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<特別寄稿> 「キャリア在り方生き方教育」の取組から考えられる効果的な人材育成について−初任者と10 年経験者の比較を通して−

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Academic year: 2021

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(1)「キャリア在り方生き方教育」の取組から考えられる効果的な人材育成について. 特別寄稿. 「キャリア在り方生き方教育」の取組から考えられる効果的な人材育成について. −初任者と 10 年経験者の比較を通して−. 川崎市総合教育センター 所長 芹澤 1 はじめに. 成司. では新たな課題に対応することができないこと、時代の. 川崎市は、経験 10 年目未満の教員が半数以上を占め. 変化を見据えて絶えず自己変革し、人間力、授業力を磨. る中、学校運営において 10 年経験者の役割がかつてよ. きながら教員としてしっかりとした足取りで歩んでいく. りも重要になっている。本市では、平成 25 年度に経験. ことが大切であるとしている。具体的には、初任者とし. 年次研修などのライフステージに応じた研修の見直しを. て着任した学校で勤務する期間をステージ1としている。. 行い 10 年経験者研修の充実を図ってきた。また、ここ. 初任者研修では、教員としての基礎的な資質能力を身に. 数年毎年新規採用教員数は 250 名を超えており、教員. 付けるため、勤務校内での研修と勤務校外での講話やグ. の経験年数構成の分布は大幅に変わってきている。その. ループワークなどの研修を基盤に進めている。特に3泊. ため、初任者研修の在り方や各学校における授業力向上. 4日の宿泊研修では、日々の自分の授業を振り返り、班. をはじめとする校内研修の在り方も検討してきている。. に分かれて悩みや気になっていることを話し合うことを. このような中、本年度より新たな取組として「キャリ. 大切にし、このような研修を通して初任者同士で課題を. ア在り方生き方教育」が始まった。本研究では初任者及. 共有し、それを基にめざす子どもたちの姿をイメージし. び 10 年経験者の「キャリア在り方生き方教育」への意. て、明日の授業に向けて自ら学ぶ姿勢を身につけられる. 識や取組の状況を基に、今後の教員育成について考えた. ようにしている。これらにより、教科や教職に関する専. い。. 門的な知識に加え、実践的な指導力やチームで対応する 力などを身に付けることを大切にしている。ステージ1. 2. ライフステージに応じた研修. ではこの他に初任者としての1年を振り返り、自分の課. 川崎市では、平成 23 年度より、ライフステージに応. 題を見つけて実践していく2年目教員研修。教科学習の. じた研修の見直しに取り組み、平成 25 年 3 月に「子ど. 指導に焦点を当てて、 「授業力」を鍛えることを目指す3. もたちとともに、学び続ける教員であるために~ライフ. 年目教員研修がある。. ステージに応じた研修ハンドブック~」を作成した。ハ. ステージ2では教員としての在り方を問い直し、自ら. ンドブックでは、教員自身が、主体的・自発的に学習者. を語る場や互いに語り合う場を大切にしている。自らの. として自己のライフステージに応じた研修の目的をその. 実践を理論に基づいて振り返り、これからの教職生活で. 時々に更新し続けながら学び続けることが大切であると. の課題、学校の課題と自分自身の役割について気づいて. して、今まで行ってきたライフステージに応じた研修を、. いくことを大切にしている。ステージ2の研修により身. 「教員としての土台となる資質能力を身に付ける」ステー ジ1、 「みんなをつなぎ自ら専門性を高める」ステージ2、 「組織と人を育てる力を高める」ステージ3という三つの 視点で整理した。 ステージ1では「教員としての土台となる資質能力」. に付けられた探究心を持ち続ける姿は、学校において同 僚の、そして子どもたちの模範として、学校組織の活性 化につながると考えた。ステージ 2 の期間は、初任者が 転勤し2校目勤務が始まる時から、15 年目経験者研修ま でとしている。. の基盤は、常に学び続けようとする前向きな姿勢である. ステージ2では2校目異動研修、10 年経験者研修、15. として、子どもと一緒に成長しながら「教員になってい. 年目経験研修がある。2校目異動研修は、初めての異動で. く」 ことを川崎市の求める教員像として示している。また、. 戸惑うことの多い教員が初任校での実践を振り返り、さら. それと共に、変化の激しい時代の中で、経験に頼るだけ. に自己を高め、学校の中核的な役割を果たす素地を培うこ. 10.

