雪氷研究大会(2020・オンライン)2020.11.16–11.18 JSSI & JSSE Joint Conference – 2020 online
1 富山大学 理学部 Faculty of Science, University of Toyama 2 現 横浜市立 日野南中学校 Hinominami Junior High School, Yokohama City
©2020(公社)日本雪氷学会
低過飽和で成長する人工雪結晶の三次元的形態形成
-Michelson 干渉計と拡散型チャンバーを用いたその場観察-
Three-dimensional pattern formation of growing artificial snow crystals in lower supersaturation
- In-situ observation using Michelson interferometer combine with diffusion chamber -
○島田 亙
1, 金澤広太郎
1, 2Wataru Shimada and Kotaro Kanazawa
1.はじめに 雪結晶の三次元形態について,中谷らのスケッチなど定性的 な観察例はあったが,定量的な測定は進んでいなかった. そこで我々はマイケルソン干渉計を用いた観察から,天然降 雪結晶の形態が平らなbasal 面と複雑な三次元構造を持つ面の組 み合わせであることを定量的に測定した [1].また,拡散型チャ ンバーを用いた成長中の人工雪結晶観察から,平らなbasal 面側 が成長していることを明らかにし[2],樹枝状結晶を特徴付ける 枝分かれについては,平らなbasal 面上での主枝と二次枝の段差 発生により二次枝が完成することを見出した[3]. 今回は,より低過飽和条件で成長する雪結晶をマイケルソン 干渉計で“その場”観察し,その三次元形態を解析した. 2.研究手法 雪結晶の成長には拡散型チャンバーを用いた.このチャンバ ーでは上下に温度差を作り,水蒸気を上方から下方へ拡散させ ることにより雪結晶を成長させることができる.この拡散型チ ャンバー内に,種結晶として自然対流型クラウドチャンバーを 用いて作成した人工雪結晶を静置した. 本研究では正立型顕微鏡を用いることにより,成長している 雪結晶を上方から観察した(図1).しがたってこのシステムで は,成長前面の三次元形態に対応した干渉縞を観察することが できる.また反射光による,成長背面の形状も観察可能である. 3.結果と考察 3.1 低過飽和での成長 拡散型クラウドチャンバー内の温度差を小さくすると,過飽 和度が小さい環境での成長を観察することができる.この場合, 角板状に成長し,成長前面には等間隔の干渉縞が観察され,basal 面が広がった形状であることがわかる(図2).また,次の図3 と比較して,成長背面の模様は観察されず,成長背面について もbasal 面が広がっていることがわかる.したがって,低過飽和
では,成長前面と成長背面のbasal 面, prism 面で layer by layer
で成長しており,形態安定性が保たれていると考えられる. 3.2 過飽和を増加させた場合の成長 拡散型チャンバー内の上下温度差を少し大きくし,過飽和度 を増加させた場合,広幅状のファセット成長が見られた(図3). 結晶周辺部には等間隔の干渉縞が見られ,成長前面にはbasal 面 が広がっているが,中心部の干渉縞は曲がっており,窪みが存 在している.また反射光から主枝,二次枝の稜線模様が観察さ れ,成長背面は複雑な三次元形態になっていることがわかる. 4.まとめ 成長中の人工雪結晶を上方からマイケルソン干渉計を用いて “その場”観察し,その三次元形態を解析した. 成長前面では,常に平らなbasal 面が観察され,過飽和度の増 加とともに中央部分に窪みが観察された.一方,成長背面は, 低過飽和度ではbasal 面のみであったが,過飽和度の増加に伴い, 複雑な三次元形態に変化した. 参考文献
1) Wataru Shimada, Kazuki Ohtake (2016): Three-dimensional morphology of natural snow crystals, Crystal Growth and Design, 16, 5603-5605.
2) Wataru Shimada, Kazuki Ohtake (2018): Asymmetrical three- dimansional morphology of growing snow crystal observed by Michelson interferometer, Crystal Growth and Design, 18, p6426-6430.
3) Wataru Shimada et al., (2020): Three-dimensional aspects of sidebranch formation during the growth of snow crystals, J. Crystal Growth, 548, 125846, (2020).
図1 拡散型チャンバー
図2 低過飽和で成長する雪結晶
図3 ファセット成長する雪結晶