中小企 業における女性役 員の地位 形成 に関す る研 究
川
上
善
郎
Case
Study
on Woman
executives
in Small - and
Medium
-
sized companies
in Japan.
Yoshiro KAWAKAMI
Small - and medium - sized companies ocuupy a significant position in the Japanese economy. But there is little information about woman employees especially about woman executives in small - and medium- sized companies. The purpose of this paper is to study some cases of woman executive directors in small- and medium- sized companies and to analyze them on the following four points: 1) How woman executive directors got the present positions. 2) Whether the power which they have in thier company is strong or not. 3) How they formed a relation to thier associates or thier subordinates. 4) Whether being "woman" executive director was merit or demerit
, for them to work in thier company. Total 19 cases were collected by interview method using semi - structured interviews of two to five hours in length. Following items were interviewed: thier life styles, personal histories, and thier attitudes towards business activities and work.
Of 19 cases, 6 subjects were founder's relatives (founder's wives were 5 cases among 6), and 5 were co - founders of company. In most of these 11 cases, they got the present position since the company was founded, 8 were promoted to the present position from lower position in thier company ( 5 cases required less than 10 years to get the present
position since they started to work there).
There were many differences in attitudes towards business and way of work among 19 cases. They can be divided into two groups. One group took an important role in manage-ment. Most of subjects in this group were founder's relatives or co - founders. They exceeded in personnel management. Another took a relatively small roll in management. People in this group were seemed to work as middle class manager rather than executive director, but they had a speciality and a lot of ability in their own job. The power which the former group had formed were chiefly caused by thier president, and the power of the latter one were caused by thier own speciality and ability. In both cases their relationship
to the president played very important roles to perform their jobs in their company.
脚 注 本 研 究 に用 い た デ ー タの 全 て は,国 際 女性 学 会 の 中 小 企業 研 究 グル ー プ に所 属 す る もの で あ る。 中小 企 業 研 究会 の メ ンバ ー は,原 ひ ろ子 氏 を代 表 者 と して, 岩 男 寿美 子,村 松 安 子,青 木孝 子,佐 藤洋 子,織 田 由紀 子,菅 原真 理 子,南 千 恵,広 中和 歌 子,斎 藤 真 理,茂 呂田七 穗,武 藤敦 子 の 諸 氏 と川上 善 郎 で ある 。 デ ー タの 利 用 を快 く許 して くだ さ った メ ンバ ー の 皆 様 に深 く感謝 す る。 一56一
1.は じ め に わ が 国 の 中小 企 業 は,雇 用 吸 収 力 と い う点 で 非 常 に重 要 な 位 置 を占め る。 事 業 所 統 計 に よ る と,民 営事 業 所 の 雇 用 者 総 数 の うち 中小 企 業(注1)に 雇 用 され て い る の は,常 用 雇 用 で は,76.9%,臨 時 日雇 で は,87.2%に の ぼ る(注2)。 ま た,会 社 企 業 数 に お い て も従 業 員 規 模100人 未 満 の会 社 企 業 数 は,会 社 企 業 総 数 の 実 に96.9%を 占め て い るの で あ る(注 3)。 この よ うに,雇 用 者 数,会 社 企 業 数 に お い て 多 数 を 占め て い る に もか か わ らず,中 小 企 業 をめ ぐる イ メー ジ は,固 定 的 に捉 え ら れ る傾 向 に あ る。中 村 秀 一 郎 は,「 中小 企 業 とい え ば,遅 れ た もの,弱 き もの,不 安 定 な もの, 或 は,過 当競 争 に 明 け暮 れ,大 企 業 に よ っ て 一 方 的 に収 奪 さ れ る もの と見 なす 論 議 は,一 貫 して跡 を絶 た ず,今 で も多 くの 人 々 の 中 小 企 業 イ メー ジ を支 配 して い る の で あ る 」 と述 べ る。 わ が 国 の経 済 構 造 に お い て 中小 企 業 の 占め る割 合 は高 い に も関 わ らず,そ の役 割 を 過 小 に 評価 した り,或 は,一 面 的,固 定 的 な 観 点 か ら とらえ よ うとす る傾 向 が これ まで に み られ た 。 しか し,近 年 に な って,中 小 企 業 を 一 面 的 に と ぢ え るの で は な く,よ り積 極 的 ・ 多面 的 に捉 え な けれ ば な ら な い とい う反 省 が 起 こ っ て きた 。 た とえ ば,昭 和61年 度 の 中小 企 業 白書 に お い て も,「① 中小 企 業 は,活 発 な 開 ・廃 業,規 模 移 動 を続 け て い る一 方,小 回 り性 ・機 動 性 を 強 み と して い る等 大 企 業 に な い動 的側 面 を持 って い る こ ど,② 中小 企 業 は, 製 造 業 にお い て,大 企 業 と と もに下 請 け分 業 構 造 を形 成 す る こ とに よ り,わ が 国産 業 の 基 盤 を支 え て い る こ と,③ 中小 企 業 は,わ が 国 の雇 用 創 出 に お い て も きわ め て大 き な役 割 を 果 た し て い る こ とな どの 点 で,中 小 企 業 の 持 つ 活 力 が,わ が 国経 済発 展 の 一 つ の 大 きな 原 動 力 とな っ て い る… … 」 と指 摘 す る。 女 性 労 働 力 の 全 労 働 力 に 占め る 割 合 は, 年 々確 実 に上 昇 し て い る。 昭 和50年 に は32.0 表 一1中 小 企 業 の 女 性 有 業 者 ・雇 用 者 数(産 業 別) 内 女性 計の内 男女計 女 性計 中小企業 中小 比率 有業者総数 ... 22805 17752* 77.8% 自営業主 2994 2994* 100.0 家族従業者 4804 4804* 100.0 雇用者 42454 14999 9955* 66.4 内 臨 時 日雇 6695 4610 3450* ,・ 産業別*a 建設業 4293 604 519 85.9 製造業 12008 4159 3113 ,; 卸売小売業 8820 .. 2679 69.0 金融保 険+ 不動産業 1982 918 247 26.7 運輸通信業 3392 401 167 41.6 サ ー ビ ス業 ;.. III, ;.. 42:8 (単 位 千 人) 資 料 出所:昭 和57年 就 業 構 造 基 本 統 計 調 査 よ り *印 の も の は,従 業 者 規模1∼299人 。他 は,産 業 別 に 基 準 *a産 業 は 主 要 な も の の み %で あ っ た の が 昭 和60年 に は,35.9%に 増 加 して い る 。 この 中 で,中 小 企 業 が 果 た して い る役 割 は 男性 よ りやや 低 い。 しか し,女 性 の 全 雇 用 者 の う ち66.4%,ま た,臨 時 日雇 で は, 74.8%が,中 小 企 業 に雇 用 され て い るの で あ る(表 一1)。 女 性 に お い て も男 性 と同 様,中 小 企 業 の雇 用 吸 収 力 は 高 い もの が あ る。 昭 和61年 度 に は,雇 用機 会 均 等 法 が 成 立 し た が,職 業 生 活 の 多様 な 局 面 で 男 女格 差 の 存 在 は,早 くか ら問題 と され 指 摘 さ れ て きた と こ ろ で あ る。 と くに,管 理 職 へ の 昇 進 に 関 し て は,遅 れ が 目だ つ と言 われ る 。 女 性 が 昇 進 しな い 背 景 に関 して は,「女 性 自身 の 能 力 や 意 欲 の 欠 如 を指 摘 す る もの,雇 用 者 か ら の 差 別 的 処 遇 や,無 理 解 を上 げ る もの 」 に集 約 され る と い う(愛 知 県 婦 人 労 働 サ ー ビ ス セ ン タ
