研 究
船 舶 事 故 に よ る 海 洋 油 濁 と 被 害 第 三 者 の 損 害 1 (
船 舶 事 故 に よ る 海 洋 油 濁 と 被 害 第 三 者 の 損 害(1)
一︑序説
二︑トリキヤニオソ号事件
ω事実の概要
②事故原因と油濁訴訟の経過
三︑英国の油濁求償に関する指導判例
‑国ωの︒℃︒酔同︒﹁2ヨ∩ρ<・ω89℃o鳥Oo村宰(一㊤切①)iω事実関係
㈲第一審判決
重 田 晴 生
③控訴院判決
㈲貴族院判決
四︑英国不法行為法上の請求原因
ωトレスパス(以上本号)
②ニューサソス
㈲ネグリジェソス
ω因果関係
五︑海洋油濁に関する現行法制と国際的立法の動向
﹁ 序 説
近年における海上運送の著しい変容は︑﹁難護﹂と﹁海上公害﹂とを︑きわめて塞な関係において結びつけている.すなわち︑社会経済の発展に伴う藩や化学薬品など繕の農肴虫梶物寡海上藝の増大と・舘の大型化.専用化の傾向とが︑必然的じ﹂・つし^凡現象をク甲ズアッζせずにはおかないのである・そうした;の典型として最近とく簡題とされるのが︑大型タンカ乏よる海洋油華故である・
29t29}
礁 鑓 諜講 麟 繋 凱{灘 瀧 蕪 灘 } 期 い
ことがなかった・ところが二九六七年に至って︑難圭最大嘉舶譲の三トリキャニオソ号事件Lが発生
し︑それまでとかく将来的な問題として認識され︑回避されがちであった︑タソカーの海難故による油濁危険の問
鞭 攣 蘇 議 駐 麺 鶏 は 鷲 躍 ガ 縫 魏 聯 齢 縞 鵜 ㏄ 讐 購 魏 報
に 対 す る 認 識 を 遙 か に 整 た 皇 ヤ ニオ ソ 号 事 件 の 笑 の 関 心 事 で あ る ︑ 油 濁 の第 三 墜 ︑者 に対 す る 笙 の 塁 ︑賠
誰 鞭 劇 讐 隷 講 幣 鷲 齢 は 鶏 藷 艶 熊 誕 鑛 漏 殴 鞭 欝 脇 畷 倣鱗 讐 矯 .鮎 魏 臓 濡 雛 響 .疑 無 矯 鱗 .鎮
般的問題として・あるいは・商法第六九・黍貝任制限の問題として現われるため︑英国の場合呈に困難な問題が
多 聡 )
ところで・トリキニオソ量件のきつな海毒濁事故は︑決しイ︑歪の墨口ではなく︑その発生と増大は︑近年
義 藤 鞭 獄 御麺 け継 置 脚㌶ 隷 認 卸晦 騨 纏纂 の撫
船 舶 轍 に よ る.:油 濁 と 囎 第 諸 の 損 害(、)
は ︹ す 所 に 兄 五 三 年 の の ︒ = 酢ゴ 竃 ︒ ξ 塁 昇 穿 ℃ § ・ ー ︒ . ﹄ ㊤邑 卜・ と 図 ご N . 芝 現 わ れ て お 灘 鐸 灘 雛 鐵
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船舶 事故 に よる灘 油 濁 と被 害第三者 の損 害 ω
辮 網 鱗 綴 灘 縣講 継 繋 麟 衡擁 蕪 鴇 Dっ盗 隷 蒲灘 鎌 一鱗 ◎ 繊 一矯 憲 ∴ 蹴 (5)鰍 藩 旛 縄 灘 馴麻霧 鐸 藷 制鐸 輪憶 剛類 攣 蕪 礁 難 難 鞭 叢
蕪 叢 蕪 撫 へ糠 蒙 講 叢
33(33}
●
オランダのシェル石油憲のタンぞ﹁コ一フティア号﹂(三︑一五三トン)との衝突流出油事故が発生した.
