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翻刻『雪梅芳譚犬の草紙』(十八)

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翻刻『雪梅芳譚犬の草紙』(十八)

著者

肥留川 嘉子, 隅田 三鈴

雑誌名

京都光華女子大学京都光華女子大学短期大学部研究

紀要

56

ページ

206-192

URL

http://id.nii.ac.jp/1108/00000927/

(2)

一 206 凡  一 、﹁翻刻 ﹃雪梅芳譚犬の草紙﹄ ︵ 十七 ︶ ﹂ ︵ ﹃ 京都光華女子大学/京都光華女 子大学短期大学部 研究紀要﹄第五十五号 、平成二十九年十二月︶の後を 承けて、 京都光華女子大学図書館蔵﹃雪梅芳譚犬の草紙﹄の﹁九編下﹂を、 図版を掲げつつ翻刻する 。合巻 ﹃雪梅芳譚犬の草紙﹄については 、﹁初編 上﹂の翻刻を掲載した﹃光華日本文学﹄第十二号の﹁凡例﹂を参照いただ きたい。 一、翻刻の方針のみあらためて掲出する。 1、図版は各丁見開きを一面とし、丁付けにより﹁一ウ、二オ﹂のように 示す。 2、本文翻刻は、やはり︹一ウ︱二オ︺のように冠し、改行位置は/で示 し、丁移りは   ]で示すが、書入れについては丁付けにこだわらない。 3、一面が二枚の絵組から成る場合、翻刻の方のみ半丁ごとに分離する。 4、原文はできる限りそのままとするが、漢字仮名とも、異体字、略体字 は現行のものに改めた。 5、読みやすくするため、句読点を補い︵ただし、序文の句点は原文のま まとし、その旨を断わった。まれに原文中に出てくる句点には、 ︹ ママ︺ と傍注した︶ 、 会話文については﹁   ﹂を、 会話中の会話文には   を 補った 。原文にある ﹁   は﹃   に改めた ︵原文の ﹂あるいは   ﹄は 、 ﹄とした︶ 。さらに仮名を適宜 、漢字に置き換え 、その場合もとの仮名 をルビに移した。 6、原文の振り仮名は、右と区別するために︵   ︶に入れた。ただし、袋 ・表紙および序文等、一部原文のままの振り仮名に︵   ︶をつけなかっ

翻刻﹃雪梅芳譚犬の草紙﹄

︵十八︶

川  

嘉  

隅  

田  

三  

図版 1 九編上原裏表紙(色刷)、九編下原表紙(色刷)

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二 205 たところがある。その場合は、その旨を断わった。 7、書入れは本文のあとへ一段下げて、文意の通り易い順に記した。 8、本文中にある読み進めるための合印については 、すべて ● で統一し た。 9、 初編下﹂に至って出てきた 、本文中の ○ ︵ 段落を改める意識で使 用されている模様︶は、その位置にそのまま翻刻した。 一 、末尾に 、前号までに倣って 、﹁九編下﹂に出るもののみながら 、登場人 物名︵まれに地名もある︶と、元の読本﹃南総里見八犬伝﹄の相当する名 称との対照表を付した。 ︹原表紙︺ 九編下 笠亭仙果鈔録 一陽齋豐國画 蔦吉板 ︹原表紙見返し︺ 雪梅芳譚/犬之雙紙 九編/下冊 蔦吉板 立齋 ︹十一オ︺ 三 木 立 の後 ろに岳 藏が/覗 ひ見 るとは知 らずして、/賢 は刀 を収 め/息 絶 え果 てたる破 魔 児 を/抱 き上 げ、 懐 より/薬 を取 うで口 引 き/開 けて押 図版 2 原表紙見返し、十一オ

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翻刻『雪梅芳譚犬の草紙』(十八) 三 204 し含 め、 ﹁ 女 〳〵﹂/と呼 び生 かし懇 ろに/労 れば 、破 魔 児 は息 を/吹 き返 し、おろ〳〵/心 は付 きながら、怪 /しき人 の介 抱 に/驚 き振 り切 り /逃 げんとするを 、しつか/と抱 きて 、﹃やよ/女 、何 も知 ら/ねば恐 ろ しく/思 ふも道 理 。/苦 痛 を忍 び/我 が言 ふことを/よつく聞 ゝ、年 /頃 日 頃 の望 /みを遂 げ、 心 /安 く最 期 を/遂 げよ﹂ ﹃ さゝ 、さう/言 ふ其 方は まァ/誰 人 ﹂ ﹃ 名 乗 るは/憚 り多 けれど、/夜 山 で聞 ゝ知 る/人もあらじ。 つぎへ 此 処より次 二丁/の絵 は道節がむか/し物 語 /なり 。 今 ある/ことには あらず。 ︹十一ウ︱十二オ︺ つゞき 某 は其 方の為 / 異 腹 の 兄 、犬 山 /道 まつたゞともと呼 ぶ/者 にて あり。 主 君 と/父 の仇 を討 つ軍 用 /金 を集 めんため、 妖 しき/行 者 と様 を変 へ、 去 年の/秋 より東 の国 〴〵/巡 りて火 を踏 み熾 を握 り、 / 愚 かなる民 百 姓 誑 /かしては布 施 を貪 り、 行 くところ/にて火 定 を示 し、 彼 処に /死 んでは此 処に生 まれ、寂 寞 道 /人 賢 と呼 ぶ山 伏 は我 がこと/なり。 主 君 馬 平 左 衛 門 倍 /盛 朝 臣は去 年の夏 、池 袋 にて/討 たれ給 ひ、 我 が父 犬 山 道 策 /入 道 道 與 様 も共 に討 死 。/我 も共 にと思 ひしが 、手 に合 ふ敵 も /無 き上 に、 同 じくは世 に存 へて仇 を報 /いん 志 。家 に伝 はる忍 びの 術 、 隠 形 おん ぎやう /五 伿 こ とん の第二 だい に の法 、火 伿 くわ とん といひて火 に寄 れば/形 を 隠 す一奇術 いつき しゆつ 、十五の歳 より密 かに/学 び鍛 錬 なすこと三が年 、漸 く行 ひ得 /たる故 、 今 これを以 て世 を欺 き、 火 に入 ると見 せ/火 に入 らず。 集 め し金 銭 、数 〳〵の宝 を/積 んで一 戦 起 こさんとする我 が大 望 。またこの/ 豊 島 に愚 人 を寄 せ、 形 の如 く/欺 き果 せ少 しの宝 を/集 めたるが 、思 へ ば斯 様 の]幻 術 にて軍 用 金 を/集 めんこと、忠 孝 の/道 は立 つともまた盗 賊 の/業 に等 し。 拙 きことを/したりしかなと、 今 日しも/更 に後 悔 し、 / 我 か隠 れ家 へそのまゝ/行 き山 伏 姿 /打 ち捨 てゝ 、いで/この上 は運 に/ 任 せ、力 /限 りにさだ/まさを狙 ひ/討 たんと心 を/定 め、暫 し/信 濃 に身 を潜 /めんと姿 を/改 め、またこの円 塚 /通 りかゝりし折 も折 、其 方 図版 3 十一ウ、十二オ

