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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 塩 野 正 道      学 位 論 文 題 名

The characteristic evolution of the centric diatom .     the Thalasszoszra ケ ヵ 乞 ぬ group

    and the Azpeitia 7zodulifera group ,     in Neogene sediments

    from the northwest Pacific Ocean

     ( 中心型珪藻 , Thalassiosira trifulta group 及び Azpeitia nodulifera group にみられる北西太平洋における      新第三紀の進化特性)

学位論文内容の要旨

  珪 藻 は バ ル ブ(valve) と 呼 ば れ る珪 質 の 細 胞 壁を 有 す る 微 細藻 類 で あ り 、 その ′ ヾ ル ブ の対 称 性 に よ っ て 中 心 珪 藻 類 と 羽 状 珪 藻 類 の2個 の グ ル ー プ に 分 け ら れ る 。 本 研 究 で 対 象 と し た中 心 珪 藻 類 は 浮 遊 性 で あ り 、 海 水 や 汽 水 中 か ら 多 く 出 現 す る 。 珪質 の バ ル ブ は微 化 石 と し て 堆積 物 中 か ら 大 量 に 見 い だ さ れ る こ と か ら 、 様 々 な 応 用 的 な 研 究 に利 用 さ れ て きた 。 例 え ば 、 珪藻 の 進 化 を 利 用 し た 生 層 序 や 、 群 集 解 析 を 用 い た 古 海 洋 環 境 の 復元 な ど で あ る。 こ れ ら の 研 究成 果 は 、 古 海 洋 学 の 発 展 に 非 常 に 大 き な 影 響 を 与 え て い る 。 し かし な が ら 、 珪藻 は 極 め て 多 様化 し て い る た め に 、 群 集 を 利 用 し た 研 究 を 行 い や す ぃ 反 面 、 分 類が 非 常 に 難 しい と ぃ う 問 題 点も あ る 。 特 に 、 化 石 珪 藻 の 分 類 学 的 な 混 乱 が 応 用 的 な 研 究 の 発 展を 阻 害 し て いる 。 ま た 生 層 序学 は 生 物 進 化 を 基 本 に し て い な が ら 、 珪 藻 の 進 化 を 明 ら か に し た 研 究 例 は 少 な ぃ 。   本 研 究 は 、 異 な る 海 洋 水 塊 、 す な わ ち 寒 冷 水 塊 と 温 暖 水 塊 に 各 々 生 息す る 珪 藻 グ ルー プ の 後 期 中 新 世 以 後 の 進 化 を 比 較 す る こ と に よ J、 その 進 化 特 性 を明 ら か に す るこ と を 目 的 と する 。 ま た 、 珪 藻 グ ル ー プ の 進 化 お よ び 多 様 化 と 、 古 海 洋 学 的 な 研究 成 果 と を 比較 す る こ と に より 、 珪 藻 の 進 化 に 対 す る 気 候 変 動 の 影 響 を 考 察 す る 。 研 究 に 用 いた 試 料 は 北 西太 平 洋 と 日 本 海か ら 採 取 さ れ たDSDP Holes 579A、580、581、 お よ びODP Holes 797B、881Bで あ る 。 研 究 対 象とし たThalassiosira  trf ful to gr oupとAzpei tia  nodu/iferaゲoupは、それぞれ寒冷水塊と温暖 水 塊 の 代 表 的 な 珪 藻 種 群 で あ る 。 こ れ ら の 珪 藻 グ ル ー プ の 詳細 な 進 化 過 程を 明 ら か に す るた め に 主 と し て 電 子 顕 微鏡 下 で 微 細 構 造の 詳 細 な 記 載を 行 っ た 。 また 、F trifulta groupは 生 層序 学 的 に 重 要 な 種 を 含 む こ と か ら 、 こ の グ ル ー プ の 生 存 期 間 を 決定 す る た め に、 補 助 的 な 措 置と し て光学 顕微鏡 下での 計数分 析も 行った 。

  Thalassiosira trifultaゲoupを 観 察 し た 結 果 、 こ の 珪 藻 グ ル ー プ は特 徴 的 な2個の 微 細 器 官 で あ るtrifultate fultoportulaとoccluded areolaの 有無 に よ っ て3個 の サ ブ グ ル― プ に 区 分 で

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き ること が明らか になっ た。本 研究で はtrifultate fultoportulaを有 する種 群をFoestru[ii subgroup、occluded  ar edaを有する 種群をFbipora subgroup、 その2個 の微細 器官を 持たな い 種群をF frenguelliopsis subgroupとして 定義した 。生存 期間を 観察し た結果 、Ftrifu/ta groupは5.6 Maに 分 化 した 後 、4.8 Maま で に 特 徴的 な 微 細 器官 を 有 す る2個 のサブ グルー プ に 分 化 した こ と が 明ら か になっ た。この 初期の 多様化 の過程 で、生 存期間 が10‑ 20万年 程度 の 移行形 態が出現 した。 その後 、種の 個性化 が進む と同時 に、1.5 Maまでの間に徐々に分類群 の 数を増 やしてき た。F oestrupijは生 層序学的 に重要 な種で ありそ の分岐 年代は5.3 Maとさ れ てぃた が、fultopor tulaの特徴 に基づ く種の 定義の 結果、そ の分岐年代は2.4―2.2 Maであ ることが明らかになった。

  occluded areolaは本 研究に よって見 いださ れた微 細構造 であり 、この構造を有する6新種を 記載した。光学顕微鏡下では、occluded areolaはcentral fultoportulaに類似してぃるために、