ニトリキャニオソ号事件
一九六七年のトリキニオソ号事件は︑その損害額の規模と馨領域の広汎なる占描で︑難圭最大の船舶事故の
;籔えられるが・同時に・この事件は︑大型タソカみ時代を迎え窺在において︑なお︑油汚濁および油の海
上運送窺律する法製がまったくの立ち遅れ状能心であること姦見させ︑この種の舞譲から生じる諸種の法律
的問磐再藏させた葎として・皆すべきものである.そこで︑本節では︑この度のトリキャニオソ号事件につ
いて・その妻関係と鵠求償の震釜を概響︑併せてこうした難事故に関連する問題占描のいくつかを鶉し
ていこうと思う︒
ω妻の概要ぎ§ぎ・﹃ξ量百(・ソドソおよびパミ︑‑ダて設山皿登記され︑実篁は裸傭船者で
あ粟国ヵルフォルニア:三.⁝∩暑⁝§案列雫にある子会社である)が所有する大型燃油タソカー肩︒..唄
︒婁8L(=・犬九・華ソ)贈︑f六七年三旦八星副九時過ぎ︑航海傭船者‑d﹃寮げ℃Φ什噌︒﹃ΦgB︒︒﹃づ︒‑
邑8の原油約+二万トソを満載し︑ペルシャ湾の三冨﹀;ぎgを出港︑速力約+七ノットで英国の護︒.︒
=餌垂に針路をとり航行中・蕎西霊師沖約四・キ・の§琶とω・}テ︑誓・の中間にあ.︒︑通称"七つ岩"な
る暗礁群のひとつ罫⁝婆に激突︑ために︑全長二八・でトルに余る巨体の皿削部三分の一にわたり船底約五メ
ートルの深さで墓した・その箪︑同船の天の油槽中西槽が破穴しイ︑原油が海走流出し︑船体分断の危険を
宅た・トリキニオソ号の笙は︑離礁の見込を得て︑直ち髪フソダのサルベ←会社ゆ口..餌葺蚤︑コ一ロ=Φ.と
(34)34
並日通条件‑ぴ一︽鳥ゴ︒一︑・コ団︒﹃罫回︒h・︒ξ・﹀‑‑ー三昌⁝:§団)÷る轟救助契約斎結し・同社の
霧 饗 灘 蕪 総 鍵麟 驚 撫 離 灘 難 蕪 撫畿隷 驚 蕪 灘 灘 課
灘 雛 購 繕 糠 {耀 難 鍵 讐
国際的な問題にまで発展することになった︒
邸織 懲 辮 撫 櫛膿 影 撒 輪 僻韓 諜 購
連 陛 鎚 藁 蕪 酵 つっ 議 事 故 の 萎 ー ⁝ 号 の 船 箪 費 ま た こ の 事 件 の 当 事 獣 辮 灘 灘 糠
盤 罷 轍 溢 似 鰭 体 の 船 体 構 殺 礒 填 運 航 能 力 の 欠 陥 な と 同 船 の 不 堪 航 の 事 実 に . い て は ︑ 委 員
ところで︑大量にしかも広藷にわたって響した油の除去・防禦のためにとられた電隊の出勲犠療薬.清浄剤.防資材の投入等々に関する莫大な費用を引受けた英国政府は︑早くから・その財政的支出(その額は・優に=ハ︒万ポソドー鶏の財産墾剛は英国で約六︒︒万ポソドと推計される←超すといわれる)ξいてドリキニオソ号の所薯に対し求償の意向を明らかにしていたが︑四月四日の下院で︑この馨賠償に関する提訴歪式に誘Φごれ︑笙に対し三五︒万ポソド(ただし︑後に英国は三・・万ポソドの金額に同意した)の損宝︒賠償額(この金額には・養ω的に︑海岸︑港湾の清浄に関して政府︑地方公共体が支弁した直接的費用のほか︑ホテル響者・沿岸の娯楽施設所薯漁民そ
囎の他の畠民の蒙.た馨に対する賠籍求分も含まれていた)が請求された.また︑気紛れな風浪のため北海崖蓮油
都婆被り︑約二九︒万ポソドの物的墾︑をうけた仏国は︑同じく領海汚染を理由に・笙に対し三一芳五・︒︒︒
兜ポソドの墾口賠鰹請求し︑さらに︑英国のガソセイ州(︒⁝・・9も︑独自に四万=ハ・・ポソドの請求額をかか
囎げて︑﹂れに続いた︒
蹴 灘 懸 織 欝 鍵 獣 鐸 擁 譲 懸 麗糠 鱒璽 隷 舞 姥 齢 縫 ㍗鐸 鴛 ︑嫉 羅 讐 て騒 鋳 瑚
