• 検索結果がありません。

歩容変化を考慮した歩行運動における運動強度推定式の作成

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "歩容変化を考慮した歩行運動における運動強度推定式の作成"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

歩容変化を考慮した歩行運動における運動強度推定

式の作成

著者

藤原 誠助

学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

医工博第51号

URL

http://hdl.handle.net/10097/00120417

(2)

氏名(本籍地) 藤原 ふじわら 誠 せい 助 すけ 学 位 の 種 類 博 士(医工学) 学 位 記 番 号 医工博 第 51 号 学位授与年月日 平成28年 9月26日 学位授与の要件 学位規則第4条第1項該当 研 究 科 、 専 攻 東北大学大学院医工学研究科(博士課程)医工学専攻 学 位 論 文 題 目 歩容変化を考慮した歩行運動における運動強度推定式の作成 論 文 審 査 委 員 (主査)東北大学教 授 永富 良一 東北大学教 授 出江 紳一 東北大学教 授 芳賀 洋一 東北大学教 授 渡邉 高志

論 文 内 容 の 要 旨

第1章 序論 運動不足に起因するNCD(非感染性疾患)による死亡数は年々増加しており,2008 年は世界で 530 万人を超えている.運動不足の割合を世界で10-20%減らすことができれば年間の死者数は 50 万-130 万人減少し,世界の平均余命は0.68 年延びると試算されている.身体活動量は疾病の発症,およびそ れに伴う死亡率と密接な関係があり,身体活動量の増加によってNCD を抑えられることが明らかと なっている.そのため,各国で身体活動量の基準値が定められており,日本においては厚生労働省の 「健康づくりのための身体活動基準2013」で,身体活動の基準として「運動強度が中強度(3 METs) 以上の身体活動を23 METs・時/週行う」と定めている.中強度を満たす運動の中で,歩行運動は普 段運動を行っていない人でも手軽に始められる運動として推奨されている. 歩行運動は日常生活活動の大半を占め,中強度の運動でありながらランニングや他のスポーツに比 べて怪我のリスクが低く,既存のライフスタイルを乱さず楽しみやすい運動として最適である.また, 日常的に歩行運動を行うことで,NCD の予防・改善に効果的であるという報告もなされている.こ れまで,歩行運動における身体活動量を推定する試みが行われてきており,主なものとして活動量計 が使用されている.歩行運動における身体活動量の変動要因のひとつとして歩行速度の増減が挙げら れ,活動量計の中には歩行速度の違いを考慮して身体活動量を推定しているものも存在している.一 方で歩行速度が一定な場合でも,歩行率と歩幅を変化させることによってエネルギー消費量が変動す ることが明らかとなっている.このことから,日常の歩行時における歩容を意図的に変えるだけでも, 運動強度が増大しNCD リスクの減少に貢献できる可能性が示唆される. しかし,歩行率・歩幅変化に伴う運動強度の変動が,NCD リスクの予防などに及ぼす影響につい ては明らかとされていない.これは,歩行率や歩幅を考慮した運動強度を推定するための運動強度推 定式は確立されていないためである.歩行運動における歩行率・歩幅変化を考慮した運動強度推定式 を作成すれば,その推定式を実装した活動量計を用いることで,歩行率・歩幅変化に伴う運動強度が NCD リスクに及ぼす影響を疫学的に調べることが可能となる.また,歩行率と歩幅を考慮した推定

(3)

