博 士 ( 理 学 ) 山 野 公 明
学 位 論 文 題 名
New Amino Acids from Clitocybe acrornelaZga.
Support for the Biogenesis of Acromelic Acids
(ドク ササコの 新アミノ酸 .アク□ メリン酸 生合成の 仮説示唆)
学位論文内容の要旨
ドクササコは、 日本の東北・北陸地方に産する毒きのこで、痛ましい中毒症状で知 られてい る。即ち 、誤って 食べると 数日後に 手足が赤く 腫れ上がり、 その激痛は約1 カ月にも 及ぷ,た め、精神 に異常をきたした例もあるという。新潟保健所や新潟医大に は多くの 中毒症例 が報告さ れている 。従って 、生体内に おける毒 成分の特 異な作用 機 構解明の ため、‐ まず有毒 成分の構造を全て明らかにすることが望まれている。当研究 室では厩 に、 アク ロメリン 酸A‑Bやクリ チジンを 有毒成分として単離し、 構造決定 及び合成 している 。特にァ クロメリン酸にっいては、 これらの持つ強い神経興奮性を 見いだしており、薬理学などの分野からの注目も大きい。
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さ ら に 毒 成 分 の 検 索 を マ ウ ス の 腹 腔 内投 与 に よ る致 死 効 果を 指 標 に行 っ た とこ ろ 、
それら以外にも毒成分が存在することがわかり、 これを解明すべく研究を進めた。 そ の 結 果、
6
種 の新 奇ア ミノ 酸(1 ‑6
)や1
種の 新奇 ジペ プチ ド(7
),1
種の 新奇 ピリジンヌクレオチド(8)などを単離・構造決定した。 特に、 1, 2, 4はともに 得られたスチゾロビン酸よりは弱いが神経興奮性を示し、 8(クリチジル酸)にっい てもクリチジンと同程度のマウス致死毒性を示した。各化 合物 の構 造は 、各 種スペクトルデータと後に述べる生合成推定経路を考慮に 入れ て類 推し た。 また 、構 造の確認と生物試験の試料を供給するために以下に示すよ うな合成も行った。
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また 、当 研究 室で はア クロメリン酸の構造決定の際、次のスキームに示すような生 合 成 推 定 経 路 を 想 定 し た 。 即 ち 、
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通 り の 酸 化 的 開 裂 及 び 再 閉 環 に よ り 得ら れる ピロ ン誘 導体 (スチゾロピニン酸など)にアンモニアが導入されてピリド ンアミノ酸が生成する。 これらがアクロメリン酸類の左半分の構成ユニットとなり、グ ルタ ミン 酸と 縮合 する ことで各アクロメリン酸は導かれる。 新奇アミノ酸1〜5と
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ス チゾ ロピ ン酸 の存 在は これ を を強 く支 持す る結 果と なっ てい る。
尚 、 スチ ゾロ ピ ニ ン 酸 に つ い て は 、 野 副 ら が ド ク サ サ コ か ら 単 離 ・ 同 定 し た と 報 告し てい る。
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化 合 物
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に っ い て も 、ア ク ロ メ リ ン 酸 類 と 同 様 な ル ー ト で 生 成 す る と 思 わ れ る が 、
通 常 の カ イ ノ イ ド と は 異 な り 最 後 の 結 合 形 成 の 際 、
ピ ロ リ ジ ン で はな くピ ペリ ジン を 与 え る 。
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さ らに クリ チジ ン,
ク リチ ジ ル酸 は分 子内 にピリジン核を持って いて、 ヌクレオシ ド ,
ヌ ク レ オ チ ド と し て は 非 常 に 珍 し い 。 従 っ て 、 数 少 な い 例 で あ る
NAD
と の 構 造 的 また は生 合成 的な 関連 を示 唆し て いて 、興 味深 い。clitidine L clitidylic acid L
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学位論文審査の要旨 主査
副査 副査
教授 教授 教授
学 位 論 文 題 名
New Amino Acids from Clitocybe acrorneZalga.