麗 篇 襟 購 馨 鶴 恥 鷲 鵜 雛 難 懸 還 d鶴 鮨∴
有しえないことに馨・そして・かかる裁判管轄寄能とさせる二つの場A︑の‑ち︑本件では︑払削者の船主の同意はな
かったから・英国政府に磐れた唯の司法手続は︑一九五六年裁判霧成竺↓ゴ︒]¢⊆帥︒.叶二.︒﹀.二⑩㎝Φ)第三条四
項に定められた・米国船吉四⁝寿目きξ・に所属する︑ーキャニオソ号の姉妹船﹁ピ簿オ︒℃節一︒¢.αΦ﹂
(杢三七五トソ)および同﹁︒・嘗も・垂﹂三八︑五六二2の英国領海の進入に伴っ差押という場合のみにかぎに対すられた・そして・すでに葺四日・英国高等法院梁部は︑﹁薯勺蓉︒︒口万﹂および﹁‑︒簿づ.一口︒づ餌号﹂
るト美ス(嚢ー)三ユーサ三(霧⁝)・ネ客ジラス(琶頭︒56Φ)を理由とした対物訴訟を認めゐ
令状を発給していたから・両盤︑英国領海の立入とともに︑英国政府の手で轟えられる運命にあった.し湾
本件の船主が両船に対し容易に英鴇海の侵入を許可するはずがないこと寛越した蕎は︑本国以外の地におして
船主を訴求する手篭怠らず・同五月四足は︑船吉ー§ぎオ・﹃︒︒.℃・の本店所在地であるバミューダの
戴 議 難 職 馨 蜥縫 懸 惣 つ纒 鷺 眼錘 難 鞍
守るとともに秘かに時期の到委待った.その箪っいに︑霰発生後約四ヵ月目の七月雪日夜︑ワィ㍗.エ
プニ巻を必要としてシソガギル控餐心寄導た﹁冥⁝・毒号﹂を帰唱光石火差押えることに成功した.
また・同様に油濁の防禦ないし除去に暑を投じた仏国政府は︑同国海商法に姉妹船差押の措票認められること
から・船主の動きに絶えず関心を払い・F"オ隻⁝号Lのシソガポール港権の情鰹得るや︑直ちに同地で
訴訟開始令状を発給し・同船の差押を急いだ輩︑一九六八年四月よ・つやくそれ晟功した. }{
船舶 轍 に よる海漸 蝸 と被害第 三者 の損 害 ω
.﹂のような︑英国.仏国両政府の動きに対して︑船主側の匂d§9§穿否︒︒§は・︒ッテルダムにおける仏国政府の提訴︑おまシソガずル♪﹂バ・︑︑麦における英国政府の提訴を不服とし︑媛の裁判所と管穰に直面する煩を避けるで︑米国二︑‑ヨーク地方鋳所に対し︑総額約六六・票ソドの責任制限の申立を押慕った・そして同時に︑本件の坐礁.油流出事故が︑聾の擁上の過失︑台櫻もしくは不注意に起因・寄与するものだ圭張し︑かつトリキャ芽ソロ写からの原油の流崖︑その大半が英国海空機による爆撃および難に圭つくものであると抗弁した.仏国︑蕎およびガンセイ州は︑船主側の責任制限の申立を拒絶し・右の船主側の主張に対しては・
﹁ 本 件 の 坐 磐 よ び 馨 が c § 9 一 ξ ﹄ 身 の 過 失 ・ 讐 ・ 甥 お よ び 引 受 に 起 因 す る ﹂ (藷 贈 法 第 五 ︒ 三 条 参
照)と反論し︑訴訟に持ち込まれた︒その後︑レ︑の彊史上量.両の墾︑賠償訴訟は︑﹁示談﹂といういわば法延外の場における解決へと方向転禁なされ︑その輩︑ようやく英仏両国政府と笙および定期繁者との間で協議が警︑一九六九年=旦音・英国外薯において正式に協塞闘の調印が交された.それによれば︑ーキャニオソ号の船壽ー§↓四昌5ξ.および縛者ご・卿・・︒弐︒・℃ほ︑同船から流出した播によって惹起された損害および欝につき・英仏両国政府に対し︑馨三︒︒万ポンド︑および英仏両国の第三被害者(個人・法人)に対する賠償金として・二万五・○○○ポソドを支払う(この額で不足する分については両国政府の鐙とする)という内容で両者は合意点に達したので勲・
