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博 士 ( 理 学 ) 古 川 竜 太

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 古 川 竜 太

学 位 論 文 題 名

Geological study of phnian eruption co‑generating pyroclastic flow

(火砕 流をとも なうプリニ ー式噴火の地質学的研究)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  近 年。 プル ニ ー式 噴火 に関する研究は 物理的に首尾一貫したモデ ルが提出され,それにと もな って 発生 す る火 砕流 についても従来 考えられてきたより異なる 条件で発生する可能性が 問題 とな って い る. これ まで報告されて いる爆発的噴火の堆積物に 関する研究はそうした可 能陸を考慮しておらず,新 たに噴火の堆積物を検証し ,制約条件を与えることが必要である.

そこで本研究では活動的火 山である樽前火山の噴火活 動史を定量的に解明し,とくにプリニー 式噴煙の挙動とそれにとも なう火砕流の発生原因を検 討した.

  樽 前火 山は 西 南北 海道 支笏カルデラの 活動後にカルデラ緑上に形 成された後カルデラ火山 である.樽前火山の活動は およそ1万年前に始まり,現在までに約3 krr13のマグマを噴出した,

その 活動 様式 は プリ ニー 式噴火で特徴づ けられ,とくに同じ噴火の 中で火砕流をともなって 発生 して いる 場 合が 多い .そ のな か で西 暦1667年 と1739年の 噴火 は, 樽 前火山の活動の中 でも っと も規 模 が大 きく ,またプルニー 式噴火およぴ火砕流の各堆 積物の層序関係がよく追 跡できる,そこでそれらの 堆積物について詳細に検討 した,

  西 暦1667年 と1739年の 噴火 推移 を 堆積 物の 層序 関係 か ら復 元し た. 降 下火砕堆積物はぃ ずれ も粒 径や 構 成物 など の岩相の変化か ら複数のユニットに区分さ れるが,それらのあいだ に顕 著な 時間 間 隙を 示す 証拠はなく,全 体をプリニー式噴煙の推移 の記録として扱うことが できる.火砕流堆積物はか ならず降下火砕堆積物のあいだに挟在されている【ntra・plinian型 で, ブリ ニー 式 噴火 に密 接に関連して発 生した可能性を示唆する. 火砕流堆積物が谷地形を 埋積 して いる 場 所で の岩 相変化の検討か ら,火砕流の灰かぐらの堆 積物と考えられる降下火 山灰 層を のぞ い て火 砕流 と同時異相関係 にある降下火砕堆積物は存 在しない,よって火砕流 の発 生は プリ ニ ー式 噴煙 の部分的崩壊で は説明されず,それぞれ独 立に火口から噴出したも のと考えられる.

  火 砕流 堆積 物 の上 下の 降下火砕堆積物 を検討することで,火砕流 発生の前後の噴煙の挙動 の変 化が 読み と れる .従 来のモデルにも とづぃて降下火砕堆積物の 最大粒径から噴煙の到達 高度 を検 討す る と, 終端 速度が小さな粒 子ではほぼ一定の値を示す ものの,終端速度が大き い粒 子で は高 度 が低 く与 えられる.これ は終端速度の小さな粒子は 噴煙の上部の傘型領域ま で到 達し てい ろ もの の, 終端速度の大き な粒子はそこまで上昇せず に堆積していることを示 す.このような粒子の終端 速度の違いによるtrajectoryの違いは噴煙の上昇速度構造の変化と 解釈 され る. 終 端速 度の 小さい領域の示 す噴煙到達高度は噴煙の上 昇速度構造の違いに関わ らず ,噴 煙の 噴 出率 ない しはエネルギー フラックスによって決まる .火砕流発生の直前の降 下火 砕堆 積物 で は噴 煙到 達高度は低くな る傾向が見られ,火砕流発 生の前に噴出率が低下し てい るこ とを 示 して いる .また示される 噴煙到達高度が一定である 終端速度の範囲は火砕流 発生 前に はせ ま くな る傾 向があろ.この ことは噴煙柱高度の低下と ともに噴煙の最小上昇速

一 、24 ‑

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度が低下していることを示す.