これらの新種は複数のcentr al  fultoportulae゛を有する種として同定されてきた可能性がある。

未 発達なoccluded ar eolaを有 する分 類群を5.1―4.8 Maから記載したが、これらの分類群は変 異 が大き く、観察 した個 体数も 少なぃ ことか ら現在 までに3分類群 が新種 として記 載でき てぃ な ぃ 。 その 生 存 期 間が 非 常に短 い(10―20万年程 度)こ とから 、本研究 ではそ れらの 分類群 を 移行形 態として 定義し た。移 行形態 の電子 顕微鏡 下での 詳細な 記載によ り、5.1―4.8 Maの 間にoccluded areolaがcentr al   ar eaのfultoFxコrtulaに近接するar eolaeから進化したことを明 らかにした。trifultatef ultoportulaについても、未分化な状態の構造をFpr eaoestr upiiなど か ら見い だしたこ とから 、その 進化過 程を明 らかにした。未分化なtrifultate fultoportulaは 4.8 Maに 出 現し 、 完 全 なtrifultate fultoportulaは3.4−3.2 Maに 出現 した 。trifultate fultoportulaを 有 す る Foestrupiisubgrouli,i 3.2 Ma以 降 に 多 様 化 し た 。   Azpeitia noculiferaザoupを観察した結果、大型のcentral rimコpor tulaの細胞の外側への開 口 を 有 する2つの 分 類 群を 見いだ した。 これらの 分類群 の中で 、円形 の開ロ を有す る個体 をA ば ぬiliferaf.cyclopusとして同定したが、不定形の開口を有する分類群は未記載の可能性があ る ためにA nodulifera type1と して同 定した。 またAzpeitia noduliferaのrimoportulaに関す る3つの形 質、突 起の長径 、外側 への開 口の長 径、お よびknobの 長径に ついて 電子顕 微鏡下 で 測 定した 結果、こ の種の 鮮新世 の形態 は更新 世の形 態に比 べてよ り大きな変異を有することが 明 らかに なった。 これら の観察 の結果 、この 珪藻グ ループ は4.6―2.4 Maにかけ て、種・ 変種 レベルで多様化し、同じ時期にA. noduliferaの種内変異も増大していたことが明らかになった。

  上 述し た2大 珪 藻 グル ープ の進化 あるぃ は多様 化した 時期を比 較する と、5.6−4.7 Maおよ び2.4‑ 1.6 Maに好 寒冷種 群のThalassiosira trifu/拍groupのみが 進化あるぃは多様化してお り 、4.6−2.5 Maでは主として好温暖種群のAzpei tia no〔M/所agroupが進化あるぃは多様化し て ぃたこ とが明ら かであ る。古 海洋学 的な研 究成果 によれ ば、4.4ー2.7Maはその前後の時期 に 比べて 比較的温 暖であ る。こ のこと から、 上述の2大珪藻 グルー プは気 候条件の 良好な とき に進化あるぃは多様化したと考えられる。

  本 研 究 は 電 子 顕 微 鏡 下 で 微 細 器 官 の 詳細 な 記 載 を行 う こ と によ り 、 好 寒冷 種 群 で ある 冖1a艪Ssめsケ.a川ん/拍groupが、好温暖種群のA印e/C艪n〇du〃触ragroupよりも寒冷な時期に進 化 ・多様 化してい たこと を明ら かにし 、各々 の珪藻 グル― プにと って環境条件の良好な各々が 時 期 に 進 化 ・ 多 様 化 す る と ぃ う 珪 藻 グ ル ー プ の 進 化 特 性 を 明 ら か に し た 。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査    教 授    小 泉    格 副 査    教 授    岡 田 尚 武 副 査    助 教 授    鈴 木徳行

     学位論文題名

The characteristic evolution of the centric diatom ,     the ヱ 'halasszosira trifulta group     and the Azpe カ 励 nodulifera group ,     in Neogene sediments

    from the northwest Pacific Ocean

     ( 中 心 型 珪 藻 , Thalassiosira trifttlta group 及び Azpeitia nodulifera group に みら れる 北西 太平 洋に おける      新 第三 紀の 進化 特性 )

