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平成28年度8020運動推進特別事業 事業報告
〇青年期における歯と口の健康サポーター養成事業
(一般社団法人大阪府歯科医師会委託事業)
1 事業目的
大阪府内における大学・短大・専修学校(以下「学校」とする)における保健担当 者を「歯と口の健康サポーター」として養成し、「歯と口の健康サポーター」が学校 において、学生に対し歯科口腔保健の重要性について意識づけを行うことにより、学 生の歯科口腔保健の意識向上を図る。2 事業結果
2-1 歯と口の健康リーダー連絡調整会議の実施
平成 28 年度事業の実施に当たり、歯と口の健康リーダー(地域における公衆衛生 事業の中心的役割を担う歯科医師)と有識者(歯と口の健康サポーター養成プログラ ム検討会委員)の間で、歯と口の健康リーダー連絡調整会議を行った。 ○「歯と口の健康リーダー連絡調整会議」概要 【開催日時】平成 28 年 10 月 4 日(火)17 時~ 【開催場所】大阪府歯科医師会 【協議・説明内容】 (1) 平成 28 年度事業実施について (2) 歯と口の健康サポーター養成研修会について 【講師】 大阪府歯科医師会理事 山本 道也 ・「歯と口の健康サポーター手引き」の使用方法 ・「学生に対する普及啓発用媒体」の使用方法 ・「歯と口の健康サポーター養成研修会」の開催方法 ・歯科口腔保健の重要性についての動機づけの方法 ・事業施設実施地域の選定(特定の地域に偏ることがないよう取り組む) ・平成 27 年度事業の効果検証 ・その他、事業実施に関わる事項 【参加者】20 名 (参加地区:サポーター養成研修会実施地区 10 名、周知広報実施地区 10 名) (3) 歯と口の健康リーダーによる学校への普及啓発と実態調査について (4) その他 資料32
2-2 歯と口の健康サポーター養成研修会の実施
「歯と口の健康リーダー」が中心となり、「歯と口の健康サポーター養成研修会 資料」(平成 26 年度事業作成資料)を活用し、大学・短大・専修学校における保健 担当者等に対し、学校において「学生に対し歯科口腔保健の重要性について意識づ け」を行うための取り組みを行う「歯と口の健康サポーター」として育成するため の研修会を、地域において合計2回行った。 平成 27 年度に周知広報・実態調査を行った学校(24 校)に研修会への参加を呼 びかけた。研修会への参加校は合計で 12 校、参加者は合計で 14 名であった。 【研修会内容】 ・学校における歯と口の健康づくりの意義について(講義形式) ・歯と口の健康づくりに関する基礎知識(講義形式) ・歯と口の健康づくりに関する意識向上について(ワークショップ形式) (1)地域における「歯と口の健康サポーター養成研修会」実施状況 (ア)圏域名:三島 【開催日時】平成 28 年 11 月 30 日(水)14 時~16 時 【開催場所】高槻市生涯学習センター第1会議室 【研修会講師(ファシリテーター)】(順不同・敬称略) 摂津市歯科医師会 公衆歯科衛生・地域生涯歯科保健推進委員 福田 泰明 摂津市歯科医師会 副会長 中西 徹 【参加者】7名 【参加校】6校 【研修会の進行表】 時間 内容 14:00~14:05 開会あいさつ 14:05~14:15 事前説明1 本事業実施背景と大学・短期大学・専修学校における 歯と口の健康づくりの意義について 14:15~14:40 事前説明2 歯と口の健康づくりの基礎知識と本日のテーマについて 14:40~14:45 事前説明3 ワークショップの進め方 14:45~14:50 トイレ休憩 14:50~15:00 アイスブレイク 15:00~15:40 グループディスカッション 15:40~15:55 グループごとの発表、質疑応答、まとめ 15:55~16:00 アンケート記入 16:00 閉会3 【グループディスカッションのテーマと結論】 <Aグループ> テーマ:どうすれば自分の歯をもっと大事にするようになるか グループディスカッション成果物(図案化): 結論:様々な方法で学生に対し動機づけをすること、また、敷居を低くする歯 科医院の努力が大事である。 ファシリテーター意見:グループ内では、学生に対しての動機づけについての 方法や、歯科医院への要求など、学生、歯科医療従事者双方に対し多数の意見 が挙がった。各学校において歯科健診は現在行われていないが、医科の健康診 断の際に歯科の実施を出来ないか、また、学園祭で歯科のブースを出せないか、 講演・セミナー等を併催できないか、などといった様々な意見が挙がり、学校 でできることを考える良いきっかけになったと考える。
