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製造物の瑕疵に対する不法行為責任(一) 一一一ドイツの判例・学説を手掛かりとして一一一

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79一一『奈良法学会雑誌』第13巻3・4号 (2001年3月) 〈 論 観 〉

製造物の破庇に対する不法行為責任

││ドイツの判例・学説を手掛かりとして││

序章 一問題の所在と課題 二 本 稿 の 構 成 第五下級審の裁判例││建物建築事例を中心として 第一節はじめに 第二節下級審の裁判例(以上本号) 第 三 節 判 例 分 析 第二章学説の概観 第三章ドイツにおける最近の議論 第 四 章 結 語 1 1 課題と展望

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13巻 34号一一 80 序 章 問題の所在と課題 本稿は、請負人が製作(製造)した物に暇庇が存在した場合において、 その暇庇自体を修補したり、あるいは、 1 この暇庇が原因でその物自体が滅失・駿損したときの修理や再製作に要する費用等(これらを本稿では以下﹁暇庇損 ( 1 } 宝口﹂という。)を、注文者が請負人に対して請求する場合に、その法律構成として、契約上の責任である債務不履行(不 完全履行)構成(民法第四一五条)もしくは契約法上の責任である暇庇担保構成(民法第六三四条) の 可 能 性 以 外 に 、 そもそも民法第七

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九条の不法行為構成が可能であるのかを、 とりわけ建物建築事例を念頭において探究することを 主たる目的としている。 本稿が問題とする先の﹁暇抗損害﹂

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は、これまで、たとえば、純粋の不法行為に属する領域と ( 2 ) して、交通事故における車両の損傷の際の損害のうち、車両の価値自体から生じる修理費、あるいは、製造物責任法 制定を契機として問題の深化がみられた﹁製造物自体の損害﹂とほぽ同一のものである。そして、この﹁暇班損害﹂ 2 概 念 に 対 比 さ れ る の が 、 ﹁ 暇 寵 結 果 損 害 ﹂ な い し ﹁ 暇 庇 惹 起 損 害 ﹂ ( 富 山 口 問 巳 向 。

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概念であり、これは、暇庇 ある物の暇庇がその物以外の財産あるいは人身に拡大した損害である。これまでわが国では、拡大損害と称されてき たものと部分的に重なり得る。製造物責任として問題とされる損害の主要な対象はこの﹁報庇結果損害﹂の場合であ ( 4 } ヲ h v さて、請負契約において仕事に暇庇があった場合の責任追及に関しては、これまで、債務不履行(不完全履行)責 任もしくは暇庇担保責任が問題とされてきた。そして、そこでの理論的課題は、建築請負契約から提起された問題、

(3)

とりわけ、再築(やり直し)費用の賠償およぴ解除の可能性問題を契機として、債務不履行と暇庇担保との適用領域 問題(民法第六三二条の﹁完成﹂の意義)、暇庇修補の範囲(民法第六三四条の﹁修補﹂の意義)、それに関連した、 民法第六三四条第二項が規定する損害賠償の範囲およぴ同第六三五条但書の規定の性質(強行規定か否か) が、解釈 論の重要なものであった。しかも、そこでの主要な関心事は、民法典が規定する典型契約の一つとして存在する請負 契約の内容を、想定された本来の内実にでき得る限り接近させること、換言すれば、請負人保護に傾斜している規定 や解釈論から、注文者保護へ向けての再構成や解釈論へと緩やかにシフトさせていくこと、 であったといい得る。も っとも、これらにおいては、仕事の暇庇に対する注文者の法的救済は、契約あるいは契約法上の問題であることを当 然の前提とするものであったことは言うを倹たない。 ところが、近年、裁判実務上、 と り わ け 、 土地・建物の売買および建物建築請負の分野において、 土地の不同沈下 81一一製造物の破庇に対する不法行為責任(ー) ゃ、いわゆる﹁欠陥住宅﹂に対する修補費用の賠償等を巡り、売主である販売業者もしくは施工業者である請負人の 不法行為責任が問題とされる事例群が登場するに至っており、しかも、注目されるべきはその数も徐々に増加の傾向 ( 5 ) にある点である。これには、次のような諸類型が存在している。第一は、戸建て住宅やマンションを購入した買主が、 売主である販売業者等に対して債務不履行ないし暇庇担保と並行して不法行為にもとづく損害賠償を請求する類型で あり、第二は、第一の場合に加え、さらに建物を建築した施工業者に対して不法行為にもとづく損害賠償を請求する 類型であり、最後は、注文者(施主) が請負人(施工業者)に対して、債務不履行ないしは暇証担保と並行して不法 行為にもとづく損害賠償を請求する類型である。売買目的物や仕事に暇班が存在する場合について、民法典があらか じめ買主もしくは注文者の法的救済方法を規定しているにもかかわらず、 それらに加えて不法行為構成を援用しよう とする実践的意図は、すでに示唆した如く、売買法や請負法という契約法の分野において展開されてきた種々の解釈

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論 が 、 の実態を前にして、買主や注文者側が援用し得る程度に充分な成熟と定着をみてい とりわけ住宅建築(産業) ないこと、﹁欠陥住宅﹂﹁手抜き工事﹂という言葉に象徴される如く、 その社会的非難性をより直裁に問題とすべきで あるとの価値判断が存在したこと、暇庇担保責任を追及するためにはすでに除斥期間が経過していること、 といった 諸点にあったものと推測され得る。 しかし、そうであるとしても、そもそも、﹁暇庇損害﹂の賠償を可能とするために、以上のような各類型において、 はたして不法行為にもとづく責任追及が理論的に可能なのであろうか。というのも、これまで主として、これら諸類 型における﹁暇庇損害﹂の問題は、﹁本来の給付価値の不実現にとどまる段階﹂であり、この段階では﹁契約当事者間 ( 6 ) の契約責任で扱われるのであって、そこまでは不法行為責任の対象には原則としてならないと解され﹂てきたからで あ る 。 本 稿 は 、 かかる理論的前提が今日においても依然として維持されねばならないか、 一定の理論的寄 の 聞 い に 、 与をなそうとするものである。 3 と こ ろ で 、 かかる﹁暇抗損害﹂に対し不法行為にもとづく法的救済が問題となったそもそもの端緒は、売主たる 販売底から物を購入した買主(消費者) がメーカー(製造者)に対して責任追及をする場合の法律構成の探究にあっ た。ここでは、まず、 メーカーは、現行法上、最終の買主(消費者)に対して当然には直接の契約責任を負っていな いこと、﹁暇庇結果損害﹂については不法行為責任の追及が可能であることを、当然の前提とし、﹁暇庇損害﹂に対し ては品質保証書にもとづくメーカーの責任追及の可否が検討されてきた。この場合、特に、同保証書の法的性質およ ( 7 ) びそれに関連して保証の内実が問題とされた。そして、﹁椴抗損害﹂に対し品質保証書による救済を否定する見解、あ そもそもメーカーの品質保証書が存在しない場合における法的救済として、 ( 8 ) 至 っ た の で あ る 。 不法行為構成が問題とされるに る い は 、

