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栁原清孝 学位論文審査要旨

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Academic year: 2021

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平成21年 1月

栁原清孝 学位論文審査要旨

主 査 重 政 千 秋 副主査 久 留 一 郎 同 渡 邊 達 生

主論文

閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者における血清尿酸に対するnCPAPの慢性効果

(著者:柳原清孝、加藤雅彦、井川修、久留一郎)

平成20年 米子医学雑誌 59巻 165頁~173頁

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学 位 論 文 要 旨

閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者における血清尿酸に対するnCPAPの慢性効果

近年の大規模臨床試験の結果から、血清尿酸は心血管疾患発症の危険因子として認識さ れつつある。また、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)患者は、夜間の無呼吸による低酸素 ストレスと肥満によるインスリン抵抗性を呈しやすいため、高尿酸血症を発症しやすい病 態を備えている。そこで本研究は、OSA患者の一般的治療であるnCPAP(nasal continuous positive airway pressure)の尿酸代謝における慢性効果とインスリン抵抗性の関与につ いて検討した。

方 法

低酸素ストレスと高尿酸血症

2004年4月から2008年4月までに鳥取大学医学部附属病院においてOSA精査目的で終夜ポ リソムノグラフィー(PSG)検査を施行し、OSAと診断された146例(平均55±1歳、男性 / 女 性:107 / 39)を対象として、早朝安静空腹時の血液生化学検査をカルテより抽出した。

血清尿酸値が7.0 mg/dl以上の患者41例と未満の患者105例の2群に分類し、AHI (apnea hypopnea index;睡眠1時間あたりの無呼吸あるいは低呼吸の回数)、最低酸素飽和度、夜 間睡眠中の酸素飽和度が90%未満の低酸素ストレスに暴露されている時間および総睡眠時 間中の低酸素ストレス暴露時間の比率を2群間で比較検討した。

インスリン抵抗性と高尿酸血症

上記146例の対象からさらに中等症あるいは重症(AHI>20/時)と診断されたOSA患者40 例(平均52±3歳、男性 / 女性:33 / 7)について、平均4.0±0.6ヶ月間のnCPAP治療で、

その使用状況が一晩に4時間以上かつ週5日以上の患者群をコンプライアンス良好群(n=31)、

使用状況がそれ未満の患者群をコンプライアンス不良群(n=9)として2群に分類した。nCPAP 治療前後の早朝安静空腹時の血清尿酸、クレアチニン、血糖、インスリンと尿検査をカル テより抽出した。インスリン抵抗性の指標としてHOMA-IR(homeostasis model assessment insulin resistance)を算出した。

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3 結 果

低酸素ストレスと高尿酸血症

146例の対象患者において、高尿酸血症合併群と非合併群との間でAHIおよび夜間睡眠中 の最低酸素飽和度は有意差を認めなかったが、酸素飽和度が90%未満を示した時間は高尿酸 血症合併群で有意に長かった(60.8±16.5vs28.3±6.1分、p<0.05)。さらに総睡眠時間中 に酸素飽和度90%未満の低酸素に曝された時間の比率も高尿酸血症合併群で有意に高かっ た(14.2±3.6vs7.3±1.4%、p<0.05)。

インスリン抵抗性と高尿酸血症

コンプライアンス良好群において血清尿酸は有意に低下し(7.0±0.3vs6.4±0.3 mg/dl、

p=0.001)、尿酸排泄率は有意に増加した(4.6±0.5vs5.9±0.5%、p<0.05)。インスリン (12.2±2.1vs9.6±1.4U/ml、p<0.05)とHOMA-IR (2.7±0.5vs2.3±0.3、p<0.05)もまた コンプライアンス良好群においてのみ有意な低下を認めた。

考 察

低酸素ストレスと高尿酸血症

低酸素の条件下では、細胞レベルでは酸素供給不足によりATPの分解が亢進され、プリン 体の終末代謝産物である尿酸の産生が亢進する。OSA患者では夜間睡眠中に繰り返す無呼吸 のため低酸素血症に曝されやすく、高尿酸血症を発症しやすいことが想定される。今回の 検討では、夜間の低酸素への暴露時間がより長いOSA患者において高尿酸血症が合併しやす いことが示唆された。

インスリン抵抗性と高尿酸血症

OSA患者は高インスリン血症、糖尿病を合併する頻度が高いことが報告されている。生理 学的には血中インスリン濃度の増加は腎臓レベルでナトリウム再吸収を促進させる。血中 ナトリウムの増加は2つのトランスポーター(ナトリウムと有機酸のコトランスポーター、

尿酸トランスポーター:URAT1)を介して尿酸が再吸収される。そのため血中インスリン濃 度の増加は尿酸の尿中排泄を低下させ、高尿酸血症が発症しやすいことが予想される。今 回の検討ではnCPAP治療のコンプライアンス良好群にのみインスリン抵抗性の指標である HOMA-IRの改善が認められた。したがって、OSA患者に対する慢性的なnCPAP治療はインスリ ン抵抗性を改善し、尿中への尿酸排泄の亢進を介して血清尿酸値が低下したと考えられる。

参照

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