憲法上の自己決定権と最高裁判所
著者 竹中 勲
雑誌名 同志社法學
巻 61
号 3
ページ 1‑29
発行年 2009‑07‑31
権利 同志社法學會
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000011781
憲法上の自己決定権と最高裁判所一同志社法学 六一巻三号
憲法上の自己決定権と最高裁判所
竹 中 勲
(九五一)
―
目 次―
はじめに一 新しい人権の承認の要件論と最高裁判所
⑴ し裁点意留の際るす討検を例判るい新関に論件要の認承の権人す
例関五生命・身体のありに方すに判裁るる関す権定決己自 る四生命に対す判権に関する裁例利 造希求権に裁関する判例生創人自な的幹基三己 の己自二上法憲権決定に例関型類の化判裁るす の定肯るよに所判裁高最 ⑵性能可の認承的法司の権人いし新
⑴ 患者の治療方法等選択の自由
⑵ 生命維持医療拒否権
⑶ 妊娠中絶の自由
憲法上の自己決定権と最高裁判所二同志社法学 六一巻三号
六 親密な交わり・人的結合の自己決定権に関する裁判例
⑴ 姻()条四二法憲由の自婚婚離・由自の
⑵ の由権交親の子親と自子る親育教養をもどす
の合自由 ⑶ 性的結
例様式の自己決定生権に関する裁判活)な的個人七(個性的 ⑷由自の活生同共
⑴ ﹁
賭博の自由﹂
⑵ ﹁
喫煙の自由﹂
⑶ ﹁
大麻摂取の自由﹂
⑷ ﹁
自己消費目的の酒類製造の自由﹂
⑸ ﹁
バイクに乗る自由﹂
⑹ ﹁
髪型の自由﹂
⑺ ﹁
服装の自由﹂
⑻ ﹁
魚つりの自由﹂
はじめに
本 稿 は 、 憲 法 上 の 自 己 決 定 権 に 関 す る 最 高 裁 判 所 判 例 の 動 向 に つ い て 、 整 理 ・ 検 討 し よ う と す る も の で あ る
(。
1)一 新しい人権の承認の要件論と最高裁判所
⑴ 意 留 の 際 る す 討 検 を 例 判 裁 る 関 す に 論 件 要 の 認 承 の 権 人 い し 新 点
新 し い 人 権 の 承 認 の 要 件 論
(く と い う 観 点 か ら す れ ば 、 少 な 橋 も ﹂ 次 の 諸 点 の 考 慮 が 求 め ら れ よ う と
(務 架 の 実 に 批 行 を 討 検 的 判 の 際 例 判 裁 る す 関 う 、 と ら 論 理 、﹁ が る れ め 多 求 が 慮 考 な 的 面
2)な憲いてれさ記明に典法国本日
( 権 人 い し 新 ① 。
3)い権利
) の 裁 判 所 に よ る 承 認 の 要 件 論 に 関 す る 憲 法 学 説 が 、 当 該 裁 判 当 時 に お い て 、 ど の 程 度 精 緻 か つ 十 分 な も の と し て 展 開 さ れ て い た か 、 ② (
①とも関連するが) 訴 訟 当 事 者 の 主 張 の 仕 方 (
新しい人権の解釈論的構成の仕方) が ど の 程 度 精
緻 か つ 十 分 な も の で あ っ た か 、 ③ (
訴訟当事者および裁判所にとって) 新 し い 人 権 に 関 す る 憲 法 論 を 展 開 す る こ と が 、 事
(九五二)
憲法上の自己決定権と最高裁判所三同志社法学 六一巻三号
案 の 内 容 に 照 ら し て (
当該具体的事件の解決・救済のために)、 ど の 程 度 必 要 で あ っ た か 、 ④ (
憲法学説、訴訟当事者、裁判所により
) 人 権 制 約 の 正 当 化 原 理 ・ 正 当 化 事 由 論 お よ び 合 憲 性 判 断 基 準 ・ 違 憲 審 査 基 準 論 が ど の 程 度 精 緻 か つ 十 分 な も の
と し て 展 開 さ れ て い た か 、 ⑤ 裁 判 所 は 、 新 し い 人 権 が 主 張 さ れ る 当 該 具 体 的 事 件 に つ い て 判 断 す る に 際 し 、(
憲法三二条・七六条・八一条・一三条等により規律されている
) 裁 判 所 の 役 割 論 な い し 司 法 権 観 に つ い て ど の 程 度 適 切 な 理 解 に 立 っ て 判
断 を 下 し て い た か 。
右 の ① ( お よ び ② ) に つ い て コ メ ン ト す れ ば 、 一 九 六 〇 年 代 半 ば 以 前 の 最 高 裁 判 所 判 例 と 憲 法 学 説 と の 関 係 は 相 互 に
十 分 な 関 連 性 を も つ も の と は い い が た い も の で あ っ た 。 こ れ は 一 つ に は 、 憲 法 学 説 に よ る 一 三 条 論 ・﹁ 新 し い 人 権 の 承 認 の 要 件 論 ﹂ の 提 示 ・ 立 論 が 必 ず し も 精 緻 な も の と は い い が た か っ た こ と (
このこととも関連して訴訟当事者による憲法一三条違反の主張の立論も必ずしも精緻なものとはいいがたかったこと
) に 起 因 し て い る 、 と の 評 価 も あ り え よ う 。
憲 法 一 三 条 論 の 学 説 に よ る 精 緻 な 展 開 は 一 九 六 〇 年 代 半 ば の 種 谷 春 洋 論 文 ﹁﹃ 生 命 、 自 由 及 び 幸 福 追 求 ﹄ の 権 利 ﹂ 以
降 の こ と で あ る 、 と と ら え る こ と が で き よ う
(。
4)⑵ 肯 る よ に 所 判 裁 高 最 の 性 能 可 認 の 承 る よ に 所 判 裁 の 権 人 い し 新 定
新 し い 人 権 の 裁 判 所 に よ る 承 認 の 可 能 性 に つ い て 、 当 初 、 最 高 裁 判 所 は 、 明 示 的 に は こ れ を 肯 定 も 否 定 も し て い な か っ た 。
︿ 大 ば 、 一 九 五 〇 年 の 最 判 み 昭 和 二 五 ・ 一 一 ・ 二 二 れ て 新 条 し い 人 権 で 憲 法 一 三 を い 根 拠 と す る 権 利 ﹀ に つ
((
賭場開帳 5)図利罪違反被告事件
) で の 栗 山 茂 裁 判 官 の 意 見 に は 、 新 し い 人 権 の 裁 判 所 に よ る 承 認 の 可 能 性 を 肯 定 す る か に 読 め る く だ
り が あ る
(二 に に よ る 承 認 の 可 能 性 つ 判 い て は 、﹁ 憲 法 一 一 条 一 所 裁 が 一 、︿ 新 し い 人 権 で 憲 法 三 の 条 を 根 拠 と す る 権 利 ﹀
6)(九五三)
憲法上の自己決定権と最高裁判所四同志社法学 六一巻三号
条 及 び 一 三 条 は ﹃ こ の 憲 法 が 保 障 す る 自 由 及 び 権 利 ﹄ の 保 障 そ の も の で は な く 、 保 障 は 一 四 条 以 下 に 列 挙 す る も の で あ
る ﹂ と の 理 解 に 基 づ き 、 こ れ を 否 定 す る 立 場 を 示 し て い る 。 一 九 五 八 年 の 最 大 判 昭 三 三 ・ 九 ・ 一 〇
((
損害賠償請求事件︹帆 7)足計事件︺
) で の 田 中 耕 太 郎 ・ 下 飯 坂 潤 夫 両 裁 判 官 の 補 足 意 見
(判 条 裁 の ﹀ 利 権 る す と 拠 根 を 三 一 法 憲 で 権 人 い し 新 、︿ は
8)所 に よ る 承 認 の 可 能 性 を 肯 定 す る も の と 読 む こ と が で き な く は な い が 、 必 ず し も 明 ら か で は な い 。
一 九 六 九 年 の 最 大 判 昭 和 四 四 ・ 一 二 ・ 二 四
(一 新
連事件︺) は 、︿ し
府い 人 権 で 憲 法
学都、( ︹
件事告被害傷京害妨行執務公 9)三 条 を 根 拠 と す る 権 利 ﹀ の 具 体 的 権 利 性 肯 定 説 の 立 場 を と る こ と を 最 高 裁 判 所 と し て は じ め て 明 確 に し た も の で あ る
(て 保 民 の 私 生 活 上 の 自 由 ﹂ を 障 ﹁ し 、 同 自 由 の 一 内 容 と し 国 て 三 し 最 高 裁 判 決 は 、 憲 法 一 条 は 公 権 力 に 対 す る 権 利 と 本 。
10)﹁ 承 諾 な し に 、 み だ り に そ の 容 貌 ・ 姿 態 ⋮ ⋮ を 撮 影 さ れ な い 自 由 ﹂ が あ る 、 と 判 示 し た 。 ま た 、 一 九 八 六 年 の 最 大 判 昭 和 六 一 ・ 六 ・ 一 一
(最 ( と し て の 名 誉 の 保 護 憲 格 法 一 三 条 )﹂ と 述 べ 、 権 人
