• 検索結果がありません。

ゲルハル ト-ヴァ-グナ- 「仲裁判断の執行宣言の基本問題

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ゲルハル ト-ヴァ-グナ- 「仲裁判断の執行宣言の基本問題"

Copied!
44
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

ゲルハル ト‑ヴァ‑グナ‑

仲裁判断の執行宣言の基本問題」(1)

憲一郎

訳者前注】

ここに訳 出 したの は,GerhardWagner,GrundfragenderVollstreck‑

barerklarungvonSchiedssprtichen,in:B6ckstiegel/Berger/Bredow(Hrsg.),

DieVollstreckungvonSchiedssprtichen,SchriftenreihederDeutschenIn‑

stitutionftlrSchiedsgerichtsbarkeitBd.22,S.1比 である。原著 は,著者が2007 4月19日に ドレスデ ンで行 なった講演のテクス トに加筆 し,脚注 を補足 した

もの で あ る (ち なみ に,報 告 の原 題 は 「仲 裁判 断 の執行 宣 言 の法 的性 質」

(DieRechtsnaturderVollstreckbarerklarungvonSchiedssprOchen)であっ た)。 なお,著者 は1999年 よ りボ ン大学法律 ・国家学部の民法,民事訴訟法, 国際私法及び比較法講座の教授である

わが国の仲裁法 (平成1581日法律第138号)の解釈 にあたって, ドイ ツ法の持つ意味は きわめて大 きい。 とい うの も,仲裁手続に隣接する判決手続 に しろ,民事執行手続 にしろ, ドイツ民事訴訟法が母法なのであ り, ドイツ法 と基本構造 を同 じくす るとともに,そこでの議論が理論的に決定的な影響 を及 ぼ しているため,仲裁法の議論 において もこれを離れて論 じることはお よそ考 えられないか らである。原著は,著者が 《訴訟契約論≫に関す る教授資格論文

(ders.,ProzeLSvertrage‑Privatautonomieim Verfahrensrecht,VerlagJ.C.

B.Mohr,1998)において展 開 した入念 な判決手続 ・執行手続 に関す る基礎理 論的な研究 を踏 まえつつ,仲裁法の基本問題 にアプローチするものであ り,わ が国におけるこの分野の議論の展開にとって も, きわめて示唆的なもの と思わ れる。 また,新 しいオース トリアの仲裁法 も検討の対象 とされている点 も注 目

109

(2)

に値する。広 くわが国において も学界の共通財産 として重要 な意味 を持つ もの と思われるので,その全文 をここで紹介する次第である

Ⅰ.事例 と問題

ドイツ人の大学教授がある制度の ≪法的性質≫に対 して意見 を述べ ることを 試みる場合 には,慎重であることが適切である。かつて, まず第一にある法制 度の 《本質≫ を決定 し,その次に発見 された前提条件か ら実務的な個別問題の 解決のための結論 を引 き出す ことを目的 とした時代があった。た とえこの よう な見方が,概念法学の時代 を適切 にとい うよ りもむ しろ冷やか して記述 した も のだ として も,演樺的な行動様式の危険は,やは り看過することはで きない。

実際的な基礎づけが見失われないためには,個別事例が,執行宣言の法的性質 についての研究の冒頭 に立て られるべ きである。 これ らの個別事例 は,執行宣 言の法的性質が一定の役割 を演 じうる様 々な局面がはっきりと照 らし出される ように選び抜かれている。

* * * * * * *

事例 1〕

ある ドイツの仲裁判断の中で,被告 らは仲裁原告 に担保 目的物の換価金 を ド イツ倒産法 (以下 InsO」 とす る)171条 にもとづ く確定費用 ・換価費用の控 除の下で一定の最高価額 まで支払 うことを義務付 け られている。ベル リン高等 裁判所 は,強制執行の基礎 として考慮す るためには主文が特定 されていない と の理 由で,執行宣言 を拒絶 した。連邦通常裁判所 (以下 BGH」 とす る) は これをまさにその ように 〔‑主文が特定 されていない と〕見たが, しか しそれ にもかかわ らず執行許可手続は強制執行 を可能にす るとい う目的にのみ資する わけではない との理由で,執行宣言付与の申立てを全ての範囲で認容 した1)0

