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中日担保制度及び担保物件制度の比較

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(1)

中日担保制度及び担保物件制度の比較

著者名(日) 孫  暁屏

雑誌名 山梨学院大学法学論集

巻 41

ページ 311‑341

発行年 1999‑02‑12

URL http://id.nii.ac.jp/1188/00000812/

(2)

論 説

中日担保制度及び担保物権制度の比較

暁 屏

はじめに

 市場経済体制の下における社会主義制度と資本主義制度の国家においては︑われわれ市民が︑社会生活に参与し

て︑不可避的に他の市民とさまざまな局面において︑人間の関係︑すなわち市民的社会関係を形成している︒そこ

にはなんらかの規範があるはずであり︑そのような規範は︑争いが生じたさいに︑究極の解決の基準として︑強行

的に一定の態度を採用すべきことを当事者に命じている︒民法は︑このような規範の一つとして︑現代社会におけ

る市民的社会関係を全面的包括的に規制する法律である︒

 債権担保は︑現代市場経済活動において︑市民の財産的社会関係の重要な部分であり︑担保制度が︑各国の民事

法律制度の中で︑重要な内容になっている︒いままでは︑中国では︑ドイツや日本のような民法典が︑まだないた

め︑現実の中国の担保制度︑あるいは︑債権担保制度は︑まず︑一九八一年に制定した﹁中華人民共和国経済契約

A

日間

中日担保制度及び担保物権制度の比較

暁 扉

はじめに

市場経済体制の下における社会主義制度と資本主義制度の国家においては︑われわれ市民が︑社会生活に参与し

て︑不可避的に他の市民とさまざまな局面において︑人間の関係︑すなわち市民的社会関係を形成している︒そこ

にはなんらかの規範があるはずであり︑そのような規範は︑争いが生じたさいに︑究極の解決の基準として︑強行

的に一定の態度を採用すべきことを当事者に命じている︒民法は︑このような規範の一つとして︑現代社会におけ

る市民的社会関係を全面的包括的に規制する法律である︒

債権担保は︑現代市場経済活動において︑市民の財産的社会関係の重要な部分であり︑担保制度が︑各国の民事

法律制度の中で︑重要な内容になっている︒いままでは︑中国では︑ドイツや日本のような民法典が︑まだないた

め︑現実の中国の担保制度︑あるいは︑債権担保制度は︑まず︑ 一九八一年に制定した﹁中華人民共和国経済契約

(3)

論  説 312

法﹂に︑初めて規定された︒そして︑中国の社会主義市場経済の発展とともに︑担保という民事制度は︑漸くに重

要な役割を果たしてきた︒しかし︑現実の担保関係が︑複雑化するのに対し︑担保制度が︑簡単すぎるため︑多く

の法律上の問題が存在していた︒そこで︑一九八六年に︑﹁中華人民共和国民法通則﹂が公布され︑民事基本法と

して︑中国の市場経済の発展と民主政治の建設の要求に従って︑民法基本原則︑民事主体︑法律行為︑財産所有権

等の財産権︑債権債務関係︑時効等々を︑全面的に規定することになった︒しかし︑この﹁民法通則﹂は︑担保制

度について基本的規定を定めたが︑簡単すぎるため︑具体化する必要があった︒そのため︑一九九五年に︑﹁中華

人民共和国担保法﹂が制定された︒このように︑中国の担保制度を更に完備させることが︑今日︑銀行貸付または

取引の安全および社会主義市場経済秩序を守り︑資金や商品の流通を促進し︑当事者の合法的権利と利益を守るう

えで極めて重要である︒

 日本の担保制度においては︑一八九六︵明治二九︶年の﹁日本民法典﹂の制定当時からの担保方法である保証や

抵当制度も︑近年大きく変貌したうえ︑金融界が次々に新しい型の担保手段︑例えば︑譲渡担保︑仮登記担保︑所

有権留保︑相殺等を生み出し︑かつ︑それらが法律あるいは︑判例によって承認されてきた︒そのため日本の担保

制度は社会の発展と時代の変化に従って︑発展していくことができる︒

 中日両国の担保制度の発展状況を踏まえて︑中国の担保制度を反省するにあたり︑日本の担保制度との比較研究

は重要な意義のあることであろう︒これによって両国の担保制度に関する理解が深められると共に︑我々が日本の

担保制度の理論と立法実践を研究することが︑中国の担保制度の理論の充実と立法の整備に寄与することができる

と思われる︒

312 

法﹂に︑初めて規定された︒そして︑中国の社会主義市場経済の発展とともに︑担保という民事制度は︑漸くに重

要な役割を果たしてきた︒しかし︑現実の担保関係が︑複雑化するのに対し︑担保制度が︑簡単すぎるため︑多く

の法律上の問題が存在していた︒そこで︑ 一九八六年に︑﹁中華人民共和国民法通則﹂が公布され︑民事基本法と

A

日間

して︑中国の市場経済の発展と民主政治の建設の要求に従って︑民法基本原則︑民事主体︑法律行為︑財産所有権

等の財産権︑債権債務関係︑時効等々を︑全面的に規定することになった︒しかし︑この﹁民法通則﹂は︑担保制

度について基本的規定を定めたが︑簡単すぎるため︑具体化する必要があった︒そのため︑ 一九九五年に︑﹁中華

人民共和国担保法﹂が制定された︒このように︑中国の担保制度を更に完備させることが︑今日︑銀行貸付または

取引の安全および社会主義市場経済秩序を守り︑資金や商品の流通を促進し︑当事者の合法的権利と利益を守るう

えで極めて重要である︒

日本の担保制度においては︑ 一八九六(明治二九)年の﹁日本民法典﹂の制定当時からの担保方法である保証や

抵当制度も︑近年大きく変貌したうえ︑金融界が次々に新しい型の担保手段︑例えば︑譲渡担保︑仮登記担保︑所

有権留保︑相殺等を生み出し︑ かっ︑それらが法律あるいは︑判例によって承認されてきた︒そのため日本の担保

制度は社会の発展と時代の変化に従って︑発展していくことができる︒

中日両国の担保制度の発展状況を踏まえて︑中国の担保制度を反省するにあたり︑日本の担保制度との比較研究

は重要な意義のあることであろう︒これによって両国の担保制度に関する理解が深められると共に︑我々が日本の

担保制度の理論と立法実践を研究することが︑中国の担保制度の理論の充実と立法の整備に寄与することができる

と 思

わ れ

る ︒

(4)

