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養護教諭の役割認知とその悩みに関する学校心理学的研究

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(1)平成17年度  学位論文. 養護教諭の役割認知とその悩み  に関する学校心理学的研究.   兵庫教育大学 大学院. 学校教育研究科 学校教育専攻.    学校心理コース.   MO4072B. 高 橋 慶 子.

(2) 目. 次. はじめに 問題および目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 1. 方 法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 10.   1)被調査者   2)調査内容.   3)調査時期と手続き. 結 果  1 養護教諭の役割認知尺度について・・・・・・・・・・・… 12.   1〉養護教諭の役割認知尺度の因子分析   2)経験年数が養護教諭の役割認知に及ぼす影響.   3)校種・共感水準が養護教諭の役割認知に及ぼす影響  2 養護教諭の悩み・不満尺度について・・・・・・・・・… 17.   1)養護教諭の悩み・不満尺度の因子分析   2)経験年数が養護教諭の悩みや不満に及ぽす影響   3)校種・共感水準が養護教諭の悩みや不満に及ぼす影響. 考 察  1 養護教諭の役割認知尺度について・・・・・・・・・・・… 22.   1)養護教諭の役割認知尺度の因子分析.   2)経験年数が養護教諭の役割認知に及ぼす影響.   3)校種・共感水準が養護教諭の役割認知に及ぼす影響  2 養護教諭の悩み・不満尺度について・・・・・・・・・… 26.   1)養護教諭の悩み・不満尺度の因子分析   2)経験年数が養護教諭の悩みや不満に及ぼす影響.

(3)   3)校種・共感水準が養護教諭の悩みや不満に及ぼす影響 ま と め・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 30. 引用文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 34. 終わりに 謝辞.

(4) は じ め に  r養護教諭とは?」といわれて,答えはさまざまにある。 すなわち養護教諭は看護師でもあれば,カウンセラーでもあ る。はたまた教師の役割をとる場合もあるからである。養護 教諭の職務は,学校基本法において,養護をっかさどると定 められている。しかしながら,養護についての明確な定義は されていない。したがって,その職務内容はあいまいなまま である。そのような状況の中,養護教諭の役割は,時代背景 に影響されながら,その時代の行政側の二一ズや児童生徒の 多様な二一ズに対応する形で,医療的ケアから予防を含めた 健康管理へ,健康教育や保健教育を担う存在へ,カウンセリ ングを含めて子どもの発達を援助する存在へと変遷してきた。  また,山本(1995)は,保健室にっいて,学校社会は時間的 にも空間的にもきちんと管理されているのに,保健室だけは そうした管理社会から開放された空間と時間を持ち,その空 間は医務室でもなく教室でもない「あいまいな」場所である。 だからこそ,rあいまいな」子が集まって来やすく,学校の中. のシェルター(避難所)の存在として大事なのであると,保 健室の「あいまいさ」を評価している。  しかし,このような「あいまいさ」のために,養護教諭の 職務遂行上の悩みや葛藤を持つものも少なくない。  また,多様な役割が一人の養護教諭に求められている中で, 保健行事をこなし,救急処置をしながら,子どもの心の訴え に十分な対応をすることは容易なことではない。保健室来室 者が多く,子どもたちの話を十分に聴くことができないまま, 養護教諭の勝手な思い込みや誤解で,子どもの二一ズとは違 った対応をしてしまい,子どもが不機嫌そうに保健室から出 て行くといった経験を持っている養護教諭は多いだろう。.

(5)  田澤(2004)は,養護教諭の中心的な実践は,保健室におけ る対人援助活動であり,対人援助実践に通底する営みが共感 であると述べている。そして養護教諭が,児童生徒の心の健 康問題や二一ズを的確に捉えるためには,共感的理解が必要 なのである。.  児童生徒を共感的に理解している養護教諭ならば,「養護教 諭とは?」の問いになんと答えるのであろうか。  そこで,養護教諭の共感性に着目しながら,養護教諭の役 割認知やその悩みを検討していくことで,養護教諭の役割に. ついて,養護教諭として15年が過ぎた今,再度考え直して みたい。.

(6) 問題および目的  養護教諭は,心身の健康にっいて高度な知識と技能を持つ 学校保健の専門家として,心身の健康に焦点を当てた援助サ ービスを提供し,子どもの発達や学校生活を援助することが できる。健康について,WHO(1946)は完全な肉体的,精 神的及び社会福祉の状態であり,単に疾病又は病弱の存在し ないことではないと規定している。同時に,達成しうる最高 基準の健康を享有することは,人種,宗教,政治的信念又は 経済的もしくは社会条件の差別なしに万物の有する基本的権 利の一っであるとしたうえで,児童の健全な発育は,基本的 重要性を有し,変化する全般的環境の中で調和して生活する 能力は,このような発育に欠くことができないものであると 述べている。医学的及び心理学的知識並びに,これに関係の ある知識の恩恵をすべての人民に及ぼすことは,健康の完全 な達成のために欠くことができないものである。そして公衆 が精通した意見を持ち且つ積極的に協力することは,人民の 健康を向上する上にも最も重要であり,各国政府は,自国民 の健康に関して責任を有し,この責任は,充分な保健的及び 社会的措置を執ることによってのみ果たすことができるとさ れ,健康がすべての人民の幸福と円満な関係と安全の基礎で あることを宣言している。養護教諭は,児童生徒のこのよう な人間が生きていくうえでの基礎となる心身の健康の保持増 進を目標としているのである。.  養護教諭の歴史的変遷を見ていくと,1905年,養護教諭の 前身であるr学校看護婦」がトラコーマの処置のために岐阜 県で初めて採用されたことにはじまる(杉浦,1982)。この職 種は政府の一貫した方針から設置されたものではなく,地方 住民の要求から自然発生的に出現したものであり,学校伝染 1.

(7) 病対策や医療を目的とするものであった。その後,「学校看護 婦」を雇用する学校は増え,職務内容も救急処置,身体検査,. 疾病予防などを含むようになった。そして,1941年の国民学 校令の制定によりr養護訓導」という新しい職名のもとに教 育職員の一員となったのである。1947年の学校教育法の制定 時には,「養護訓導」は「養護教諭」に改められ,「児童生徒 の養護をつかさどる」と職務が定められた。しかし,「養護」 という言葉の定義はこの時には明確にされなかった。このこ とがこれまで養護教諭の職務内容をあいまいにしてきた一因 と考えられる。.  そして,時代の流れとともに,養護教諭を取り巻く状況は 激変し,医学的ケアから予防を含めた健康管理へ,健康教育 や保健教育を担う存在へ,カウンセリングを含む子どもの発 達を援助する存在へ,養護教諭に求められる役割も移り変わ ってきたといえる。.  2001年に目本学校保健会が全国の公立小・中・高校1,128 校を対象に実施した保健室の利用状況などに関する調査報告 書によると,過去1年間に保健室登校の児童生徒がいた学校 は,小学校109校(全体の29.1%),中学校237校(同63.4%),. 高校182校(同48.5%)で,前回の1996年の調査に比べ, 中・高校で増加している。また,1校あたりの保健室登校の 人数は小学校0.5人,中学校2.0人,高校1.1人であった。 児童生徒数が減少している中で,中学生を中心に保健室登校 の生徒が増えているのは不登校の現状と同じ傾向である。保 健室来室状況では,1校1目あたりの利用者数は,小学校27.2 人,中学校31.3人,高校33.1人であり,その来室理由で多 いのは,小学生は①出血やけがの手当て②友達との付き合い, 付き添い③委員会活動の順であった。中・高校生では①体調 が悪い②友達との付き合い,付き添い③出血やけがの手当て の順に多く,上位3位までで来室理由の約6割を占めている。 2.