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四 203 は/既 に手 負 うたり。あら不 便 やと思 ふにも/様 子 如 何にと躊 躇ひて身 を隠 して見 聞 /すれば 、非 義 六とかいふ庄 屋 の娘 、実 の/父 は 馬 の御 内 に、名 は知 らねどもありとの/一 言 。さては我 が 異 腹 に 睦 月と呼 びし/妹 あり 、二歳 の時 大須 賀 の村 長 へ不 通 /養 子 に遣 はされしはこの娘 。嗚 呼今 一 足 /早 からば、 薄 手 も負 ほせはすまじきにと、 悔 やむに/つけても非 道 の悪 者 、彼 奴も乳 の下 打 ち/貫 き当 の敵 は取 つたれども 、其 方も急 /所 のこの 深 手 、 療 治 を為 すとも助 かるまい。 ● ●幼 き/時 より/実 の親 /を慕 ひし 孝 行 〳〵 、/甲 斐 ありて不 思 議 に此 処に/巡 り会 ひ、兄 妹 の/名 乗 りして親 人 の名 は告 げ/ながら 、命 一 つを救 ふ/こと叶 ひ難 きもいはゞ因 /果 。事 長 けれども語 る/べし 。迷 ひを晴 らして/成 仏 せよ 。其 方の/母 は綾 女 と言 ひ、 父 /上 の妾 なり 。また我 が/母 は於 とて同 じく/父 の妾 なれど 、 男 子/産 みたる徳 により●] ●本 妻 に/引 き上 げ/られぬ。その/初 め、 父 の 本 妻 /子無 き/内 に/身 罷 り/給 ひ、 / 後 に/妻 をば/娶 られず 、 /件 の /綾 女 と/於 とを/再 びに/召 し抱 へ、/共 に/寵 /愛 /浅 からず。/ ある時 /父 の/宣 ふ に は、 / 二 人の/内 /男 子を / 産 む者 /あらば/後 妻 に]せんと。その/後 於 /懐 妊 して/長禄 ちやう ろく 三/年 九月の/ 戊 の戌 /の日に 、この/道 まつを安 /産 あり 。/左 の肩 に/瘤 ありて/松 の小 節 に/似 たりとて 、 道 /まつと名 乗 らせ/らる 。我 が六歳 の/時 なりしが 、 /父 は都 へ/使 者 の留 守 、/綾 女 は我 /より後 に/來 りし/於 の/出 世 を/常 日 頃 /世 に妬 ま/しく思 ひ/けん、いまさか/蜜 あんと/いふ医 者 に/つぎへ ︹十二ウ︱十三オ︺ つゞき 毒 を盛 らせて/於 を殺 し、我 もその/座 に締 め殺 し、金 を費 /や し召 し使 ふ者 共 の/口 を塞 き、 母 も子 も/急 病 にて死 に失 せ/たりと披 露 して、急 ぎに/急 ぎて寺 へ送 りぬ。/程 なく父 上 帰 り給 ひ/事 の元 こそ御 存 じ/なけれ、愁 傷 /遣 らん方 もなく/丁 度 その日は/三七日、そのまゝ/ 寺 へ詣 で給 ひ/墓 に向 かひて/水 を向 け、やゝ/伏 し拝 み/居 給 ふに、/土 の下 にて/子の泣 く声 細 /やかに聞 ゆれば、徒 事 /ならじと怪 しみて/墓 を 暴 かせ御 覧 /ずるに 、我 は不 思 議 に/ 蘇 り、 肩 の瘤 に/牡 丹 の/如 き/ 図版 4 十二ウ、十三オ

