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2  補強材張力と外気温の関係(上下方向)

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Academic year: 2022

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(1)

GRS 一体橋梁(実大試験橋梁)の長期動態計測 

 

鉄道総合技術研究所    正会員  ○須賀  基晃    栗山  亮介    渡辺  健治  舘山  勝      神田  政幸  複合技術研究所        正会員    田村  幸彦    山田  康裕 

 

1.はじめに  

  上部・下部工を一体化させラーメン構造としたインテグラル橋梁は,断面形状のスリム化及び支承の省略が可能であ り,欧米で道路橋として広く用いられている.しかし,気温の季節変動による橋桁の伸縮に伴う背面盛土の沈下及び土 圧の増加に伴う橋梁の構造的損傷という問題が発生している.筆者らは,この問題を解決するために,インテグラル橋 梁の背面をジオシンセティックスで補強した GRS 一体橋梁を提案した.この橋梁の実用化に向け,実物大規模の試験橋 梁を構築し,常時の永久作用及び気温の季節変動等の変動作用による挙動確認を目的に計測を行った

1)

.なお,計測項 目は,補強材張力,フーチング底面の鉛直土圧・側壁背面土圧,鉄筋応力,側壁の傾斜,構造物と背面盛土の相対変位

(鉛直・水平),温度である.本論文では,平成 21 年 3 月から平成 23 年 1 月までの約 23 ヶ月間の長期動態計測結果を 報告する. 

2.計測概要 

計測は試験橋梁の施工中に手動計測を行い,試験橋梁完成後にデータロガーによる自動計測を開始した.自動計測は 1 時間毎に設定した.試験橋梁の背面は,補強土体の違いによる挙動確認を目的として,セメント改良礫土と粒度調整 砕石の異なる構造とした.なお,計

測機器についても図 1 に示すように 異なる配置としている.補強材等の 初期値は,橋桁コンクリート打設後 の橋桁支保工解体直前とした.また,

土圧計については,設置時を初期値 とした. 

3.計測結果 

補強材張力と外気温の関係を図 2 及び図 3 に示す.外気温により補強材張力が定常的に増減を繰り返していることが 分かる.また,冬季に外気温が下がると橋桁が収縮し,構造物の変形に対して補強材に張力が作用するため,補強材張 力が大きくなる傾向が確認できた.このことから,ラーメン構造物である橋梁と背面の補強土体が一体となり挙動して いることが確認できる.側壁の上部と下部の補強材張力を比較すると,セメント改良礫土側の上部が大きい値となって いるが,他は小さい値となっている.補強材の線路方向の奥行きで比較すると,セメント改良礫土側は橋梁背面の土の う部で大きい値となり,奥側の補強材は小さい値となってい

る.それに比べ粒度調整砕石側は,値は小さいが土のう部も 奥側も同じように反応している.また,上下方向・奥行き方 向ともに,粒度調整砕石側よりもセメント改良礫土側の方が 大きい値となっている.これは,補強材張力の到達範囲の違 いにより,張力に差が出たと考えられる.実験から,粒度調 整砕石内の補強材は,セメント改良礫土内の補強材より補強 材張力の到達範囲が長くなり,補強材全体で負担しているこ とが確認されている

2)

. 

土のう部の補強材張力分布の変化を図 4 に示す.補強材張

力は圧縮側には作用しないと仮定し,圧縮側に作用している 図

2  補強材張力と外気温の関係(上下方向)

キーワード:インテグラル橋梁 

GRS

一体橋梁  動態計測  載荷試験

連絡先:〒

185-8540

  東京都国分寺市光町

2-8-38

鉄道総合技術研究所

TEL.042-573-7261

セメント改良礫土

1350

900 13,200

15,000

900

900 3750

5500

粒度調整砕石

土 のう( 砕石中 詰め)

補 強材( ジオテ キスタ イル)

補 強材ひ ずみゲ ージ 変 位計

温 度計

PC鋼 棒 ( 水 平載 荷試験 用)

鉄 筋計

土 圧計 土のう部 土のう部

単位:mm 橋桁

側壁

1  計測機器配置図

土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑115‑

Ⅲ‑058

(2)

最大値を初期値として,増分を図化した.セメント改良礫土 側の補強材は,上部の補強材位置で張力が大きく,下部にい くほど張力が減少し,張力の変化が大きい.粒度調整砕石側 の補強材は,上部・下部の補強材位置でほぼ張力に差がない.  