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殆 ど成 さ れ て い な い の が実 状 で あ り,特 に 中 小 企 業 に 関 して は全 く成 され て い な い と言 っ て よ い。 一57一労 働 省 の 行 っ て い る女 子 労 働 者 の 雇 用 管 理 に関 す る調 査 か らみ る と,表 一2に 示 す よ う に,女 性 役 職 者 の い る企 業 数 は,39.2%と か な りの 高 率 で あ り,企 業 規 模 が大 き い ほ どそ の 割 合 は高 くな る。 表一2女 子役職者の いる企業数 の割合 女 る 実際に女子のい る役職 子 企 役 業 部 よ 部 課 係 そ 職 者 が 長 り 相 上 当 位 長相 長相 長相 の い 職 当 当 当 他 1000人 以 上 58.7 2.5 3.6 30.1 48.5 15.3 300∼999人 ,.. 4.0 2.7 23.7 39.2 30.4 100∼299人 43.9 2.0 6.9 23.0 :・ 29.2 30∼99人 36.3 6.2 5.4 22.8 41.5 24.1 労働省:昭 和56年度女 子労働者の雇用管理に関す る調 査 よ り(数 字 は%を 示す) しか し,女 性 従 業 員 数 か らみ る と,女 性 管 理 職 者 の割 合 は 非 常 に低 い 。 東 京 都 の行 っ た 東 京 の婦 人 労 働 事 情 調 査 に よ る と,従 業 貝 規 模300人 以 上 の場 合 調 査 対 象 企 業 の 女 性 従 業 員 総 数26,430名 に た い し,管 理 職 者 は,104 名,割 合 に す る と,0.4%に す ぎ な い の で あ る。 ま た,300人 未 満 の場 合 は,女 性 従 業 員 総 数13,621名 に た い し,205名,1.5%と 規 模 の 大 きい もの よ りは割 合 は 高 い が い ず れ に して も,絶 対 数 が 少 な い。 労 働 省 の デ ー タ に示 さ れ る よ うに,4割 近 くの 企 業 が女 性 の 管 理 職 者 をお いて は い るが,女 性 雇 用 者 の 割 合 か ら 言 う とご く少 数 の 管 理 職 者 しか存 在 して い な い の で あ る(注4)。 ま た,女 性 役 職 者 の い る 企 業 で も,大 多数 は,係 長 相 当 が大 部 分 で あ り,部 長相 当職 以 上 の地 位 に 女 性 をお い て い る 企業 数 は ご くご く限 られ て い る の で あ る。 2.目 的 と方 法 中小 企 業 は,大 企 業 に くらべ 柔 軟 な組 織 構 造 を持 ち,女 性 能 力 の 活 用 に お い て も,女 性 の 昇進 にお い て も積 極 的 な企 業 を そ の 中 に含 み こん で い る可 能 性 が あ る。 また,大 企 業 に 比べ 中小 企 業 は,多 様 性 に 富 ん で お り,女 性 の 地位 形 成 に 関 し て も大 企 業 に比 べ 多 様 なパ ター ンが 存 在 して い る は ず で あ る。 中小 企 業 研 究 は,女 性 の役 員 就 任 へ の 多様 なケ ー ス を 我 々 に示 す 可 能 性 が 高 い。 また,女 性 役 員 の 地 位 形 成 の ため の促 進 条 件,抑 制 条 件 を豊 富 に我 々 に示 す 可 能 性 が あ る と考 え られ る の で あ る。 さ らに また,女 性 管理 職 者,特 に,課 長 以 下 の 職 位 へ の 昇 進 の可 能 性 は大 企 業 中 小 企 業 を問 わ ず,こ れ か ら高 くな っ て い くこ とが予 想 され る。 しか し経 営 陣 の 一 角 を 占め る役 員 へ の 昇 進 は,管 理 職 者 へ の 昇 進 と同 じ メ カ ニ ズ ム なの か 。 も し,違 う と した な らば,ど の 様 な 要 件 が 昇 進 に必 要 な の か 。 い か な るプ ロ セ ス で 可 能 な の か 。 そ れ は,中 小 企 業 の 特 質 と ど う関 わ っ て くる の か,こ れ らの点 を 明 ら か に す る こ とは,今 後 の働 く女 性 の上 位 職 位 へ の進 出 の 可 能 性 を知 る上 で 重 要 な こ とで あ る。 こ の よ うな 点 を明 らか に す る た め に,本 研 究 は,中 小 企 業 に 働 く女 性 役 員 に つ い て, 下 記 に 示 す よ うな 面 接 調 査 を行 い,こ れ らの 事 例 か ら,中 小 企 業 に お け る女 性 役 員 へ の地 位 形 成 の 特 徴 を明 らか に し よ う とす る も の で あ る 。 本 研 究 に 用 い ら れ た デ ー タ は,1980年10 月 一1983年9月 に か け て 集 め られ た デ ー タ で あ る。 デ ー タ の収 集 に 関 して は,一 括 して 注 と して ま とめ る(注5)。 女 性 経 営 者,女 性 管 理 職 者 の デ ー タ と して 集 め られ た95名 の もの を職 務 上 の 地 位 に 基づ き再 分 類 した。 代 表 取 締 役 社 長 を社 長 群 と し,取 締 役 の 肩 書 を持 つ もの を役 員 と し,そ れ 以 下 を管 理 職 者 と して 分 類 した の で あ る。 これ らの うち,役 員 に所 属 す る19名 の デ ー タ を本 研 究 の 基 本 デ ー タ と し た。 これ らの 基 本 デ ー タ は,半 構 造 化 され た面 接 手 引書 を も とに して,面 接 者1名,面 接 補 一58一
助 者1名 に よ っ て,面 接 法 に よ っ て調 査 さ れ た。 質 問 紙 調 査 法 と こ とな り,対 象 者 の 所 属 す る 企 業 の 基 本 属 性,お よび 個 人 の 基 本 属 性 に 関 して の み 調 査 項 目が 予 め 決 め られ て い る。 そ の他 の事 項 に付 い て は,大 枠 の み が 与 え られ,対 象 者 との面 接 の 過 程 で適 宜 調 査 され た。(注6) 面接 に要 した 時 間 は,面 接 対 象 者 に よ っ て 異 な るが,短 い 人 で1.5時 間,長 い 人 で5時 間 ほ ど か か っ た。 面 接 結 果 は,す べ て,テ ー プ に録 音 され,そ の 内容 は,後 日フ ィー ル ド ノー トへ 一 字 一 句 間違 い な く転 記 され た。 本 研 究 は,19名 の 対 象 者 の フ ィー ル ドノー トと 関 連 資 料(新 聞 記 事,会 社 案 内,ア ポ イ ン ト 迄 の 記 録 等)を 基 本 デ ー タ と して分 析 した も の で あ る。 これ らの19名 のデー タは,必 ず しも統 計 的 に 意 味 の あ るデー タ とはい えな い。 社 会 調 査 デー タ とい う視 点 か らみ れば,全 くナ ンセ ンス と い って もよい。 しか し,本 研 究 が 目的 とす るの は, 中小 企 業 全 般 の女 性 役 員 の地 位 形 成 を マ ク ロ に捉 え よ う とす る もの で は な い 。 あ く まで も, 中小 企 業 の 多様 な 女 性 役 員 の 地位 形 成 の プ ロ セ ス を事 例 的 に 捉 え る こ とで あ る。 逆 に い う と,こ れ 以 外 に も,多 様 な地 位 形 成 の プ ロ セ ス は,あ り うる こ とを認 め た上 で 地 位 形成 の パ ター ン を発 見 す る こ とで あ る。 具 体 的 に は,基 本 デ ー タ に付 い て,次 の 諸 点 に付 い て 分 析 を行 っ た。 第1に.,対 象 と な っ た19名 の 役 員 の就 任 ま で の プ ロセ ス に つ いて 述 べ る。 ど の様 な き っ か け で 入 社 し,ど の よ うな功 績 を挙 げ て 現 在 の 地 位 を形 成 した の か を明 らか にす る。 第2に,女 性 役 員 の 働 きぶ りにつ い て 述 べ る。 役 員 と し て い か な る権 限 が 与 え られ て い る の か 。 こ の 権 限 に 力 を与 え て い る も の は,役 員 自 身 に備 わ っ た 力 なの か 。 あ るい は, それ 以外 の 要 因 に よ る もの なの か を 明 らか に す る。 第3に,部 下,同 僚 との 人 間 関係 で あ る。 会 社 内 で,役 員 ポ ス トは数 少 な い 重 要 な 地 位 で あ る 。部 下 の掌 握,女 性 部 下 の活 用, 部 下 へ の 権 限 の 委 譲 な ど女 性 役 員 の 人 間 関 係 を中 心 に そ の働 きぶ りを明 らか にす る。 第4に,「 女 性 」 と して の 厂役 員 」に つ い て 分 析 す る。 す な わ ち,女 性 で 役 員 で あ る た め に,外 部 の 人 間 か ら様 々 な 不 快 な経 験 を与 え られ た り,ま た,逆 に,女 性 で あ る こ と に よ る メ リ ッ トも あ っ た に 違 い な い。 