(2) とを目的としている。10 年経験者研修は校内研修と校外. りを持つ「わたしたちのまち川崎」という 3 つの視点を. 研修からなり、中堅教員として、教員間の調整役等を担い. 柱とした。各学校は各学校の実態に合わせて目標を設定. 学校全体を視野に教育活動を推進していく資質能力を育成. し、今までの教育活動を見直しながら、実践し、この3. することを目的としている。校内研修では、若手の育成も. つの柱に沿って子どもを育てていく取組を行っている。. 視野に入れながら、自分の成長と共に若手の力を引き上げ. 具体的には、学校や地域の特性、子どもたちの実態に. る働きかけをし、校外研修では研修者同士で課題を共有し. 応じて身につけさせたい能力や態度を設定し、10 年後、. ながら、新しい教育の動向や市の施策への理解を深めなが. 20 年後を見据えた教育活動を展開していくことになる。. ら、その成果を校内研修で活かしていくというように校内・. そのためには、特定の活動や指導方法に限定されないで、. 校外での関連性を持たせていく研修の構成となっている。. 様々な教育活動を通して取り組んでいくことが必要にな. 15 年経験者研修は、校内のミドルリーダーとしての役割. る。また、 「キャリア在り方生き方教育」を推進していく. を意識した研修を行い、研修後も教員生活全体を通じて実. ための一つの手立てとして「キャリア在り方生き方ノー. 践力指導力を高め続け、社会の急速な進展の中で、知識・. ト」 を作成し、 小中学校の全児童生徒に配付した。このノー. 技能の絶えざる刷新を進め行けるよう探究心を持って学び. トは学校だけでなく、家庭などでも内容を子どもと一緒. 続ける大切さを確認する。. に話し合い、子どもの理解を深めることができるものに. ステージ3では、教職員一人一人の魅力を引き出し、互. なっている。. いに高め合う創造的な組織をつくる力の向上をめざしてい. また、学校における「キャリア在り方生き方教育」の. る。新任総括教諭研修では、学校運営に積極的に参画する. 推進の手順として、 「学校・子どもの実態把握をする」 、 「教. 姿勢を身に付け、所掌グループの総括及び機能の強化、若. 員同士がめざす子ども像、子どもにつけたい力を話し合. 手の育成、地域との連携などの課題を改善する中核となる. いながら具体的なものにしていく」 、 「発達段階に合わせ. ことを目指している。新任教頭研修、教頭研修、新任校長. た重点目標の設定と指導計画を作成する」ことなどを示. 研修、校長研修では、学校運営のリーダーとして、新しい. している。. 教育の動向を理解し、学校経営のおいて明確な指針を示し、 魅力ある学校づくりができる力の育成をめざしている。. 本年 4 月からの全校での実施を踏まえ、今年度は 7 月 に行われた 10 年経験者研修と 8 月に行われた初任者宿 泊研修において、同じ内容の講演を1時間 30 分行った。. 3. キャリア在り方生き方教育 少子高齢・人口減少社会、グローバル化・情報化の進展、. 4.10 年経験者研修の感想から見えること. 不安定な雇用状況、社会の活力の低下などの社会状況の. 本年 7 月 29 日に行われた 10 年経験者研修では、 「キャ. 変化やコミュニケーション能力の低下、低い自己肯定感、. リア在り方生き方教育~推進にあたって~」という演題で、. 学習意欲の低下、規範意識・他者受容の不足、地域への. 「キャリア在り方生き方教育」担当指導主事による講演を. 誇り・郷土愛等の不足などの子どもの状況の変化などが. 行った。参加者は今年度採用から 11 年目を迎える教員で. ある中、将来成人として大人のなったとき、自分自身に. 小学校 136 名、中学校 49 名、高等学校 5 名、特別支援. 責任を持ち、社会の一員として積極的に生きていく、自. 学校 4 名であった。研修の最後にA5版用紙に書かれた. 立のために必要な力や態度を子どもたちに身につけてい. 感想を 915 のセンテンスに分けて分類し、分析を行った。. く川崎版キャリア教育である「キャリア在り方生き方教. その感想には、「キャリア在り方生き方教育」の取組. 育」の取組が全川崎市立学校で平成 28 年度より始まっ. 方法として、「子どもたちをよく観察してみる。」、「地域. た。 「キャリア在り方生き方教育」を進めていくために、. との交流を通して実態把握に努める。」、「全国学力・学. 学ぶことや様々な体験を通して、自立の主体である自分. 習状況調査の結果を踏まえる。」などの実態把握に関す. 自身に対して自信を持ち、自己を高めていくという「自. る内容、「目標を子どもに明確に伝えることが大切であ. 分をつくる」という視点。互いの人格を尊重し、協力、. る。」、「身につけさせたい力を明確にする。」などの具. 協働して社会を積極的に形成していく力を身につける 「み. 体的な目標設定に関する内容、「教師間で共通認識を持. んな一緒に生きている」という視点。そして、心のより. つ。」、「同僚と情報交換する。」など取組の共有に関する. どころとしてふるさと川崎への愛着を深め、郷土への誇. 内容、「年間計画を作成する。」、「教科のどの部分で行う. 教育デザイン研究 第8号(2017年1月) 11.