中国と日本の担保制度の構成

1

中国の担保制度の構成及び民事法律制度における位置づけ

 中国︽民法通則︾の第五章民事権利の第二節は︑債権であり︑その中で第八九条が担保に関する条文である︒す

なわち︑中国の基本的な民事法律制度の中で︑担保の内容は︑債権の保障措置として︑債権に属することである︒

︽民法通則︾第八九条は︑四種の担保方法︑すなわち保証︑抵当︵中国でいう抵押︶︑手付︵中国でいう定金︶︑留

置権を規定している︒そして︑︽民法通則︾の担保方法は︑約定担保と法定担保の二種類に分けられる︒その中の

保証︑抵当︑手付︑の三種は︑当事者の意思表示で採用され︑約定担保に属する︒留置権は法律の規定を直接の根

拠として生じ︑当事者の約定によらない法定担保である︒︽民法通則︾は︑担保制度について基本的規定を定めた

が︑簡単すぎるため︑具体化する必要がある︒そのため︑︽民法通則︾の規定を基礎として︑一九九五年六月三十

日︑中華人民共和国第八期全国人民代表大会常務委員会第十四回会議は︑一九九五年十月一日から施行する︽中華

人民共和国担保法︾を作り︑中国の担保制度を全面的に整備している︒︽中華人民共和国担保法︾は︑全部で︑七

章九六条で︑五種の担保方法を規定している︒すなわち︑第一章は総則︑担保法の制定の目的︑任務︑基本原則な

どに関する内容であり︑かつ︑担保契約の性質と責任を明確にしている︒﹁担保契約は︑主たる契約の従たる契約

であり︑主たる契約が無効である場合は︑担保契約は無効である︒担保契約に別段の約定のある場合は︑当該約定 中国と日本の担保制度の構成

中国の担保制度の構成及び民事法律制度における位置づけ

中国︽民法通則︾の第五章民事権利の第二節は︑債権であり︑その中で第八九条が担保に関する条文である︒す

なわち︑中国の基本的な民事法律制度の中で︑担保の内容は︑債権の保障措置として︑債権に属することである︒

︽ 民

法 通

則 ︾

第 八

九 条

は ︑

四種の担保方法︑すなわち保証︑抵当(中国でいう抵押)︑手付(中国でいう定金)︑留

置権を規定している︒そして︑︽民法通則︾の担保方法は︑約定担保と法定担保の二種類に分けられる︒その中の

保 証 ︑ 抵 当 ︑ 手 付 ︑ の三種は︑当事者の意思表示で採用され︑約定担保に属する︒留置権は法律の規定を直接の根

拠として生じ︑当事者の約定によらない法定担保である︒︽民法通則︾は︑担保制度について基本的規定を定めた

が︑簡単すぎるため︑具体化する必要がある︒そのため︑︽民法通則︾の規定を基礎として︑ 一九九五年六月三十

目︑中華人民共和国第八期全国人民代表大会常務委員会第十四回会議は︑ 一九九五年十月一日から施行する︽中華

人民共和国担保法︾を作り︑中国の担保制度を全面的に整備している︒︽中華人民共和国担保法︾は︑全部で︑七

章九六条で︑五種の担保方法を規定している︒すなわち︑第一章は総則︑担保法の制定の目的︑任務︑基本原則な

どに関する内容であり︑かっ︑担保契約の性質と責任を明確にしている︒﹁担保契約は︑主たる契約の従たる契約

であり︑主たる契約が無効である場合は︑担保契約は無効である︒担保契約に別段の約定のある場合は︑当該約定

(5)

論  説 314

に従う﹂︒︿第五条一項﹀ ﹁担保契約が無効であると確認された後に︑債務者︑担保人又は債権者に故意または過失

のある場合は︑その故意又は過失に応じてそれぞれ相応する民事責任を引き受けなければならない﹂︒︿第五条二

項﹀ 第二章から第六章まで︑個別的に保証︑抵当権︑質権︑留置権︑手付などの担保方法について︑具体的な規

定を設けている︒第七章は附則として︑︽担保法︾の法律用語︑担保契約の方式︑担保の目的物の換価及び評価な

どを説明する内容である︒

 中国の担保制度は︑︽民法通則︾を基礎として︑独立的な専門法律・︽担保法︾の形態をとる民事制度である︒

 2 目本の担保制度の構成及び民事制度における位置づけ

 現代の日本担保制度は︑一八九六年制定した︽日本民法典﹀から漸次整備しているのである︒︽日本民法典︾に

規定された四種の担保物権は︑いわゆる民法が物的担保制度として定めている抵当権︑質権︑留置権︑先取特権で

ある︒いずれも︑担保に供する目的物上の権利は︑債務者に残し︑債権者は︑その権利の上に担保的作用を持つ抵

当権などの権利を取得するという構成をとっている︒民法の中では︑地上権︑地役権等の用益物権と並んで︑物権

を構成している︒すなわち︑担保物権は民法上の物権の一部である︒︽日本民法典︾の中で︑物権編の第七章・留

置権︑第八章・先取特権︑第九章・質権︑第十章・抵当権の内容は︑重要な担保方式として︑典型担保物権と呼ば

れている︒担保物権のほかに︑債権性の担保方式として︑︽日本民法典︾は︑保証担保と手付の制度を規定してい

る︒すなわち︑第三編・債権の総則の第四四六条〜第四六五条の保証債務に関する規定及び第五五七条の手付けの

規定︵ただし︑同条は手付けを解約手付けと推定している︶である︒以上の︽日本民法典︾の中にある物権性と債

314 

に 従

う ﹂

︒ ︿

第 五

条 一

項 ﹀

﹁担保契約が無効であると確認された後に︑債務者︑担保人又は債権者に故意または過失

のある場合は︑その故意又は過失に応じてそれぞれ相応する民事責任を引き受けなければならない﹂︒︿第五条二

説 項

第二章から第六章まで︑個別的に保証︑抵当権︑質権︑留置権︑手付などの担保方法について︑具体的な規

呈。、 日間

定を設けている︒第七章は附則として︑︽担保法︾の法律用語︑担保契約の方式︑担保の目的物の換価及び評価な

どを説明する内容である︒

中国の担保制度は︑︽民法通則︾を基礎として︑独立的な専門法律・︽担保法︾の形態をとる民事制度である︒

日本の担保制度の構成及び民事制度における位置づけ

現代の日本担保制度は︑ 一八九六年制定した︽日本民法典︾から漸次整備しているのである︒︽日本民法典︾に

規定された四種の担保物権は︑ いわゆる民法が物的担保制度として定めている抵当権︑質権︑留置権︑先取特権で

ある︒いずれも︑担保に供する目的物上の権利は︑債務者に残し︑債権者は︑その権利の上に担保的作用を持つ抵

当権などの権利を取得するという構成をとっている︒民法の中では︑地上権︑地役権等の用益物権と並んで︑物権

を構成している︒すなわち︑担保物権は民法上の物権の一部である︒︽日本民法典︾の中で︑物権編の第七章・留

置権︑第八章・先取特権︑第九章・質権︑第十章・抵当権の内容は︑重要な担保方式として︑典型担保物権と呼ば

れている︒担保物権のほかに︑債権性の担保方式として︑︽日本民法典︾は︑保証担保と手付の制度を規定してい

る︒すなわち︑第三編・債権の総則の第四四六条()第四六五条の保証債務に関する規定及び第五五七条の手付けの

規定(ただし︑同条は手付けを解約手付けと推定している)である︒以上の︽日本民法典︾の中にある物権性と債

(6)