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もっとも、ここでの議論は、既述の如く、直接契約関係にない、買主とメーカーとの聞の法律関係を前提とするも のである。これに対し、本稿で問題にしようとする類型では、 むしろ、契約当事者間(買主もしくは注文者と売主も しくは請負人間)においても不法行為構成で﹁寝庇損害﹂の賠償を求めようとする点に重点が置かれている。しかし ながら、直接契約関係にない者同士の不法行為責任の可否を検討する場合における体系的理論的障害は、﹁本来の給付 不実現段階は契約責任で処理すべし﹂とする命題であった。そうであれば、この理は、当事者間に契約関係が存在す 一方における議論を他方への示唆として援用することにも、充分な正当性 るか否かに関係なく妥当するはずであり、 が存すると考えられる。それゆえ、かかる理論的成果をここで確認しておくことには、本稿の目的にとっても充分意 義のあることである。 4 ま た 、 かかる問題は、視点を変えれば、すでに示唆したように、製造物責任法第三条の制定過程および制定後の 83一一製造物の寝戒に対する不法行為責任(ー) 解釈論の展開を通じて問題の所在が明らかとなった、不法行為法における損害賠償の範囲との関連においても重要な 意義を有するものである。この点に関しては、従来から、製造物責任法が損害賠償の範囲に関して特別法であること の内容が不明確であり、このことは、直接には、財産損害についての不法行為責任の効果面の現状をどのように把握 しているのかということの共通認識がないことに由来していること、その結果、損害の範囲に関しては、製造物責任 法制定の前後を通じて、対立点が明確にならなかったこと、この点の実際的な問題として、損害の範囲を定める第三 条にいう﹁財産﹂には物損を伴わないいわゆる純粋財産損害が含まれるのかという問題が存在する、といった点が指 ( 9 } 摘されてきた。このことは、本稿における問題関心からして、従来から、製造物責任法第三条但書が、損害が当該製 造物自体にのみに生じた場合を排除していることの根拠の一つとして、次のように言われている点にも現れている。 すなわち、被害者は販売業者に対して暇庇担保責任や債務不履行責任を追及できるから(製造物責任を認める必要はな

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( 印 ) いてと。一般不法行為責任を援用するのではなく、ここでも契約責任を援用することにより損害賠償請求を否定して そ れ で は 、 一般不法行為責任としてはどうなのか、 という点が依然として明確にされているとは言え な い い る の の で で あ あ る百る かかる﹁暇証損害﹂に対する不法行為責任の可能性問題は、わが国のみならず、ドイツ、 も っ と も 、 フ ラ ン ス 、 5 イ ギ リ ス 、 アメリカの不法行為法の分野においても探究されている問題であり、これらの諸国においても貴重な理論 ( ロ ) その成果もこれまでわが国に紹介されている。本稿では、これら比較法分野のうち、ドイツにおけ 的 蓄 積 が 存 在 し 、 る最近の理論状況から、示唆を得ょうとするものである。 ( 日 ) ドイツに関しては、すでにこれまで、いわゆる侵蝕する報車(毛色件。広

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母冨苦肉命日)概念を契機とし、当該理班 ある製造物自体の滅失・投撲という事態が、 はたして、ドイツ民法第八二三条第一一項に規定する財産権を侵害したも のと評価され得るのかという聞いが立てられ、それに関して、 ( M ) 詳細かつ貴重な紹介がなされている。本稿では、この成果を踏まえつつも、 一 九 八

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年代半ばまでに展開されてきた議論に関し それ以降のドイツの理論状況を整理して おこうとするものである。筆者によれば、ドイツにおいては、 とりわけ、建築請負契約の分野においてではあるが、 穀物倉庫

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年が経過して屋根の一部が倒壊した事案につき、 一九九二(平成四)年に連邦通常 裁判所(切の国)が、ドイツ民法第六三八条第一項が曜庇担保請求権について五年の時効期間を規定しているにもかか わらず、暇庇を悪意で黙秘した場合と同視し、一般の三

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年の時効期間(ドイツ民法第一九五条)を適用することに ( 江 川 ) より、注文者の暇抗担保請求権にもとづく修補費用を肯定する前後から、﹁侵蝕する報班﹂に対する不法行為責任の問 ( 日 ) 題が新たな段階に入っている。 もちろん、民法第七

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九条にいう﹁権利﹂概念は、ドイツ民法第八二三条第一項にいう﹁権利﹂が意味する﹁絶対

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権﹂概念と早くから決別し、﹁法的保護に値する利益﹂へと利益保護(権利概念の外延)の拡張がなされているわが国 ( ロ } ( 凶 ) の現状に対し、現在においても絶対権侵害が不法行為の一般的構成要件の一つとされているドイツ民法における議論 を参照することで はたして有効な示唆が得られるのか の疑念も存在し得る。しかし、そもそも本稿が問題の出発 点とした、﹁本来の給付不実現段階は契約責任で処理すべし﹂する命題も、ドイツ民法の強い影響の下で主張されたも の で あ る 。 し か も 、 かかる命題を前提とし不法行為の一般的要件につき厳格な態度をとりつつも、建築物の暇班問題 を契機として、﹁契約法と不法行為法との共働作業﹂を説き、﹁不法行為法への前進﹂、あるいは﹁契約外の責任﹂を問 題とするなかで、欠棋を徐々に補充するために 一 歩 ず つ しかも轍密な論理と拠って立つ理論的基礎を明確にしつ っ、妥当な利益衡量を導こうとする、当のドイツにおける理論的到達点を確認することこそ、却って、 わが国におけ る理論や裁判実務にも有益な示唆が得られることは間違いない。 85一一製造物の綴庇に対する不法行為責任(ー) 本稿の構成 以上から、本稿では、﹁暇庇損害﹂の問題に限定し、まず、暇庇ある売買目的物および請負人の暇庇ある仕事に対し て不法行為責任を問題とする建物建築事例を中心とした下級審の裁判例を概観し、二足の分析、・検討を行った後[第 一章]、本稿の中心課題となる不法行為構成に関連した学説を整理する[第二章]。その後、ドイツ法に目を転じ、こ} れまで日本に紹介されたドイツの議論を踏まえ、重要と考えられる最新の理論動向を紹介することとする[第三章]。 そして、最後に、以上の各々の成果を踏まえ、不法行為構成の可能性について試論を提示するとともに、 その場合の 更なる課題と展望を確認して結語とする[第四章]。

(8)

( 1 } たとえば、建築された建物に報庇があった場合の修補、その破庇が原因で一部倒壊したり、全部倒壊した場合の修補ないし 再築費用、あるいは、ブレーキに欠陥がある自動車で事故を起こし、自動車自体が大破した場合の修理費用等を指す。 ( 2 ) 最近では、岡本智子﹁人身損害・物的損害・経済的損害﹂淡路剛久編﹃新・現代損害賠償法講座 6 ﹄ 一 O 二 頁 ( 日 本 評 論 社 、 一九九八年)。そこでは(一一二頁)、﹁車両が修理により原状回復が可能であるならば、それにより車両の機能(使用価値)と 価格(交換価値)を回復させるから、修理費用相当額が損害となる﹂とする。 ( 3 ) これに関しては、多くの文献が存在するが、さしあたり最近のものとして以下のものを挙げておく。浦川道太郎﹁損害論﹂ NBL 四五八号三六頁(一九九 O 年 ) 、 一 九 九 O 年私法学会報告者グループ編﹃製造物責任法の現状と課題﹄(別冊 NBL 二 四 号)六 O 頁、同﹁製造物自体の損害と拡大損害﹂塩崎勤・羽成守編﹁裁判実務大系第初巻製造物責任関係訴訟法﹂一九六 頁(青林書院、一九九九年)、松本恒雄﹁損害賠償の範囲﹂金融・商事判例九六 O 号四三頁(一九九五年)、新美育文﹁損害論﹂ 判例タイムズ八六二号七九頁(一九九五年)、中村哲也﹁特別法としての製造物責任法﹂大田知行・中村哲也編﹃広中俊雄先生 古希祝賀論集・民事法秩序の生成と展開﹄六三三頁(創文社、一九九六年)、同﹁日本民法の展開 ( 2 ) 特別法の生成││不法 行為法﹂広中俊雄・星野英一一編﹃民法典の百年 I 全体的観察﹄ニ七九頁(三 O 六頁)(有斐関、一九九八年)、高野真人﹁純粋 経済損害﹂塩崎勤・羽成守編﹁裁判実務大系第初巻製造物責任関係訴訟法﹂一八五頁(青林書院、一九九九年)、中井美雄 ﹁製造物責任と民事上の責任﹂塩崎勤・羽成守編﹁裁判実務大系第初巻製造物責任関係訴訟法﹂二六頁(青林書院、一九 九 九 年 ) 。 ( 4 ) 製造物責任法第三条一製造者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造 物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償 する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。(傍線は引用者。)もっとも、 但書は、周知のように、損害が製造物自体にとどまっている場合のみを想定しており、製造物自体の損害を超えて拡大損害が 生じた場合には、本文により製造物自体の損害をも賠償請求し得る、とするものである。 ( 5 ) これらについては、第一章で紹介する。従来から、たとえば、中村・前掲注 ( 3 ) ﹁特別法としての製造物責任法﹂が、筆者 が第一章以下で紹介する判例のうちの二つを含め四つの判例を挙げて述べているように、﹁公表されている限りでは裁判例はこ のように少なく、物の給付利益に対する製造者の不法行為責任についての判断の蓄積を語りうるものではない﹂との認識が一

