決算手続における一試案 : 間接整理法と間接仕訳法の統一的説明
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(2) 118 (118. 横浜経営研究. リ. 第 21 巻. 第 1 , 2 号 (2000). 計算勘定に振替え ,その総額を損益勘定に振. 必要とするものだけではなく ,それを必要とし. 替える方法. な い 期中に費用・. な間接仕訳 法 が採られる理由は ,同 種の費用・収益が 多数存在する 場合,それらを 個別に損益勘定に 振替えたのでは ( すなわち, 直接仕訳 法 では ), 損益勘定面が 複雑になるた め ,それを避け損益勘定の一覧,性を 高めるため であ る. したがって,その 観点からは,同種の 費用・収益が 少数であ る場合はさして 有効では なく, またそれらが 一つであ る場合はその 効果 この ょう. を 発揮しないこととなる. ここで注意を 要するのは,集計される 費用・ 収益は,決算整理 (期間費用・ aX 益の修正 ) を 設. Ⅰ. Wx 益 として処理されていたも. のをも含んでいる 点であ る.すなわち ,集計さ れる費用・収益には 二種類のものがあ ることに さらに,間接仕訳法を 採った場合,決算整理 を 必要とするものについて. 決算整理手続にお い. て 整理仕訳が単独で 示されることになるが ,. れはあ くまでも主たる 目的ではなく ,集計とい ぅ主,目的を行った 結果にすぎないとされる. 以下で「整理法」と「仕訳 法 」について, 費 用の場合をとり 上- げ設 例を示しておく. なお, 1. が「整理法」の 例であ り,. 2 ∼ 4. が「仕訳 法. 例. 費用の見越の 場合 利息、の末弘 が写 1,000あ った. (1) 直接整理法 ①。決算整理手続, ② [損益振替手続 ] (借 ) (2) 間接整理法 ① [決算整理手続」 (借 ) ②,損益振替手続,(借 ) 2. 仕訳なし. 益. 1,000 (貸 ) 支払利息、 1,000. 支払 利烏 、 損 益. 1,000 (貸 ) 末弘利息、 1,000 1,000 (貸 ) 支払利息 1,000. 損. 修正を必要とする 同種の費用が - っ の場合 売掛金について ¥ 1,300 の貸倒れを見積もった. (1) 直接仕訳 法 ①。決算整理手続, 仕訳なし ② [損益振替手続 ] (借 ) 損 益 (2) 間接仕訳 法 ①。決算整理手続, (借 ) 貸 御引 当損 ② [損益振替手続 ] (借 ) 損 益 3. こ. 1,300 (貸 ) 貸倒 引当金. 1,300. 1,300 (貸 ) 貸倒 引当金 1,300 1,300 (貸 ) 實例引出 損 1,300. 修正を必要とする 同種の費用が 複数の場合 建物,機械について ,それぞれ芋 5,000, 芋 2,000の減価償却を 行った (直接控除法による ). (1) 直接仕訳 法 仕訳なし ① [決算整理手続, 7,000 (貸 建 物 5,000 益 @) [損益振替手続 ] (借 ) 損 機 械 2,000 (2) 間接仕訳 法 ①。決算整理手続 ] (借 ) 減価償却 費 7,000 (貸 ) 建 物 5,000 機 械 2,000 の 。損益振替手続 ] (借 ) 損 益 7 、 000 (貸 ) 減価償却 費 7,000 Ⅰ. 」.