権性の六種類の担保方法は︑民法上に直接的な明確な規定があるので︑典型担保方式といわれることがある︒

 現実の日本の担保制度は︑︽日本民法典︾の規定する典型担保方式の外に︑いろいろの非典型担保方式が存在し

ている︒これらの非典型担保方式は︑専門的な法律︵民法に対する特別法︶と判例の形態で︑担保制度の一部とし

て確立させられていることである︒例えば︑昭和五三年六月二〇日に制定した︽仮登記担保契約に関する法律︾

は︑土地又は建物の所有権を目的物として︑民法の物権制度に基づいて︑金銭債務を担保するための特別な担保制

度である︒また︑日本社会の経済の発展と取引安全および担保の実際的事情の変化にしたがって︑判例の方式で︑

承認されている新たな担保方法として︑譲渡担保︑所有権留保︑相殺などが生み出されている︒

 以上で述べたことを整理すると︑日本と中国の担保制度は︑つぎのような構成になる︒

\ /債権性担保 典型担保 抵当権・質権・留置権・先取特権 \物権性担保

日本の担保制度

非典型担保 /

人的担保  保証債務

金銭的担保−手付金

専門法律−仮登記担保

判例承認の担保 譲渡担保・所有権留保

相殺 権性の六種類の担保方法は︑民法上に直接的な明確な規定があるので︑典型担保方式といわれることがある︒

現実の日本の担保制度は︑︽日本民法典︾の規定する典型担保方式の外に︑ いろいろの非典型担保方式が存在し

ている︒これらの非典型担保方式は︑専門的な法律(民法に対する特別法)と判例の形態で︑担保制度の一部とし

て確立させられていることである︒例えば︑昭和五三年六月二 O 日に制定した︽仮登記担保契約に関する法律︾

は︑土地又は建物の所有権を目的物として︑民法の物権制度に基づいて︑金銭債務を担保するための特別な担保制

度である︒また︑日本社会の経済の発展と取引安全および担保の実際的事情の変化にしたがって︑判例の方式で︑

承認されている新たな担保方法として︑譲渡担保︑所有権留保︑相殺などが生み出されている︒

以上で述べたことを整理すると︑日本と中国の担保制度は︑ つぎのような構成になる︒

¥物権性担保││抵当権・質権・留置権・先取特権

典型担保 ¥ 

/債権性担保ーーー人的担保││保証債務

日本の担保制度

金銭的担保││手付金

非典型担保││専門法律││仮登記担保 / 

判例承認の担保││譲渡担保・所有権留保

││相殺

(7)

論  説 316

中国の担保制度  担保の基本規定・︽民法通則︾の担保についての原則的規定 \       ・︽担保法︾の基本規定  原則・担保契約・反担保**

      担保方式i人的担保ー保証人の保証

      /

      物的担保  法定担保  留置権

      /

      約定担保ー抵当権・質権

      /

      金銭約定担保  手付金︿定金﹀

**反担保は︑︽担保法︾の第四条に基づいて︑第三者は︑債務者のため︑債権者に対して担保を提供する場合は︑

  債務者に対して反担保を提供するよう請求することができる︒だから︑反担保ということは︑債務者が自身の

  契約担保設定者とする第三者のために︑担保を提供することである︒

316 

三A、 日間

中国の担保制度 担保の基本規定・︽民法通則︾の担保についての原則的規定 ¥ 

‑︽担保法︾の基本規定││原則・担保契約・反担保**

担保方式││人的担保│ii保証人の保証 / 

物的担保ーーー法定担保││留置権

約定担保ーーー抵当権・質権

**反担保は︑︽担保法︾の第四条に基づいて︑第三者は︑債務者のため︑債権者に対して担保を提供する場合は︑ 金銭約定担保││手付金︿定金﹀

債務者に対して反担保を提供するよう請求することができる︒だから︑反担保ということは︑債務者が自身の

契約担保設定者とする第三者のために︑担保を提供することである︒

(8)

二 中国と日本の担保制度の内容

 債権の実現と債務の弁済を確保することを目的とする担保法律制度は︑ローマ法以来現代資本主義の各国に至る

まで︑終始︑充分に注目されてきており︑持続的な発展と完備の途上にある︒フランス︑ドイツ︑スイス︑日本等

の大陸法諸国の民法典はすべて担保制度について︑明確に規定している︒英米法上の担保制度は大陸法のように統

一的な成文法典として規定していないが︑多くの裁判所判例といくつかの成分法は担保に関する内容を民事法律制

度の中の不可欠な重要な内容として繰り返し使用し︑特に強調している︒

 現代諸国の民商法律制度の発展の結果は︑取引などの経済及び貿易を保護する内容について︑国際化の趨勢が漸

く強くなっており︑成文法と判例の役割を結びつける趨勢も出現している︒そこで︑現代の日本と中国の担保法律

制度の内容については︑それぞれつぎのような特徴を持っていると指摘することができる︒

1

中国の担保制度の内容

 担保制度は︑中国の法律界で一般的に債の担保あるいは債の担保方式と言われ︑これは二つの角度から理解する

ことができる︒すなわち︑債権のほうから見ると︑債権の順調な実現を確かに保障することである︒債務のほうか

ら見ると︑債務者が自ら進んで債務を履行するのを促がすことである︒それゆえ︑時には債権担保あるいは債務担

保と呼ぶことがあり︑実際にもすべて債権の履行を担保することを指し︑法律の規定あるいは当事者の約定に照ら 中国と日本の担保制度の内容

債権の実現と債務の弁済を確保することを目的とする担保法律制度は︑ ローマ法以来現代資本主義の各国に至る

まで︑終始︑充分に注目されてきており︑持続的な発展と完備の途上にある︒フランス︑ドイツ︑ スイス︑日本等

の大陸法諸国の民法典はすべて担保制度について︑明確に規定している︒英米法上の担保制度は大陸法のように統

一的な成文法典として規定していないが︑多くの裁判所判例といくつかの成分法は担保に関する内容を民事法律制

度の中の不可欠な重要な内容として繰り返し使用し︑特に強調している︒

現代諸国の民商法律制度の発展の結果は︑取引などの経済及び貿易を保護する内容について︑国際化の趨勢が漸

く強くなっており︑成文法と判例の役割を結びつげる趨勢も出現している︒そこで︑現代の日本と中国の担保法律

制度の内容については︑それぞれつぎのような特徴を持っていると指摘することができる︒

中国の担保制度の内容

担保制度は︑中国の法律界で一般的に債の担保あるいは債の担保方式と言われ︑これは二つの角度から理解する

ことができる︒すなわち︑債権のほうから見ると︑債権の順調な実現を確かに保障することである︒債務のほうか

ら見ると︑債務者が自ら進んで債務を履行するのを促がすことである︒それゆえ︑時には債権担保あるいは債務担

保と呼ぶことがあり︑実際にもすべて債権の履行を担保することを指し︑法律の規定あるいは当事者の約定に照ら

(9)