4 <Bグループ> テーマ:学生が歯と口の健康に興味を持つにはどうすれば良いか グループディスカッション成果物(図案化): ファシリテーター意見:白い歯や健康な口腔は就職活動にも有利になる等学生 への働きかけ、無料健診の実施、学校健診の結果を歯科保健啓発のファイルに 入れて返却する、SNSで情報発信をする、など様々な啓発方法が考えられる が、その時期だけに働きかけるだけでは結果に結びつきにくいのではないかと いう意見が挙がった。そこで、青年期につなげるための中学・高校時代からの 継続的な啓発・啓蒙活動が重要になり、若者が自分の口腔内の健康を自分自身 のためと意識でき、興味を持てるようになるのではないかと考える。
5 (イ)圏域名:豊能 【開催日時】平成 28 年 11 月 24 日(木)13 時 30 分~15 時 30 分 【開催場所】豊中市医療保健センター 【研修会講師(ファシリテーター)】(順不同・敬称略) 箕面市歯科医師会 高島 隆太郎 豊中市歯科医師会 尾口 英太郎 吹田市歯科医師会 三木 秀治 【参加者】7名 【参加校】6校 【研修会の進行表】 時間 内容 13:30~13:35 開会あいさつ 13:35~13:45 事前説明1 本事業実施背景と大学・短期大学・専修学校における 歯と口の健康づくりの意義について 13:45~14:10 事前説明2 歯と口の健康づくりの基礎知識と本日のテーマについて 14:10~14:15 事前説明3 ワークショップの進め方 14:15~14:20 トイレ休憩 14:20~14:30 アイスブレイク 14:30~15:10 グループディスカッション 15:10~15:25 グループごとの発表、質疑応答、まとめ 15:25~15:30 アンケート記入 15:30 閉会
6 【グループディスカッションのテーマと結論】 <グループ1> テーマ:生活習慣が歯と口の健康に与える影響について学生に啓発するにはどう したら良いか グループディスカッション成果物(図案化): 結論:KJ法による討論の結果として、「口腔に関する価値観は育った家庭での 教育が大事であり、うまく教育されたものとされなかったものの差が、現に口腔 内の状態の二極化という形で表在している。しかしながら価値観は働きかけによ り変容できるため、行動を強化するためのポスター、個別相談などの機会を増や して対応する必要がある」という結論に達した。 ファシリテーター意見:6人の発表者より「歯について相談できる場所があるこ とを知らせる」、「歯のキレイなタレントのポスターを掲示して真似したい雰囲気 をつくる」、「全身疾患と口の病気の関連性についてアナウンスする」といった活 発な発表が行われた。
7 <グループ2> テーマ:どうすれば自分の歯をもっと大事にするようになるか グループディスカッション成果物(図案化): 結論:KJ法による討論の結果として、「若者にあった動機づけが大事であり、 歯を大切にすることによって自分の人生において得になるかもしれないと思わ せることが重要である。今はポジティブな理由により歯を大切にすることで、結 果として将来のリスクにも対応できる」という結論に達した。 ファシリテーター意見:まず、若者には「異性にモテたい」というところが根本 にあるという意見が出された。そこを軸に、ではどうしたら歯に意識を持っても らえるか、それには歯が汚かったり、口臭があると異性に嫌われるということを しっかりと分かってもらうような啓蒙活動が大事ではないかという意見が挙が った。また、就職活動においても綺麗にケアをしている方が有利になる、将来の 歯の喪失のリスクを説いても実感がわかないのでは、などの意見が挙がり、活発 な議論となった。
8 <グループ3> テーマ:生活習慣が歯と口の健康に与える影響について学生に啓発するにはどう したら良いか グループディスカッション成果物(図案化): 結論:学生らの歯科健診受診率の向上に対する法整備、公的な健診の要望、また 口腔保健活動の啓蒙方法、食生活や喫煙、飲酒など、日常生活においての注意点 や改善方法等についてディスカッションを行った結果、口腔の健康が就職活動に 大きく影響を及ぼすことがある、という内容で啓発を行うことが最も効果的だと いう結論に達した。 ファシリテーター意見:各参加者に最低3件の意見を出していただくようお願い したが、それぞれ5件以上の意見を出してくれた。意見提出者の立場を尊重しな がら意見の注釈を聞き取り、問題点をグループ分けし、各問題グループに対する 意見や対応策を議論した。