(3) 決算手続における. 一 試案. (泉. (119) 119. 宏之 ). (3) 説明のため間接仕訳法を 分解した処理 ① ② ③. 建物減価償却 費 5,000 (貸 ) 建 (借 Ⅰ機械減価償却 費 2,000 (貸 ) 機 (借 ) 減価償却 費 7,000 (貸 ) 建物減価償却 機械減価償却 ④ (借 ) 損 益 7,000 (貸 ) 減価償却. 4. (借 ). 5,000 2,000 費 5,000 費 2,000 費 7,000. 物 械. 修正を必要としない 同種の費用が 複数の場合 各仕入勘定の 残高は, A 商品仕人¥ 4,000, B 商品仕入¥ 3,000, C 商品仕入 辛 2,500であ った (期首およ び期末の棚 卸 商品はなかったとする ). (1) 直接仕訳 法 仕訳なし ① [決算整理手続 ] 益 9,500 (借 ) A 商品仕入 4,000 ② [損益振替手続 ] (借 ) 損 B 商品仕人 3,000 C 商品仕人 2,500 (2) 間接仕訳 法 人 9,500 (借 ) A 商品仕入 4,000 ① [決算整理手続 ] (借 ) 仕 B 商品仕人 3,000 C 商品仕人. ② [損益振替手続 ] (借 ) 損. 益 9,500 (借 ) 仕. の例であ る. Ⅱ. 間接仕訳法の 本質と問題点、. 理 2. 4. 虹W︵. 22. 2. ︶︶. (2) ①は「整理」ではあ るが「集計」には 関係なく,また4 (2) ①は 「集計」であ るが「整理」には 関係ない. すな んでいるものの ,. 間接仕訳法の 本質. 32. (2) ①は,両方の性格を含. 3. 整. 百︵︵. このように,. わち,仕訳の,性格からすると 間接仕訳 法 による と説明される 仕訳には姉種類のものがあ ること がわかる. これらは次のようにまとめることが できる.. 有無. なる.. 入 9,500. 集計. 先の設例の 2 (2), 3 (2), 4 (2) で 示 したのが,間接仕訳法の 処理であ り,それぞれ の①の仕訳は 決算整理手続として 行われる. これらの仕訳の 意味するところを 考えてみる と ,そこには二つの,性格が内在していると 思わ れる・一 つは 「整理」 (期間費用・収益の 修正 ) であ り,他の一つは ( 同種の費用・ 収益の ) 「集計」であ る.このことは, 3 (2) を分解 した 3 (3) をみれば明らかであ る. 3 ( 回 ①・②は「整理」のための 仕訳であ り,③は 「集計」のための 仕訳であ る ". この三つの 仕 訳を合併し一 つ にしたのが 3 (2) ①の仕訳と. 2,500. ( 主たる目的 ). は「集計」 であ り,本来的には 3 (2) ① , 4 (2) ①に かかわるものであ るのに,処理の統一性という 観点から 2 (2) ①の仕訳も行われ ,「整理」 としての性格はあ るものの「集計」の 性格のな いものまでをも 含めて間接仕訳 法によ る処理と して説明されているのであ る. ここで注意しなければならないのは ,これら. の間接仕訳 法 としての仕訳が ,決算整理手続と して行われる 点であ る.一般に決算整理事項と.
(4) 120 (120. 横浜経営研究. り. 第 21 巻. 第 1 . 2 号 (2000). されるのは,棚卸表に 記載される期間費用・ 収 益の修正であ る・ しかし,損益振替 (手続 ) に. 先立ち費用,収益の集計を行. う. とすれば,本稿. の冒頭で示したような 簿記一巡の手続では 決算 整理手続として 行わざるを得ない.つまり , 決. 算 整理手続は,期間費用・ mx益の修正以覚の 単 なる集計をも 含んでいるということになる (4. (2) ① ). もしも,それを避けるのであ れば, 決算整理手続と 損益振替手続との 間になんらか の 集計手続という 区分を設けるか ,損益振替手 続を損益振替仕訳に 限定せず,それに先立っ集 計のための仕訳をも 含めたものとして 解さなく てはならないであ ろう. Ⅳ. 一つの見解. ところで,間接仕訳法の 本質を「集計」であ るとする立場からは ,次のような見解がなされ ることとがあ る.. 間接仕訳法を 採ると,決算整理を 必要とする 項目についてはその 内容を仕訳の 上に表わすこ とができるため 説明しやすい.. したがって , 多. くの簿記 書 ではこの処理方法により 説明されて いるものの,そこでは 直接仕訳 法は ついては 一. 切言及していないため ,間接仕訳法の 本質が, さらには決算整理手続において 行われる仕訳の 本質が「集計」にあ ることが見失われていると いうのであ る.