土圧と外気温の関係を図 5 に土圧分布の変化を図 6 に示す.

外気温により側壁背面土圧は定常的に増減を繰り返している. 

2 年目の側壁背面土圧が高くなっているのは,外気温が 1 年目 の夏季より 2 年目の夏季の方が高いことが影響していると考 えられる.フーチング底面の鉛直土圧は,外気温の変化によ る変動は見られない.背面盛土が補強土でない場合,側壁の 繰返し水平変位により土圧が増加することが模型実験で確認 されている

3)

.しかし,1 年目と 2 年目の冬季に土圧の増加が 見られないことや,上部も下部も同じように土圧が増加して いることから,背面盛土を補強土としたことにより,橋桁の 伸縮に伴う背面盛土の主働崩壊による土圧増加を防止できた. 

  橋梁の内側鉄筋ひずみの変化を図 7 に示す.内側鉄筋ひず みについては,夏季の外気温上昇時には上床版のひずみは圧 縮側に働き,側壁のひずみは引張側に働く.冬季の外気温下 降時には上床版のひずみは引張側に働き,側壁のひずみは圧 縮側に働く.なお,内側鉄筋の引張側ひずみは 700μ未満とな っており,曲げひび割れ幅の検討を省略できるレベルのひず みとなっている.  

4.おわりに  

実物大規模の試験用 GRS 一体橋梁が完成し,長期動態計測 を開始した.計測結果から,気温の季節変動に応じて増減す る橋桁の軸力に対し,橋梁と補強土体が補強材を介して力の 伝達をし,補強材と背面盛土で抵抗していることが確認でき た.また,現状では,補強材張力・側壁背面土圧・橋梁鉄筋 ひずみも定常的に変動を繰り返していることが分かった.な お,本構造物の補強土体は,当面,セメント改良礫土を基本 とするが,良質な支持地盤で桁長が短い場合等は粒度調整砕 石の仕様も検討する必要がある. 

今後,平成 23 年度に実施を予定している水平載荷試験につ いては,別の機会を得て報告する予定である.なお,試験橋 梁構築は東京理科大・龍岡教授の指導の下,鹿島建設㈱,東 急建設㈱,鉄建建設㈱,㈱複合技術研究所,㈱クラレの共同 で実施している. 

参考文献 

1)永谷達也,田村幸彦,飯島正敏,舘山勝,小島謙一,渡辺健治:GRS 一体橋梁(実 物大試験)の施工と動態計測,ジオシンセティックス論文集,Vol.24,pp219-22  6,2009.12  2)栗山亮介,須賀基晃,渡辺健治,神田政幸:粒度調整砕石内に敷 設された補強材の引抜き特性について,第 66 回年次学術講演会(2011)  3)相 澤宏幸,野尻峰広,平川大貴,錦織大樹,笹田泰雄,龍岡文夫,渡辺健治,舘山勝:

補強・無補強盛土からなる各種橋梁形式の構造・工程及び性能の比較,ジオシンセティックス論文集,Vol.21,pp175-182,2006.12 

3

  補強材張力と外気温の関係(奥行き方向)

冬季計測(2月上旬) 夏季計測(7月下旬)

セメント改良礫土 粒度調整砕石

4  補強材張力分布の変化(増分)

5  土圧と外気温の関係

冬季計測(2月上旬) 夏季計測(7月下旬)

セメント改良礫土 粒度調整砕石

6  土圧分布の変化

冬季計測(2月上旬) 夏季計測(7月下旬)

圧縮側(+)

引張側(−)

セメント改良礫土 粒度調整砕石

7  内側鉄筋ひずみの変化

土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

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参照

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