• 検索結果がありません。

スズメの通過できない網目サイズと穴掘りによる侵入行動

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "スズメの通過できない網目サイズと穴掘りによる侵入行動"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

スズメの通過できない網目サイズと穴掘りによる侵入行動

誌名

誌名 Animal behaviour and management ISSN

ISSN 18802133

著者 著者

山口, 恭弘 笠原, 里恵 百瀬, 浩 巻/号

巻/号 51巻4号

掲載ページ

掲載ページ p. 157-163 発行年月

発行年月 2015年12月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

(2)

スズメの通過できない網目サイズと穴掘りによる侵入行動

山口恭弘1*、笠原里恵2、 百 瀬 浩l

1農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター、茨城県つくば市 3058666

2立教大学理学部、東京都豊島区 1718501

*Coespondingauthor E‑mail address: yamay@ac.go.j

要 約

烏害対策の唯一確実な方法は防鳥網を張って、作物と烏とを物理的に遮断することである。網目サイズ は加害鳥ごとに経験則的に決まってはいるが、実際に試験された例はない。そこで、本研究では飼育下に おいてスズメ Pαssermontanusを用い、1mの立方体の枠内に餌場を設置し、枠に下記に記載した網を張り、

通り抜け試験を行った。スズメは防鳥網の実測値31.8X31.7m m、21.9X 21.9 m m、亀甲金網の41.1x26.6 m m   は通り抜けられることが確認された。一方、防獣網の24.5x 18.1 m m、コンウェッドネットの 19.8X17.7mm、 防鳥網の 19.4X19.4 m m、亀甲金網の26.2X19.9 m mでは通り抜けることができなかった。また、スズメ は地面に接した枠の下に大を掘ることにより枠内に侵入することも確認された。スズメの鳥害対策には適 切な網目サイズと穴掘り防止のための地際の対策が重要で、あろう。

キーワード:スズメ、網目サイズ、防鳥網、亀甲金綱、穴掘り行動

緒 言

スズメ Passermontanusは日本全国に分布し人 に身近な鳥であり、人の生活に密接に結びついて いる。スズメは農作物の害鳥であり、イネ 0η'za sativaの被害が最も多いが、種子食であることから

ホウレンソウ争inaciaoleraceaやコマツナBrassica rapa va. rperviridis、ダイコンRaphαnussativus va r. longipinnαtusなどの播種された種子や出芽した苗 が加害される(藤岡と中村 2000)。農林水産省の 被害統計では被害面積、被害量ともここ数十年で 減少傾向にある(農林水産省 2015a)。また、被害 金額については 1999年からの統計しかないが、や はり近年にかけて減少傾向にある。しかしながら、

スズメによる被害は依然発生し続けており、 2013 年の被害統計では、全鳥種中で被害面積がカラス に次いで 2番目に多い。スズメが加害するおもな 農作物はイネであるが、近年のスズメによる被害 の中では、相対的に果樹の割合が高くなっている。

そこで、果樹などの被害対策を進めることで、ス ズメによる農業被害を減少させていくことが望ま れている。

スズメにおいては、農作物への被害対策だけで なく、厩舎や鶏舎での侵入防止対策も重要で、ある。

Animal Behaviour and Management, 51 (4): 157163,2015 (2015.  6.  22受付;2015.  9.  30受理)

もともと、野鳥は家畜に寄生虫や細菌、線虫を媒 介させるとして、侵入対策が検討されてきたが(安 達ら 2006)、2004年以降は、烏インフルエンザの 発生も日本各地で起きており、 2010年度には全 9 県 24農場、約 183万羽の家禽で発生した。 2014 年度には宮崎県、山口県、岡山県、佐賀県で発生