(8) 前回調査と比べ,「何となく」や「休養したい」という来室理. 由が増え,特に中学生ではr体調が悪い」やr何となく」の 背景に,「いじめ・友人関係」や「学習や進路に関する問題」. を抱えている場合があり,心理・教育的援助を必要とする生 徒が増加していることが明らかになった。それは,人生周期 における思春期が,身体的にも精神的にも発達的変化を遂げ る疾風怒濤の時期でもあり,このような時期において,個人 一環境間の一時的崩壊をはらむ中学校入学という学校環境へ の移行は二重の意味で危機的状況である(山本・ワップナー,. 1992)ことも関係しているのであろう。また,保健室の利用 状況からも,校種によって来室理由や利用人数が違い,養護 教諭や保健室への二一ズや期待も校種によって違っていると 考えられる。.  森田・今井・西村・中村・大戸・安部(1986)は,目常の 保健室での対応を詳細に記録し,分析した結果,二一ズを「情 緒・知識・処置・生活調整」の4っに分類し,保健室を訪れ る児童生徒の二一ズを明示した。しかし,この研究では,保 健室に来室した児童生徒を対象としているため,保健室に来 室していない児童生徒の養護教諭に対する二一ズは明らかに なっていない。.  さらに伊藤(1997)は,これらの二一ズを養護教諭の役割と いう観点から見直し,三つの役割(医師的役割・教師的役割・. カウンセラー的役割)に分け養護教諭の役割認知と役割葛藤 について検討した。その結果,役割比率・満足感とも医師的 役割は小学校,カウンセラー的役割では中学校の方が高得点 を示しており,養護教諭は子どもたちの二一ズに応える形で 執務を遂行し,その役割期待に応えることで,より大きな満 足感を得ているが,反面その役割期待と目々の執務の狭間で 悩みや困難さを抱えている養護教諭も多い。特に,保健室で 相談活動を行うことの難しさの背景には,学校という組織の 3.

(9) 中での人間関係上の悩みを伴う場合が多いことが示唆された。  また,早坂・斉藤・中嶋(2001)は,養護教諭の役割遂行 上の問題点や悩みを経験年数ごとに比較している。その結果,. 経験年数20年以下では医学的知識不足や指導者がいないな どの問題が大きく,21年以上では位置づけの低さ,役割無理 解,やりがい意識の低下がだされた。差別感・役割無理解・ 孤独感などの悩みは,他の教師の養護教諭に対する役割期待 と養護教諭の役割認知のズレから生じており,養護教諭の役 割に影響を及ぼす要因の一つであると考えられている。さら に,養護教諭が果たす役割は,養護教諭自身の役割認知や直 接関連しあっている他者や社会一般の期待や要求(二一ズ) という観点が大きな要素となると述べている。  そこで,浅川・高橋・古川(印刷中)は,小学校と中学校の 児童生徒が抱く養護教諭イメージや保健室イメージを調査し, さらに児童生徒が養護教諭にどのような役割上の期待をもつ のか,そしてこのようなイメージ形成や役割期待には学校に 対して児童生徒が抱く適応感の水準が影響するのかを検討す ることで,児童生徒の養護教諭に対する潜在的な二一ズや求 めている役割を明らかにした。その結果,児童生徒は保健室 を安らぎと親しみの空間と捉えており,そこには誰でもいつ でも受け入れてくれる養護教諭の存在を期待しているが,学 校適応水準の低い児童生徒や学年が上がるにつれて,養護教 諭や保健室の肯定的なイメージが低くなることがわかった。 これらのことから,児童生徒は保健室を潜在的に心理サポー ト源と認知している(櫻井・青木,2005)が,誰でもいつで も立ち寄れて,社交的で安らげる場である保健室は,来室者 が多くなり,また来室する児童生徒の訴えや二一ズが多様化 する中で,養護教諭はそれぞれの児童生徒の二一ズに適切に 対応しきれていない現状が浮き彫りになった。  それでは,養護教諭自身は時代背景や児童生徒それぞれの 4.

(10) 多様な二一ズに対応する形で変遷してきた養護教諭の役割を どのように捉えて,職務を遂行しているのであろうか。  養護教諭の役割に関しては,今までにいくつかの提言がさ れている。その代表的なものが保健体育審議会の答申である。 昭和47年の答申における養護教諭の役割は,「児童生徒の健 康を保持増進する活動である」とされ,この答申が示唆する ことは,養護教諭の職務の第一が健康の実態把握,すなわち 健康問題(ヘルス・二一ド)の把握であり,ついで第二に, この健康に問題を持つ児童生徒に対して,直接的な解決のた めの援助を行うことである。そして第三に養護教諭という教 育職員の専門性から保健指導的職務,すなわち健康問題を児 童や生徒が自主的に解決できる能力を開発するための指導を も含んでいると考えられる。そして,この点で,初めて「養 護」についての考え方を明確化したと言える。また,杉浦 (1982)は養護教諭本来の職務である養護を「児童・生徒が持 つ健康問題(ヘルス・二一ド)を解決に導くため,学校教育 の場で行う支援活動である」と定義している。  さらに,子どもが抱く心身の健康問題の変化に伴い,平成 9年の保健体育審議会答申では,「養護教諭は児童生徒の身体 的不調の背景にいじめなどの心の健康問題がかかわっている などのサインにいち早く気づく事のできる立場にあり,養護 教諭のヘルスカウンセリング(健康相談活動)が一層重要な 役割を持ってきている。養護教諭の行うヘルスカウンセリン グは,養護教諭の職務の特質や保健室の機能を十分に活かし, 児童生徒のさまざまな訴えに対して,常に心的な要因や背景 を念頭に置いて,心身の観察,問題の背景の分析,解決のた めの支援,関係者との連携等,心や体の両面への対応を行う 健康相談活動である。」と提言され,新たな役割としてrヘル スカウンセリング(健康相談活動)」を付加したのであった。  しかし,ヘルスカウンセリング(健康相談活動)は,以前 5.

(11) から養護教諭が行う健康相談として認識されていたが,r健康 相談」は学校保健法(第11条)では,学校医または学校歯科医. が行うものと定められていたため,実質的には養護教諭は健 康相談を行っていたが,それを表現する言葉がなく,また臨 床心理学の「相談」と区別する意味からも,その呼び方は時 代によって「健康相談助言」「相談支援」「カウンセリング」. r相談的対応」などの名称に変遷し,その見解もさまざまで あり「健康相談活動」は一般化されるにいたっていない。よ うやく1998年に教育職員免許法の改正があり,養護教諭免許 状習得のための養護専門科目に初めて「健康相談活動の理論 及び方法」という科目が設定されたところである。  森田(2002)によれば,健康相談活動(ヘルスカウンセリ ング)は,養護教諭の活動のあらゆる領域の中で展開され, r児童生徒の身体的情緒的支援活動のすべて」をさすもので ある。児童生徒はさまざまな訴えを持って保健室に来室する が,そこから養護教諭の健康相談活動は始まり,保健室に来 室する児童生徒を受け入れ,児童生徒が全身で訴えているこ とについてr観る・聴く・触れる」ことを丁寧に行い,児童 生徒が抱えている問題は何か,どんな支援が必要かを見極め るアセスメントを行い判断し,さらに,支援の方法について 選択することのできる対応力をも含んでおり,これらは養護 教諭本来の職務である児童・生徒が持つ健康問題(ヘルス・ 二一ド)を解決に導くため,学校教育の場で行う支援活動の 中核をなすものと考えられたのであった。  また,大谷・森田(2000)は,健康相談活動の形態を「知識・ 情報提供型」と「カウンセリング型」の二つに分けているが,. 両者は厳密には分けられるものではなく,相談はまず情緒的 混乱に対して,受容・共感的に話を聞く中で,信頼関係を作 り,知識・情報を提供し相談者が自己決定していけるように 支援するものであると述べている。 6.

