• 検索結果がありません。

憲法裁判権の理論

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "憲法裁判権の理論"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

憲法裁判権の理論

著者

宇都宮 純一

41

発行年

1998

(2)

い ち

学 位 の 種 類

学 位 記 番 号

学位授与年月 日

学位授与の要件

士(法

学)

第41号

平 成10年10月21日

学 位 規 則 第4条

第2項

該 当

学 位 論 文 題 目

論 文 審 査 委 員

憲法裁判権 の理論

(主査)

田 寛

助教授

論 文 内 容 の 要

宇 都 宮 純 一 氏 の 論 文 「憲 法 裁 判 権 の 理 論 」 は、 ドイ ッ に お け る合 憲 性 審 査 権 の 法 理 の 理 論 的 展 開 を追 跡 し、 ドイ ッ型 合 憲 性 審 査 制 の 憲 法 理 論 的 基 礎 づ け作 業 を ドイ ッ憲 法 学 史 の 歩 み の 中 に 位 置 づ け る こ と に よ って 、 ドイ ッ に お け る合 憲 性 審 査 権 の法 的 性 格 の 解 明 と ヴ ァ イ マ ル 期 ま で の ド イ ッ憲 法 学 史 の 総 括 と を 同 時 に行 お う とす る極 め て 野 心 的 な 研 究 で あ る。 本 論 文 の構 成 ・内 容 は次 の通 りで あ る。 「序 章 ・立 憲 国 家 の 理 念 と憲 法 」 で は、K・ シ ュ テ ル ンの所 説 を 手 掛 り と しな が ら、 第 二 次 世 界 大 戦 後 の大 陸 諸 国 に よ っ て 採 用 さ れ た合 憲 性 審 査 制 は、 北 ア メ リカ に成 立 した 合 憲 性 審 査 制 が ア メ リカ の 伝 統 的 法 思 想 を基 盤 と して い た よ う に、 そ れ ら大 陸 諸 国 に お い て 積 み重 ね られ た 固 有 の 法 伝 統 の上 に 基 礎 づ け られ て い る と い う こ とが 指 摘 さ れ る。 「第 一 章 ・序 論 」 で は、 合 憲 性 審 査 制 を 支 え る基 礎 概 念 と して一 般 に知 られ て い る、 司 法 権 の 観 念 、 憲 法 の 最 高 法 規 性 の 観 念 、 合 憲 性 審 査 機 関 が 服 す る権 力 分 立 の観 念 が 順 次 取 り上 げ られ る。 ドイ ッ に お け る合 憲 性 審 査 権 の 理 論 的基 礎 づ け に 当 って は、 こ れ らの 観 念 を 時 代 の要 請 や 歴 史 の 制 約 を 受 け た可 変 的 な もの と捉 え た 上 で 、 ドイ ツ の 歴 史 的 特 殊 事 情 に配 慮 す る必 要 が あ る こ と が 示 され る。 一33一

(3)

