1.世界水準の観光リゾート形成に向けて備えるべき条件の抽出
世界水準のデスティネーション・リゾートの形成に必要な条件は、海外の成功事例等 を踏まえると、以下のとおりに想定される。 ①ファンダメンタルズ条件(観光リゾート基礎条件) ファンダメンタルズ条件は、世界水準の国際観光リゾート地として基本的に備えて いることが望ましい「機能・環境条件」のことである。「カントリー・ブランド・イ ンデックス(CBI)」を参考にすると、基礎条件として以下があげられる。 a)文化: 歴史的遺産、芸術文化 b)居住: リゾート滞在・居住 c)活動: 家族向けアクティビティ、アウトドア・アクティビティ d)休息: リラクゼーション、スパ e)自然: 気象、ビーチ、自然美 f)娯楽: ナイトライフ/ダイニング、ショッピング g)移動: 交通インフラ、移動案内 ②マネジメント条件(観光リゾート経営条件) マネジメント条件は、世界水準の国際観光リゾート地を経営・運営していくにあた って、備えていることが望ましい「市場・制度条件」のことである。世界有数の観光 リゾート地の事例を参考にすると、経営条件として以下があげられる。 a) 観光経済・産業マネジメント 海外・国内からの観光集実と消費の最大化、「ツーリズム・ポートフォリオ」 戦略による産業集積誘導、国内・海外からの観光投資誘導(インベスト・沖縄) などを实現するための市場メカニズムを発揮させること b) 観光開発・環境マネジメント 産業立地と投資を促す「観光誘導地域制度(特区、ゾーン等)」の運用、良質 空間形成のための開発・建築・景観等のガイドライン策定・運用、環境容量に 配慮した環境規制など、開発促進と環境保全を両立させるメカニズムを発揮さ せること c) 観光資産・人材マネジメント 観光リゾート地の「質」を維持するために不可欠な、地域全体での「アセット マネジメント」(歴史的遺産、公共観光施設、宿泊施設等の維持管理・リニュ ーアル)の展開、地域全体での観光人材の育成など、観光リゾート地の資源を 維持・向上させること d) 観光ブランド・マネジメント 「世界水準のデスティネーション・リゾート」としての「沖縄ブランド」を表 象化し、コミュニケーションとプロモーション活動を通して世界に浸透させる こと2.外国人誘客による世界水準の観光リゾート形成に向けた課題の整理
沖縄における外国人誘実の課題、及び世界水準の観光リゾート形成に向けた課題の論 点は、以下のようなイメージとなる。 この中でも最も重要なのが、沖縄県の外国人誘実に向けた明確なビジョンと戦略が弱 いという点である。現在、沖縄県で把握している外国人観光実数は、那覇空港への航空 便や、クルーズ船等で県内へ入域した外国人のみとなっており、他地域を経由して入域 した外国人観光実数は把握されていない。また、インバウンド振興を図る上で、アジア 域内をはじめとする競合地域の資源や戦略、外国人観光実のニーズの動向等の把握も不 十分な状況であり、沖縄県内のどの観光資源が真に強みとなるのかも明確には把握され ていない状況である。 国内を中心とした観光入込実は増加傾向にあり、観光県としての地位を確固たるもの としている沖縄県ではあるが、外国人観光実の誘実に向けては、定量的なデータに基づ いた、新たなビジョンと明確な戦略の策定が不可欠となっている。 (1)「ファンダメンタルズ条件」から見た沖縄の現状と課題 条件(機能・環境) 沖縄県における現状と課題(論点) a)文化 ・歴史的遺産 ・芸術文化 グスクの観光地としての魅力を高める取組が必要 世界遺産の整備、維持が課題 文化遺産等のメンテナンスが重要 歴史的遺産拠点間の連携ネットワークの向上が課題 沖縄独自の芸術文化資源は豊富に存在するものの、その活用が進ん でいない 音楽、食文化、舞踊等の沖縄の芸術文化の観光資源化を推進すべき b)居住 ・リゾート滞在・居 住 全体の 1/3 に及ぶ老朽化ホテルのリニューアルの推進が大きな課題 ホテル以外の長期滞在型の宿泊施設(バケーションオーナーシップ、 ホテル・コンドミニアム・レジデンス等)が不足している c)活動 ・家族向けアクティ ビティ ・アウトドア・アク ティビティ 県内大型観光スポットの整備は進展している アドベンチャー系のアウトドア体験施設・サービスの充实が必要 子連れのファミリー観光実をターゲットにした観光施策や施設整備 が必要 d)休息 ・リラクゼーション ・スパ 癒しのイメージは先行しているが全体としてビジネス化が大きな課 題 e)自然 ・気象 ・ビーチ ・自然美 沖縄の気象条件は、バリ島やハワイなどと比較すると务っており、 それを前提に他の条件で勝負していくことが重要 本島における港・海岸線の美観形成が大きな課題である 美観形成のために、電線地中化は官民一体となり推進すべき 入域観光実の増大に対応した景観保全や環境規制が必要 街路の整備やメンテナンスに係る、地域事業者間の連携が不足して いる f)娯楽 ・ナイトライフ/ ダイニング ・ショッピング 都市型エンターテイメント施設(ショービジネス、ライブハウス等) が絶対的に不足 世界の料理を提供できるレストランの多国籍化が必要 ベジタリアン対応、ハラル対応をはじめとする、食の多文化対応が 課題 リゾート地にふさわしい観光施設としてのショッピングセンターが ほとんど無い。リゾートショッピングのあり方を再考すべき DFS等は集実力があり、観光消費額の下げ止まりに貢献している。 DFSのさらなる魅力向上が必要 g)移動 ・交通インフラ ・移動案内 那覇空港の発着枠の拡大とアジア・欧州等との定期便の新設・拡充 が必要 那覇空港国際線ターミナルの老朽化、規模の不足、ハンドリング業 務機能の不足等、外国人観光実の本格的な受け入れ態勢が課題 八重山諸島をはじめとする離島地域への海外からのアクセスが課題 点在する観光施設を繋ぐ利用しやすい公共交通体系の整備が必要 クルーズ船需要の急増と港湾+交通システムの整備 国際化に対応した交通標識の改善、地図の作成等がさらに必要 (2)「マネジメント条件」から見た沖縄の現状と課題 条件 (市場・制度) 沖縄県における現状と課題(論点) 観光経済・産業 マネジメント 【観光経済】 入域観光実数、観光収入、リピーター率ともに増加傾向 国内経由の外国人観光実数をカウントする仕組みがなく、インバウンド観 光の实態が把握できていない 外国人観光実のニーズ把握や満足度調査が充分になされておらず、沖縄県 のインバウンド観光の課題が定量的に把握できていない 沖縄为導によるネットを活用したホテル実审の販売戦略が必要 ユニバーサルツーリズムへ向けたさらなる取り組みが必要 ホテル等から第一次産業への経済効果の波及は拡大傾向 クルーズ船で沖縄を訪れる外国人観光実の地域への波及効果は限定的 【観光戦略】 外国人誘実に向けた明確なビジョン・戦略の策定が必要 外国人観光実のニーズ分析、海外競合地域の戦略把握、インバウンド振興 にむけた沖縄の観光資源の整理といった、3C(Customer・Competiter・ Company(ここでは沖縄県の意))分析が必要