このことはとりわけ ,決算整理 事項として同種の 費用・収益が 一つしかないよ 6 な場合 ( 設 例 2 (2)) について指摘される・ なぜなら,そこで行われる仕訳には「集計」と いう性格は存在していないからであ る・ たしかに,当初考えられていた 簿記の処理方 法の説明としては「仕訳 法 」はこのように 理解 しかし, しなければならないものかもしれない・ 他の簿記処理 (理論 ) との整合性を 考えたとき, 間接仕訳 法 として説明されてきた 決算整理手続 においての仕訳を , 他の観点から 見直してみる. ことも可能なのではないだろうか.それは ,現 在説明されている 簿記手続についての 説明理論 として成り立つようにも 思われるのであ. る・. V. 試案. 間接仕訳 法 と間接整理法は , ともに決算整理 手続として仕訳処理が 必要となる点は 同様であ るが,手続的には ,間接仕訳法は決算時点のみ の 処理であ るのに対して ,間接整理法の場合に は,決算のみならず 翌期首に再振替手続を 必要 としており, ここに相違があ る よう にも見受け られる.. しかし,損益勘定の 一覧性を高めるために 間 接 仕訳 法 が採られるのであ れば,同様の問題は 残高勘定についても 生じるであ ろう.その場合, 間接仕訳法は 残高振替に関しても 適用され得る 処理方法ということができる ". 仮に,資産, 負債,資本について残高振替手続に 先立ち同種 0 項目を集計するという 手続を採った 場合には, 集計された勘定科目のまま 翌期に繰越されるた め,間接整理法の場合と同様に 翌期首に再振替 手続を行い個々の 勘定に繰越高を 記入する必要 が 生じるのであ る。).. したがって,簿記手続的には , 再 振替手続の. 有無をもって 間接仕訳 法 と間接整理法を 区別す ることは必ずしも 妥当であ るとは言い難い. では,間接仕訳法 ( とくに,決算整理手続と して行われている 間接仕訳 法 と呼ばれる仕訳 ) を, どのように説明することが 可能であ り,そ れに基づく各処理の 分類はいかになるのであ ろ うか.すでに 指摘したように ,その仕訳は「集 計」の他に「整理」としての 性格を有するもの であ った.その「整理」という ,性格からの説明. が考えられる.このことは ,以下に示すように 他の二つの簿記処理. (理論 ). と整合性をもつこ. とになる.. 一つ目として ,残高振替との整合性があ げら れる.前述のように ,勘定面の一覧性を 求める ための集計という 処理は,損益勘定に限ったも のではなく,理論的には 残高勘定についてもい えることであ る. しかし,残高振替については そのような処理は 説明されていない・ 沼田教授 に よ れば,それは実際上 (実務的に ) は資産・.
(5) 決算手続における 一 試案. (泉. (121) 121. 宏之 ). 負債・資本の 勘定については 補助元帳 が用い ら れ 統制勘定によって 集計がなされるためとされ る引 .だが,統制勘定は 費用・収益の 勘定にっ. 統一的に説明することも 可能なのではないだ る. いても設けることが 可能であ る.統制勘定によ 一覧性を確保することができるのであ れば, 極論ではあ るが,決算手続としての 集計という と 自体が問題とならなくなるであ ろう,そう なった場合には ,決算整理手続で行われる仕訳 を 「集計」以覚の 観点から説明することが 必要 になり,それをなし得るのは,「整理」という 観点からの説明であ ると思われる. 二つ目は,「整理法」との整合性であ る.「仕 調法」と「整理法」は ,それぞれ直接法と 間接 法 の二つの処理方法があ るため,理論的には 四. うか .そう することに よ り,決算整理手続にお いて ,決算整理のために行われる仕訳 と ,決算 整理ではないが 行われているそれ 以外の (集計 のための ) 仕訳とが区別 (分類 ) され,期間費 用 ・収益の修正という 決算整理の本質も 明らか にされることになる.前節に示めした「集計」 に 焦点をあ てた「仕訳 法 」の解釈に基づく「 仕 調法」と「整理法」の 従来の区別に 変え,「整 理 」に焦点をあ てた区別とその 説明が,本稿で 提示する試案であ る.なお,従来までの 区別と 試案としての 区別をまとめると ,図1 のように. り. 理事項について 行われる整理仕訳を ,期間費 用 ・収益の修正であ る「整理」という. 観点から,. っ 0 組合わせが考えられる. しかし,これらの. ち,直接法と 間接 法 との組合わせは 通常触れ られることがなく ,直接仕訳法 と直接整理法, 間接仕訳 法 と間接整理法の 組合わせが考えられ ている.これは,なぜなのであろうか. う. 