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プロポリスの分光光度計による分析 ~簡単で信頼性の高い定性評価法

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Academic year: 2021

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ミツバチ科学20(2):85-88 HoneybeeScience(1999)

プロポ リスの分光光度計 による分析

∼簡単で信頼性 の高 い定性評価法

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「蜂やに」 として知 られてきたプロポ リスは, ミツバチの働 き蜂 によ って集 め られて加工 さ れ,巣の中の多 目的な上塗 り材,す きま充填材 および抗生物質 として用 い られる植物の分泌物 質の複合的な樹脂状混合物である. 組成 は樹脂, ワックス,水分, フェノール化 合物,精油,および無機成分か らなっている. 実際の組成 は働 き蜂が利用する植物源に左右 さ れる.プロポ リスは抗 ウイルス性,抗 (真)菌 性,抗潰癌性,抗細菌性,免疫増強性,抗炎症 悼,抗酸化性 など,幅広 い生理活性 を有す る (Bankovaeta1.,1992;Agaeta1.,1994).

これ らの性質のためにプロポ リスは古代か ら 世界の多 くの地域で天然の薬剤 として使用 され て来た(Ghisalberti,1979).近年,プロポ リス は医薬品 または化粧品 によ く利用 されている (Pochnkova,1986).プ ロポ リス原塊 を様 々 な用途で利用する場合,一般に有機成分の大部 分を含むェタノール抽出物の形である香油やチ ンクとして製品化 されることが多 い (Gree na-way eta1..1990).薬品や健康食品にはこの 有機成分の画分を混合するのが普通である. こ のよ うな抽 出物 を得 るためには,多 くの場合 70% (Ⅴ/v)のエタノールを溶媒 として用いる. この条件 ではフラボノイ ドが主 な溶 出物 とな る. フラボノイ ドはフェノール化合物の一種で あり,よ く知 られている生理活性の本質的な部 分であろう. こうした事実が,プロポ リスの化 学組成 と起源について強い関心を集めてきた. 最近,プロポ リスの医薬品,化粧品,健康食 品 としての利用が,特 にブラジルと日本で ブー ムとなった.前述 した方法 によってプロポ リス 原塊か ら抽出された有機成分の組成 に関する情 報 は重要であるが, ヨーロッパ,北 アメ リカ, 日本, ブラジルで,プロポ リスのエタノール抽 出物の品質管理上の統一的な規約がない. 生理活性や,時には膨大 な数のフラボノイ ド 化合物に起因す る.危険性 に対す るは,プロポ リスの組成,あるいは少な くともェタノール抽 出物のフェノール化合物組成 に,直接依存する ものである. プロポ リス製品を開発 し,販売 している会社 は一般的に,非常に高性能 な分析機器や,金の かかる化学的手順を踏むことにも多額の資金を 投資 しない. しか しなが ら,最低限の化学的分 析,少な くとも,大 まかな化学組成についての 知見を得 ることは不可欠である. フェノール化合物 は生理活性のある成分であ り,エタノール抽出物の最 も多 く含 まれている 物質のグループであるので,プロポ リスの香油 やチ ンクは,それ らの存在を特徴づけることが 重要である.海外で加工用原料 として利用 され るプロポ リスの大半がブラジルで生産 されてい る現状 に則 し,また簡単で,信頼性が高 く,ま た安価な実験手順によって この ミツバチ生産物 のエタノール抽出物の品質管理を行 う必要性か ら,我 々はブラジル産原塊か らのエタノール抽 出物 に含まれるフェノール化合物の最 も一般的 な組成の定性的情報を得 るために,紫外可視分 光光度測定法の利用を提案 したい. 材料 お よび方 法 サ ンプル収集 プロポ リスのサ ンプルは下記のブラジルの各 地方の数地域で集め られた. アマゾナス-マナウス地域の ドゥク保護林

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86 ミナス ・ジェライス-南部地域でサウザ ンブル ーガムと レモ ンユーカ リの優勢 な再植林地 サ ン ・パ ウロ- リオ ・クラーロ市内で レモ ンユ ーカ リが優 占種である場所 パ ラナ-州の南部地域でナ ソヨウスギとユーカ リを植物源 とする場所 リオ ・グランデ ・ド・スル-主 たる植物源がマ ツとナ ンヨウスギであるセラ ・ガウチ ャの山 地

プロポ リスの抽出

いずれのプロポ リスサ ンプル も粉末に し,各 2gを100mlの99.5%ェ クノールで, ソクス レー抽出器で5時間加熱抽出 した.各抽出液 は No.2櫨紙 (孔径5FLm,Whatman波紙)で癌 過 した

.

