 水 準 は い くら に な る か とい う予 測を す る 作業 一 つ を と っ て 乱 所 与 の条 件 の も と に , 価 格 の 変 数 とし て 取 扱 わ れ る わ げ で ぱ な い 。 実 際 に は, 経 済 的 ・社 会 的 ・ 自 然 的 ・法 律 的 ・ 組 織 的 等 々の 諸 情 勢 の 反 映 で あ る から , パ ラ メー タ ー付 の 価 格 一 販 売 量 の変 数 関 係 とし て 取 扱 う経 済 理 論 では 現 実 の 問 題 を 説 明 す る こ と は で き な い。 販 売 量 を 決 定 す る すべ て の要 因 を 考慮 に い れ なけ れ ば な ら な く な る。 平 均 状 態 を 示 す 関 係 比 率 に つ い て も 同 様 であ る。 こ の 意 味 で, 応用 経 営 経 済 学 の 領 域に 属 す る 諸 学 科 に お い ては , こ れ ら の 経 営 指 標 の 「解 釈」 ま た は 「情 報 評 価 」 が重 要 視 さ れ る。 同 時 に そ れ だ け 実 践 的 な 能 力 は 高 く な る とい う メ リ ッ斗 を もつ 。 反面 , そ の 解 釈は 曖 昧 性を 伴 うとい うデ メ リ ッ トを 避け る こ とは で き な い 。 こ の よ うに , 技 術 論 的 経 営 経 済 学 に お い て は , 数 学 的 ・関 数 論 的 方 法 論 を と る 純 粋 理 論 的 経 済 学 に 対 し て, よ り現 実 的 性 格 を もつ こ と を 可 能 と す る。 こ れ は , 第1 の 問 題 に 対 応 す る。 両 学 科 の メ リ ッ トを 統 合す る こ と が 有 効 と 思 わ れ る ゆえ ん で あ る。 つ ぎ に , 前 項 第2 の 問 題 , 価 格 ・ 生 産 ・ 資 本 ・利 子 の理 論 が 統 合 さ れ るべ き とい う問 題 に 対 し て,「経 営 分 析 」 等 で 扱 わ れ る 経 営 指 標に つ い て も 同 様 の こ と が い え る。 そ れは , 経 営 上 の 経 済 的 諸 問 題, 販 売 ・調 達 ・ 製 造 ・投 資 ・財 務 に つ い て経 済 的 問 題 を 示 す 諸 経 営 指 標 を 経 済 的 な 面 から 類 型 化 し , こ れら の 指 標 を 統 合 化し , 体 系 化 す る こ と が 要 求 さ れ る 。 か くす る こ とに よ っ て,「経 営 指 標 」 の 「解 釈 」 す な わ ち 「情 報 評 価 」 の 曖 昧 性を い くち か で も 除 去 す る こ と が で き る とい うメ リ ッ ト が あ る と 考 え ら れ る。 前 項 に お け る 第3 に対 応 す る問 題 とし て, 経 営 指 標 そ の 背 後 の 会 計 ・ 経 営 情報 を 長 期 的 な 視 野 から 「 解 釈 」 す る 必 要 が あ る。 た と え ば, 全 社 的 な 経 営 計画 にし て も, 個 別 計 画 にし て 乱 見 積 貸 借 対 照 表 や 見 積 損 益 計 算 書 そ の 背
!0
後 にあ る諸経営 統 計等 の見 積を, 将 来の各 年次につい て 行わ れ ること ぷ要求
さ れ る。 こ のこ とは, 予 測さ れ る財 務諸表や 諸経営 統計 から 導 かれる経 営指
標 の見 積が, 将 来に わた って 行われ る必要 があ るこ とを 意味 す る。 こ れは,
単 な る計算的 ・ 技術的 問題 では ない 。 た とえ ば,j 期に 利 益留 保 があ れば,j
期以 降に 設 備投 資な り, 製品系 列な りへ 投資され るであ ろ う。j 期に 見積
ら れたあ る経営 指 標は,j +1 期に どの よう な影響を もた ら す か と い う「解
釈」 が予め必要 とさ れ る。 経 営的諸 事実は 時間的に連 鎖し てい るから であ る。
し た がって, 経 営 指標 の解釈に さいし ては, 経営的 事実を 「 時間 循環 の連 鎖
シ ス テ ム」 とし て 捉え るこ とが必要 と考えら れ る。
几
[2 ] 応 用経営 経 済学とし て の経営 分析(1
) 財 務(諸表)お よび経営 分 析
ここ で,応 用 経営経 済学 の系 譜に 属す るとみ っれ る財務(諸表)分 析finan-cialstatementsanalysis