(‑)天五九粟国ヴァLソニァ州劉ξ・二曇ωで建造され︑後三九⊥ハ五年呆国佐世保茎で大型化のための改造をうけ︑杢︑二六三総トン︑=八︑二八五重目慰トンとなる.嚢寸法は︑全長九七四フィー夫インチ・船幅三五フィート︑深さ六八フィート八インチで当時世界震大級の船舶であった︒なお︑ーキニオン号には・葉両保険盆の
叡 論 榔 粥 翻 麗 翫 ピ 繕 励心 蕊 離 綴 礫 韓 ド 章 露 ︑繕 礁 葦 餐 難 §灘 紫 鞠
社から支払われた︒
(2)フォーリ歯務次官(醤)薩頭指揮道冠く英国塵軍部隊︑警察︑消防隊および地方当局は︑全国か彙中する浄
化剤姦布し油の消散・沈撃はかり︑大量のプラスチックフォーム等を投下して油の揮発分吸収をはかり︑また︑ すでに
油の箋をうけた南西部葎をはじめとする地域には︑ブルrずと洗浄剤によっ濤掃に努めるほか︑各港湾口.入江
・習にはオイルフェンス・対潜防御網姦りめぐらして︑油波の嚢に備えた︒詳細は︑荒.前掲6一葺下の英国
政府の﹁白書﹂を参照︒
(3)このように・難驚および蕪に対する直接的欝についての決定蓮れた.芝は︑世論を換起し︑大いに轟もうけた
(英国政府の﹁審﹂に盲)︒しかし︑ここで留享べきは︑そ‑した本船に対する爆馨の醤は︑救助会社による救
助策が尽きて・船舶が保険者に対し委付されたと看倣しうると芝はじめて可能とされることである︒本件の場合︑仮にも
し英国政府の介人がよ阜期の時点で行なわれたとしたら︑政府︑船主︑保険会社︑それに救助会社の間に墾口賠讐任は
じめ1兆とえば・藷商船法第五五条は﹁所薯は︑雛物またはその積荷または装備︒叩を馨︑損傷させた者から損
害賠償を請求できる﹂と規定するから︑船舶肇前になされ朱船の塁に起因する損宝昆対しては賠警任問題が発生す
る1多くの解決に困讐問題が発生したかも知れない︒本件の場倉は︑爆撃前に本船の救助不象判明し︑船主が保険
者に船体を委付し・保険者もこれ暴認したので全損となったが︑この種の事故の場合に︑もし船舶︑積荷の救助.修繕が
充分可能であるにもかかわらず︑公害防止対策の見地から爆撃の他の方法で処分されるという場A.には︑墾口賠讐任
問題のほか・場合によっては国際紛争にまで発展することになる︒損保研究︑前掲三四頁参照︒なお︑一九六八年=日︑
‑MC︒の招請により・ンドンで開讐れた﹁海水汚濁損害に関する葎会議﹂は︑﹁蕪事故の際の公塗における介入
獲関する国際条約﹂を採択し︑漿・沿岸を汚染の危険にさらした船舶に対し︑沿岸票努醤をとりうる権利を認め
た・毎日新聞(王六八年+百三〇日)︒この条約については︑谷川・前掲成践法学二量二四頁以下参照︒
(4)リベリア政府公表の調査委員会報告書については︑谷川.前掲成膜法学二号=四頁以下参照
(5)ーキニオン船長の過失峯故原因だと報告す脅ずア政府の調査毒︑当然の.﹂とながらそれが裁判所を拘束する
力を有しないとはいえ・それは︑議船舶の所有者に対してネグ婁エン孟理由とすの堤口賠償訴訟を提起する場合の原
告にメリットとなることは推測に難'くない︒
(40) 44
ω
船 舶 事 故 に よ る 海 洋 油 濁 と 被 害 第 三 者 の 損 害(6)ガンセイ州には︑一九六四年の院令で︑一九五八年商船法の適用が認められ︑また︑一九炎年の院令により・同州で登録された船舶にもO篇一コ2帥く一αq鷺一〇鵠︾6樽一㊤切切が適用あるものとされる︒(7)インドネシアはオ・・ンダ法を母法とする関係上︑英国撰姉妹船の差押を認めている︒英国政府はシンガポール袋人を通じて.あ手続をした(海事問題研究一三竺二号西頁)︒いうまでもなく︑対物訴訟が開始された場合には・当該船舶
