• 検索結果がありません。

博 士( 医 学 ) 秋 山 也 寸 史 学 位 論 文 題 名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士( 医 学 ) 秋 山 也 寸 史 学 位 論 文 題 名"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士( 医 学 ) 秋 山 也 寸 史

学 位 論 文 題 名

健 常 成 人 の 呼 吸 調 節 系 と 呼 吸 困 難 感 に 及 ぼ す      内 因 性 オ ピ オ イ ド の 作 用

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

    I研究 目的

  内 因性オ ピオイ ドは ,痛み の感知 あるい は消 化管運 動など に種々 の生理学的作用をもたらす。

ス トレス 刺激に よりそ の分 泌が報 告され ている が,こ の時 ヒトの 呼吸調 節系に影響を及ぼすか否 か はいま だ明ら かでは ない 。そこ で著者 は,高 炭酸ガ スと 低酸素 を同時 に負荷する強い呼吸スト レ ス の も とで , 換 気 応 答お よ び 未 梢 化学 受 容 器 の 活 動を 反 映 す るwithdrawal反応 を,内 因性 オ ピオイ ドの拮 抗剤で ある ナ口キ ソン投 与の前 後で比 較し ,呼吸 調節系 における内因性オピオイ ド の役割 をその 作用部 位を 含めて 検討し た。

  呼 吸困難 感は, 種々 の呼吸 器疾患 患者に おい て生活 制限因 子とな る重要な症状である。内因性 オ ピオイ ドがこ の呼吸 困難 感を軽 減しう るか否 かは臨 床的 に極め て興味 深い。そこでさらに,高 炭 酸 ガ ス ,低 酸 素 お よ び吸 気 粘 性 抵 抗を 同 時 に負荷 し,換 気応答 ,peak mouth pressure応答 お よ びvisual analogue scalingに よ り 測定 した 呼吸 困難感 を,ナ ロキソ ン投与 の前 後で比 較 し 検討し た。

    II対 象およ び方法

1)呼 吸 化 学 調 節 系 に お け る 内 因 性 オ ピ オ イ ド の 関 与 お よ び そ の 作 用 部 位   対象 は28名 の健 常 成 人, 抑臥 位にて ,マウ スピー ス呼 吸下に ,吸入 気Oよ,C02濃度 を各々 独 立 に 制御 し , 熱 線 流 量計 にて15秒ご との分 時換気 量(VE)を ,指尖 型パル スオ キシメ ータに て動 脈 血 酸素 飽 和 度(Sa02)を測 定 し た 。 プ ロト コ ― ル は ,呼 吸 終 末 炭 酸ガ ス 分 圧 (PETCOよ) を 安 静 空気 呼 吸 時 よ り5 Torr高 く 維 持 し たま ま , 呼気終 末酸素 分圧 (Pよ ァ0よ)を ,徐 々に180 Torrか ら55Torrへ と 低 下 さ せ た(hypercapnic progressive hypoxia)。 次 にPET02を3分 間 以 上こ の 値 に 維 持 した 後, 被験者 が気付 かな いよう に,2呼吸 だけ100%酸 素を吸 入さ せた。

以上 を,21名の被 験者に 生理食 塩水静 注後 と塩酸 ナロキ ソン3 mg静注後 に各々行ない(ナ口キソ

82

(2)

ン実験),他の7名には各々生理食塩水静注後に2回行なった(対照実験)。Hypercapnlc pro‑

gressive hypoxiaに対する換気応答は,Sa02とVEを最小二乗法で直線回帰し,その傾き△

VEを最小二乗法で直線回帰し,その傾き△VE/△Sa02で評価した。未梢化学受容器の活動は,

100%酸素吸入開 始から5秒後より20秒後までの平均VEを求め,その直前3分間の平均VEから 引いた差をwithdrawal反応(△VE)とし,これで評価した。

2)呼吸ドライブと呼吸困難感に及ぼす内因性オピオイドの作用

  対象は11名の健常成人。実験1)の検査装置に加えて,マウスピースの吸気側で差圧トランス デューサによりpeak mouth pressure (Pm)を測定した。さらに,両端に各々,「呼吸困難 感全くなし」,「考えられる最大の呼吸困難感」と記した10cmのvisual analogue scaleを用い,