,financialanalysisもし くは, 経 営比 較Betriebsve-rgieich
や経営 ・企業 分 析Betriebs-undUnternehmungsanalyse
を 取上げ る
こ と とす る6 これら の学 科 の内容 の 規 定 い か ん で は, 応用 経 営経 済学ap-pliedmanagerialeconomics,angewandteBetriebswirtschaftslehre
そ の も
のとし て展開す る こと も可能 と思わ れ るから であ る。
財 務諸表分 析は, ア メ リカにおい て会計報告 書(財務諸表)の分析 ・評価 の
学問 とし て歴史 的 に発 展し てきた が,一 方,財 務分 析は 企業 の財務に つい て
の分 析とし て, 経 営財 務論 との関連 のも とに, その実 証的 研 究 とし て財 務諸
表 の分 析 が応用 さ れ る。 両 者 ともに, 収益 性 とか財務安 全 性 の問題 等が取 扱
われ てい るが, そ の方 法論に おい て, 若干 のニ ュアン スが 異な っ てい る。 後
者は, 優れて特 定 の財 務モ デルを 基礎におい て, それ との 関連 で, 財務 モデ
ルを 検証 するた めに 研 究が行 われ る。 した がっ て, 前項 まで述べ て きた ,企
業 目的, 投 資 ・財務 の 統合 モデ 少, 時間 モデル( キャッシュ・フi=1
一分析)との
関 連と 結合し て, 財 務諸 表 の分析 がなされ てい る傾向 が強 い。
も っ と も ,必ずし も成功し てい る段階にあるとは思われないがー
。 これに対し, 前者
は,:
収益性や財務安全性の分析・評価が個別的に行われる傾向 か強い。 もっ
と乱 論者によっては,企業 目的や投資・財務との関連を 意識し た 財 務(諸
表)分析の体系化を試みたものもあ る が, 会計報告書自体 の研究に主力がそ
経営経済学と経営(財務)分析の比較研究11 そ がれ, 背 後り 企 業 目的 論 等 の 経 営 経 済 理 論的 背 景 の か かお り合 い は 余 り重 視 さ れ てい な い よ うに 思 わ れ る14)。 一 方, ド イ.Iツ の 経 営 分 析 等 は , そ の名 称 の示 す ご と く, 一 般 経 営 経 済 学allgemeineBetriebswirtschaftslehre の 応 用 編 とし て の 色 彩 が 強 い もの と解 釈 さ れ る。 伝 統的 経 営 経 済 学 に お い ては , 企 業 (財務) と 経 営(生 産)の 概 念 が 分 離 さ れ , そ の 影 響 を うけ て , 財 務 分 析 ( 財務安全性 とか流動性) と 経 営 分 析 ( 経済性とか生産性の分析) が 別 個 の研 究 対 象を 形 成 し てい る よ うな 傾 向 か あ る。 ア メ リ カ財 務 ( 諸表) 分 析 に お い ては こ の よ う な 問 題 意 識 も な い し , また, 経 済 性 や 生 産 性 分 析 は 取 扱 わ れ た い か, あ るい は , ド イツ 経 営 分 析 と 同じ よ うに , そ れ ら は 独 立し た 分 野 の 研 究 の よ うに 扱 わ れ て き た よ うに 思わ れ る。 両 者 と も, す く な く と も こ れ ら は 全 体的 に 統 合 さ れ た 分 析 体 系 とし て 研 究 さ れ て き た とは い い 難 い 。 とは い え , ア メ リ カ ・ ド イ ツ め い くつ か の 学 説 に お い て, 企 業 目 的 ・ 統 合 化 ・時 間要 素 と の 関 連 に お い て , す く な く と も部 分 的 に 結合 し た 所 論 が 古 く から 展 開 さ れ て き た よ うに 思 わ れ る。 そ のい くつ か の ヶ 一 スを , 小 稿 の 結 論 を 誘 導 す る か ぎ りに お い て, か ん た ん に か かげ て み る。 ㈲E. シ ュ マ ー レ ソ バ ッ ハ の 残 余 利 益 構 想 周 知 の よ うに , シ ュ マ ー レ ソ バ ッ ハ は , 経 営は 共 同 経 済 性gemeinwirt-schaftlicheWirtschaftlichkeit に 貢 献 す る た め に √ 私 経 済 とし て は , 経 営 の 経 済 性betriebswirtschaftlicheWirtschaftlichkeit を 高 め る こ と が 必 要 であ る とい う論 理 を 展 開 し た 。 