1)BGH,SchiedsVZ2006,278,279;同旨,OLGMtinchen,SchiedsVZ2006,165,166; SchlosserinStein/Jonas,KommentarzurZivilprozessordnung,22.Aufl.2002,

§1060Rdnr.2.

(3)

ゲルハル ト‑ヴァ‑グナ‑ 「仲裁判断の執行宣言の基本問題」(1) 111

事例2

合 意文言付 きの仲 裁判 断の中で, あ る建 設業者 が シ ョッピ ングセ ンター Dresden‑Gorbitzに二種の修繕作業の義務 を負っている。執行宣言の付与 を求 める申立てに対 して,建設業者 は抗弁 し,彼 は修繕作業の一方 を対応する金銭 の支払いによって交代する準備がで きてお り,かつ, もう一方に関 しては引 き 受 けた義務 を履行 した とい う。 ドレスデ ン高等裁判所 は,申立ての相手方が任 意の給付 に応ず る意向を示 した限 りで も,仲裁判断の執行宣言の権利保護の必 要性 を肯定 した。裁判所 は,本案の中で,実行 されたと主張 される修繕作業が 仲裁判断の前提要件 に合致するか どうかを再審査 し,ドイツ民法 (以下BGB」

とす る)362条 による履行の効果 を肯定 し,執行許可手続の申立て をその限度 で棄却 した2)

事例3

仲裁手続 において敗れた当事者が,執行宣言の付与 を求める申立てに対 して, 仲裁合意に含 まれず,それゆえ仲裁延の前で主張 されえなかった反対債権の相 殺で もって対抗 している。バ イエル ン高等裁判所 は相殺 を執行許可手続で審査 することを拒絶 し,申立ての相手方 に請求異議訴訟 を指示 した3)0

事例4〕

スイスの国際仲裁手続で (スイス国際私法法律 (以下 IPRG」 とす る)176 条 1項), ドイツ人の被告 は仲裁延 の管轄 を争 っている。IPRG1863項 によ

る先行的判断の中で,仲裁延 は有効 な仲裁合意が存在す るとの理由で 自らの管 轄 を肯定 している。被告 はこの先行的判断 をIPRG1903項,同2b文 に もとづいて 〔スイス〕連邦裁判所で取 り消す こと (IPRG19111文) を放 棄 している。 ドイツでの執行宣言付与の申立てに対 して,被告はニュー ヨーク

2)OLGDresden,Beschl.V.9.2.2005,llSch03/04,unterII2.

3)BayObLG,JZ2000,1170mitAnn.Wagner,ReaktionPetersundSchlusswort Wagner,JZ2001,598f.=MDR2000,968nitAnm.Weigel=NJWIRR2001,1363.

(4)

条約51項 a)文にもとづ く有効 な仲裁合意の欠鉄 を援用 している。ハム高 等裁判所 は,被告が誠実 な訴訟追行命令 に違反 している,すなわち被告 は先行 的判断をスイスにおいて取 り消 してお くべ きであった, との理由でこれを排斥

している4)

事例5〕

ドイツを本拠地 とす る企業が,ウクライナの商工会議所の国際商事仲裁延か 30.000ユーロ弱の支払いを命 じられた。 ドイツにおける仲裁判断の執行許可 に対 して,前の仲裁被告 は,仲裁延が法的審尋 を付与せず,内容上懇意的な判 断が なされた との主張 で もって防御 してい る。 カールスルーエ高等裁判所 は ニュー ヨーク条約51b)文の承認拒否事 由にもとづ く取扱いを拒絶 し, む しろ,申立ての相手方が ウクライナにおいて仲裁判断をそこで予定 されてい る法的救済で もって取 り消 さなかった との理由で,念のために審理 しているに す ぎない5)。 この法的救済は,仲裁判断の言い渡 し後3か月以内になされな く てはな らず,執行許可手続での判断の時点において もはや許 されなかった。