した。また、野鳥においても主にカモ類や猛禽類 で鳥インフルエンザウイノレスが確認されており

(農林水産省 2015b)、近年において野鳥と家禽を 接触させない方策の検証や改良の必要性は高まっ ている。

農業分野において、鳥害対策には様々なものが これまで考案されてきた。ディストレスコールな ど忌避音声を使った聴覚刺激によるもの (Johnson ら 1985; BomfordとO'Brien1990 ;中村と岡ノ谷 1992)、目玉模様や天敵の模型、レーザーなどの視 覚刺激によるもの(城田 1984;B1ackwel1ら 2002; Gorenzelら2002)、嘆覚刺激によるもの (Dolbeer ら 1988)、化学物質を使った忌避剤など生理的嫌 悪感によるもの (Wemerら2005)などである。し かしながら、これらはいずれも烏の刺激に対する 慣れが生じるために、効果の持続性は状況により 異なる。カラスなどの大型烏にはテグスによる対 策も考案されており、完全ではないが被害軽減を

(3)

スズメが通過できない網目サイズ

期待できる (Honda2012)。唯一確実に烏害を防ぐ 方法は、 防鳥網を張ることにより作物と鳥とを物 理的に遮 断することである (Fuller‑PerrineとTobin

1993 ;藤岡と中村 2000)。しかしながら、防鳥網 は価格が高く、張るための労力が大きい。特に、

網目サイズの小さな網ほど重くなるため設置の労 力も大きくなり、通気性も悪くなる。そのため、

防鳥網を張る場合には、被害を及ぼす鳥類の大き さに合わせて適切な網目サイズを選ぶことが推奨 される。

スズメを対象とした農業用の防鳥網は20mm目 が推奨されていることが多しL 同様に厩舎および 鶏舎への野鳥の侵入防止にはスズメサイズの鳥を 想定した20mm目の「防鳥ネットその他の設備」

が推奨されている(農林水産省 2011)。しかし、

いずれの場合でも、スズメに対しての防鳥効果は 明らかにされていない。実際にスズメがどのサイ ズの網目を通り抜けることができ、どのサイズか

ら通り抜けることができなし、かを明らかにするこ とは、効果的な防鳥方法を検討および改良してい くうえで重要であろう。現場においては、実際に 有効な網目サイズを明らかにしてほしいという要 望が高く、試験によって実際に有効な網目サイズ を示すことで、農家の経済的、労力的コストを軽 減することも期待できる。また、 20m m目の防鳥 網を張りながらスズメに侵入されている圃場を見 かけることも多く、その場合は、網目サイズだけ ではなく、スズメが予期せぬところから侵入した 可能性がある。したがって、スズメの侵入方法を 明らかにすることで、より効果的な対策を行うこ とが可能になる。そこで、本研究ではスズメが通 り抜けできない網目サイズを明らかにすることと スズメの侵入行動の解明を目的とし、スズメの密 度や誘引状況について、 一定の条件下で検証が可 能な飼育環境下において試験を行った。

戸 4

W ト

2m

三 1

m

丁 │ 将

上 じ

Examination apparatus 

材料と方法

飼育環境と試験に用いたスズメ

茨城県つくば市中央農業総合研究センター内に、 幅5 m、長さ 17 m、高さ 2 mから 3mの大きさで、

枠組を直径22mmの金属パイプで作ったビニール ハウスを設置し、内部を長さ 2mの作業スペース と15mの飼育試験スペースに区切った。ネズミな ど、小日甫乳類の侵入を防止するため、ビ、ニールハウ スの地面設置部分には深さ 30cmに畦波板を埋め た。飼育試験スペースは金属パイプの内側に短辺 が10mm目の亀甲金網を張り、スズメの出入りが できないようにした。地上は地面を露出させた状 態で、スズメの餌となる雑草は可能な限り取り除 いた。また、直径 19mmの金属パイプで高さ 1m、 長さ 2 mの止まり場を2箇所設置した(図 1)。

2012年3月30日から4月2日にかけて中央農業 総合研究センター構内でスズメ成鳥20羽を捕獲し、

体サイズを計測し、個体識別用のカラーリングを 付けて、飼育試験スペースに放した。この20羽が 標準的な体サイズの個体であることを確認するた めに、研究所内で2011‑2012年に捕獲した試験用と は異なるスズメの成鳥117羽と体サイズを比較し、