北、﹁
害賠償請求事件︹
方(
ジャーナル事件︺) は
損 11)高 裁 判 所 が 同 肯 定 説 の 立 場 に 立 つ こ と を 再 度 確 認 し て い る 。
も っ と も 、 最 高 裁 判 所 は 、︿ 新 し い 人 権 で 憲 法 一 三 条 を 根 拠 と す る 権 利 ﹀ の 承 認 の 要 件 ・ 基 準 に つ い て 、 現 在 ま で 、
定 式 化 を 行 っ て い な い 。
二 憲法上の自己決定権に関する裁判例の類型化
憲 法 上 の 自 己 決 定 権 の 内 容 の 類 型 化 に 関 す る 学 説 を み れ ば 、 山 田 卓 生 説 は 、 三 類 型 説 (
ライフスタイル、危険行為、生死と自己決定
)、 佐 藤 幸 治 説 は 、 四 類 型 説 (
﹁自己の生命、身体の処分にかかわる事柄﹂、
﹁家族の形成・維持にかかわる事柄﹂、
﹁リプロダクションにかかわる事柄﹂
、
﹁その他の事柄﹂)、 芦 部 信 喜 説 は 、 三 類 型 説 (
﹁リプロダクションの自己決定権﹂、
﹁生命・身体(九五四)
憲法上の自己決定権と最高裁判所五同志社法学 六一巻三号 の処分に関する自己決定権﹂
、
﹁ライフ・スタイルの自己決定権﹂) を 採 用 し て お り 、 私 見 は 三 類 型 説 (
﹁生命・身体のあり方に関する自己決定権﹂
、
﹁親密な交わり・人的結合に関する自己決定権﹂、
﹁個人的(個性的)な生活様式に関する自己決定権﹂) を 採 用 し
て い る
(。
12)以 下 で は 、 さ し あ た り 、 私 見 の 三 類 型 説 に 従 い 、 各 類 型 に 関 す る 裁 判 例 に つ い て 検 討 す る 。 な お 、 以 下 で は 、 憲 法 上
の 自 己 決 定 権 に 関 す る 裁 判 例 の 検 討 の 前 提 的 な い し 関 連 す る 考 察 と し て 、﹁ 基 幹 的 な 自 己 人 生 創 造 希 求 権 ﹂ に 関 す る 裁 判 例 、﹁ 生 命 に 対 す る 権 利 ﹂ に 関 す る 裁 判 例 、 憲 法 二 四 条 に 関 す る 裁 判 例 、 に つ い て も 言 及 し て お く こ と と す る 。
三 基幹的な自己人生創造希求権に関する裁判例
公 権 力 に よ る 人 権 制 約 に は 、 自 己 決 定 の 自 由 の い わ ば 総 体 を は く 奪 ・ 制 約 す る よ う な 行 為 、 換 言 す れ ば 、﹁ 基 幹 的 な
人 格 的 自 律 権
(な 権 造 創 生 人 己 自 的 求 幹 基 ﹁ し い な ﹂ 希
13)(。 よ る う り あ が 例 事 な う る す 当 相 に 約 制 の 体 自 ﹂
14)た と え ば 、 ハ ン セ ン 病 訴 訟 第 一 審 判 決 (
熊本地判平成一三・五・一一 (離
︺隔 の 法 防 予 い ら 、 は )
定確。件事求請償賠家国︹ 15)規 定
(六条・一五条・二八条 (る 人 条 に 根 拠 を 有 す る 格 一 権 そ の も の に 対 す 三 法 れ 憲 よ っ て も た ら さ る
)人 権 の 制 限 は ﹁ に
16)も の ﹂ と と ら え る べ き で あ る と 述 べ て い る が 、 同 判 決 に い う ﹁ 憲 法 一 三 条 に 根 拠 を 有 す る 人 格 権 そ の も の ﹂ は ﹁ 憲 法 一 三 条 を 根 拠 と す る 基 幹 的 な 自 己 人 生 創 造 希 求 権 ﹂ に 相 当 す る も の と と ら え る こ と が で き る
(。
17)ま た 、 出 生 時 に 日 本 国 籍 を 取 得 し た 日 本 人 か ら そ の 意 に 反 し て 日 本 国 籍 を は く 奪 す る 日 本 政 府 の 行 為 も 、﹁ 基 幹 的 な 自 己 人 生 創 造 希 求 権 ﹂ 自 体 の は く 奪 ・ 制 約 に 相 当 し う る と い う 意 味 あ い が あ る こ と が 留 意 さ れ な け れ ば な ら な い 。 そ れ
ゆ え 、 そ の 者 が 提 起 す る 日 本 国 籍 確 認 請 求 訴 訟 に お い て 、 裁 判 所 は 、 当 該 個 人 の 憲 法 上 の 自 己 人 生 創 造 希 求 権 ・ 人 生 の
(九五五)
憲法上の自己決定権と最高裁判所六同志社法学 六一巻三号
重 み に 留 意 し つ つ 慎 重 な 個 別 具 体 的 司 法 審 査 を 行 わ な け れ ば な ら な い こ と が 銘 記 さ れ る べ き で あ る
(。
18)四 生命に対する権利に関する裁判例
憲 法 一 三 条 後 段 の ﹁ 生 命 に 対 す る 権 利 ﹂ に ⅰ ﹁ 生 命 を 享 受 す る 自 由 ﹂(
自己決定の自由・選択の自由を内実としない権利)
が 含 ま れ る こ と に つ い て は 学 説 上 争 い が な く 、 ま た 、 ⅱ ﹁ 身 体 に 対 す る 侵 襲 を 受 け な い 権 利 ﹂(
﹁身体の自由﹂のうち、自己決定の自由・選択の自由を内実としないもの
) は 、 憲 法 一 八 条 、 三 一 条 、 三 三 条 か ら 四 〇 条 、 一 三 条 後 段 (
の﹁生命に対する権利﹂規定
) に よ り 保 障 さ れ て い る と 解 す る こ と が で き る
(自
り ﹂( 権 定 決 己 自 る す 関 に 方 あ の 体 身 ・ 命 生 ﹁ ⅲ と ⅱ ⅰ 。
19)己決定の自由・選択の自由を内実とする権利
) と は 性 質 の 異 な る 別 個 の 権 利 概 念 で あ る が 、 と も に 憲 法 一 三 条 後 段 に よ り 保
障 さ れ て い る と 解 さ れ る 点 を 考 慮 し 、 以 下 で は 、 ⅰ ⅱ に 関 す る 裁 判 例 に つ い て も 言 及 し て お く こ と と す る 。
﹁ 奪 性 憲 合 の 定 規 罪 刑 死 る す く 生 は を ﹂ 由 自 る す 受 享 を 命
(最 の 三 ・ 三 二 和 昭 判 大 二 年 一 八 四 九 一 、 て し 関 に ・
20)((
尊属殺 21)殺人死体遺棄被告事件
) は 、﹁ 生 命 は 尊 貴 で あ る 。 一 人 の 生 命 は 、 全 地 球 よ り も 重 い 。 死 刑 は 、 ま さ に あ ら ゆ る 刑 罰 の う ち で 最 も 冷 厳 な 刑 罰 で あ り 、 ま た ま こ と に や む を 得 ざ る に 出 ず る 窮 極 の 刑 罰 で あ る 。 そ れ は 言 う ま で も な く 、 尊 厳 な 人
間 存 在 の 根 元 で あ る 生 命 そ の も の を 永 遠 に 奪 い 去 る も の だ か ら で あ る ﹂ と し た 後 、﹁ 同 条 ︹ 憲 法 一 三 条 ︺ に お い て は 、 公 共 の 福 祉 と い う 基 本 的 原 則 に 反 す る 場 合 に は 、 生 命 に 対 す る 国 民 の 権 利 と い え ど も 立 法 上 制 限 乃 至 剥 奪 さ れ る こ と を
当 然 予 想 し て い る も の と い わ ね ば な ら ぬ 。 そ し て さ ら に 、 憲 法 第 三 十 一 条 に よ れ ば 、 国 民 個 人 の 生 命 の 尊 貴 と い え ど も 、 法 律 の 定 め る 適 理 の 手 続 に よ っ て 、 こ れ を 奪 う 刑 罰 を 科 せ ら れ る こ と が 、 明 か に 定 め ら れ て い る 。 す な わ ち 憲 法 は 現 代
多 数 の 文 化 国 家 に お け る と 同 様 に 、 刑 罰 と し て 死 刑 の 存 置 を 想 定 し 、 こ れ を 是 認 し た も の と 解 す べ き で あ る 。 言 葉 を か
(九五六)
憲法上の自己決定権と最高裁判所七同志社法学 六一巻三号
え れ ば 、 死 刑 の 威 嚇 力 に よ っ て 一 般 予 防 を な し 、 死 刑 の 執 行 に よ っ て 特 殊 な 社 会 悪 の 根 元 を 絶 ち 、 こ れ を も っ て 社 会 を 防 衛 せ ん と し た も の で あ り 、 ま た 個 体 に 対 す る 人 道 観 の 上 に 全 体 に 対 す る 人 道 観 を 優 位 せ し め 、 結 局 社 会 公 共 の 福 祉 の