(12)  では,養護教諭の行う健康相談活動とカウンセラーが行う カウンセリングの違いは何であろう。まず健康相談活動の対 象者は,健康問題や身体症状を有している人で,カウンセリ ングの対象者は,問題行動に悩んでいる人である。そして, 時間と場所は,カウンセリングでは,場所を確保し定期的に 時間を決めて面接をすることができるが,健康相談活動では, 保健室で行われることが多く,他の児童生徒も多く来室し, 時間は休み時間などの限られた短い時間に効率よく十分に話 を聞き問題を明確化して返さなければならない。また,カウ ンセリングは1対1で行うが,健康相談活動では,対象児童 生徒以外に担任や家族,専門機関などに働きかけることもあ り,両者は大きく異なっている。.  田澤(2004)によると,カウンセラーも養護教諭も児童・生 徒の心と身体の両面にかかわる存在であるという点では,そ の役割に共通する点は多い。しかし,カウンセラーは物質と しての身体に直接かかわることはないが,養護教諭は物質と しての身体に直接的にかかわるだけでなく,現象的な身体に もかかわる存在であり,カウンセラーより対処する領域,あ るいは守備範囲が広く,これがカウンセラーと養護教諭の違 いであり,養護教諭の相談活動がヘルスカウンセリングとい われる所以である。.  養護教諭の活動は,保健室での実践が中心である。養護教 諭はまず保健室に来室した児童生徒を受け入れ,アセスメン トを行い,身体的症状に対する応急手当を行う。その際,子 どもの問題に気づくことから,健康相談活動が始まる。その 健康相談活動が成立し,展開するために重要なものが「相手 の立場に立ってともに考え,共に歩もうとする共感的理解」 であり,養護教諭は保健室に来室する児童生徒の外側からの 観察による診断的理解のみで対応するのではなく,内側の情 緒面の観察による共感的理解によって児童生徒理解を深める 7.

(13) 必要がある(葛西・中川,2002)。.  他人の感情を認知し,その人物の視点から内面を理解した 上で,相手と同じ感情を分かち合う r共感」は,人と人とを より積極的に結びつける機能を持ち,いわば人間関係の潤滑 油としての役割を果たすと考えられてきた(澤田,1998)。カ ウンセリングの分野でも,共感は「相手が経験している内的 世界を,相手の内的な準拠枠から感じ取り理解する,言いか えると,相手の世界に入り込み,相手の経験に波長を合わせ,. 同じように感じていくことである」といった定義が多く見ら れ,カウンセリング関係では特に重要なものとして考えられ ている(播磨・佐藤・澤田,2003)。共感的なカウンセラーと のカウンセリングは,信頼感を生み,安全なカウンセリング 関係を確立させ,自己の正当性が確認できることから,自分 の経験を承認し再構成することを可能にして,より深い自己 理解ができ,自己の発達を促進させる。  養護教諭の行う健康相談活動においても,このような共感 機能が果たす役割は,子どもの問題を的確に把握し,その問 題の解決と自立に向けて援助していく中で,子ども自身が自 己洞察し,自らの問題に気づき成長していくことを促すこと につながるといえよう。養護教諭は児童生徒の身体的不調の 背景にいじめなどの心の健康問題がかかわっているなどのサ インにいち早く気づく事のできる立場にあり,そのサインを 問題として的確に捉えるためには,共感的理解が重要である といえる。.  以上のことから,養護教諭の共感性が養護教諭の役割の中 でも,児童生徒に対する相談的対応に影響を及ぼすと考えら れる。.  また,養護教諭の役割遂行上の困難点や悩みについては, 相談活動に困難を強く感じている養護教諭は,他の教師との 関係や孤独感など,学校組織との関係で悩みを経験している 8.

(14) ものが多いという(伊藤,1997)。そして,早坂・斉藤・中嶋 (2001)の研究では,他の教師から相談活動を期待されている と捉えている養護教諭は,把握した他の教師からの期待と自 身の役割認知が一致しているが,差別感・役割無理解・孤独 感を感じているものは,他の教師からの期待と自身の役割認 知にズレのある養護教諭が多かった。これらのことから,養. 護教諭の共感性は,児童生徒理解を深め,健康相談活動をス ムーズに行うために必要であるとともに,養護教諭の役割遂 行上の困難点や悩みの中でも,役割無理解や孤独感など学校 という組織の中での人間関係や地位の問題に影響を及ぼすと 考えられ,共感性が高い養護教諭は,健康相談活動を養護教 諭の役割として捉え,担任や他の教師と連携し児童生徒を支 援することができるため,役割無理解や孤独感など人間関係 や地位などの悩みが少ないと考えられる。  そこで,本研究では小・中学校の養護教諭を対象にその情 動的共感性の水準によって,養護教諭職の役割認知や彼らの 悩みに与える影響について検討することとした。. 9.

(15) 方 法 1)被調査者.  近畿圏内の公立小・中学校養護教諭125名を対象に調査を 実施した。そのうち回答に不備のなかった99名(小学校68 名,中学校31名)が分析の対象となった。 2)調査内容.  情動的共感性尺度〈25項目〉  情動的共感性は「他人が情動状態を経験しているか,また は経験しようとしていると知覚したために,観察者にも生じ た情動的な反応」と定義されており,Mehrabian&Epstein (1972)が作成した情動的共感性尺度を,加藤・高木(1980). により目本人にふさわしい内容の尺度として新たに作成され たものである。この尺度に対しては,「はい」「いいえ」の2 件法で回答が求められた。.  養護教諭の役割認知尺度〈17項目>  この尺度は,浅川・高橋・古川(印刷中)が作成した養護 教諭への役割期待尺度〈15項目>を養護教諭向けに一部修正 し,また伊藤(1997),早坂・斉藤・中嶋(2001)を参考にし て17項目を設定した。この尺度に対しては,「全くその通り」 ∼「全然ちがう」の4件法で回答が求められた。  養護教諭の悩み・不満尺度〈15項目〉  この尺度は,伊藤(1997),早坂・斉藤・中嶋(2001)を参 考にして15項目を設定した。この尺度に対しては,「全く悩. んでいない」∼r非常に悩んでいる」の4件法で回答が求め られた。 10.

(16)  また,フェイス・シートとして,性別・年齢・養護教諭経 験年数・校種・児童生徒数を問う質問が加えられた。 3)調査時期と手続き.  2005年7月∼8月にかけて本調査は実施された。近畿圏内 の公立小・中学校養護教諭178名に対して調査を依頼し,調 査票を個別に手渡し,または郵送し,回答後にすべて郵送す. るよう求められた。125名から回答が得られた(回収率 70.2%)。. 11.

(17) 結. 果. 1 養護教諭の役割認知尺度について 1)養護教諭の役割認知尺度の因子分析.  本調査の手続きに従って得られたデータに基づき,r養護 教諭の役割認知尺度」の17項目ついて因子分析(主因子法,. バリマックス回転)が実施された。その結果,因子負荷が 1つの因子について.40以上で,かつ他の因子負荷量との差 が.10以上の2因子14項目が抽出された(Table1)。  第1因子は「児童生徒をやさしく受け入れている」「話を 十分に聞いている」「担任に連絡している」「保健室でゆっ くり休ませている」など11項目の内容から「受容的ケア」 と,第2因子は「知識を教えている」「健康によい行動につ いて教えている」「相談にのっている」の3項目の内容から 「指導助言」と命名された。.  因子別の信頼性についてα係数を算出したところそれぞ れ,0.85,0.73であった。. 12.