   本 論 文 は 寒 冷水 塊 と 温 暖 水塊 に各 々生 息す るThalassiosiraf ′ ぱuJ 亡a グル ープ と A ゆej ぬn 〇du ヱぬ Ja グ ルー プの500 万 年前 以降 の進 化特性を明らかにするために、北西 太平 洋と 日本 海の 深海 堆積物から検出した珪藻殻の微細構造を主として走査型電子顕微 鏡下 で観 察・ 記載 し、 その多様性と進化様式を解明した後に、進化を引き起こした要因 とし て気 候変 動と の関 連性 を検討 して いる 。ま た、 丁m ん|ぬグループに含まれる生層 序学 的に 重要 な示 準化 石種の生存期間を決定するために光学顕微鏡下で珪藻殻数の計数 分析を行っている。

   丁 fmJJ ぬ グ ル ー プ の 観 察 で は 、 本 研 究 に よ っ て 初 め て 見 い 出 し た 微 細 構 造 occuludedareola を 有 す る 6 新 種 を 記 載 ・ 公表 し て い る 。 occuludedareola と 既 知 の tmultatefultoportula という特徴的なニつの微細構造の有無によって、丁艚u |ぬグルー プを 三つ のサ プグ ルー プに 細分・ 定義 して いる ;す なわ ちtmultatefultoportula を有 する種群を丁〇es ぼ蝉)ロサブグループ、occludedare ○la を有する種群をア鰤〇ra サブグ ループ、何れの微細器官も持たない種群を丁加ngue ヱ比)ps おサブグループとしている。

  OCCludedare01a はCentr 甜 area のfultoportula に 近接 するareolae か ら5 . 1Ma 〜4 .8 Ma の 期間 に進 化し たこ とを 明らか にし てい る。 また 、未分化なtnfultatefultoportula は4 .8Ma に出現し、3 .4 〜3 .2Ma に完全な構造となり、trifultatefultoportula を有する 丁〇 es ぱ up 口 サプ グル ープ は3 . 2Ma 以 降に 多様 化し た進 化過 程を 明ら かに して いる。

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   生存期間 に基づきF trifulta グ ループは5.6 Ma に丁.frenguelliopsis サブグループに 分化 した 後、4.8 Ma まで に特徴的 な微細構 造を有す る2 個のサ プグループ に分化し たこ と、 こ の初 期 の 多様 化 の過 程 で 、生 存期間が 10 〜20 万年程 度の移行形 態が出現 したこ と、その 後に種の個 性化が進 行すると 同時に1.5 Ma ま での期間 に徐々に分類群を増加さ せたこと、などを明らかにしている。

  Azpeitia nodulifera グループの観察では、大型のcentarl rknoportula の細胞外側への 開口形態 によって2 つ の分類群 ―円形開口を有する A. noduliferaf .cyclopus サプグルー プと不定 形な開口を 有するA. noduliferatype1 サ プグルー プーを識別・記載している。

また 、rimoportula の 3 つの形質 ―突起の 長径、開 □の長径 、L:nob の長径 ―を電子顕 微 鏡 下 で 測 定 し 、 4.6 〜 2.4 Ma の 期 間 に 種 ・ 変 種 レ ベ ル で 多 様 化 す る と 同 時 に A.

nodulifera の種内変異も増大したことを明らかにしている。

   以上の結果に基づき、Tha ぬss めs 血.afr ぱ凵亡a グループとA 翆ej ぬn 〇du ヱぬra グループ が多様化 あるいは進 化した時 期を比較 して、5 . 6 〜4 .7Ma 及び 2 .4 〜1 .6Ma に好寒冷種 群のTha ぬss めs 血ーafn んIJ 亡a グループのみが多様化あるいは進化しており、4 .6 〜2 .5Ma には 好温 暖種群の A ゆejf ぬn 〇du 肌 ra グループ が多様化 あるいは 進化してい ることを 明 らかにし た。4 .4 〜2 . 7Ma の期間は その前後 の時期に 比べて温 暖であったとする古海洋 学のデー タから、そ れらの珪 藻グルー プにとっ て良好な 気候条件の時期に多様化あるい は進化していることを明らかにした。

   本論文は 、電子顕微 鏡下で微 細構造の 詳細な記 載を行う ことによって、好寒冷種群の コma ぬss めs 血・a 師ruJ ぬグループが好温暖種群のA 勿e 此fan 〇dum そra グループよりも寒冷 な時期に 多様化・進 化すると いう珪藻 グループ の進化特 性を解明したことに加えて、海 生 微 化 石 種 群 の 分類 学 的記 載 と 系統 進 化史 に 関 する 具 体的 研 究 例を 提 示 して い る。

   微化石に よる生層序 学の研究 が進展し て、更な る高分解 能解析のために系統進化を考 慮した新 たな化石種 の分類学 的見直し が必要と され、ま た、進化による形態変異を考慮 した化石 種群の系統 進化史が 検討され なければ ならない 学界にあって、本論文が古生物 学研究の発展に貢献するところは大きい。

   よって、 審査員一同 は申請者 が北海道 大学博士 (理学) の学位を授与される資格があ

ると認める。

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