そ の さ い , 経 営 の 経 済 性 は 利 益 に よっ て 測 定 さ れ, し か 乱 費 用 の うち に は, 自 己 資 本 の 機 会 費 用 に 当 る 自己 資 本 利 子 費 を 含 め るべ き で あ る と主 張 し てい る15)。 自己 資 本 利 子費 は 自己 資 本 の機 会 原 価に ほ か なら ない か ら , そ れ から 導 か れ る 利 益 は ア メ リ カ管 理 会 計 学 に お い てい か れ る 残 余 利 益residualprofit に 相 当 す る も の で あ り, また , 経 済 理 論 に お い て取 扱 わ れ る概 念 と も 一 致 す る16)。 こ の よ うな 構 想 は , 私 見 に ょ れ ば ,( 表1 ) に お い て か かげ ら れ た(A- ①)が 「共 同経 済 性 」 に,(A- ②)お よ び(B-①) が 「経 営 の 経 済 性 」 とし て の残 余 利 益 に 位 置 す る も の と 考え ら れ る。 シ ュ マ ーレ ソ バ ッ ハは , こ の利 益 の 時 間 比 較Zeitvergleich に よっ て経 営 の経 済 性 の 変 化 , し た が っ て 業 績評 価 を 考 え た も の と 考 え ら れ る。 筆 者 は , 企 業 目的 とし て 「残 余 利 益 」 を 想 定 し て お り, また , そ の 残 余 利
12
万益 を キ ャ ッシ ュ ・ フlコー・‐分 析 と 連 結 す る 立 場 を と っ てい る の で, シ ュ マ ーレ ソ バ ツ ハ の残 余 利 益 に 相 当 す る利 益 の時 間 比 較 は , 筆 者 の ビ ジ ョ ソ と も一 致 す る こ とに な るふ た だ , 筆 者 は ,「残 余 利 益 」 の背 後 に あ る 各 種 の指 標(収益 ニ性や生
知のDu-Pont
システ ムを用いて,
相乗積とする分析体系をとった。
経営 経済 学と経 営( 財務) 分 析の 比較 研究 」13 資 本 収 益 性 を 売 上 利 益 率 と 資 本 回 転 率 のシ ュマ ル ツの特色 とし て 筆者は, さらにつ ぎの3 点 を つけ 加えたい。l ヽ
つ
は, 経 済性 の尺度 とし て, 物的 生 産性の測定 尺度を取 扱った こ とであ る21)
。
もっとも, こ の経 済性 の尺度 が収益 性 とどの よ うなか かお り合いを もってい
るかは計量 的に 明ら かに され てい ないけ れ ど,2 つは 経営指 標 の総合的 体系
化を 図ってい るこ とであ る。 た とえば, 資 本( 産)回 転率 と 貸借対 照 表 の 資
産需要量( 借方)と が結合さ れ, 資産需要量 と資 本供 給量(貸方)との関連等
が有機的 に 結合さ れてい るこ と等。3 つには, マ クロ 経済現 象に も経営 分析
の手 法を適用 し て評価し てい るこ とは多 くの示 唆を与 え て くれ る22)
。 ただ,
自己資本利益 率をた んに 資本家 の観点 から, 資本家 の指 標であ るとい う立 場
を とった のは, 彼 が, 記 述論的 ではあ るが, 総資本利 益 率 ・利 子率・ 負債比
率の関連を 的 確に説 明し てい る事実を 考え ると, 筆者 の見 解 とは 異な った 結
論に 到達 する 結果 となっ た。(d
)J. フ ィールの 分析体 系
フ ィールは物的 生産 性を 記述 論的 ではあ る/が, 経営 分析の 体系 の中に明示
的に示し た。 彼の経営 分析に おい て, 物的 生 産性が正 面 から取 扱わ れたこ と
は, 生産 性分 析が経 営( 経済)学 ・企業 経 済学・ マ クロ経済 学に とっ て 極 め
て重要 であ る とい う事実を 考え る と, 彼の体系は,筆者 のビ ジ ョン と一 致す る
面があっ た。 以 下次 項におい て, 若干 詳し く彼の分析 体系 の 特 色を取 上げ る
こととす る。
(2)J. ティール の「経 営 と企業 分 析」
財務と生産を 統合あ るい は,(表1 )の(B- ③) と(B- ④) の間 の橋渡し を