(18) Table I. iO). 15. ci. U-- J=. 1J : ; ) I{ /)7 f i ;. (:. *. O) : i /. . ,'L'. l lCOV^C C CV+. I f. . 26 . 81. 6. 2.. }C J 1-'-'P* i. I15 i. ly. 'fT ' J}COV ¥. .j*O) O. CV. . 65. ly. . 58. 3. 91 2. 11. D. I f : J ・. 23. 03 12. 43 23. 03 35. 47. '.. l T i if : . 25,' JL ) ) f' ' '--'" E :Ut*・-. 2 ) j. i!. p C. J=.. ). t ia). q). :. C iC. V. C" ' '-=+"B'J. E. =9.66). ) - t・-._. I. O f. 10 F. ):T, 11. i - -. i. ( 3. iC. C i q). }f. !J : I I t,. C. . 11Z. p. A q) 3. . '---"* I). f :. :. }. J1. 4. ' b 35. C. ;. iCi. F q) :. ; 17. 84. 'O t・-,_t・・._. -20 Fi, 2l *Ij-. C. C. E. ,. p. P (S D. :. C ,. f'-*... ) T/ L** ) : '4 P , ,,. jC ] U C , : :4. ;. :j 1 : Table 2 q). 13. :. ). ) ..

(19) Table2  経験年数3群における養護教諭の役割認知尺度得点の平均値と標準偏差. 経験年数. 10年以下. 11∼20年. 21年以上. (n=27). (n=34). (n=38). 養護教諭の役割期待尺叉   Mean  S,D,  Mean  S,D,  Mean  S,D,. 受容的ケア. 3496(412)35,18(生56)3生97(生28). 指導助言. 8,93(1,54)8,79(1,61)9,03(1,67).  質問紙の下位尺度得点(因子)ごとに,経験年数3群を独 立変数とする1要因分散分析を行ったところ,どの下位尺度 においても,有意な経験年数群間の差は認められなかった。. 3)校種・共感水準が養護教諭の役割認知に及ぽす影響  情動的共感性にっいては,合計得点の平均値から+1/2SD 以上の範囲内を高群,平均値から一1/2SD以下の範囲内を低 群,そのほかを中群とした共感水準の高中低3群を設定した。  Table3は,下位尺度得点(因子別)ごとに,校種別,共感 水準別にそれぞれ養護教諭の役割認知尺度得点の平均値を示 したものである。. 14.

(20) Table3 校種,共感水準別にみた養護教諭の役割     認知尺度得点の平均値と標準偏差 校種,共感水準. 低群. 9.08(1.83). 35.68(4.69). 8.61(1.31). 高群. 35.04(4.08). 8.79(L60). 低群. 34。15(4.43). 8.92(1.93). 中群 n=12). 32.75(3.55). 8.92(1.56). 高群. 36.50(4.09). 10.67(1.03). 小学校. 中 群. n二68). n二28). n=28). n=13). n=31). 弔2因子’首  旨. 36.08(4.21). n=12). 中学校. 弔1因子普痴・ ア. n=6). ( )は標準偏差.  質問紙の下位尺度得点(因子)ごとに2(校種)×3(共感水 準)の要因計画に基づく分散分析を行ったところ,次のような 結果を得た。まず,「受容的ケア」得点においては,いずれの 主効果及び交互作用も有意ではなかった。  次に,「指導助言」得点についても同様の分析を行ったとこ ろ,校種の主効果が有意な傾向(F(1,93)=3.47,p〈.10)であ. った。これは,小学校の養護教諭が中学校の養護教諭より有 意に当該得点が低い傾向を示すものであった。共感水準の主 効果も有意な傾向(F(2,93)=2.39,p〈.10)にあった。多重比. 較を実施したところ,共感性中群が高群より有意に当該得点 が低い傾向(p〈.10)を示すものであった。また,校種と共感水 準の交互作用(F(2,93)=2.51,p〈.10)も有意な傾向にあった 15.

(21) (Figure1参照)。下位分析を実施した結果,Figure1からも 明らかなように,小学校では共感水準群間に「指導助言」得 点の有意差はなかったが,中学校では共感性高群が,中群や 低群より有意に当該得点が高い傾向にあった。しかし,中群 と低群の間には有意な差は見られなかった。また共感性高群 では,中学校の養護教諭が小学校の養護教諭より有意に当該 得点が高かった(p〈.01)。. 得点. 四低群 中群 コ高群. 校種.   小学校          中学校 igure1校種,共感水準別にみたr指導助言』得点. 16.

(22) 2 養護教諭の悩み・不満尺度について 1) 養護教諭の悩み・不満尺度の因子分析.  本調査の手続きに従って得られたデータに基づき,「養護教 諭の悩み・不満尺度」の15項目ついて因子分析(主因子法,. バリマックス回転)が実施された。その結果,因子負荷が1 つの因子について.40以上で,かつ他の因子負荷量との差 が.10以上の2因子13項目が抽出された(Table3)。.  第1因子は「養護教諭の位置づけが低い」「他の教職員に理 解されていない」r保護者との連携がうまくできない」「孤独. 感がある」など8項目の内容から「孤立と不承認」と,第2 因子は「医学的な知識が不足している」「救急処置技術が未熟 である」「相談的対応の仕方がわからない」など5項目の内容 から「力量不足」と命名された。  因子別の信頼性についてα係数を算出したところそれぞれ 0.83,0.83であった。. 17.

(23) Table4 i =. C iO)'f. l'v '. , / ) 7y ;. 4. 4 :;. 0). I. J : ! q) I /. f : ; (EI I. ). ly +. . 38 . 81. 3. 1 i*i 1.. C :. 5.. i f. 8. i. 1. ". l t, q) ). D;f : L i. 1. 'iT '. q).1** i. F. . 79. :. t l. f. I : Q l f'. ) > b f ly. . 77 ) 1. t:q). q). 5. b. <. +. f. ly. . 59. f ly. . 49. 3. 61 2. 86 24. 06 19. 1. *'. 24. 06 43. 16 lT. 2 ). o. P Ch. 1 =9.66). 10. CI. E UC 5. AT 11. . IFi. iC. et. 1Z. 7F: f i:. :. :. ). F-20 F , 21. = IJO)f l. . 25 '. ly^Cl t. ) - t・・,_. I. i 3. t iq). 0) :. a)i i C. i_ f. ). iO. tC l. O). ' "-' '-・"E. }. s. 35. :a). ): q) 3. a)T/ L). :. :. i* x" E :. C i. U. IC J U ,. I : T*ble 5 (7) i : V. 18. F. Cf : 17. 84 Fi (S D. ・- t-・*t・-,_ 5,. F. U f*'-. : : Fi ). ..

(24) Table5  経験年数3群における養護教諭の悩み・不満尺度得点の平均値と標準偏差. 経験年数. 10年以下. 11∼20年. 21年以上. (n=27). (n=34). (nニ38). F値. 養護教諭の悩み・不満尺ヌ   Mean  S,D.   Mean  S.D.   Mean  S.D,. 孤立と不承認. 16.15(3,60)16,47(3,63)16,32(3.03) 几s. 力量不足. 12,81(3,29)11,32(2,17) 11 (1,54)5.12* *P〈,Ol.  質問紙の下位尺度得点(因子)ごとに,経験年数3群を独 立変数とする1要因分散分析を行ったところ,第2因子「力 量不足」にのみ有意差が認められた(F(2,96)=5.13,p〈.01)。. Tukey法による多重比較の結果,経験年数10年以下の養護教 諭が経験年数11年以上の養護教諭より有意に当該得点が高 かった。経験年数11∼20年と経験年数21年以上の養護教諭 の間には有意差は見られなかった。. 3)校種・共感水準が養護教諭の悩みや不満に及ぽす影響.  情動的共感性にっいては,合計得点の平均値から+1/2SD 以上の範囲内を高群,平均値から一1/2SD以下の範囲内を低 群,そのほかを中群とした共感水準の高中低3群を設定した。  Table6は,下位尺度得点(因子別)ごとに,校種別,共感 水準別にそれぞれ養護教諭の悩み・不満尺度得点の平均値を 示したものである。. 19.