  また降下火砕堆積物の全体の粒径分布の水平変化を検討し,噴煙の挙動と火砕流発生との 関係を検討した.噴煙がうける風の影響を見積もるために降下火砕堆積物の粒径毎に堆積重 量分布を求めた,その結果,堆積重量は距離に対して規則的に変化し,その変化率は粒径の 違いに対応していることがわかった.このことは降下火砕堆積物の分布が粒径ないし終端速 度の違いで説明できることを示し,粒子が風によって運搬されることが主要なプロセスであ ることが示唆された.また細粒になるほど等距離での分散が大きくなり,多成分の風の存在 が示唆される.そこで風の影響を取り除くために堆積重量を距離について積分し,噴煙の傘 型領域の火口直上での粒径分布を求めた,求められた粒径分布と噴火の推移を比較すると,

火砕流発生の直前の層準では粒径分布が細粒になろ傾向が見られる,これは火砕流発生の前 に噴煙の上昇速度の低下が起こったことを示す.このような噴煙の上昇速度構造の変化が火 砕流発生前に変化することが検出された例は他になく,今後の噴火推移の予測やモデリング に制約を与えることが期待できる,

  最後に,地質学的手法を基づぃて樽前火山の噴火活動史を定量的に解明し,プリニー式噴 煙の火口直上における粒径分布の変動を復元した結果,火砕流が発生したとき.プリニー式 噴 煙 の 最 小 上 昇 速 度 お よ び 噴 出 率 が 減 少 し た こ と を 明 ら か に し た .

― ―25

(3)

学 位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 助教授 助教授 助教授

宇井 新井田 岡田 小屋口

忠 英 清 信     

剛 博 ( 東京 よ 学大 ≠R理学 系研究科 (地震研究 所))

     学位論文題名

Geoo 函c 甜studyofpHmanem .pdonc ひgener 甜ngpyr ∞las 血noW

( 火 砕 流 を と も な う プ リ ニ ー 式 噴 火 の 地質 学 的 研究 )

  近 年 , プ リ ニ ー 式 噴 火 に 関 す る 研 究 は 物 理 的 に 首 尾 一 貫 し た モ デ ル が 提 出さ れ , そ れ に と も な っ て 発 生 す る 火 砕 流 に つ い て も 従 来 考 え ら れ て き た よ り 異 なる 条 件 で発 生 す る 可 能 性 が 問 題 と な っ て い る , こ れ ま で 報 告 さ れ て い る 爆 発 的 噴 火 の 堆積 物 に 関す る 研 究 は そ う し た 可 能 性 を 考 慮 し て お ら ず , 新 た に 噴 火 の 堆 積 物 を 検 証 し ,制 約 条 件を 与 え る こ と が 必 要 な 状 況 に あ る .

  本 論 文 は , こ の 様 な 状 況 に あ る プ リ ニ ー 式 噴 火 に つ い て , 活 動 的 火 山 で ある 樽 前 火 山 の 噴 火 活 動 史 を 定 量 的 に 解 明 し , と く に プ リ ニ ー 式 噴 煙 の 挙 動 と そ れに と も なう 火 砕 流 の 発 生 原 因 を 検 討 し た .

  樽 前 火 山 は 西 南 北 海 道 支 笏 カ ル デ ラ の 活 動 後 に カ ル デ ラ 縁 上 に 形 成 さ れ た後 カ ル デ ラ 火 山 で あ る . 樽 前 火 山 の 活 動 は お よ そ1万 年 前 に 始 ま り , 現 在 ま で に 約3kD13の マ グ マ を 噴 出 し た . そ の 活 動 様 式 は プ リ ニ ー 式 噴 火 で 特 徴 づ け ら れ , と く に同 じ 噴 火の 中 で 火 砕 流 を と も な っ て 発 生 し て い る 場 合 が 多 い . そ の な か で 西 暦1667年 と1739年 の 噴 火 は , 樽 前 火 山 の 活 動 の 中 で も っ と も 規 模 が 大 き く , ま た プ リ ニ ー 式 噴火 お よ び火 砕 流 の 各 堆 積 物 の 層 序関 係 が よく 追 跡 で きる , そ こで そ れ らの 堆 積 物に つ い て詳 細 に 検討 し た . 西 暦1667年 と1739年 の 噴 火 推 移 を 堆 積 物 の 層 序 関 係 か ら 復 元 し た . 降 下 火 砕 堆 積 物 は い ず れ も 粒 径 や 構 成 物 な ど の 岩 相 の 変 化 か ら 複 数 の ユ ニ ッ ト に 区 分さ れ る が, そ れ ら の あ い だ に 顕 著 な 時 間 間 隙 を 示 す 証 拠 は な く , 全 体 を プ リ ニ ー 式 噴 煙の 推 移 の記 録 と し て 扱 う こ と が で き る . 火 砕 流 堆 積 物 は か な ら ず 降 下 火 砕 堆 積 物 の あ いだ に 挟 在さ れ て い るIntra‑pLinian型 で , プ リ ニ ー 式 噴 火 に 密 接 に関 連 し て発 生 し た可 能 性 を 示唆 す る .火 砕 流 堆 積 物 が 谷地 形 を 埋積 し て い る場 所 で の岩 相 変 化の 検 討 から , 火 砕流 の 灰 かく ゛ ら の 堆 積 物 と 考 え ら れ る 降 下 火 山 灰 層 を の ぞ い て 火 砕 流 と 同 時 異 相 関 係 にあ る 降 下火 砕 堆 積 物 は 存 在 し な い . よ っ て 火 砕 流 の 発 生 は プ リ ニ ー 式 噴 煙 の 部 分 的 崩 壊で は 説 明さ れ ず , そ れ ぞ れ 独 立 に 火 口 か ら 噴 出 し た も の と 考 え ら れ る ,