論  説 318

して︑債権債務関係の当事者双方は債権目的の実現を推進するために一定の措置を取る︒担保措置を設定するかど

うか︑設定の方法については︑債権の当事者の信用に基づいて︑債権の具体的事情や担保を提供する主体や担保自       ︵1︶ 身の内容などが同じでなく︑通常は次のように異なる種類に分類することができる︒

 実は中国の民法理論では︑契約上の債権の担保に関して︑一般担保と特別担保に分けられている︒いわゆる一般

担保とは︑法律が債務者所有の全財産をもって︑契約上の債務の履行を担保することである︒債務者の財産の減少

を防止するため︑同時にさらに債権者代位権と債権者取消権という二つの債権の保護制度を設けている︒しかし︑

一般担保というのは︑ある一個の契約上の債権に対して特別でなく︑債権の種類や成立の前後に関係なく︑債務者

の全ての債権者を平等にみて︑債務者の財産をもってすべての債権者の債権を担保することである︒周知のよう

に︑債権の重要な特徴の一つは排他性がないことであり︑同一の債務者の一個の財産について同時にあるいは順次

にいくつかの契約上の債権を成立させることができ︑それぞれの債権の間に法律上の効力に優劣の区別がない︒あ

る特定の契約上の債権についていうと︑その成立の時に債務者の財産が十分担保を提供するに足りているが︑その

後債務者が二度三度と他の人と新たな契約上の債権を成立させることができ︑その結果は必然的に債権者の利益を

十分保障することができなくさせる︒そのため︑一般担保のほかに特別担保制度がある︒この制度を設ける目的は

まさに特定の契約上の債権を保護することである︒中国の︽担保法︾上の債権担保と称するものは︑一般担保を指       ハ レ すのではなく︑もっぱら特別担保を指している︒

 ①︽担保法︾の主旨と適用範囲

 ︽担保法︾の主旨に関して︑︽担保法︾の第一条は︑﹁資金の融通および商品の流通を促進し︑債権の実現を保障

318 

して︑債権債務関係の当事者双方は債権目的の実現を推進するために一定の措置を取る︒担保措置を設定するかど

うか︑設定の方法については︑債権の当事者の信用に基づいて︑債権の具体的事情や担保を提供する主体や担保自

身の内容などが同じでなく︑通常は次のように異なる種類に分類することができる︒

三る、

日開

実は中国の民法理論では︑契約上の債権の担保に関して︑ 一般担保と特別担保に分げられている︒ いわゆる一般

担保とは︑法律が債務者所有の全財産をもって︑契約上の債務の履行を担保することである︒債務者の財産の減少

を防止するため︑同時にさらに債権者代位権と債権者取消権という二つの債権の保護制度を設けている︒しかし︑

一般担保というのは︑ある一個の契約上の債権に対して特別でなく︑債権の種類や成立の前後に関係なく︑債務者

の全ての債権者を平等にみて︑債務者の財産をもってすべての債権者の債権を担保することである︒周知のよう

に︑債権の重要な特徴の一つは排他性がないことであり︑同一の債務者の一個の財産について同時にあるいは順次

にいくつかの契約上の債権を成立させることができ︑ それぞれの債権の聞に法律上の効力に優劣の区別がない︒あ

る特定の契約上の債権についていうと︑ その成立の時に債務者の財産が十分担保を提供するに足りているが︑

そ の

後債務者が二度三度と他の人と新たな契約上の債権を成立させることができ︑ その結果は必然的に債権者の利益を

十分保障することができなくさせる︒そのため︑ 一般担保のほかに特別担保制度がある︒この制度を設ける目的は

まさに特定の契約上の債権を保護することである︒中国の︽担保法︾上の債権担保と称するものは︑

すのではなく︑もっぱら特別担保を指している︒ 一般担保を指

① 

︽担保法︾の主旨と適用範囲

︽担保法︾の主旨に関して︑︽担保法︾の第一条は︑﹁資金の融通および商品の流通を促進し︑債権の実現を保障

(10)

し︑かつ社会主義市場経済を発展させるため︑この法律を制定する︒﹂と規定している︒第二条はその適用範囲で

ある﹁貸借︑売買︑貨物運送及び加工請負等の経済活動において︑債権者は担保の方式によりその債権の実現の保

障を必要とする場合は︑この法律の規定により担保を設定することができる︒この法律に定める担保方式は︑保

証︑抵当︑質︑留置及び手付金とする︒﹂を明定している︒もちろん︑担保活動は︑平等︑自由意思︑公平および        パ レ 信義誠実の原則を守らなければならない︒︿第三条﹀

 ②人的担保としての保証

 人的担保というのは︑自然人又は法人によって自身の財産と信望をもって他人の債務の履行のために担保を提供

することを指す︒債務者が債務を履行しないときは︑担保者が担保契約に従って担保する範囲内で弁済する責任を

おう︒人的担保が第三者の担保より成ることもある︒いずれにせよ最終的に財産によって責任を確かなものにしな

ければならず︑担保者の身分上の責任ではない︒現代の商品経済社会においては︑人的担保制度のなかで典型的な

方法は保証である︒

 しかし︑現代の国際経済取引においても一種の新たな人的担保の方法  銀行担保が出現した︒この担保方法

を採用することは伝統的な保証方法と比べて債権者にさらに有利である︒銀行担保においては︑債権者が請求した

とき︑銀行はかならず直ちにすべての保証債権額を支払わなければならないという規定が存在するので︑銀行担保

は﹁請求によって即座に支払う﹂担保となり︑﹁請求によって即座に支払う﹂ということは債権者として速やかに

銀行から賠償を取得されることを可能にして︑保証担保よりずっとすぐれている︒銀行担保は国際経済取引におい

て日一日と広く活用されているが︑各国の法律︑とくに資本主義国家の立法はまだこれについての規定を作ってお し︑かつ社会主義市場経済を発展させるため︑この法律を制定する︒﹂と規定している︒第二条はその適用範囲で ある﹁貸借︑売買︑貨物運送及び加工請負等の経済活動において︑債権者は担保の方式によりその債権の実現の保 障を必要とする場合は︑この法律の規定により担保を設定することができる︒この法律に定める担保方式は︑保 証︑抵当︑質︑留置及び手付金とするよを明定している︒もちろん︑担保活動は︑平等︑自由意思︑公平および 信義誠実の原則を守らなければならない︒︿第三条﹀