Support for the Biogenesis of Acromelic Acids
(ド クササコの 新アミノ 酸.アク 口メリン 酸生合成 の仮説示 唆)
ドクササコは、 日本の東北・北陸地方に産する毒毒のこで、 特異を中毒症状によっ て知られている。
即ち、゛誤って食ぺると数日後に手足が赤く腫れ上がり、 激痛が約
1
カ月にも及ふため、精神に異常を毒たした例もあるという、
残酷なキ丿コである。 当 研究室では、 生体内における毒 成分の特異な作用機構解明のため、 有毒成分の探索を 行い、
既にいくっかの化合物を単離し、 構造を決定しているが、 未だ手足を腫れさせ、
異常な 痛みを与える物質は見出していない。 しかし既に単離されたものの中には、
ア ウロメ リン酸A‑Bのよ うに、
グ ルタメートリセプター`に作用し、
強い神経興奮作用 を示すため、 薬理学会で注目されている化合物もある。 申請者は、
マウスの腹腔内投 与 によ る致死効 果を指標 にさらに 毒成分の 検索を行 い、 6種の新 奇アミ丿 酸(
1
〜6
) や1
種 の 新 奇 ジペ ブ チド (7
) ,1
種 の 新奇 ピ リ ジン ヌ クレ オ チ ド(8
) な どを 単 離 した。HO,Yjp3.::,H
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各 化 合 物 の 構 造 は 、 各 種 ス ペ ク ト ル デ ― 夕 と 生 合 成 推 定 経 路 を 考 慮 し 推 定 した 。
ま た 、 構 造 の 確 認 と 生 物 試 験 の 試 料 を 供 給 す る た め に 光 学 活 性 体 の 合 成 を 行 っ た 。 生 物 試 験 の 結 果 、 1, 2, 4は と も に 得 ら れ た ス チ ゾ ロ ピ ン 酸 よ り は 弱 い が 神 経 興 奮 性 を 示 し 、 8( ク リ チ ジ ル 酸 ) に つ い て も 、 さ き に 単 離 さ れ て い た ク リ チ ジ ン と 同 程 度 の マ ウ ス 致 死 毒 性 を 示 し た 。
新 奇 ア ミ 丿 酸 lv5と ス チ ゾ ロ ピ , ン 酸 の 単 譲 は 、 ア ゥ ロ メ リ ン 酸 の 構 造 決 定 の 際 に 考 え ら れ て い た 生 合 成 推 定 経 路 を 強 く 支 持 す る 結 果 と な っ た 。
DOPA
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化 合 物 6に っ い て も 、 ア ク ロ メ リ ン 酸 と 同 様 な ル ー ト で 生 成 す る と 思 わ れ る が 、 通 常 の カ イ 丿 イ ド と は 異 な り 最 後 の 結 合 形 成 の 際 、 ピ ロ リ ジ ン で は な く ピ ペ リ ジ ン を 与 え て お り 、 こ れ ま で に を い 新 し い 生 台 成 経 路 の 存 在 を 示 し た 。 さ ら に ゥ リ チ ジ ン , ク Jチ ジ ル 酸 は 数 少 な い ピ リ ジ ン ヌ ク レ オ シ ド , ヌ ク レ オ チ ド で あ り 、 NADと の 構 造 的 ま た は 生 合 成 的 な 関 連 を 示 唆 し て い る 。
以 上 の 成 果 は ア ミ 丿 酸 合 成 法 に 新 知 見 を 加 え た ば か り で な く 、 神 経 科 学 で 注 目 を 浴 び て い る ア ク ロ メ リ ン 酸 の 生 合 成 推 定 経 路 を 支 持 す る も の で あ り 、 高 く 評 価 さ れ る 。
審査員一同は申請者が博士(理学)の学位を受けるに十分な資格を有するものと認め た。
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