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87一一製造物の穣庇に対する不法行為責任(ー) 般的であったといドえる。本文において、﹁注目される﹂と書いた意味は、こうした評価が存していたことも、背景の一つとなっ て い る 。 ( 6 ) 北川善太郎﹃消費者法のシステム﹄一六 O 頁(岩波書庄、一九八 O 年 ) 。 ( 7 ) 北川前掲注 ( 6 ) 一五三夏以下、同﹃現代契約法日﹄一四二頁以下、二一 O 頁以下(商事法務研究会、一九七六年)、浜上則雄 ﹁品質保証の法的性質﹂ジュリスト四九四号一五頁(一九七一年)。円谷峻﹁欠陥商品に対するメーカーの責任﹂﹃現代契約法 大 系 第 4 巻﹄一九三頁(有斐閣、一九八五年)。安永正昭﹁保証書││メーカーと売主の責任﹂加藤一郎・竹内昭夫編﹃消費 者法講座 2 商 品 の 欠 陥 ﹄ 七 九 頁 ( 日 本 評 論 社 、 一 九 八 五 年 ) 。 ( 8 ) ここでは、﹁破疲損害﹂に関連するものを中心に、主要な文献を挙げておく。浜上則雄﹁﹃破庇損害﹄に対するメーカーの不 法行為責任と消費者保護﹂﹃大阪大学法学部創立三十周年記念論文集法と政治の現代的課題﹄﹂一 O 九頁(有斐閣、一九八二 年)、同﹁フランスにおける製造物責任の理論こ)(二)(三こ民商法雑誌六三巻六号三頁・同六四巻二号五五頁・同六四巻四号 三 頁 ( 一 九 七 一 年 ) 、 北 川 ・ 前 掲 注 ( 6 ) 、北川善太郎・植木哲﹁製造物責任の諸問題(l)││責任の性質﹂唄孝一・有泉享編﹃現 代損害賠償法講座 4 ﹄二七九頁(日本評論社、一九七四年)、植木哲﹁建売り家屋における買主の保護﹂民商法雑誌六四巻三号 一 六 三 頁 ( 一 九 七 一 年 ) 、 円 谷 ・ 前 掲 注 ( 7 ) 、同﹁製造物責任と損害﹂一橋論叢七 O 巻六号三七頁ご九七三年}、問﹁建売住 宅の地盤沈下と売主・建築業者の責任﹂判例タイムズ五八一号八六頁(一九八六年)、下村正明﹁商品の暇庇をめぐる責任規範 の交錯関係について(一)(一了完こ阪大法学一三九巻八九頁、同一四 O 巻 八 一 頁 ( 一 九 八 六 年 ) 。 ( 9 ) 中村哲也﹁特別法としての製造物責任法﹂大田知行・中村哲也編﹃広中俊雄先生古希祝賀論集・民事法秩序の生成と展開﹄ 六三三頁(創文社、一九九六年)、同﹁日本民法の展開 ( 2 ) 特別法の生成

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不法行為法﹂広中俊雄・星野英一編﹁民法典の 百 年 I 全体的観察﹄二七九頁(三 O 六 頁 ) ( 有 斐 閣 、 一 九 九 八 年 ) 。 (叩)たとえば、経済企画庁国民生活局消費者行政第一課編﹃逐条解説製造物責任法﹄一 O 一 頁 ( 商 事 法 務 研 究 会 、 一 九 九 五 年 ) 。 なお、経済企画庁国民生活局消費者行政第一課編﹃製造物責任法の論点﹄一 O 七 頁 i 一 一 O 頁 ( 内 田 貴 ) 。 (日)このことの問題性を明解に指摘するものとして、中村哲也﹁特別法としての製造物責任法﹂大田知行・中村哲也編﹃広中俊 雄 先 生 古 希 祝 賀 論 集 ・ 民 事 法 秩 序 の 生 成 と 展 開 ﹄ 六 一 二 三 一 良 ( 創 文 社 、 一 九 九 六 年 ) 、 同 ﹁ 日 本 民 法 の 展 開 ( 2 ) 特別法の生成 1 1 不法行為法﹂広中俊雄・星野英一編﹃民法典の百年 I 全体的観察﹄二七九頁(三 O 六 頁 ) ( 有 斐 閣 、 一 九 九 八 年 ) 。 な お 、 前 掲

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注 ( 川 山 ) は 、 一 O 二頁において、拡大損害が生じた場合には、製造物自体の損害も賠償の対象とした点につき、﹁不法行為制度の 基本原則に従い﹂としつつ、同一 O 四頁において、損害が製造物自体にとどまる場合には、製造物責任の対象としないとした 点につき、﹁このような場合は被害者は報庇担保責任や債務不履行責任のみを追及しうることになる﹂とする。また、升田純﹁詳 論・製造物責任法 ( 1 ) ﹂ NBL 五四九号八頁(一九九四年)は、﹁民法の過失責任も、製造物責任法も、不法行為に基づく損害 賠償請求権であることは共通しているが、製造物責任は、過失責任に対して特則になる関係にある。沿革的にみると、製造物 責任は契約責任であるとか、不法行為責任と契約責任の双方の性質を有するとの考え方もあるが、製造物責任法は不法行為責 任であることを前提として製造物責任を設けている。製造物責任については、製造物責任法に特別の規定がない場合には、民 法の不法行為に関する規定が適用される(製造物責任法六条ことの立場を前提とし、﹁拡大損害の発生の有無を問わず、製品 事故の被害者は、製品の販売業者に対して債務不履行、報統担保責任等の契約責任を追及することができるものである(拡大 損害が発生していない場合には、製品事故の被害者は、過失責任または契約責任によってその被害の救済を受けることになるこ と す る 。 ( ロ ) 植 木 哲 、 ﹁ デ ィ l デリクセン著﹃商品製造者の責任﹄﹂民商法雑誌六二巻六号一四七頁(一九七 O 年)、同﹁ドイツにおける製 造者責任論の展開(一こ神戸法学雑誌二二巻二号一頁(一九七二年)はドイツを、同﹁建売り家屋における買主の保護﹂民商 法雑誌六四巻三号一六三頁(一九七一年)、松本恒雄﹁アメリカにおける製造物責任﹂判例タイムズ六七三号八六頁(一九八八 年)はアメリカを、円谷峻﹁製造物責任と損害﹂一橋論叢七 O 巻六号三七頁(一九七三年)はドイツとアメリカを、浜上則雄 ﹁フランスにおける製造物責任の理論(一)(二)(三こ民商法雑誌六三巻六号三頁・六四巻二号五五頁・同六四巻四号三頁(一 九七一年)はフランスを、同﹁﹁暇庇損害﹄に対するメーカーの不法行為責任と消費者保護﹂﹃大阪大学法学部創立三十周年記 念論文集法と政治の現代的課題﹄一 O 九頁(有斐閣、一九八二年)はドイツ、フランス、アメリカを、下村・前掲注 ( 8 ) は ドイツを、各々紹介している。なお、ドイツの最近の理論的到達点の要点については、クリスティアン・フォン・パ i ル 著 / 窪田充見編訳﹃ヨーロッパ不法行為法