(25) Table6 校種,共感水準別にみた養護教諭の悩 み・不満尺度得点の平均値と標準偏差. 校種,共感水準. 低群 n=68). 中群 n=28〉. 16.75(3.57). 12.04(2.71). 高群. 17.04(4.12〉. 12.29(2.02). 低群. 16.92(2.87). 11.15(2.61). 中群. 15.75(1.42). 11.17(L40). 16.00(1.41〉. 11.33(2.50). n=13). n=31〉. 量不足 10.08(2.81). n=28). 中学校. 立と不承認. 第2因子. 13.75(2.56〉. n=12). 小学校.  第咽子. n=12). 高群 n=6). (  は標“偏.  質問紙の下位尺度得点(因子)ごとに2(校種)×3(共感水 準)の要因計画に基づく分散分析を行ったところ,次のような 結果を得た。.  まず,「孤立と不承認」得点においては,主効果は有意では なかったが,校種と共感水準の交互作用(F(2,93)=3.45, p<.05)が有意であった(Figure2参照)。下位分析を実施した. 結果,中学校では共感水準群間で「孤立と不承認」得点の有 意差はなかったが,小学校では共感性低群が,中群や高群よ り有意に当該得点が低かった(p〈.05)。しかし,中群と低群 の間には有意な差は見られなかった。また共感性低群では, 小学校の養護教諭が中学校の養護教諭より有意に当該得点が 低かった(p<.05)。 20.

(26)  次に,「力量不足」得点についても同様の分析を行ったとこ. ろ,いずれの主効果及び交互作用にも有意ではなかった。. 得点. 18 16. 14 12. 10. 8 6 4. 2 0 中学校. 小学校. 校種. Figure2校種,共感水準別にみた「孤立と不承認』得点. 21.

(27) 考 察 1 養護教諭の役割認知尺度について 1)養護教諭の役割認知尺度の因子分析  養護教諭の役割認知尺度の因子分析の結果,「受容的ケア」 r指導助言」の2因子が抽出された。  因子名や項目内容より,養護教諭は身体症状を訴えて保健 室に来室する児童生徒の応急処置はもちろん,養護活動全般 において,児童生徒のあるがままの状態を受け入れて,まず その気持ちに寄り添いながら共感的に話を聞き対応すること,. そして担任や家庭との連絡を密にし連携しながら児童生徒の 健康問題を解決することを役割として認知していると考えら れる。これは,「心身に問題を持つ児童生徒への対応,指導」 にあたる健康相談活動についての認知でもあるといえる。  油布・洞(2005)がこの15年問の養護教諭を取り巻く状況と その仕事の変容について調査した研究では,今最も力を入れ ている仕事について,15年前の調査では「心身に問題を持つ 児童生徒への対応,指導」が37.9%であったのが,今回の調 査では48.5%と11.6%も上昇しており,また,早坂・斉藤・ 中嶋(2001)の調査でも,養護教諭の74%は,「心身に問題 を持つ児童生徒への対応,指導」を養護教諭の役割として認 知しているという結果であった。これらのことから,養護教 諭は健康相談活動を役割として認知し,児童生徒の心と体の 両面への対応を行っているといえる。  また,もう一つの役割として,学校保健の専門家である教 師としての立場から健康,疾病,発育発達などの具体的な情 報を児童生徒に提供し,課題解決に向けてともに考えようと 22.

(28) する役割を認知している。これは,養護教諭の職務の個別・ 集団への保健指導にあたると考えられ,小倉(1985)による と,特定の健康上の問題を持つ子どもはもとより,すべての 児童生徒が自らの健康について関心と理解をもち,健康問題 を合理的に解決していく能力を発達させるように援助する過 程であるという。.  一方,浅川・高橋・古川(印刷中)が児童生徒の養護教諭へ の役割期待を調査した研究では,養護教諭への役割期待尺度 の因子分析の結果,「受容」と「情報伝達」の2因子が抽出さ れている。「自分を受け入れてほしい」という受容の期待と, 健康,疾病,発育発達などの具体的な情報を提供してくれて,. 課題解決に向けてともに考えてほしいという期待を児童生徒 は養護教諭に対して持っていると考えられる。これらは,養 護教諭が役割認知するr受容的ケア」とr指導助言」とに対 応しており,児童生徒の養護教諭への役割期待と養護教諭の 役割認知の間にはズレは生じておらず,養護教諭は児童生徒 の二一ズや期待に応える形で職務を遂行していることがあら ためて示唆された。. 2)経験年数が養護教諭の役割認知に及ぽす影響.  養護教諭の役割認知尺度の下位尺度ごとに,経験年数3群 を独立変数にして1要因分散分析を行った結果,有意差は認 められなかった。児童生徒に対して受容的ケアを行うことや 健康問題に対して指導助言や保健指導を行うことなどの役割 を経験年数に関係なく,勤務した当初から養護教諭の役割と して捉え,職務を遂行していると考えられる。. 23.

(29) 3)校種・共感水準が養護教諭の役割認知に及ぽす影響.  養護教諭の役割認知尺度の下位尺度ごとに,2(校種)X3 (共感水準)の要因計画に基づく分散分析を行った結果,「受容. 的ケア」得点においては,校種,共感水準の主効果及び交互 作用に有意な差はみられなかった。これは,校種や養護教諭 が持つそれぞれの共感水準に関係なく,養護教諭は身体症状 を訴えて保健室に来室する児童生徒の応急処置はもちろん, 養護活動全般において,児童生徒のあるがままの状態を受け 入れて,まずその気持ちに寄り添いながら共感的に話を聞き 対応すること,そして担任や家庭との連絡を密にし連携しな がら児童・生徒の健康問題を解決することを役割として認知 していると考えられる。.  次に,「指導助言」得点では,小学校の養護教諭が中学校の. 養護教諭より有意に当該得点が低い傾向にあった。「指導助 言」の下位項目の中には「相談にのっている」という項目が 含まれているのだが,これが大谷・森田(2000)が健康相談活 動を相談の形態でr知識・情報提供型」とrカウンセリング 型」の2つに分けているうちの,問題を抱える子どもや保護 者に対して,健康や疾病,発育発達などの具体的な知識・情 報を提供し,課題解決のためにともに考えようとする「知識・ 情報提供型」の相談活動と認識されていると考えられる。中 学校の養護教諭で当該得点が高いのは,中学生は思春期の身 体的にも精神的にも発達的変化を遂げる時期にあり,それに 伴う個人差は極めて大きく,時には健康上の偏りや障害と して誤解され,思春期の子どもにとって大きな悩みになるこ とがある。そのため養護教諭は生徒に正しい知識や情報を与 えるため,個別の保健指導などを行っているからであろう。 また,生徒指導上の問題からも,生徒を指導するという体制 が小学校よりも強く,また,修了年数が3年と短く,進路決 24.

(30) 定など期限が区切られているものが小学校より多くあるため, 指示的対応になるのだと思われる。  また,小学校では共感水準群間に「指導助言」得点の有意 差はなかったが,中学校では共感性高群が,中群や低群より 有意に当該得点が高い傾向にあった。しかし,中群と低群の 間には有意な差は見られなかった。また共感性高群では,中 学校の養護教諭が小学校の養護教諭より有意に当該得点が高 かった(p〈.01)。.  養護教諭は保健室に来室する児童・生徒を受け入れ,その 子どもの訴えを親身に聴き,その気持ちや感情に焦点を絞り 共感的理解をすることで,子どもに寄り添いながら,問題解 決と発達を援助している。共感性の高い養護教諭は,児童生 徒の表出感情に気づくことができ,本人が自分の隠れた感情 に気づくまで待つことができると考えられる。そのため,r受 容的ケア」得点が高くなると推察されたが,結果は「指導助 言」得点が中学校の共感性の高い養護教諭が有意に高くなっ ていた。これは,前にも述べたが「指導助言」に知識・情報 提供型の相談活動が含まれているためと,児童生徒の表出感 情に気づくことはできるが,中学校では進路や授業時間数な どで時間的な制約があり,時間をかけて対応することが難し く,指示的な相談活動になってしまっているとも考えられる。  また高石・鈴木(2003)は,中・高校生は言語理解能力が発 達し,カウンセリングによる対応が可能であるが,一方では 心理的な抑圧が強く,葛藤を言語化せず,身体化して表出す る。養護教諭の対応は,カウンセリング的な対応が中心とな るが,心身症状に対しては,疾病・症状の説明と対処法の保 健指導が中心である。問題行動が精神障害や心身症による場 合は,その対応は保健指導や目常会話が中心となる。これに 比べ,不登校への対応はカウンセリングが中心である。この ように子どもの健康度や言語理解力に応じて,養護教諭は対 25.