* * * * * * *

上述の裁判所の判断は,すべて数年前 になされた ものであ り, したがって時 事性の点で望みがあるか どうかは分か らないのだが,執行宣言 をめ ぐる問題が どの くらい多様であ りうるかを示 している。明 らかになった法律問題は以下の とお りである。すなわち ‑

一執行許可手続は,執行力のある内容の仲裁判断に限定 されるのか,あるいは仲 裁判断が,内容上,強制執行には全 く適 さないものであっても利用で きるのか ? 一仲裁債務者 は,ZPO307条の認諾の表示 によって執行許可手続 を簡略化 し,

このや り方で,ZPO93条のその他 の要件 の存在す る場合 に敗訴の費用負担

4)OLGHamm,SchiedsVZ2006,106に依拠。

5)OLGKarlsruhe,SchiedsVZ2006,335,336;同旨,OLGKarlsruhe,SchiedsVZ 2006,281,282f.;OLGStuttgart,Beschl.V.14.10.2003,1Sch16/02und1Sch6/03, unterBII1a.

(5)

ゲルハル ト‑ヴァ‑グナ‑ 「仲裁判断の執行宣言の基本問題」(1) 113 を免れることがで きるのか ?

‑ZPO767条の請求異議訴訟 に対す る執行許可手続の関係 は, どの ように決め られな くてほな らないか ?仲裁手続 において処理 されなかったか,又 は処理 されえなかった実体法上の抗弁は,仲裁判断の執行宣言 を求める手続 におい て処理 され,又 は請求異議訴訟での提 出を指示 されな くてほな らないか ? 外国仲裁判断の場合 には, さらなる問題が付 け加 わる。すなわち ‑

一外国仲裁手続 において敗れた当事者 は,その者が対応する異議 を提 出せず, 利用可能な上訴 を利用 しなかった との理由で, ドイツにおける仲裁判断の執 行宣言に対 して,仲裁地では もはや主張で きない手続的暇庇 を援用すること によって,防御することがで きるか ?

‑ 申立ての相手方 は,外国仲裁判断についての執行許可手続 において,仲裁判 断の中で確定 された実体法上の請求権 に関係する抗弁で もって防御すること はで きるか ?

上述の裁判所の判断は, この問題‑の解答 を与 えたにもかかわ らず,確実 な 法状態 は述べ ることがで きていない。執行力のない内容の仲裁判断の事例 を除 いて6),BGHの判断は未解決であるが,高等裁判所 は正 しい解決 をめ ぐって 対立 している。BGHはまた,学説上,執行許可手続の 目的 とい うその広い観 点について批判 されている。 これ らすべての意見の相違の背景には,ひ ょっと するとあるいは古 くさく感 じられる,執行宣言お よびそれに向け られた手続の

法的性質≫ に関する問題がある。

Ⅰ.判決の執行力

強制執行は,国家の強制による権利の実現であるが, これは権力の独 占自体 を要求する法治国家 においては,個人の 自力救済に代 わって生 じる7)。 しか し

6)これについてはとりあえず,BGH,SchiedsVZ2006,278;詳細は,後記 7)Baur/Stiirner/Bruns,13.Aufl.2006,Rdnr.1,1;Brehm,inStein/Jonas,Kommen‑

tarzurZivilprozessordnung,22.Aufl.2003,VorSlRdnr.9;Rosenberg/Gaul/

(6)