以 上 の 諸 前 提 を承 け て 、 ドイ ツ に お け る合 憲 性 審 査 権 の法 理 の 理 論 的 展 開 の 解 明作 業 が 行 わ れ る。 ま ず 、 「第 二 章 ・ ドイ ッ に お け る合 憲 性 審 査 権 の 法 理 の 理 論 的展 開(そ の一)」 で 行 わ れ る の は、 ヴ ァ イ マ ル期 に 至 る まで の 、 と り わ け一 九 世 紀 か ら二 〇 世 紀 初 頭 にか けて の ドイ ッの 国 法学 者 一 す な わ ち、 ッ ァハ リェ、 シ ュ ル ッ ェ、 モ ー ル、 シ ュ タ ー ル 、 ゲ ル バ ー らの主 要 な 国 法 学 者 一 が 取 り組 ん だ 、 君 主 に よ って発 せ られ た 命 令 の憲 法 適 合 性 の 問 題 等 につ いて の 検 討 で あ る。 法 治 国 家 思 想 の 生 成 ・発 展 、 裁 判 所 の 独 立 の 原 則 の確 立 に も拘 わ らず 、 この 時 期 の議 論 に お い て は、 な お 法 律 の 合 憲 性 審 査 権 を 一 般 的 に 根 拠 づ け る に は至 ら な か っ た こ とが 示 され る。 次 に、 「第 三 章 ・ ドイ ッ に お け る 合 憲 性 審 査 権 の 法 理 の 理 論 的 展 開(そ の二)」 で 行 わ れ る の は、 裁 判 所 の 合 憲 性 審 査 権 を め ぐ る論 議 が活 況 を 呈 した ヴ ァイ マ ル 期 ドイ ッ に お け る合 憲 性 審 査 権 の 法 理 の 追 求 で あ る。 具 体 的 に は、 特 に ハ ン ス ・ケ ル ゼ ン とル ドル フ ・ス メ ン トの二 人 の 傑 出 した 国 法 学 者 が 取 り上 げ られ 、 そ れ ぞ れ の法 理 論 の 根 幹 に ま で 踏 み こん で 検 討 を 加 え な が ら、 合 憲 性 審 査 権 の 法 理 に つ い て の二 人 の 所 説 が 精 密 に解 明 さ れ る。 ケ ルゼ ンに関 して は、一 九 〇 二 年 の オー ス ト リア憲 法 の 制 定 過 程 に お け る彼 の 役 割 、 と りわ け、 そ こ で の 彼 の 憲 法 裁 判 所 構 想 が 重 要 な 議 論 素 材 と して選 び 出 さ れ 、 憲 法 裁 判 所 を め ぐ る ケ ル ゼ ンに お け る理 論 と実 践 と の 相 関 関 係 が 抽 出 さ れ る。 この 作 業 か ら、 憲 法 裁 判 所 の理 論 に対 す る ケ ル ゼ ンの学 説 の 寄 与 に つ い て 、 再 評 価 一 特 に今 日重 要 な 問 題 に な って い る憲 法 裁 判 権 と民 主 制 原 理 と の 緊 張 関 係 を 既 に ヶ ル ゼ ン が透 徹 し た 認 識 の も と に捉 え て い た こ と と の 関 連 に お い て 再 評 価 一 す る こ と が必 要 で あ る との 結 論 が 下 され る。 ス メ ン トに 関 して は、 彼 の い わ ゆ る統 合 理 論 と の 関 連 に お い て、 憲 法 裁 判 権 の 問 題 に対 す る彼 の 立 場 の 解 明 が試 み ら れ る。 ス メ ン トは、 この 問 題 に統 合 理 論 を適 用 して の 掘 り下 げ た 検 討 を加 え て い な い た め、 こ の作 業 は極 め て 困難 で あ る が 、 「形 式 濫 用 」(裁 判 と して の 司 法 が 他 の 機 能 領 域 に介 入 す る こ と)の 概 念 、 お よ び、 「連 邦 忠 誠 」(「調 和 した 統 合 の 状 態 」 を 招 来 す べ き 法 的 な 義 務)の 概 念 に着 目す る こ と に よ っ て、 ス メ ン トの 憲 法 理 論 に お け る憲 法 裁 判 権 に対 す る 評 価 が 消 極 的 な も の か ら積 極 的 な もの へ と変 容 して い った過 程 が 跡 づ け られ る。

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

本 論 文 は、 ドイ ッ に お け る 合 憲 性 審 査 権 の 法 理 を そ の 理 論 的 展 開 に お い て トー タル に 把 握 し よ う と した我 が 国 に お け る数 少 な い 研 究 で あ る。 これ ま で の 我 が 国 の 合 憲 性 審 査 制 論 が 主 と して ア メ リカで の 議 論 を 参 考 に 行 わ れ て い た こ と、 ドイ ツで の議 論 が 参 照 さ れ る場 合 に も、 も っ ぱ ら合 憲 性 審 査 制 の 制 度 論 の み が 取 り上 げ られ 、 そ れ を こ え て 合 憲 性 審 査 権 の 法 理 そ れ 自体 の 理 論 的 考 究 が 行 わ れ る こ と は殆 ど な か っ た こ と、 等 だ 一34一

(4)