式が既存の運動強度推定式よりも高精度なものとなれば,日常生活の運動強度とNCD の関連性につ いて新たな知見が得られるかもしれない.さらに,近年は計測した情報をリアルタイムに計測対象者 が確認できるようなサービスが展開されており,様々な歩容における歩行運動時の運動強度をリアル タイムで確認するようなサービスの提供にも発展する可能性がある. そこで本研究では,歩行時の歩行速度,歩行率,歩幅を意図的に変化させた時の酸素摂取量を測定 し,歩行運動に最適な運動強度推定式を求め,その結果から歩行率・歩幅の変化による運動強度の変 動を推定することを目的とした. 第2章 意図的な歩行率・歩幅変化による歩容の変動 歩行動作は歩行速度=歩行率×歩幅の関係性によって歩行様式が決定される.歩行速度は日常生活 での平地における自由歩行では,平均で80 m/min 前後という報告があるが,性別,年齢,体型,人 種などの要因による個人差が大きいともいわれている.同一対象者の歩容変化に関しては,歩行速度 変化の歩幅,歩行率の貢献度を示す指標であるWalk Ratio(歩幅/歩行率)を用いて調べられている. Walk Ratio は,歩行速度や歩行率,歩幅を意図的に変えるよう指示を与えた場合に,それぞれ異なっ た値の変化となることが報告されている.しかし,歩行率や歩幅を意図的に変化させたときの歩容変 化に関しては,歩行速度と比べると十分な検討がなされておらず不明な点が多い.そこで,様々な歩 行条件において歩容がどのように変動するのか確認するための検討を行った. ・歩行率統制条件における歩容 自由歩行と歩行率の大きさをメトロノームによって5 段階に歩行率を設定した歩行における歩容の 変化について検討し,歩行率の変化に伴い歩行速度,歩幅がどのように変動するのかを確認した.そ の結果,メトロノームによって歩容が大きく変化することは確認できなかった.また,歩行率変化に 伴うWalk Ratio の変動には個人差があり,一定の歩行様式とはならないことが示唆された. ・歩幅統制条件における歩容 歩幅の大きさを主観的に5 段階に分けて設定した時に歩容がどのように変化するのか検討し,また 歩幅の大きさがどの程度まで変動させられるのかを確認した.歩幅,歩行速度,Walk ratio の値は歩 幅を広げることを意識するほど増大し,狭めることを意識するほど減少する傾向を示し,歩行速度は 歩行率ではなく歩幅の変化に伴って変動することが確認できた.歩行可能な歩幅および歩幅を身長で 除したAdjusted step length (ASL)の範囲は概ね 0.60-1.00 m,0.35-0.60 であることが分かった. ・歩幅統制時の歩行順序による先行動作の影響 直前の試技における歩幅の大きさが,次の歩行時の歩幅の大きさに影響を与えるのか確認を行った. 今回の測定の結果からは,先行動作の影響により歩幅の変化が起こる可能性は低いと考えられた.し かしながら,先行動作の影響を確実に排除するためには,試技間に十分な休憩を挟むこと,試技の順 序をランダムに設定することなどの対策を行えばよいことが示唆された. 以上より,歩容に関する先行研究の結果の確認,および意図的に歩行率や歩幅を変化させたときの 歩容の特徴などを確認することができた. 第3章 歩容変化に伴う運動強度推定式の作成 歩行時の酸素摂取量(エネルギー消費量)は歩容の変化によって変動する.歩行速度の変化に関し ては,歩行速度が速くなるとエネルギー消費量も増大するが,単位距離当たりのエネルギー消費量は 日常的に行う歩行速度(52-90 m/min)の時に最も少なくなると報告されている.歩行率および歩幅

(4)