(3) 「キャリア在り方生き方教育」の取組から考えられる効果的な人材育成について. か考える。」などの計画的な取組に関する内容などが記. <質問紙の構成>. 載されていた。その他、「具体的な実践方法を考える。」、. ・プロフィール(校種、学年、担任の有無、教科、校内. 「自分に関わる子どもの実態を捉えている。」、「今までの 自分の教育活動の振り返り、深い理解がなされた。」、 「学 校運営の中で自分の役割を果たす。」、「めざす子ども像. での役割等) ・日頃の教育活動の中で心がけていること(問1~問 18). を持っている。」、 「取り組む上での課題を持っている。」. ・勤務校での研修について. 等に分類された。. ・自分の「キャリア在り方生き方教育」の取組状況(問. また、この研修の以前に学校独自の研修を受けた教員 は「改めてキャリア在り方生き方教育の意義を考える機. 18 ~問 32) <分析方法>. 会となった。」等の感想を述べ、「キャリア在り方生き方. 講演や 10 年経験者研修の講演の感想で示された「キャ. 教育」の取組方法についての理解がより深まり、10 年. リア在り方生き方教育」の取組のポイントである「児童. 経験者研修における講演を聴いて、「学年会でより具体. 生徒の実態把握に関わる質問(問 19、問 20) 」 、 「具体的. 的な話をしていかなくてはならないと思った。」等のよ. な目標設定に関わる質問(問 21、問 22) 」 、 「教員の共通. うに自分が何をやらなければならないかを明確に考える. 理解に関わる質問(問 23、問 24) 」 、 「計画的な実施に関. ようになっている。. わる質問(問 25、問 26) 」の4つの合計を「取組方法理. さらに、学校における研修で指導主事など外部講師を. 解」を測る指標とした。. 招聘した研修を受けた教員は、取組方法だけでなく、 「子. また、「キャリア在り方生き方教育」の3つの柱につ. どもたちに自分自身が生き方を話せるようにすることが. いての理解について、「自分をつくる」については問 6、. 大切だ。」、「効果について子どもの姿を基に検証してい. 問 8 の合計(以下、「自立」とする。)、「みんな一緒に. く意識を持って取り組むことが大切だと思った。」等、. 生きている」については問 7,問 9 の合計(以下、「共. 今までを振り返り、自分の教員としての生き方や取組の. 生」とする。)、 「わたしたちのまち川崎」については問 2,. 具体的な方向性を自分なりに考えるなど気づきを講演か. 問 5 の合計(以下、「地域」とする)とした。これら3. ら得ていた。. つの合計を「キャリア在り方生き方教育」の目的を理解. また、小学校と中学校の教員の感想を比較してみると、 小学校教員の方が、「学校全体、みんなで作る意識が大 切。」、「学年、若手教員に内容を伝えたい。」等、学校や 学年での共有化を大切にしている傾向が強い。一方中学. しているかを測る指標「目的理解」とした。 この 2 つの指標と、各質問項目との相関係数を表した のが表1である。 また、この研修以前に、勤務校が研究校であったり、. 校教員は、「進路指導の中でどう実践していくか。」、「学. 勤務校で担当指導主事などの外部講師を招聘して研修を. 校・家庭・地域との連携を教育会議などで図っていきた. 行った学校に所属している教員を研修「あり」、それ以. い。」等のように具体的な取組内容を考え、それと共に「教. 外を研修「なし」とした。. 育相談で自分の将来に不安を感じているという声があっ. <結果>. た。」、「人間関係が不足している面もあるが、他人の思. 