する諸要因を 適 正と思わ れ る概 念で取上げ た ものに, フ ィール の 「経 営お よ
び企業 分析」 をあげ たい23)
。 もっ と も, フ ィールがそ の よう な 橋 渡しを 考え
て経営・企業 分析の体系 を 考えた ものでは ない が, 筆 者に と って, 経 済的 諸
指標の概念を 体系的 に 叙述し た も のと思われ る。 彼0 体系を 再 構成す るこ と
に よって,「橋 渡し」を 可 能 とす るものと思 われ るから であ る。
フ ィールは, 経営 ・企業 分析を 応用経営経 済学 と位 置づけ てい る24)
。 こ の
意味で, 彼 の「経営 ・企業 の分析」は, 応用 科学 とし ての経 営経 済学に位 置
づけ た ものと みら れ る。
14
彼は, 経営指 標 の分類 化を 図る 前提 とし てあ る部 分では 彼 独 自の「企業」
と 「経営」 のそ れぞれ の概念 の関係を主 張 する。 企業 はつ ねに経 営を 包含す
る から,「経営 」は,経 済単位, 技術的 な 組織 化され た 給 付 単 位technisch-organisatorischeLeistungseinheit
(組織化された業務活動の場所) で あ り, 内
的 様 相であ る のに 対し, 企業は, 法 律的一 財務経 済的 単位rechtlich-finan-zielleWirtschaftseinheit
を 示 す とい う意味 で外 部的 様相 であ る25)
。 ま た,
企業 は こ の給付単 位の存在を 前提 とす る のに 対し , 経営 は 必ずし も企業を ち
っ とは限 ら ない(国家, 公共団体等の経営の場合を想定し て)
。 モ の意味 で,彼に
と って, 経営 と企業 の関心 事は区 別さ れ る。 前者は, 生 産 性 と経 済性 が問題
とされ るのに 対七, 後者は, 収益 性 と資 本維 持ないし は, 財 務 の安全性 と安
定 性 が問 題 とされ る, とい う。
し かし, 筆 者に とっては, 広い 意味 の 「経営」 の概念を 考え, 財務は1 つ
の 経営 経 済の範 躊に入 るの であ り, 同 次元 で経 済性 ・生 産 性 も経営 経済 の範
躊に 入 る もの と考えら れ る。た とえ, 生 産 が技術 的 単位 であ る とし て も, 技
術 そ の ものは経 営経済学 者の取 扱 う課 題 では な く, 経済的 観 点 から とらえ る
ときはじ めて経 営経済学0 問題 と なる26)
。 法 律的一 財務 単位 とし て の「企業」
の 概念 も 同様に 経済的 観点 から取 上げ ら れ るとき, より高次 の経営 の経済的
概念に 包含 され る。
も っと も, フ ィール も同様な主 張 とみら れ る見 解を も ってい た と思われる。
す なわ ち,「経 営 ・企業 分析」 の さい には, 以上 の ような 意味 と し て, 経 営
と企業 が存 在す るのでは な く, 経 済的 な 経過 と現象wirtschaftlicheVorgan-genundErscheinungen
の合成 とし ての, 特定 の経営 経 済的に 意味 のあ る
内容 とし て, 規定 され認識 され るべき抽 象的 思考対 象 とし て, 前記の諸指 標
を 取 上げ てい る。 す なわち, 彼 の「経営 ・企業 分析」 に おけ る認 識対象は,
前 述に 対 応し て, つ ぎの配 列にし た が った経 営趾 よび企 業 の経済的 現象の 分
析 ・評価に あ った27)
。
(1) 生 産性 の評価DieBeurteilungderProduktivitat
バ2 ) 経済 性 の評 価DieBeurteilungderWirtschaftlichkeit(3
) 収益 性 の評価DieBeurteilungderRentabilitat(4
) 財 務構造 の評価(貸借対照分析)DieBeurteilungderFinanzlage
なお,(4)の うちに, 資 産 の在高の適 正評 価の問題 とし て, 資 産 の回 転速度