検査中の呼吸困難感を評価させた。実験は2日に分け,二重盲検法により,対照検査日には生理 食塩水静注後に,ナ口キソン検査日には塩酸ナロキソン3 mg静注後に換気応答検査を行なった。

プ口トコールtま ,17cmH:o/L/sの吸気粘性抵抗を負荷した状態で,PEア02を55 Torrに低下 させて維持し, 次に6分間でPFTC02を約60 Torrまで上昇させた(hypoxic progressive hy‑

percapnia)。こ の時 の 換気 応答 およ びPm応 答は,VEおよびPmがいずれもPよTC02と直線 関係にあるため ,最小二乗法による傾き△VE/△PETC02および△Pm/△PETC02で評価し,

呼 吸 困 難 感 は , 一 定 のPrア COz,VEお よ びPmに 対 す る 値 と し て 評 価 し た 。   総 計 は , Student st―testを 用 い , 危 険 率 5% 以 下 を 有 意 と し た 。

    m結  果

1)呼 吸 化 学 調 節 系 に お け る 内 因 性 オ ピ オ イ ド の 関 与 お よ び そ の 作 用 部 位   平均△VE/△Sa02は,対照実 験の2回の検査において差はなかったが,ナ口キソン実験で はナ口キソン静注後有意に増大した(pくO.05)。ナ口キソン投与に対する反応は個人間で大き くばらっいていたため,21名のうち,対照実験での2回目の生理食塩水静注による変化の95%信 頼 区間の上限を越える△VE/△Sa0エの増加を示した8名を高反応群として抽出した。この高 反応群では,その他の対象よりもナ口キソン静注前の換気応答が大きかった(pくO.01)。この よ う な 高 反 応 群 に お い て も , △VEに は ナ 口 キ ソ ン 投 与 の 前 後 で 差 は な か っ た 。 2)呼吸ドライブと呼吸困難感に及ぼす内因性オピオイドの作用

  ナ ロ キソ ン投 与 は△Pm/ △PEアC02を 増大 さ せた が(pくO.05), △VE/△PETC02の 増加は統計学的に有意ではなかった。呼吸困難感は,PETCOよが55 Torrおよび60 Torrの時に,

生理食塩水静注後に比ベナロキソン静注で大きい傾向があった(各々,p‑0. 06およびO.09)。

‑83

(3)

しか し , 同 じVEあ る い はPmの レ ベ ル で比 較 す る と ,呼 吸 困 難 感は ナ口キ ソン投 与にか かわ ら ず同 じ で あ っ た 。

    IV考  察

  本 研究 は , 実 験1)よ り , 健 常成 人 に お い て,a)ナ 口 キソ ン は ,hypercapnic progressive hypoxiaに 対 す る 換気 応 答 を 有 意に 増 大 さ せ る ,b) ナ ロ キ ソン の 効 果 は個体 差が 大きく 換気 応答 の 前 値 が 大 きい 者 ほ ど効 果が 大きい ,c)ナ口 キソ ンの効 果は未 梢化学 受容 器を介 するも の では な い こ と を 明ら か に し た 。さ ら に , 実 験2)か ら ,d)ナ 口 キ ソ ンは , より強 い呼吸 ストレ スで あ る 吸 気 抵 抗を 加 え たhypoxic progressive hypercapnlaに対す る呼吸 ドラ イブ反 応をほ ぼ一 律 に 高 め る ,e)一 定 の呼 吸出カ に対す る呼吸 困難 感には 影響を 与えな いこ とが判 明した 。   これら より ,強い 呼吸ス トレス 下で は,ナ 口キソ ンによ り拮抗 され る内因 性オピオイドの分泌 が生じ ,それ が呼 吸出カ を抑制 すると 考えら れる 。遺伝 的に決 定され てい ることが知られている 呼吸の 化学感 受性 が高い 者ほど ,この 内因性 オピ オイド による 呼吸の 抑制 は強く生じ,内因性オ ピオイ ドの分 泌も 遺伝的 な影響 を受け ている 可能 性があ る。内 因性オ ピオ イドは,脳内に広く分 布する 他,未 梢化 学受容 器であ る頚動 脈体に も証 明され ている 。しか し, 未梢化学受容器の活動 を示 す と さ れ るwithdrawal反応 が ナ 口 キ ソン 投 与 に よ り変 化 し な っ たこ とよ り,上 記の呼 吸 抑制は 中枢性 に生 じたと 考えら れる。