その場合 に,国家 の強制機 関は 自ら活動 す るわけで はな くて,利害 を有す る私 的 な当事者 ‑ 債権者 ‑ に よって作動 させ られ な くてはな らない。 強制執 行 の要求 は, い まや簡単 に実体 法上 の請求権 で理 由づ け られ うるので はない。

とい うの は,そ うだ とす る と執行機 関は強制執行手続 の枠 内で債権者 の実体 法 上 の請求権 を確 定 しなけれ ばな らな くなるか らであ る。 この こ とを回避す るた め に,権利 行使 手続 は2つ の段 階 に分離 されて い る。す なわ ち

,

民事 訴訟法 上 の〕判決手続 と独 自の強制執行手続 であ る8)。判 決手続 にお いて は実体法上 の請求権 が裁判所 に よって争訟 的 な対立 に よって確定 され るが,強制執行機 関 は この ような任 務 を免 除 されてい る。 そのための技術 的 な手段 はいわゆる強制 執行 の形 式化 で あ り, その核 心 は,執行機 関 に よる審査 は文書 ‑ い わゆ る 債務 名義 ‑ の存在 に限定 され る, とい う点 にあ る。 強制 執行 は,債権 者 が 執行機 関に,実現 され るべ き請求権 が執行可能であ る と証 明す る公的文書 を提 出 しえた場合 にのみ, なされ うる9)

学説 お よび実務 にお いて もっ とも重要 な執行名義 は裁判所 の判決であ り, し たが って,法律 の起草者 はZPO第10編 の強制執 行 の規律 をそれ に合 わせ た。

ZPO7041項 に よれ ば,強制執行 は確 定 し又 は仮 執行宣言 の付 され た終局判 決 に もとづ いて実施 され る。《仮 執行宣言 の付 された≫ とい う選択肢 に もかか わ らず,ZPO704条 で話題 にされてい る内国裁判所 の判 決の場合 ,《執行宣言≫

は存在 しない。 内国裁判所 の判決 はむ しろ,確 定す れば直 ちに執行す るこ とが で きる。 た しか に未確 定判 決 はただ ちに執行力 を有 す るわけで はないが, しか し執行名義 と しての適性 は特 別の手続 において付与 され るので はな くて,受訴 裁判所 に よって,その判 断の流 れの中で付与 され る。 その際 に事前 の担保提供 の必 要性 と額 のみが判 断 され な くて は な らない (ZPO708条 以 下)。仮 執 行 宣 言 には特別 の費用 はい らない。

Schilken,Zwangsvollstreckungsrecht,llAufl.1997,S.4;BVerfGE88,118,123 NJW 1993,1635も参照。

8)いわゆる強制執行の形式性 ;Baur/Stiirnerm runs(Fn,7)Rdnr.6.53参照0 9)Rosenberg/Gaul/Schilken(Fn.7),S.99;Bau7,/Stiirner/Bruns(Fn.7),Rdnr.13.1

(7)

ゲルハル ト‑ヴァ‑グナ‑ 「仲裁判断の執行宣言の基本問題」(1) 115

.仲裁判断の確 定力 と執行力 1.仲裁判断 と確定力を有する判決の等置

ZPO1055条 によれば,仲裁判断は当事者 間において ≪確定 した裁判所の判 決の効力≫を有する。仲裁判断を確定 した裁判所の判決 と等置することは,新 仲裁法 (SchiedsverfahrensNeuregelungsgesetzes)の発明ではな く,長い伝 統 を有す る。既 に1877年 のその当初 の形式 にお ける帝 国民事訴訟法 (以下

CPO」とする)は仲裁判断に 《確定 した裁判所の判決の効力≫を与えてお り, この規律はあ らゆる改正 を超 えて1998年の改正の前夜 まで実質的に変更するこ とな く当時のZPO1040条の中に残 された。

ZPO1055条の定式は簡潔かつ明確 なようであるが, まさにこの性格 のゆえ にそれは現実の問題 を超えて 〔人を〕欺 く。規定の文言にもかかわらず,仲裁 判断は,その言渡 し又 はZPO1054条の形式性 を満足することによって,確定 判決 と等置 されているわけではない。

2.仲裁判断の形式的確定力か ?