② 

人的担保としての保証

人的担保というのは︑自然人又は法人によって自身の財産と信望をもって他人の債務の履行のために担保を提供

することを指す︒債務者が債務を履行しないときは︑担保者が担保契約に従って担保する範囲内で弁済する責任を

おう︒人的担保が第三者の担保より成ることもある︒ いずれにせよ最終的に財産によって責任を確かなものにしな

ければならず︑担保者の身分上の責任ではない︒現代の商品経済社会においては︑人的担保制度のなかで典型的な

方法は保証である︒

しかし︑現代の国際経済取引においても一種の新たな人的担保の方法││銀行担保が出現した︒この担保方法

を採用することは伝統的な保証方法と比べて債権者にさらに有利である︒銀行担保においては︑債権者が請求した

とき︑銀行はかならず直ちにすべての保証債権額を支払わなければならないという規定が存在するので︑銀行担保

は﹁請求によって即座に支払う﹂担保となり︑﹁請求によって即座に支払う﹂ということは債権者として速やかに

銀行から賠償を取得されることを可能にして︑保証担保よりずっとすぐれている︒銀行担保は国際経済取引におい

て日一日と広く活用されているが︑各国の法律︑ とくに資本主義国家の立法はまだこれについての規定を作ってお

(11)

論  説 320

      パ レ らず︑ただチェコスロバキアの一九六四年の︽国際貿易法典︾のみがこの新しい担保方式に触れている︒中国で

は︑実際の担保活動中でこのような内容の契約が出現した︒銀行担保を採用するときにはいろいろの問題があり︑

いかに債権者の悪意と権利濫用を防止するかが︑今日の各国の法律が直面している課題である︒

 中国の︽担保法︾に基づいて法律上において保証とは︑保証人と債権者とが︑約定し︑債務者が債務を履行しな

い場合は︑保証人が約定に従い︑債務を履行し︑または責任を引き受ける行為をいう︒すなわち保証の中心的内容

とは︑債務者が債務を弁済しない場合に︑保証人はその約束に基づいて債務を弁済し︑または責任を負うというこ

とである︒現在︑中国ではこのような担保方式をとる場合は比較的多い︒

 保証において︑︽担保法︾は保証人になりうるのは債務者の代わりに債務を弁済しうる能力を有する法人︑その

他の組織および公民であると規定する︒通常は国家機関及び学校︑幼稚園︑病院等の公益を目的とする事業団体︑

社会団体は保証人になれない︒

 保証の責任方式として︑一般保証と連帯責任保証を規定している︒一般保証とは︑債務者が債務を弁済しない場

合に︑債権者はまず債務者に債務の弁済を請求し︑訴訟または仲裁の手続きを経たのち︑債務者が債務を弁済しえ

ないことが確実になった場合に︑保証人が責任を負うべきであるという保証である︿第一七条﹀︒連帯責任保証と

は︑債務者が満期債務を弁済しない場合に︑債権者は債務者に債務の弁済を請求しうるし︑または保証人に保証範

囲内で責任を負うべきことを請求しうるという保証である︿第一八条﹀︒日本の法律と異なるのは︑︽担保法︾の第

一九条が﹁当事者が保証の方式につき約定せず︑又は約定が不明確である場合は︑連帯責任保証に従い保証責任を

引き受ける︒﹂として連帯保証責任の推定の規定が存在することである︒ ら

ず ︑

ただチェコスロバキアの一九六四年の︽国際貿易法典︾のみがこの新しい担保方式に触れている︒中国で

320 

は︑実際の担保活動中でこのような内容の契約が出現した︒銀行担保を採用するときにはいろいろの問題があり︑

いかに債権者の悪意と権利濫用を防止するかが︑今日の各国の法律が直面している課題である︒

呈A日間

中国の︽担保法︾に基づいて法律上において保証とは︑保証人と債権者とが︑約定し︑債務者が債務を履行しな

い場合は︑保証人が約定に従い︑債務を履行し︑または責任を引き受ける行為をいう︒すなわち保証の中心的内容

とは︑債務者が債務を弁済しない場合に︑保証人はその約束に基づいて債務を弁済し︑ または責任を負うというこ

とである︒現在︑中国ではこのような担保方式をとる場合は比較的多い︒

保証において︑︽担保法︾は保証人になりうるのは債務者の代わりに債務を弁済しうる能力を有する法人︑

他の組織および公民であると規定する︒通常は国家機関及び学校︑幼稚園︑病院等の公益を目的とする事業団体︑

社会団体は保証人になれない︒

保証の責任方式として︑ 一般保証と連帯責任保証を規定している︒ 一般保証とは︑債務者が債務を弁済しない場

合に︑債権者はまず債務者に債務の弁済を請求し︑訴訟または仲裁の手続きを経たのち︑債務者が債務を弁済しえ

ないことが確実になった場合に︑保証人が責任を負うべきであるという保証である︿第一七条﹀︒連帯責任保証と

は︑債務者が満期債務を弁済しない場合に︑債権者は債務者に債務の弁済を請求しうるし︑または保証人に保証範

囲内で責任を負うべきことを請求しうるという保証である︿第一八条﹀︒日本の法律と異なるのは︑︽担保法︾の第

一九条が﹁当事者が保証の方式につき約定せず︑又は約定が不明確である場合は︑連帯責任保証に従い保証責任を

引き受げるよとして連帯保証責任の推定の規定が存在することである︒

(12)