有意差のないことを確認した (t検定、表1)。通 常の飼育においては、餌は小鳥用餌、米、ミネラ ル不足に備えて焼ボレー粉を十分量与え、常に食 べ残しがある状態にし、水とともに毎日交換した。

餌は、作業スペースから 2mの距離の場所に、直 径28m mの鉄パイプにプラスチックをコーティン グした管(イレクター)で作成した 1m四方の立 方体の枠(以後、試験枠)の中に設置した(図 1)。 そして、試験開始まではスズメが自由に試験枠に 出入りできるようにし、試験枠への馴致期間とし た。また、網のない状態での採食方法を観察する た め に 、 作 業 ス ペース内にビデオカメラ (Sony Handycam HDR‑CX180)を設置して、断片的にビ デオ撮影を行った。

Experimental area 

l ト十

3m

Perc Perch 

15m 

Figure 1. Layout of aviary 

(4)

Table 1. Comparison of body measurements (mean:!:SD) of the adult Eurasian Tree Sparrows that were  used and not used in  the experiment, captured in the National Agricultural Research Center in  20刊司2012.Thereare no significant differences in body measurements between two groups by  t‑test. 

Sample size  Tarsus  length  Natural wing Tai I lengh  Exposure calmen  Total  head  Body weight  (N (mm)  (mm (mm (mm)  (mm (g Experimetal 

individuals  20  17.5 :t 0.5  67.0 :t 1. 6 51. :t  1.5  11.8:t 0.5  30.6 O.5 22. 2 :t 1.  Not experimetal 

individual 117  17.:t 0. 66.:t 2.0 51. :t 1.8  11.9:t 0.6  30.9:t 0.6 22.5 :t 1.7 

試験方法

2012年5月16日から 6月28日にかけて試験を 行った。試験は試験枠の地面を除く 5面を試験に 用いた網で隙間なく覆い、その中に餌場を設置し、 スズメが網をくぐり抜けるかどうかを確認した。

試験に使用した網 7種類と試験を行った順番を表 2に示す。使用した網は市販されているものを用い、

網目サイズはスズメ用で推奨されている 20mm目 の前後のサイズを選択し、防鳥網は果樹園に、防 獣網、コンウェッドネッ ト、亀甲金網は鶏舎など への適用が考えられることから試験に用いた。 防 鳥網は太さ 1,000デニーノレの l本糸を編んだもの、

防獣網はポリエチレンのラッセル編み、コンウェ ッドネッ トはポリプロピレン製の一体成形押し出 しネット、亀甲金網は太さ 1.1m mでビニーノレ被覆 のものを使用した。試験に使用した防鳥網の網目 の実測値は縦方向、横方向それぞれ20回計測した 平均値土SDで、 31.8土0.7X 31.7土0.6m m、21.9土 0.4X21.9土0.5m m、19.4土0.8X 19 .4士0.5m mの3 種類、防獣網は24.5土0.4X18.1土O.4m mの1種類、

コンウェッドネットは 19.8土0.3X17.7土0.2m mの 1種類、亀甲金網は最長辺と最短辺で、41.1土0.7

X26.6土0.9m m、26.2土0.3X 19.9土O.4m mの2種 類である。計測箇所を図2に示す。

Figure 2.  Measured parts of each net 

(5)

スズメが通過できない網目サイズ 試験枠への侵入方法を明らかにするために、作

業スペース内からスズメの行動を撮影した。試験 は基本的に 8:00‑13:00の聞で3時間とし、 3時間 以上録画した。試験期間中の餌場は試験枠内のみ とし、水場は試験枠外に設置し、常に自由に飲水 できるようにした。1種類の網ごとに1日l回の試 験を月曜日から金曜日の5回行った。ただし、 31.8

X31.7 m mの防鳥網のみスズメの出入りが多く観 察されたため 3回のみとした。土曜日および日曜 日は次の週に行う試験網を試験枠に設置して網へ の馴致期間とした。試験時間外、および馴致期間 には、網を取り除いて試験枠のみとするか、網と 地面の聞に高さ 10cm程度の隙聞をつくって、ス ズメが試験枠内で自由に採餌できるようにした。