「取組方法理解」と「目的理解」の相関係数は全体で. いに接したいと思っている子どもが多い。」というよう. 0.3539、初任者 0.3068、10 年経験者 0.4346 -と相関. に具体的な生徒の実態を捉えた感想が多かった。. は弱いが、初任者と 10 年経験者では差があった。 また、 「目的理解」指標は問1~問 18 までの「日々の. 5.質問紙調査について. 教育活動の中で心がけているもの」の中にあり、そのこ. 7 月 29 日の 10 年経験者研修と 8 月 3 日に初任者研. とから問 1 から問 18 までの質問項目では、 「目的理解」. 修において実施された「キャリア在り方生き方教育~. 指標との相関の方が「取組方法理解」指標との相関より. 推進にあたって」の講演を聴いた後、9 月 16 日~ 9 月. も高い傾向にある。逆に、問 19 から問 32 までは「取組. 26 日に小中学校の初任者及び 10 年経験者に、質問紙. 方法理解」指標との相関の方が、 「目的理解」指標との. 調査を行った。回答者数は初任者 168 名(210 名中)、. 相関よりも高い傾向がある。この中で、 「キャリア在り. 10 年経験者 132 名(185 名中)であった。. 方生き方教育」の3つの柱「自立」 、 「共生」 、 「地域」に. 12.

(4) 日頃の教育活動の中で心がけていること. キャリア在り方生き方教育の取組状況. 教育デザイン研究 第8号(2017年1月) 13.

(5) 「キャリア在り方生き方教育」の取組から考えられる効果的な人材育成について. ついて比較してみると、 「共生」が残りの2つよりも低い。. している初任者は、10 年経験者よりも次の項目につい. このことから、今後「共生」すなわち「みんな一緒に生. て高い傾向がある。. きている」に係る取組に注目していく必要があると考え. ・子ども達に振り返りができるように作品にコメント等. られる。 次に、初任者と 10 年経験者を比較してみると、 「キャ リア在り方生き方教育」の目的を理解している 10 年経 験者は、初任者よりも次の項目について高い傾向があ る。なお、(※)は研修があればその傾向がより強ま. をていねいに書いて返却している。(※) ・子ども達が振り返る場面を大切にしている。(※) ・何気ない言葉かけを大切にしている。(※) 次に、「キャリア在り方生き方教育」の取組方法を理 解している 10 年経験者は、初任者よりも次の項目にお. ることを表している。. いて高い傾向にある。. ・育てたい子ども像を持っている。(※). ・子ども達の記録を残すことを大切にしている。. ・子ども達にどんな力を身につけたら良いかをよく考え. ・学校や学年でめざす子ども像を明確にして「キャリア. ている。(※) ・他の先生の良いところを積極的に学びたいと考えてい る。 ・学校間連携の必要を感じている。(※) ・自分の仕事の意味や価値を考えている。(※) そして「キャリア在り方生き方教育」の取組方法を理 解している 10 年経験者は、初任者よりも体験活動を大 切にしている傾向がある。 また、「キャリア在り方生き方教育の取組方法を理解. 14. 在り方生き方教育」に取り組んでいる。(※) ・「キャリア在り方生き方教育」まで手が回らないと考 えている人は少ない。(※) また、「キャリア在り方生き方教育」の取組方法を理解 している初任者は、10 年経験者よりも次の項目にお いて高い傾向がある。 ・ 「キャリア在り方生き方ノート」の使い方を考えている。 (※) ・初任者研修での「キャリア在り方生き方教育」の講演.