ト 経営経済学と経営(財務) 分析の比較研究15Umschlagsgeschwindigkeit を 含 め てい る。 さ て, わ れ わ れは , こ こ 七 フ ィー ル の 分 析 体 系 を 取 上 げ た のは , 筆 者 の シ ェ ー マ に も とづ い て, 営 利 企 業 の経 済 的 観点 か ら ,( 表1 )に お け る (B- ③) と (B- ④)を 結合 す る と 思 わ れ る 重 要 な 経 済 的 諸 変 数 を , フ ィ ー ル は 前 述 の よ うに,{1 )∼(4)の 指 標 の形 態 で概 念上 の 分類 を 行 っ た か ら であ る。 フ ィー ル にあ ら で は , 経 営 活 動 の 最 終 目標Endziel は , 給 付 能 力 の 維 持 と 経 営 と企業 の 繁 栄 であ る, とい う抽 象 的 表 現 と な っ て い る28)。 こ れ に 対 し , 筆 者 は 既 に 述べ た よ うに ,「利 潤 」 を か か げ た 。 多 く の 点 て , 筆 者 の 考 え と 食い 違い が あ る が, 認 識 対 象 とし て, 生 産 性 ・経 済 性 ・収 益 性 ・ 資 産 回 転 速 度, 財 務 構 造 (安全性 ・安定性) という 概 念 の も と に 分 析 体 系 を ま と め た こ とは ,(表1 ) の(B- ③ )とくB- ④)を 連 結 す る 意 味 で, 有 用 な 経 営 指 標 の 分 類 を 提 示し て い る よ うに 思 わ れ る 。 フ ィ ー ル の 体 系 に つ い て, 筆 者 な り の 批 判 を 要 約 す る とつ ぎ の とお り であ る。 (1) 残 余 利 益 の 概 念 が と りあ げ ら れ てい な い 。 か れ の 場 合 は , 収 益 性 の一 貫 とし 七 用 い ら れ る 会 計上 の 利 益 を と りあげ て い る が , 経 済 利 潤economicprofit, 残 余 利 潤residualprofit め 概 念 が 欠 げ てい る。 また, 企業 の経 営 の 繁 栄 を 最 終 目 標 に お く とい うこ とは , 計 量 的 には 企 業 の 成 長 (率) 問 題 に 還 元 さ れ, これ は, 経 済 利 潤 な り残 余 利 潤 と関 連づ け て とら え るべ き であ る と 考え ら れ る29)。 (2) 生 産 性 は 物 的 生 産 性を と りあ げ て お り, そ の背 後 の要 因 と し て, 能 力Kapazitat, 操 業 率Beschaftigungsgrad, 能 率 水 準Leistungsgrad の3 個 の 要 因 があ げ ら れ てい る が, こ れ は 経 営 経 済 的 な 見 地 か ら み れ ば 適 正 と 思わ れ る30)。 し か し , 市 場 に お け る要 素 価 格 と要 素投 入 量 と の概 念 上 の 分 離 と 関 連 が欠 如 し て い るた め , 総 コ ス トさ ら に は 平 均 コ ス トや 限 界 コ ス ト(筆者に と っては 経営の経 済性) と 平 均 ・限 界生 産 性 が 連 結 さ れ て い な い 。 こ の た め , た とえ ば , 生 産 性 と賃 金 決 定 とい う経 営 経 済 上 重 要 な 問 題 を 解 く限 界 分 析 の 体 系 に 欠 け る こ とに な る の で は な い だ ろ うか。(3) 彼 の経 営 の経 済 性は , 本 質 的 に は, 収 益 と 費用 の 関 係 とし て と ら え て い る。 か れ は 収 益 / 費 用 を 経 営 係 数Betriebskoeffizient と名 づ け , さ ら に , 標 準一 実 績 比 較 の方 式 に よ り経 済 性 の 水 準Wirtschaftlichkeitsgrad を 求 め
16
る方 法を提 示し てい る31)
。 し かし , こ の種 の経済性 は, 結局利 益 率の一種で
あ る32)
。 それは, かれ が, 収益性 の項に おい て取扱 ってい る, 総資 本利益率
を 分解し てい るDu-Pont
方式 の売上 利益 率を 成果 係数Erfolgskoeffizientと
名づけ てい る が, 経営 係数 とこ の成 果係 数は 本質的に は 同一 の 結果 とな るか
ら であ る。
(4) 収益 性につい ては, 自己 資 本利益 率 と総資 本利益 率 とを かかげ てい る
が, かれは,
十1
) 収益 性は 全体指 標の一 部に す ぎない が生産性や, 経済性は 収益 性を 決
定 す る第1 次的 要因 であ ると述べ てい る。 こ の見 解は 筆者 も同様 であ るが。