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﹄ 二 O 二頁以下(弘文堂、一九九八年)参照。 (日)クリスティアン・フォン・パ l ル著/窪田充見編訳﹃ヨーロッパ不法行為法問﹄一四六頁(弘文堂、一九九八年)では、 さ 巳 信 広

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が﹁喰い尽くす﹂と、下村・前掲 ( 8 ) で は 、 当 巾 山 門 司 門 町

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が、破疫の﹁拡張﹂と、訳されている。 ( 日 比 ) 下 村 ・ 前 掲 注 ( 8 ) 。

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89 製造物の破証Eに対する不法行為責任(ー) (日)切の国

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(口)前田達明﹃民法九(不法行為法)﹂六七頁 1 七四頁、一一九頁(青林書院、一九八 O 年)、潮見佳男﹃不法行為法﹄一七頁 1 二 七 頁 ( 信 山 社 、 一 九 九 九 年 ) 。 ( 刊 日 ) ド イ ツ 民 法 典

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が規定する不法行為の一般的構成要件は、本文に挙げた、第八二三条第一一項の絶対権侵害のほかに、 同条第二項の保護法規違反、第八二六条の良俗違反の場合が、存在する。 第一章 下級審の裁判例

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建物建築事例を中心として 第一節 は じ め に ここでは、本稿の目的から、不法行為構成によって問題を処理した事例を中心とし、重要なものを年代順に挙げ、 その事件の概要を[事案]とし、裁判所の判断を[判旨]として紹介する。その際、[事案]については、細かい点は 省略して特徴を示すこととし、[判旨]に関しては、不法行為構成の要点を抽出することにより、各々の理論的基礎を 明確にすることを中心とする。要件論では、違法性の内容、過失(注意義務違反の内容)を、効果論では、損害の範 囲を中心として整理することを、あらかじめお断りしておく。また、裁判例によっては、判旨で省略した部分およぴ

(12)

13 34 90 後の分析検討にとり重要と思われる点を中心に簡単な[コメント]を付しておいた。 第 節 下級審の裁判例 ① 東京地判昭和田六年一二月九日金融・商事判例三

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号五頁 [ 事 案 ] V H ( 中武土地・注文者かつ売主)は、本件建物をも(関東工事・請負人)に請け負わせて建築した後、昭和 四

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年八月二日にこの建物と土地を、代金五

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月一五日に、これ を訴外東京住宅生協(以下﹁住宅生協﹂という。)に六三

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万円で転売した。住宅生協は、異受後直ちに本件土地お よぴ建物を組合員に分譲した。分譲を受けた組合員は本件建物に入居した。ところが、 ( 1 ) 浴室の防水工事が不備の ため浴室を使用すると階下へ漏水する、 ( 2 ) 汚水排水管の配管工事が不完全なため、水洗便所の汚物が流れず、床や 座敷などにあふれ出る ( 3 ) 屋上からも雨漏りがする、等の工事上の重大な暇痕が判明した。そこで、住宅生協は自 ら二五

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万円を支出して補修を行うとともに、 X も V 勾との間で修補のために請負契約を締結し、 一三三万円で補修工 事を行わせた。このように双方において補修工事を試みたが、なお前記暇庇は修補されず、全く居住の目的を遂げる ことができなかった。そこで、両者は売買契約を合意解除し、住宅生協より受領した代金、手付金のほか、住宅生協 の支出した本件建物修補費等二五

O

万円を支払い、本件土地建物の引渡しを受けた。その後、

X

は、古久根建設に二 四

OO

万円で修補工事を請け負わせた。

X

は 、

E

に対しては、民法第五七

O

条の暇痕担保責任にもとづき、修補費用 の合計二五三三万円を損害賠償として訴求し、もに対しては、 いわゆる製造者責任により民法第七

O

九条の不法行為 にもとづき、古久根建設に支払った修補代金二四

OO

万円と住宅生協に支払った二五

O

万円の合計二六五

O

万円の損 宝口を被ったとして、損害賠償を訴求した。請求認容。

(13)

[ 判 旨 ] ここでは、請負人もに対する不法行為責任に関してのみ挙げておく。 判旨は、まず、次のように述べて製造者責任が民法第七

O

九条による不法行為の一類型であることを確認する。﹁い わゆる製造者責任は、わが国の不法行為法においては、未だ確立された理論とはいえないけれども、製造者が故意又 は過失により暇庇ある製品を製造し、中開業者を通じてこれを買受けた消費者又は利用者がこれを使用することによ って事故が発生した場合、右事故によって消費者又は利用者が受けた人的、財産的損害につき、製造者に不法行為に よる賠償責任があるとするものであって、民法七

O

九条による不法行為の一類型というべく、従来の不法行為理論の 枠を拡大するものではない﹂と。 判旨は ついで、中開業者が複数介在する場合において、直接契約関係に立たない中開業者は、債権者代住権(民 法第四二三条) の行使は別として、報班担保責任を追及することはできないことを前提に、消費者または利用者から、 91一一製造物の破滅に対する不法行為責任(ー) 現抗ある商品の流通、取扱上の故意、過失によって損害賠償責任を問われる場合があることから、﹁かかる中開業者が 自らかかる暇庇を修補するための費用を支出した場合、修補に要した財産的出摘を製造者に不法行為にもとづく損害 として賠償請求できるか﹂を問題とし、次のように述べて、故意または過失が存在する場合には、修補費用について 損害賠償義務があるとする。すなわち、﹁消費者又は利用者が商品を買受けたところ、商品に暇証があり、その暇庇を 修補することなく使用するときは右暇庇が原因となって消費者又は利用者が人的又は財産的損害を蒙ることを客観的 に予見することができる場合、製造者において故意又は過失により、 かかる暇庇ある商品を製造したのであれば、右 報庇の修補に要した費用は製造者の不法行為による損害として製造者に対し損害賠償請求できるというべきである﹂ とし、﹁建設業者が居住用の建物の建築を請負った場合、請負契約の本旨に従って工事を施工すべきことはもちろん、 建築基準法その他の法規に従って工事を施工し、火災や人の生命身体に対する危険ないし衛生上有害な状態を惹起す

(14)

る暇庇のある建物を建築してはならない注意義務を負っていることは条理上当然であり、これに違反して建物を建築 したため、建物の使用者が右建物を居住使用することによって火災その他の事故が発生し、人の生命、身体を害し、 或は財産的損害を発生せしめたときは いわゆる製造者責任として不法行為による損害賠償責任を負うべきである。 そしてかかる損害を蒙ることを客観的に予見することができる場合に予め璃抗を修補することに要した費用について も同様に賠償義務がある﹂とする。以上を前提とし、本件の場合の過失を認定した後、

X

の請求額のうち、修補に直 接必要な工事として一三

OO

万円の範囲で損害賠償を認めた。 ︹ コ メ ン ト ] 土地・建物の売買事例。本件は、建築業者(請負人)←建築主(注文者、売主)←貫主、 という流れの なかで、買主が直接契約関係のない製造者に対して不法行為責任を追及した事例である。製造者責任が問題となる典 型例ということができる。なお、 V判に対する暇庇担保責任も