9 (2)「歯と口の健康サポーター養成研修会」研修会後のアンケート調査結果 表1 学校における歯と口の健康づくりに関する取り組み 取組み 校数 (%) 実施 未実施 未回答 5 35.7 8 57.1 1 7.2 合計 14 100.0 表2 学校で実施した歯と口の健康づくりの取り組みの詳細(複数回答可) 実施した取り組み 回答数 (%) 歯科の定期健康診断 0 0.0 歯科の健康相談 1 20.0 学校行事を利用しての歯科普及啓発イベント 0 0.0 その他 4 80.0 全体 5 表3 研修内容を事前に知っていたか 知識の有無 人数 (%) ほとんど知っていた 4 28.6 ある程度知っていた 5 35.7 知らないことが多かった 5 35.7 ほとんど初めて知った 0 0.0 合計 14 100.0 表4 研修会や手引書の内容以外で知りたいこと、もしくは、もう少し詳しく 知りたいこと ・口臭について ・舌苔について ・酸蝕歯について ・予防歯科について 表5 研修による学校での歯科口腔保健の普及啓発の重要性 重要性の認識 人数 (%) 認識した 14 100.0 認識しなかった 0 0.0 合計 14 100.0
10 表6 普及啓発媒体(クリアファイル)の効果的な活用方法について (複数回答可) 配布場所 回答数 (%) 一般定期健康診断 8/14 57.1 就職説明会 5/14 35.7 講義 7/14 50.0 その他 3/14 21.4 表7 学生に対する普及啓発媒体に関する意見 ・活用している ・クリアファイルは表か裏どちらかが透明だと使いやすい ・もっと分かりやすいリーフレットでないと学生は手にも取らないと思う ・大切な情報がまとめられており、貴重なファイルだと思う。裏面のセルフケアに ついてはイラスト付きでもう少し詳しくてもいいと感じた ・半年に一回歯科検診を受けましょう!というようなメッセージがあった方が良い ・Q(質問)はあるがA(回答)がないため、裏面に答えが欲しいと思った ・Q1~Q9 で☑がいくつ入ったら具体的にどうなるのかを提示した方が良い 表8 今後の学校での歯科口腔保健に関する取り組みが実施出来るかについて 取り組みの実施 人数 (%) 可能 13 92.9 不可能 1 7.1 合計 14 100.0 表9 今後の学校での歯科口腔保健に関する取り組みについての詳細 (複数回答可) 検討できそうな取り組み 校数 (%) 普及啓発の機会増加 6/14 42.9 行事等での啓発コーナーの設置 9/14 64.3 大学独自のネット配信 3/14 21.4
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2-3 歯と口の健康リーダーによる学校への周知広報と実態調査
大阪府における8地域の二次医療圏のうち、平成 28 年度は北河内医療圏と中河 内医療圏に所在する大学・短大・専修学校に対して、「歯と口の健康リーダー」が 大学・短大・専修学校(合計 24 校)に赴き、周知広報及び実態調査を行った。 また、併せて平成 29 年度に実施予定の「歯と口の健康サポーター養成研修会」 への参加を促した。 (1) 周知広報 【周知事項】 ・「歯と口の健康サポーター手引き」の使用方法 ・「学生に対する普及啓発用媒体」の使用方法 (2) 実態調査 【調査項目】 ・学校における保健担当者の有無及び職種 ・学校での歯科健診実施状況 ・その他、必要な事項 【実態調査結果】 表 10 学校における保健担当者配置の認識の有無 認識 学校数 (%) 有 24 100.0 無 0 0 合計 24 100.0 表 11 保健担当者の職種別配置状況(複数回答可) 配置職種 全体 (内)大学 (内)短大 (内)専修学校 学校数 (%) 学校数 (%) 学校数 (%) 学校数 (%) 医師 10 41.7 5 33.3 2 40.0 3 75.0 看護師 18 75.0 12 80.0 5 100.0 1 25.0 保健師 4 16.7 4 26.6 0 0.0 0 0.0 その他 8 33.3 4 26.6 2 40.0 2 50.0 全体 24 15 5 412 表 12 「歯と口の健康リーダー」の周知に対する学校保健担当者の反応 設置 学校数 (%) 良い 21 87.5 普通 3 12.5 悪い 0 0.0 合計 24 100.0 表 13 学校での歯科健診実施状況 歯科健診 学校数 (%) 有 4 16.7 無 20 83.4 合計 24 100.0
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2-4 学生に対する歯と口の健康づくり意識調査の実施