慮液 は凍結乾燥 し,得 られた残留物 を それぞれ99.5%のエ タノールで 1%エキス溶 液 に調製 した. これ らの溶液を紫外可視分光吸 光度計で測定 した.

U

Vスペク トルの標準化

基準 となる紫外可視分光吸光度 スペク トルは プロポ リスの中に含 まれている主要 な物質群 ご とに, フラボノイ ドの標準品か ら得た. これに は以下の ものを用 いた. フ ラボ ン- ク リシ ンお よ び ア ピゲ ニ ン (栄 SigmaChem 社製) フラボノ ン- ピノセ ンブ リン (フランス Ext -rasyntese製) フ ラボ ノ ール - ケル セ チ ン (米Carlo Erba Analyticals製), ガ ラ ン ギ ン (フ ラ ン ス Extrasyntese製)

標準物質 は単独, あるいは各 フラボノイ ドを 同 じ割合で混合 した溶液 を天然試料 を模倣 した ものと して用 いた.標準溶液 は室温下で各 フラ ボノイ ド10mgを99.5%ェ タノールで撹拝 し なが ら溶か して調製 した.各標準溶液の紫外可 視 スペク トルはダイオー ドア レイ検 出器 を装備 し た 紫 外 可 視 分 光 光 度 計 (Pharmacia製 5200)で測定 し,200-600nmの範囲で得た. 結果および考察 種 々の植物 由来の フラボノイ ド分析の経験か ら, これ らの化合物 はすべての維管束植物 に見 られ るが,ある物質群 は他 よ りも広範囲に分布 している. フラボ ンや フラボノールはすべてに 含 まれるが, イソフラボ ンや ビフラボ二ルは極 く一部の植物 に見 られる. プロポ リス原塊 は, フラボノイ ドとフェノー ル酸 に富む,樹脂性の植物の芽か ら集め られた 物質 を含んでいる(Bankovaeta1.,1992).こ れまでの研究か らフラボノイ ドは12の グルー プに小分類 され, その中には約4000もの化合 物が含まれることがわか っている. これ らの化 合物 は植物の中では糖鎖 を有す る配糖体 と して 含 まれている可能性 もあ り, またあるひとっの 植物 にあるフラボノイ ドの数種 の配糖体が含 ま れていることもあるだろ う. しか しなが らプ ロ ポ リス原塊中の大部分の フラボノイ ドはアグ リ コンである (Bankovaetalリ1992;Park et a1.,1995). そこで,配糖体 によ って複雑 になる可能性 は 無視 して, ブラジルのプ ロポ リス原塊のアグ リ コン態 フラボノイ ドを分析す るために,分光光 度計で フラボノイ ドの標準品のスペク トルとブ ラジル産の種 々のプロポ リスサ ンプルの抽出物 のスペク トルを比較す るとい う簡単 なプロ トコ ルを開発す ることとした. 一般 にフラボノイ ドは芳香族共役系を含んで いるので,紫外部 に高 い吸収帯がある.図1に はい くつかの標準 フラボノイ ド化合物, ク リシ ンとア ピゲニ ン (フラボ ン ・タイプ),ケルセチ ンとガランギ ン (フラボノール ・タイプ) とピ ノセ ンブ リン (フラバ ノ ン ・タイプ)の紫外可 視 スペク トルを示 した. 図 1か らわか るように,フラボノールは2つ のよ く分離 された吸収帯 を もっ. これ らは250 -270nmの問 の ピーク と,350-390nmの 問 に現 れ る ピー クによ る. フラボ ンで は300 nm付近の二次的な ピーク (スペク トルではシ ョルダー ピークとなっている) に加えて,250 -270mmと330-350nmの間 に現 れ る2つ の主 ピーク (スペク トルではショルダーとな っ ている)の存在が特徴 となる. フラバ ノンでは 3つの ピー クが,約225mm付近 と275-290 nmの間 に現 れ, それ に加 え て310-330nm

(3)

87 吸 光 度 60。 ⋮

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ゲニン ′、、ヽ \ヽ ′\ノ フラボン 0 0 0 0 0 0 0 0 6 1一

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U

V スペ ク トル

ミナス.ジエライス

2

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0

5

1

.