X

の請求どおり認めた。周知の如く、民法第五七

O

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売 履 買の目的物に存する隠れた暇庇によって蒙った損害﹂として、賠償を認めた。この点に、 V H の暇庇担保責任にもとづ く損害賠償請求権における特徴がある。なお、 V H ともとの損害賠償債務は不真正連帯債務とする。 ② 東京高判昭和五

O

年六月三

O

日金融・商事判例四八五号ニ七頁、判例タイムズ三三

O

号二八七貰 [ 事 業 ] ①の事件において、ものみが控訴したことによる控訴審判決である。原判決取消し。被控訴人(原審の

X

)

の 請 求 棄 却 [ 確 定 ] 。 [ 判 旨 ] ( ー ) 製造物責任を否定 ここでは、まず、﹁製造物責任の有無﹂を問題とし、﹁製造物責任は、ある商品の 消費者または利用者その他の者が、 その商品に欠陥があったため人的・物的損害を、つけた場合、これらの者と契約関

(15)

係のない製造者・却売業者らが右欠陥を理由に直接被害者に対し損害賠償責任を負うことをいう﹂と定義した後、こ の損害賠償責任の法律的構成としては不法行為説が通説であることを述べた後、 ( 1 ) 製造物責任の対象である商品の 意 義 、 ( 2 ) 原則として完成した商品であることの必要性、 ( 3 ) 製造物責任の責任主体、について詳細に論じた後、最 後に、製造物責任によって保護される損害につき、次のように述べ、原審とは逆に、製造物責任を否定する。ここで は、本稿で重要な、損害の範囲の部分についてのみ挙げておく。 ﹁製造物責任によって保護される損害は、原則として、 その商品の暇庇・欠陥によって消費者その他の第三者の被 っ た 人 的 ・ 物 的 損 害 、 即ち、講学上のいわゆる﹃積極的債権侵害﹄(たとえば、欠陥自動車のため事故を起し傷害をう けた等) でなければならない。商品の暇庇・欠陥に基く商品価値の減少それ自体の損害(完全な商品として代金を定 めて取引したのに暇庇・欠陥のためより低い価値しかない場合における右代金との差額)は、製造者らの詐欺行為等 93一一製造物の暇庇に対する不法行為責任(ー) 持別の事情がない限り、製造物責任の対象である損害に含まれないと解するのが相当である。けだし、 かかる損害は 商品の流通過程における個別的・具体的な契約内容の如何によって、暇庇・欠陥が同一であってもその損害額が変わ っ て く る の で 、 それぞれの契約内容に応じて個別的に損害額をきめることになる。たとえば、消費者又は利用者が無 償で贈与をうけたときは贈与者がその暇庇・欠陥を知りながら故ら告げなかった場合以外は責任を負わないし ( 民 法 五 五 一 条 ) 、 バーゲンセールなどで時価より安く売買されたときは、軽微な暇庇・欠陥につき売主が責任を負わない旨 の黙示の約束を認められることも少なくないであろう。(かかる場合にも、製造物責任によって完全な商品として価値 に相応した代価を補償することは、かえって消費者らに不当な利得を与える結果となるからである)。本件において被 控訴人の主張する損害は本件マンションの暇庇修補費用であるから、暇班により減少した商品価値それ自体で、製造 物責任の対象たる損害ではない。(もっとも、 一般市況商品にあっては、メーカーや販売元が明示又は黙示に品質保証

(16)

をしていることが多いので、これに墓き右のような損害についてもメーカーや販売元に対し賠償を求めることができ る が それは不法行為たる製造物責任ではないて﹂ (

) 通常の不法行為責任も否定 ﹁製造物責任とは別に、本件建物の建築に関与したものとしての控訴人の通常 の不法行為責任の有無を考えるに、被控訴人の主張する損害は、暇庇の修補に要した費用であり、 かかる損害は、暇 庇修補請求権を前提としたものであるので、本件建物の売主である中武土地に対して請求しうるものであることはと もかく、契約関係にない控訴人に対し、不法行為に因る損害としてこれが賠償を請求しうるものではない。けだし、 請負人である控訴人が、請負契約に基き製作した本件マンションに被控訴人主張のような暇庇があるとすれば、これ を補修すべき債務は、請負契約による担保責任(民法六三四条) であって、控訴人が右債務を履行しないことは、右 担保責任に対応する注文者たる中武士地の修補請求債権を侵害するだけであって、 それ以外の権利を侵害するもので いない。これに反し、借家人が賃借家屋を失火で焼失した場合、賃借家屋返還債務の履行不能、 即ち、賃貸人の賃貸 家屋返還請求債権の侵害のほか、家屋所有者ーーー賃貸人以外の第三者のこともある││の所有権をも侵害するので、 債務不履行のほかに所有者に対する不法行為が成立する。それ故、本件において控訴人の補修債務の不履行に基く、 補修費用相当の損害は、注文主である中武土地について生じるだけであって、控訴人の右債務不履行は中武土地から 本件マンションを買った被控訴人の権利を侵害するものでなく、 一般不法行為の成立する余地がない。﹂ [ コ メ ン ト ︺ 製造物責任においては、品質保証の点は示唆しつつも、この責任自体では、物の暇庇によるその物自体 の価値減少は賠償の対象とならないことを明言する。通常の不法行為構成では、暇痕修補費用を、請負における暇庇 担保責任(暇庇修補請求権)と連動させ、自身の直接の相手方である注文者(でありかつ売主) の債権侵害の可能性 の存在のみを根拠としている点が重要である。契約関係が優先するという思考を、 より轍密に説明しているといえ

(17)

る ③ 神戸地判昭和五八年一二月六日判例時報一一一九号一一七頁 [ 事 案 ] (クラレ不動産株式会社)は、宅地の造成、販売を主たる目的とする会社であるところ、兵庫県宝塚 被告

Y

市の山林三一万一六

O

六余平方メートルの宅地造成事業を計画し、昭和四二年二月一八日、住宅地造成事業に関する 法律による認可、宅地造成等規制法及ぴ砂防法による許可を得、右土地を宝塚中山台(以下﹁中山台﹂という。)と名 付けて宅地分譲を開始するとともに、株式会社大林組(以下﹁大林組﹂という。)をして宅地造成工事を行わせ、昭和 四五年四月ごろ一応完成した。原告 X は、昭和四三年二一月二日、中山台の第三期分譲地の一区画である本件土地を Y か ら 買 い 受 け 、 その後、引渡し、移転登記を受けるとともに、 昭和四八年三月ごろから本件土地上に本件家屋の建 築工事を開始し、同年七月一四日完成させ、同日より居住を開始した。ところが、本件造成工事の完成後、盛土地区 95 製造物の破庇に対する不法行為責任(ー) 全般にわたり、約二

O

ないし三

0

センチメートルの地盤の不等沈下が生じた。そのため、中山台住民は、家屋が傾く、 柱と敷居、鴨居とがはずれる、擁壁に亀裂が入る、門柱が沈む、道路が波打つ、側溝が割れたり中に浮いたりする、 地中から水が湧く、 土砂が流失する等の被害を受け、このため、家屋の建替え、大修理や転宅を強 ガ ス 管 が 折 れ る 、 いられる者が多数生じた。原告は、このことにより行った追加工事費用(二二万七六

OO

円)及ぴ土地価格の下落分 のうちの一部の合計九六八万九三三円を損害賠償として訴求した。 一 部 認 容 。 ( 一 三 三 二 万 七

000

円 ) ︻ 地 盤 沈 下 の 原 因 } 被害発生(地盤沈下) の原因として ( 1 ) 勾配の大きい基礎地盤に、厚さ [ 判 旨 ] 判 旨 は ま ず 、 の大きい盛土をしたことによる盛土の滑動、圧密沈下、 お よ び 、 ( 2 ) 破砕帯から湧水する破圧地下水、を挙げたのち ﹁結局、中山台の地盤不等沈下は、基礎地盤の勾配、盛土の厚み、破砕帯からの湧水等が複合的に作用して生じたも のと考えるのが相当である﹂と判断した。