筆 者 の「経済 性」 す なわち, 決定 順次はっ ぎの よ うに 整理す べ きと考えてl
ヽる33)
。十
収益 性一
経済 欧←一 生産 性2
) 収益 性測定 のさい の分子はい うまで もな く利 益であ る。 こ の利 益は外
部的 影響 の強 さに よって変 化す るから, 収益 性 も市場 等の外 部的 影 響を も
っ が, こ の外部的 影響 と内部的 経営 努力 の成果を 確定 す るこ とが必要 であ
ご る とい う34)
。 両 者の計量的 分 離は困 難 であ るが, 収益 性り 利用を 否定す る
こ ととはなら ない とい う。 こ の外 部的 影響 は, 経済的 観 点 からみれば, 生 産
物 の価格お よび要 素価 格,操業 率等 にょ って表示 され る。 これら の要 因は,
収益 性 (取引利益率)・経 済性 (平均コスト)・生 産性段 階におい て, あ る程
度の 分離測定 (必要に応じて精粗の可能性はあるけれど) は 可能 と思われ る。
(3) 筆 者の経営 分析体 系 (企業の経済的「目的」
−「手段」の体系:TKSM )(r>
基 本構 図
犬
筆 者は かね てから経 済的意 思決定 の ため の 目的 一手段 の連 鎖体系を 構築し
てきた。 す なわち, 企業 経営 の経済的 事象 のす べ てを 統 →し た, 経営 経済 の
全体 指標 のシ ステ ムモデルTotalesKennziffersystemmodell
べ 略称・TKSM )
の設 計を 試 みた。 この モデ ルは動 学的 解 釈を 可能 とす る恒等式 の体系を も っ
て まとめた もの であ る が, 企業 の経 済的 行動方 程式 と も対応す るよ う設 計し
た ものであ る。 そ の考えを 要 約す る と
(1) ①残 余利潤 ・② 自己 資本利 益 率・ ③総資 本(産)利 益率 ・ ④経営 資本
( 産)利益 率 の うち のい ず れか1 つを 企 業 目的 とす る ので はな く, 経済的 観点
から企 業 目的を みるならば, そ れぞ れ の指 標は 企業 の立 場 から みて 特有 の意
経営経済学と経営(財務)分析の比較研究17 味を も っ てい る の であ る か ら, こ れ ら の 指 標 を 計 量的 に 関 連 づ け る こ と。 さ らに , 残 余 利 潤 を キ ャ ッシ ュ ・ フ ロ ー ・ プ ロ ブ イッ ト とし て 取 扱 うこ とに よ って, 株 主 の富 , 株 価, 企 業 成 長 率 と 計 量 的 に 関 連 づ け ら れ る。 か く て, 企 業 の総 合 目 標 に 対 し , そ れ ぞ れ の 指 標 ( 複数企業 目的)の 位 置 づ け を 概 念 上 明 ら かに し た こ と35)。 (2) 経 営 資 本 (産)利 益 率は ,Du-Pont シ ス テ ムに し た が い , 売 上 利 益 率 と資 本 ( 産) 回 転 率 に 分 解 せ し め る こ と。 (3) 経 済 性(平均 コスト)は 売 上 利 益 率 の下 位 指 標 と み な す こ と。 (4) 物 的 要 素別 生 産 性 の 概 念 を 導 入し , 平 均 コス ト と資 本 ( 産) 回 転 率 の 下位 指 標 と す るこ と。 し た が っ て, 要 素 別 コ ス トの 背 後 に は 要 素 別 生 息 陸が 存 在 す る こ とを 計 量 的 に 明 ら・か に す る こ と。 さ ら に , 生 息 陸の 背 後 の 事 情 を 大 分類 し , 経 済 的 観 点 から 組 織 論 と の 融 合 を 考 え た こ と36)。(5 )(2)お よ び(3)を 分 解 す る こ と に よ っ て , 市 場 の 価 格要 因 を 分 離 す るこ と が 可 能 と な り, 価 格形 成(たとえば 商品 の価格や賃率決定 )の 背 後 の 事 情 を 明 示 し う る よ うに し た こ と。(6 ) キ ャ ッシ ュ ・ フ ロ ―分 析 と 概 念 上 結 合 す る こ と に よ っ て, 経 済 的 意 思 決定 の さい , 将 来 の 時 間 シ ス テ ム と の関 連 に お い て , 一 連 の 残 余 利 潤 ・収 益 性 ・経 済 性 ・生 産 性 等 の 分 析 が 必要 で あ る こ とを 計量 的 に 明ら か に す る よ う 試 みた 。 