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翻刻『雪梅芳譚犬の草紙』(十八) 五 202 痣 ゝへ/黒 く]生 じ/たり 。/父 は/我 が/身 を/連 れ/帰 り 、 /このこ と/君 /にも/申 し/上 げ、/事 の/本 末 /怪 しければ/下 〴〵/までも/ 呼 び集 へ、厳 しく/ 議 に及 びしが、/綾 女 は更 に色 /にも出 ださず。その 時 /母 於 の亡 霊 /我 が身 にや乗 り移 り/けん、綾 女 の悪 事 /落 ちもなく六 歳 の● ●小 児 /ながら/我 / 悉 〴〵 く/口 走 る 。 /これによつて/蜜 あんも /召 し捕 つて/責 め問 はれ/綾 女 も争 ふ言 葉 なく共 に死 罪 に/行 はれ、多 くの者 共 罪 を受 け/この一 件 は事 済 みぬ 。その頃 /綾 女 も子を産 みて 、正 月の つぎへ ︹十三ウ︱十四オ︺ つゞき 誕 /生 なれば/軈 て睦 月と/名 乗 らせ給 ひ、 / 女 にてその/年 二 歳 。善 か/らぬ母 故 /その子 には罪 /なけれどもやし/なひ難 く、事 の/由 は秘 し隠 し、/永 楽 銭 七貫文/添 へて親 子 の縁 を/切 り、不 通 養 子 に/非 義 六へ遣 られし/ことも 、十二の/歳 初 /めて父 の/物 語 り。 / 兄 妹 /なが らも/母 人 の/敵 の/産 んだ/其 方の/こと、心 /にも掛 けざりしが、/ 実 の母 には引 き/替 へて 、行 ひ正 しく/孝 心 深 く貞 節 ]類 もなきものか ら、/仕 合 はせ悪 くて末 /遂 に非 業 に/死 ぬるも、母 /親 の身 を/殺 しても /猶 あ/まる/罪 を]●果 たすと諦 めて 、その場 を/去 らずその身 の敵 、 兄 が/取 つたを思 ひ出 に執 /念 残 さず目 を/塞 ぎや 。父 は生 /年 六十二 歳 、/さだまさが家 来 /なるあまど/さん平に/● ●討 たれ/給 ふ。 我 / その敵 を/狙 ふが故 、命 /全 きことを願 /はず。返 り討 ちにも/遭 ふな らば 、程 なく/冥 土 で対 面 せん 。/その時 こそは父 へ/執 り成 し、 再 び/ 親 子 と呼 ばるゝやうに/この兄 がして/取 らせう。/遅 かれ/疾 かれ/一 度 は/死 ぬ 。/髪 こそ/剃 らね山伏 の/姿 に変 へし を 縁 に/因 み、 父 母 妹 の]菩 提 を問 ひ 、 かつは人 目 を/忍 ぶため 、 これより有 髪 /の僧 そ う に出 で 立 ち、 父 の/出 家 名 道策 だう さく と言 ひ/しに基 づき道節 だう せつ /と今 より名 をも あら/ためん﹂ト言 ひつゝ弱 る/破 魔 児 を労 り、 / 手 負 ひに慣 れたる● ● /勇 士 の/介 抱 、/血 筋 の/真 あら/はれて泣 かぬ/も却 つて/哀 れなり。 /最 前 よりも/岳 藏は兄 と妹 /の問 ひ答 へ、 聞 くにつけ/見 るにつけ 、か つは嘆 き/かつは驚 き、 疾 く駆 け出 だし/名 乗 りもなし 、また手 負 ひ/を 図版 5 十三ウ、十四オ

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六 201 も慰 めんと思 へど 、/さらば道 節 の身 の上 /話 の腰 折 りて聞 ゝたき/こ とも聞 かれまじと● ●駆 け出 し/かけては足 を/止 め、強 ひて心 を/落 ち 着 け〳〵、息 を殺 して/聞 ゝ居 たり。破 魔 児 は次 第 に/傷 痛 み息 も弛 げに/ 目 も眩 み、我 かの気 色 に/なりつゝも自 ら心 を励 /まして﹃今 際の際 に年 頃 /の願 ひ叶 ふて親 の御 名 つぎへ ︹十四ウ︱十五オ︺ つゞき 知 つたばかりか 、兄 さんに会 ふは何 より/嬉 しけれど 、 面 目 もない 母 御 の 邪 。/人 を殺 してその身 も斬 られ 、事 は済 めども/敵 同 士。 連 る ゝ私 も憎 からうが、息 ある/内 に敵 を取 つて下 さんした、その真 実 に/甘 へるやうに思 はんしよが、とても因 果 な/私 の身 の上 、死 ぬる命 は惜 しか らず 、思 はぬ/人に盗 まれて同 じ野 原 に諸 共 に/死 なば本 末 知 らぬ人 、心 中 /したかと疑 はう。それも黄 泉路 の/障 りなれど、それよりも猶 /百倍 増 、迷 ひの種 は/夫 の身 の上 、案 じられて/なりませぬ。夫 犬 須 賀 /篠 児 といふは 、前 の管 領 /持 氏 様 の/家 来 に犬 須 賀 /磐 作といふ/人 の一 人/ 息 子。養 ひ/親 の甥 御 /なれど打 つて/変 はつて正 しい/気 質 。武 芸 、/学 問 、人 /に勝 れ/由 ある/武 士 にある/なれど、をさ/なき時 に]父 御 に/ 離 れ、 鬼 /のやうな伯 母/婿 夫 婦 に/引 き取 ら へ て/養 はれ 、/奉 公 / 人 もお/なじ/あし/らひ。/● ●/それも/時 世 と/諦 めて/更 に不 / 足 の顔 も/せず、親 の遺 言 /違 へじと持 ち伝 へたる/太 刀一 腰 、若 君 /達 の 御 形 見 村 雨 /丸 といふ御 宝 、許 我 の/館 へ参 らせて身 をも立 てんと/ 我 も思 ひ、伯 母伯 母婿 にも/勧 められ、巧 みありとは露 知 らず/旅 立 ちあり しは昨 日の朝 。私 と/縁 を結 ばせたも村 のお方 の手 前 /ばかり 、打 ち合 は せする年 になつて、あらう/ことかあるまいことか陣 代 様 の頼 みも/受 け込 み 、また悪 巧 みの手 伝 ひをさする/ばかりに浪 人 の鱧 次にもまた私 をば/ 嫁 にやらうと口 任 せ。悪 の手 上 は●]●あの浪 人 。掏 り替 へくれよと頼 /ま れた、その村 雨 を自 分 の身 に付 け/私 をさへも盗 み出 し、身 を穢 /させうと する憎 さ。 して刀 を/取 らうとしても、か弱 き女 の/つひ打 ち負 け、死 ぬのは是 非 も/なけれども 、実 の契 り/も結 ば ず に、 ゑ ゝ 懐 /かしい慕 は しい。泣 いて/別 れた/ 暁 に/彼 方も/涙 飲 み/込 んで随 /分 忠 実 で 図版 6 十四ウ、十五オ