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火砕流堆積物の上下の降下火砕堆積物を検討することで,火砕流発生の前後の噴煙の 挙動の変化が読みとれる.従来のモデルにもとづいて降下火砕堆積物の最大粒径から噴 煙の到達高度を検討すると,終端速度が小さな粒子ではほぼ一定の値を示すものの,終 端速度が大きい粒子では高度が低く与えられる.これは終端速度の小さな粒子は噴煙の 上部の傘型領域まで到達しているものの,終端速度の大きな粒子はそこまで上昇せずに 堆積していることを示す.このような粒子の終端速度の違いによる軌跡の違いは噴煙の 上昇速度構造の変化と解釈される.終端速度の小さい領域の示す噴煙到達高度は噴煙の 上昇速度構造の違いに関わらず,噴煙の噴出率ないしはェネルギーフラックスによって 決まる.火砕流発生の直前の降下火砕堆積物では噴煙到達高度は低くなる傾向が見られ,

火砕流発生の前に噴出率が低下していることを示している.また示される噴煙到達高度 が一定である終端速度の範囲は火砕流発生前にはせまくなる傾向がある.このことは噴 煙 柱 高 度 の 低 下 と と も に 噴 煙 の 最 小 上 昇 速 度 が 低 下 し て い る こ と を 示 す ,

  

また降下火砕堆積物の全体の粒径分布の水平変化を検討し,噴煙の挙動と火砕流発生 との関係を検討した.噴煙がうける風の影響を見積もるために降下火砕堆積物の粒径毎 に堆積重量分布を求めた.その結果,堆積重量は距離に対して規則的に変化し,その変 化率は粒径の違いに対応していることがわかった.このことは降下火砕堆積物の分布が 粒径ないし終端速度の違いで説明できることを示し,粒子が風によって運搬されること が主要なプ口セスであることが示唆された.また細粒になるほど等距離での分散が大き くなり,多成分の風の存在が示唆される.そこで風の影響を取り除くために堆積重量を 距離について積分し,噴煙の傘型領域の火口直上での粒径分布を求めた.求められた粒 径分布と噴火の推移を比較すると,火砕流発生の直前の層準では粒径分布が細粒になる 傾向が見られる.これは火砕流発生の前に噴煙の上昇速度の低下が起こったことを示す.

このような噴煙の上昇速度構造の変化が火砕流発生前に変化することが検出された例は 他に なく,今後 の噴火推移の予測やモデリングに制約を与えることが期待できる.

  

最後に,地質学的手法を基づいて樽前火山の噴火活動史を定量的に解明し,プルニー 式噴煙の火口直上における粒径分布の変動を復元した結果,火砕流が発生したとき,プ リ ニ ー 式 噴 煙 の 最 小 上 昇 速 度 お よ び 噴 出 率 が 減 少 した こ とを 明 ら かに し た.

  

著者は,プリニー式噴火に伴う火砕流の発生機構について新たな知見を与えたもので あり,火山噴火機構論に対しての寄与するところが大である,

  

よって著者は,北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格あるものと認める.

参照

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