以上 の 結果 , 最 初 の 問 題 意 識 に つ い て, 筆 者 な りに , ①企 業 目的 の シ ス テ ム, ② 価 格 ・ 生 産 ・ 投 資 ・ 財 務を 総 合 的 に 分 析 す る こ とを 概 念 上 分 別 す るこ と が 可 能 とな っ た 。 ③ 時 間 シ ス テ ムを 導 入 す る こ とに ょ っ て, 意 思 決 定 の さ い い か な る要 因 を 考え た ら よい かを 明 ら か に で き る0 で は な い か。 ④ こ れ ら の 論理 体 系 に 基 づ い て, 実 際 の会 計 清 報平 生 産 情 報 等 の 実 践 的 評 価 の ため の 分 析 体系 を 形 成 す べ き で は な い か と考 え ら れ る。 以上 の 問 題 意 識 の も とに , そ の 基 本的 構 図 を 示 し た も の が 表z )で あ る37)。 こ の 几表2 ) に お い て 示 さ れ た 基 本 的 構 図 は , 営 利 企 業 に お け る経 営経 済 の 意思 決 定 シ ス テ ム, そ れ に 対 応 す る 経 済的 業 績 評 価 シ ス テ ムを 集 約 的 に 分 類し た も の で あ る。 (4)TKSM に。お げ る 諸 変 数 の 関 連 性 以下 ,( 表2 ) に お け る 「 市 場 価 格」 な ら び に 諸 指 標 (変数)の 計 量 的 関 連
18 4 呑
叫
べ
部
屈
歌
ヘPhX
じ
紅
雀S
班
べ
似
駆
芯
へ
絃
養
回
匡
紅
ダII
辺赳
泄剱
畑佃
へ
嫁
袖
嘔
汰
心
ふ
べn
柊
細
旧
皿
戸ぺ
肺
袖
巡
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CWSMX ︶WM 澱 唄Q ﹁ 疆 脊 ︲ 刄 一 皿 ﹂g 一 拠 切Q 拠 切 削 切9 械 糾 ︵ ` 槨 ︶経営経済学と経営(財務)分析の比較研究 」9 性 に つ い て概 略 説 明を 加 え てお くこ と と す る。(a ) 市 場 価 格 の要 因 企 業 は 諸 種 の 市 場 環 境(そ れが完全市場 であろ うと不完 全市場 であろ うと)に 対 面 し てい る。 企 業 は もろ もろ の 取 引 相 手 と 価 格を 媒 介 とし て 利 害 関 係 が 結 ば れ る。 モ の取 引 相 手 の うち, 生 産 物 の 需 要 者 に 対 し て, 企 業 は 供 給 者 側 の立 場 に 立 つ。 こ の生 産 市 場 に お い て成 立 す る生 産 物 の 価 格( 企業に とっては販売 価 格)は, 需 要 ・ 供 給 の 原 則 に し た が っ て 成 立 す る こ とぱ い う まで も ない が, こ の 価 格 との 対 応 に よ っ て 決 定 さ れ る 生 産 量 ( 販売量) に も と づ い て, 企 業 の 売 上 高 が 決 定 さ れ る。 こ の収 益 は コ ス ト と と も に, 取 引収 益 性 し た がっ て 資 本 収 益 性 を 決 定 す る重 要 な 要 因 であ る こ とぱ い う ま で も な い。 つ ぎ に , 企業 は 一 面 生 産 物 の 供 給 者 で は あ る が, 他 面, 労 働用 役 や 他 企業 の 生 産 物(財貨や用役)の 需 要 者 とし て, 生 産 要 素 とし て の 労 働 ・ 財 ・ サ ービ スを , 雇 用 市 場 や 生 産 市 場 す な わ ち 要 素 市 場 に お い て , 利 潤 を 考 慮 し つ つ 価 格を 媒 介 とし て 需 要 量 を 決定 す る。 こ の 価 格は 生 産 要 素 の価 格あ るい は た ん に 要 素 価 格 とい わ れ る。 こ の 要 素 価 格 と 需 要 量 の 積は , 企 業 内に ス ト ッ クさ れ てい る 間は ,「資 産 丁 あ るい は 「 資 本 」 と 名 づけ ら れ , 資 本収 益 性 決 定 の1 変 数 とな るし , そ れ ら が生 産 の た め 消 費 さ れ れ ば, 総 コ ス トに 転 化 さ れ, 経 済 性(平均 コスト)決 定 の1 変 数 と な る。 以上 の生 産 市 場 や 要 素 市 場り ほ か に , 金 融 市 場 ・資 本 市 場 を と お し て企業 は 資 本 需 要 者 とし て, 資 本 供 給 者 (金 融機関・株主等) と市 場 に お い て 対 面 す る。 