(31) 応方法を選択することが大切であると述べおり,本研究でも, 中学校の養護教諭は,生徒の状態に応じて対応方法を変えて いたのかもしれない。. 2 養護教諭の悩み・不満尺度について 1)養護教諭の悩み・不満尺度の因子分析  養護教諭の悩み・不満尺度の因子分析の結果,「孤立と不承 認j r力量不足」の2因子が抽出された。養護教諭の役割遂行 上の悩みや問題点は,「位置づけの低さ」「理解されない」「孤. 独」といった養護教諭の役割上の地位にかかわること,養護 教諭に必要な知識・技術・支援方法といった専門性にかかわ ることであった。これらは,養護教諭の職務内容や専門性の 曖昧さから派生していると考えられ,鈴木・別惣・岡東(1994). は,学校経営における養護教諭のr位置」は,常に2つの側 面から捉えられ,一っは,他の教師からの理解や承認が得ら れないといった経営的場面において疎外されたr位置」であ り,もう一つは児童生徒にとっての「オアシス」という位置 であるとし,後者の役割に対する期待はますます大きくなっ ており,それによって常に児童生徒を受容しなければならな いという養護教諭自身の身体的・精神的負担の問題が指摘さ れている。また,機能的な側面についても,保健指導や保健 事務活動などの本来的な職務の時間が十分確保できず,職務 負担感や多忙感をますます増大させ,職務の遂行状況は停滞 することになると述べている。そして,結果的に,このよう な養護教諭の職務の「見える」領域でさえも「見えにくい=評 価されない」対象となり,学校組織における養護教諭の位置 をますます不明瞭なものにする可能性も指摘している。. 26.

(32) 2)経験年数が養護教諭の悩みや不満に及ぽす影響.  養護教諭の悩み・不満尺度の下位尺度ごとに,経験年数3 群を独立変数とした1要因分散分析を行った結果,経験年数 10年以下の養護教諭が,経験年数11年以上の養護教諭より, 養護教諭の専門性に対して力量不足を感じ悩んでいることが 示された。早坂・斎藤・中嶋(2001)は,年齢による養護教 諭の役割遂行上の困難点や悩みの状況については,20代・30 代は知識・技術・指導者がいないなどの専門性に関すること が問題にされており,40代は多忙,50代は役割上の地位に関 する問題があるとしている。本研究と同様に経験年数が少な いほど養護教諭の力量についての悩みや不安を持っており, 経験が養護教諭の職務に対する自信につながり,力量を高め る要因の一つになっているといえる。. 3)校種・共感水準が養護教諭の悩みや不満に及ぽす影響.  まず,校種にっいては,養護教諭の悩み・不満尺度の下位 尺度得点(因子別)において有意差は認められなかった。この 結果,校種が養護教諭の抱く孤立や承認されていないという 不満や力量不足などの悩みに影響されていないことになる。 前述の伊藤(1997)の研究において,医者役割は小学校,カ ウンセラー役割は中学校の養護教諭に多く,あと教師役割の 3タイプ間で養護教諭の悩みについて調査したが,有意な差 はほとんど見られず,唯一「専門知識・技術」に関して医者 役割が最も強く悩んでいるという結果とも類似している。  次に,中学校では共感水準群間に「孤立と不承認」得点の 有意差はなかったが,小学校では共感性低群が,中群や高群 より有意に当該得点が低かった(p〈.05)。しかし,中群と低 群の間には有意な差は見られなかった。また共感性低群では, 27.

(33) 中学校の養護教諭が小学校の養護教諭より有意に当該得点が 高かった(p〈.05)。.  共感性の高い養護教諭は,担任や他の教師と円滑に連携し, 児童生徒を支援することができると考え,「孤立と不承認」得. 点が低くなると推察していたが,結果は反対で,小学校の共 感性が低い養護教諭は,孤立や承認されていないという不満 を共感性の中群や高群の養護教諭ほどは持っていなかった。 澤田(1998)によると,共感性の程度は,その人の対人態度に 影響するとされ,共感は人間関係の潤滑油としての役割を果 たすと考えられる。共感性が低い養護教諭は,教職員の人間 関係が希薄になっており,担任など他の教師の感情や気持ち に気づくことができず,独自で連携せずに養護活動を進めて いるのではないだろうか。もしそうなら,組織の中での位置 や関係性の問題である孤立や承認されていないという不満は 低くなると考えられる。中学校の共感性が低い養護教諭につ いては,中学校では,小学校よりも教職員間でさまざまな組 織があり,その一員として養護教諭も連携することが多いた め,必然的に円滑な人問関係が求められ,その中での悩みや 不満は高くなるのかもしれない。  また,廣瀬・有村(1999)の養護教諭の職場ストレッサーに. 関する研究によると,一般教師とは異なるストレッサーとし て,養護教諭の職務に対する「無理解」の因子が存在し,養 護教諭の職務に対して,他の教師からの理解や承認が得られ ないことが,養護教諭のストレスになっていることが明らか にされている。.  このような養護教諭の役割遂行上の困難や悩みへの対処法 は,まず学校内では一人職種のため,近隣の学校などの養護 教諭相互の連携により,悩みをわかりあい,分かち合い,話 し合える仲間の存在が重要であり,その中で解決方法を学ぶ ことができると考える。そして,学校内では養護教諭が児童 28.

(34) 生徒の二一ズや期待に応え職務を遂行していくためにも,目 ごろから担任や他の教師との情報交換など連携を密にし,教 職員の理解や協力を得るための取り組みを推進していくこと が必要であると考える。. 29.

(35) ま と め  本研究では,小・中学校の養護教諭がその情動的共感性の 水準によって,養護教諭職の役割認知やかれらの悩みに与え る影響について調査を行い,その結果について検討した。  養護教諭の役割認知尺度に対し,因子分析が行われ,2因 子「受容的ケア」「指導助言」が抽出された。因子名や項目内 容より,養護教諭は身体症状を訴えて保健室に来室する児童 生徒の応急処置はもちろん,養護活動全般において,児童生 徒のあるがままの状態を受け入れて,まずその気持ちに寄り 添いながら共感的に話を聞き対応すること,そして担任や家 庭との連絡を密にし連携しながら児童生徒の健康問題を解決 することを役割として認知していると考えられる。また,も う一つの役割として,学校保健の専門家である教師としての 立場から健康,疾病,発育発達などの具体的な情報を児童生 徒に提供し,課題解決に向けてともに考えようとする役割を 認知している。.  一方,児童生徒の養護教諭に対する役割期待については, 前述の浅川・高橋・古川(印刷中)の研究から,養護教諭に対 して「受容」と「情報伝達」の期待を持っており,児童生徒 の養護教諭への役割期待と養護教諭の役割認知の間にはズレ は生じておらず,養護教諭は児童生徒の二一ズや期待に応え る形で職務を遂行していることがあらためて示唆された。し かし,学年が上がるにっれて,また学校適応水準が低いほど 養護教諭や保健室のイメージが下がるのは,共感性の高い養 護教諭でも,r聴くこと」はできてもr待っこと」ができず支 持的な対応になってしまっていたり,養護教諭に対する受容 二一ズや期待を持っているが,保健室に入ることができずに 適切な支援を受けることができない児童生徒もいるのではな 30.