は︑原出口の請求額に充分見A・うだけの担保が提供されるか︑あるいは原告を満足させる賠禦実行されないかぎり・移票
できなくなるが︑本件の場合︑ピ帥脚o℃o一〇¢﹁瓢①号の船主じd簿吋鐙o賃飢自ゆOo吋やは︑英国政府がその請求最高額として同意
した三〇〇万ポンドの差押解除金をロンドンにおいて供託し︑かつ船主側弁護人の同高等裁判所への出頭を条件に・結局・
同船の差押は解除された︒
(8)仏国政府は︑一九六八年四刃百夜︑・ッテルダムのユ占ずト逡入港した﹁ピ算・落鑓︒薮︒号﹂を差押えた・同船船主は︑︒.テルダムの裁判所に本船の差押解除を申立て︑その結果︑当事者双方は︑仏国法廷の判決に従い船主が賠償
を支払う(仏国の請求額は三二〇万ポンド)という条件の下に︑保険業社が保証した裁判所の決定に同意した(肇問題研
究一四巻九号三Q頁)︒
(9)船舶保塗ユース(Z9$⊥・・)︑色魔・前掲エハ頁︑谷川・前掲会誌一五号五二頁参照・合意された三〇〇万ポンドの
協定賠償金は︑英(含ガンセイ州)仏両国の賠償請求総額(本稿三七頁参照)の半分に満たない金額である︒しかしこの数
値については︑本争訟の当初から笙が英国法を準拠とした責任制限を主張していた事情を考慮しなければならない・すな
わち︑提訴地であるバ︑︑︑ユルおよびシンガポ←は︑英国商船法(竃§び︒三ωξ号αq︾9︒・蕊婁の適用を けるから︑船主は岡法第八部(第五〇三条以下)の責任制限規定にもとずき︑その責任を︑ーキャニオン号の責㌣ン数(五九・
三九〇トン)に︑一︑○○○フ一フンの責任基準金額を乗じた金額(約一七五万ポンドといわれる)に制限されることになる
(.ゐ場A︑に︑詣‑ベリア政府の事故調査報告書にいう船長の航海過失の認定と船舶の堪航性に関する船主の故意過失の
否認は︑船主にとって有利な材料となる)という事情である︒なお︑英国商船法における船毒任制度については・拙稿
7ギリスにおける盤責任制限制度e〜㊨﹂法学新報第七七巻二・≡号︑第七八巻一三・三号・四.五.六号各参昭加・
(41)
41
三
英 国 の 油 濁 求 償 に 関 す る 指 導 判 例
国ωωO﹁Φ需O同Φ⊆BOρく.ωO¢けげbO冨OO﹁℃O同鋤口O⇒i
(42)42
イギリスの数多い海事判例の中で︑海難事故による油濁問題を裁いた指導的な判例は︑一九五五年の団ω︒︒︒勺Φ叶.︒,
曇ヨ︒︒﹄量ω.§.﹃什ξ.含9であ駈ご九六七年のトリキニオソ号事件によって︑貴蕪先例とし
て再評価をうけることになったこの判決は︑一つに︑その勝敗が︑第一審︑控訴院︑貴族院と︑二転.三転したとい
うこと︑二つには︑一九五三年の出訴に始まったこの係争が︑翌年の一九五四年︑﹁油による海水汚濁の防止に関する
国際条約﹂(↓巨器曇・琶9うく含8h・;ち§身岡・:;・二§:;︒ω︒鋤g9=婁了イギリスは︑
翌年9;ζ奮募壽叶︒H>︒二霧として同条約を国内法化と凡ーの成立に一助した︑という︑二点で極めて注
目すべき判例であり︑さらには︑現代社会における深刻な問題である﹁公害﹂の一つとして汚濁の責任問題を取り扱
った貴重な事例としても︑興味深い判例である︒特に︑わが国のようにこの種の侵害に対処すべき法制度と法理論の
未熟な国にとっては︑単に比較法的な関心を越えた意義があると思われる︒そこで︑本節では︑まずこの英国の指導