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翻刻『雪梅芳譚犬の草紙』(十八) 七 200 と/ 仰 つた 、/あれが此 の/世 の暇 /乞 ひ。 村 雨 /丸 は鱧 次/めに掏 り 替 へ/られしと夢 /にも知 らず、/犬 須 賀 様 が/さぞやさぞ、/偽 の太 刀/ をば差 し/上 げて/粗 忽 の]咎 めに/どの/やうな/難 儀 をばして/ござん せう 。さァこの/ところが私 のおた/のみ 。どうぞ兄 さん許 我 へ/行 き、 犬 須 賀 様 に鱧 次が/腰 の刀 を届 けて下 /さりませ 。拝 みまする﹂と言 ふ/ 声 も次 第 に弱 る断 /末 魔 。﹃その村 雨 はこの/ことならん 。あッあ不 便 な/ 其 方が頼 み、 母 と母 との/故 を以 て承 け引 かぬでは/さら〳〵な さ [] れど 、 聞 けばいよ〳〵/好 もしき 、前 の管 領 /持 氏 公 の御 家 /に伝 へしこの御 太 刀。 / 君 の仇 なる/さだまさ/等 に/近 /付 くに/● ●良 き/手 土 産。 思 /はず我 が手 に/入 つたるは願 望 /成 就 の時 節 到 来 。/本 望 遂 げしその 上 には、/篠 児とやらんに返 しもせん。/されども敵 は つぎへ ︹十五ウ︱十六オ︺ つゞき 大 敵 なり 、返 り討 ちにも遭 ふならば/太 刀も分 捕 りせられんず 。さ れば確 かに/其 方が頼 み肯 ひたりとは言 ひ難 し 。 /つれなき兄 と恨 みんな れど 、妹 が/夫 の身 の上 に難 儀 ありとて主 人 の/敵 、余 所に見 ては居 り 難 し。妹 に連 るゝ/恩 愛 に忠 義 を代 へる道 はなし﹂/ト言 ひ放 されて胸 迫 り 、﹃そん/なら如 何でもその御 太 刀 、 すぐにをつ/とへ届 けることは﹂ ﹃如 何もならぬ﹂/ ﹃ぢやと言 うて犬 須 賀 様 の命 の/程 も知 れぬ災 難 。申 し兄 さん﹂/﹃何 と言 うてもならぬことだ﹂/○破 魔 児 はじつと道 節 の顔 打 ち/守 り 、はら〳〵涙 、一 声 / ﹁あつ﹂と叫 びも敢 へず 、はつたと/転 び て息 絶 えたり。/道 節 も涙 を/浮 かめ、 ﹃ 妹 が切 なる/願 ひ承 け引 かれぬ も武 士 の/意 地 。あッあ不 便 な最 期 ぢやなァ。/せめては仮 の野 辺 送 り。冥 土 の苦 患 を/助 けん﹂と死 骸 を抱 き上 げ、 火 定 の穴 へ/そろ〳〵と押 し下 ろし 、猶 焚 き残 る柴 、薪 /投 げ入 れ〳〵吹 き つ く れ ば、 下 燃 えの火 燃 え上 がり/煙 は空 へ立 ち上 る。 ﹁ 泡 影 無 常 、弥 陀 方 便 、/一 念 唱 名 、頓 生 菩 提 、南 無 阿 弥 陀 仏 ﹂と/回 向しつ 。﹃ 忠 義 の為 とは言 ひながら 、愚 昧 の 民 をあざ/むきし火 定 の因 果 目 の当 たり、妹 の身 を焼 く火 と/なれり。我 も何 処の里 に死 なん。儚 きものは 四の巻 へ 図版 7 十五ウ、十六オ