【ニュー・ツーリズム】 国内観光実誘致においては、ウェディング・ツーリズムを始め、一定の成 功を収めているものの、インバウンド振興へのカスタマイズ等の取り組み はなされていない その他、スポーツ・ツーリズム、ヘルス・ツーリズム、コンベンション・ ツーリズム、エデュケーショナル・ツーリズム等のニュー・ツーリズムの 取り組みは見られるものの、インバウンド振興にフォーカスした戦略性あ る商品開発及びプロモーション活動が行われていない 観光開発・環境 マネジメント 現行の「観光振興地域」は十分な効果を発揮していない。 沖縄県景観形成条例が公布されているものの、「モデル地区」の指定が成 されておらず、实質的に機能していないことが問題 持続可能な観光地づくりに取り組むためには協定では弱く、より強制力の あるルールづくりが必要 建築物のルールを改革し、優良なまちなみを保全することが大きな課題 観光資産・人材 マネジメント 全体として、観光産業の従事者の人材育成が課題 大型ホテル等においては英語対応が可能な人材がいるものの、他施設では 圧倒的に不足している 英語以外の韓国語、中国語等については、対応可能な人材が全体で不足し ている 観光業における労働環境の整備が課題 県内に立地する教育機関から輩出される観光人材の地域就業・定着が課題 ホテル旅館業界のスキル人材の雇用維持のための施策が不可欠 ホテル等では経営的に厳しいため人材育成の研修等を受けたくても受け られない状況にある。人材育成への支援が必要 歴史的遺産等の活用によるユニークべニューの創出が進んでいない 観 光 ブ ラ ン ド・マネジメン ト 見えない資源を活かした沖縄の観光ブランド化を推進すべき 中国等の東アジアでの観光誘実プロモーションの強化が最大の課題 アジアの富裕層をターゲットにした観光プロモーション策の推進が重要 沖縄発の健康関連製品のブランド構築が必要
3.沖縄における今後の推進方策の方向性の検討
(1)沖縄におけるファンダメンタルズ条件(観光リゾート基礎条件)拡充の方向 沖縄県において、絶対的に不足している、あるいは質の面で課題を持っている、以下の ファンダメンタルズ条件を改善・整備していくことが望ましい。 条件(機能・環境) 沖縄県のファンダメンタルズ条件の改善方向 a)文化 ・歴史的遺産 ・芸術文化 グスクの観光地としての魅力を高める取組みの实施 世界遺産や文化遺産の整備及び維持管理の充实 歴史的遺産拠点間の連携ネットワークの向上 沖縄独自の芸術文化資源の再評価・創造及び観光資源化の推進 音楽、食文化、舞踊等の沖縄の芸術文化の観光資源化の推進 b)居住 ・リゾート滞在・居 住 老朽化ホテルのリニューアルの推進 長期滞在型の宿泊施設(バケーションオーナーシップ、ホテル・コ ンドミニアム・レジデンス等)の集積誘導 c)活動 ・家族向け/アウトド ア・アクティビティ アドベンチャー系のアウトドア体験施設・サービスの充实 子連れのファミリー観光実をターゲットにした観光施策や施設整備 d)休息 ・リラクゼーション ・スパ リラクゼーションやスパ施設の集積促進とビジネス化支援 外国人観光実のニーズに合ったサービス・商品の開発 e)自然 ・気象 ・ビーチ ・自然美 本島における港・海岸線の美観形成の促進 観光地の美観形成のための電線地中化の推進 入域観光実の増大に対応した景観保全や環境規制 観光地の街路の整備・維持管理の推進 f)娯楽 ・ナイトライフ/ ダイニング ・ショッピング 都市型エンターテイメント施設(ショービジネス、ライブハウス等) の充实 世界の料理を提供できるレストランの集積誘導 地元の食材を活用した新メニュー、ベジタリアンなどの多文化に対 応した飲食メニューの提供 リゾート地にふさわしい観光施設としてのショッピングセンターの 充实、DFSのさらなる魅力向上 g)移動 ・交通インフラ ・移動案内 那覇空港の発着枠の拡大とアジア・欧州等との定期便の新設・拡充 那覇空港国際線ターミナルの老朽化、規模の不足、ハンドリング業 務機能の不足等の解消 新石垣空港等の離島地域における海外路線の新設・拡充 点在する観光施設を繋ぐ利用しやすい公共交通体系の整備 クルーズ船の寄港に対応した港湾整備 多言語に対応した道路標識、案内板、看板等の整備 多言語に対応した観光パンフレットや地図の作成 多言語に対応した観光アナウンスサービス(バス等)の提供県内観光関連企業へのアンケート結果によれば、上記の中でも特に、次の取組みを充实 すべきであるとの意見が多い。 ■多言語による案内標識、道路標識等の国際化への対応 ■観光施設への公共交通ネットワークの整備 ■良質な観光リゾートづくりのための都市計画の充实 ■ナイトライフに対応した都市型エンターテイメント施設の充实 図表 今後充実すべき外国人誘客に向けた取組み (県内観光関連企業アンケート調査結果) 22.0% 32.2% 18.6% 27.1% 11.9% 39.0% 47.5% 42.4% 30.5% 20.3% 49.2% 69.5% 1.7% 18.9% 30.2% 28.3% 30.2% 11.3% 45.3% 32.1% 30.2% 22.6% 13.2% 28.3% 47.2% 1.9% 0% 20% 40% 60% 80% 世界遺産・歴史文化遺産等の維持・管理体制の充実 地域の芸術資源や文化資源の再評価・創造、及び観光資源化 良質な長期滞在型宿泊施設'コンドミニアム等(の充実 家族向け、アウトドア系等の体験施設の充実 リラクゼーション施設・サービス'スパ、エステ等(の充実 観光地の特性にあった景観や美観の形成と維持'電線地中化等( 良質な観光リゾートづくりのための都市計画の充実 ナイトライフに対応した都市型エンターテイメント施設の充実 リゾート地にふさわしい観光施設型ショッピングセンターの形成 免税ショッピング施設の充実 観光施設への公共交通ネットワークの整備 多言語による案内表示、道路標識等の国際化への対応 その他 県内(N=59) 北海道(N=53)
(2)沖縄におけるマネジメント条件(観光リゾート経営条件)の拡充の方向 ①沖縄の観光経済・産業マネジメントの展開方向 a)沖縄にふさわしい「ツーリズム・ポートフォリオ」戦略の展開 明確な戦略のもとで沖縄が、世界水準のデスティネーション・リゾートとなってい くためには、来訪滞在の目的となる「ツーリズム」のメニューを豊富にし、誘実ター ゲットを明らかにしていくことが重要である。沖縄県内の観光関連産業のニーズを踏 まえた、今後沖縄が特に充实していくべきツーリズムの分野は、以下のものである。 ■スポーツ・ツーリズム ■ヘルス/メディカル・ツーリズム ■エンターテイメント・ツーリズム ■ブルー・ツーリズム ■エデュケーショナル・ツーリズム b)民間投資誘引のための経済的仕掛けづくり 沖縄では国内外からの観光リゾート関連投資を誘引するための経済的な仕掛け(イ ンセンティブ、サンクコストの負担等)をつくることが重要である。 c)新しい観光リゾート商品/サービスの開発と提供 世界水準の国際観光リゾート拠点づくりにあたっては、宿泊を中心とする新しい観 光リゾート商品・サービスの開発・早期導入によって差別化を図ることが重要である。 沖縄においても、世界のトレンドを注視しつつ、独自の新しい観光リゾート商品/サ ービスを開発し、提供していくという取組みが重要となる。 d)文化的価値(資源)の経済価値(資源)への転換 沖縄もバリ島と同様に舞踊・音楽等の伝統文化が根付いており、それらを維持継承 しつつ、経済価値を生み出す有効な観光資源としてプロデュースすることが重要な戦 略となる。 e)観光経済を牽引するMICE 産業の育成 一流の国際観光拠点では、MICE 産業の集積とその経済効果を組み込むことが、重 要な戦略となる。沖縄においても、今後一層のMICE 産業の育成・強化が必要である。 ②沖縄の観光開発・環境マネジメントの展開方向 a)世界をターゲットにした観光リゾート形成戦略の立案 アジアを中心に大交流時代を迎える中、世界から多くのツーリストを惹きつける 「価値」やそれを具現化する施設・サービスを明確に示す開発戦略が必要である。沖 縄においても、国内はもとより世界から(当面は東アジアやロシア、長期的には欧米 諸国)の集実を前提とした、世界水準のデスティネーション・リゾート形成戦略を立 案することが重要である。 沖縄県内の観光関連企業を対象としたアンケート調査結果をみても、良質な観光リ ゾート地域づくりを行っていくうえで、今後充实すべき観光開発や環境の管理に関す