た め に 死 刑 制 度 の 存 続 の 必 要 性 を 承 認 し た も の と 解 せ ら れ る の で あ る ﹂ と し 、 ま た 、﹁ 刑 罰 と し て の 死 刑 そ の も の が 一 般 に 直 ち に 同 条 ︹ 憲 法 三 六 条 ︺ の い わ ゆ る 残 虐 な 刑 罰 に 該 当 す る と は 考 え ら れ な い ﹂ と し 、 死 刑 罪 規 定 は 憲 法 一 三 条 ・
三 一 条 ・ 三 六 条 に 違 反 し な い と し た
(三 最 八 ・ 四 二 和 昭 判 小 八 の 一 年 九 四 九 一 、 た ま 。 ・
22)(す 条 ら な い 。 ⋮ ⋮ さ れ ば 、 憲 法 一 三 は ば も 重 尊 を れ こ に と 、 他 自 も で 人 何 な ね 命 重 生 ら 人 格 等 の 尊 、 は 自 他 同 事 で あ 、
事盗殺人被告個
件) も ﹁ 人 の (
強 23)べ く 要 求 せ ら れ て い る の で あ る 。 さ す れ ば 他 人 の 生 命 を 尊 重 せ ず し て 故 意 に こ れ を 侵 害 し た 者 は 、 そ の 自 己 の 生 命 を も 失 う べ き 刑 罰 に 処 せ ら れ る 責 任 を 負 担 す る も の と い わ ざ る を 得 な い ﹂ と し 、 死 刑 罪 規 定 は 、 憲 法 一 三 条 の 解 釈 上 、 違 憲
で は な い と 判 示 し た 。
五 生命・身体のあり方に関する自己決定権に関する裁判例
⑴ 患 者 の 治 療 方 法 等 選 択 の 自 由
二 〇 〇 〇 年 の 最 三 小 判 平 成 一 二 ・ 二 ・ 二 九
(の 、 行 療 医 う 伴 を 血 輸 て を し と る す 反 に 念 信 の 為 拒 教 有 こ 、 合 場 る い て し を 否 思 意 な 確 明 の と る す 上 宗 己 自 は と こ る の
血エ人証のバホ求︹件事者請償賠害患事無者 け 受 を 血 輸 が 患
断、﹁ は )
︺件(
輸損 24)よ う な 意 思 決 定 を す る 権 利 は 、 人 格 権 の 一 内 容 と し て 尊 重 さ れ な け れ ば な ら な い ﹂ と 判 示 し た 。 本 最 高 裁 判 決 は 、 医 師 が 患 者 に ﹁ 医 療 水 準 に 従 っ た 相 当 な 手 術 を し よ う と す る こ と は 、 人 の 生 命 及 び 健 康 を 管 理 す べ き 業 務 に 従 事 す る 者 と し
て 当 然 の こ と で あ る ﹂ と は す る が 、 こ の 医 師 と し て の 任 務 ・ 利 害 関 心 は 、︿ 自 己 の 宗 教 上 の 信 念 に 反 す る 輸 血 を 伴 う 医
(九五七)
憲法上の自己決定権と最高裁判所八同志社法学 六一巻三号
療 行 為 を 受 け る か 否 か に つ い て 意 志 決 定 す る 患 者 の 権 利 ﹀ を 上 回 る も の で は な い と の 判 断 を 示 し 、 転 院 な ど の 機 会 を 提
供 す べ き 医 師 の 義 務 を 肯 定 す る 立 論 を 示 し た 。 本 最 高 裁 判 決 の 特 質 と し て 、 ① ﹁ 自 己 決 定 権 ﹂ の 定 義 と い う 点 で は 、 本 件 控 訴 審 判 決 の 定 義 よ り も 狭 い 定 義 を 採 用 し て い る こ と ― 東 京 高 判 平 成 一 〇 ・ 二 ・ 九
(は 憲 法 の 条 文 に は 言 及 し て い な
25)い が ﹁ 各 個 人 が 有 す る 自 己 の 人 生 の あ り 方 ( ラ イ フ ス タ イ ル ) は 自 ら が 決 定 す る こ と が で き る と い う 自 己 決 定 権 ﹂ と い う 権 利 概 念 に 言 及 し た が 、 本 最 高 裁 判 決 は ︿ 自 己 の 宗 教 上 の 信 念 に 反 す る 輸 血 を 伴 う 医 療 行 為 を 受 け る か 否 か に つ い て
意 志 決 定 す る 権 利 ﹀ と い う 権 利 概 念 を 用 い て い る こ と 、 ② 本 最 高 裁 判 決 は 同 権 利 が ﹁ 人 格 権 の 一 内 容 ﹂ を 構 成 す る と 述 べ た が ﹁ 自 己 決 定 権 ﹂ の 用 語 を 用 い て お ら ず 、 ま た 、 同 権 利 ・﹁ 人 格 権 ﹂ に 関 連 し て ﹁ 憲 法 一 三 条 ﹂ 自 体 へ の 言 及 を 行
っ て い な い こ と 、 を あ げ る こ と が で き よ う 。 本 件 事 案 は 民 法 七 〇 九 条 ・ 七 一 五 条 に 基 づ く 損 害 賠 償 請 求 事 件 で あ り 、(
事案の解決に必要な限度で憲法解釈に言及するという立場からのものか
) 本 最 高 裁 判 決 は 同 権 利 ・﹁ 人 格 権 ﹂ と ﹁ 憲 法 上 の 自 己 決
定 権 ﹂ と の 関 連 構 造 に つ い て は 明 言 し て い な い 。 な お 、 本 判 決 を こ の よ う に 限 定 的 に と ら え た 場 合 に も 、 本 判 決 は 、︿ エ ホ バ の 証 人 患 者 に よ る 輸 血 拒 否 行 為 ﹀ を ︿ 自 己 破 壊 行 為 ﹀ と は と ら え て お ら ず 、 本 件 無 断 輸 血 を 違 法 と す る 本 判 決 は 、
論 理 的 に は 、︿ 強 い 自 己 加 害 阻 止 原 理 に 基 づ く 医 師 に よ る 患 者 の 同 人 格 権 の 制 約 は 正 当 化 さ れ な い と の 立 論 ・ 結 論 ﹀ を 含 ん で い る も の と と ら え る こ と が で き る 。
⑵ 生 命 維 持 医 療 拒 否 権
生 命 維 持 医 療 拒 否 権 の 憲 法 上 の 権 利 性 そ れ 自 体 に つ い て 述 べ た 裁 判 例 は 存 在 し な い 。
下 級 審 裁 判 例 と し て は 、 留 意 す べ き も の と し て 、 東 海 大 学 附 属 病 院 積 極 的 安 楽 死 事 件 地 裁 判 決 お よ び 川 崎 協 同 病 院 積
極 的 安 楽 死 事 件 地 裁 ・ 高 裁 判 決 が あ る
(。
26)(九五八)
憲法上の自己決定権と最高裁判所九同志社法学 六一巻三号
⑶ 妊 娠 中 絶 の 自 由
日 本 で は ア メ リ カ ・ ド イ ツ な ど と は 異 な り 、 堕 胎 罪 の 合 憲 性 が 争 わ れ た 裁 判 例 は 見 あ た ら な い
(。
27)六 親密な交わり・人的結合の自己決定権に関する裁判例
⑴ 条 四 二 法 憲 ( 由 自 の 婚 離 ・ 由 自 の 姻 婚 )
憲 法 二 四 条 は 、﹁ 婚 姻 ( 結 婚 ) す る 自 由 と 婚 姻 し な い 自 由 ﹂ お よ び ﹁ 離 婚 ( 婚 姻 解 消 ) の 自 由 ﹂ を 保 障 し て い る も の と 解 す る こ と が で き る
(三 決 は 、 こ れ ら の 自 己 定 か の 自 由 は 、︿ 憲 法 一 ら 場 三 立 の た め 、 憲 法 一 条 。 の 補 充 的 適 用 説 の こ
28)条 を 根 拠 と す る 親 密 な 人 的 結 合 の 自 由 ﹀ の 一 内 容 と は 構 成 さ れ な い こ と に な る 。 が 、 同 様 に ︿ 親 密 な 人 的 結 合 ﹀ を 内 容 と す る も の で あ る た め 、 憲 法 二 四 条 に 関 す る 裁 判 例 に つ い て も 、 以 下 に 言 及 し て お く こ と と す る 。
下 級 審 裁 判 例 と し て 、 東 京 地 判 昭 和 四 一 ・ 一 二 ・ 二 〇
(確 し は 又 、 か る す 婚 結 対 己 に 者 働 労 子 女 、 は 自 の こ に を 資 の 活 生 し 献 貢 会 才 社 つ つ し か 生 を 能 と る 定 と 由 事 職 退 を 婚 め
婚求友住︹件事係請等認確メ関用セ退ント結(
職制解雇事件︺) は 、﹁ 結
雇 29)保 す る た め に 従 前 の 職 に 止 ま る か の 選 択 を 迫 る 結 果 に 帰 着 し 、 か か る 精 神 的 、 経 済 的 理 由 に よ り 配 偶 者 の 選 択 、 結 婚 の