③物的担保

 物的担保というのは︑自然人あるいは法人によって自分の財産をもって自己あるいは他人の債務のために担保を

提供することを指している︒もし債務者が債務を履行しないならば︑債権者は担保の目的物である財産を処分する

行為によって優先的に弁済を受けることができる︒物的担保と人的担保はどちらも債権関係の契約に附属している

一種の関係を設定する︑すなわち担保の債務を成立させなければならないが︑前者は後者と担保の性質や内容にお

いて全く違っており︑従って両者の担保の実現方法も多くの点で異なっている︒周知のように物的担保は人的信用

の担保能力を排除し︑ただ特定の財産︿有形財産と無形財産﹀をもって担保の目的となしている︒また︑物的担保

がひとたび設定されると︑債権者に一定の物権を与えて︑物権の効力を有する︒従って︑物的担保は物権担保ある

いは担保物権といわれる︒それはすでに債権面に限られないで︑主要なものは物権の内容であり︑用益物権と並立

することである︒担保物権は債権の保障を実現する法律制度として多種多様な内容と種類をもっている︒

 現代の中国の担保制度において︑物的担保としては留置権︑抵当権︑質権の三種が規定されている︒

 a 留置権が法定担保方式として︑当事者の自由な約定によるものではなくて︑直接に法律の規定によって生じ

ることであり︑︽民法通則︾第八九条第四号と︽担保法︾第八二条に基づいて︑留置というのは︑債権者が契約の

約定に従って︑債務者の動産財産を占有し︑債務者が契約に約定された期限に従い債務を履行しない場合は債務者

が法律の規定により当該財産を留置し︑当該財産を評価して債務に充当し︑または当該財産を競売し︑あるいは換

価した代金により優先的に弁済を受けることである︒

 法律の規定にしたがって︑契約当事者の留置権設定についての約定は無効である︒しかし︑当事者は約定により

③ 

物的担保

物的担保というのは︑自然人あるいは法人によって自分の財産をもって自己あるいは他人の債務のために担保を

提供することを指している︒もし債務者が債務を履行しないならば︑債権者は担保の目的物である財産を処分する

行為によって優先的に弁済を受けることができる︒物的担保と人的担保はどちらも債権関係の契約に附属している

一種の関係を設定する︑すなわち担保の債務を成立させなければならないが︑前者は後者と担保の性質や内容にお

いて全く違っており︑従って両者の担保の実現方法も多くの点で異なっている︒周知のように物的担保は人的信用

の 担 保 能 力 を 排 除 し ︑ ただ特定の財産︿有形財産と無形財産﹀をもって担保の目的となしている︒また︑物的担保

がひとたび設定されると︑債権者に一定の物権を与えて︑物権の効力を有する︒従って︑物的担保は物権担保ある

いは担保物権といわれる︒それはすでに債権面に限られないで︑主要なものは物権の内容であり︑用益物権と並立

することである︒担保物権は債権の保障を実現する法律制度として多種多様な内容と種類をもっている︒

現代の中国の担保制度において︑物的担保としては留置権︑抵当権︑質権の三種が規定されている︒

留置権が法定担保方式として︑当事者の自由な約定によるものではなくて︑直接に法律の規定によって生じ

ることであり︑︽民法通則︾第八九条第四号と︽担保法︾第八二条に基づいて︑留置というのは︑債権者が契約の

約定に従って︑債務者の動産財産を占有し︑債務者が契約に約定された期限に従い債務を履行しない場合は債務者

が法律の規定により当該財産を留置し︑当該財産を評価して債務に充当し︑ または当該財産を競売し︑あるいは換

価した代金により優先的に弁済を受けることである︒

法律の規定にしたがって︑契約当事者の留置権設定についての約定は無効である︒しかし︑当事者は約定により

(13)

論  説 322

留置権を排除することが許される︿第八四条三項﹀︒留置により担保する範囲には︑主たる債権︑利息︑違約金︑

損害賠償金︑留置物の保管費用および留置権実行の費用が含まれる︒通常に留置権を有する主契約債権は保管契

約︑運送契約︑加工請負契約により発生する債権であり︑又は法律の規定により留置することのできるその他の契

約債権である︒

 b 抵当権という担保方式は︑一九九五年の︽担保法︾が新しい規定を設けて︑この前の法律の抵当についての

規定と比較して︑内容を一新した︒︽担保法︾の第三三条の規定によると︑この法律における抵当とは︑債務者又

は第三者が本法の三四条の掲げた財産の占有を移転しないまま︑その財産を債権の担保にあてることを指す︒債務

者が債務を弁済しない場合に︑債権者はこの法律の規定に基づいてその財産を時価に換算して︑債務に充当するこ

と︑又はその競売あるいは換金をもって︑代金から優先的弁済を受けることができる︒

 c 質あるいは質権という担保方式は︑抵当権に相対して占有を移転するか否という点について異なり︑抵当権

は占有を移転しないのに対して︑質権は財産の占有を債権者に引き渡すのであるから︑その担保する目的物とする

財産に対する管理については大きな差が存在する︒中国の︽民法通則︾等民法規範の中では︑担保物権の方式につ

いて抵当権と質権とを分けないままにすべて抵当︵抵押︶といわれていたが︑︽担保法︾は外国の経験を参考にし

て︑現実の担保法律関係に基づいて動産の質権を規定しているだけでなく︑中国の実際の需要に応じて権利質につ

いても規定している︒

 ④手付金の担保方式

 手付は︑中国︽担保法︾の中で定金というものである︒︽担保法︾第八九条は︑﹁当事者は当事者の一方が相手方

322 

留置権を排除することが許される︿第八四条三項﹀︒留置により担保する範囲には︑主たる債権︑利息︑違約金︑

損害賠償金︑留置物の保管費用および留置権実行の費用が含まれる︒通常に留置権を有する主契約債権は保管契

約︑運送契約︑加工請負契約により発生する債権であり︑又は法律の規定により留置することのできるその他の契

約 債

権 で

あ る

抵当権という担保方式は︑ 一九九五年の︽担保法︾が新しい規定を設けて︑この前の法律の抵当についての

規定と比較して︑内容を一新した︒︽担保法︾の第三三条の規定によると︑この法律における抵当とは︑債務者又

は第三者が本法の三四条の掲げた財産の占有を移転しないまま︑ その財産を債権の担保にあてることを指す︒債務

者が債務を弁済しない場合に︑債権者はこの法律の規定に基づいてその財産を時価に換算して︑債務に充当するこ

と︑又はその競売あるいは換金をもって︑代金から優先的弁済を受けることができる︒

質あるいは質権という担保方式は︑抵当権に相対して占有を移転するか否という点について異なり︑抵当権

は占有を移転しないのに対して︑質権は財産の占有を債権者に引き渡すのであるから︑ その担保する目的物とする

財産に対する管理については大きな差が存在する︒中国の︽民法通則︾等民法規範の中では︑担保物権の方式につ

いて抵当権と質権とを分けないままにすべて抵当(抵押) といわれていたが︑︽担保法︾は外国の経験を参考にし

て︑現実の担保法律関係に基づいて動産の質権を規定しているだけでなく︑中国の実際の需要に応じて権利質につ

い て も 規 定 し て い る ︒

④ 

手付金の担保方式

手付は︑中国︽担保法︾の中で定金というものである︒︽担保法︾第八九条は︑﹁当事者は当事者の一方が相手方

(14)