判例の紹介からはじめ︑海上の油濁損害に対して︑英国の裁判所がどのような姿勢で取り組もうとしたかを明らかに
し︑英国普通法上の油害求償の可能性と限界の問題をさぐる手掛かりとしたい︒
ω事実関係この事件の事実は︑大要次の通りである︒国沼︒℃Φ口90口∋OPピ三(以下エッソ石油という)所有
の油槽船﹁冒くΦ﹃℃ooご(六八〇総トソ)は︑一九五〇年一二月三日午前七時三〇分︑有能な船長(OΦ︒H願Φ竃︒三︒p一.凶口)︑
船 舶 事 故 に よ る 海 洋 油 濁 と 被 害 第 三 者 の 損 害(1)
機関長(剛ぐ圃聾∩叶じd陶コ朴Oooザ)をはじめ︑総員=名の海員を乗組ませ︑約七三六トソの重燃料油を積載して・リヴァプール港を出港︑プレストソ港へ向けて航海の途についた︒同船は︑同皐前=時四〇分に閑箋︒河︒にある2㊦葺
じQ⊆︒︽に到着︑暫時ここで潮待ちをしたのち︑同一四時四〇分︑再び航行を開始し︑空σび一︒河口の水路に進行した︒当日の気象状態ぱ︑斐西の風七〜八の風力で︑海上はやや荒れ気味の状態であった︒ズΦぎ二§を出てのち数分後︑距離にして約ニマイルほどの地点で︑ぎ﹃量号は︑・¢曇3・と垂窪しd蛋・の中間を航行中数回にわ
たり荒波をつけ︑同船の操舵器に原因不明の変調が生じた︒機関長から船舶の状態につき報告をうけた船長は・多少
の危惧を抱きながらも︑プレストソ港への予定針路に従う航海の続行を指令した︒その後・同号が≦覧国&じσ唇くとω9詳ΦH賢.︒︒bσ蔦︒︽の中聞地点に差しかかった一五時〇五分︑航海技師から船長に対し︑推進器に鈍重な衝撃を感じたヒ日の報告があったが1嘉長の聾口にょれば︑同船は河幅六〇フィートの水路の中央に位置していξとから船舶が慧する事態は予想されなかったというーなお航行は続行された︒ところがの二・琶募しd§を通過した直後(一五竺五分頃)︑同q写は急に四去ポイソト右舷に偏向し︑針路を離脱して︑丁度水路の南側に構讐れていた・幅七〜八フィート︑高さ三〜六フィートの護岸に乗り揚げた︒その結果︑同船は竜骨切断の危険を生じ︑船舶自体および乗組員の生命が危くなったため︑船長は︑ラジソの全回転を會て︑水路への後退を試みた︒その際船長は・推進器に硬い異
物が絡み込み︑スチ⊥パイプの主禦破砕する危険を機関長から通報され︑直ちにラジソストツプを指令した・
.あよう窃迫した情況に立たされた船長は︑船脚を軽くし︑できるかぎり緊急に離礁する必要ありと判断して積
講 鐸 欝 鷲 ボ賢 鰻 獅 翫 鑛 黙 れ評 磁 瑚耀 舞 絃 鍾抽 圃
うが︑その後︑同号か潅上に放出された約四・・トソの油が︑風と潮流の作用によって︑ランカシャゐω8ξ葺聡
海岸約二・吾イルに押し寄せ︑︒・.套葺︒・§雲9・(以下サゥスポート会社という)の薯.占有する土地および
臨海湖篭・汚濁損害を発生さ芸事態を招いた︒そこで︑同会社は︑船圭ッソ石油に対して︑流出油によって汚
損された土地の清掃臨湖の閉鎖箒関する費用の賠償を求めるべく訴訟を起こした.その主張する理由は︑本件
の事故が同号船長の航海上の過失(塁Φ㌦・・ぎξ雲・・きコ)に起因し︑船主に袋責任があるとするも貧︑あ
り・その請求原因は︑トレスパス︑ニューサソス︑およびネグリジェソスであった︒
(44)44
②篁審判決油濁の被害者であるサウスずト会社から裁判請求をうけた︑リヴァ.フル巡回裁判所のデ︒ブ
リソ判事(︒㊦善﹂)は︑一九五三年一〇月二合︑原告の請求が︑整口船主に対する過失の証明を条件に︑トレス