確走力はそれがいかなる上訴によってももはや取 り消 されえないということ によって特徴づけられる。 このいわゆる形式的確走力は,仲裁判断にはない。

けだ し,それはZPO1059条の取消の訴 えに服するか らである。た しかに確定 判決 もまた,すなわちZPO578条以下の再審手続の枠内において,なお除去 さ れ うるというのは正 しい。 しか し,ZPO579条以下に列挙 された無効事由と原 状回復事由の リス トは,明 らかにZPO10592項 による取消事 由の範噂の背 後にとどまっている。根本的に,無効の訴えにとっては裁判所が適正に構成 さ れず又 は当事者が適法に代理 されなかったというケースが問題なのであ り,こ れに対 して,原状回復の訴えは判決が刑法上重大なや り方で詐取 された場合 に 詑め られ,そのために,そこでは当然の帰結 として刑事裁判所の有罪判決が必 要 とされている (ZPO5811項)。ZPO10592項の範噂を一瞥するだけで, 仲裁判断がはるかに広い要件の下で取 り消 されうるということが分かる。

(8)

3.抗弁 による第二の手続 に対 する遮断効

判決 の既判力 は職権 で顧慮 され なけれ ばな らないが10), この こ とは通説 に よる と仲裁判断には妥 当 しない。1998年の改正法の資料 の中で明示的 に示 され てい るように11), これ は第二の手続 で抗 弁 に もとづ いては じめて効力 を生 じ る。判決の既判力が 当事者 に とって処 分可能で はないの に対 して12),通説 に よれば,紛争 を二度 日に私 的な仲裁延又 は国家裁判所の面前で判断 させ るため に仲裁判 断の既判力 を放棄す るこ とは,当事者 の 自由に委 ね られてい る13) この ような判決 について妥 当す る基本原則の修正 は,仲裁判断の既判力 は 《2 級 の≫ それであ ってはな らない, とのス ロー ガ ンで もって争 われてい る14)0 決定的なのはむ しろ両 当事者がいつで も国家裁判所 による紛争解決へ立 ち返 る ことがで きる とい うことであ り,他方では, しか し,乏 しい司法資源の効率的 な利用 とい う利益 において,裁判所 はただ一 回限 りでその当事者の法的争訟 に

10)BGHZ82,246,247f.;BGH,LM Nr,5zu§514ZPO;NJW 1984,126,127;1985, 2535,2536;NJWIRR1987,642,643;FamRZ1990,280,281;BCH,NJW 1991,2295, 2296(‑JR1992,281mitAnn.Schilken);BVerwG,MDR1962,427i.;BSG,JZ1961, 504i.:Reichold,inThomas/Putzo,KommentarzurZivilprozessordnung,28.Aufl.

2007,§322Rdnr.13.

ll)BTIDrucks.13/5274,S.56f.;RG,JW 1920,703,704nitzust.Anm.Kisch,BGH, NJW 1958,950;Miinch,inM(inchKommZPO,2.Aufl.2002,§1055Rdnr.8;

Stein/JonasSchlosser(Fn.1),§1055Rdnr.5;Thomas/Putzo‑Reichold(Fn.10),

§1055Rdnr.2;異説は,Volt,inMusielak,KommentarzurZivilprozessordnung,5. Aum2007,§1055Rdnr.5;Geimer,inZ611er,KommentarzurZivi1prozessordnung, 26.Aufl.2007,§1055Rdnr.8.

12)詳細は,Wagner,Prozessvertrage‑Privatautonomieim Verfahrensrecht,1998, S.711ff.