スズメが試験枠の下から侵入する際に掘った穴は 試験開始前に埋め戻した。

解析方法

ビデオ解析から、スズメが 1時間あたり何回枠 内に侵入したかを、網目をくぐり抜けた場合と試 験枠の下部の土中に穴を掘って侵入した場合とに 分けて計測した。ビデオの解析時間は、調査者が ビデオ回収のために作業スペースに近づいたこと に気付いたスズメが、試験枠付近から飛び去った ときを終点として、その前3時間とした。

なお、本試験は(独)農業・食品産業技術総合 研究機構、中央農業総合研究センター動物実験委 員会において承認を受けている(承認番号:報 H2423‑2)。またスズメの捕獲にあたっては茨城県 か ら 学 術 研 究 の 捕 獲 許 可 を 受 け て い る ( 第 22030054号、第23030017号)。

結 果

試験網ごとの網を通過しての侵入結果と穴堀り による侵入結果を表2に示す。試験に用いた7種 類の網のうち、網目の小さい 4種類ではスズメは 網目を通過して侵入できなかった。一方、穴掘り による侵入では、最初に試験に用いた網では穴掘

り行動そのものが見られなかったが、2種類目以降 の網では全て侵入していた。

網を設置しない試験枠への馴致期間において、

スズメは試験枠内の餌場へ空中から飛来すること はなく、地上から試験枠を乗り越えて歩いて餌場 に接近していた。また、試験前に試験枠の下に穴 を掘った跡は確認されなかった。網を設置した試 験中も、試験枠の側面や上部から侵入することは なく、地上を歩いて網に近づき、侵入を試みてい た。穴掘り行動は枠を網で完全に覆った試験中の みに見られた行動であった。ただし、穴掘りによ って侵入した個体も、網目からの侵入を断続的に 試みる様子が観察された。

試験網ごとの 1時間当たりの侵入回数を図 3に 示す。防鳥網の 19.4X19.4 m m、防獣網、コンウェ

ッドネットと亀甲金網の26.2X 19.9 m mでは、スズ メが枠丙に侵入した回数は 0回であり、このサイ ズでは通り抜けられないことが明らかとなった。

侵入が可能であった防鳥網 31.8X31.7m mと亀甲 金網の41.1X 26.6 m mでは1時間あたり 30回前後 侵入されていたが、防鳥網21.9X21.9m mでは3.9 固と少なかった。

地面に穴を掘っての 1時間あたり侵入は防鳥網 の 21.9X21.9m mでは 0.9回、防鳥網の 19.4X 19.4 m mでは0.4回、防獣網では0.3回、コンウェ

Table 2 Mesh size of each net, presentation order, examination period and entering success. 

Mesh size :t  SD  Entering success  Presentation  Examination 

Transverse olong  side r  Longitudinal  oshort side r  order  per i od  (day)  through net  dug on the ground 

bird net  31. 8 :t O.  7  31. 7 :t  0.6  3 

× 

bird  net  21.9 0.4 21.9 O.5  3  5 

。 。

bird  net  19.4:t 0.8  19.4:t0.5  5  5  × 

animal  net  24.5 :t 0.4  18.1 :t 0.4  2  5 

conwed net  19. 8 :t O.  3  17.7 O.2  4  5  × 

hexagonal 

41. 1 :t  O.  7  26.6 :t 0.9  6  5 

。 。

wi re  mesh  hexagonal 

26.2 O.3  19.9 0.4 7  5 

wire mesh 

(6)

45.0 

30.0  25.0 

20.0 

10.0  40.0 

35.0 

¥MWE詰芭@ち旨

aE 3Z

5.0 

41.1x26.6  26.2xI9.9 

ー圃 hexagonal田 争 wire mesh 

。。

19.8xI7.7  24.5xI8.1 

19.4)(19.4  21.9)(21.9 

31.8)(31.7  0.0 

conwed net  animal net 

ーーーーー‑birdnet ‑ーーー・ーー争

Mesh size of nets 

Number of times that birds entered through each net (white) and  that birds dug on the ground and entered (black). 