けか ら して も本 論 文 が 従 来 の議 論 の 欠 落 を補 う意 義 は大 き い 。 そ の 具 体 的 論 述 に お い て 、 一 九 世 紀 以 降 の主 要 な ドイ ツ公 法 学 者 に お け る憲 法 裁 判 制 度 の 導 入 に対 す る態 度 を 、 そ れ ぞ れ の学 問 の 基 礎(方 法 論 、 国 家 論 、 法 と政 治 の 関 係 に っ い て の理 解 等)の 深 み ま で 遡 って 、 丹 念 に 追 究 し た こ と、 と り わ け、 ケ ル ゼ ン と ス メ ン トと い う、 学 問 の 全 体 像 を っ か む こ と そ れ 自体 が 極 あ て 困 難 な対 象 に正 面 か ら立 ち 向 か い、 そ の合 憲 性 審 査 権 理 解 を 、 法 実 践 や 公 法 理 論 の核 心 に 結 び つ け な が ら、 照 射 し、 そ の歴 史 的 お よ び今 日的 意 義 を 究 明 した こ と は、 この 分 野 に お け る こ れ ま で の 研 究 水 準 を 大 き く超 え 出 て、 著 者 の 力 量 と学 問 上 の 到 達 点 の 高 さ と を 明 瞭 に 示 す もの で あ る と評 価 す る こ とが で き る。 しか も、 本 論 文 は、 合 憲 性 審 査 権 の法 理 の研 究 と い う視 角 か ら一 九 世 紀 半 ば 以 降 の ドイ ッ 憲 法 学 史 を詳 細 に通 観 した 学 説 史 研 究 に もな っ て お り、 ドイ ツ に お け る憲 法 史 と憲 法 学 史 の 有 機 的 な 内 面 的 索 連 を 如 実 に 伝 え る研 究 た り え て い る こ とを 、 附 け加 え て お か な け れ ば な らな い。 尤 も、 こ の よ う な本 論 文 に も問 題 点 が な い わ けで は な い。 例 え ば 、 本 論 文 は、 論 文 の 体 裁 と し て 、 自 らの 問 題 意 識 を 冒 頭 に 明 確 な形 で 提 示 し、 末 尾 に お い て 、 提 示 さ れ た 問 題 の ど こ ま で が 解 決 され 何 が 課 題 と して 残 さ れ た か を 整 理 す る と い う ス タ イ ル を と って い な い た め、 こ れ らの 点 に つ い て は、 論 文 全 体 を 読 み通 す の で な け れ ば了 解 さ れ が た い とい う難 点 を も って い る が 、 大 き な 疵 に な る もの で は な い。 ま た 、 叙 述 に平 明 を欠 く部 分 が 少 な くな い と の批 判 もあ り え よ うが 、 そ れ は主 と して 、 対 象 と して い る ドイ ッの 公 法 学 説(と りわ け ス メ ン トの そ れ)の 内 容 自体 が 平 明 を欠 く こ と に よ る点 が 大 き く、 ドイ ッ公 法 学 を研 究 す る者 に と って は、 そ の趣 旨 を 理 解 す る こ と は必 ず し も困 難 で は な い。 総 じて 、 本 論 文 は、 日独 に お け る最 近 の研 究 の成 果 を 充 分 に 参 酌 し、 ドイ ツ の 憲 法 学 ・国 法 学 研 究 に っ い て の 厚 い 蓄 積 の 程 を 窺 わ せ る本 格 的 な研 究 で あ り、 今 後 、 合 憲 性 審 査 権 の 法 理 の 考 察 を 行 う に 当 って は無 視 しえ な い 基 本 文 献 と な るで あ ろ う こ と が 確 信 さ れ る。 以 上 に よ って 、 本 論 文 提 出者 は 、博 士(法 学)の 学 位 を 授 与 さ れ る に 値 す る もの と認 め る。 一35一

参照

関連したドキュメント

て拘束されるという事態を否定的に評価する概念として用いられる︒従来︑現在の我々による支配を否定して過去の

判決において、Diplock裁判官は、18世紀の判例を仔細に検討した後、1926年の

刑事違法性が付随的に発生・形成され,それにより形式的 (合) 理性が貫 徹されて,実質的 (合)

 

距離の確保 入場時の消毒 マスク着用 定期的換気 記載台の消毒. 投票日 10 月

(( .  entrenchment のであって、それ自体は質的な手段( )ではない。 カナダ憲法では憲法上の人権を といい、

高裁判決評釈として、毛塚勝利「偽装請負 ・ 違法派遣と受け入れ企業の雇用責任」

Josef Isensee, Grundrecht als A bwehrrecht und als staatliche Schutzpflicht, in: Isensee/ Kirchhof ( Hrsg... 六八五憲法における構成要件の理論(工藤) des