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八 199 四 三の巻 より   憂 き世 の/中 ﹂と一 人呟 き、 /件 の太 刀腰 に/差 し添 へ、 二 足 /三 足 、この所 を/去 らんとすれば/岳 藏/今 は/堪 り/かね 、/ ﹁曲 者 /待 て﹂と/言 ふより/早 く/木 陰 /を駆 け/出 で、/刀 の/鏢 摑 んで/ 後 へ引 き/戻 す。道 節 /驚 き踏 み留 まり/鏢 を返 し払 ひ退 け、/太 刀を抜 かんとする 伱 に/横 に引 つ組 み動 か さ ず。 /﹁ 小 癪 な奴 ﹂と身 を捻 り/互 ひに取 り組 み挑 み合 ふ 。/勇 士 と力 者 のゑい〳〵声 、/踏 み鳴 らす力 足 に は大 地 も/窪 むばかりなり。暫 くあつて● ●岳 /藏 が肌 身 /離 さぬ守 り/ 袋 、如 何にしてか/紐 乱 れて道 節 が/刀 の提 げ緒 に/くるり〳〵と● ● 纏 はり付 く。それを/取 るべき暇 なければ/遂 には紐 の引 き/切 れて、袋 はかた/なの腰 に付 くを/取 らんとする間 に/道 節 は● ●はや手 を/振 り 解 き、 太 刀/抜 き翳 し、 ﹁ 汝 /真 つ二 つ﹂と打 ち/掛 くれば ﹁ 心 得 たり﹂ と/岳 藏 も抜 き合 はせて/受 け流 し、また斬 り入 る/も手 利 ゝと手 利 ゝ、手 練 に/勝 り劣 りなく 、二十余 合 も/戦 うたり 。空 には月 の/明 らかに片 方 に荼 毘 の燃 え/増 さり、更 に真 昼 の如 くなれば/互 ひに危 ぶむ心 なく勢 ひ /いよ〳〵加 ゝりて、道 節 喚 いて打 つ太 刀を/岳 藏 かつしと受 けたれど、切 つ先 /余 つて腕 に当 たり 、ざつと流 るゝ/血 潮 も見 遣 らず 、受 け返 した る太 刀風 /鋭 く着 込 みの綿 噛 裏 をかき 、肩 先 の/瘤 切 り裂 けば 、黒 血 た走 り光 る物 /瘤 の内 より飛 び出 でゝ、岳 藏 が胸 に/当 たるを、左 手に受 け止 め 帯 に/挟 み、また 伱 間 もなく斬 り/入 るを、道 節 受 け止 め/声 を上 げ、 ﹃暫 く待 て 、/言 ふことあり 。世 の常 ならぬ/汝 が武 芸 、大 望 の/ある 某 が 此 処に勝 /負 を決 せんは無 益 の至 り。/まづその太 刀留 めよ、つぎへ ︹十六ウ︱十七オ︺ つゞき 引 けよ﹂と言 はせも敢 へず/﹁卑 怯 なり。それほどに命 /惜 しくば 村 雨 丸 /渡 して早 くこの/場 を去 れ。犬 須 賀 篠 児と/義 を結 ぶ、我 は犬 河/ 壮 介義 任。 犬 須 賀 が/許 我 の難 儀 今 /救 はずば轍 の鮒 、/干 し魚 となつて の/後 いくらの水 を/注 いでもその甲 斐 なし/との喩 への通 り、仇 /討 ち済 ましてその上 に返 /さうとは我 が身 勝 手 。其 方の/忠 義 は立 つにもしろ 、 図版 8 十六ウ、十七オ

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翻刻『雪梅芳譚犬の草紙』(十八) 九 198 それでは/此 方の都 合 が悪 い。さァ〳〵/渡 せ﹂と詰 め寄 すれば、道 節 /か ら〳〵打 ち笑 ひ、 ﹃ 妹 /にさへ許 さぬ太 刀、 汝 に/取 られて済 むものか﹂ ﹃取 つて/みせう﹂ ﹃ いゝやならぬ﹂ ﹃嫌 なら斯 う﹂と打 ち込 む太 刀 、/右 に左 に支 へつゝ 、じりゝ〳〵と退 きしが 、/ 伱 を見 合 はせ火 定 の穴 へ道 節 ひらりと飛 び/入 つて 、煙 に姿 はかき消 す如 く行 方も知 らず失 せにけ り。/岳 藏 火 の穴 差 し覗 き彼 方此 方と探 れども、影 だに/見 えぬに呆 れ果 て ﹃さては彼 奴め 、火 伿 とかいふ幻 術 を/使 ひをつて形 を隠 し逃 げ去 つた か、残 念 〳〵。さるにても/彼 の傷 口 より飛 び出 でしは、そも何 ならん﹂と 取 り出 だし/火 影に寄 せてよく見 れば、篠 児と我 とが所 持 なしたると● ●大 きさ少 しも/違 はぬ玉 。﹁ これには/忠 ちゆう     の字 顕 れたり 。/沼 田助 が人 に 遣 りし/玄 吉 といへる子も● ●信 し ん の文 /字 の据 はりし/玉 、所 持 /なす 由 を/篠 児より/聞 く。 ● ●それ/のみならず/またこの/道 節 、/我 等 に/縁 ある/者 ならん 。/我 がかの/玉 を/入 れたる/守 りは/彼 が/刀 の/提 げ緒 に/纏 ひ/彼 が肩 /より出 で/たる/玉 は/ つぎへ ︹十七ウ︱十八オ︺ つゞき 自 然 と我 が手 に入 つたるこそ/不 思 議 といふも余 りあれ 。とにも/ かくにも犬 須 賀 の許 我 の首 尾 /こそ気 遣 ひなれど 、何 を/いふにも十六里 。 まづ/大須 賀 へ立 ち帰 り/心 を静 め/考 へなば/如 何にとも/せらるべ し。/種 〴〵の/不 思 議 を/見 るを/思 へば/玉 も/御 太 刀/も我 が/方 へ 後 〳〵/帰 る時 も/あらん。かゝる/因 縁 あ/らんには、犬 /須 賀 もまた/ 思 ひ/かけぬ神 /の守 り/ありも/すべし 。 / 掠 手/負 うたも] 勿 怪 の/幸 ひ。今 は/偽 傷 作 /るに及 ばず。/さても〳〵/気 の毒 なは/破 魔 児 殿 に/ 留 めたり。/気 強 きことを/言 ふものゝ、篠 児が/聞 かばさぞ嘆 かん、南 無 阿 弥 /陀 仏 ﹂と手 を/合 はせ 、﹃ゑゝ足 /先 に触 つたは/鱧 次めが死 骸 /だ な﹂ト打 ちう/なづきて首 /切 り落 とし/片 方の榎 /に引 つかけ置 き、 / その下 の幹 /を削 り矢 立 /取 り出 し筆 /を染 め 、 / ﹁○この/首 は/青 地 鱧 /次郎といへる/浪 人 なり。● ●他 人 の/秘 蔵 の/太 刀を掠 め、 /また村 長 の/娘 を盗 み/心 に従 はざる/を怒 り、 貞 女 を/殺 せしその天 /罰 、 件 の如 し﹂ト/書 き終 はり 、﹃ 斯 うして/おけば心 中 と思 ひ/違 へる者 図版 9 十七ウ、十八オ