パスまたはニナサソスとし三応盛呈するとしながらも︑結局︑原告側から提出のあった船長の過失に関する主張
をすべて却下し︑請求棄却の判決を言い渡した︒
デブリソ判事は・まず︑・フライベイよ章サソス(三く露旨ぎ8)の請求原因から検討を開始する︒判事は︑
この訴権の構成要件として︑申立事実でもある﹁不法妨害行為が原告の土地に髪.を与えたこと﹂という占描は認めた
が・妨害行為の発生に関しては︑必ずしも疲告の隣接する土地から逸出した.︺とLは条件ではなく︑海上における
船舶からの逸出でも差支えないと解して︑﹁被寡︑公共の所有になる土地や水ないしは荒廃した土地を誤用する場
合や・被許可者または不法侵入者(雪ω⁝葺・ω霧巴として他人の土地を誤用する場倉︑その創造されたニ
ュ←ソスに対して・隣接の占薯と同様の圭貝隻負わずにす喜れると解することには正当鐘由を認めがたい﹂
と説ぎ︑プライベイトニューサソスの成立を認めた︒
また・判事は・原寡ωき二﹃.餌;Φω葺越葦おρ(一︒・︒φ壽↓・ピ﹄・ω︒姦引照し︑動産か・りの油の
船 舶 事 故 に よ る 海 洋 油 濁 と 被 害 第 三 者 の 損 害(1)
逸出はニュ←三の訴権を成立芒めるとすゑ硝求理由に対しては︑量§葺ω喜((2)一Qo謬)を引例しゴ=ーサ三が釜(霞αqゴ鶏契)走おいて創導これる場倉は︑道路︑水路の区別なく当然にパブリヅクニュTサソスが
成立するとし︑本件の叢発生場所である助ぴ募習からプレスウに通ずる海峡が︑いわゆる﹁公道﹂にあたる
公共可航河川(℃霞び=6コ餌く一・q帥び一①鴨一く①﹃)であり︑これを誤用(油の放出)したために近接する(器塁琶被告の土地にニューサソスを創造させたとして︑パブリックニューサソスの成立をも認めた︒
またさらに︑塗口の請求原因?つちのトレスパスに対しては︑一盤この訴権発生の基本条件とされる(判事はこ
の要件姦調しない)直接的かつ物理的璽口(象零g器儀℃ξ︒︒圃︒帥=三ゆ諏興︒g①)の事実を本件に認めて・同じ≦み不法行為の成立を理論上認めうるとした︒
呈のように︑デブリソ判事は︑歴口に対して︑二︑‑サソス︑トレスパスの両不法行為訴権を一応肯認したが・
しかし︑それらの馨の如何は︑すべて原告の提出する特別抗弁(の置帥姦①量を条件としたものだと追↓言し・公道の隣(近)接者の訴権の膿︑必要の抗弁︑操舵器薩に関する過失等の各論点に順次検討を加差上・最終的には︑必要の抗弁畜酌す.⇔ことによぞ︑上記各訴権の不成妾判決する︒右の諸論点に対する判事の見解を要約す
れば︑次のようになる︒
まず判事は︑﹁齢・︑窪︒・︑一.﹂すなわち釜に讐して土地︑財産を所有する黍釜の利用者によって損害をうけたる場合の法理について検討し︑かかる場A︒の損害に関しては︑それが公道の利用者の不注意に起因する場合でないかぎり土辞薯は訴蓼有し︑羨いとし︑英法上︑陸上交通ξいて確妾れているこの鐘が・水路の場倉は明確な先例を欠く占だ首目しつつも︑かかる公道の法票︑公の可航水路罎接する土地・財産の場倉も応用可態法理であると説いて︑.﹂の論拠を︑遷量く﹄量含・・①①)夷要・卜・§︒・Φ・および閑ぎ量§︒§暑圃8塞
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る
︿.﹀婁㏄8(一︒︒ミ)N>.O.謡㏄為⑪刈.におけるブラックヴァーソ卿(﹃︒﹁⊆窪p∩一ハσ二H⇔)の見解(傍論)に求めた.ま
た・この交通法理の適用範囲についてデブリソ判謹︑荒が︑単に船舶が桟橋に衝突するといった船舶にょる直接