女 性 の 職 業 上 で の利 益,不 利 益 に付 い て分 析 す る。 3.就 任 の プ ロセ ス 19名 の 面 接 対 象 者 は 入 社 後 どの よ うな径 路 で 現 在 の 地位 に就 任 した の か 。 現 社 に入 社 し 長 期 勤 続 後,経 験 や 能 力 を評 価 され 役 員 に 抜 擢 され た の か 。 あ るい は,特 殊 な才 能 を 買 わ れ て他 社 か ら ひ きぬ か れ 最 初 か ら現 在 の 地 位 に就 い た の か 。 あ る い は,親 族 が創 業 し,そ の 際,設 立 の 一 員 と して役 員 に名 を連 ね た の か 。 こ こで は,ど の 様 な きっ か け で こ の会 社 と つ な が りを もっ た の か,入 社 して か ら,ど の よ うな理 由 で役 員 に抜 擢 さ れ る に い た っ た の か を分 析 す る 。 19名 の 役 員 に つ い て,入 社 して か ら,現 在 の地 位 に就 くまで の 年 数 か ら分 類 して み る。 入 社 後11年 以 上 た っ て役 貝 に な っ た もの は, 19名 中3名,6年 以 上10年 は,5名,5年 以 下 は,11名 で あ る。 この よ う に,入 社 して か ら就 任 ま で の 年 数 は,全 体 的 にみ て短'L>ケー ス が 多 い 。 中 小 企 業 の役 員 ポ ス トは,コ ツ コ ツ 勤 め 上 げ て 就 任 す る もの で は な い とい え る。 長 い 間勤 め た か ら役 員 に なれ る の で は な く, 役 員 に な れ る人 は 入社 して,早 い 時期 に就 任 し て い る の で あ る。 この 点 が,管 理 職 者 と大 き く違 う(注7)。 ま ず,入 社5年 以 下 の11人 に つ い て み る。 11人 の う ち,2名 は創 業 者 の娘 。3名 は,夫 と と もに 創 業 し,か つ 夫 が社 長 。1名 は,実 兄 と とも に創 業 で あ る。 以 上6人 は,血 縁 や 姻 戚 に も とつ くも の で あ る 。 残 りの5人 は, 一59一
現 社 長 と と も に創 業 ・設 立 に参 加 した もの で あ る 。 こ の よ うに,入 社 か ら役 員 就 任 まで の 期 間 が 短 い 理 由 は,一 つ に は,血 縁 ・姻 戚 関 係 に 基 づ い て い る 点,一 つ に は,共 同創 業 者 が 多 い こ とで あ る。 一 方 入 社6年 以 上 の8人 は ,い わ ば,内 部 昇 進 型 で あ る。 細 か く分 類 す る な らば15年 以 上 の 長 期 勤 続 昇 進 型 と,短 期 勤 続 昇 進 型 とに わ け られ よ う。 この 分 類 に従 って19名 の 役 員 の役 員 就 任 ま で の 経 歴 と企 業 内 の キ ャ リア ー を描 き,そ の な か か ら役 員 就 任 の 背 景 を分 析 す る。 先 ず 入 社5年 以 下 の11人 につ い て み る。 初 め に親 族(血 縁 ・姻 戚)に よ る グ ル ー プ で あ る。 紳 士 服 製 造 業 のEさ ん は,兄 夫 婦 と と もに 昭 和22年 に創 業,兄25歳,彼 女 が17歳 の と き で あ る。 昭 和24年 に会 社 組 織 にす る。 当 初 よ り,取 締 役 と して 販 売 の 第1線 で 活 躍 。22歳 で 営 業 部 長 に就 任 し以 降20年 営 業 一 筋 で あ っ た と言 う。 昭和49年 組 合 の結 成 に あ た り総 務 部 長 。 一 段 落 した 翌 年 に は,営 業 ・総 務 統 括 部 長 と な る。 ワ イ シ ャ ツ の 製 造 か らは じま り 現 在 で は,ヤ ン グ カ ジ ュ ア ル の 総 合 メー カー へ と変 身 した 。 商 業 デ ザ イ ン 業 のGさ ん は,ア メ リカ留 学 中 に知 り合 っ た 現在 の 夫 と と もに,33歳 の と き共 同創 業 し,取 締 役 に な る。 経 理 ・総 務 の 一 切 の仕 事 と レイ ア ウ トの仕 事 もて が けて い る。 夫 の 基 本 方 針 は,「 や りた い こ とをや る。 嫌 な仕 事 はや らな い 。 そ の か わ りや る と きは, い い もの を だ す 。 頭 を下 げ て 仕 事 を させ て い た だ い て い る とい うの は嫌 だ 」 とい う もの で あ り,拡 大 志 向 を も たず,規 模 を一 定 にす る こ と を心 が け て い る と言 う。 書 籍 卸 売 業 のDさ ん は,彼 女 の 前 職 の つ な が りか ら,学 校 関 連 書 籍 卸 売 業 を,夫 と もに 創 業 し,翌 年 会 社 を設 立 す る。32歳 の 時 で あ る。 設 立 か ら4-5年 は,従 業 員 も少 な く困 難 の極 に あ っ た とい う。 しか し,営 業 政 策 の ユ ニ ー ク さが か わ れ,あ る 時期 か ら拡 大 の 一 途 を た ど る。.社長(夫)は 営 業 を担 当 し,彼 女 は取 締 役 管 理 室 長 で あ る。 管 理 室 で は,営 業 以 外 の 一 切 を担 当 し,彼 女 に い わせ る と「会 社 の 台所 」 で あ る とい う。 ギ フ トシ ョ ップ 経 営 の1さ ん は,夫 の会 社 の 倒 産 を契 機 に,ア クセ サ リー小 物 を扱 う店 を オー プ ン させ る。36歳 の と きで あ る。 彼 女 の 企 画 に 基づ き時 代 を先 取 り した 品 ぞ ろ えで オ イ ル シ ョッ ク を も物 と もせ ず に 発 展 し店 舗 数21を 誇 って い る。 取 締 役 商 品 統 括 マ ネ ー ジ ヤー で あ る。 時 計 製 造 業 のNさ ん 。 父 親 が創 業 。 昭和39 年22歳 の と き母 親 が 死 亡 。 以 後 経 理 担 当 で 経 営 に参 加 。 翌 年 父 死 亡 。 夫 が社 長 に就 任 。31 歳 の と き夫 と離 婚 。 経 理 士 の知 人 を名 目的 に 社 長 と して 迎 え る。 財 務,営 業 を担 当 して い る。 ス イ ミン グス クー ル 業 のSさ ん 。 幼 稚 園 を 経 営 す る母 親 が 昭 和42年 に始 め た 企 業 で あ る 。 兄 が 専 務,彼 女 は常 務 取 締 役 で あ る。24歳 ア メ リカ遊 学 後 経 営 に参 加 。 総 務,企 画 の 仕 事9 をお こ な い ユ ニ ー クな 企 画 を事 業 につ け くわ え た。 出産 に と もな い 総 務 関係 も実 兄 が お こ な い,現 在 で は企 画 の み 担 当。 出 産 後 は 仕 事 を続 け るか ど うか,は っ き り しな い とい う。 次 に,入 社 して か ら役 員 就 任 まで の 年 数 が 短 い グ ル ー プ の 中 で親 族 に よ らな い共 同創 業 の 例 を み る 。 研 修 サ ー ビス 業 のBさ ん は,42歳 の 時,仲 間5人 と と もに 創 業 す る。 設 立 か ら4年 間 は, 非 常 勤 役 員 で か か わ り,46歳 の 時 常 務 取 締 役 とな る。 女 子能 力 開 発 部 長 を兼 任 し,企 業 の 女 子 の 研 修 を お こ な っ た 。 事 業 の 拡 大 に と も な い56歳 に は,女 子 能 力 開 発 部 長 の ポ ス トを 後 輩 の 女 性 に ゆ ず り,現 在 は,新 商 品 の 企 画 開 発 お よび 営 業 を中 心 に して い る 。 旅 行 代 理 業 のJさ ん は,ユ ニ ー クな キ ャ リ ア ー を もつ 。 典 型 的 な,親 族 会 社 で あ っ た 当 ・1
社 は,親 族 間の ご た ごた に よ り,経 営 が悪 化 。 Jさ ん の 昔 か らの友 人(女 性)が,再 建 を昭 和52年 に依 頼 さ れ る。Jさ ん は,10数 年 に わ た る 中 国 で の経 験 をか わ れ 専 務 取 締 役 と し て 入 社 。41歳 の 時 で あ る。 中 国 で の 経 験 が 有 力 な 武 器 に な っ た とは い え,旅 行 代 理業 は 勿 論, 商 売 と い う もの に全 くの 素 人 で あ っ た 。 人 材 派 遣 業 のKさ ん は,国 際 線 ス チ ュ ワ ー デ ス 退 職 後,ス チ ュ ワー デ スOGで 創 業 さ れ た 企 業 に所 属 。 そ こか ら昭和51年 現 社 長(女 性)と2人 で独 立 し現 社 設 立 。 当初 よ り取 締 役 営 業 部 長 で あ る。 営 業 の ノ ウハ ウ は,前 社 で 培 っ て きた 。 現 在 順 調 に伸 び て い る。 こ れ らの2つ の ケ ー ス は,と も に女 性 社 長 で あ る。 ミニ シ ン ク タ ン ク業 のRさ ん は,前 職(出 版)で 企 画 室 次 長 で あ っ た と き,社 外 委 員 で あ っ た現 社 長 とで あ う。 現 社 長 が 昭 和56年 情 報 産 業 へ の 進 出 の た め に シ ン ク タ ン ク をは じ め る。 当 社 設 立 に あた っ て,前 職 で の 経 験 と, 人 脈 の 広 さ を か わ れ,取 締 役 企 画 担 当 と し て 引 き抜 か れ る設 立 に参 加 。31歳 で あ る 。 設 立 して か ら1年 未 満 で あ り,企 業 と して の 成 長 は こ れ か らで あ る。 ス イ ミン グ ク ラブ 業 のPさ ん は,前 職(自 動 車 販 売 会 社)の 上 司 と と も に 当社 設 立 に参 加 。 販 売 会 社 で の 趣 味 の ス イ ミン グ ク ラブ 活 動 を発 展 させ,事 業 と して独 立 す る こ とを 現 社 長 が 中心 に な っ て企 画 す る。 