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異なる運動トレーニングが ラット骨格筋の糖代謝能に及ぼす影響

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Academic year: 2022

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(1)早稲田大学審査学位論文 博士(スポーツ科学)学位論文 概要書. 異なる運動トレーニングが ラット骨格筋の糖代謝能に及ぼす影響 Effects of different exercise training on glucose metabolism in rat skeletal muscle. 2011年1月. 早稲田大学大学院 スポーツ科学研究科. 藤本 恵理 Fujimoto, Eri 研究指導教員:. 樋口. 満. 教授.

(2) 食事から摂取した糖質の 80〜90%は骨格筋に取り込まれることが知られている.骨格筋 の糖代謝能は糖取り込み速度によって律速されており、glucose transporter(GLUT)-4 と呼 ばれる糖輸送体を介して、細胞内に取り込まれる.骨格筋の糖取り込み速度と骨格筋 GLUT-4 濃度には高い相関があることが報告されていることから、骨格筋さらには全身の糖 代謝能に骨格筋 GLUT-4 濃度が大きく影響を与えると考えられている.運動トレーニング は、骨格筋 GLUT-4 濃度を増加させることにより、骨格筋の糖代謝能を高める作用をもつ ことから、糖尿病予防および治療に効果的であることが知られている.しかし、どのよう な運動トレーニングが糖代謝能向上に対して最適であるのかについては明らかとなってい ない.そこで、本博士論文では、ヒトが実践可能なトレーニング方法を開発するという観 点から、ラットを用いて安全で最適な運動強度、運動時間を明らかにするという目的で基 礎的な研究を行った. 従来、骨格筋 GLUT-4 濃度を最大に刺激するとされる無負荷で 6 時間(3 時間×2 セット、 間 45 分休息)の低強度・長時間水泳運動は、GLUT-4 発現に関与していると考えられてい る 転 写 活 性 化 補 助 因 子 で あ る Peroxisome proliferator-activated receptor γ coactivator-1a(PGC-1a)発現を細胞全体および核内の両方において運動後 18 時間もの間、 持続的に高いまま維持していることが報告されている.したがって、一過性の低強度・長 時間水泳運動後には GLUT-4 発現も高いまま維持されていることが推測される.しかしそ の後の時間的変化については観察されていない.そこで[研究課題 1] では、一過性の低強度・ 長時間水泳運動 24 時間後まで骨格筋の細胞全体および核内の PGC-1a 発現を観察すること を目的とした.その結果、細胞全体の PGC-1a は運動 24 時間後まで高い値を維持していた が、生理学的機能をもつとされる核内の PGC-1a は運動 18 時間後まで高い値を示した. [研究課題 2] では、低強度・長時間水泳運動トレーニングの運動時間と骨格筋 GLUT-4 発 現の容量依存性について検討する目的で、運動時間を 90 分、180 分、および従来 GLUT-4 濃度を最大に刺激すると考えられている 360 分の 3 種類に設定した.その結果、骨格筋 GLUT-4 濃度はコントロールと比較して運動時間 180 分以降において有意に高い値を示し、 運動時間 180 分と 360 分の間には有意な差が認められなかったことから、運動時間と GLUT-4 発現に容量依存性はないことが明らかになった.さらに、GLUT-4 発現に関与して いると考えられている AMPK のリン酸化においても、運動時間に対して GLUT-4 発現と同 様な反応を示したことから、この GLUT-4 発現は AMPK のリン酸化を介している可能性が 示唆された. 近年、ラットに 14%の錘を装着させ 20 秒間の水泳運動を 10 秒間の休息を挟み 14 セット.

(3) 行わせるような高強度・短時間運動トレーニングを行うことによっても、骨格筋 GLUT-4 濃度に対して、低強度・長時間トレーニングを行うものと同程度の増加が認められること が報告された.しかし、この運動トレーニングは疲労困憊に至るような運動であると考え られ、糖代謝能向上のための運動処方として用いるためには、より少ない運動セット回数でも ある程度の効果が得られることを確認する必要がある.そこで、[研究課題 3] では、高強度・ 短時間水泳運動トレーニングの運動セット回数とラット骨格筋 GLUT-4 濃度の容量依存性につ いて検討する目的で、運動セット回数を 3 セット、7 セット、および GLUT-4 濃度を最大に刺激する と考えられている 14 セットの 3 種類に設定した.その結果、骨格筋 GLUT-4 濃度はコントロ ールと比較して、わずか 3 セットにおいて、7 セット、14 セットと同様に有意な増加が観察された. また、トレーニング 3 群間では有意な差は認められなかったことから、運動セット回数と GLUT-4 発現に容量依存性はないことが明らかになった.さらに、GLUT-4 発現に関与して いると考えられている AMPK のリン酸化においても、運動セット回数に対して GLUT-4 発現 と同様な反応を示したことから、この GLUT-4 発現は AMPK のリン酸化を介している可能 性が示唆された. 以上の結果から、[研究課題 1]より、低強度運動は、糖代謝能向上のような運動の効果を 運動後 18 時間もの間高いまま維持している可能性が推測され、運動の効果を高いままに維 持させ続けるための運動頻度を考える示唆を与えた.さらに、[研究課題 2]、[研究課題 3] より、運動強度と運動時間という観点から、低強度運動トレーニングでは、ある程度運動 時間が長くなければ(運動時間 180 分)骨格筋の糖代謝能に対して効果が認められず、高 強度運動トレーニングでは、疲労困憊に至るような運動を行わなくとも、わずか 3 セット(運 動時間 60 秒)行うトレーニングにより、骨格筋の糖代謝能に対して効果が認められること が明らかになった.トレーニングを記述する 5 つの事柄(運動種類、運動強度、運動時間、 運動頻度、運動期間)のうち、運動強度、運動時間という観点から、糖代謝能向上のため に行う、安全で実践的な運動処方を考えるための基礎的エビデンスの一部を得ることがで きた..

(4)

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