的侵竃かぎらず・航海の響の過程において(葺・・吾婁・・⁝・hロpく一・qp二︒箒)船舶が間薦に加えた星口
に対しても適用ある法理だと解て︑﹁油の放出行為が︑船主側に帰責事由のない難事故における船長の賢明姿
全処置行為として看鰹れうる場合には︑この法理は︑油の放出の箪笙した塁︑についても齋がある﹂と述べ
た・そして・可航露を釜に該当するものと考え︑公道に近接して土地.財産を所有する者は本来的に星︑の危険
を冒しているのであるから・道肇海の利用者が︑その碧権や航行権の行使箱当な注意をだ憂するかぎりは︑侵
害に対して訴奪有することはできないと論結する.デブリソ判事のこ・つと考えからすれば︑別に歪行為の一般
的免責事由である必要の抗弁を説くことは蛇足といえないこともないが︑判事は︑古い投蓮関するζ︒=・︒..・︒︒蝉・︒︒
な妄あたり・この免責事由と最り製︑本件のように舞への油の投棄が単に船舶財産の保全畜的とした行為
でなく・乗組員の生命の塞・救助といった山尚次元から決断された場倉問題となる不法行為責任ξいては必要の
抗弁(昌①垂巳が成立し︑歪行為の成立は阻却されると﹄し︑をえごフックヴァーソ卿の判決がヤう公道の法
理の適用が否定されたにしても︑なお被告は︑本抗弁を有効に提出できるとした.
そして判事は・こうした抗弁の成否が︑結局は︑被告に対する過失の認否篠わると考・ヴん︑本件の事実および原.
被告両当事者の申妾叢した上で︑④海峡への進入を決定した船長の判断に過失ないし技能未熟が認め.りれない
こと・切投荷の決定について船長に責むべき点がないこと︑また︑最も離な操舵器の故障と過失の争占{について
は・およそ次のように機して︑㊨被告は船製不堪航な状態で航行弍︑せたことの過失につき反証の地霧蜜わな
い・とした・すなわち・萩は︑本船がコント〒ルを失うに至った原因は︑船尾骨材(ω一〇﹃﹁Fh図︑鋤一冨㊦)の破砕にあ.勾
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と田心う.しかし破砕が生じた原因につい%不明である.この点康算護人は︑ぎぎξ;塁一.・りト・)置刈Φにおけるフ瞬フイ判肇﹁.図旨)の見解を依拠とし︑かかる場倉は︑被告に不可避的援(量8三Φーぎ)の立証霧が課せらるヒ臼を主張する.を︑で︑仮に原告側の主張を容れ︑不可避的叢の挙証責任が被告にあるとするなら︑事故の根本的原因について全‑証拠提出をなさない本件の被告がこ睾証を履践していないことは明皇ある.⁝本件においブ︑不可避的叢の鯖が成立するためには︑被告は船体の馨など禦とった欝につき+分な証拠を提示し︑船舶の構造に発見可能な羅がなかったという点を証明することが必薯ある・すなわち被告は嘉
舶について堪航能力の提供およひその維持に相当の注意を犀したことを証明しなければならない﹂と述べた上で・
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醐は︑塗口は墜尉の過失について立証しなければならず︑この場倉箋推蛋康告にとって有利な碕であると説.
惣 し た . そ し て ︑ 事 実 推 定 の 法 則 が 立 ム醐 壷d れ た 先 例 と し て 挙 げ 尊 ; ⁝ ・・; ﹂ ㎝峯 ξ 塁 ω 鵠⁝ 副戯 類 鯵 漿 藤 継 嚇蕪 諜 辮
船なかったとして︑また︑塗口が︑訴篁日面に主張する過失以外の理由で訴えることができない点を輻して・請求罪