事業評価に当たり、経年的に学生の変化を調査するため、アンケート調査を実施した。 表 14 学生の所属 学科 学年(人) 小計 1 年 2 年 3 年 4 年 空白 養護保健学科 35 31 0 0 1 67 医療秘書学科 38 50 0 0 1 89 歯科衛生学科 103 101 81 0 3 288 保育学科 0 85 118 0 0 203 リハビリテーション学科 165 144 132 0 0 441 健康科学科 0 54 66 30 1 151 情報メディア学科 10 38 24 25 1 98 日本文化創造学科 0 27 22 25 1 75 国際英語学科 3 24 17 14 1 59 こども学科 4 43 44 30 3 124 心理学科 0 34 22 29 1 86 食文化学科 1 33 32 26 4 96 看護学科 24 39 44 17 1 125 口腔保健学科 77 59 0 0 0 136 (学部空欄) 1 3 2 0 14 20 合 計 462 764 604 196 32 2,058 表 15 毎日の歯みがきの頻度 頻度 人数 (%) 1日4回以上 35 1.7 1日3回 434 21.1 1日2回 1440 69.9 1日1回 146 7.1 無回答 3 0.1 総計 2058 100.0 図1 毎日の歯みがきの頻度14 表 16 日常的に使用している口腔衛生用品について(複数回答) 口腔衛生用品 人数 (%) 歯ブラシ 1,981 96.3 電動歯ブラシ 104 5.1 歯磨剤 1,254 60.9 液体ハミガキ 102 5.0 洗口液 116 5.6 歯間ブラシ 201 9.8 デンタルフロス 224 10.9 舌ブラシ 106 5.2 その他 28 1.4 特になし 4 0.2 総 数 N=2,058
図2 日常的に使用している口腔衛生用品 表 17 口に関することで気になること 内容 人数 (%) むし歯 783 38.1 知覚過敏 401 19.5 親知らず 429 20.9 口臭 460 22.4 顎の関節 367 17.8 歯並び 743 36.1 歯の着色 635 30.9 歯と歯の間に食べ物が挟まる 295 14.3 歯ぐきの状態 293 14.2 その他 37 1.8 特になし 231 11.2 総 数 N=2,058
15 図3 口に関することで気になること(人) 表 18 歯ぐきの状態について当てはまる症状 あてはまる症状 人数 (%) 歯ぐきが腫れている 87 30.0 歯を磨いたときに血が出る 150 51.7 歯ぐきが下がって歯の根が出ている 32 11.0 歯ぐきを押すと膿が出る 2 0.6 歯がぐらぐらする 10 3.4 その他 9 3.1 全 体 290 図4 歯ぐきの状態が気になる人が当てはまる症状(人) 表 19 自分の口の中を鏡でチェックする頻度 頻度 人数 (%) 頻繁(1日1回位)にチェックする 745 36.2 ときどきチェックする 1,034 50.2 ほとんどチェックしない 264 12.8 無回答 15 0.8 合 計 2,058 100.0
16 表 20 ひとりで食事する頻度 頻度 人数 (%) ほとんど毎日・毎食 416 20.2 1日に2回以上 295 14.3 1日に1回位 451 21.9 数日に1回程度 410 19.9 ほとんどない 443 21.5 無回答 43 2.1 合 計 2,058 100.0 図5 ひとりで食事する頻度(人) 表 21 よく味わって、よく噛んで食べることについて 気を使っているか 人数 (%) はい 1,104 53.6 いいえ 914 44.5 無回答 40 1.9 合 計 2,058 100.0 表 22 よく噛むことの全身への働きについて 知っているか 人数 (%) はい 1,319 64.1 いいえ 697 33.9 無回答 42 2.0 合 計 2,058 100.0
17 表 23 「いただきます」「ごちそうさま」を言う頻度 頻度 人数 (%) ほとんど毎日・毎食 1,344 65.3 1 日に 2 回以上 241 11.7 1 日に 1 回位 163 7.9 数日に 1 回程度 90 4.4 ほとんどない 183 8.9 無回答 37 1.8 合 計 2,058 100.0 図6 「いただきます」「ごちそうさま」を言う頻度(人) 表 24 かかりつけ歯科医を持っているかについて かかりつけ歯科医 人数 (%) 持っている 1,039 50.5 持っていない 981 47.7 無回答 38 1.8 合 計 2,058 100.0 表 25 この1年で歯科健診を受けたかについて 歯科健診 人数 (%) 受けた 867 42.1 受けていない 1,147 55.7 無回答 44 2.2 合 計 2,058 100.00 表 26 歯科健診の結果について (この一年以内に歯科健診を受けた 867 人対象) 病名・症状 人数 (%) むし歯 458 52.8 知覚過敏 28 3.2 歯周病 17 2.0 顎関節症 46 5.3 その他 178 20.5 総 数 n=867
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3 事業評価