時 期 等 に つ き 結 婚 の 自 由 を 著 し く 制 約 す る も の ﹂ と と ら え た 上 で 、﹁ 家 庭 は 、 国 家 社 会 の 重 要 な 一 単 位 で あ り 、 法 秩 序 の 重 要 な 一 部 で あ る 。 適 時 に 適 当 な 配 偶 者 を 選 択 し 家 庭 を 建 設 し 、 正 義 衡 平 に 従 っ た 労 働 条 件 の も と に 労 働 し 人 た る に
値 す る 家 族 生 活 を 維 持 発 展 さ せ る こ と は 人 間 の 幸 福 の 一 つ で あ る 。 か よ う な 法 秩 序 の 形 成 並 び に 幸 福 追 求 を 妨 げ る 政 治 的 経 済 的 要 因 の う ち 合 理 性 を 欠 く も の を 除 去 す る こ と も 、 ま た 法 の 根 本 原 理 で あ っ て 、 憲 法 一 三 条 、 二 四 条 、 二 五 条 、
二 七 条 は こ れ を 示 す 。 し た が っ て 、 配 偶 者 の 選 択 に 関 す る 自 由 、 結 婚 の 時 期 に 関 す る 自 由 等 結 婚 の 自 由 は 重 要 な 法 秩 序
(九五九)
憲法上の自己決定権と最高裁判所一〇同志社法学 六一巻三号
の 形 成 に 関 連 し か つ 基 本 的 人 権 の 一 つ と し て 尊 重 さ れ る べ く 、 こ れ を 合 理 的 理 由 な く 制 限 す る こ と は 、 国 民 相 互 の 法 律
関 係 に あ っ て も 、 法 律 上 禁 止 さ れ る も の と 解 す べ き で あ る 。 以 上 の 理 由 に よ り 、 こ の 禁 止 は 公 の 秩 序 を 構 成 し 、 こ れ に 反 す る 労 働 協 約 、 就 業 規 則 、 労 働 契 約 は い ず れ も 民 法 九 〇 条 に 違 反 し 効 力 を 生 じ な い と い う べ き で あ る ﹂(
傍線は筆者)
と 判 示 し た 。
⑵ 交 親 の 子 親 と 由 自 る す 育 教 養 を も ど 子 の 親 権
一 九 八 四 年 の 最 二 小 決 昭 和 五 九 ・ 七 ・ 六
(権
事対する抗告申立件定) は 、 離 婚 後 親
に決判の接交渉棄却審に(
対する抗告棄却面 30)者 で な い 親 が 、 子 と 年 二 回 の 面 接 を 求 め る 申 立 て を 家 庭 裁 判 所 に よ り 棄 却 さ れ 、 さ ら に 即 時 抗 告 を 棄 却 さ れ た こ と に 対 し て 特 別 抗 告 し 、 親 子 の 面 接 交 渉 権 (
面会交流 (た は し 張 主 と る す 反 違 に 条 三 一 法 憲 と 面
権る す 定 否 に 的 こ 全 で 判 審 を )
31)事 件
(所 法 項 二 は 又 項 一 条 六 六 七 民 解 る め 定 て い つ に 分 処 る の 釈 関 ず 二 ノ 条 九 一 四 法 訴 民 、 ぎ 適 す に の も う い を り 誤 の 用 す に そ 違 が る す 張 主 と る す 反 に 護 条 三 一 法 憲 ⋮ ⋮ 、﹁ て い 、 の に 事 監 の 子 る い て れ さ と 項 判 実 審 の 所 判 裁 庭 家 、 は 質 お
32)定 の 場 合 に あ た ら な い ﹂ と し て 特 別 抗 告 を 却 下 し た 。
一 九 九 一 年 の 最 三 小 判 平 成 三 ・ 七 ・ 九
(と 未
求事件︺) は 、 決
償拘 禁 者 は ﹁ 原 則
請賠取家会不許可処分消(
等請求事件︹国面 33)し て 一 般 市 民 と し て の 自 由 を 保 障 さ れ る ︹
最大決昭和四五・九・一六民集二四巻一〇号一四一〇頁、最大決昭和五八・六・二二民集三七巻五号七九三頁参照
︺﹂ と 述 べ た 後 、﹁ 幼 年 者 ︹
本件では未決拘禁者の養親の孫(義理の姪で当時一〇歳)︺ の 心 情 の 保 護
は 元 来 そ の 監 護 に あ た る 親 権 者 等 が 配 慮 す べ き 事 柄 で あ る か ら 、 法 ︹
監獄法五〇条﹁接見ノ立会、信書ノ検閲其他接見及ヒ信書ニ関スル制限ハ法務省令ヲ以テ之ヲ定ム﹂
︺ が 一 律 に 幼 年 者 と 被 勾 留 者 ︹
未決拘禁者︺ と の 接 見 を 禁 止 す る こ と を 容 認 し て
い る と 解 す る こ と は 、 困 難 で ﹂ あ り 、 監 獄 法 施 行 規 則 (
平成三年法務省令第二二号による改正前のもの) 一 二 〇 条 (
﹁一四歳(九六〇)
憲法上の自己決定権と最高裁判所一一同志社法学 六一巻三号 未満ノ者ニハ在監者ト接見ヲ為スコトヲ許サス﹂
) お よ び 一 二 四 条 (
﹁所長ニ於テ処遇上其他必要アリト認ムルトキハ前三条ノ制限ニ依ラサルコトヲ得﹂
) の 各 規 定 は 未 決 拘 禁 者 と 幼 年 者 と の 接 見 を 許 さ な い と す る 限 度 に お い て 、 法 五 〇 条 の 委 任 の 範 囲 を
超 え 無 効 で あ る 、 と 判 示 し た
(る あ で
(点 の 自 由 と い う 観 立 に 接 っ て ﹂ の も の 見 の に ら 判 決 は 、 直 接 的 は 。 、﹁ 被 勾 留 者 の 側 か 本
34)容内
の 子 親 ﹁ の 上 法 憲 )
すなを権
一交
の由自の合結的人な密親、( が 親
35)(。 て う よ し 値 に 目 注 、 し と 例 判 る す 連 関 に ﹂
36)二 〇 〇 〇 年 の 最 一 小 判 平 成 一 二 ・ 五 ・ 一
(一 、 育 教 び 及 護 監 の 子 は す 者 権 親 、 い 行 を 権 親 を る し も 八 法 民 ( り あ で の う 権 負 を 務 義 、 し 有 を 利 て 同 が 母 父 、 は 中 共
すす更変判審原る審対に判定の渉交接決るには 姻 婚 の 母 父 、﹁ )
対件事告抗可許(
面 37)八 条 三 項 、 八 二 〇 条 )、 婚 姻 関 係 が 破 綻 し て 父 母 が 別 居 状 態 に あ る 場 合 で あ っ て も 、 子 と 同 居 し て い な い 親 が 子 と 面 接 交 渉 す る こ と は 、 子 の 監 護 の 一 内 容 で あ る と い う こ と が で き る 。 そ し て 、 別 居 状 態 に あ る 父 母 の 間 で 右 面 接 交 渉 に つ き
協 議 が 調 わ な い と き 、 又 は 協 議 を す る こ と が で き な い と き は 、 家 庭 裁 判 所 は 、 民 法 七 六 六 条 を 類 推 適 用 し 、 家 事 審 判 法 九 条 一 項 乙 類 四 号 に よ り 、右 面 接 交 渉 に つ い て 相 当 な 処 分 を 命 ず る こ と が で き る と 解 す る の が 相 当 で あ る ﹂ と 判 示 し た 。
下 級 審 裁 判 例 と し て 、 徳 島 地 判 昭 和 五 八 ・ 一 二 ・ 一 二
(づ 力 こ た し 戻 れ 連 で 実 に が 親 を )
生学大・と 対
九ー 基 に 法 護 保 身 人 が バ し ン メ の 体 団 教 宗 同
歳一者 年 成 未 た い て し 会 (
教件宗 、 は )
保事求請護団
身教
会体 (
統一(
・原理研究会) に 入
人 38)き 釈 放 請 求 を し た 事 件 に お い て 、﹁ 親 権 は 、 そ の 内 容 と し て 、 こ れ に 服 す べ き 未 成 年 の 子 を 心 身 共 に 健 全 な 社 会 人 と し
て 育 成 す る た め そ の 全 生 活 に わ た り 監 護 教 育 を 施 す 権 利 を 含 み 、 そ れ は 同 時 に 義 務 性 あ る 権 能 で も あ る 。 そ し て 、 か か る 未 成 年 の 子 に 対 す る 監 護 教 育 権 行 使 の 意 義 は 、 次 代 に お け る 健 全 な 市 民 の 形 成 に あ る の で あ っ て 、 未 成 年 の 子 の 信 教