(36) いだろうか。.  以上のことから,養護教諭の果たす役割は,保健室を基点 とするが,すべての児童生徒を対象とし,いつでも,どこで も児童生徒のあるがままの状態を受け入れ,その気持ちに寄 り添いながら共感的に話を聞くことで,良好な信頼関係を築 き,児童生徒の二一ズを的確に捉え,それに即した対応をす ることであると考えられる。.  居場所が中学生の学校適応感に及ぼす影響について研究し た西(2000)は,居場所を自分が自分でいられる場所であり,. 自分が認められる人と人の関係性のある場所とし,保健室を 避難できる場所と位置づけている。また小学校高学年から中 学校進学までに伴う適応過程について,これまでの研究を概 観した小泉(1992)は,各環境次元で,その基点となるアンカ ーポイントが重要な役割を持つという。学校内に居場所とし て認知される空間を児童生徒が持つことは,彼のいうように 環境適応の基点となり,児童生徒と学校環境間の均衡化を促 進する働きをもっと考えられる。そうすると,保健室は学校 内で,環境適応の基点となるアンカーポイントであり,養護 教諭が対人関係の発達を促進する社会的アンカーポイントの 役割を担っているといえる。.  養護教諭がアンカーポイントの役割を果たすには,保健室 であるがままの児童生徒を受け入れ,児童生徒の心を共感的 に理解し,信頼関係を築くことであり,これは養護教諭が果 たす役割と同じであるといえる。そして養護教諭には,共感 的理解が求められている。.  本研究では,養護教諭の共感性が,養護教諭の受容的ケア の役割認知には影響しなかった。それは,養護教諭の対応は,. まず保健室で子どもの体や心の訴えに耳を傾け,子どもを理 解することからが始まり,この共感的理解が養護活動の中核 をなすものであると捉えて,多くの養護教諭が職務を遂行し 31.

(37) ているからではないだろうか。また,養護教諭の共感性がそ もそも高い可能性があるが,今回は他の教職員などと比較検 討がなされなかったため今後検討の余地がある。  ところで,児童生徒を共感的に理解することはたやすいこ とではない。広木(2000)は,カウンセラーの専門性が共感と 受容を中心に据えているのに対して,教師の専門性は評価と 指導を中心に据えていることを教師は自覚すべきだとし,こ れらの専門性から生じる違いは相互に矛盾するものであるが, 絶対的な越えられない壁ではない。評価と指導を専門とする 教師にとって,ありのままの姿を肯定的に受け入れる受容と 共感の実践を可能にするには,r聴くこと」とr待っことjが できるようになることが不可欠であると述べている。養護教 諭にも,共感的理解のためには,「聴くこと」と「待つこと」 が求められているが,保健室来室者の多さや休憩時間などの 限られた時間内では難しい。また,孤立や力量不足などの悩 みや不満を抱えているものも少なくない。中学校の共感性高 群の「指導助言」得点が高かったのは,子どもの健康問題に 気づくことはできるが,「待つこと」ができないため,指示的 になっている可能性がある。そこで,養護教諭ただ一人が孤 軍奮闘するのではなく,児童生徒を取り巻く担任や家庭,管 理職や専門機関などと協力・連携していく必要があるだろう。  養護教諭の悩みや不満にっいては,小学校の共感性低群が 「孤立・不承認」得点が有意に低く,孤独感や承認されてい ないという不満が少ないという結果であった。これは,共感 性が低い養護教諭は,担任など他の教師の感情や気持ちに気 づくことができず,連携せずに独自で養護活動を進めている のではないだろうか。反対に共感性の高い養護教諭は,子ど もたちの健康問題を担任など他の教員と共有し,連携して支 援するため,より円滑な人間関係が求められ,その中での悩 みや不満が高くなると考えられ,児童生徒を取り巻く担任や 32.

(38) 家庭,管理職や専門機関などと協力・連携していく上で,養 護教諭の共感性が重要であることが明確になった。  石隈(1999)は,保健室における養護教諭の援助サービスは,. 子どもの心身の問題を発見し援助することから,子どもの心 身の状況についての情報収集,子どもへの直接的な援助サー ビス,教師や保護者の相談(コンサルテーション)と幅広く 展開している。さらに援助チームのコーディネーターを努め る役割があると述べている。学校においてチーム援助が効果 をあげるのは,チームをまとめ,調整していくためのコーデ ィネーターの存在が鍵を握り,養護教諭がスクールカウンセ ラーや外部の専門機関との橋渡し役となることも少なくない。 その際,円滑な人間関係を築き,チーム援助の効果をあげる には,やはり対人援助実践に通底する営みである共感が重要 だと考えられる。.  このように,養護教諭が共感性を高めることは,養護教諭 に求められている役割を果たすことにつながり,児童生徒の 健康問題の解決に向けた取り組みを円滑に進めることができ るといえる。そのためにも,今後養護教諭の共感性を高める プログラムや研修法などが開発されることを期待する。. 33.

(39) 引 用 文 献 浅川潔司・高橋慶子・古川雅文 印刷中 児童生徒の学校適応水準が.   養護教諭及び保健室のイメージ形成に及ぼす影響 兵庫教育大学   研究紀要 播磨俊子・佐藤眞子・澤田瑞也(編). 2003 カウンセリングを学ぶ人.   のために 世界思想社. 早坂幸子・斉藤吉雄・中嶋明勲 2001. 養護教諭の役割認知と役割期.   待 人問情報学研究,6,11−26 広木克行 2000 受容・共感と教師  『教育』,4月号,6−13. 贋瀬春次・有村信子 1999 養護教諭の精神的健康に及ぽす職場スト.   レッサーと職場サポートの影響 学校保健研究,41,74−82 石隈利紀 1999 学校心理学 誠信書房. 伊藤美奈子 1997 相談活動を期待される養護教諭の役割認知とその.   悩みに関する一研究 カウンセリング研究,30,266−273. 葛西真記子・中川曜子 2002 養護教諭の共感的理解を高める自己研   修法一内的反応を振り返るワークシートを用いて一 鳴門教育大   学研究紀要(教育科学編),第17巻,73−83. 加藤隆勝・高木秀明 1980 青年期における情動的共感性の特質 筑   波大学心理学研究,2,33−42. 34.

(40) 小泉令三. 1992 中学校進学時における生徒の適応過程.   研究,. 40, 348− 358. 森田光子 2002. 教育心理学. 養護教諭の専門的活動としての健康相談活動 保健.   の科学,44, 第10号,746−751. 森田光子・今井洋子・西村紀美江・中村泰子・大戸ヨシ子・阿部紀子   1986 目常的に行われる相談活動の実際一相談的対応に見る養護   教諭固有の機能一 東山書房. 小倉 学 1985 養護教諭一その専門職性と機能一(改訂版)東山書 一房. 大谷尚子・森田光子 2000. 養護教諭の行う健康相談活動 東山書.   房. 櫻井聖子・青木紀久代 2005 中学生のメンタルヘルスと心理的サポ   ート源としての保健室∼保健室頻回利用者とサポート源を持たな   い生徒のメンタルヘルス検討の試み∼ 学校保健研究,47,50−   61. 澤田瑞也 1998 カウンセリングと共感 世界思想社 杉浦守邦 1982 養護教諭の職務 東山書房 鈴木邦治・別惣淳二・岡東壽隆 1994 学校経営と養護教諭の職務(■).   一養護教諭の役割と「位置」の認知を中心にして 広島大学教育   学部紀要 第一部〈教育学〉,第43号,153−163. 35.