そ の さい 成 立 す る 価 格は 利 子 率( 負債利子率あ るい は自己資本利子率「自己 資本ロストに相当」) で あ る。 負 債 利 子 率 を 含 め た 収 益 性 は 自己 資 本 利 益 率 で あ り, 自己 資 本 利 子 率 を 含 め た 指 標 とし て 「 残 余 利 潤 」 が 測 定 さ れ る。 要 約 す れ ば , 市 場 価 格 とい う企 業 と企 業 の外 部 的 要 因 で決 定 さ れ る 価 格 水 準 が, 企 業 経 営 の 内 部 的 要 因 で 決 定 さ れ る 変 数 と か ら ん で, 収 益 性 ・ 経 済 性 のレg ル に 直 接 影 響 を 与 え る とい う事 実 を 理 解し て お く こ と は, 逆 に, 収 益 性 ・経 済 性 から , 価 格 要 因 を 除 去 す る こ とに よ っ て, た とえ ば, 物的 生 産 性 が 導 か れ る こ と が 理 解 さ れ う る こ と を 意 味 す る。(b ) 残 余 利 潤 と 収 益 性( 自己資本利益率) と の 関 連 残 余 利 潤 と 自己 資 本 利 益 率は 独 立 の経 済 事 象 では な い 。 自己 資 本 利 益 率は , 株 主に と っ て の 投 資 利 益 率ROI で あ る ば か り で は な く, 企 業 側 か ら み れば ,
20
株式 等に よる資 本誘因 の指標であ る。し た がって, 市場 で成 立 す る正常 な自
己 資 本利益率normalreturnonequity
(自己資本利子率or 自己資本コスト)
を こえ る自己 資 本利益 率 が期待 され るとき, 企業 は資 本を 誘引 す るこ とがで
き, そ れが期待 どお り実 現さ れれば, 残余利潤 がえら れ るこ と とな る。
い ま, 残余利 潤, 税引 資 本利益 率, 自己 資 本 コストをP
,r。
,礼 とし , 自
己 資 本をE
とす れば, 尽 は 被説 明変 数 とし て,r 。
,E は説 明変 数 とな る。
これを 方程式 または 恒等式 の関 係で示す と, 次式に よってそ の 関 連が示 され
る。
八 =(r 。
一肌)£………… …………
…
…(1.1)
また, 同様に総資本(産)利益率をr, 負債利子率を2 ,期始負債を £,負,
債比率すなわち財務レ バレ ッジをK
=L/E ), 税率を ち とすれば, 周知ひ
ように,つ ぎの方程式(又は恒等式)となる。
ら=( −ち{r 十(r-O 耐
… …(1.2)
また,あ る期始 の株主 がうるキ ャピ タル・ ゲ イン, す なわ ち 株主 の富 の増
加分 ∠1Wバよ, 一定 の 仮定 のもとに, 永久年 金現価 の形態 で, す なわ ち,長
期的 な時 間を 予測し た 基 礎的 な モデル とし て, 非 成長 モ デル(1 。3)式 と成長
モデル(1.4 ) 式を 誘 導す ること ができ る。
(八 は期始株価,瓦 は期始において。
自己資本が一定とい う記号。
)AW
。
=瓦−E 。
=PJ 恥‥……… …… ………… …… … …… ……(1.3 )
∠m ノ
=弓 一馬 =耳( 礼一
(1.4) 式 ぱ利 益留 保に よる成長 の場 合に も, 新株発 行 の場 合に 乱
一 定の・
条 件の もとに該当 す る モデルであ る。 将来 のキ ャッシュ ・ フ ■p2
− の流 れからr
>恥 とい う最初 の予 測を 行った 株主 (旧株主)のみ が, キ ャピ タ ル ・ ゲ イ
ン がえら れ ることを モ デルは 示し て くれる。 このこ とは 増 資に よる場 合,^ 。
が より高 く変化す るか 既 が より低 く変 化し ない限 り新 株主 は キ ャピ タル・
ゲ インを 得 るこ と ができない こ とを 意味し てい る。
以上 の方 程式 もし くは恒 等式体系 の表 現は, 長 期 ・短 期 の利潤や 収益 性ひ
関 係を 極め て抽 象的 ではあ るが, 簡 明直 截に表現し てく れ る。(1.3 )式お よ
び (1.4) 式に おい ては,JW
が 被説 明変数 とな るし , ま た, 瓦 が一 定で
あ れば, こ れら の行動 方 程式におい ては, 株 価 が企業 の 目的 関数を 示 すこと
とな る。
経営 経済学 と経営( 財 務) 分析 の比較 研究21