の変化に関しては,トレッドミル上で一定速度条件下において様々に歩行率を変化させて歩かせたと きのエネルギー消費量について検討されている.自身が最も快適と感じる歩行率(快適歩行率)に近 い歩行率でエネルギー消費量が最も少なくなり,快適歩行率よりも歩行率が小さく,もしくは大きく なるほど増大するU 字曲線の関係が求まることが報告されている.このように,人は歩行の際には無 意識にエネルギー効率の良い歩行速度,歩行率を選択していることが明らかとなっている. ただし,日常生活における歩行速度,歩行率,歩幅は個人差が大きく,かつ,1 日の生活の中で変 動することが報告されており,日常生活においては歩行率や歩幅の大きさの変化により運動強度も変 動することが予想される.このことから,歩行時の運動強度について歩容を考慮したいくつかの推定 式パターンを比較することは,より精度の高い活動量推定を行う上では有益であると考えられる. 以上のことから,歩行時の歩行速度,歩行率,歩幅を意図的に変化させた時の酸素摂取量を測定し, 歩行運動に最適な運動強度推定式を求めることとした. 被験者は健常な20 代の男性 12 名,女性 7 名,計 19 名を対象とし,60,80,100 m/min の 3 種類 の歩行速度(Walking Velocity:WV)において,様々な歩行率・歩幅での歩行を行わせた時の酸素摂 取量の測定を行った.10 分間の安静後,特に指示を与えない自由歩行を行わせ,その後の試技は ASL の大きさ(0.30-0.60)を歩行率,歩幅変化の基準として変化させて行わせた(ASL 条件).ASL 条件 は0.05 刻みの 7 条件として,試技の順序はランダムとした.試技は各 10 分間ずつ行い,7 分経過後 から試技終了まで 3 分間の酸素摂取量の平均値から単位時間当たりの酸素摂取量を算出し運動強度 METs に換算した. ・METs と ASL の関係 測定の結果,METs はいずれの歩行速度条件においても,快適歩行時の ASL を最小とした U 字曲 線の関係が求まり,先行研究と同様の結果が得られたことが確認された.特に,ASL の値が大きいと きにより大きなMETs となることが分かった. ・自由歩行とASL 条件における運動強度推定式の比較 得られたMETs を用いて,自由歩行と ASL 条件それぞれにおいて歩行速度,歩行率,歩幅につい ての重回帰分析およびLeave-one-out cross validation 法による交差検証を行い,決定係数 R2,最小

二乗平均RMS,RMS の平均値に対する割合を比較し,METs を推定するうえで最適な変数を確認し た.その結果,自由歩行では歩行速度のみでも METs の推定が十分に行えると考えられたが,ASL 条件では歩行率,歩幅を変数として加えることで推定精度が高められることが示唆された. ・運動強度推定式の作成 本測定では,ASL の値が特に大きい,もしくは小さい試技条件での歩行は日常的には行わないよう な歩幅の大きさであった.そのため試技条件によっては,歩き方がぎこちなくなり歩行を続けるのが 困難になる場合がみられた.よって,より精度の高い推定式を得るためにデータ取得率80%未満であ った試技条件については日常的に行う歩行の範囲から外れているとして,それらのデータを除外した 上で重回帰分析,交差検証を行いMETs の推定式を求めた. その結果,歩行速度,歩幅,歩行率の組み合わせの中で最適な運動強度推定式は,以下の式によっ て表すことができると考えられた. METs=1.16×10-4SR2-7.33SL+9.41SL2+2.66(R2=0.70) (SR:歩行率,SL:歩幅)

(5)

第4章 結言 本論文は,日常生活における歩行時の運動強度推定精度を高めるために,歩行速度,歩行率,歩幅 を様々に変えた条件での酸素摂取量の測定を行い,その結果から歩行運動における運動強度推定式を 作成した. 第2 章では,運動強度の推定を行う前段階として,歩行率・歩幅統制条件における歩容変化につい ての確認と,歩幅統制条件における先行動作による歩容への影響についての検討を行い,その結果を まとめた. 第3 章では,前章の結果をもとに歩行条件のプロトコルを決定し,歩行速度と歩行率,歩幅の様々 な歩行条件における酸素摂取量の計測を行い,運動強度の値を算出した.その値から,歩行速度,歩 行率,歩幅が運動強度にどのような影響を与えるのかを確認し,歩容変化に伴う運動強度推定式を算 出した.ただし,この推定式の妥当性および精度については具体的に明らかとすることができなかっ たため,今後,さらなる検討が必要である.