Error bars indicate standard error.  Figure 3. 

入する場合には網目サイズを実際に計測してから 使用することが必要であると考えられる。また、

今回の試験に使用した防鳥網以外にも、市販され ているものには材質や太さ、より糸か 1本糸かな ど、さまざまな種類があり、また、張り方によっ ても網穴の形や変形のしやすさが異なってくるこ とが考えられる。ただし、スズメが通り抜けられ るかどうかは糸と糸の内側の計測値が重要で、あり、

糸の種類や貼り方が異なっても、本研究によって 得られた網目の大きさを基準として適応できるで あろう。現場で実際に使用する場合には、連続使 用による経年劣化での網目の変形や破れなどが考 えられるため、網の種類と経年劣化についても今 後検討が必要であろう。また、スズメの体サイズ には個体差があり、季節や地域によって脂肪のっ き方なども異なることが考えられる。したがって、

網目サイズが20mm以下でも侵入される可能性は あるので注意が必要で、ある。

本研究において、スズメが地中に穴を掘って侵 入することが確認された。穴掘りは試験に用いた スズメ 20羽全個体が行っていたが、積極的に穴掘 りをする個体ゃある程度穴が開いてから穴掘りに 参加する個体など個体差が見られ興味深い。試験 期間の後半にあたる亀甲金網の 26.2X19.9  m mで は穴を掘って侵入する個体が極端に多くなったが、

侵入までにかかる時間は長く、穴を掘っている間 も断片的に網目からの侵入を試みていた。また、

穴が掘られた後も網目から侵入を試みる個体が観 察されており、それらの個体は網目からは試験枠 内に侵入できなかった。したがって、この網目サ イズではスズメは通り抜けることができないとい ッドネットでは0.1回、亀甲金網の41.1X26.6 m m  

では0.3回、亀甲金網の26.2X19.9 m mでは最も多 く19.0回で、あった。また、穴を掘って枠内に侵入 するまでには 1時間以上かかっていた。

スズメは試験した7種類の網のうち、6番目に試 験した亀甲金網の41.1x26.6mmまでは明確な穴掘 り行動は示さず、採餌行動の延長で土を噴で左右 に削っているうちに穴が大きくなり、最終的に試 験枠の下部に穴があいて枠内へ侵入した。しかし、

最後の試験である亀甲金網の26.2xI9.9m mでは、

最も早い回では試験開始2分後には顕著な穴掘り 行動を示した。また、穴掘り行動は6個体が入れ 替わり立ち替わり複数箇所で穴を掘り始め、ある 程度大が形になってくると、他の個体も穴掘りに 加わり、最終的に全個体が穴掘り行動を行った。

本研究において、スズメが通り抜けるかどうか はどの網においても約20mmが境になっているこ とが明らかになった。防鳥網の21.9X21.9mmでは、

スズメは体をよじりながら手間取って通り抜けて いた。つまり、この網目サイズがスズメにとって 通り抜けられる限界に近いものであると考えられ る。スズメを対象にした防鳥網を選ぶ際にはこの 20 m mが目安になるといえるが、注意したいのは 市販の製品の表示が20mmとなっていても実際に は20mmを超える場合があることである。この場 合、スズメが通り抜けてしまう可能性が高い。ス ズメの侵入を確実に防ぐことを目的に防鳥網を購

察 考

(7)

スズメが通過できない網目サイズ う結果は妥当であろう。

スズメが試験枠の下に穴を掘って侵入した行動 は、試験枠を完全に網で覆った場合にのみ見られ た。試験枠を網で覆わない期iI致期間および試験の 合間に網と地面の聞に高さ 10cm程度の隙聞をあ けて採食可能にした期間の両方において、スズメ は試験枠内の餌を自由に採食することができたが、