(41) 高石昌弘・鈴木美智子 2003 保健室における養護教諭の対応 開隆   堂出版株式会社. 田澤安弘 2004 養護教諭のアイデンティティと臨床教育学 北海道   教育大学紀要(教育科学編),第55巻,第1号,233−247. 油布佐和子・洞 沙織 2005 養護教諭の生活と意識(2)一15年の   変容をたどる一 福岡教育大学紀要,第54号〈4〉,41−55. 山本和郎 1995 保健室と教師・生徒 現代のエスプリ,No330,72   −79. 山本多喜司・ワップナー,S 1992 人生移行の発達心理学 北大路書   房. 36.

(42) お わ り に  養護教諭の果たす役割は,いつでも,児童生徒のあるがま まの状態を受け入れ,その気持ちに寄り添いながら共感的に 話を聞くことで,良好な信頼関係を築き,児童生徒の二一ズ を的確に捉え,それに即した対応をすることであると考えら れ,また,養護教諭は児童生徒の二一ズや期待に応える形で 職務を遂行していることが示唆されている。  すなわち,養護教諭は,児童生徒の二一ズに即して自分の 役割(看護師のように身体面の処置をする,カウンセラーのよ うに話に耳を傾ける,教師のように生徒指導的にかかわる) を自由に転換させて対応をしており,対象に即して絶えず自 分の身を形成できることが,優れた対人援助者としての養護 教諭の条件であるといえる(田澤,2004)。.  時代の流れの中で,児童生徒の健康問題や二一ズは変化し また多様化しており,それに応える形で養護教諭の役割も移 り変わってきている。しかし,これまでからずっと変わらな い養護教諭の対応が,保健室において,いっでも,児童生徒 のあるがままの状態を受け入れ,その気持ちに寄り添いなが ら共感的に話を聞いている姿であり,これは,児童生徒の二 一ズを的確に捉えることになり,この共感的理解こそが,普 遍的な養護教諭の本質であると考えられる。  多様な役割を養護教諭が担っていく上で,共感的理解こそ が,さまざまな役割の一っずつの橋渡しをしてくれるだろう。 そして,養護教諭が共感性を高めることは,養護教諭に求め られている役割を果たすことにつながり,児童生徒の健康問 題の解決に向けた取り組みを円滑に進めることができるだろ う。.

(43) 謝辞  本研究の推進にあたり,非力な筆者に対して,温かくまた 示唆に富む指導をしてくださいました指導教官の浅川潔司教 授には,心より御礼申し上げます。  また,学校心理コースの古川雅文教授には,浅川教授がア メリカ・カナダ出張で不在だった問,懇切丁寧に指導してい ただきましたことを深く感謝いたします。  調査にご協力いただきました近畿圏内の小・申学校の養護 教諭の先生方に心より御礼申し上げます。また,A小学校の 室井久和校長先生,森山明彦教諭には,調査にあたりご尽力 くださり誠にありがとうございました。そして,2年問とい う長期研修の機会を与えてくださった兵庫県教育委員会,赤 穂市教育委員会に深謝申し上げます。温かく見守ってくださ った職場の皆様には,感謝の気持ちでいっぱいです。  それから,いつも励ましてくださり,教えてくださった学 校心理コースの諸先生方と第1期生の皆さんに感謝するとと もに,供に学べたことをうれしく,思います。.  最後に,2年問にわたる私の学びと研究について理解し支 えてくれた夫,長男,祖母に心から感謝の気持ちを捧げます。  本当にありがとうございました。. 高橋 慶子.

(44) 養護教諭の役割に関する質問紙調査用紙. ①フェイス・シート. ②情動的共感性尺度. ③養護教諭の役割認知尺度. ④養護教諭の悩み・不安尺度.

(45) 平成17年7月20目. 各校養護教諭様. 養護教諭の役割に関する調査について  児童生徒の心の健康問題などが深刻化している中で、平成9年の保健体育審議会答申. では、養護教諭の新たな役割としてrヘルスカウンセリング(健康相談活動)」が明示 され、より専門的な役割の遂行が期待されるようになりました。養護教諭は、常に児童 生徒の健康問題の変質に即応して、自らの果たす役割を見定めていく必要があります。.  本研究では児童生徒の養護教諭に対する期待や要求(二一ズ)と養護教諭自身の役割 認知の双方の観点から、児童生徒の心理教育的援助サービスに養護教諭が果たす役割を 明確にすることを目的とし、研究に取り組んでおります。.  そこで、この調査では、養護教諭の先生方の役割認知の実態を明らかにし、児童生徒 の期待や二一ズに合った援助サービスについて検証することで、学校現場での養護教諭 の職務に役立てたいと考えています。.  なにとぞ調査にご協力いただきますようよろしくお願いいたします。.  なお、この調査は無記名で行いますし、結果は統計的に処理しますので、個人のデー タをとりあげて公表することは一切いたしません。思った通りを正直にお答えください。.  どうしても回答できない場合や、回答したくない場合は回答しなくて結構です。  ご不明な点やご質問がございましたら、下記までお問い合わせください。.  ご回答いただいた調査用紙につきましては、同封の封筒にて返信していただきますよ. うお願いいたします。ご多忙のところ恐縮ですが、平成■7年8,月30日 までにご投函していただければ幸いです。. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 学校心理コース.               教授  浅川 潔司 (連絡先). 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 学校心理コース.    赤穂市立赤穂小学校 養護教諭  高橋 慶子     〒673−1415 加東郡社町下久米942−1.     TEL O795−44−2117     Mail mO4072b@students.hyogo−u.ac.jp. 1.

(46) 次の質問にお答えください。(平成17年7月1日現在). 1 性別. (男性. 2 年齢. (. 女性 ). 歳 ). 3 養護教諭経験年数    (     年 *経験年数には、常勤・非常勤講師経験を含む. ケ月). 4 校種  (幼稚園 ・ 小学校 ・ 中学校 ・養護学校 ・ その他 ).                         (       ). 5 児童生徒数. (. 名 ). ・ 有. →. 人人.             (無. 度度 年年 昨今. 6 保健室登校児童生徒の有無. *保健室登校とは、常時保健室にいるか、特定の授業には出席できても、学  校にいる間は主として保健室にいる状態をいう。なお、保健室に隣接する  部屋にいて、養護教諭が主に対応している場合も保健室登校とする。. u.

(47) 問1下記の項目について、あなたは(はい・いいえ)のどちらにあては   まりますか。あてはまる方にOをっけてください。. 《例》. 私は阪神タイガースが好きだ. ( はい  ・ いいえ ). 3歌を歌ったり、聞いたりすると、私は楽しくなる 4私は人がどうレてそんなに動揺することがあるのか.  理解できない 5私は感情的にまわりの人からの影響を受けやすい 6、私は愛の歌や詩に深く感動しやすい.  私は他人が何かのことで笑っていても、それに興味. 7.  をそそられない 8私は動物が蕃しんでいるのを見ると・とてもかわ㌢、.  そうになる  人前もはばからずに愛情が表現されるのを見ると、. 9.  私は不愉快になる 10私は友人が動揺していても、自分まで動揺しでしま.  うことはない 11私は身寄りのない老人を見ると、かわいそうになる. 曜2私はまわりが興奮していても、平静でいられる. 、    、    、    、    、    、    、    、    、    、    、    、. 2 私はまわりの人が悩んでいても平気でいられる. 、    、    、    、    、    、    、    、    、    、    、    、 し    も   し   し   し   し   し   し   し   し   し   も. 1私は映画を見るとき、つい熱中してしまう. ⋮⋮.

Table I  iO) U‑‑ J=.  1J : ; ) I{ /)7 f i ;    *   (: I f  15. ci O) : i /   . ,'L' l lCOV^C C CV+   6.  }C J  ly  'fT ' J}COV ¥ CV      2.  1‑'‑'P* i .j*O) O   ly     . 26  . 81  . 65  . 58  I15 i  D  I f  : J ・ '.  3. 91 2. 11  23. 03 12. 43  23. 03 35. 

参照

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