波長(nm) 図2 ブ ラ ジル各地 か ら得 られ た プ ロポ リスサ ンプ ルの

U

V スペ ク トル

(4)

88 の問 に二次的な ピーク (スペ ク トルで は シ ョル ダーとな っている)があ る. これ らの化合物 を 混合す るとスペク トル も複合 されたパ ター ンと な り,その うち少 な くて も上記 した6つの ピー クが明確 に現 れ るのが観察 で きる. この簡便 な分析の有用性 を実証す るため, い くつかの異 な る起源のプ ロポ リスサ ンプルを入 手 した.各地 のサ ンプルのスペ ク トルを図2に 示 した. 図2Aの リオ ・グラ ンデ ・ド・スルで得 られ たプ ロポ リスサ ンプルのスペ ク トルのパ ター ン は非常 に単純 で254,261および301nmに極 大吸収(Amax)があ り,フラボ ンのスペク トル パ ター ンと一致す る. アマゾ ン産 のプ ロポ リス の スペ ク トルパ ター ンは225nmに ショル ダ-ピークが あ り, 261,300と335nmに極大吸 収があ って, これ はフラボ ンとフラバ ノ ンの両 方 のバ ク- ンが組合わ さ った もの とよ く一致す るよ うに見 え る (E42C). サ ンパ ウロ,パ ラナおよび ミナス ・ジェライ スか らのプ ロポ リスのサ ンプルは非常 に複雑 な 紫外可視 スペ ク トルパ ター ンを示 してお り,図 2B,Dに示 され るよ うに フ ラボ ン, フ ラバ ノ ン, フラボノールの混合物 によ く一致す る. 以上 の結果 は, プ ロポ リスサ ンプルの識 別 と, それ ぞれ の プ ロポ リスサ ンプル に含 まれ る, 3種 の フラボノイ ド群 の同定作業 にお ける 紫外部吸収分析 の有用性 を明瞭 に示 している. アマゾ ンと リオ ・グラ ンデ ・ド・スルか らの プ ロポ リスサ ンプルは基本的 に フラボノイ ドの 単一 の物質群 で構成 されてお り,一方, サ ンパ ウロ,パ ラナおよび ミナス ・ジェライスか らの サ ンプルはさらにいろいろな複数 の種類 の フラ ボノイ ド群 を含んでいることが容易 に読 み取 れ る.推測で はあ るが, ユーカ リ属 の樹 が これ ら の3州 にお け るプ ロポ リスの共通起 源植物 で あろ う. なお,可視波長 スペク トルはプ ロポ リスの分 析 にはほとん ど寄与 して いない. (著者 の住所 は下記参照) (翻訳 橘 三千三) 引用文献

Aga,H,T,Shibuya,T.Sugimoto,M.KurlmOtO

andS.Nakajima.1994.Bioscl.Biotech.Bi

o-chem.58(5).945-946.

Bankova,ⅤりA.Dyulgerov,S Popov,L.Esvtatl

-eva,L.Kuleva,0 PurebandZ.Zamjansan

1992 Apidologie23:79-85.

Ghisalbertl,E.1979.BeeWorld60(2):59-84.

Greenaway,W.,T.ScasbrookandF.R.Whatley.

1987.Proc.R.Soc.Lond.B 232:249-272.

Park,Y.K.,M.H.Koo,H.H.Sato andJ.L

Contado.1995.Ar°.Biol.Technol.38(4):

1253-1259.

Pochnkova,P.1986.PchelniteProduktivMe

d-izinata.BAN Publ.,Sofia.pp.56-86.

MARIO SERGIO PALMA and OsMAR MALASPINA.

Spectrophotometric analysIS Of propolis: a

slmpleandreliablemethodofqualitativeeval

u-ation.Honeybee Science (1999) 20(2):85188.

CenterofStudy ofSocialInsects;Instituteof

BIOSClenCeSOfRIO Claro,SaoPauloStateUnl

-verslty(UNESP)-RioClaro,SP,Brazil.

TheacquisitionofUV spectrahavebeenr

ou-tinely by propollS prOCeSSlng companies in

ordertodetectandgrosslyquantifythefl

avo-noidsinraw propolissamplesandalcoholice

x-tracts Thisprocedurewasusedinpresenceof

standard flavonoid compounds to develop a

simpleandreliableprotocolinordertoperform

fastqualitative analysts OfpropollS Products.

TheUV spectrarevealedthatflavonolspresent

two welldeflned groupsofbands:two main

peaks,one between 250-270 nm and another

onebetween350-390nm:in addition toasec一

〇ndarypeakaround300nm.Theflavonesare

characterized by the presellCe Of two main

peaks,between 2501270 nm and 330-350 nm;

theflavanonespresenttwo malれ peaks,atca.

225nm andbetween275-290mm,inadditionto

a secondary peak between 310-330 nm.The

mixtureofthesecompoundspresentsapattern,

in which atleastsix ofthe peaks described

aboveareclearly observable.In spitethesi

m-plicityofthemethod,theUV spectrawerevery

usefulto dlStinguish among propolis samples

from differentreglOnS OfBrazlland may be

参照

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