13)RGZ146,262,267f.;RG,JW 1920,703,704nitlust.Anm.Kisch;BayObLG, MDR1984,496;OLGBremen,NJW 1957,1035.1036;Stein/JonasISchlosser(Fn.1),

§1055 Rdnr.4,5;MtinchKommZPO‑Miinch (Fn.ll),§1055 Rdnr.15;

Thomas/Putzo‑Reichold(Fn.10),§1055Rdnr.2;Z611erGeimer(Fn.ll),§1055 Rdnr.10;異説は,Musielak‑Volt(Fn.ll),§1055Rdnr.6.

14)しか し,このように述べているのは,Walter,FSSchwab,1990,S.539,555;ders., in:Schwab/Walter,Schiedsgerichtsbarkeit,7.Aufl.2005,Rap.21Rdnr.6f.;W.

Bosch,RechtskraftundRechtshangigkeitim Schiedsverfahren,1991,S.54,78ff.: Loritz,ZZP105(1992),1,12f.;古 くは既に,Habscheid,KTS1958,177,178f.;Lin‑

dacher,KTS1966,153,156i.

(9)

ゲルハル ト‑ヴァ‑グナ‑ 「仲裁判断の執行宣言の基本問題」(1) 117 っいて要求 に応 えることが許 されるにす ぎない15)。結局,当事者 はZPO1032 1項 に よればいつで も合意 によって仲裁合意の実現 を無視す ることがで き る。当事者 に仲裁判断の免除による処分の 自由が認め られるべ き理由について は,明白ではない。

4.執行力の欠如

特 に明確 なことは,判決の効力 と仲裁判断の効力が,執行力の点で食い違 っ ている点にある。確定判決 とは反対 に,仲裁判断か らはただちには執行 はなさ れず,む しろそれ にはZPO1060条 に よる国家裁判所 に よる執行宣言が必要で ある。 もし裁判所が 申立てにもとづいてその ような宣言 をただちに発すること がで きるのであれば,この要求 を単 なる形式 として処理す ることもで きようが,

しか し, まさの この ことが妥 当 しないのである。 む しろ裁判所 はZPO1059 2項に列挙 された取消事由が存在する場合 には,執行宣言の付与 を拒絶 しなけ ればな らない。取消事 由はこの ように して承認拒否事由に活用 されている。

その ような法状況は確定判決の場合 には考 え られないであろう。た しかに, 確定判決のみならず仮執行宣言の付 された判決 をも強制執行のための適切 な債 務名義 として承認 しているZPO7042項が既 に示 しているように,執行力 は 既判力 の必然的な構成要素 ではない16)。それに もかかわ らず,学説上,一部 では既判力 と執行力の間のあ らゆる関係が否定 され

,

その〕証明のために, た しかに既判力 を有す るが,それに もかかわ らず執行力 を有 しない,例 えば確 認判決お よび形成判決のごとき判決があると指摘 されているのは行 き過 ぎであ 17)。 この債務名義 は,執行力 を有す る判決主文 をもたないがゆえに本案 に おいて執行力 をもたないが,費用請求権 にもとづ く強制執行 はただちに可能だ か らである。確定判決は執行力ある内容 を有 しては じめて,常 に執行すること

15)詳 しくは,Wagner(Fn.12),1998,S.715f.

16)Rosenberg/Schu)ab/Gottu)aid,Zivilprozessrecht,16.Aufl.2004,%148Rdnr.4. 17)Rosenberg/Schwab/Gottwald(Fn.16),$148Rdnr.4.