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一〇 197 もあるまい 。/これも一 つの/追 善 ﹂と猶 /懇 ろに●]●念 仏を唱 へ/足 を速 めて/此 処を去 りぬ。 これより非 義 六が/家 の物 語   ﹃瓶 ざゝ 、今 夜 は滅 法 /に夜 が短 いでは/ないかいの 。もう四ツも/過 ぎ たらう 。何 所へ/追 つ手 に出 した/奴 も、 一 人と/して戻 つて/来 ぬ﹂ ﹃ど 太郎とかゞ/怪 しい駕 籠を/ちらと見 たなんど/とて、今 にも連 れ/て来 る やうに 、口 の/通 りにや行 か ぬ / も の。 如 何した/ことやら音 沙 汰 /なし 。 貸 した大 /事 の脇 差 を/棒 に振 つて/しまひ/さうだ﹂/ ﹃彼 奴は/頗 る /男 伊 達、/十に九 つ/連 れて来 よう。]いや〳〵おも/ての人声 は/誰 か帰 つ/たもので/あらう﹂ト/つか〳〵/駆 け出 で/ つぎへ ︹十八ウ︱十九オ︺ つゞき /駆 け戻 り 、 / ﹃さァ〳〵/大 変 、婿 /殿 が箱 /てう/ちんで/ご ざつた〳〵。いやはや、これは何 として]よいであらう。のう瓶 ざゝ、俺 は /がた〳〵震 へて来 た 。そりやこそ/立 派 に 物 申 と言 つたぞよ〳〵﹂/ トうろ〳〵として立 ちつ居 つ 、 / ﹃ ゑゝお前 は袴 の/後 ろが捻 れて/ゐる のに気 が付 かぬか。/まァ羽 織 をば着 さしやりませ﹂/ ﹃ どつこい、これは 裏 の方 だ﹂ /﹃ 物 申 〳〵﹂ ﹃あい〳〵、今 参 ります〳〵﹂ /ト言 ひ〳〵瓶 ざゝ勝 手 へ出 で 、うろ〳〵/したる女を呼 び立 て 佂 の下 など焚 きつけ/さすれば 、 非 義 六も 方 なく座 敷 の/蝋 燭 接 ぎ替 へつゝ 、玄 関 の式 台 へ/渋 〳〵 ひ 出 で 、へたりと座 し 、 / ﹃さて〳〵お早 い御 来 臨 。/ 忝 なうござります﹂ ト/案 内 すれば 、ひがみ虬 六 、/仲 人媒 次も会 釈 /して 、座 敷 へ通 りて座 も/定 まり互 ひに慶 ひ/述 べ終 はれど 、茶 を一 つ/だに出 す者 無 し。 ﹁ さ ァ/お 杯 〳〵 、早 う〳〵﹂と/非 義 六が手 を叩 けども 、﹁はい〳〵﹂/と 返 事 のみにて埒 明 かず。/久 しくありて瓶 ざゝは 恭 〳〵 /しく州 浜 の台 持 ち出 でゝ座 に/着 けば 、小 女 共 は 羹 を運 びて/銚 子 を持 ち出 でたり 。瓶 ざゝ は顔 差 し出 し●]●﹃ようお出 でなさり/ました。そして/今 夜 はお暑 いこ と。/この上 共 にお目 掛 け/られ、御 機 嫌 宜 しく/お恐 れながら目 出 度 う/ 図版 10 十八ウ、十九オ

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翻刻『雪梅芳譚犬の草紙』(十八) 一一 196 一 つ 、お心 安 くお吸 ひ/物 ゝ冷 めぬうち﹂ト元 /末 /はぬあい/さつ/ に/口 を/窄 め/目 を/細 め、 色 /品 つく/るは/● ●よけ/れども]塗 らず/ともよい/おし/ろいを/こて〳〵/化 粧し/● ●鼻 の/辺 り/鍋 墨 /強 か/付 けたるは/勝 手 の/世 話 の/しるしを/表 し、/可 笑しくも また/浅 ましけれど/心 も付 かず喋 り/ゐるを、各 〳〵は つぎへ ︹十九ウ︱二十オ︺ つゞき 見 ぬふりして 、噴 き出 す口 を閉 ぢ居 たり 。/非 義 六は苦 り顔 、 ﹃ 瓶 ざゝ 、手 前 は何 の/面 だ。 彼 方へ行 き遣 れ﹂ト苛 立 てど 、﹃ 珍 し/さうに 私 が顔 、墨 でも付 いてはゐは/しまいし﹂ト 、 真 顔 になるほど猶 可 笑し 。 /虬 六は 羹 引 き寄 せ、 ﹃大 方 味 は/三 河 でござらう。鯰 の筒 切 り、/新 牛 蒡 の/笹 掻 きは/良 いお手 /際 ﹂ ﹃ 婿 /様 のお気 に/入 つて媒 次も恐 悦 。/どりや一 つ御 相 伴 を﹂/ト汁 を吸 ひ、 に/挟 めば ﹃嗚 呼これは情 け/ない 、古 束 子﹂ ﹃束 子とは/そりや大 変 。料 理 人 /めがきつい粗 相 、ど うぞ/御 免 下 さりませ。なる/ほどこれは鯰 ぢやない。/はや取 り替 へよ﹂ ト瓶 /ざゝを非 義 六は叱 り/散 らし 、方 〴〵にはさか/づきを勧 むれば 、 ﹁さらば﹂ /とて虬 六はなみ〳〵受 け/一 口 飲 みしが﹁あつ﹂と/叫 び、 杯 投 げ出 し/噎 せ返 り咳 き上 げ〳〵苦 し/めば 、﹁また何 事 か﹂と瓶 さゝは] 色 は青 褪 め胸 は潰 れ、背 な撫 で/摩 れば、非 義 六は白 湯を勧 めて/媒 次も共 〴〵介 抱 するに、/虬 六は熱 き涙 を押 し/拭 ひ、 ﹃これが慶 事 の故 実 か/知 らず、酒 かと飲 めばありや/煮 え酢 だ。何 ほど饐 へた酒 /にても、あれほど 酸 くはない/ものを﹂ト余 りのことに/腹 も立 ゝれず 。 非 義 六/銚 子 に鼻 を付 け/﹃成 程 酢 だ〳〵。いや散 〴〵。/何 とお詫 びを申 さうやら。/勝 手 に気 の付 く者 は/ないか。取 り込 むも程 が/ある。馬 鹿 者 共 め﹂と/叱 つて も、 羹 盛 りし/も酒 つぎしも皆 瓶 /ざゝが為 せし業 。心 /慌 てし上 の粗 忽 、/他 人 を咎 めん由 も/なし。媒 次は山 〳〵/気 の毒 がり、 ﹃ 夜 更 けの/酒 盛 り、 勝 手 の混 /雑 。たゞ何 よりも/花 嫁 御 病 気 /治 つて床 杯 、首 尾 /良 く済 むのが馳 走 の第 一 。/ひがみ氏 は通 り者 、上 方 にては つぎへ 図版 11 十九ウ、二十オ