この た め,彼 女 が26歳 の と き昭 和47年 当 社 設 立,取 締 役就 任 。 設 立 当 初 は,彼 女 だ けが 専 従 で は た ら き, 他 の メ ジバ ー は,他 に 仕 事 を も って い た と い う。 会 員 制 の ス イ ミン グ クラ ブ で あ る が専 用 の プ ー ル を もた ず 会 員600-1000名 の 規 模 で あ っ た 。 彼 女 の 献 身 的 な努 力 に よ り現 在 は, 都 心 に専 用 施 設 を もち 会 員 数13000名 以 上 と い わ れ て い る 。 つ ぎ に,入 社6年 以 上 して 役 員 に 内 部 か ら 昇 進 し た8人 につ い て述 べ よ う。 これ らの8 人 の う ち5人 は,10年 以 下 で あ っ た 。 短 期 昇 進 型 で あ る。 婦 人 服 製 造 業 の0さ ん は,23歳 の と き大 手 の 紳 士 服 製 造 業 に 限 界 を感 じ,友 人 の 紹 介 で 当社 の先 代 社 長 に採 用 され る 。 入 社2年 で チ ー フ デ ザ イナ ー,29歳 に は,デ ザ イ ン部 長,31歳 で 取 締 役 企 画統 括 本 部 長 に就 任 す る。 入 社 後8年 で あ る。 入社 時 に は,34 名 しか い な か っ た社 員 が 現 在 で は,300名 以 上 と急 成 長 を遂 げ る。 デ ザ イ ン部 長 当時 は,デ ザ イ ン以 外 に,営 業 も扱 っ て い た が,現 在 で は,組 織 拡 充 の た め 営 業 統 括 本 部 が で き営 業 に は,タ ッチ で き な くな っ て い る とい う。 タオ ル 卸 売 業 のQさ ん は,前 職 か ら23歳 の と き入 社 。 翌 年 企 画 室 長 。32歳 の と き常 務 取 締 役 就 任 。 入 社 後9年 で あ る。 設 立 か ら ま だ 日の 浅 い 当社 は企 画 力 の あ る女 性 を も とめ て い た。 従 来 の タ オ ル 卸 売 業 の イ メー ジか ら脱 皮 す る た め に女 性 の発 想 を必 要 と して い た と い う。 彼 女 が 通 っ て い た デ ィ ス プ レ イの 専 門 学 校 の理 事 長 を通 して 社 長 に紹 介 され 入 社 。 事 務 用 品 輸 入 業 のMさ ん は,30歳 入 社 。38歳 で取 締 役 に就 任 す る。 前 職 も,事 務 用 品 の 輸 入 業 を営 む 会 社 で あ っ たが,そ こで の上 司 が 現 在 の 社 長(女 性)で あ る 。現 社 長 は,前 の 会 社 の 営 業 権 を引 き継 ぐよ うな 形 で 実 弟2人 と と も に会 社 設 立 。 既 に退 職 し家 庭 に入 っ て い たMさ ん に も現 社 長 か ら声 が か か り,設 立 メ ンバ ー の ひ と り とな る。 当初 は子 育 て の 関 係 で フ レ ッ クス タ イ ム で 勤 め て い た が,現 在 で は フ ル タイ ム で あ る。 経 理 を任 され て い る。 電 子 部 品 貿 易 業 のHさ ん は,31歳 入 社,39 歳 の と き取 締 役 経 理 部 長 とな る 。 学 生 時 代 英 会 話 教 室 で 現 社 長 と知 り合 い,さ ら に社 長 の 兄 が 彼 女 の 弟 と大 学 の 先 輩 後 輩 の 関 係 で あ り 家 族 同 様 の つ き合 いで あ っ た 。 現 社 長 が 前 職 か ら独 立 し当社 を設 立 す る に あ た っ て,こ の よ う な関 係 か ら設 立 の メ ンバ ー の ひ と り とな る。 初 年 度 は仕 事 も少 な く週 に1-2回 の 出 勤 で あ っ た 。 翌 年 か ら本 格 的 に業 務 が始 ま る。 経 理 を まか され て い る。 規模 の 拡 大 に と もな い 組 織 整 備 をお こ な っ た とき に取 締 役 経 理 部 長 とな る。 一61一
社 会 保 険 労 務 士 事 務 所 のAさ ん は,昭 和25 年28歳 の と き知 人 の紹 介 で 入 社 。 入 社 後10年 で 取 締 役 に就 任 。 中小 企 業 の 労 務 管 理 相 談, 労 務 事 務 の 代 行 で あ る。 入社 以 前 に は これ と い っ た知 識 が な く,入 社 して か ら,「男性 の3 倍 ぐ らい勉 強 した 」 とい う。 表 一3就 任 プ ロセ ス の タ イ プ 就 任 プ ロセ ス 人数 特 徴 親 族(血 縁 ・姻 戚) 6 最 初 か ら役 貝 とい うケ ー ス が 多 い 共 同創業 5 特殊 な能力 と出会 いが必要 短期勤続昇進型 5 コネ が な くと も昇 進 が 可 能 と言 う こ と を示 す 。 特 殊 な能 力 が 必要 長期勤続昇進 型 3 ケ ー ス 数 が 少 な い。 地 道 な努 力 が 必 要 つ ぎ に,長 期 勤 続 昇 進 型 で あ る。事 業 協 同 組 合 の 常 務 理 事 で あ るFさ ん は,勤 続18年 で こ の地 位 につ く。 港 湾 事 業 を お こ な って い る 中小 企 業 が 商 工 組 合 中 央 金 庫 か ら借 入 れ の た め に設 立 し た もの で あ り,組 合 員 企 業 に金 融 の 仲 介 をお こ な う。 こ の ほ か に,港 湾 事 業 も 行 っ て い る。 組 合 設 立 直 後 に 知 人 の紹 介 で20 歳 の と きに 入 社 す る。 理 事 長,専 務 理 事 は, 組 合 員 企 業 の 社 長 が 兼 務 して お り,実 質 的 な 運 営 は彼 女 が 一 切 行 っ て い る 。 毛 皮 卸 売 業 のCさ ん は,勤 続27年 で 取 締 役 経 理 部 長 に就 任 す る 。19名 中最 も遅 く役 員 に な った 。 夫 と死 別 した た め 新 聞広 告 をみ て 応 募 し29歳 で 入 社 。37歳 で 課 長 。49歳 で 部 長 に な る 。55歳 で 定 年 で あ った の で,取 締 役 とな る。 経 理 一 筋 で あ る。 包 装 用 品 卸 売業 のLさ ん は,勤 続24年 で 取 締 役 経 理 部 長 に就 任 す る。 先 代 社 長 の 姪 に あ た り現 社 長 の 従 兄 弟 で あ る。18歳 で 高校 卒 業 と同時 に入 社 す る。19名 中 で た だ一 人 の 新 卒 入 社 で あ る 。23歳 で 課 長,32歳 で 部 長 。42歳 で 取 締 役 経 理 部 長 と な る。 以 上19名 の 女 性 役 員 の 就 任 の プ ロ セ ス に つ い て のべ た 。 表 一3に 要 約 を示 す 。 創 業 者 の 親 族 が6例,こ の 内 の5例 まで が 夫 が 社 長 で あ る。 中小 企 業 の 女 性 役 員 就 任 の 基 本 パ ター ン の 一 つ で あ る。 ま た,共 同 創 業 も,5例 と 多 い 。 この 場 合 に は,対 象 者 自身 が 特 殊 な能 力 を持 って い る こ と,そ れ と,創 業 者 との 出 会 い とい うこ とが 重 要 で あ る。 また,内 部 勤続 昇 進 型の割 合 は19名 中8名 で ある。 長 期 勤 続 昇 進 型 は,3名 と極 端 に 少 な い。 中 小 企 業 に 入 社 して,ま じめ に勤 め あ げ て 役 員 を 目指 す と い う道 筋 は狭 い よ うで も あ る。 しか し短 期 勤 続 昇 進 型 が5名 もい る とい う こ とは,逆 に い う と,実 力 の あ る女 性 は,実 力 が 認 め られ さ えす れば 中 小 企 業 で は,短 期 間 に役 員 になれ る 可 能 性 が あ る と もい え るの で は な い だ ろ うか 。 4.役 員 タ イ プ と そ の 特 徴 19名 の役 員達 は,ど の 様 な部 署 を担 当 し, そ こ で の働 きぶ り とい うの は,ど の 様 な もの な の だ ろ うか 。 管 理 職 者 とは違 っ た 「役 員 」 と し て の働 きぶ り とい う もの が あ るの だ ろ う か 。 あ る と した な らば ど うい う点 で 管 理 職 者 と違 っ て い るの か 。 また,「 役 員 」と して の権 限 は,企 業 経 営 の 中 で 強 い もの な の か,弱 い もの なの か 。 強 い もの だ とす る な らば い っ た い そ の権 限 は な に に 由 来 す る もの なの だ ろ う か 。 19名 の 役 員 達 は,確 か に 「役 員 」 とい う名 称 が あ た え られ て い る。 しか し調 査 デ ー タ を 子 細 に分 析 して い く とそ の 権 限 は,人 に よ っ て大 き く異 な っ て い る こ とに気 づ く。 例 え ば 担 当 す る部 署 一 つ とっ て み て もご く狭 い専 門 職 務 だ け を あ た え られ る管 理 者 型 役 員 か ら, 企 業 経 営 の 全 て を責 任 を も っ て担 当 す る社 長 型 役 員 まで 多様 で あ る。 さ ら に ま た,部 下 の 人 数 とい っ た もの も,企 業 規 模 の大 小 に よ っ て そ の もつ 意 味 は,異 な って くる 。従 業 員 規 模 が10人 の 企 業 で10人 の 部 下 が い るな ら ば全 社 員 を統 括 す る地 位 に い る と言 うこ と に な る。 200名 の 企 業 で あれ ば10人 の 部 下 と い うの は, 一 つ の係 ぐら い の 意 味 しか な い と もい え る 。 取 締 役 何 々 部 長 とい うの は,実 は,対 外 的 な 一62一