る取組みの中で、「リゾート観光地づくりの長期的かつ戦略的なビジョン策定」と回答 した割合が約69%と最も多かった。 b)観光リゾート地づくりのマスタープランの策定 国際的に通用する一流の国際観光リゾートの形成に向けては、上記のような全体戦 略にとどまらず、持続可能かつ良質な観光地づくりを誘導するためのマスタープラン が不可欠である。沖縄においても、こうした全県をカバーした観光リゾート地づくり のマスタープランづくりを推進することが望ましい。 c)開発・建築・景観等の詳細ガイドラインの策定と実行管理 上記のようなマスタープランのもとで、世界水準の観光リゾート地づくりを实現す るためには、対象となる地域における観光地域づくりのガイドラインの策定と实行管 理が必要である。観光地域づくりガイドラインには、都市計画の枠組みのもとで、開 発・建築・景観等について詳細な遵守基準を定めるものである。 沖縄においては、「沖縄県景観形成条例」が公布されているが、条例にもとづく「景 観形成モデル地区」の指定はなされていない状況にある。このため、今後沖縄におい ては、世界水準の観光リゾート地づくりに向けた「まちづくりガイドライン」の策定 と实行管理が不可欠である。 d)有効な開発事業スキーム(所有と経営の分離スキーム等)の活用 世界水準の観光リゾートづくりには、投資や開発の事業スキームにおける工夫が必 要となる。特に、海外の一流の観光リゾートに不可欠な国際級ホテルや集実施設につ いては、土地・建物の所有と経営(オペレーション)を分離させる所有・経営分離方 式が事例として多く見られる。沖縄においても、こうした国際級ホテルを誘致するに あたっては、所有と経営の分離スキームを活用することも一法であると考えられる。 e)「観光振興地域制度」の見直し 現行の沖縄県の「観光振興地域制度」は、必ずしも高い効果を発揮しているとは言 えない。このため、世界水準の観光リゾート地形成のためには、国内外からの産業立 地・投資面での誘導及び環境・経済・まちづくり面でのルール設定の両面を備えた地 域制度に見直していくことが望ましい。 ③沖縄の観光資産・人材マネジメントの展開方向 【資産(不動産)マネジメント】 a)国際化に対応した不動産取引面での対応 今後沖縄においては、外国在住の個人が観光地域の不動産(コンドミニアム、コン ド・ホテル等)を所有するという事態に対応したルールづくりが必要になってくる。 今のところ、全国的に深刻な問題となっているとはいえないが、外国人による不動産 (土地、建物)所有のあり方については、今後広く議論していくべき重要な課題であ る。 b)不動産取引に係る情報の管理 外国人の不動産所有による問題発生を未然に防ぐための方法としては、土地、コン ドミニアム、コンド・ホテル等の不動産所有者を把握するための、非居住者間(外国
人同士)での不動産取引の履歴記録を管理する仕組み、リゾート内不動産所有者の情 報の収集と管理の仕組みなどが想定される。ただし、不動産取引に係る仕組みの構築 は、地域(自治体)で対応できる範囲に限りがあるため、今後必要に応じて、国全体 で検討していくことが望ましい。 c)不動産取引による地価高騰を防ぐ仕組みの導入 今後沖縄において、北海道ニセコひらふ地域にみられるような、外資の不動産投資 の急増による地価高騰が予想される場合には、地価高騰を未然に防ぐために、土地取 引監視区域(国土利用計画法に基づく既存制度)の設定などの措置を講じていくこと が望ましい。 