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高齢者にみられるバウムテストの特徴:GHQとの比較、青年との比較を手がかりとして

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Academic year: 2021

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(1)高齢者にみられるバウムテストの特徴 一GHQとの比較、青年≒の比較を手がかりとして一 学校教育学事嘆 臨床心理学コース.   M09068A   福囲聡子       【問題と日的】. 性を探った。また、加曽利(2004)は、大学生 の神経症傾向やうっ傾向巷どの精神的健康度.  被験者への負担が少なく、比較的簡便であ るため、人格診断のための補助手段として臨 床現場や教育現場などで多く用いられている. の把握にあたり、GHQとバウムテストの関 連性を多変量解析を用いて明らかにした。そ の結果、バウムの特徴は神経症傾向やうつ傾. 投影法に、バウムテストがある。バウムテス トとは、K㏄h(1976)によって体系化された描. 向の有無によって異なり、また、複数のバウ ム指標を多変量的に解釈することが、精神的. 画法である。バウムテストには、被験者が無 意識のうちに感じている基本的な自我像(高. 健康度の予測や、神経症傾向高群間の判別に 有効であることが示された。. 橋・高橋,1986)や、外界との関係などが投影. される。バウムテストは、現在のところ、診 断の補助手段としての有用性が確立されIてい るものの、単独での評価・診断はなされず、 被験者の生活史や他の心理検査とを併せて総 合的に解釈されている。しかしながら、実際 の評価・診断にあたってバウムテストの結果 と他の心理検査の結果とをどのように総合的 に解釈すればよいのかについての具体的な方 法論は、現在のところ十分に確立されている とは言えない。すなわち、現在のところ臨床.  本研究では、高齢者の精神的健康に焦点を あてる。老年期には、身体機能の変化に加え て、老年期特有の心理的変化も起きてくると 考えられている。これまで、高齢者の抑うつ 等、精神的健康を測るためには、質問紙や面 .接などの指標を用いている研究が多く、本邦 では、バウムテストのような投影法を用いた 高齢者の精神的健康についての研究はほとん どみられない。数少ない高齢者の抑うつ感を. SDSとバウムテストを通じて分析した斉藤 ら(1996)の研究では、SDSには反映されない. 現場では、個々の事例に対して、バウムテス トと質問紙法の結果が被験者の異なる側面を. 掬うっ感が、バウムテストでの一「木の縮小」. 表出するという前提のもとに、別個に評価さ. や「形態g不良」や「画面の領域の使えなさ」. れていることが多い。そのため、検査結果間 の矛盾点や、その背景にある要因などについ. として捉えられる可能性が推測されているが、. ては、これまで十分に解釈されてこ.なかった。. そのような事柄について言及するためには、. この点については、高齢者以外の対照群の設 定等が検討課題として挙げられている。. 変量解析の手法を用いて明らかにした研究と.  本研究では、青年群を対照群として、高齢 者の精神的健康を質聞紙法とバウムテストと いう2側面から検討する。このアプローチは、 質問紙津とバウムテストを併用する際、バウ ムテストのより多くの情報から被験者の実像. して、藤田(1989b)がある。藤田は、精神病院. を推測できるという利点をもつだけでなく、. 入院患者を対象として、・質問紙法の下位尺度. バウムテストのみを使用する場合でも、被験. を指標として、バウムの特徴を予測する可能. 者のおおまかな状態を予測するための有効な. バウムテストと他の質問紙法との関連性につ いての定量的研究がまず必要である。  バウムテストと質問紙法との関連性を∵多. 一138■.

(2) 手がかりを与えると考える。. 核分析を行った。その結果、年齢、GHQ得 点の主効果が1%水準で有意であり、青年群.          【方法】. 1.調査対象 高齢者群 ・60代以上の健康な高齢者66人に実施し、. の方が高齢者群より樹冠が高く(F= 211.06,ρ<.01)、GHQ低群の方がGHQ高群 より高かった(ア=7.34,ρく.01)。バウム木の高. さに関しては、年齢の主効果が有意で・あり、. 40人の有効回答が得られた。 青年群. 青年群が高齢者群に比べて、高かった(F=. ・10代後半∼30代の学生51人に実施し、46. 29.34,ρ<.01)。バウムの幹の幅に関しては、. 人の有効回答が得られた。. 年齢の主効果が1%水準で有意であり、青年. 2.調査期間. 群が高齢者群に比べて幹の幅が大かった(F=.  2010年9月∼10月。. 53.82,ρく.01)。. 3.調査内容 ・フェイスシート…性別・年代.  高齢者群における相関分析の結果、GHQ. ・バウムテスト…各自にA4版の画用紙、2B. のr身体的症状」とバウムr空間使用領域0」 との間に有意な負の相関がみられ(7=一.. もしくは4Bの鉛筆1本、消しゴム1個を配. 38,ρく.05)、GHQ合計点とバウム「樹冠の高. 布し、r1本の実のなる木を描いて下さい。」. さ」r樹冠の幅」の間にもそれぞれ有意な負の. と教示した。. 相関がみられた(月一.319,ρく.05、月. ・バウムテスト後の質問紙(QDんへ)の10項目. 一.331,ρく.05)。. のうち、質問1∼4の木や被験者の同一性に.  バウムの空間使用量については、ほとんど. 関する質問項目を実施。. 先行研究と同じ結果となり、「身体的症状」が. ・GHQ30 精神的健康を測る。「一般的疾患 傾向」r身体的症状」r睡眠障害」r社会的活動.  バウム空間使用量に関して、年齢・GHQ. 悪い高齢者ほど、バウム空間0の使用領域が 少ないという結果が得られた♀高齢者にとっ てr身体的症状」が心理面の中核課題になる ことも考えられ、人間の精神的側面と身体的 側面、両側面の関係を明らかにしていくこと の重要性が宗唆される。また、精神的健康の. 得点を要因とする2要因分散分析を行った。. 不良さとバウム各指標との一関連も指摘され、. 空間A使用量については、年齢の主効果が. 精神的健康の内実の広さを伺うことはできた. 1%水準で有意であり、青年群が高齢者群に 比べて空間Aの平均使用量が多かった(ア=. が、具体的な方向性まで言及する場合には、. 23.97,ρ<.01)。空間Bの平均使用量に関して. 床群ではないおおむね健康な者を対象に調査. は、年齢の主効果が1%水準で有意であり、 青年群が高齢者群に比べて平均使用量が多か. を行ったため、先行研究と比較するとGHQ 得点によるバウムの特徴の変化をあまり捉え. った(F=24.00,ρく.01)。空間Dの平均使用量. ることができなかった。一よって、今後は、臨. に関しては、年齢の主効果が5%水準で有意 であり、青年群が高齢者群に比べて、使用量. 床群を対象に調査を行うことの必要性が示唆. 障害」r不安.と気分障害」「希元念慮」という. 下位尺度からなる。        【結果と考察】. が多かった。空間丁の平均使用量に関しては、. 年齢の主効果が1%水準で有意であり、青年 群が高齢者群に比べて平均使用量が多かった. さらなる検討が必要と考える。本研究は、臨. された。また、半構造化面接等を用いた質 的研究を行うことにより、より臨床に役立 つ含蓄に富んだデータを得ることができる と考える。. (F=23.86,ρ〈.01)。バウム樹冠の高さに関し.         主任指導教員 市井雅哉. て、年齢・GHQ得点を要因とする2要因分.           指導教員 市井雅哉. 一139一.

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