に対して手付金を交付して債権を担保とする旨を約定することができる︒債務者が債務を履行した後に手付金は代

金に充当し︑又は回収しなければならない︒手付金を交付した当事者は約定の債務を履行しない場合は︑手付金の

返還を請求する権利を有しない︒手付金を収受した当事者は︑約定の債務を履行しない場合は手付金の倍額を返還

しなければならない﹂と規定している︒

 手付金の担保としての性質は︑財産上の債権性の担保手段に属するか︑あるいは特別な物的担保である︒

2

日本担保法の内容

 現代の日本法律制度において貿易の発展と経済関係の複雑化に従って︑担保行為と担保制度も漸次︑重要な役割

をになっている︒融資であれ売掛取引であれ︑およそ債権は︑相手である債務者の返済資力に依存している︒した

がって︑もし支払を滞ったらただちに強制執行ができるとする強制執行の債務名義︑さらには支払を命ずる判決に

もとづき︑債務者の財産に対して強制執行をかけても︑債務者に資力・財産が欠乏し不足しておれば︑債権の回収

はその実効を収めることができない︒債権は特定の人に特定の行為をなさしめる権利であると一般にいわれている

けれど︑ある債権者に対して︑一般の法律効力を持つだけで︑特別な保護の効果を有しなかった︒このため︑債権

の回収をあらかじめ安全かつ確実にしておく方策が︑﹁担保措置﹂あるいは﹁債権担保﹂と呼ばれる制度である︒

 日本の担保制度に関して︑︽日本民法典︾に規定された四種の担保物権は︑とくに動産を目的物とする債権担保

については貿易および金融取引における担保に対する需要を満足させるものではなかった︒経済関係の取引から生

ずる担保の需要に基づいて︑民法典に規定される以外のさまざまな担保手段を生み出していくこととなった︒新た に対して手付金を交付して債権を担保とする旨を約定することができる︒債務者が債務を履行した後に手付金は代 金

に 充

当 し

又は回収しなければならない︒手付金を交付した当事者は約定の債務を履行しない場合は︑手付金の

返還を請求する権利を有しない︒手付金を収受した当事者は︑約定の債務を履行しない場合は手付金の倍額を返還

しなければならない﹂と規定している︒

手付金の担保としての性質は︑財産上の債権性の担保手段に属するか︑あるいは特別な物的担保である︒

日本担保法の内容

現代の日本法律制度において貿易の発展と経済関係の複雑化に従って︑担保行為と担保制度も漸次︑重要な役割

をになっている︒融資であれ売掛取引であれ︑ およそ債権は︑相手である債務者の返済資力に依存している︒した

がって︑もし支払を滞ったらただちに強制執行ができるとする強制執行の債務名義︑ さらには支払を命ずる判決に

もとづき︑債務者の財産に対して強制執行をか付ても︑債務者に資力・財産が欠乏し不足しておれば︑債権の回収

はその実効を収めることができない︒債権は特定の人に特定の行為をなさしめる権利であると一般にいわれている

けれど︑ある債権者に対して︑ 一般の法律効力を持つだけで︑特別な保護の効果を有しなかった︒このため︑債権

の回収をあらかじめ安全かつ確実にしておく方策が︑﹁担保措置﹂あるいは﹁債権担保﹂と呼ばれる制度である︒

日本の担保制度に関して︑︽日本民法典︾に規定された四種の担保物権は︑ とくに動産を目的物とする債権担保

323 

については貿易および金融取引における担保に対する需要を満足させるものではなかった︒経済関係の取引から生

ずる担保の需要に基づいて︑民法典に規定される以外のさまざまな担保手段を生み出していくこととなった︒新た

(15)

論  説 324

な担保権創設への動向の一端を担うのが︑譲渡担保をはじめとする︑一連の非典型担保とよばれる手段である︒周

知のように︑今日の取引社会においてはこれら非典型担保は非常に重要な地位を占めるものとなっている︒

 日本担保法における担保措置に対して︑理論上はさまざまな定義および分類がなされることがある︒たとえば︑

 このなかで︑物的担保と人的担保との分類がいちばん基本的な分類である︒

① 人的担保

 債務者のほかに他人を契約で加えることにより︑債権者がかかっていける責任財産の数量を増やす︑という担保

である︒最も代表的な人的担保である保証を例にしていえば︑債権者は債務者自身の責任財産だけにとどまらない

で保証人の責任財産をも当てにでき︑そのぶん債権回収の満足度が高められる︒債権回収ないし債権の満足を水︑

責任財産を水槽にたとえると︑保証人という水槽をつけ加えることによって︑債権者は水を取る先がふえるわけで

ある︒  人的担保には保証と連帯債務との二種がある︒およそ人的担保は︑担保する人の責任財産を附加することによ

り︑債権者の満足を安全にしようとするものである︒しかし人的担保つき債権者が保証人の財産に対して︑物的担

保におけるような優先弁済権をもたず︑具体的な物を支配できるわけでもない︒したがって︑保証人が多数の債権

者との間で︑借金その他の債務も負うし保証もするという状態のもとでは︑いくら保証人つきだからといっても︑

3 2 4  

な担保権創設への動向の一端を担うのが︑譲渡担保をはじめとする︑ 一連の非典型担保とよばれる手段である︒周

知のように︑今日の取引社会においてはこれら非典型担保は非常に重要な地位を占めるものとなっている︒

日本担保法における担保措置に対して︑理論上はさまざまな定義および分類がなされることがある︒たとえば︑

担 保

/一一一 一一「

人 物

担 担 的 的

保 保

f一一ーーー‑^ーーーーーーー、

非 典 典 型 型 担 担 保

G

約 法 定 定 担 担

保 保

f一 一 一 九 一 一 「

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① 

人的担保 このなかで︑物的担保と人的担保との分類がいちばん基本的な分類である︒

債務者のほかに他人を契約で加えることにより︑債権者がかかっていける責任財産の数量を増やす︑ という担保

である︒最も代表的な人的担保である保証を例にしていえば︑債権者は債務者自身の責任財産だけにとどまらない

で保証人の責任財産をも当てにでき︑ そのぶん債権回収の満足度が高められる︒債権回収ないし債権の満足を水︑

あ る

責任財産を水槽にたとえると︑保証人という水槽をつけ加えることによって︑債権者は水を取る先がふえるわげで

人的担保には保証と連帯債務とのこ種がある︒およそ人的担保は︑担保する人の責任財産を附加することによ

り︑債権者の満足を安全にしようとするものである︒しかし人的担保っき債権者が保証人の財産に対して︑物的担

保におけるような優先弁済権をもたず︑具体的な物を支配できるわげでもない︒したがって︑保証人が多数の債権

いくら保証人つきだからといっても︑ 者との間で︑借金その他の債務も負うし保証もするという状態のもとでは︑

(16)

その債権者は十分な満足を得られなくなるおそれがある︒すべて債権者平等の原則に服しており︑債権額の按分比

例による満足しか得られないからである︒人的担保は物的担保と比較して︑担保としての安全さが欠けている︒保

証は担保としての確実性が不十分だけれども︑その担保手続が簡単であり︑資産をもたない者に担保させようとす       ︵5︶ れば︑これによるほかない︒また比較的少額の融資をする際はわざわざ不動産担保をとるのも大げさである︒かよ