  コデイ ン等 の麻薬 は呼吸 器疾患 患者の呼吸困難感を軽減するが,同時に呼吸抑制作用も有する。

また, 内因性 オピ オイド には痛 みの緩 和作用 も報 告され ており ,その 高位 中枢を介した呼吸困難 感への 影響の 有無 は臨床 的にも 興味深 い。し かし ,本研 究より ,内因 性オ ピオイドはそれにより 呼 吸 出 カ が 低 下 し た こ と に よ る 減 少分 以 上 に は 呼吸 困 難 感 を 軽減 し な い こ とが 示 さ れ た 。

    V結  語

  健 常成 人にお いて, 内因性 オピ オイド は呼吸 調節系 に関与 し, 強い呼 吸ストレス下で呼吸を中 枢 性に抑 制し ている 。しか し,呼 吸困難感を呼吸出カの低下を介する以上に軽減する作用はない。

84

(4)

学位論文審査の要旨

  ロエン ドル フアン など内 因性オ ピオ イドの 呼吸調 節系と くに末 梢及 び中枢 化学受容器への作用 と呼吸 困難へ の関 与を健 常成人 にっい て調べ た。

  対 象 は 延 べ39人 の 健 常 成 人で , オ ピ オ イド 拮 抗 薬 と して は ナ 口 キ ソン3 mgを静 注 し た 。   実 験1では ,オピ オイ ドの作 用部位 を調べ るため に, 低酸素 負荷中 に換気 応答 及びwithdrawal テス ト を 行 っ て ,中 枢 及 び末 梢化 学受容 器の役 割を分 離評 価した 。この 結果, 換気応 答は ナロ キソ ン 後 有 意 に 増加 し た が,withdrawalテ スト には変 化がな かった 。この こと は,内 因性オ ピ オイ ド は 主 と し て中 枢 化 学受 容器 に働き ,末梢 化学受 容器 には殆 ど作用 しない ことを 物語 る。

  実 験2では ,低酸 素及 び高炭 素ガス 同時負 荷と吸 気抵 抗負荷 を同時 に行い ,呼 吸困難 感を定 量 評価 し た 。 同 時 にpeak mouth pressureも沮lJ定 した。 その結 果, 分時換 気量及 びpeak mouth pressureで 標 準 化し た 呼 吸 困難感 はナ口 キソン 静注後 も不 変であ った。 このこ とは ,内因 性オ ピオイ ドは換 気量 を抑制 するこ とによ って呼 吸困 難を軽 減する が,呼 吸困 難そのものに対する作 用は少 ないこ とを 示して いる。

  口答発 表に 際し, 剱物教 授から ナ口 キソン を3 mg使 用した 根拠, 換気応 答と年令との関連,オ ピオ イ ド を 実 測 した か , ナ 口 キソ ン の 循 環 系へ の 影 響 ,COPDへ の 使用 の 是否に っき, また小 山教 授 からオ ピオイ ドの 換気抑 制とガ ス交換 にっ いて,J受 容器の 関与, 末梢化 学受容 器の オピ オイド の有無 など にっき 質問が あった が,申 請者 は概ね 妥当に 答えた と思 う。また剱物,小山両 教授に は個別 に面 接を受 け,合 格との 御返事 をい ただい ている 。

  以上, 本研 究は健 常人に おける 呼吸調節系に対する内因性オピオイドの作用部位を明らかにし,

ま た 呼 吸 困 難 へ の 関 与 も 追 究 し た も の で 博 士 の 学 位 に 相 当 す る も の と 認 め た 。

‑85

康 修

義 富

上 山

川 小

授 授

教 教

査 査

主 副

参照

関連したドキュメント

Leaning by Expanding An activity-theoretical approach to developmental research.. Cambridge: Cambridge

Cioffi, “Pilot tone selection for channel estimation in a mobile OFDM systems,” IEEE Trans.. Sunaga, “Rayleigh fading compensation for QAM in land mobile ra- dio communications,”

ている。本論文では、彼らの実践内容と方法を検討することで、これまでの生活指導を重視し

1)研究の背景、研究目的

雑誌名 博士論文要旨Abstractおよび要約Outline 学位授与番号 13301甲第4306号.

氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

リポ多糖(LPS)投与により炎症を惹起させると、Slco2a1 -/- マウス肺、大腸、胃では、アラキ ドン酸(AA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)で補正した PGE 2

氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目