沼田教授は「整理法」について ,「理論的に は 決算整理はそれ 自体独立した 手続であ り,こ れを帳 簿決算手続 (損益振替手続… 泉注 ) に ょ って代用すべきではない.この 点からみても 間 接 整理法が理論的処理方法であ. る」. " と 述べ. ている・これは ,「仕訳法 」についても ,「集計」 ではなく「整理」の 観点から見れば 同様のこと が いえる ・また,大藪教授も ,直接仕訳法おょ び 直接整理法は ,簡便法,実務的処理法である としている 引 ・すなわち,間接法 が理論的・ 原 則 的な処理方法であ り,直接法は 実務的・簡便 的な処理方法というように ,「仕訳法 」と「 整 理法」のそれぞれの 間接 法 と直接法とが 同一の 視点から位置付けられているのであ る・ここに, 間接 法 と直接法との 組合わせが考えられない 理 以上のように ,決算整理手続において 決算盤 図. 区別について 触れている簿記 書は見 受けられるが ,「仕訳法 」を説明している 簿記 書 は 少ない.「仕訳法 」の説明を行っている 論者と しては,沼田嘉穂教授,大藪俊哉教授をあ げる ことができる. 両 教授とも,「仕訳法 」を損益 振 替 にかかわる処理方法としている 点では同様で あ る. また,安平昭二教授も「仕訳 法 」を説明 しているが,それは商品勘定の処理 (総記 法 ) に 限られており ,その内容は先の二人の教授と は 異なっていると 考えられる. 沼田嘉穂 著 『簿記論及 ] 中央経済社, 1961 年, 118 頁参照. 「整理法」の. 大藪俊哉 著 『簿記論議 [1 Ⅲ中央経済社, 1971 年 , 43 頁参照. 安平昭二苦『簿記詳論く 二 訂版ノ ] 同文箱 , 1992 年, 5 頁参照. なお,沼田教授は 著書により「仕訳 法 」の対象 となる勘定が 若干異なっていると 考えられる. この点については ,以下ですでに検討を行って いる,. を中心にして 一 」『合計 年. ]. 第 154 巻第 5 号, 1998. I. 来ノ. 間接整理法. ". 1). 拙稿「沼田簿記における 決算手続一間接仕訳 法. 由 があ ると思われる.. く従. 注. …Ⅰ. 決算整理手続 1 2 3 4. く試. 案ノ. 損益整理 それ以外の決算整理事項 (一 つ ) それ以外の決算整理事項 (複数 ) 集計. 決算整理以外.
(6) 122 (122). 横浜経営研究. 第 21 巻. 第1. .. 2 号 (2000). していただきたい.. (3) ①・②のような 減価償却 費を分けた仕訳は 行われない ( 間遠った処理で. - つは ,「決算整理」を 期間費用・収益の 修正に. あ る ) ことになる.. 刻本稿で用いる 用語については ,次のニ点を 注意. からは, 設 例 3. 限定して用いており ,その結果,「決算整理手続」. り沼田嘉穂 著 ,前掲書 , 119 頁参照.. と「決算整理」とを 区別している. なぜなら. 沼田嘉穂監修・ 大藪俊哉 著 「簿記教室」国元書 房, 1971 年,沼田および 大藪発言, 14 頁参照. 5) この集計の手続は 主要簿に行われるものであ り, 財務諸表作成のための 帳 簿を離れた 組 替手続と して行われるものではない. 6) 沼田嘉穂 著 ,前掲書 , 119 頁参照. 補助元帳 および統制勘定の 利用は費用,収益に も 可能であ るとすれば,残高振替について 一覧 性を高めるための 集計という処理が 説明されな い理由は,私見によれば 簿記理論的には ,大陸 式 簿記法の残高勘定と 英米 式 簿記法の繰越試算 表との内容の 一致 ( その必要性の 是非は不明で. 「決算整理手続」においては「決算整理」以覚に かかわる処理もなされていると 考えるからであ る 他の - っは ,「整理仕訳」を上記の「決算整理」 のための仕訳と 限定して用いていることであ る -.般 的には,「整理仕訳」は「決算整理手続」と. して行われるすべての 仕訳とされているようで あ るが,上記との 関係でこのように 用いること とする.. なお,沼田教授および 大藪教授は,間接仕訳法 を整理仕訳 法 とも呼んでいる.本稿では 混乱を 避けるために ,この呼称は 用いない. 沼田嘉穂 著 ,前掲書 , 118 頁参照. 大藪俊哉 著 ,前掲書 , 43 頁参照.. 3) 間接仕訳法の 本質が「集計」にあ るという立場. あ るが ) に求めるしかないように. 思われる.. 力 沼田嘉穂 著 ,前掲書 , 117 頁.. 8) 大藪俊哉編著「簿記テキスト。 中央経済社, 2000 年,はしがき 2 頁参照. ( いず め ひろゆき. 横浜国立大学経営学部助教授. ゴ.
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