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皮膚生検による糖尿病患者の皮膚神経終末部の免疫組織化学的検討

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Academic year: 2021

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皮膚生検による糖尿病患者の皮膚神経終末部の免疫

組織化学的検討

著者

上古 眞理

発行年

1996-03-22

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氏名・(本籍) 学位の種類 学位記番号 学位授与の要件 学位授与年月日 学位論文蓮昌 上 古 眞 理(京都府) 博士(医学) 博士第221号 学位規則第4条第1項該当 平成8年3月22日 皮膚生検による糖尿病患者の皮膚神経終末部の免疫組織化学的検討 審査委員  主査 教授  上 原 正 巳 副査 教授  前 田 敏 博 副査 教授  吉 川 隆 一 論 文 内 容 の 要 旨 〔目 的〕 当教室では以前より糖尿病性神経障害の形態学的評価法として皮膚生検による電顕的検討 を行ってきた。糖尿病では真皮無髄神経密度が低く、脱神経したSchwann cell clusterが高頻 度に観察され、軸索/Schwann細胞面積比の低下などが認められた。しかし電顕的評価では 観察視野が狭いという欠点がある。最近、神経ペプチドや神経軸索のマーカーであるprotein gene product(PGP)9.5を用いた免疫組織化学的検討が皮膚神経の形態学的評価に有用であ ることが報告されている。そこで、皮膚神経PGP9.5の免疫組織化学が糖尿病性神経障害の評 価に有用であるか否かを光学顕微鏡と共焦点レーザー顕微鏡を用いた定量的形態計測法にて 検討した。 〔方 法〕 当科入院中、あるいは当科外来通院中のインスリン非依存型糖尿病患者21名(57.3±11歳) および年齢を整合させた対照者13名(58.4±14歳)を対象とした。糖尿病患者には知覚症状の 有無を聴取し、排腹神経伝導速度を測定した。皮膚生検は排腹部より直径4−6mmの皮膚を採 取し固定後、4年mの浮遊切片を作製した。免疫染色および形態計測を行った。 解析1(光学顕微儀による解析)では一次抗体として抗PGP9.5家兎血清(1:20000)を用 い、ABC法でDAB−Ni染色を施した。解析は光学顕微鏡下で表皮内および乳頭部最下層より 50FLmまでの深さの真皮内DAB−Ni染色陽性神経線維長の計測により行った0

し強 慧言,豊誓芸票慧芸禁を忘誓芸芸霊豊芸慧芝5宗

に断層像を取り込み、重ね合わせた投影図として一つの画像に再構築した。解析はNIH im喝eで表皮内および乳頭部最下層より5年mまでの深さの真皮内蛍光染色陽性神経線維長の計 測により行った。真皮内の神経線維面積も同時に計測した。 〔結 果〕 1.対照者と糖尿病患者の皮膚神経線維長と加齢の関係 対照者においては、表皮内の神経線維長は解析1、2ともに加齢に伴って減少し、解析2では 年齢と負の相関が見られた。(r=−0.5、p<0.05)。真皮内神経線維長と年齢との相関は明らか ではなかった。糖尿病患者では全ての年齢で表皮内神経線維長は減少しており、加齢による 変化は明らかではなかった。 2.糖尿病患者の皮膚神経の変化 (1)光顕像と形態計測(解析1) 対照者では真皮内の比較的太い神経束から表皮に向かって神経線経がのび、さらに表皮顆 粒層にまで垂直に上行する細い神経線経が観察された。一方、糖尿病患者では表皮内神経線 経の減少が見られ、かつ真皮内の神経線経も減少している例、不整な線経が増えている例な ー103−