(10)

がで きる。

執行宣言 の手続 は,例 えば強制執行 の一部分 で はな く,反対 に判決手続 に属 してい る18)。 そ れ は国家 的 な強制 を用 い た請 求権 の実現 とい う意 味 での強制 執行 を規律 してい るので はな く,強制執行 のため に必要 な債務名義 をまず は作 り出 してい るのである。す なわち,執行宣言 の手続 の任務 は債務 名義 の作成 で あ って19),強制 的 な使用 で は ない20)。zpolO60条 以下 の執行 許可手続 につ い ての特 別 な規 定 は首尾一貫 してZPO704条 以下 で はな く,一般 に判 決手続 につ いて妥 当 してい るZPOの第1編 の諸規定 を修正 してい るのであ る21)。 もちろ ん特別 な判 決手続 と して執行許可手続 を性 質決定す るこ とは,いか なる内容 を 求め られた判 断が本 来持つべ きか,換 言すれ ば執行許可手続 の訴訟物 は何 であ るか につ いて は,末 だ説 明 を してい ない。

5.仲裁判断 の有効性 と完全性

結局,仲裁判 断の場合 には ‑ 判 決の場合 とは異 なって ‑ 単 なる ≪有効 (Wirksamkeit)≫ と 《完全性 (Vollwirksamkeit)≫ が 区別 され なけれ ば な らない。 単 な る仲 裁 判 断 の有 効性 は,ZPO105932文 か ら推 して考 え ら れ る よ うに,既 に一方 当事 者 に よる仲 裁判 断の受領 で もって生 じる22)。 国家 裁判所 お よび強制執行機 関に とって拘束力 を有す る とい う意味での仲裁判 断の

≪完全性 ≫ は, これ に対 して,原則 と して仲 裁判 断がZPO1059条 の 中で列挙

18)このように述べているのは,外国判決の執行許可につ き,BGHZ118,312,316;

Miinzberg,inStein/Jonas,KommentarzurZivilprozessordnung,22.Aufl.2002,

§722Rdnr.3;Rosenberg/Schu)ab/Gottu)ald(Fn.16),§181Rdnr.2;Schu)ab/Walter (Fn.14),Kap.27Rdnr.3.

19) Wolff,inHandbuchdesInternationalenZivilverfahrensrechts,BandIII,Tei1 band2,1984,Kap.VRdnr.14.

20)MtinchKommZPOIMijnch(Fn.ll),§1060Rdnr.3.

21)BGH,NJW‑RR2002,933,933;Stein/JonasSchlosser(Fn.1),§1063Rdnr.1;

Z611erGeimer(Fn.ll),§1060Rdnr.1.

22)Stein/JonasSchlosser(Fn.1),§1054Rdnr.13;Lachmann,HandbuchfLirdie Schiedsgerichtspraxis,2.Aufl.2002,Rdnr.1022.

(11)

ゲルハル ト‑ヴァ‑グナ‑ 「仲裁判断の執行宣言の基本問題」(1) 119 された欠陥がない とい うことを前提 としている。既 に述べたように,仲裁判断 の完全性 は,ZPO1055条の文言 に もかかわ らず,単 なる有効性 のみか ら生 じ るわけではない。

Ⅳ.取 消, 承認 お よび執行 許可 1.外国判決 と仲裁判断 :承認の場合のみの執行許可

執行宣言 は内国仲裁判 断の場合 だけではな くて,ZPO10251,1043 1項の意味における外国仲裁判断の場合及 び外 国判決の場合 にも必要である。

外 国の国家裁判所 の判決 は,ZPO722,723条 に もとづ く自律 的な ドイツの 国内民事訴訟法の措置 によるか,「民事及び商事事件 における裁判管轄及び裁 判執行 に関す るEC規則Nr.44/2001」 (以下 EuGVVO」 とす る)38条以下 にもとづ くヨーロッパ統一法の措置 によるかのいずれかの執行宣言が必要であ る。 自律法 によれば,内国における執行許可 は,外国判決が判決 を下 した国の 法 的規律 に よる と確定 した とい うことが前提 である (ZPO72321文) それ とは反対 に,EUの域内領域 においては,EuGVVO32条によって判決 を下 した国では仮執行可能であるにす ぎない判断 も,内国において執行宣言 を付与 されな くてはな らない。ZPO72322,EuGVVO45条 による外国判決の 執行宣言は,承認拒否事由が存在する場合 は拒否 され,又は債務者の法的救済 にもとづいて破棄 されな くてはな らない。 したがって,例 えば,債務名義 を作 り出 した裁判所 が 内国法 に よれば管轄権 を有 しない場合 (EuGVVO351 ,ZPO32811号),法 的審 問 が軽 視 され た場 合 (EuGVVO342 ,ZPO328条 1項2号)又 は判決の承認が内国の公序 と一致 しない結論 に到 達す る場合 (EuGVVO341, ZPO32814号) には,判決の執行許可 は拒否 されな くてはな らない。