いずれの場合もスズメは地上を歩いて接近し、試 験枠を乗り越えて採食していた。スズメは一般に 地上採食型の鳥類であり (Summer‑Smith1995)、 したがって馴致期間や試験の合間の環境条件がス ズメの枠の下への穴掘り行動を誘引した可能性は 低いだろう。ただし、試験期間全体を通して、穴 掘り行動ができないように条件を揃えられなかっ たため、試験期間の後半における穴掘り行動の増 加については、学習効果による影響を完全に排除 することはできない。網の材質や種類による穴掘

り行動の頻度の検証は今後の課題といえる。

本研究から、スズメの被害対策を行う際、横や 上の空間を防鳥網で塞ぐだけでなく、地際の対策 も必要となることが示唆された。地際の対策には、

防鳥網を地上部に長く這わせて、スズメが穴掘り をできないようにすることなどが考えられる。こ れまで防鳥網の効果を野鳥に対して検証した研究 では、網で覆えないわずかな隙間や破れ目がある ことで個体の侵入を許してしまう可能性が指摘さ れてきたが(松永ら 1976;安達ら 2006)、今回の ように地際からの侵入が指摘されたことはなく、

スズメにおいては今後留意すべき課題といえる。

スズメの通り抜けることのできない網目サイズの 網を張っているのにもかかわらず、スズメに侵入 されている場合には地際を注意して確認すること が必要である。

本調査において明らかになった網目サイズを基 準に適切な網を張ることにより、スズメの被害を 防止し、不必要な車

L

牒を避けることにより、烏と の共存が図られるべきである。

謝 辞

本調査を行うにあたり、中央農業総合研究セン ター鳥獣害管理プロジェクトのメンバーには試験 方法から試験の進行において有意義なアドバイス

を頂いた。ここにお礼申し上げます。

引用文献

安達よしえ・片桐孝志・佐々木克典.2006.乳牛 の餌槽に侵入する野鳥の抑制に対する防鳥網の

効果.筑波大学農林技術センター研究報告 19

35‑39 

Blackwell BF, Bernhardt GE & Dolbeer RA. 2002.  Lasers  as  nonlethal  avian  repellents.  JournaZ  of  WildZ砕A1anagement66

250258

Bomford M 

O'Brien PH. 1990. Sonic deterrents in  animal damage control: a review of device tests and  effectiveness.Zdl砕SocietyBulletin 12

, 

5558 Dolbeer  RA, Link  M A  

Woronecki  PP.  1988. 

Naphthalene  shows  no  repellency  for  starlings. 

ZdZifeSociety Bulletin 16

, 

6264

藤岡正博・中村和雄.2000.鳥害の防ぎ方.家の 光協会,東京.

Fuller‑Perrine LD & Tobin ME. 1993. A method for  applying  and removing bird‑exc1usion  netting  in  commercial vineyards.ZdZifeSociety Bulletin 21

, 

47‑51 

Gorenzel WP, Blackwell BF, Simmons GD, Salmon TP,  Dolbeer RA. 2002.  Evaluation of lasers to disperse  American  crows, Corvus  brachyrhynchos, from  urban night roosts.  InternationaZ JournaZ of Pest  A1anagement 48

327‑331 

Honda. 2012. Line color affects the collision risk and  deterrence of crows. JournaZ of EthoZogy 30

, 

1114 Johnson 

R J

, Cole PH 

SoupWW. 1985.  Starling 

resp se to  three  auditory  stimuli.  JournaZ  of  WildZ件A1anagement49

620625

松浦永一郎・金子友昭・坂本秀之.1976.ナシ幸 水の高品質維持と鳥害防止に関する研究.栃木 県農業試験場研究報告 21

69・84

中村和雄・岡ノ谷一夫. 1992.音声の利用による 鳥害防除. 日本音響学会誌 48

577・585. 農林水産省.2011.飼養衛生管理基準(鶏その他家

きん編). (オンライン)

http://www.maff.go.jp/j/syouanl doueiltorilpdti'tori ̲p  am.pdf, 参照20150527.