名 称 で あ り社 内的 に は,兄 弟 で あ る社 長 と副 社 長 が 全 て の権 限 を も っ て い る と い うケー ス も あ る。 又 逆 に社 長 と役 員 とは単 に名 称 が 違 うだ け で あ り,権 限 は全 く対 等 と い う もの も あ る。 こ の よ う に役 員 の働 き方 と言 うの は 実 に 様 々 で あ る の で,こ こ で は,社 長 との 関 係 か ら役 員 を い くつ か に分 類 して そ の分 類 別 に 上 に 述 べ た点 に か ん して分 析 す る。 非 常 に特 殊 か も知 れ な い が,ま ず社 長 が 名 目的 な ケ ー ス で あ る(実 質 社 長 型 役 員)。19名 中 の2名 が これ に該 当す る 。 女 性 役 員 の 一 つ の タ イ プ で あ る の か,我 々 の 調査 デ ー タ の 特 殊 性 な の か 数 が 少 な いの で 断 定 は 出来 な い 。 時計 製 造 業 のNさ ん の 役 員 へ の 就 任 過 程 は す で に前 節 で ふ れ た が,彼 女 の 場 合 は,経 理 士 の 知 人 を名 目的 な社 長 と して迎 え,経 営 の 実 権 を彼 女 が 握 っ た。 現 在 の 地位 を支 え て い るの は,勿 論 彼 女 自身 の 才 覚 は あ る に して も 彼 女 自身 が 企 業 の オー ナ ー で あ る 点 で あ ろ う。 また,ギ フ トシ ョ ップ 経 営 の1さ ん は,夫 の会 社 が 倒 産 後 に事 業 に乗 り出 し銀 座 の 一 店 舗 か ら出 発 し,彼 女 の もつ 先 見 力 企 画 力 に よ っ て,大 幅 な 店 舗 展 開 を とげ た。 現 在 夫 が 社 長 で は あ る が実 質 的 に は 彼 女 の会 社 で あ る と い え る。 次 の ケ ー ス は,社 長 と役 員 とが 対 等 な 力 関 係 に あ る も の で あ る(対 等 型 役 員)。 研 修 サ ー ビス 業 のBさ ん は,仲 間5人 と とも に 創 業 し,そ の 内 の1人 が 社 長 とな る。 設 立 当 初 よ り女 子 社 員 研 修 が こ の 企 業 の 中心 で あ っ た。 そ の 後,発 展 し女 子 研 修 以 外 の事 業 に も 積 極 的 に 展 開 中 で あ る。 彼 女 は,こ の 女 子 研 修 を 設 立 当 初 よ り担 当 し,女 性 能 力 開発 部 長 と して,企 業 の屋 台 骨 を支 え て きた とい う 自 負 を もつ 。 現 在 は,こ の ポ ス トを女 性 の 部 長 に任 せ,企 画 開発 と営 業 を中 心 と して,会 社 経 営 の 中枢 を しめ る。 「社 長 に な ろ う と思 え ば い つ で もな れ ます よ。 しか し,社 長 に な る気 は あ りませ ん 。 そ れ は,社 長 を み て い て 大 変 さが分 か る か らで あ り,さ ら に,"私 の な か の 女"と い う部 分 で 社 長 に な って しま う と,自 分 が 子 守 ば あ さ ん に な っ て し ま うの で は と思 うか ら なの 。 そ り ゃ社 長 とい う名 前 に魅 力 を感 じ る けれ ど仕 事 の 中 身 に は,魅 力 は な い わ 。 社 長 業 よ り 自分 の 好 き な 事 を や っ て い る ほ う が 楽 し い し・・… ・」 とい う。 ま た,保 険 労 務 士 事 務 所 のAさ ん は,こ の 企 業 に入 社 後,社 会 保 険 労 務 士 とい う高 度 の 専 門 性(資 格)を 身 につ け その 力 を背 景 に し て,現 在 の ポ ス トを獲 得 した 。 企 業 を顧 客 に す る この 種 の事 業 の 例 に もれ ず こ の事 務 所 で も数 度 の 分 裂 を経 て 現 在 に 至 っ た。 社 長 との 関係 につ い て こ う述 べ て い る。 「それ は ね え一 や っ ぱ り組 織 が あ り ます か らね 。 ま あ,二 人 で い ろ ん な 仕 事 の相 談 なん か す る と きに は,別 に社 長 だ か ら ど うだ とか い う こ とは あ りませ ん け ど。 この 事 務 所 に い る か ぎ りは ね、 皆 が い る と き に はや は り,そ うい う礼 儀 とい うか,節 度 は ち ゃ ん と守 って お ります 。」 こ れ ら の2人 は,い ず れ も実 力 的 に は,社 長 を 越 えて い る とい う自 負 が あ るが,社 長 に は な りた くな い と言 う。 社 長 業 に就 くこ とに よ っ て,じ ぶ ん の な か の 「や りた い こ と」 を 燃 焼 させ え な くな る こ と を恐 れ て い るの で は な か ろ うか 。 また女 性 で あ るか ら,男 性 に社 長 の ポス トを譲 って い る と もみ られ る ケー ス で あ る。 次 に あげ る タ イ プ は,積 極 的 に 自分 自身 を 経 営 上 の パ ー トナ ー に位 置 づ けて い る もの で あ る(パ ー トナ ー 型 役 員)。 社 長 の 女 房 役 に 自 己 を位 置 づ け る もの で あ る。 社 長 に とっ て補 完 的 な 役 割 を果 た す不 可 欠 な 人 で あ る。 書 籍 卸 売 業 のDさ ん,商 業 デ ザ イ ン業 のGさ ん, 紳 士 服 製 造 業 のEさ ん,旅 行 代 理 業 のJさ ん, 添 乗 員 派 遣 業 のKさ ん で あ る 。 この グル ー プ の特 徴 は,す べ て共 同 創 業 で あ り,し か も本 人 自身 が 仕 事 を行 う実 力 を も って い る点 で あ る。 夫 な り知 人 な りが 創 業 す る に あ た り,発 一63一
起 人 の 一員 と して 名 前 を か す とい うの で は な く,む し ろ彼 女 の 存 在 が あ っ て 初 め て事 業 に ふ み切 っ た と言 う側 面 が 強 い の が この グル ー プ の特 徴 で あ る。 Eさ ん は,製 造 業 に お け る営 業 担 当。Gさ ん は,商 業 デ ザ イ ン業 に お け る総 務 全 般 。D さ ん は,卸 売 業 に お け る管 理 室 長 と い う ぐあ い に社 長 が 企 業 の 基 幹(生 産)部 門 を受 け持 つ の に対 して 彼 女 達 は,い わ ば,企 業 の裏 方 的 な(管 理 的)役 割 を担 っ て い る。 こ れ らの 3つ の ケ ー ス は,す べ て 夫 な い し実 兄 が社 長 で あ る。 この よ うに 家庭 で の女 房 役 は,会 社 で も女 房 役 に徹 して い るの で あ る。 しか し女 房 役 とい って も,Eさ ん の も って 生 まれ た 営 業 力,Gさ ん の ア メ リカ で の デ ザ イ ン の勉 強, Dさ ん が 培 っ て きた 人 的 ネ ッ トワー ク,こ れ らが あ っ て こ れ らの 事 業 が考 え られ,支 え ら れ て きた の で あ った 。 ま たJさ ん,Kさ ん は,女 性 社 長 下 で の 役 員 で あ る。 現 在 この2人 は,と もに会 社 の 基 幹 業 務 の 一 切 を扱 う。 管 理 的 な仕 事 も勿 論 だ が そ れ 以 上 に 基 本 業 務 をほ ぼ1人 で 背 負 っ て い る 。 事 業 協 同組 合 のFさ ん の 場 合 は,理 事 長, 専 務 理 事 とい う トップ ポ ス トは,組 合 員 会 社 の社 長 が 兼 任 す る た め運 営 の一 切 を掌 握 して い る。29年 とい う長 期 の 勤 続 が 現 在 の地 位 を 支 えて い る と言 え よ う。 こ こ ま で は,役 員 の な か の 経 営 の 中枢 に あ る役 員 とい っ た と こ ろで あ ろ うか 。 企 業 組 織 を責 任 を も っ て運 営 す る実 力 を発 揮 して い る グル ー プ で あ る。 次 に挙 げ る タ イ プ は,企 業 組 織 の 一 部 門 の トッ プ を 占め て い る役 員 で あ る(管 理 職 者 的 役 員)。社 長 か ら その 長 年 の 経 験 を高 く評 価 さ れ 信 頼 され て い る。 しか し,そ こで の働 き方 は,上 に 述 べ た グル ー プ とはか な り違 うの で あ り,管 理 職 者 に近 い もの が あ る。 勤 続 年 数 の 長 いLさ ん(24年),Cさ ん(27 年)が こ の グ ル ー プ の典 型 で あ る。 経 理 一 筋 に長 期 に わ た り勤 続 し役 員 の ポ ス トを獲 得 し た の で あ る。 そ の働 き方 は,管 理 職 者 の延 長 上 に あ る とい っ て よ い。 勤 続 年 数 の 比較 的 短 い電 子 部 品貿 易 のHさ ん,SW貿 易 のMさ ん もい ず れ も経 理 担 当 で あ る。事 業 の全 体 とは, 直 接 の 関 わ りが な く,あ くまで も,一 部 門 を 任 され て い るに す ぎな い 。 しか し,当 然 の こ とだ が 社 長 か らの 信 頼 は,た いへ ん に 厚 い 。 最 後 は,ス ペ シ ャ リス トと して 力 を発 揮 し て い る者 で あ る(ス ペ シ ャ リス ト型 役 員)。 ス ペ シ ャ リス トと して の 能 力 を買 わ れ 現 在 の 地 位 を維 持 して い る グ ル ー プ で あ る。 シ ン ク タ ン ク業Rさ ん,タ オ ル 卸 売 業 のQさ ん,ス イ ミン グ ス クー ル 業 のPさ ん,婦 人 服 製 造 業 の 0さ ん,等 いず れ も,人 一 倍 の バ イ タ リテ ィ ー と強 烈 な個 性 を持 っ た グ ル ー プ で あ る。 こ の 個 性 とバ イ タ リテ ィー が トップ の 高 く評 価 す る と こ ろ で も あ り,社 長 が これ らの能 力 を 高 く評 価 し,現 在 の 地 位 を与 え て い る。 編 集 経 験 と幅 広 い 人 脈 を も つRさ ん は, 「(社長 は ,)非 常 に我儘 で 自由 な雰 囲気 を好 む 。 他 人 に余 り口 を だ させ な い 。 ビ ジ ネ ス の 原 則 に厳 しい 。 しか し,わ た し に対 して は, "私 が 女 で あ る こ と"を 意 識 し た上 で仕 事 の 采 配 を して い る様 子 。 私 に は企 画 の 仕 事 に 限 定 し,営 業 的 な側 面 や,困 難 な部 分 は,副 社 長 を使 う。」 と述 べ て い る。 ま た,デ ザ イナ ー の0さ ん は,厂先 代 社 長 に か わ い が られ た。 現 社 長 に変 わ っ て女 性 デ ザ イナ ー に 対 す る扱 い 方 に変 化 が うま れ た 。 現 社 長 は優 しい 人 で,数 字 は 扱 わ な くて い い と 言 っ て くれ る が,そ こ が不 満 で あ る。 先 代 社 長 は,男 も女 も同 じだ よ とい っ て くれ 数 字 を ま か され て い た 。 勿 論 現 社 長 も非 常 に 目 をか け て くれ て お り,周 りの 人 に悪 い くら い で あ る 。 … … 自分 の い うこ と を何 で も聞 い て くれ る 。 だ か ら,や りた い こ とが あ って も,自 分 の 方 か ら,持 って い か な い こ と に し て い る。 向 こ うか ら言 うま で待 つ よ うに して,で き る だ け甘 え な い よ うに して い る 。 意 見 が違 う と 一64一