(18)

︻ 過 失 } 現場に事務所を設 続いて、本件造成工事の直接の施工者は大林組であるが、 被告 Y もその発注者として、 け、従業員を常駐させて大林組の工事を指揮していたことから、被告も大林組と同様の責任を負うことを前提に、ま ず、上記 ( 1 ) に関する被告の過失を問題とし、次のような行為義務(結果回避義務)を問題とする。﹁前記のごとき地 形、地質を有する本件中山台を宅地造成する工事業者としては、盛土の滑動、地盤沈下等の事故を防止すべく、 工 事 に先だち、地形、地質の十分な事前調査、樹木、腐植土、木根等の入念な除去(伐開除根)、安全な盛土とその十分な 転 圧 、 地下水に対する十分な排水設備等、造成地の安全、確実を期するに必要な諸方策を講ずべきである﹂とし、伐 開除根、段切工事、締め固め、転庄工事それぞれについて義務悌怠を肯定した。 次に、上記 ( 2 ) に関する過失について。まず、破砕帯から湧水する地下水による地盤沈下に対する予見可能性を開 題とし、次のように述べて予見可能性を肯定する。﹁︿証拠略﹀によれば、本件造成工事の当時から、宅地造成工事施 工者の間では、環境のよい宅地を造るとともに土構造物の安定性を高めるために、浸透水や湧水の十分な排水工事を なすべきものとされていたことが認められる。右事実によれば、宅地造成業者の聞では、本件造成工事着工の当時か ら、盛土地盤にとって湧水がその安定の障害となることが一般的に知られていたものと推認することができ﹂、﹁した がって、被告は、右当時、湧水が盛土地盤の沈下をもたらすことを予見しえたといえる﹂。つぎに、この予見可能性を 前提とし、被告の行為義務として、﹁中山台の盛土地盤に悪影響をもたらし、地盤沈下の一端の原因ともなる湧水の有 無を的確に把握し、これへの対策を講じたうえ造成工事をなすべき義務﹂を設定し、充分な湧水調査義務、排水設備 工事義務を怠ったとした。 以上から、﹁被告には、本件宅地造成工事において、十分な伐開除根作業、転圧工事、湧水調査および排水設備工事 をなすべき義務があるのにこれを怠った過失により、盛土地区の地盤沈下の結果を生ぜしめた﹂として、過失を肯定

(19)

し た 。 ︻ 損 害 ︼ これについては、追加工事費用は、被告の過失行為に起因する損害として肯定したが、 土地価格の下落分に ついては、民法第四一六条第二項の特別事情による損害であるとし、転売の予見可能性等を認めず、請求を否定した。 [ コ メ ン ト ] 宅地の売買事例。本件は、宅地の売買と建物の売買が別々になされており、 そのうち、建物の暇班現象 の原因が宅地の造成工事の過失にあるとして、宅地の売主に対して不法行為責任を追及したものである。宅地造成の 暇庇が原因で建物に暇蛇が生じた事例は他にもあるが、後掲⑤判例の事例は、宅地造成と建物の建築とが同一人によ りなされ、その後、 土地・建物が中開業者を通して売却されている事例である。 ④ 千葉地判昭和五九年八月七日判例タイムズ五四二号ニ四五頁 [ 事 案 ] 事案の詳細は明らかではないが、概略は以下の如くであったようである。原告 X ら(買主)は、被告

Y

(

有 97一一製造物の暇庇に対する不法行為責任(ー) 限会社朝日土地建物、売主)から、 そば・うどん等を商う食堂を経営する目的で、本件土地・建物を購入した。とこ Y が本件土地・建物に設置した浸透式の排水施設は、 X らが前記食堂を経営するという観点からして、その構 ろ が 、 造および機能の点において極めて不適切なものであった。そこで、 X らは、民法第七

O

九条にもとづき、損害賠償を というものである。 一 部 認 容 。 請求した ﹁前記のような各供述に照らし、原告らは、 かなり早い時点から排水施設が浸透式のものであることを知つ [ 判 旨 ] ていたものと推認することができるのであるが、遅くとも入居時の昭和五七年一月二四日には、これを知っていたも のと認められるのが相当である。しかし、被告は、不動産業者であり、 かっ、原告らが本件土地建物においてそば・ うどん等を商う食堂を経営することを承知で、本件土地建物を原告らに売り渡そうとしたのであるから、被告として は、原告らの営業上の排水の処理施設について特に意を用い、 その構造・方式等を選択するに当たっては、事前に原

(20)

告らから排水の量及ぴ質等を聞き質すなどして、情報を収集し、 その営業に適合する排水処理施設を設置すべき義務 があったものというべきである。それなのに、被告は、原告らから事情を聴取することもせず、安易に一般の居住用 建物の場合と同じ規模・構造のものであれば足りるものと考、えて、前記認定の貯水槽を備えるだけの浸透式排水施設 を 設 置 し 、 し か も 、 それが極めて不適切なものであったのであるから、被告には、そのような原告らの営業に適合し ない排水施設を設置した本件土地建物を原告らに売り渡したことについて、過失があったものと認められるのが相当 である﹂。﹁したがって、被告は、原告らに対し、被告の不法行為との間に相当因果関係のある損害について、これを 賠 償 す べ き 義 務 が あ る ﹂ 。 ⑤ 横浜地判昭和六

O

年二月二七日判例タイムズ五五四号二三八頁 [ 事 案 ] 建売住宅の施工、販売業者である VH は 、 昭和四四年一二月中旬に、もと水田であり、その後、耕作が中止さ れ て か ら は 、 そこに廃木やごみが投棄され、その後鋳物砂が埋入されたが、なお水が溜まっている状態の土地を買い 受けた。その後、 V H は、建売住宅建築計画のため、昭和四五年二月下旬、地質調査をすることもなく、三日間位のう ち に

A

に造成させて、宅地とする一方、同年二月二一目、本件各建物の基礎工事を

B

らに依頼し本件各建物を建築さ せ、これを

E

に売却した。原告丸、 X は 、 それぞれ、もから本件土地・ 昭和四五年五月二八日、同年八月一七日に、 建物を六五

O

万円、六二五万円で買い受けて、 入居した。ところが、 入居直後からドアの開閉等に異常が生じていた v勾は、宅地造成、基礎工事に暇庇があ が、昭和四八年四月頃から地盤沈下と建物の傾斜が顕著となった。そこで丸、 ったとして、主に対しては、民法第七一五条による使用者責任、同第七

O

九条およぴ第七二ハ条による責任にもとづ いて損害賠償を訴求し、もに対しては民法第五七

O

条の暇庇担保責任にもとづいて損害賠償を訴求した。 一 部 認 容 。 [ 判 旨 ] こ こ で は 、 VH に対する不法行為責任に関する部分のみ挙げておく。﹁被告 V H は地元の建売住宅の施工、販売業

(21)