の 自 由 に 対 す る 干 渉 も 、 そ れ が 明 ら か に 未 成 年 の 子 の 幸 福 に 反 す る な ど 濫 用 に わ た る も の と 認 め ら れ な い 限 り 、 許 容 さ れ て し か る べ き も の で あ ﹂ り 、﹁ 本 件 拘 束 状 態 が 親 権 行 使 の 濫 用 に ま で 至 っ て い る も の と は 認 め 難 ﹂ い の で 、﹁ 拘 束 者 に
よ る 被 拘 束 者 の 拘 束 は 、 そ の 違 法 性 が 顕 著 で あ る 場 合 ︹
人身保護規則四条︺ に 当 た る と ま で 言 い え な い ﹂ と し て 、 人 身 保
(九六一)
憲法上の自己決定権と最高裁判所一二同志社法学 六一巻三号
護 請 求 を 棄 却 し た 。
⑶ 性 的 結 合 の 自 由
一 九 八 五 年 の 最 大 判 昭 和 六 〇 ・ 一 〇 ・ 二 三
(不 を 、 し 迫 威 、 し 惑 誘 年 罔 少 青 ﹁ を ﹂ 行 淫 ﹁ う 欺 し に 身 た じ 乗 に 熟 成 未 の 心 又 の そ 等 る せ さ 惑 困 は い 項 条 〇 一 例 条 本 一 、
成告被反違例条年育護保件少青県岡事本 ) 定 、 い 行 を 釈 解 限 は 憲 合 の 例 条 件 (
福 39)当 な 手 段 に よ り 行 う 性 交 又 は 性 交 類 似 行 為 の ほ か 、 青 少 年 を 単 に 自 己 の 性 的 欲 望 を 満 足 さ せ る た め の 対 象 と し て 扱 っ て い る と し か 認 め ら れ な い よ う な 性 交 又 は 性 交 類 似 行 為 を い う も の と 解 す る ﹂ と し た
(に 判 見 意 足 補 の 官 裁 敦 島 長 、 お な 。
40)は ﹁ 性 的 な 行 為 に つ い て の 自 由 な 自 己 決 定 権 ﹂、 ﹁ 被 害 者 個 人 の 性 的 な 自 由 ﹂ と い う 概 念 へ の 言 及 が 見 ら れ る 。
⑷ 共 同 生 活 の 自 由
あ え て あ げ れ ば 、 示 唆 的 な 下 級 審 裁 判 例 と し て 、 東 京 高 判 平 成 九 ・ 九 ・ 一 六
(体 ) 団 の 者 愛 性 同 、 は
件事求請償賠害損(
41)が し た 府 中 青 年 の 家 の 宿 泊 利 用 申 込 み を 都 教 育 委 員 会 が 都 青 年 の 家 条 例 八 条 一 号 (
﹁秩序を乱すおそれがある﹂) お よ び 二 号 (
﹁管理上支障がある﹂) に 該 当 す る と し て 不 承 認 処 分 を し た 事 件 に お い て 、﹁ 都 教 育 委 員 会 が 、 青 年 の 家 利 用 の 承 認 不
承 認 に あ た っ て 男 女 別 室 宿 泊 の 原 則 を 考 慮 す る こ と は 相 当 で あ る と し て も 、 右 は 、 異 性 愛 者 を 前 提 と す る 社 会 的 慣 習 で あ り 、 同 性 愛 者 の 使 用 申 込 に 対 し て は 、 同 性 愛 者 の 特 殊 性 、 す な わ ち 右 原 則 を そ の ま ま 適 用 し た 場 合 の 重 大 な 不 利 益 に
十 分 配 慮 す る べ き で あ る の に 、 一 般 的 に 性 的 行 為 に 及 ぶ 可 能 性 が あ る こ と の み を 重 視 し て 、 同 性 愛 者 の 宿 泊 利 用 を 一 切 拒 否 し た も の で あ っ て 、 そ の 際 に は 、 一 定 の 条 件 を 付 す る な ど し て 、 よ り 制 限 的 で な い 方 法 に よ り 、 同 性 愛 者 の 利 用 権
と の 調 整 を 図 ろ う と 検 討 し た 形 跡 も 窺 え な い の で あ る 。 し た が っ て 、 都 教 育 委 員 会 の 本 件 不 承 認 処 分 は 、 青 年 の 家 が 青
(九六二)
憲法上の自己決定権と最高裁判所一三同志社法学 六一巻三号
少 年 の 教 育 施 設 で あ る こ と を 考 慮 し て も 、 同 性 愛 者 の 利 用 権 を 不 当 に 制 限 し 、 結 果 的 、 実 質 的 に 不 当 な 差 別 的 取 扱 い を し た も の で あ り 、 施 設 利 用 の 承 認 不 承 認 を 判 断 す る 際 に 、 そ の 裁 量 権 の 範 囲 を 逸 脱 し た も の で あ っ て 、 地 方 自 治 法 二 四
四 条 二 項 、 都 青 年 の 家 条 例 八 条 の 解 釈 適 用 を 誤 っ た 違 法 ﹂ な も の で あ る と し た
(。
42)七 個人的(個性的)な生活様式の自己決定権に関する裁判例
第 三 類 型 の ︿ 個 人 的 ( 個 性 的 ) な 生 活 様 式 の 自 己 決 定 権 ﹀ と の 関 連 で は 、 訴 訟 当 事 者 に よ り 多 様 な 自 己 決 定 の 自 由 が 主 張 さ れ て き て い る 。 以 下 で は 、 そ の う ち 主 要 な も の に つ い て 言 及 す る が 、 筆 者 自 身 、 こ れ ら す べ て を こ の 第 三 類 型 の
自 己 決 定 権 の 一 内 容 と し て 承 認 さ れ う る と す る 立 場 で は な い の で 、﹁ ﹂ を 付 し て 紹 介 す る こ と と す る 。
⑴ ﹁
賭 博 の 自 由 ﹂
一 九 五 〇 年 の 最 大 判 昭 和 二 五 ・ 一 一 ・ 二 二
(憲
行 由 で の 一 般 的 為 告 の 自 由 の 主 張 ( 理 上
違、
場開帳図利罪反(
被告事件) は
賭 43)法一三条は﹁公共の福祉に反しない限り国民は凡ゆる行為の自由を有して居る﹂ことを認めるもので、新憲法の下では賭場開帳図利行
為は﹁公共の福祉に反しない娯楽の自由の範囲に属するに至つたもの、可罰性なき娯楽の範疇に属するに至つたもの﹂であるので賭場
開帳図利罪は憲法一三条および九八条に違反するとの主張
) に 対 し 、 一 般 的 行 為 の 自 由 に つ い て 明 示 的 に は 否 定 も 肯 定 も せ ず
(、
44)﹁ 賭 博 の 自 由 ﹂ の 憲 法 上 の 権 利 性 に つ い て も 明 言 す る こ と な く 、 賭 博 行 為 は ﹁ 新 憲 法 に い わ ゆ る 公 共 の 福 祉 に 反 す る も の ﹂ で あ る と し た 。 な お 、 本 最 高 裁 判 決 は 風 俗 の 保 持 (
﹁風俗を害する罪﹂の定め) を 憲 法 の ﹁ 公 共 の 福 祉 ﹂ の 内 容 と と
ら え て い る よ う で あ り (
後述の最大判昭和三一・六・一三も同様であり)、 当 時 の 最 高 裁 判 所 の ﹁ 公 共 の 福 祉 ﹂ の と ら え 方 を
(九六三)
憲法上の自己決定権と最高裁判所一四同志社法学 六一巻三号
示 す も の と い え よ う
(。
45)⑵ ﹁
喫 煙 の 自 由 ﹂
一 九 七 〇 年 の 最 大 判 昭 和 四 五 ・ 九 ・ 一 六
(用ニ
六 条 (
﹁在監者ハ則
酒類又ハ煙草ヲ九 規
件行
家賠償請求事) ( は 、 監 獄 法 施
国 46)ウルコトヲ許サス﹂
) に 基 づ き 未 決 拘 禁 中 に 喫 煙 禁 止 処 分 を 受 け た 被 疑 者 が 釈 放 後 に 慰 謝 料 を 請 求 し た 事 件 に お い て 、﹁ 喫
煙 の 自 由 は 、 憲 法 一 三 条 の 保 障 す る 基 本 的 人 権 の 一 に 含 ま れ る と し て も 、 あ ら ゆ る 時 、 所 に お い て 保 障 さ れ な け れ ば な ら な い も の で は な い ﹂
(傍線は筆者)と し 、 喫 煙 を 許 す と ﹁ 罪 証 隠 滅 の お そ れ が あ り 、 ま た 、 火 災 発 生 の 場 合 に は 被 拘 禁
者 の 逃 亡 が 予 想 さ れ ﹂ る な ど か ら 、 拘 禁 目 的 を 達 成 す る こ と が で き な い こ と は 明 ら か で あ る か ら 、﹁ 喫 煙 禁 止 と い う 程 度 の 自 由 の 制 限 は 、 必 要 且 つ 合 理 的 な も の で あ る ﹂ と 判 示 し
(か 権 な し 言 明 は て い つ に 性 利 の 上 法 憲 の ﹂ 由 自 の 煙 喫 、﹁
47)っ た
(。
48)⑶ ﹁
大 麻 摂 取 の 自 由 ﹂
一 九 五 六 年 の 最 大 判 昭 和 三 一 ・ 六 ・ 一 三