きは,違 う とだ け 言 っ て 向 こ うの い うこ と を 聞 くよ う に して い る。」 とい う。 Qさ ん は,「社 長 と意 見 が 違 う こ と も あ る が,基 本 的 に は 任 さ れ て 仕 事 を して い る。 社 長 は,非 常 に理 解 が あ る。 男性 社 長 の ほ う が や りや す い。 今 の社 長 が な け れ ば,今 の 自 分 は無 い 。 企 業 経 営 をお しえ て くれ た 。」 ま た,Pさ ん は,「 昔 か ら,一 緒 にや っ て き た とい う こ とが あ るん で す け ど,こ うい う こ と をや りた い とい う事 に た い して,や っ て み た ら っ て軽 く返 事 を して くれ る ん で す 。 普 通 の 人 だ っ た ら,あ 一 だ こ一 だ とい って なか な か わ れ わ れ の や り方 な ん か が 実 現 しな いで し ょ う。 とこ ろが,何 で も 自分 の好 きな 事 が で き る。 ま た,社 長 と意 見 の 食 い違 う こ とは全 くな い」 表 一4役 貝 タ イ プ と そ の特 徴 役 員 タ イ プ 姦 特 徴 経営の 中枢 に ある役 員 実質社長型役員 2 事 実上の トップ 対等型役員 2 共 同創業 型。社長 と対 等な実 力 トナー型役員{ 4 3 親族 型。女 房型 実 力型。女 性社長 のパー トナ ー 管理職者的役員 管理職者的役員 4 長期勤続昇進型に多い スペ シ ャ リス ト型役員 4 短期 昇進型 多い。社長 がワンマン この グ ル ー プ の特 徴 は,社 長 が ワ ンマ ン で あ る こ と と,そ の社 長 が 彼 女 の 能 力 を十 二 分 に 評 価 し活 用 し よ う と して い る こ とで あ る 。 以 上 担 当 部 署 か ら女 性 役 員 の働 き方 を分 類 して み た 。 表 一4に 要 約 を示 す 。 お お き く, 経 営 の 中枢 に あ る役 員 と,管 理 職 者 的 役 員 と に大 別 出来 る。 前 節 で の 分 類 か ら い う と,就 任 の 契 機 が 親 族 関係 や,共 同創 業 に あ る もの は,経 営 の 中枢 に あ る タ イ プ に 多 い。 こ れ に 対 して,内 部 昇 進 型 は,仕 事 の 仕 方 に お い て も管 理 職 者 的役 員 にお お くみ られ る。 この よ う に,役 員 へ の就 任 の 仕 方 が働 き方 に も強 い 影 響 を持 つ の で あ る。 5.役 員 の 人 間 関 係 能 力 前 節 に述 べ た よ うに,同 じ役 員 とい う身 分 で あ って も社 長 との 関 係,役 員 に な った 理 由, 現 在 行 っ て い る業 務 内 容 等 に よ っ て会 社 内 の 地 位 に差 が み られ る こ とが 分 か っ た。 次 に 経 営 の 中枢 に あ る役 員 と管 理 職 者 的 役 員 とに分 け て 職 場 で の 人 間 関 係 に つ い て 述 べ る。 管 理 職 者 的役 員 か ら述 べ る。 経 理 一 筋 とい うLさ ん は部 長職 につ くに あ た っ て これ ま で の仕 事 と何 か変 わ っ た こ と とい う質 問 に対 し て,「部 長 に な った か ら と言 って と りた て て 仕 事 内容 が ぱ っ とか わ っ た とい う記 憶 も な い で す しね エ … … なん とな く長 くい た か ち… … … 気 が す す まな か っ た ん で す 。 私 自身,は い, あ ん ま り,そ うい うの っ て 嫌 な ん で す よ ね … … …。 自分 で こつ こつ 仕 事 をす る こ とは, 多 少 な り と も出 来 る と思 った ん で す け れ ど, 人 を指 導 して こ う リー ドして 行 く よ う な能 力 は,欠 け て い る よ うに思 うん で す よ ね」 と答 え て い る。従 業 員 数200名 の 規 模 で部 下 は,16 名 。2人 の男 性 課 長 と,12名(内 男 子2名) の 係 員 が い る。 部 下 に関 して,次 の 様 に述 べ る。「私 の 部 下 に か ぎれ ば 女 性 の ほ うが 使 え る と思 う。 短 大 卒 や 高卒 で は,仕 事 の能 率 を良 く し よ う とか,改 善 し よ う とす る,そ うい う 頭 を働 か す 事 は,ち ょ っ と無 理 か も しれ ませ ん け ど,た だ 仕 事,作 業 を して い くって い う 面 だ け で した ら女 子 だ け で 十 分 で す し,女 子 の ほ うが い い とお もい ます 。」 (男子 の 大卒 の 部 下 に対 して)「自分 の上 の 人 が 女 子 っ て い うの が 何 か嫌 なん じゃ な い か な あ って い う感 じを逆 に こ ち らが 受 け る ん で す よ。 男 子 に対 して"甘 や か しす ぎ る"っ て い わ れ ます 。 つ い,や わ らか くい うよ うに な っ ち ゃ う」 と もい う。 また,(女 子 の 部 下 に対 して)「20 年 位 前 に は,自 分 も若 か っ た か ら個 人 的 に接 す る こ とが で き理 解 で き たが,こ の ご ろ は, 断 絶 を感 じる し,仕 事 以 外 で は,あ ま りつ き 一65一
合・わ な い 様 に して い る。」 こ の よ うに この タ イプ の役 員 に は,役 員 と い うポ ス トへ の 戸 惑 い と言 え る もの が 見 られ る。 下位 の 管理 職 か ら,役 員 ポ ス トへ の 昇 進 は,い ま ま で の 仕 事 の仕 方 を変 え る 必 要 が あ る。 しか し,こ の グ ル ー プ で は,こ この とこ ろ が う ま くい か な い よ うで あ る。 また,Cさ ん は,「男 性 の 部 下 な らポ ン ポ ン言 え るが 女 性 に対 して は,… … … 。 自分 の 仕 事 を し なが ら 部 下 の 仕 事 をみ て い るの で,部 下 を 自分 の み え る所 に配 置 して い る。」とい う。 経 理 部 長 を 兼 務 し,部 下 は女 性 ば か り5名 で あ るが,こ れ らの 女 性 を全 く後 継 者 と して は とら え て い な い 。 仕 事 を部 下 に任 せ る とい う よ りは,自 分 で 抱 え込 ん で い るの で あ る。 また,Hさ ん の 場 合 は,5名 の部 下 の 内2名 が 女 性 だ が, 同 様 に女 性 の部 下 に 対 し て 自分 の 後 継 者 と し て の 期 待 と い うの は,全 く と言 って な い。「事 務 能 力 や そ の他 に つ いて の正 確 さや 物 事 の処 理 能 力 につ い て は,女 性 の方 が よ い。 しか し, 腹,腹 の 違 い っ て い うん で し ょ う力 何 か あ っ た と きの 融 通 の 利 かせ 方 とか,角 度 を か え て なん とか その 話 し を ま とめ る力 量 とい っ た面 で 欠 け て い る。 サ ブ と して は,非 常 に 信 頼 が お け る し,優 秀 だ と思 う。 最 後 の 責 任 は し ょ っ て あげ る よ と言 う と安 心 して 力 を だ せ る女 性 は 多 い ん じ ゃな い。」 この よ う に,部 下 の 掌 握,部 下 の教 育,権 限 の 委 譲 の いず れ を と って も問題 が あ る。 こ の タ イ プ に 共 通 して い る こ とは,男 性 の部 下 よ り女 性 の 部 下 の方 が 良 く働 くと い う点 で あ る。 しか し,あ くまで も 日常 の き ま っ た作 業 を させ て い る 限 りで の こ とで あ っ て,責 任 の あ る仕 事 を任 せ る とい う レベ ル で は な い 。 ま た,も う一 つ の 特 徴 は,他 の 男 性 役 員 に 対 す る 意 識 で あ る。「お な じ よ うな 立場 で 並 ん で い る って い う感 じが 全 然 なか っ た 。」(Lさ ん)と い う意 見 に代 表 され る よ うに,男 性 と の ラ イ バ ル 意 識 を全 くも って い な い 。 経 理 と い う特 殊 な ポ ス トを守 って きた た め な のか, あ るい は,女 性 とい うこ とで 男 性 の 社 員 と競 争 をせ ず に現 在 に至 って い る た め だ ろ うか 。 