者であり、本件各土地がもと水田で同被告がこれを買取る直前まで半ば沼地の状態にあったことをよく承知しており、 従ってその地盤が軟弱なものであろうことは十分予想し得たのであるから、専門業者としても同地上に建売住宅を建 築するには、予め地盤の地質調査を十分に行い、 その結果判明した地質の状況に応じ適切な基礎工事を施し、 い や し くも土地が地盤沈下を生じその上に建築された建物がそのため傾斜するような結果を招来することのないよう注意し、 建築請負業者に宅地を造成及ぴ建物建築工事を注文する場合には請負人に対し右の点について適切な指示をなすべき 義務があるものというべきである﹂とし、 V Hがこの義務を怠ったとした。 [ コ メ ン ト ] 土地・建物の売買(転売)事例。この判決は、もに対する暇庇担保責任に関しても、﹁本件土地・建物に は売買契約時に曜庇が存在しており﹂、この暇庇は﹁隠れた暇庇である﹂として、肯定し、その場合の損害の範囲とし て、建物の修補費用(補修・復旧費用)を認めた点で注目された。この点では、前記①判例と同様である。 99一一製造物の破庇に対する不法行為責任(ー) ⑥ 東京高判昭和六一年二月二七日東京高等裁判所判決時報(民事)三七巻一

i

三号九頁 [ 事 案 ] 事案の詳細は明らかではないが、本件は、建築基準法所定のいわゆる接道要件を充足するものとして売買さ れた土地が、当該要件を充足しないものであった場合に、買主から更に当該土地を転得した者が、直接当初の売主に 対して不法行為を理由とする損害賠償を請求した事例である。棄却。 [ 判 旨 ] ﹁以上のような事実関係において、訴外正市の所為が不法行為を構成するかどうかを検討するに、ある土地 が建築物の敷地として既に建築基準法四三条一項所定の接道要件を充足し又は同法四二条一項五号所定の道路位置指 定を受けることによって接道要件を充足させることができるものとして売買された場合において、後に接道要件を充 足することができないことが判明したときは、当該土地の買主は、右の暇庇が存在することを知らなかったことにつ き過失がなかったときに限り、民法五七

O

条の規定によって売買契約を解除し又は売主に対して損害賠償の請求をす

(22)

ることができることがあるものと解することができ、右のような売買における売主は、右のような意味においては買 主に対して当該土地が接道要件に適合するようにして売買すべき義務を負っているものということができる。 しかしながら、売主の右のような義務は専ら買主に対する契約上の義務にすぎないのであって、当初から不特定多 数の消費者に販売されることがその性質上当然に予定されている商品に生命、身体等に重大な危険を及ぽすような暇 庇がある場合において製造者が直接契約関係に立たない消費者に対しても不測の損害を被らないようにすべき高度の 注意義務を負うものと解される(いわゆる製造物責任の例)とは異なり、本件事案における売買の目的たる土地又は 建物は当然に転売されることが予定されているものでもなければ、 それに控訴人の主張するような暇証があっても生 命、身体等に重大な危険を及ぽすという類いのものではないのであるから、売主としては未だ不特定かつ潜在的な転 得者に対して一般的に右のような暇庇に気付かずに土地又は建物を取得してこれによって不測の損害を被ることがな いようにすべき高度の注意義務を負うものと解すべき余地はないものといわなければならない。 したがって、このような場合にあっては、 土地又は建物の売主が買主と共謀したうえ転得者を欺岡し転得者に損害 を加える意思をもって当該土地を売買したとか、売買契約当時において既に転得者が特定していて、売主としても当 該特定の転得者が損害を被る,ことを容易に知りうべき事情があったなど、特段の事情がない限り、売主が当該土地の 転得者に対して不法行為責任を負うことはないものと解するのが相当である。 これを本件についてみるに、︿証拠﹀によれば、先に説示した道路位置指定の申請、分譲販売、分筆登記手続等は、 r いずれも訴外正市の委任を受けた建築業者、 不 動 産 業 者 、 土地家屋調査士等によって行われたものであって、必ずし も訴外正市の具体的な指図等によって行われたものではないし、訴外正市が関係土地又は建物を訴外栗原又は同森に 売り渡した当時において既に転得者として控訴人が予定されていた訳ではなく、訴外正市が控訴人と訴外栗原又は同

(23)

森との聞の転売契約に全く関与していないのはもとより、訴外栗原又は同森との売買契約の締結についてさえ自ら直 接これに当たったものではないことが認められるのであって、本件証拠によっても訴外正市に先にみたような転得者 たる控訴人に対して不法行為責任を負うべき特段の事情が存在することを認めるには足りない。﹂ ⑦ 大阪地判昭和六二年二月一八日、大阪高判平成元年二月一七日判例時報一三二三号六八頁、判例タイムズ七

O

五 号一八五頁 [ 事 案 ] 原告

L(

パ ン 、 販売を業とする会社) ケ ー キ 類 の 製 造 、 は、昭和四九年一二月一八日、 V M ( 破産者日産ハウ ス株式会社)との聞で、 A 建物の設計、施工につき、二二九六万一八

OO

円で建築請負契約を締結し、 昭和五

O

年六 月頃に工事を完了した破産会社から A 建物の引渡しを受け、所有権保存登記を経由した。原告 L ( v h の代表取締役) 101-製造物の破庇に対する不法行為責任(ー) とその妻は、昭和五

O

年 六 月 ご ろ 、 VH と の 間 で 、 B 建物の設計、施工につき、請負代金二七六五万六四

O

O

円で建築 工事請負契約を締結し、同年二一月一五日頃に工事を完了した破産会社から B 建物の引渡しを受け、所有権保存登記 を経由した。なお、建物の設-計、施工に関しては、も(日産設計監理株式会社

-E

が代表取締役) が 、 v hとの間での 下請負契約を行い、各建物の設計および工事監理を担当した。ところが、 A 、 B 各建物には、水平面および垂直面に おける各傾斜があり、これは基礎構造の不等沈下により発生したものであり、 その根本的な原因は、結局、 A 、 B 各 建物の基礎構造に設計、 工事監理および施工上の暇庇が存在していたことによるものであった。また、両建物には、 耐火、防火上の安全性に関する建築基準法令所定の具体的な技術水準が充たされていないことから、 その耐火ないし 紡火構造にも工事監理および施工上の暇庇が存在した。そこで、 v h v h は、補修費用相当額(二五

OO

万円)等を損 害 と し 、 VH に対しては、民法第四一五条の債務不履行責任(不完全履行)ないし民法第六三四条の暇抗担保責任にも と づ き 、 丸 、 V勾に対しては、法人として民法第四四条ないし民法第七一五条にもとづき、損害賠償を訴求した。

(24)

判決は一部認容。二審判決は一部変更(確定)。 [第一審判決の判旨] こ こ で は 、

E

E

の不法行為責任に関する部分のみを挙げておく。判旨は、事案で挙げた破庇 を詳細に認定した後、次のように述べる。﹁ V勾は実際の地質調査をすることなく、地耐力が一平方メートル当り五トン あるものとして本件の設計を行い、 VH もまた実際の地質調査を実施することなく、右の設計図書に基づいて本件工事 を施工したが、実際には設計図書どおりの地耐力はなく、 そのため不等沈下を生じさせ、 v h らに損害を生じさせたの で あ る 。 と こ ろ で 、

E

の当面の任務は建築確認を得るところにあり、また、右の設計図書は直接には建築確認を得る ために作成されたものと認めることができるが、 VH ともさらには主の従前からの関係、本件の経緯等からすると、右 の設計は建築確認を得るためのものにとどまらず、実際の工事施工のためのものであったと認めるのが相当である。 そして、もは 一級建築士として、設計図書を作成するに当たってはこれを法令又は条例の定める建築物に関する基 準に適合させなければならない ( 建 築 士 法 二 条 五 項 、 一八条二項)ところ、右各建物の基礎構造を設計するに際し敷 地の地盤調査を怠り誤った地耐力を設定して、前記認定のとおり基礎構造の不等沈下を生じきせたのである。従って、 もは少なくとも過失により v h らの財産権を侵害したことになるから民法七