(の で は 、 上 告 理 由 の
件憲 法 一 三 条 違 反 )
事い告事法違反覚せ剤(
取締法違反被薬 49)主 張 (
﹁覚せい剤は麻薬等と異りその用法に意を用ふる時は何等の害はない﹂のでその使用の処罰は憲法一三条の﹁一般国民の自由及び幸福追求に対する権利﹂を侵害するとの主張
) に 対 し 、 旧 薬 事 法 四 一 条 七 号 ・ 四 四 条 七 号 ・ 五 六 条 は ﹁ 元 来 医 薬 品 で あ っ
て も そ れ が 不 適 当 に 使 用 さ れ る と き は 人 の 生 命 身 体 等 に 危 害 を 生 ず る 種 類 の も の が あ り 、 そ し て 厚 生 大 臣 に お い て か よ う な 種 類 の も の と し て 指 定 し た 医 薬 品 を 一 般 的 に 自 由 に 販 売 授 与 な ど を さ せ る と き は 不 適 当 に 使 用 せ ら れ る 虞 が あ る か
ら 、 か よ う な 指 定 医 薬 品 の 不 適 当 使 用 に よ り 不 特 定 多 数 人 の 生 命 ・ 身 体 等 が 危 害 を こ う む る こ と を 防 止 し よ う と す る 公
(九六四)
憲法上の自己決定権と最高裁判所一五同志社法学 六一巻三号
共 の 保 健 衛 生 上 の 目 的 に で て ﹂ お り 、 右 諸 規 定 は ﹁ 本 来 憲 法 一 三 条 の 本 旨 に 従 い 公 共 の 福 祉 の た め に 必 要 な も の で あ る か ら 、指 定 医 薬 品 を 販 売 授 与 す る 等 の 自 由 を 制 約 す る こ と に な っ て も 憲 法 一 三 条 に 違 反 す る と は い え な い ﹂ と 判 示 し た 。
一 九 八 五 年 の 最 一 小 決 昭 和 六 〇 ・ 九 ・ 一 〇
(追高の煙喫﹁も所判裁最由①
( 張 主 の 反 違 条 三
自がび
基福幸ち即、権人的本る憲す障保の条三一第法一 よ 反 お 反 違 条 四 一 、 違 条
違反告
被告税法締関、反違法件取麻事理 ) 法 六 三 ・ 条 一 三 憲 は の で 由 ( 上 、
大 50)求権の一つに含まれることを承認している﹂が、﹁大麻の摂取がタバコの喫煙と同じように幸福追求権の一内容をなすものであること
は明白である﹂、②﹁大麻は有害性の低いものであり、これの摂取は公共の福祉に反しないものであるから、幸福追求権の一つとして
保障されるべきであり、従って大麻取締法によって大麻の摂取やこれに関連する行為を規制することは憲法第一三条に違反する﹂との
主張
) に 対 し 、﹁ 憲 法 一 三 条 、 一 四 条 、 三 一 条 、 三 六 条 違 反 を い う が 、 大 麻 が 所 論 の い う よ う に 有 害 性 が な い と か 有 害
性 が 極 め て 低 い も の で あ る と は 認 め ら れ な い と し た 原 判 断 は 相 当 で あ る か ら 、 所 論 は 前 提 を 欠 ﹂ く と し て 上 告 を 棄 却 し た
(。
51)⑷ ﹁
自 己 消 費 目 的 の 酒 類 製 造 の 自 由 ﹂
一 九 八 九 年 の 最 一 小 判 平 成 元 ・ 一 二 ・ 一 四
(張本
違 憲 の 主 張 (
最で
高裁判決は同主の 由
告( 告 上 、 は )
件事理
被反違法税酒 52)を﹁自己消費を目的とする酒類製造は、販売を目的とする酒類製造とは異なり、これを放任しても酒税収入が減少する虞はないから、
酒税法七条一項、五四条一項は販売を目的とする酒類製造のみを処罰の対象とするものと解すべきであり、自己消費を目的とする酒類
製造を酒税法の右各規定により処罰するのは、法益侵害の危険のない行為を処罰し、個人の酒造りの自由を合理的な理由がなく制限す
るものであるから、憲法三一条、一三条に違反する﹂との主張としてまとめている
) に 対 し 、﹁ 酒 税 法 の 右 各 規 定 は 、 自 己 消 費
を 目 的 と す る 酒 類 製 造 で あ っ て も 、 こ れ を 放 任 す る と き は 酒 税 収 入 の 減 少 な ど 酒 税 の 徴 収 確 保 に 支 障 を 生 じ る 事 態 が 予
(九六五)
憲法上の自己決定権と最高裁判所一六同志社法学 六一巻三号
想 さ れ る と こ ろ か ら 、 国 の 重 要 な 財 政 収 入 で あ る 酒 税 の 徴 収 を 確 保 す る た め 、 製 造 目 的 の い か ん を 問 わ ず 、 酒 類 製 造 を
一 律 に 免 許 の 対 象 と し た 上 、 免 許 を 受 け な い で 酒 類 を 製 造 し た 者 を 処 罰 す る こ と と し た も の で あ り ﹂(
最二小判昭和三〇・七・二九刑集九巻九号一九七二頁参照
)、 ﹁ こ れ に よ り 自 己 消 費 目 的 の 酒 類 製 造 の 自 由 が 制 約 さ れ る と し て も 、 そ の よ う な 規
制 が 立 法 府 の 裁 量 権 を 逸 脱 し 、 著 し く 不 合 理 で あ る こ と が 明 白 で あ る と は い え ず 、 憲 法 三 一 条 、 一 三 条 に 違 反 す る も の で な い こ と は 、 当 裁 判 所 の 判 例 ﹂(
最大判昭和六〇・三・二七民集三九巻二号二四七頁。なお、最一小判三五・二・一一集刑一三二号二一九頁参照
) の 趣 旨 に 徴 し 明 ら か で あ る と し て 、 上 告 を 棄 却 し た 。 自 己 消 費 目 的 の 酒 類 製 造 の 自 由 は 憲 法 一 三 条 に よ り 保 障 さ れ る と の 原 告 側 の 主 張 に 対 し 、 第 一 審 判 決 お よ び 控 訴 審 判 決 は 同 自 由 も 憲 法 二 九 条 の 財 産 権 ・ 経 済 的 自 由 の
問 題 と し て と ら え た 上 で 判 決 を 下 し た が 、 本 最 高 裁 判 決 は 前 記 の よ う に ﹁ 自 己 消 費 目 的 の 酒 類 製 造 の 自 由 ﹂ の 憲 法 上 の 位 置 づ け に つ い て は 明 言 せ ず
(法小
七 ・ 一 一 ・ 二 二 (
売和
商業調整特別措置四 昭 判 判 た 、 本 件 控 訴 審 決 、 が 依 拠 し た 最 大 ま
53)違反被告事件
) で は な く 、 最 大 判 昭 和 六 〇 ・ 三 ・ 二 七
(所得税決定処分取消請求事件︹サラリーマン税金訴訟︺)に 依 拠 し て 判 決 を 下 し た 。 憲 法 一 三 条 の 補 充 的 適 用 説 の 立 場 か ら は 本 件 ︿ ど ぶ ろ く つ く り の 自 由 ﹀ も 憲 法 二 九 条 の 財 産 権 保 障 の 一 内
容 と と ら え る こ と で 足 り る と 解 せ ら れ る
(な お の あ り 方 に つ い て は の 検 審 討 の 余 地 が な い で は な い 査
(の 性 連 関 と 費 段 酒 税 徴 収 確 保 目 的 と 自 己 消 目 が 的 で の 酒 類 製 造 禁 止 と い う 手 、
54)。
55)⑸ ﹁
バ イ ク に 乗 る 自 由 ﹂
一 九 九 一 年 の 最 三 小 判 平 成 三 ・ 九 ・ 三
(バ
、
禁止事件︺) は バ
校イ ク 三 な い 原 則 (
則ク件イ害賠償請求事︹(
私立鎌形学園バ損 56)イク免許をとらない、乗らない、買わない
) を 定 め た 私 立 高 等 学 校 校 則 に 違 反 し た こ と を 理 由 の 一 つ と し て さ れ た 自 主 退 学
勧 告 に つ き 同 校 則 は 憲 法 一 三 条 等 に 違 反 す る と し て 争 わ れ た 事 件 に お い て 、 最 大 判 昭 和 四 八 ・ 一 二 ・ 一 二 (
労働契約関(九六六)
憲法上の自己決定権と最高裁判所一七同志社法学 六一巻三号 係存在確認請求事件︹三菱樹脂事件︺
) を 引 用 し 、﹁ そ の 趣 旨 に 徴 す れ ば ﹂ 私 立 学 校 の 本 件 校 則 お よ び 本 件 自 主 退 学 勧 告 が ﹁ 直 接 憲 法 の 右 基 本 権 保 障 規 定 に 違 反 す る か ど う か を 論 ず る 余 地 は な い ﹂ と 述 べ 、﹁ 原 審 の 確 定 し た 事 実 関 係 の 下 に お い て