管 理 職 型役 貝 の も う一 つ の タ イ プ で あ る ス ペ シャ リス ト型 で は ど うで あ る のか。 強 烈 な 個 性 を武 器 に役 員 に 就 任 した グル ー プ で あ る。 こ の グ ル ー プ に共 通 す る点 は,仕 事 に対 す る ど ん欲 さで あ る 。勿 論 対 象 とな っ た役 員 全 て が 仕 事 に対 し人並 以 上 の 働 き を して い るが, そ の な か で も仕 事 に対 す る強 い 意欲 を もつ 。 現 職 に就 くに あ た って 全 くち ゅ う ち ょす る とこ ろ は な い。 な い と い うよ り,よ り積 極 的 に,自 分 の や りた い こ とが 出来 るか ら就 く と い う意 識 の ほ うが 強 い 。0さ ん の現 在 の不 満 は,女 性 と して,あ る い は,デ ザ イ ナ ー と し て,ス ペ シ ャ リス トの 地 位 に社 長 が 閉 じ込 め て お こ う と して い る点 で あ る とい う。 過 去 の職 務 経 験 と人 的 ネ ッ トワー ク を武 器 に現 在 の 地 位 を獲 得 し たRさ ん は,「情 報 産 業 の 中 で新 し い形 の仕 事 を生 み 出 して い きた い とい う夢 を実 現 で き るの で は な いか 」 との 期 待 を もち 「私 の考 え る方 向 と経 営 者 の考 え る 方 向 が ま あ共 感 す る部 分 が あ っ た」 か ら こ そ, この 仕 事 を 引 き受 け た とい う。 同僚 の 男 性 役 員 に対 して,激 しい ラ イバ ル 意 識 を も って い るが,「や っ と 自分 の 分 とい う もの が 分 か っ て きた よ う な気 が す る。 しか し,闘 志 が む き出 しに な る と き もあ る。 た だ ふ だ ん は,男 性 役 員 をた て る よ うに して い る。 と くに な にか 意 見 を い う と き に は,"女 性 な らで は"の 観 察 や 分 析 とか,感 受 性 とか を中 に お り こん で い く。」彼 女 の 場 合 は,役 員 就 任 か ら 日が 浅 くや や 役 貝 と して の 気 負 い が あ る。 こ の 点 に 関 し て,Qさ ん は次 の様 に言 う。 「昔 は,力 が は い りす ぎて い た とい うか ね エ ど こ に 力 を入 れ て, ど こで 力 を抜 い た らい い か とい うね バ ラ ンス が わ か ら な か った ん で す ね 。 最 近 肩 の 力 が 抜 け て き た とい うか ね … … … 。結 局,徐 々 に徐 々 に そ れ も一 つ の ま あ 自信 と い うか ね,あ あ, 自分 は,こ うい う形 で う け いれ られ て い るか ら… … … 。 自分 が す ご くみ え て くるん で す ね 。 ・・
そ う,そ れ が 一 挙 に見 え て くる の で は な くて, 少 しず つ 少 しず つ み え て きた 。」 こ の グ ル ー プ の 基 本 に は,仕 事 が あ る。Q さん は,「自分 に本 当 の 力 が あ る と 自他 と も に 認 め られ れ ば何 事 も ス ム ー ス に い く。」 と い っ。 しか し,力 をつ け る ため に は,な みは ず れ た努 力 と才 能 が 必 要 で あ る。 部 下 に 対 す る対 応 も上 の グル ー プ と異 な る。 男性 と女 性 との間 には 能 力差 が ない とい う。 要 す る に個 人 の 問題 で女 性 に しろ男 性 に しろ ピ ンか ら キ リま で さ ま ざ ま と断 定 す る。 しか し, 女 性 に対 す る期 待 が 大 きい だ け女 性 に対 す る 見 方 は,き び し い。「専 門 職 と して は,優 秀 で あ る が,ま だ 全 体 的 な 把 握 が で きて い な い 」 (Qさ ん)。 「ど う して もマ ク ロ な 見 方 が で き な い … … …個 別 にみ て い く と非 常 に真 面 目 で ち み つ で … … しか し全 体 の バ ラ ン ス を考 え て ッて い うの は」(Rさ ん)。 女 性 の 部 下 を教 育 し伸 ば して い こ う とす る気 持 ちは 強 いが ,し か し,仕 事 へ の の め りこみ の 強 さ を部 下 に 押 し付 け よ う とす る た め に育 て る とい うよ りは, 自分 中心 に な っ て し ま う恐 れ も あ る。(Pさ ん) この グル ー プ の 部 下 の 掌 握 は,な か な か の もの が あ る。厂人 に は,リ ズ ム が あ る。そ の リズ ム をい ち早 く読 み 取 っ て,そ れ に あ わ せ て 指 示 す る。口先 の お世 辞 は言 わ な い 」(Qさ ん)。 「年 齢 が 十 分 に 離 れ て い る と き は,余 り 気 にす る こ と は あ りませ ん 。 自分 の 年 と近 い と き に は,女 性 の 場 合 に は,反 発 み た い な も の が あ っ て も,実 際 の 仕 事 を通 して ,話 あ っ て いけ ます 。 た だ 男性 の 場 合 に は,リ ベ ラル な 人 で も輝 抗 が 強 い。 反 発 も根 が深 い。 表 面 的 に ど う とい う こ ≧が な くて も,修 復 は,困 難 。 だか ら敬 意 を払 うよ うな 立 て る よ うな 」 (Rさ ん)。男 性,女 性 の特 徴 を冷 静 に把 握 し 部 下 を使 い こ な して バ リバ リ仕 事 を進 め て い る。 つ ぎ に,経 営 者 の 中 枢 に あ る役 員 につ い て のべ る。 こ の グル ー プ は,同 僚 の役 員 に対 し て全 くラ イバ ル 意 識 を もた な い。そ れ は,NO2 の地 位 を確 保 して い る か らで あ ろ う。 パ ー ト ナ ー 型 の 内,女 房 型役 員 とそ うで な い役 員 と の 間 に 差 が あ る よ うだ 。 女 房 型 役 員 の 女 性 社 員 に対 す る態 度 はや や 厳 しい 。た と えば,「未 経 験 者 は 採 ら な い 。 女 性 は,勤 続4-5年 で や め て し ま う。 ガ ッツ が な い 。 結婚 して も ず う一 と と言 う人 に会 い た い が な か な か 。 仕 事 に対 す る 意 識 は,女 性 の 方 が 低 い 。 ク リエ イ テ ィ ブ な仕 事 は 素 養 が 必要 。 普 段 の勉 強 。 そ うい っ た もの が 女 性 は,圧 倒 的 に駄 目。 能 力 的 に も,男 性 と比 べ て 限界 が あ る ん じ ゃな い か 」(Gさ ん)と か,あ る い は,「 結婚 して もや め な くて も よ い が,し か し子 供 が で きた らや め な さ い とい い ます 。 育 児 が終 わ っ て働 き たか っ た ら き て も よい の で す が,パ ー トと して 優 遇 し ま し ょ う」(Dさ ん)と い う女 性 の 働 き方 に つ い て伝 統 的 な考 え 方 を示 す 役 員 も い る。 能 力 の あ る女 性 社 員 に で あ えな いか , あ る い は,女 性 社 員 を積 極 的 に活 用 して い こ う と し な い企 業 が 多 い。 こ れ にた い し,対 等 型 役 貝 で は,女 性 社 員 に対 す る態 度 は大 き く異 な る。 女 性 を積 極 的 に戦 力 と して 活 用 し よ う とい う方 向性 が 明 確 で あ る。1さ ん は,店 長 ポス トに女 性 を積 極 的 に配 置 して い る。 ま た,Bさ ん に つ い て は, 既 に 紹 介 した よ うに,自 己 の ポ ス トに 女 性 を 抜 擢 して い る。 また,Jさ ん は,「 う ちは,腰 掛 け の つ も りで入 って きて も,絶 対 コ ピー, お 茶 くみ な どは させ な い。 な ん で もや らせ ま す 。 そ の う ち,お も し ろ くな っ ち ゃ う。 女 性 の 方 が よ く働 き ます 。」との べ て い る よ うに積 極 的 に女 性 に 責 任 の あ る仕 事 を あ た えて い る。 これ に対 して 女 性 社 員 が 前 向 きに応 え て い る。 Bさ ん も男 性 社 員 と比 較 して こ う語 る 。「男 性 の部 下 の 方 が,大 変 で あ る。 女 性 は,か わ い が れ ば働 く。 男 性 は,ソ ロバ ンが あ わ な い と 働 か な い。 ボ ス シ ップ を,女 が 男 に使 っ て は 駄 目だ 。小 さ な事 で傷 つ く。 相 手 を信 頼 し相 手 を立 て る こ とが大 事 で す 。 嘗 め られ な い よ 一67一