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一二 195 ︹二十ウ︺ つゞき 粋 といふ 。腹 を立 つのは/野 暮 の こ と。 酸 つぱゆいのを/辛 抱 する が粋 だ/粋 だ﹂と執 り成 され 、/再 び 杯 取 り/上 ぐれば 、﹁ 御 免 なされ て/有 難 い﹂ ト銚 子 / 杯 改 めて/それより様 〴〵/ したりしが、 / ﹃ も う夜 も更 けん﹂/ト床 急 ぎ。/媒 次も頻 /りに急 き立 てゝ/﹃御 馳 走 は/こ れで十分 。/嫁 御 は何 として/ござる。破 魔 とも児 とも言 ひ出 さぬは幽 霊 の /浜 風 と、消 え なくはなりはせぬか﹂ト伊 左 衛 /門 の言 ふやうなる台 詞も虫 の知 らせ/なるべし 。﹃ 死 ぬ気 遣 ひはござりませねど/宵 より痞 えが起 こり 通 し 。もう〳〵/暫 く御 酒 を上 がり 、お待 ちなされて/下 さるやうお執 り 成 しを﹂ト囁 けども 、/媒 次は頭 を左 右 へ打 ち振 り、 ﹃ 嫁 御 の/病 気 は 予 て承 知 。まァどれほどの容 態 か、 / 某 直 に一 見 せん 。寝 間 へ案 内 する がよい。この場 に/なつて馬 鹿 〳〵しい﹂ト腹 立 ち声 に瓶 ざゝは/﹁もう斯 うなつては隠 されぬ 。有 り様 に 仰 れ﹂ト● ●非 義 六が袖 を引 けば 、媒 次 は/早 く耳 に入 り、 ﹃ 有 り様 とはそりや/何 事 ﹂/ ﹃ハイ 、/破 魔 /児 は/ 駆 け/落 ち/致 し/まし/た﹂ ○吉/例 /めで/たし/〳〵〳〵/〳〵〳〵。 仙/果/鈔/録 豊/國/画 ︹原裏表紙見返し︺ ︵振り仮名は原文のまま︶ 嘉/永/八/乙/卯/春/新/鐫/目/錄 大 日 曙 草 紙  廿一編/廿二編    京山作/芳綱画 童 謡 妙 々 〳〵 車   初編/二編/三編    種員作/國貞画 八 犬傳犬の草 紙  卅三編/ヨリ/卅八編/マデ   仙果錄/豊國画/國貞画 松 浦船 水 棹婦 言  四/五    仙果錄 /國芳画 御 贄 美 少 年 始  十一編/十二編    同錄 /國綱画 八 重 撫 子累 物 語  三/四    同錄/國貞画 図版 12 二十ウ、原裏表紙見返し

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翻刻『雪梅芳譚犬の草紙』(十八) 一三 194 俠 客傳 摸 略 説  十二編/十三編    西馬譯/同画 花 蓑 笠 梅 雅物 語  四/五    西馬譯/國輝画 嶋 巡 浪 間朝 日 奈  七編/八編    種員譯/同画 旅 雀 我 好 話   初/二/三    種清綴/國貞画/種員閲 盬 屋 /文 正 古 今 草 紙合   十二編/十三編    仙果作/國輝画 東都南傳馬町一丁目/ 地本 草紙 問屋蔦屋吉藏板 捺印 ︹十一オ︺ 村/田 米/良 図版 13 九編下原裏表紙(色刷)、十編上原表紙(色刷)