(6) 内容を職場で話している。. 研修まで見通しを持って行うために、ライフステージ. また、「キャリア在り方生き方教育」の目的を理解し. に応じた研修の見直しを行った。. ている 10 年経験者は、初任者よりも次の項目において. 今年4月から取組が始まった「キャリア在り方生き. 高い傾向がある。. 方教育」は子ども達をどのように育てていくかだけで. ・実態把握を大切にしている。(※). なく、教員としての在り方や生き方が問われるもので. ・わかりやすくねらいや目標を子ども達に話す。(※). あり、この取組の中で、教員としての力量を高め、子. そして、「キャリア在り方生き方教育」の取組方法を. ども達の健やかな成長を支えていくことが川崎の教員. 理解している 10 年経験者は自分の役割の中で、学校全. として求められることであると考えている。平成 27. 体で「キャリア在り方生き方教育」を推進しようとする. 年度より第2次川崎市教育振興基本計画「かわさき教. 傾向があり、それは目的を理解している 10 年経験者に. 育プラン」の取組が始まっている。その基本施策の一. も同様な傾向がある。そして、研修「あり」ならばその. 番目に掲げられているのが「人間としての在り方生き. 傾向がより強くなる。. 方の軸をつくる」であり「キャリア在り方生き方教育」 の推進である。. <考察>. 今回の研究で、「キャリア在り方生き方教育」の意. 10 年経験者は、「キャリア在り方生き方教育」の取. 義や取組方法を理解している 10 年経験者は、自分の. 組方法や目的を理解することによって、育てたい子ど. 役割の中で、学校全体でこの取組を推進していこうと. も像、学校間連携の必要性、体験活動を取り入れるこ. いう姿勢を見せていることがわかった。また、各学校. となど今までの自分の経験を生かして「キャリア在り. 独自で研修を行い、その後校外での研修を行うことに. 方生き方教育」を進めようとする傾向がある。また、. より、より取組についての具体的なイメージを持つこ. 初任者は、採用されて半年も満たないことから、初任. とができ、それが「キャリア在り方生き方教育」の推. 者研修における授業づくりの研修の中で学んだ作品へ. 進にもつながることもわかった。それは 10 年経験者. コメント書いて返却すること、振り返りや言葉かけを. 研修の目的である中堅教員として、教員間の調整役等. 大切にしている姿を見ることができた。特に「キャリ. を担い学校全体を視野に教育活動を推進していく資質. ア在り方生き方教育」への取組については、初任者は. 能力の育成にも合致している。このようにして育った. 「キャリア在り方生き方ノート」の活用を考えているこ. 10 年経験者が中堅教員として、今後「キャリア在り. と。10 年経験者は、学校のどのような場面でどう具体. 方生き方教育」の推進の大きな力になると考えること. 的に実践していくかを考えていることがうかがえる。. ができる。その際には、各学校における OJT と総合. また、学校で研修を行っているかどうかは初任者への. 教育センター主催の校外研修を連動させることによっ. 影響はあまり見られないが、10 年経験者は学校の研修. て、より効果的に川崎市がめざす人材育成がなされる. を受けた後にこの講演を聴いた教員は、より取り組み方. ことが考えられる。全校での「キャリア在り方生き方. 法を具体的に明確にしている傾向がある。これは学校に. 教育」の取組は始まってまだ5ヶ月足らずであり、 「取. おける研修と学校外での研修をうまく組み合わせること. 組方法理解」と「目的理解」の相関係数を見ても、取. によって研修の効果が表れることを示している。特に. 組の目的と実践のつながりが不十分なのは当然のこと. 「キャリア在り方生き方教育」まで手が回らないと考え. であると考えられる。しかしながら、10 年経験者が. る 10 年経験者は学校で研修を受けていればより少なく. 教員として 10 年間の実践を積み上げ、この新しい取. なり、自分の実践の中で効果的に「キャリア在り方生き. 組に向かおうとする姿勢は、本市の教育を限りなく発. 方教育」を進めていくという傾向が見られる。. 展させる礎になると感じることができた。今後も教員 をどのように育てていくかという具体的な目標を大切. 6.まとめ 冒頭にも書いたが、本市は教員経験 10 年未満者が. にして、今後も教員育成と「キャリア在り方生き方教 育」の推進に取り組んでいきたい。. 全体の半数を占め、10 年経験者が学校運営の中核を 担っている。その中で、初任者研修から 10 年経験者. 教育デザイン研究 第8号(2017年1月) 15.

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