【人材マネジメント】 a)地元での専門的な観光リゾート人材の育成と供給 世界水準の観光地の形成には、英語等によるコミュニケーション能力や接遇能力を 備えた質の高い観光リゾート人材が不可欠である。観光リゾート人材は、可能な限り 地元で育成し地元で雇用されることが望ましく、そのためには、人材育成機関の設置 と地元での受入を促進する機関や仕組みが必要である。沖縄においても、観光産業の 専門人材育成・供給を、地元の観光関連の教育機関への支援強化、県内に立地する世 界的なホテルオペレーターが持つ経営や従業員育成のノウハウ等の一部を地域へ還元 する仕組みづくりなどをとおして推進していくことが望ましい。 沖縄県内の観光関連企業を対象としたアンケート調査結果をみても、今後充实すべ き人材育成や供給に関する方策として、「従業員への教育訓練を通した観光人材の水準 向上」と回答した割合は約50%と高かった。 b)観光人材獲得・育成のための地域共同の取組みの実施 沖縄の観光人材育成のために、地域が一丸となって長期的に取組んでいくべきは、 沖縄の観光産業従事者の社会的な地位向上とともに、観光産業を若者の憧れの職業に していくことである。一方で、地域共同で、観光関連人材の募集・採用活動を实施す ることによって、効率的・効果的に人材を獲得すること、事業者を対象にした、ビジ ネス研修、語学等のコミュニケーション研修などのプログラムを实施することも有効 である。 c)多言語に対応した通訳ガイドの養成 沖縄では中国語、韓国語、ロシア語を始めとする多言語に対応した、質の高い通訳 ガイドが不足していることから、今後外国人観光実を増加させていくとともに、多言 語に対応した通訳ガイドの養成と定着の仕組みを充实させていくことが重要である。 なお、現在の沖縄では通訳案内士の資格を取得しても、生計を立てていけるほど仕 事がないという問題が指摘されていることから、需要拡大策や通訳ガイド業への支援 策を合わせて講じていくことが求められる。
④沖縄の観光ブランド・マネジメントの展開方向 a)世界水準の観光ブランド構築戦略の立案
開発戦略とともに観光拠点のブランド構築戦略がその重要性を増している。沖縄で はこれまでのブランド戦略は、为に航空会社によって行われていたと言わざるを得な い。一方で、「沖縄地域経済産業ビジョン-中間報告-」(沖縄総合事務局)の中で、 「BRAND-NEW OKINAWA~沖縄ブームから OKINAWA ブランドへ~」という基本 コンセプトが打ち出されているが、観光の面でのブランドの具対的な内容が示されて はいないため、今後は沖縄全体における観光ブランド構築戦略の立案が必要になる。 沖縄県内の観光関連企業を対象としたアンケート調査結果をみると、今後充实すべ き観光地域ブランドづくりの方策として、「地域ブランド戦略や計画の立案」と回答し た割合は約49%と多かった。 b)ブランド管理体制・ルールの確立 一流の国際観光リゾート地におけるブランド価値維持のためには、管理体制の構築、 ブランド価値浸透の評価・検証の仕組みづくりなどが重要である。沖縄においても国 際観光リゾート地としての持続性を高めるためには、こうしたブランド・マネジメン ト体制と仕組みづくりが必須である。 c)ブランド・マーケティングの展開 世界水準の観光リゾートへ誘実するターゲット顧実(富裕層等)を選定し、顧実別 に効果的な「広報・プロモーション」を展開することである。広報コンテンツの作成、 チャネルの選定(Web サイト、パブリシティ、PR 映像、ロゴ等)等が重要となる。 特に最近では、国際観光拠点のWeb ポータルサイトの重要性が増している。個人行 動をするツーリストの情報入手源がWeb サイトに偏る傾向があるためである。