は 、 本 件 校 則 が 社 会 通 念 上 不 合 理 で あ る と は い え な い と し た 原 審 の 判 断 は 、 正 当 と し て 是 認 す る こ と が で き る ﹂ と し て 、 上 告 を 棄 却 し た 。
下 級 審 裁 判 例 と し て 、 高 松 高 判 平 成 二 ・ 二 ・ 一 九
(と る て し と つ 一 の 由 自 け 何 お に 活 生 私 の 民 国 る 、 人 障 に い な れ さ 止 禁 限 制 り も だ み を 得 取 許 免 付 原 す 保 条 三 一 法 憲 ﹁ が
高請県︹件事求分等消取大処学停期立校方則、 は )
︺件事校商止禁クイバ(
業無 57)い う べ き で あ る ﹂ と 述 べ た が 、﹁ 高 等 学 校 程 度 の 教 育 を 受 け る 過 程 に あ る 生 徒 に 対 す る 懲 戒 処 分 の 一 環 と し て 、 生 徒 の 原 付 免 許 取 得 の 自 由 が 制 限 禁 止 さ れ て も 、 そ の 自 由 の 制 約 と 学 校 の 設 置 目 的 と の 間 に 、 合 理 的 な 関 連 性 が あ る と 認 め ら
れ る 限 り 、 そ の 制 約 は 憲 法 一 三 条 に 違 反 す る も の で な い と 解 す べ き で あ る 。 け だ し 、 高 等 学 校 に お け る 生 徒 の 懲 戒 処 分 は 、 生 徒 の 教 育 に つ い て 直 接 に 権 限 を も ち 責 任 を 負 う 校 長 や 教 員 が 、 学 校 教 育 の 一 環 と し て 行 う の で あ り 、 処 分 の 適 切
な 結 果 を 期 待 す る た め に は 、 学 校 内 の 事 情 は も と よ り 、 生 徒 の 家 庭 環 境 を 含 む 学 校 外 の 教 育 事 情 に つ い て も 、 専 門 的 な 知 識 と 経 験 を 有 す る 処 分 権 者 の 広 範 な 裁 量 に 委 ね る の が 相 当 で あ る と 認 め ら れ る か ら で あ る ﹂ と 述 べ 、控 訴 を 棄 却 し た 。
⑹ ﹁
髪 型 の 自 由 ﹂
一 九 九 六 年 の 最 一 小 判 平 成 八 ・ 二 ・ 二 二
(子 野 ) は 、 公 立 小 中
事学 校 入 学 予 定 の
件加認参校規則違法確等(
請求事件・同学 58)ど も と 親 が 同 中 学 校 生 徒 心 得 の ﹁︹ 男 子 の ︺ 頭 髪 ・ 丸 刈 り と す る ﹂ と の 定 め は 憲 法 一 三 条 に 違 反 す る 等 と 主 張 し て 争 っ た 事 件 に お い て 、 本 件 校 則 に 違 反 し た 場 合 の 処 分 等 の 定 め は 置 か れ て お ら ず ﹁ こ れ ら の 定 め は 、 生 徒 の 守 る べ き 一 般 的
な 心 得 を 示 す に と ど ま り 、 そ れ 以 上 に 、 個 々 の 生 徒 に 対 す る 具 体 的 な 権 利 義 務 を 形 成 す る な ど の 法 的 効 果 を 生 ず る も の
(九六七)
憲法上の自己決定権と最高裁判所一八同志社法学 六一巻三号
で は な い と し た 原 審 の 判 断 ﹂、 ﹁ 右 の ﹃ 中 学 校 生 徒 心 得 ﹄ に こ れ ら の 定 め を 置 く 行 為 は 、 抗 告 訴 訟 の 対 象 と な る 処 分 に 当
た ら な い も の と い う べ き で あ る か ら 、 本 件 訴 え を 不 適 法 と し た 原 審 の 判 断 ﹂ は 正 当 と し 、 本 件 校 則 の 行 政 処 分 性 を 否 定 し た 。
一 九 九 六 年 の 最 一 小 判 平 成 八 ・ 七 ・ 一 八
(六 ー を と こ る け か を マ パ 止 し 限 制 を 得 取 の 許 免 禁 す 運 、 二 、 条 二 二 、 条 一 二 条 る 三 一 法 憲 が 則 校 の 旨 転 車 動 自 通 普 の 部
請高徳修︹件事求マ等定校業卒校学等認退パ私 子 女 校 高 徳 修 立 、
ーは )
︺訟訴学(
高 59)条 に 違 反 す る と の 主 張 に 対 し 、﹁ 憲 法 上 の い わ ゆ る 自 由 権 的 基 本 権 の 保 障 規 定 は 、 国 又 は 公 共 団 体 と 個 人 と の 関 係 を 規 律 す る も の で あ っ て 、 私 人 相 互 間 の 関 係 に つ い て 当 然 に 適 用 な い し 類 推 適 用 さ れ る も の で な い こ と は 、 当 裁 判 所 の 判 例
︹
最大判昭和四八・一二・一二(三菱樹脂事件)︺ の 示 す と こ ろ で あ る 。 し た が っ て 、 私 立 学 校 で あ る 修 徳 高 校 の 本 件 校 則 に つ い て 、 そ れ が 直 接 憲 法 の 右 基 本 権 保 障 規 定 に 違 反 す る か ど う か を 論 ず る 余 地 は な い ﹂ と 述 べ た 。
下 級 審 裁 判 例 と し て 、 熊 本 地 判 昭 和 六 〇 ・ 一 一 ・ 一 三
(中定子男本熊︹件事求請等認確効無規確
(
服、求請等認装効無部一則校 60)学生丸刈り校則事件︺
) は 、町 立 中 学 校 長 が 制 定 し た 男 子 生 徒 の 髪 形 に つ き ﹁ 丸 刈 、長 髪 禁 止 ﹂ と 定 め る 校 則 は 憲 法 一 四 条 、
二 一 条 、三 一 条 に 違 反 し な い と し た (
本件では、原告側は︿憲法一三条を根拠とする髪型の自由﹀侵害の主張は行っていなかった)。
名 古 屋 地 判 平 成 一 八 ・ 八 ・ 一 〇
(性び告が生物学上およ戸た籍上は男性であるが原っ事な政処分差止請求件
(
。受刑することに行 61)同一性障害のため心理的・社会的には女性として生活してきたことを理由に、拘置所長により刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法
律三七条に基づく男子受刑者としての調髪処分を受けることになれば耐え難い精神的苦痛を被り、そのような処分は憲法上保障されて
いる髪型を自由に決定する権利を侵害する違法な処分であるなどと主張してその事前の差止めを求めた事件
) は 、﹁ 髪 型 を 自 己 の 意 思 や 好 み に 従 っ て 選 択 し 、 決 定 す る こ と は 、 個 々 人 の 自 己 表 現 の 一 態 様 と し て 基 本 的 に 各 自 が 自 由 に 決 す る こ と が で き
る の で あ っ て 、 個 人 の 尊 厳 に 係 る 権 利 と し て 尊 重 さ れ る べ き も の と 解 さ れ る ﹂、 ﹁ 個 人 の 髪 型 を 各 自 が 自 由 に 決 し 得 る 権
(九六八)
憲法上の自己決定権と最高裁判所一九同志社法学 六一巻三号
利 ︹ = ﹁ 自 己 決 定 権 ﹂︺ は 、 個 人 の 美 的 感 覚 や 生 活 様 式 な ど と 結 び つ い て お り 、 憲 法 一 三 条 が 保 障 す る 個 人 の 尊 厳 に 係 る 権 利 の 内 容 を 成 す も の と し て 尊 重 さ れ る べ き も の で あ っ て 、 何 人 も 合 理 的 な 理 由 な く 一 定 の 髪 型 を 強 制 さ れ る こ と は
な い ﹂ と 述 べ た 後 、 刑 事 施 設 及 び 受 刑 者 の 処 遇 等 に 関 す る 法 律 (
平成一七年法律五〇号・平成一八年五月二四日施行) は 、 男 女 の 性 別 に 配 慮 し た 処 遇 上 の 差 異 を 設 け て い る が こ れ ら の 前 提 と な る 性 別 の 判 定 方 法 に つ い て は 何 ら の 規 定 も 置 い て
い な い か ら ﹁ 同 法 は 、 社 会 通 念 上 一 般 に 是 認 さ れ て い る 判 定 方 法 、 す な わ ち 戸 籍 の 記 載 や 受 刑 者 の 生 物 学 的 、 身 体 的 特 徴 に 基 づ い て 男 女 の 判 定 を 行 う こ と を 前 提 と し て お り 、 特 段 の 事 情 が 認 め ら れ な い 限 り 、 そ の 性 別 に 応 じ た 処 遇 を 行 う