平成 28 年度事業では、平成 27 年度に歯と口の健康リーダーによる周知広報を実施 した 24 校のうち、12 校 14 名の学校担当者が歯と口の健康サポーター養成研修会に 参加された。 研修会でのグループディスカッションでは、家庭における養育環境や、小・中学校 等、少年期からの継続的な啓発活動が重要だが、価値観は外部からの働きかけにより 変容できるものであるため、様々な方法での動機付けが必要であり、若者が特に興味 を持つような就職活動等に絡めた啓発活動が効果的ではないかという意見が挙がっ た。グループディスカッション内で、就職活動に見立てたクリアファイルは有効だと いう意見が挙がる一方、研修会後のアンケート調査では分かり辛いという意見もあり、 改善の検討が必要である。また、学校のSNS等での情報発信についても意見が挙げ られ、今後の普及啓発の手法として取り入れていくことも有効であると考えられる。 研修会を受け、すべての参加者(14 名)が、学校での歯と口の健康づくりの取り 組みの重要性について認識し、参加者 14 名のうち 13 名が、学生に対する歯科保健の 普及啓発に関する取り組みが可能であり、9 名が学校行事等での啓発コーナーの設置 について検討できそうであると回答した。このアンケート調査結果から、「歯と口の 健康サポーター」が、学校において学生に対して意識づけを実践することが期待でき る。 また、今年度も昨年度と同様、府内に所在する大学・短大・専修学校 24 校に対し、 歯と口の健康リーダー(地域保健担当歯科医師)が学校での歯と口の健康づくりにつ いての取り組みを調査するとともに、平成 29 年度に実施予定の「歯と口の健康サポ ーター養成研修会」への参加を促した。 歯と口の健康リーダーによる調査の結果、平成 28 年度に「歯科健診を実施してい る」学校が 24 校中4校(平成 26 年度調査:48 校中0校、平成 27 年度調査:24 校中 0校)であることが分かった。また、「歯と口の健康サポーター養成研修会」でのア ンケート調査の結果、学校で「歯と口の健康づくりに関する取り組み」を実施した学 校が 14 校中5校(平成 26 年度調査:7校中1校、平成 27 年度調査:16 校中6校) という実態を把握できた。歯科健診を実施していると回答した学校は、希望者に対し 年1回の歯科健診を実施しており、また、本事業に関しても積極的に協力するなど、 学生への口腔保健啓発活動に注力していることが伺えた。しかしながら、平成 26 年 度からの調査結果を鑑みると、学生が高等教育終了後に「歯と口の健康」に関して意 識を持つ機会が少ないことがわかる。 以上のことから、本事業は青年期において歯と口の健康についての意識付けの機会 として有用だと考えられるが、今後は「歯と口の健康サポーター」が学校で歯と口の 健康づくりに関する取り組みを実施することによる学生の意識変化の状況について も評価していくことが望まれる。 また、学生の歯科口腔保健意識の変化を経年的に調査するため、平成 27 年度に引き 続き学生を対象にアンケート調査を実施した。対象は、表 14 に示した各学科の学生 2,058 名である。19 2,058 名のうち、約 89%の学生が何らかのトラブルや気になるところを抱えている と回答している(表 17 及び図 3)。口の中で気になるところで一番多かったのはむし 歯だが、次いで歯並び、歯の着色、口臭と続き、学生が審美的な面を気にしているこ とがわかる。 また、歯ぐきの状態が気になると回答した学生は、293 名おり、全体の 14.2%を占 める。歯ぐきの症状について質問したところ、51.7%が「歯を磨いたときに血が出る」 と多くを占め、「歯ぐきが下がって歯の根が出ている」「歯がぐらぐらする」「歯ぐきを 押すと膿が出る」といった回答も見られた(表 18 及び図 4)。 かかりつけ歯科医を持っているかという質問に対しては、持っていると答えた人が 50.5%であった(表 24)。さらに、この1年で歯科健診を受けたかという質問対して は、42.1%の人が受けたと回答した(表 25)。また、歯科健診を受けた 867 人の中で 健診結果がむし歯だったと答えたのが 52.8%であり、次いでその他として答えた 20.5%には「矯正」や「親知らずの抜歯」をはじめとした回答があり、青年期に多く 見られる症状での受診が多かったことが示される。(表 26) 平成 28 年度に歯科を未受診であった人は 55.7%と半数以上の学生が歯科を受診し ていないことが分かる。 本調査により、口の中で気になることはあるものの、実際に歯科を受診していない 学生が多数いることが予想される。そのため引き続き、学生を対象に、歯科口腔保健 について正しい知識を身に着け、将来の歯の喪失を防ぐように働きかけることにより 歯科健診の受診など、学生の行動変容を起こすことが必要だと考える。