うにす るの は実 力 。」 女 性 の 働 く環 境 づ く りに よ っ て 女 性 の能 力 をひ きだ そ う とす るの は,Kさ ん の ば あ い も 同 様 で あ る。 女 性 社 長 以 下 正 社 員33名 中 女 性 25名 。パ ー ト120名 中90名 女性 。女 性 中 心 の 社 員 構 成 で あ る。 少 数 の 男 性 の 社 員 は,深 夜 業 務 用 で あ る 。 こ こで も,「男 性 は,2-3年 経 つ と反 発 し て くる 。 女 性 もあ るが それ ほ どで もな い。 男 性 の 管理 職 者 に くらべ て辛 抱 つ よ くな らな け れ ば な ら な い。 特 に男 性 を使 う場 合 男 性 が 経 験 を積 ん で く る と,反 発 とか 自分 の や り方 を 主 張 す る。 こ れ を受 け 入 れ な けれ ば な ら な い 。 受 け入 れ な い と,女 で あ る こ と か ら くる あ つ れ きが生 ず る。 私 が 男 性 な らば バ ー ンバ ー ン と一 言 で す む の に と思 う。 命 令 調 で や っ て 失 敗 した事 も あ る 。 特 に相 手 が 男 性 で あ る と そ うな る。 ソ フ トな 対 応 を こ こ ろ が け て い る。」 表 一5女 性役貝 におけ る人間関係能力 部下の 掌 握 女性 部下 の 活 用 権 限の 委 譲 管理職 者的役員 管理職者 型 スペ シャ リス ト型 一 ? 一 十 一 ? 経 営 の 中枢 に あ る役 員 パ ー トナ ー 型 対 等 型 十 十 十 一 十 十 ? 十 こ の ま うに,女 性 を積 極 的 に活 用 して い る 企 業 で は,逆 に男 性 社 員 の 管 理 に頭 を悩 ませ て い る よ うだ 。 以 上 役 員 の 人 間 関係 を管 理 職 者 的 役 員,経 営 の 中 枢 に あ る役 員 と に基 づ い て分 析 した 。 要 約 を表 一5に 示 す 。 管 理 職 者 型 は,部 下 の 掌 握,女 性 部 下 の 活 用,権 限 の 委 譲 の どの 局 面 で も劣 っ て い る。 こ れ に対 して スペ シ ャ リ ス ト型 は,女 性 部 下 の活 用 に優 れ る。 これ に 対 し,パ ー トナ ー 型 は,部 下 の掌 握 に優 れ て い るが,女 性 部 下 の 活 用 に劣 る。 対 等 型 は, も っ と も優 れ て お り,部 下 の 掌 握,女 性 部 下 の 活 用 に特 に特 徴 が み られ た し,さ ら に,権 限 の委 譲 も行 っ て い る。 こ の よ う に,役 員 の タ イ プ に よ っ て,部 下 に た い す る人 間 関 係 の 形 が,異 な っ て い る こ とが わ か る。 こ の 背 景 に は,も ち ろん 個 々 人 の 人 間 関 係 能 力 の 違 い が あ る に し ろ,そ れ 以 上 に,女 性 役 員 自身 が, 企 業 経 営 の な か で どの 様 な地 位 を 占め,ど の 様 な働 き を しxど の 程 度 の 権 限 を持 っ て い る の か と関 係 して い る。 6.ま と め 最 後 に これ ら女 性 役 員 は,女 性 で あ る こ と を ど の様 に と らえ て い るの か 。 女 性 で あ る こ とに よ って 仕 事 上 どの 様 な メ リッ トが あ っ た の か 。 女 性 で あ る こ とが 仕 事 を進 め る 上 で ど の様 な 障 害 を、あ た え た の か を述 べ,女 性 役 員 とい う もの が どの よ うな もの な の か を分 析 す る。 結 論 的 に は,女 で あ る こ とに よ って 得 を し た とい うケ ー ス は,少 な い。 得 を した と考 え る の は,年 齢 的 に若 い世 代 に 多 く見 られ る。 しか し,女 性 で あ る こ とに よ る メ リッ トとい うの は,た か が しれ た もの で あ る。 女 性 で あ る こ とに よ っ て,男 性 の 注 目 を集 め 易 く名 前 を憶 え て くれ る とか,営 業 活 動 を行 う と きに 相 手 会 社 の トップ も女 性 で あ る事 の気 易 さ で 会 って くれ る(Nさ ん,Rさ ん,Sさ ん)。 し か し,女 性 と して の有 利 さ は,そ こ まで で あ って,実 際 の 営 業 活 動 にお い て は,メ リ ッ ト が な い とい うの が共 通 した意 見 で あ る 。Rさ ん の所 属 す る会 社 は,彼 女 の もつ 女 性 の こ の 有 利 さ を利 用 し企 画 の売 り込 み に彼 女 を使 う が,実 際 の営 業 活 動 に は 男 性 役 員 を当 た らせ る。 また,「 何 か 言 う と きに ソ フ トに 受 け 止 め て も ら え る の が よい 。 男 性 同 士 だ と意 地 に な っ て し ま う と き で も女 性 だ と う ま く い く。」 「社 内 の 緩 衝 材 に な る。」な ど,社 内 的 に,女 性 の もつ ソ フ トさ を評 価 す る もの もい る 。 女 性 で あ っ て得 を した こ と とい う問 い に た ・:
い し て,Pさ ん は,「 うち の社 長 は,男 と して の 仕 事 を して き た し,私 は,女 と して の 仕 事 を して きた 」 と答 え る 。 た しか に 彼 女 の この会 社 での仕 事 は,彼 女 の もつ女 性 性 を フ ル に発 揮 した もの で あ っ た 。 だ か ら,彼 女 に とっ て 女 性 で あ っ た こ とが 損 とか 得 とか 言 う次 元 と異 な って い る の で あ ろ う。 しか し大 多数 の 役 員 は,女 性 で あ る こ とに よ っ て 損 を した とこ た え る。 そ の 内 容 は,や は り外 部 の 人 間 との 間 で 引 き起 こ され た もの が 多 い。A さん の 場 合 は,深 刻 で あ る。 コン サ ル テ ィ ン グ に 出 向 い た先 で,「女 な ん か こな い で くれ よ って こ とお っ し ゃ る会 社 が一 杯 あ るの ね 。 あ あそ うで す か っ て そ うい う時 は,黙 っ て か え っ て くる の ね 」しか し現 在 で は,「 女 性 も この ぐらい の 年 に な る とか え っ て 向 こ う か ら好 感 を も って 迎 え られ るの ね 」 と い り。 ま た,海 外 ツ アー の 添 乗 員 と して 空 港 で客 と初 め て 会 う と 「何 だ 女 か 」 とい う声 が 聞 こ えて くる 。しか し帰 る と き に は,「最 初 は ね 女 か と思 っ て 非 常 に 心 細 くっ て な ん と心 許 な い と思 っ た け ど,よ か っ た よ… … …」 とい っ て くれ る。 1さ ん は,「 相 手 は,専 務 が く る と言 う こ と でZて い る訳 で す よ。 そ こへ 私 が 入 っ て行 く と,何 だ女 か とい う表 情 が さっ と相 手 の顔 に 表 れ て い くの ね。 ま た,電 話 に私 が 出 る で し ょや っ ぱ りマ ネ ー ジ ャー お願 い し ます と く る。」 外 部 の 人 と交 渉 を持 た ね ば な らな い と き, 顔 を覚 え て くれ る とい う利 点 とは逆 に,女 性 で役 員 で あ る とい うこ とが な か な か相 手 に理 解 され ず に 引 き起 こ さ れ る不 快 な状 況 は,多 い。 「"ご用 件 を承 りま す。"と い うふ う に話 して も,向 こ うは総 務 部 長 とい うこ と を信 じ て くれ な い ん で す ね ひ ど く軽 くあ し ら わ れ る」 とか,同 伴 し た男 性 部 下 に た い して だ け 相 手 が 話 しか け る とか,あ る い は,銀 行 の営 業 員 が 失 礼 な 対 応 をす る とか とい うの は,ひ ど く日常 的 な こ とで あ る ら しい 。 この よ うに,社 外 で の不 快 な経 験 と も う ひ とつ は,社 内 で の 差 別 が 存在 す る。 「何 か す る と女 の くせ に とか 女 だ て ら に と 思 わ れ る し,だ か ら と言 って そ う しな けれ ば ビ ジネ ス に な ら な い。 柔 らか くい っ て 締 め る とこ ろ は,締 め る と言 う風 に な る まで に本 当 に苦 労 し ま し た ね。」(1さ ん)と い う。 「(社内 で は,)内 心 は思 っ て い る人 もい る ん で し ょ うけ れ ど も,お もて だ って い う人 は, 」(Lさ ん)と 陰 に 陽 に女 性 だ か ら とい う目 に さ ら され て い る。 Aさ ん は,男 性 と女 性 と同 じ仕 事 を して い て,「 男 が 失 敗 す る と"ま あ人 間 に は,間 違 い が あ る よ","今 度 気 を付 け て くれ よ"で す む。 しか し,同 じ仕 事 で女 が 失 敗 す る と"だ か ら 女 は,駄 目 なん だ よ"」とい わ れ る。 これ が悔 し くて 言 わ せ な い よ う にす る た め に男 性 の3 倍 もの 努 力 を した とい う。 また,ト ップ の持 つ 女 性 役 員 に対 す る女 性 ら しさ の期 待 とい うの が 負 担 とな るケ ー ス も あ る 。Hさ ん は,女 性 と して 損 した こ と と し て,「 た くさ ん あ ります よね 。本 当 に精 い っぱ い今 の 仕 事 をす るん だ っ た ら男 に生 ま れ れ ば も っ とよか った だ ろ うに と思 っ た こ とが 随 分 あ りま した よ。社 長 とか 他 の役 員 は,"や っ ぱ り女 性 と言 うの は,花 まで 行 か な くて も葉 っ ぱ く らい の 存在 で あ っ て 欲 しい … … …"と い うの で そ う した い と思 って は い るが 難 しい し, こ の こ とが 非 常 に不 公 平 だ と痛 感 し ま した 。 男 の 人 と同 じよ うな 激 しさ で ぶ つ か り合 う こ とが あ る ん で す よね … …。 外 見 は,女 性 で す し,は した な くな ら な い で これ をや る こ と は, 非 常 に 辛 い 所 で した ね 。 … … 」 とい う。 男 性 に は,要 求 さ れ ず 女 性 に対 して の み 要 求 され る女 性 性 。Pさ ん の場 合 の よ うにそ の こ と を意 識 せ ず に済 ませ る な らば 自然 な 事 で あ っ て も一 度 意 識 され る な らば,i重 い 足 か せ と な る。 しか も,そ れ が,好 意 か らで て い る と き に は,お お き な不 満 に つ な が る。Cさ ん も, 職 場 に お け る女 性 とい う点 で 「社 内 の 人 も, ・・