O

九条に基づき、もは代表者であるもがそ の職務を行うにつきなした右不法行為につき法人として民法四四条に基づき、各自右設計上の暇庇により丸らが被つ た損害を賠償する責任がある。﹂ つぎに、損害の範囲について。修補費用相当額の算定につき、判旨は、まず、報庇の修補方法を問題とし、鑑定人 からの複数の方法(部分修復法と再築法)を検討した結果、﹁再築法はにわかに採用し難く、部分修復法が相当である﹂ 組 と 方 述 。) /'ミ 暇 つ 庇 っ さ

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あ B る 建 部 物 分 に σ) ~ み い の て 除 の 去 鉄 、 骨 修 軸 復 組 は 架 理 構 論 体

(25)

上は不可能ではないにせよ、 現実に施工することは極めて困難となり、 工費の低廉性をもってしても最早部分修復法 の合理性を担保しえないというべきであるから、補修方法としては再築法を採用するのが相当である﹂とし、再築法 を前提として必要とされる費用を損害額として認めた。 [控訴審判決の判旨] 第一審判決に対しても、 V勾が控訴したが、控訴審判決も、注意義務の内容を補充するとともに、 損害の公平な分担という見地から、修補方法につき部分修復法による補修費用をもって賠償すべき損害としたものの、 これらの者の不法行為責任を肯定し、補修費用に関しては原審判決と同様の損害額の賠償を認めた。 [ コ メ ン ト ] 建築請負契約事例。設計、 工事監理に関して不法行為責任が問題とされた。請負人である v u に対する責 任については、不完全履行責任を排斥し、民法第六三四条の暇庇担保責任を肯定した。なお、本件では弁護士費用に 103 製造物の破庇に対する不法行為責任(ー) ついても肯定されたが、それは、次のような理由によるものであった。﹁暇痕担保責任に基づく損害賠償請求において 弁護士費用の賠償を認めうるか否かは一つの問題であるが、本件暇庇の内容、程度、態様は前記認定のとおり鉄骨造 の建築物として基礎的かつ重大なものであることや、現庇の発生原因に加えて契約成立の経緯に補修交渉の経緯等の 事情に照らせば、破産会社 ( V H ) の貰う暇抗担保責任の内実は反社会性ないし反倫理性の程度において不法行為責任 に匹敵すべき違法性を有するといわざるを得ないから、結局この問題を積極に解すべきである﹂と。 ⑧ 大阪地判昭和六三年二月二九日判例時報一三

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一号=二頁、判例タイムズ六八二号一八六頁 ︹ 事 案 ] 被告

Y

(

宅地造成工事の請負を業とする会社)は、 昭和五三年七月ごろ、中央住建株式会社(以下、中央住 建 と い う 。 ) から、三重県名張市赤目町壇字横山の土地(以下、本件土地という。) の擁壁工事を含む宅地造成工事を 昭和五五年四月三

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日にこれを完成させた。原告

X

は、昭和五六年五月二八日、野口進から、 請 け 負 い 、 Y の造成に かかる本件土地を含む六筆の土地を三二九二万円で購入した。その後、 X は、昭和五六年七月から昭和五七年一月に

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かけて四名の者に、本件土地を売却した。ところが、 X は、本 昭和五七年八月一日に本件擁壁が損壊した。そこで、 Y の施工した擁壁の構造に欠陥があったためである、 件擁壁が損壊した原因は、 ﹀

γ

し ず ¥ 民法第七

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九 条 に も と づ き 、 修 復 工 事 代 金 三 六

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万円)を損害としてその賠償を訴求した。認容。 [ 判 旨 ] 本件擁壁の損壊は、直接には台風一

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号の接近に伴う集中豪雨に端を発するものであった。しかし、判旨は、 ﹁わが国においては、このような多くの降雨があることは予想しえぬことではないから、本件擁壁の損壊の原因を台 風 一

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号による降雨量に帰するのは相当でない﹂とし、 以下のように述べて被告の過失(注意義務違反)を肯定する。 ﹁なるほど、︿証拠略﹀によれば、被告は中央住建の指示どおりに本件擁壁を含む擁壁工事を行ったことが認められ る。しかしながら、 一方、︿証拠略﹀によれば、中央住建は、本件各土地を含む本件宅地造成地を、中央住建自らが 使用する考えはなく、宅地分譲地として第三者に販売する意図であったこと、そうして、被告は、擁壁工事を含む本 件宅地造成工事を行うにあたり、中央住建が右造成地を宅地分譲地として販売する意図であり、最終的には、中央住 建以外の第三者が宅地分譲地としてこれを取得し、利用するようになることを知っていたものと認めることができる。 したがって、右事実に鑑みると、本件宅地造成工事を施工する被告としては、 たと、ぇ、注文者である中央住建の指示 どおりの工事を行うとはいえ、被告の行う造成工事(擁壁工事を含む)に欠陥があり、 そのため、本件各土地を含む 右造成地を宅地分譲地として取得し、利用するようになる第三者の権利を侵害したり、あるいは第三者にとって違法 な事実が発生することがないよう配慮すべき注意義務を負担していたものということができる。そうして、︿証拠略﹀ によって認められる、被告は、以前は個人業であったが、 昭和四七年ころ会社組織になった土木建築請負の専門業者 であり、本件宅地造成工事まで相当数の土木建築工事を手がけていたと恩われるとの事実に、被告は、本件擁壁を含 む ( ロ ) i ( ハ)聞に設けられる擁壁が許可申請図面記載の構造を有する擁壁ではなく、 それよりも構造上劣ったもので

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あることを知っていたとの事実(右は︿証拠略﹀によって認めうる)を併せ考えると、被告は前記注意義務に違反して 本件擁壁を造ったものというべく、 したがって、被告は、本件擁壁の損壊につき過失があったと認めるのが相当であ る 。 ﹂ 次の損害について。判旨は、原告と南らとの問で、裁判上の和解が行われたことを指摘した後、﹁右裁判上の和解に おいては、本件各土地と本件擁壁について、原告による修復工事が完了したことが確認されたこと、原告は右修復工 事を林産業株式会社に注文し、林産業が修復工事を行ったこと、原告は昭和六一年五月一日林産業に対し、右工事代 金二ハ

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万円を支払ったこと、林産業が行った修復工事中には、擁壁工事だけでなく、 土工事や排水工事も含まれ て い る が 、 土工事や排水工事も擁壁工事の築造、維持に不可欠の工事であり、したがって、本件擁壁の損壊に伴う修 105一一製造物の暇庇に対する不法行為責任(ー) 復工事の一部とみられること、このように認められる﹂として、﹁本件擁壁の損壊による原告の被った損害は一六

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万円と認められる﹂とした。 ⑨ 神戸地判昭和六三年五月三

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日判例時報一二九七号一

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九頁、判例タイムズ六九一号一九三頁 [ 事 案 ] ( 注 文 者 ) は 、 昭和五三年一一月一六日、 被告 V H ( 請負人・会社)との聞で、本件建物の建築工事に 原告

X

関する請負契約を締結し、これにもとづき、 VH は、昭和五四年五月二

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日ごろ右建築工事を完了し、本件建物を

X

に 引き渡した。ところが、本件建物は、随所に、約定および建築基準法・同施行令の関係条項に違反する暇庇が存在す る﹁いわゆる欠陥住宅﹂であり、 とりわけ、基礎およぴ軸組構造は、本件建物に作用する荷重や外力に対して法定の 構造耐力上の安全性に欠けていることから、 地震や台風等の振動・衝撃を契機として倒壊しかねない危険性を内蔵し X は 、 VH に対し、本件建物の暇庇修補の方法は、再築方法しかないとし、 それに要する費用を、暇 て い た 。 そ こ で 、 庇担保、不法行為、債務不履行を理由(裁判所はこれについて排除)として訴求した。 一 部 認 容 。

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