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ディジタル教材製作支援システムにおける教材調整モデルの構築に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)ディジタル教材製作支援システムにおける教材調整モデルの構築に関する研究.      特別支援教育学専攻心身障害コース.             M08113E 渡邊竜太 I.問題と目的. 1I.方法.  近年、発達障害者を対象としたコンピュータ活用. 1.対象:自閉症と診断されている7歳男子、小学. 研究が増加している。それに伴い、文章や画像、動. 校2年生、特別支援学級在籍. 画、音声・音楽等を電子化し、コンピュータ等で扱. Tab1e1対象児A発達検査(生活年齢7歳2ヵ月). うことのできる教材であるディジタル教材の開発も. 領域. 発達年齢. 発達指数. 近年増加しており、その期待は大きい。. 認知・適応. 6歳. 83.  障害児に対する教材は個に応じたものが必要であ. 言語・社会. 5歳10ヵ月. 81. る(文部科学省、2003)。しかし、ディジタル教材は. 全領域. 5歳11ヵ月. 83. 個に応じたものにするために、製作・調整が必要で. 2.調査手続き. あるにも関わらず、それについて考慮されているも. A.実態把握:対象児の実態把握のために保護者、. のがなく、実際の指導場面に導入することが困難で. 担任に対して行動観察シート及びインタビュー、ア. ある(東原、1997)(成田、1998)。実際に児童生徒と. ンケートを実施した口. 関わりのある教師が個々の障害特性や教育内容に応. B.ディジタル教材の設計及び調整:実態を基にデ. じたディジタル教材を製作、調整することが望まれ. ィジタル教材の設計書の作成。設計書は保護者、専. るが、教師にかかる負担は大きく、現実的には困難. 門家等の意見を基に5度にわたり調整した。. である。そこで、小川(2007)は発達障害者を対象と. C.ディジタル教材の製作:調整済みの設計書を基. したディジタル教材の製作支援環境を提案している。. にディジタル教材を製作し、その後改善点、調整点. 小川は認知面における発達段階を学習者モデルで表. を話し合い修正を加え完成させた。. 現し、システム内に学習者モデルを搭載する事でデ. D.ディジタル教材使用後の調整1教材を使用後に. ィジタル教材の製作支援を実現している。. 教材使用の様子及び保護者、対象児へのアンケート、.  しかし、教材を実際に児童生徒に使用する際は、. インタビューを基に調整を行った。. 教材を一度使用しその後修正・調整を行うことで初. 皿.結果. めて使用可能になるが、現行のシステムでは修正・.  ディジタル教材の設計、製作、使用と3段階の調. 調整について考慮されていないため、教育場面等で. 整を実施した。調整した内容のうち、代表的なもの. 使用するのが困難である(小川、2007)。. を以下に示す。.  以上の背景から、指導者が想定する児童生徒の特. 1.デ.イシタル教材設計段階. 性に合わせてディジタル教材を調整する行為をコン. ・選抵肢り週数 Aは一度に多くの選択肢を提示し. ピュータに近似的に表現したものを教材調整モデル. た場合に混乱する傾向があるため、Ver1.0では選択. と呼び、モデルに基づきディジタル教材の調整を支. 肢の数が3つであったが、Ver1.1では選択肢の数を. 援するシステムの構築を目指している。. 2個に設定した。.  本研究ではシステム構築の第一段階として、1名. ・ゲーム要素の追加:Ver1.Oではゲーム要素が無か. の自閉症児を対象としたディジタル教材の設計、製. ったが、Aはゲームを好むので、Ver111では教材の. 作、使用する過程で、指導者がディジタル教材を調. 中の課題にゲームの要素を追加した。. 整するプロセスを観察・分析し、調整行為に関する. ・教盤韮迦Aは普段学習を行う際、. 概念を抽出することを目的とする。. 勉強後に褒美を与えることで学習に対して集中力が. 一224一.