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一四 193 登場人物一覧 ︵九編下︶ 次に ﹃雪梅芳譚 犬の草紙﹄九編下の登場人物名 ︵その他︶をかかげ ︵ 読 み仮名 ・漢字とも表記は原文のまま︶ 、その下の ︻   ︼に 、相当する ﹃南総 里見八犬伝﹄の登場人物等の名を示す。 犬 須 賀 篠 児戍 孝︻犬 塚信 乃 戍 孝︼ 犬 須 賀 磐 作一 戍︻大 塚番 作一 戍︼の子。磐作の死後、伯母瓶 ざゝと伯母 婿非 義 六夫婦に養われる。亡父から託された亡君持 氏︻足 利持 氏︼の宝 刀村 雨丸︻村 雨︼を、非義六の刀とすり替えられたことに気づかないま ま 、持氏の子成 氏︻ 成 氏︼に献上するために許 我 ︻許 我 ︼へと旅立っ た。会話にのみ登場。 破 魔 児 ︻濱 路 ︼ 非義六、瓶ざゝ夫婦の養女。許婚の篠児が許我へ旅立った翌日、突然ひ がみ虬 六と婚礼させられることを知り、篠児への思いから首を括ろうと したが、青 地 鱧 次 郎 によって連れ去られてしまう。鱧次郎の口から村雨 丸のすり替えを知らされ 、刀を取り返そうとするも 、あえなく斬られ 、 とどめを刺されそうになるところを 、通りかかった山伏の寂 寞 道 人 賢 に助けられる。その賢から、実は賢隆が腹違いの兄犬 山 道 節 である ことや、自分の出生の秘密、本名が睦 月︻正 月︼であったことなどを聞 かされた。兄道節に村雨丸を篠児へ返すようにせがむが拒まれ、失意の 内に事切れた。 犬 山 道 節 たゞとも︻犬 山 道 節 忠 與 ︼ 長禄三年九月の 戊 戌 の日に生まれる。父は犬 山 道 策 入 道 道 與 、母は妾 の於 。実は破魔児の異腹の兄 。池 袋︻ 池 袋 ︼の合戦にて父があふぎ がやつのしゆりのだいぶさだまさ︻ 扇 谷 修 理大 夫 定 正︼の家臣あまど さん平 ︻ 伽 門三 寶平 五 行 ︼に討たれ 、その敵討ちのために寂 寞 道 人 賢 ︻寂 莫 道 人 肩 柳 ︼という山伏に姿を変え 、軍用金を集めていた 。 円 塚 ︻円 塚 ︼で火定の術を行なった後、死の破魔児にとどめを刺そう としていた鱧次郎を倒して村雨丸を手に入れる。破魔児を看取った後に 突然現れた岳 藏に村雨丸を返せと迫られるが拒絶し、斬り合いの際に道 節の肩の瘤の傷口から ﹁忠 ﹂という文字の玉が出てきて 、岳藏の手 に渡る。そのとき同時に岳藏の玉が入った守り袋は、道節の刀の提げ緒 に巻き付いて切れ、道節の手に渡る。 岳 藏︻額 藏 ︼ 非義六の下男。篠児と兄弟の義を結ぶが、非義六夫婦を欺くため仲の悪 いふりをしている。篠児の許我への旅に同行し、その途中にある栗橋の 宿屋で篠児と別れ、大須 賀 村︻大 塚 村︼へ帰ろうとするが、通りがかっ た円塚にて道節と破魔児の会話を立ち聞きし、道節が鱧次郎から手に入 れた村雨丸を取り返そうと迫るも逃げられた。 青 地 鱧 次 郎 ︻網 乾左 母 二 郎 ︼ 大須賀村に住む浪人 。瓶ざゝに 、し果せたら破魔児の婿にすると唆さ れ、篠児が持つ村雨丸を非義六の刀とすり替えるが、さらにそれを密か に自分の刀とすり替えて非義六に渡し 、自分が村雨丸を着服していた 。 虬六と破魔児との婚礼を知り 、腹いせに破魔児を無理矢理連れ去った 。 破魔児に迫って拒まれたのに逆上して、破魔児を刀にかけるが、道節に よって倒された。 犬 山 監 物 道 與 ︻犬 山 監 物 貞 與 ︼ 馬 平 左 エ 門 尉 倍 盛 ︻ 馬 平 左 衛 門 尉 倍 盛 ︼の家老 。 剃髪後は道 策 ︻道 策 ︼と名乗る 。道節と破魔児の父 。池袋の戦いにて討死する 。九編 上の口絵には﹁犬 山 監 物 貞 與 ﹂と出る。会話にのみ登場。 於 ︻阿 是 非 ︼ 道與の妾。道節の母。同じ妾の綾 女 によって毒殺された。会話にのみ登 場。

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翻刻『雪梅芳譚犬の草紙』(十八) 一五 192 綾 女 ︻黒 白︼ 道與の妾。破魔児の母。男子を生んだ於 を妬み、道與の留守中にいま さか蜜 あんと共謀してこれを毒殺した 。しかし後に露見し 、死罪とな る。会話にのみ登場。 いまさか蜜 あん︻今 坂 錠 庵 ︼ 医者。綾女と共謀して於 に毒を盛った。後に露見し、綾女と共に死罪 となった。会話にのみ登場。 大須 賀 非 義 六︻大 塚蟇 六 ︼ 大須賀村の村長。瓶ざゝの入り婿。磐作の死後、篠児を引き取り養育し ていた。篠児が許我へと旅立った翌日、娘の破魔児と虬六との婚礼の準 備をしている最中、破魔児と鱧次郎の駆け落ちを知り、家中の召使い達 に破魔児を連れ戻すように命じた。そのとき既に破魔児は鱧次郎に殺さ れていたが、それを知らないまま虬六らを迎えた。 瓶 ざゝ︻龜 篠 ︼ 篠児の父磐作の異腹の姉で、非義六を婿に迎えて以後、非義六の悪事に 共謀する。 とだのど太郎︻土 田 の土 太 郎 ︼ 神 宮川 ︻神 宮河︼の船頭 。破魔児を連れ戻すようにと非義六に頼まれ 、 鱧次郎を追いかけ円塚にて追いつき、破魔児を取り返そうと鱧次郎に斬 りかかるが倒される。会話にのみ登場。 ひがみ虬 六︻簸 上 宮 六︼ 大石ひやうゑのじよう ︻大 石 兵 衛 尉 ︼の陣代ひがみじや太夫 ︻簸 上 蛇 太 夫︼の子。父の死後跡を継いで陣代となった。破魔児に恋慕し、婚礼 のため非義六の家にやって来た。 ぬるで媒 次︻軍 木五 倍 二 ︼ 虬六の下司。虬六と破魔児の縁談を取り持った。婚礼の夜、虬六の供を して非義六の家に来た。

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参照

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図版出典

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の原文は“ Intellectual and religious ”となっており、キリスト教に基づく 高邁な全人教育の理想が読みとれます。.

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(消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第二十八条第一項(課税標