も の と 定 め て い る と 解 す る の が 相 当 で あ る ﹂ と し 、 本 件 ﹁ 原 告 の 頭 髪 に つ い て 他 の 男 子 受 刑 者 と 異 な る 処 遇 を 行 う 必 要 が な い と 判 断 し 、 調 髪 処 分 を 行 っ た 結 果 、 原 告 に 相 応 の 精 神 的 苦 痛 を 与 え る こ と に な る と し て も 、 こ れ を も っ て 、 直 ち
に 名 古 屋 拘 置 所 長 の 裁 量 権 を 逸 脱 ・ 濫 用 す る 違 法 な 行 為 と 評 価 す る こ と は で き な い ﹂ と 判 示 し た 。
⑺ ﹁
服 装 の 自 由 ﹂
前 述 の 一 九 九 六 年 の 最 一 小 判 平 成 八 ・ 二 ・ 二 二
(す に 用 着 を 服 操 体 は た ま 服 制 て し 対 徒 生 て い お に 活 生 私 の 外 校 学 、 は
62)る こ と と し て い る 公 立 中 学 校 校 則 が 憲 法 一 三 条 に 違 反 す る 旨 の 主 張 に つ い て 、 同 校 則 の 行 政 処 分 性 を 否 定 し た 。
⑻ ﹁
魚 つ り の 自 由 ﹂
下 級 審 裁 判 例 と し て 、 大 津 地 判 平 成 一 七 ・ 二 ・ 七
(ャ例
( 条 八 一 )
号二五条来年四一成平( 例 条 る
外魚関
琵ジレるけおに湖琶﹁の=定規止禁の流放再す に ジ 化 正 適 の 用 利 ー ャ レ の
止義求務不流禁ク放再スバチ在オ存事確認等請(
件) は 、 滋 賀 県 琵 琶 湖
オ 63)ー活動として魚類を採捕する者は、外来魚(ブルーギル、オオクチバスその他規則で定める魚類をいう。)を採捕したときは、これを
(九六九)
憲法上の自己決定権と最高裁判所二〇同志社法学 六一巻三号
琵琶湖に放流してはならない。﹂。罰則なし
) が 憲 法 一 三 条 ・ 一 九 条 ・ 二 〇 条 に 違 反 す る と 主 張 さ れ た 事 件 に お い て 、﹁ 魚 釣
り を 楽 し む こ と が こ れ ︹
憲法一三条の基本的人権︺ に 含 ま れ る と 解 す る 余 地 が あ る と し て も 、 そ れ 以 上 に 、 特 定 の 公 共 用 物 に お い て 特 定 の 魚 類 を 採 捕 し て 放 流 す る と い う こ と ま で を も 含 む も の で は な い ﹂ と し 、 大 阪 高 判 平 成 一 七 ・ 一 一 ・ 二
四
(が 使 法 は 又 利 権 の 定 特 が 用 の 上 物 用 共 公 の 人 定 特 、 は ) 律 の 使 を 情 事 の 段 特 き べ る め 認 と 利 こ る あ で の も く づ 基 に 益 用 由 公 湖 自 ( 物 用 共 公 な う よ の 琶 自 琵 が 人 私 般 一 、 に 般 一 然 物 も 享 る ゆ わ い ( 益 利 る す 受 て ) っ よ に と こ る す 用 使 を ﹁
64)な い 限 り 、 公 共 用 物 が 一 般 私 人 の 使 用 に 供 さ れ て い る こ と に よ る 反 射 的 利 益 に す ぎ ず 、 当 該 私 人 が 公 法 上 の 権 利 と し て 当 該 公 共 用 物 を 使 用 す る 権 利 な い し 法 律 上 の 利 益 を 有 す る も の で は な い ﹂、 ﹁ 憲 法 一 三 条 等 に よ る 保 障 は 、 特 定 の 公 共 用
物 に お い て 採 捕 し た 特 定 の 魚 類 を 再 放 流 す る こ と に ま で は 及 ば な い ﹂ と 述 べ 、﹁ 本 件 規 定 は 、 特 定 の 個 人 の 具 体 的 な 権 利 な い し 法 律 上 の 利 益 に 影 響 を 及 ぼ す も の で は な い か ら 、 控 訴 人 に は 、 本 件 規 定 に 基 づ く 禁 止 義 務 の な い こ と の 確 認 を
求 め る 法 律 上 の 利 益 を 肯 定 す る こ と は で き な い ﹂ と し た 。
(
( 。照参 ﹂と最裁判所部阿権照哉教授利ーの寿シァヴイラプの上法憲﹁勲喜高記成念以頁一三)年七〇〇二、堂文下﹄(に法現代社会﹃おる国家とけ 一る権﹀のあつでる憲法と上す憲拠根を条三一法で権人いし新︿プの利ラ判竹、はていつに向動の例判所中裁権高ヴァシーのイ利関すにる最 て察を通し憲﹂の法研究三四考察例判
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考的判の権定決己自﹁号男批二(、〇じ同と権定決己自の上法憲くお七な二年)二〇頁下参照以。 四号三巻九学誌雑法戸神二(頁〇〇〇年)九九以下、奥村文討﹂検決つと己定権﹄という憲上の権利に法い例理整ての説学・判のそ)一( 己松茂記﹁自い決定権につ下、井以頁五一一)年七八九一(号三(て完二年自﹁﹃・典上井、下以頁七一七)之五一九阪大法学)﹂七号(一九九 九論社、一年七五)一九以九評人本日)﹄(二(権的本基Ⅲ究研例判頁憲下一憲・二巻〇三学法智上﹂条三法、るけおに程過法司﹁介友谷粕法 1・判先たし析分ていつに向動の例裁研るす関に権定決己自の上法憲行究系権体﹃念記暦還授教吉遼倉有﹂格と人と法憲﹁治幸藤佐、はてし) 2九三三巻一・二号(一九法九年)五九頁以下参照学大) ﹄竹中勲﹁﹃新しい人権の産承認の要件論と学説﹂。(九七〇)
憲法上の自己決定権と最高裁判所二一同志社法学 六一巻三号 (
( 頁。照参 3中号ーチ﹂産大法学三三巻三・四(プ二〇〇〇年)一七一竹、おなロア勲法﹁社会権実現立法・行政・司に重おける自由権・自己決定) 尊権
( 統﹂説益利的求希合己大自と定決己自﹁勲中産権法年学。照参下頁一一)以八九一(号一巻二九三 五法学雑誌三(巻一号一演九︺﹄講悼追授教洋春谷種﹂︹へ想思容八八二年、竹、下以頁三四)年八〇〇)閣斐現七頁、同﹃代国家と人権﹄(有 ﹃から権近代寛﹄求三一下以頁七四)年五六九(な号追巻五一、下以頁九七。お年い福幸﹁﹃治幸藤佐、はてつ、にけづ置位の学法憲谷種) 4種﹄)﹂完・三(
―
)一(利権の求谷追福幸び及由、自命生﹁﹃経洋春法) 学五五六九一号一巻五、一下以頁五)会年四六九一(号三巻四一誌雑( 5四注掲後。頁〇八三二号一一巻集) 刑二二・一一・五二和昭判大最(( 43)参照。
( 章いてれさ挙列に三も第法憲﹄利権びるはの)で。るてべ述とい者あは線傍。﹂(る筆 である。わがお国にいていものっなは外のるめ定てよにかるすと少くも限当及由自るす障が法憲のこ﹃り保い判な裁判所裁がによって定め 裁何局結はかるあで他が﹄利持権のるす所判のがもが加追に項条法憲と裁れそ、かるめ定で判保民修条いう正条項第九がある。しかし﹃人 実挙した事法を以って、人を列本利権の定特に中憲の﹃はに法憲民を保ると﹄いならなはてし解とのもす持視軽は又認否米利権の他るす国 6。利自るす障保が法憲のこ﹃は権及び及由自的本基、﹁は見意山栗由びい外なたまをう言はのるうし存に以権)条二一び及条一一法憲﹄(利)
( 7最時六九頁、判例報一一六二号六頁。九号大・判昭三三・九一) 〇民集一二巻一三
( なるあで題問の件本。るいてを行分部一の利権の求追福幸はた旅しの。﹂(自るいてべ述と)者筆は線傍。るそのごときも由のなのであ一 在ぎりなく存いしてる。そ数かいは由自や利権るらてし有享ていおれけはあと由自な的般一はられそ。るまでさに名称が附くれいないだて れといないて保さ障がられうい我わけではない。た々が日常生活にそまもてので、網羅的で、ない。従っはそ自のずせ存由がや利権に外以 いそうではなと。憲法の人権とういとかいなは障保らかいなが由自れの重たっ拾をけだのもるあの性要た保規らめ認に的史歴はトスリ障定 8てるろしに項一は条二二法憲にす項要、﹁は見意足補坂飯下・中田二にいのつにれこばらかし。いなはでもしるいてし障保を由自の行旅ろ)
( 9最タ報五七七号一八頁、判例イ例ムズ二四二号一一九頁。時判大刑判昭和四四・一二・二四集) 二三巻一二号一六二五頁、
10の注掲前﹂・所判裁高最と利権ー) シァヴイラプの上法憲﹁中竹(
( 1)四二頁注三四。
( 11最タ一一九四号三頁、判例イ時ムズ六〇五号四二頁。報例大民判昭和六一・六・一一集) 四〇巻四号八七二頁、判
七)中竹、下以頁四九三年﹁四九九一、閣斐有﹄(Ⅱ勲自法五三)年六九九一(号八究己研法公﹂義意の権定決学 12四日目の)年七八九、一社論評本﹄(、佐定決己自と事私﹃生卓田山次藤六九〇頁) 部信喜﹃憲)年五九、一幸院書林青︺﹄(版三第︹法憲﹃治、芦
八頁参照。- 三
(九七一)