(2) 持続したため、Ver1.1では褒美としてAが好きな動. る。以上の三つの分類項目を基準に詳細な調整要素. 画をエンディングに用意した。. の分類を行った。以下、分類した結果をTabIe2に. ・主人公の立場:Ver1.0では主人公が上級生に注意. 示す。. やアドバイスを受け行動が変化していくというスト.        Tab1e2分類結果. ーリーを作成していたが、アドバイスを受けるより. 認. 数. 知. に. ●. 関. はA自身が相手にアドバイスすることを好む傾向が あるため、Ver1.1では主人公が下級生の指導を行う. 理 解. す. 時計を画面に表示・選択肢の個数・時計の表 矛の変更・時計の削除・画面上のアイコンの 個数. ・文字の表記方法の変更:Aは習得している漢字の. に 関. 語数が少ないため、Ver1.4では未習得の漢字を平仮. す. 文字の表記方法の変更・画面に表示される情 報量の減少・選択肢の表示方法の変更・文字 の表現方法の変更・ディジタル教材では表現 できない点の変更. 内. 主人公の性別の設定・主人公の見た目の変. 文 字. 設定に変更した。. 名、カタカナに変更した。. モ チ. 発. べ. 的. ・文主鍵変更ディジタル教材で「黙る」. ソ. 機. ヨ. 付. 等の表現が困難であったためVer2.0ではディジタ. ン. け. 2.ディジタル教材製作段階. 動. ル教材に合わせた表現に変更した。. 3.ディジタル教材使用段階. 外 発 的 動. ・課題のボタンの変更:Aは課題2ではキャラクタ ーを直接操作することで理解が進んだため、課題1,. 機 付. 3についても直接操作できるように変更する必要が. け. 加・バックに流れる音楽の変更・主人公の服 の選択の削除・褒美のゲーム数の増加・時間 制限を削除・獲得点数の幅の変更・間にラン ダム要素の追加・課題の繰り返し・褒美の追. ある。. .箆;凶変更第二の. 課題で操作するキャラクターが4人いて、そのすべ. てを操作することはAにとって困難であったため、 登場キャラクターの数を3人に変更する必要がある。. 更・バックに好きな音楽・課題の個数・ゲー ム要素の追加・登場キャラクターの変更・主 人公の立場・文章の表現方法の変更・課題の タイトル表示の設定・登場キャラクターの見 た目の変更・ゲーム内容の変更・主人公の性 別の変更・難易度の変更 課題クリア時の点数の導入・教材終了後の褒 美の追加・得点を画面に表示・選択肢の難易 度・否定的要素の排除・時間制限の設定・選 沢の繰り返し・褒美の内容の変更・獲得点数 による褒美の変更・課題終了後の声がけの追. カロ・ポイントの幅の変更 操 作. 性. 1V.考察. 操 作 性 の 向. 上. 操作の簡略化・操作にタッチパネルの追加・ 課題のボタンの変更・アイコンの大きさの変 更・第2の課題のキャラクターの人数の変更・ 操作に使用するタッチペンの変更・持ち運ぴ.  ディジタル教材の調整で抽出された要素の分類を 行った。最初に操作性に関する調整を分類項目とし. V.終章. て設定した。牧野(2003)は、コンピュータ操作が不.  本研究では、ディジタル教材製作支援システムに. 慣れな学習者に対しては、豊富な機能性よりシンブ. おける教材調整モデルの構築のため調整の要素を抽. ルな操作のほうが重要であると述べている。. 出した。調整を行うことで対象児の行動にある程度.  次に認知・理解に関する調整を分類項目として設. の変容が見られたため効果があることがわかった。. 定した。小川(2007)はディジタル教材を使用するに. しかし、調整に関わる要素の抽出を一人の対象児の. は認知・理解に関する調整を行う必要があると述べ. みで行ったため今後今回のディジタル教材を他の児. ている。. 童生徒に適応させることで調整要素の抽出、調整要.  最後にモチベーション(動機づけ)に関する調整を. 素の洗練がされる他、モデルの汎用性が向上される. 分類項目として設定した。奥野・納富(2007)は、自. と予測される。そして、モデルの構築にいたること. 閉症児に対してコンピュータ活用した支援は、自閉. ができなかったため、今後さらに要素の追加、分類. 症児の注意が持続されるだけではなく、動機づけに. を行うことでモデルの構築を行う必要がある。. もなり、さらには学習効果が促されると報告してい 主任指導教員 鳥越 隆 士. 指導教員筒野実用柁 _225一.

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