(6)

別紙1

論 文 審 査 結 果 の 要 旨 及 び そ の 担 当 者

論文提出者氏名 藤原 誠助 論 文 題 目 歩容変化を考慮した歩行運動における運動強度推定式の作成 論文審査担当者 (主査)教 授 永富 良一 教 授 出江 紳一 教 授 芳賀 洋一 教 授 渡邉 高志 論 文 審 査 結 果 の 要 旨 歩行運度は日常生活活動の大半を占め、怪我のリスクが低く、既存のライフスタイルを乱さず 楽しみやすい運動として最適である。歩行は多くの人が行う運動であることから、日常の生活に おける歩行時の運動強度を評価することは、非感染性疾患を予防する上でも重要であるといわれ ている。しかし、これまでに報告されている歩行時の運動強度推定式は歩行速度により推定され てきたため、歩行率、歩幅の影響を考慮することでより推定精度を高められる可能性が考えられ た。本論文は、これらの研究成果をまとめたものであり、全編 4 章からなる。第 1 章は序論であ り、本研究の背景、目的及び構成を述べている。第2 章では、歩行率、歩幅を意図的に変化させ た歩行条件において、歩容がどのように変動するのかを確認するための検討を行っている。歩行 率を意図的に変えたときの歩容変化は個人差が多く、一定の歩行様式とならないことが示唆され た。また、歩幅を意図的に変えたときには、歩行率は変わらず歩行速度のみが速くなること、測 定可能な歩幅の範囲を確認することができた。これらの結果は、次章の運動強度推定式を求める ためのプロトコルを構築する上で重要な知見であった。第3 章では、第 2 章で明らかとなった歩 行の特徴を踏まえ、歩行時の歩行速度,歩行率,歩幅を意図的に変化させた時の酸素摂取量を測 定し,歩行運動に最適な運動強度推定式を求めた。歩幅の大きさを意図的に変化させて歩行させ た時には、歩行速度のみでは運動強度の推定精度が低くなることが明らかとなった。一方、歩行 率,歩幅を推定式の変数として加えることで、推定精度が高められることが示唆された。これま での歩行時の運動強度は歩行速度のみによる推定が行われてきたが、より精度よく運動強度を推 定するためには歩行率、歩幅の変化も考慮するべきであるということを示した重要な成果であ る。第4 章は結論である。 歩行速度は歩幅と歩行率で規定されている。特に意識をしない歩行を自由歩行としたときの 歩行条件から歩幅あるいは歩行率を変化させたときに運動効率が変化することは知られていた。 もしその変化に法則性があれば数式化が可能である。本論文では歩行時のエネルギー消費量に相 当する酸素摂取量と歩幅・歩行率の間の関連を明らかにし、実測値に基づく運動強度推定式を求 めた。この式は一般に普及している加速度センサーを利用した活動量計や歩数計において歩行率 に加えて歩幅を考慮することにより推定精度が改善することを示唆し、今後ヘルスケア領域にお ける日常生活行動の評価方法の改善につながる成果である。 なお本論文の成果の一部は「エネルギー消費量提示装置およびエネルギー消費量推定方法」と して特許登録されている。 よって、本論文は博士(医工学)の学位論文として合格と認める。

参照

関連したドキュメント

看板,商品などのはみだしも歩行速度に影響をあたえて

当該橋梁は R=600m の曲線区間に架設されており,設定カント 75mm を確保するために左右の主桁高さを 75mm 変化させて設計さ

化 を行 っている.ま た, 遠 田3は変位 の微小増分 を考慮 したつ り合 い条件式 か ら薄 肉開断面 曲線 ば りの基礎微分 方程式 を導 いている.さ らに, 薄木 ら4,7は

c加振振動数を変化させた実験 地震動の振動数の変化が,ろ過水濁度上昇に与え る影響を明らかにするため,入力加速度 150gal,継 続時間

The motion ranges of knee angle became small in the order of normal healthy persons, L4 patients and HipOA patients while that of upper body angle became large in the order of

私たちの行動には 5W1H

振動流中および一様 流中に没水 した小口径の直立 円柱周辺の3次 元流体場 に関する数値解析 を行った.円 柱高 さの違いに よる流況および底面せん断力

Maurer )は,ゴルダンと私が以前 に証明した不変式論の有限性定理を,普通の不変式論