うにして︑保証の実用性が高く︑とりわけ企業融資などの場合は︑会社の担保提供と代表者の保証さらには彼の担

保提供とを併用することにより︑担保力を高めるのが通例である︒

 保証の法的性質は︑主債務と同一内容︑主債務への附従性・随伴性︑主債務に対する補充性などであり︑主たる

債務とは別個の債務である︒債権者に対して︑保証人の保証能力と資格が大切な問題であるのために︑︽日本民法

典︾の第四五〇条には保証人の条件を規定している︒自然人を保証人にする場合︑行為無能力者︿未成年者・禁治

産者・準禁治産者﹀に頼むことは︑彼らに保証債務負担を取り消して逃げることが認められているから︑債権者に

とっても冒険である︒法人を保証人にする場合は︑保証するという行為が三つの面で注意を要する︒すなわち︑法

令の制限に触れていないこと︑法人の﹁目的ノ範囲内﹂に属すること︑代表機関の代表権限が存在することであ

る︒

 ②物的担保

 物的担保とは︑債務者または第三者の提供する特定の財産を担保にあてる方法である︒土地・家・株式・公社

債・預金・宝石といった財産の価値をなんらかの手段で事前に確保しておき︑債務者が賃金など債務を弁済しない

場合には︑これらの財産の価値を入手するという方法で回収する担保方式である︒安定した価値をもつ物を選び︑ その債権者は十分な満足を得られなくなるおそれがある︒すべて債権者平等の原則に服しており︑債権額の按分比 例による満足しか得られないからである︒人的担保は物的担保と比較して︑担保としての安全さが欠けている︒保 証は担保としての確実性が不十分だけれども︑その担保手続が簡単であり︑資産をもたない者に担保させようとす れば︑これによるほかない︒また比較的少額の融資をする際はわざわざ不動産担保をとるのも大げさである︒かよ うにして︑保証の実用性が高く︑とりわげ企業融資などの場合は︑会社の担保提供と代表者の保証さらには彼の担 保提供とを併用することにより︑担保力を高めるのが通例である︒

保証の法的性質は︑主債務と同一内容︑主債務への附従性・随伴性︑主債務に対する補充性などであり︑主たる

債務とは別個の債務である

D

債権者に対して︑保証人の保証能力と資格が大切な問題であるのために︑︽日本民法

典︾の第四五 O 条には保証人の条件を規定している︒自然人を保証人にする場合︑行為無能力者︿未成年者・禁治

産者・準禁治産者﹀に頼むことは︑彼らに保証債務負担を取り消して逃げることが認められているから︑債権者に

とっても冒険である︒法人を保証人にする場合は︑保証するという行為が三つの面で注意を要する︒すなわち︑法

令の制限に触れていないこと︑法人の﹁目的ノ範囲内﹂に属すること︑代表機関の代表権限が存在することであ

② 

物的担保

物的担保とは︑債務者または第三者の提供する特定の財産を担保にあてる方法である︒土地・家・株式・公社

債・預金・宝石といった財産の価値をなんらかの手段で事前に確保しておき︑債務者が賃金など債務を弁済しない

場合には︑これらの財産の価値を入手するという方法で回収する担保方式である︒安定した価値をもっ物を選び︑

(17)

論  説 326

かつ︑価値の評価を誤らなければ︑担保としての確実性は高い︒したがって︑担保としては︑物的担保が主流の地

位をしめており︑民法もこのための制度を多く設けている︒

 物的担保は債権者に対して︑債権実現を担保する物上権利が生じるので︑物権担保あるいは担保物権とも称され

ている︒日本の民法中で︑物権の内容に属する担保物権は︑日本民法典上の担保物権・特別法上の担保物権・判例

法上の担保物権を含んでいる︒担保物権は︑物権の一種としての︸般的性質をもつほか︑独自的な通有性を有す

る︒普通は︑その主として民法典上の制限物権型担保物権について説かれるものである︒なお︑個々の担保物権に

は特有の性質がそれぞれ存在する︒総体的にみれば︑担保物権は︑用益物権と比較して︑付従性・随伴性・不可分

性.物上代位性数どの性質をもっている︒

 担保物権の効力は︑担保物権の類型によって違うことである︒

 制限物権としての担保物権の効力は︑それぞれの種類に応じてさまざまであるが︑以下のような効力が認められ

ている︒  a 優先弁済の効力  日本の担保制度の中で︑先取特権・質権・抵当権について認められる効力である︒すな

わち︑債務の弁済が得られないときには︑債権者は目的物を換価したうえ︑他の債権者に先だって弁済を受けう

る︒このように物の交換価値を債権者が掌握する効力のことを担保物権の優先弁済的効力という︒担保物権として

の本質的機能は︑この優先弁済的効力に存する︒

 b 留置的効力  債権担保のため目的物を債権者の手許に留置させ︑債務者に心理的圧迫を加えることにより

債務の弁済をうながす担保物権がある︒すなわち︑物の使用価値を債権者がとりあげるものであり︑これを担保物

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かっ︑価値の評価を誤らなければ︑担保としての確実性は高い︒したがって︑担保としては︑物的担保が主流の地

位をしめており︑民法もこのための制度を多く設けている︒

物的担保は債権者に対して︑債権実現を担保する物上権利が生じるので︑物権担保あるいは担保物権とも称され

三 ム 日間

ている︒日本の民法中で︑物権の内容に属する担保物権は︑日本民法典上の担保物権・特別法上の担保物権・判例

法上の担保物権を含んでいる︒担保物権は︑物権の一種としての一般的性質をもつほか︑独自的な通有性を有す

る︒普通は︑その主として民法典上の制限物権型担保物権について説かれるものである︒なお︑個々の担保物権に

は特有の性質がそれぞれ存在する︒総体的にみれば︑担保物権は︑用益物権と比較して︑付従性・随伴性・不可分

性・物上代位性などの性質をもっている︒

担保物権の効力は︑担保物権の類型によって違うことである︒

制限物権としての担保物権の効力は︑それぞれの種類に応じてさまざまであるが︑以下のような効力が認められ

て い

る ︒

優先弁済の効力 日本の担保制度の中で︑先取特権・質権・抵当権について認められる効力である︒すな

わち︑債務の弁済が得られないときには︑債権者は目的物を換価したうえ︑他の債権者に先だって弁済を受けう

る︒このように物の交換価値を債権者が掌握する効力のことを担保物権の優先弁済的効力という︒担保物権として

の本質的機能は︑この優先弁済的効力に存する︒

留置的効力 債権担保のため目的物を債権者の手許に留置させ︑債務者に心理的圧迫を加えることにより

債務の弁済をうながす担保物権がある︒すなわち︑物の使用価値を債権者がとりあげるものであり︑これを担保物

参照

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