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¶ どが見られた0表皮内神経線錐長は対照者に比べて糖尿病患者で有意(129±29vs310±6坤m、 p<0.005)に減少していた。しかし、真皮内神経線維長は両者間に差は見られなかった (叫5±42vs498±34〃m)。 (2)共焦点レーザー顕微鏡像と画像解析(解析2) 共焦点レーザー顕微鏡による再構築像では対照者で表皮内の表層までのびる細い神経線経 の走行が明瞭に描出できた。糖尿病患者では表皮内の神経線経は対照者に比べて明らかに減 少していたが、其皮内の神経線経の分布は症例および場所により異なるが比較的保たれてい た。画像解析による検討では表皮内の神経線維長は対照者に比べて糖尿病患者で有意に減少 していた(59±24vs154±25〃m、p<0・05)。しかし真皮では有意差はなかった(589±125vs 406±43〃m)。真皮内神経線経の面積による検討でも両者間に有意差は見られなかった (2188±467vs1922±267〃m2)。 3.PGP9.5の免疫染色性と臨床検査成績の相関性 神経線錐長と年齢、血糖コントロール、糖尿病魔病期間との相関は見られなかった。解析1 において知覚症状を有する患者で表皮内神経線維長の有意な減少(83±22vs170±50〃m、p< 0.05)が見られた。また、解析1で表皮内神経線維長と排腹神経伝導速度は正の相関(r=0.48、 p<0.05)を示した。 〔考 察〕 今回、光学顕微鏡(解析1)と共焦点レーザー顕微鏡(解析2)を用いて定量的に形態計測 を行ったが、より明瞭に表皮内神経線経を描出でき、弱拡大で容易に広い範囲を解析できる 点では共焦点レーザー顕微鏡の方が優れていると考えられた。一般に加齢により末梢神経の 変性が起こると言われており、今回の結果は健常対照者において加齢による変性が表皮内よ り始まる可能性を示唆している。一方、糖尿病患者では高血糖に基づく代謝異常などにより 年齢に関係なく表皮内神経線経の変性は起こっていると考えられた。また、知覚症状を有す る患者では表皮内神経線維長は減少しておりポリニューロパチ一に起因する皮膚神経の変化 を反映すると考えられた。さらに、排腹神経伝導速度と表皮内神経線維長に正相関がみられ、 有髄および無髄神経の両方が平行して障害されてくる可能性を示唆する所見と考えられた。 〔結 論〕 糖尿病患者の表皮内PGP9.5陽性神経は明らかに減少しており、神経変性を示唆する所見と 考えられた。さらに表皮内神経線維長は知覚症状を有する糖尿病患者で減少し、脾腹神経伝 導速度と相関を示すなど臨床所見を反映しており、皮膚生検材料を用いた免疫組織化学的検 討が糖尿病性神経障害の形態学的評価に有用であることを示唆していると考えられる。

論文審査の結果の要旨

糖尿病性神経障害は糖尿病合併症として最も頻度の高い病態である。その中でも最もよく 見られる多発性神経障害では知覚優位に障害されることが知られている。最近、神経ペプチ

ドや神経軸索のマーカーであるprotein gene product(PGP)9.5を用いた免疫組織化学的検討 が皮膚神経の形態学的評価に有用であることが報告されている。本研究は、知覚神経終末が 分布する皮膚の生検材料を用いて、皮膚神経PGP9.5の免疫組織化学が糖尿病性神経障害の評 価に有用であるか否かを検討した。解析は光学顕微鏡と共焦点レーザー顕微鏡を用いた定量 的形態計測法で行った。 得られた結果は以下の通りである。 1)健常対照者では、表皮内の神経線維長は加齢に伴って減少した。糖尿病患者では表皮内 神経線維長は全ての年齢で減少しており、このため加齢による変化は認められなかった。2) 光学顕微鏡による解析では、表皮内神経線維長は対照者に比べて糖尿病患者で有意に減少し ー104−

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ていた。しかし、真皮内神経線錐長は糖尿病患者と対照著聞に差は見られなかった。3)共焦 点レーザー顕微鏡像による解析では表皮内神経線維長は対照者に比べて糖尿病患者で有意に 減少していた。しかし真皮内神経線維長は両者間で有意差は認められなかった。4)光学顕微 鏡による解析で、知覚症状を有する糖尿病患者は知覚症状を有さない患者に比べて表皮内神 経線維長の有意な減少を示した。5)糖尿病患者では表皮内神経線維長と排腹神経伝導速度は 正の相関を示した。 以上より、対照者においては加齢による皮膚神経の変性が表皮内より始まる可能性が考え られた。一方、糖尿病患者では年齢に関係なく表皮内神経線経の変性が起こっていると考え られた。また、知覚症状を有する糖尿病患者では表皮内神経線維長は著明に減少しており、 多発性神経障害を反映すると考えられた。さらに、排腹神経伝導速度と表皮内神経線維長に 正相関がみられ、有髄および無髄神経の両方が平行して障害されてくる可能性を示唆する所 見と考えられた。本研究は、糖尿病性神経障害の定量的形態学的評価法として皮膚神経 PGP9.5免疫組織化学が有用であることを示したものであり、博士(医学)の学位論文として 価値あるものと認める。 ー105−

参照

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