農林水産省.2015a.鳥獣被害対策コーナー 9.野 生鳥獣による農作物被害状況. (オンライン) h句://www.maff.go担/j/seisanltyoz戸 内igailindex.ht ml,参照20150527.

農林水産省.2015b.烏インフルエンザに関する情 報. (オンライン)

http://www.maff.go.jp/j/ syouanl doueiltoril,  参照201505‑27.

城田安幸.1984.目 玉 模 様 を 利 用 し た 鳥 害 防 除 植 物防疫 38

510513.

Summers‑Smith JD. 1995. The Tree争arrow.J.  Denis  Summers‑Smith, Guisborough. 

Wemer SJ, Homan HJ, Avery ML, Linz G M, Ti11man  EA, Slowik AA, Byrd R W, Primus TM & Goodall  MJ. 2005. Evaluation of bird shield as a blackbird  repellent  in  ripening  rice  and  sunflower  fields.  Zdl件SocietyBulletin 33

, 

25257.

(8)

Minimum mesh s i z e  o f  b i r d  n e t  e n t e r e d  by E u r a s i a n   Tr e e  Sparrow , 

P a s s e r  montanus  and d i g g i n g  b e h a v i o u r  

Yasuhiro YAMAGUCHIl, Satoe KASAHARA2, Hiroshi MOMOSEl 

Agricultural Research Center, National Agricultural Research Organization, Tsukuba,白araki305‑8666,  Japan 

Laboratory of Anirnal  Ecology, Deparlentof Life  Sciences, Rikkyo University, Toshima‑ku, Tokyo  171‑8501, Japan 

*Corresponding authoro  E‑mail address: yamay@ac.go.jp

Summary 

Bird nets is  only reliable method to prevent crop damage企ombird. However, the effective mesh size of  bird nets is  not knOWll for Eurasian Tree Sparrow Passer montanus. We set the feeding station inside the  lm‑cube flame with examination nets, and examined the different sizes ofnet that birds could go through in an  aviary. The birds were able to go through 31.8 

31.7 m m  and 21.9 

21.9 m m  mesh sizes of the bird nets, and  41.1 

26.6 m m  of the wire net.  On the other hand, they were not able to go through 24.5 

18.1 m m  of the  animal net, 19.8 

17.7 mm ofthe conwed net, 19.4 

19.4 m m  ofthe bird net and 26.2 19.9 m m  ofthe wire  net.  Besides going through the net, the birds could enter by digging on the ground. Setting nets with the  appropriate mesh size and countermeas町 田fordigging are important to reduce damage. 

Keywords:eeSparrow, bird net, hexagonal wire net, mesh size, digging behaviour 

Animal Behaviour and Management, 51  (4):  157163,2015  (Received 22 June 2015; Accepted for  publication 30 September 2015) 

Table 1 .  Comparison o f  body measurements  (mean:!:SD) o f  the a d u l t  Eurasian Tree  Sparrows t h a t  were  used and n o t  used i n   the experiment ,  captured i n  the N a t i o n a l  Agr i c u l t u r a l  Research Center  i n  20 刊司 2012.The
Table  2  Mesh s i z e  o f  each net ,  presentation order ,  examination period and e n t e r i n g  success. 

参照

関連したドキュメント

私たちの行動には 5W1H

ゼオライトが充填されている吸着層を通過させることにより、超臨界状態で吸着分離を行うもので ある。

病状は徐々に進行して数年後には,挫傷,捻挫の如き

入札説明書等の電子的提供 国土交通省においては、CALS/EC の導入により、公共事業の効率的な執行を通じてコスト縮減、品

基本目標2 一 人 ひとり が いきいきと活 動するに ぎわいのあるま ち づくり1.

基本目標2 一 人 ひとり が いきいきと活 動するに ぎわいのあるま ち づくり.

基本目標2 一人ひとりがいきいきと活動する にぎわいのあるまちづくり 基本目標3 安全で快適なうるおいのあるまちづくり..

この P 1 P 2 を抵抗板の動きにより測定し、その動きをマグネットを通して指針の動きにし、流