ZPO72322文が執行許可手続 とZPO3281項の承認拒否事 由 とを咲 み合 わせているので, 自律法 による執行許可手続 は外国判決の単 なる有効性の 問題に限定 されるとい うことが排除される。判決の執行許可の訴訟物 は外国の

(12)

債務名義の コン トロールで もあ り,著 しい暇庇のない手続の結果か どうか,お よび内容的に正 当か どうか とい うことにある。 しか し,ZPO7231項 は実質 的再審査 (re'visionaufond)を明示的に排 除 しているので,内国の法廷地法 の手続的かつ実体的基本原則 に対する重大 な侵害のみ を承認お よび執行許可手 続 を拒絶す るための きっかけとす るとい う,非常 に限定 された審査基準が妥当

している。

承認手続 と執行許可手続の岐み合 わせ にEuGVVOの レジーム ももとづいて いるが,迅速 な執行に対す る債権者の利益 とヨーロッパの域内市場 における裁 判所の平等価値の主張 に義務 を負わされているとい う特殊性が妥当す る。 こう した理 由か ら,債権者 は,EuGVVO411項 による執行許可 を裁判所 が外 国 裁 判 の 単 な る 有 効 性 を確 か め た と き既 に 手 に 入 れ る が (EuGVVO53 秦),EuGVVO431項,45条 による判決の完全性 は,債務者のイニシアテ イ

ヴにもとづいては じめて審査 される23)

ZPO1061条 によればニ ュー ヨー ク条約の規律 によって執行宣言 を付与 され るべ きZPO10251項,同10431項の意味における外 国仲裁判 断の場合 に もまた, 自律法による外 国判決の執行の場合 と全 く同様の関係 にある。ニュー ヨーク条約5条 もまた,承認 と執行宣言 を,手続的な最低限の基準 を侵害 し, 執行国の公序 に対する侵害がある場合 には執行宣言は拒絶 されなければならな い とい うや り方で結び合 わせている

2.模範法 :内国仲裁判断の承認および執行許可

模範法の起草者 はニュー ヨーク条約 とい う手本 を じっ くりと観察 し,内国仲 裁判 断 と外 国仲裁判断の間の鋭 い違 いを埋 め ようとい う関心 を追求 した24) 起草者 はそれに したがってニュー ヨーク条約5条の規律技術 を国内の法的取引

23)単なる有効性 と完全性の区別については,前記Ⅰ.5

24)Holtzmann/Neuhaus,AGuidetotheUNCITRALModelLawonInternational CommercialArbitration,1989/94,S,915;仲裁地の重要性を減少させるという模 範法の基本ポリシー≫

(13)

ゲルハル ト‑ヴァ‑グナ‑ 「仲裁判断の執行宣言の基本問題」(1) 121 に拡大 した。UNCITRAL模範法によれば,仲裁判断の効力 はまず第一 に,両 当事者相互の債務法上の関係 に限定 されている。それが完全 に効力 を獲得する には,仲裁判断は模範法351項によれば管轄権 を有す る国家裁判所 による執 行又は執行宣言だけではな く, さらに 《拘束力があるもの としての≫承認 も必 要である。模範法351項 にはっきりと明示 されているように,承認の要件 は, 外国仲裁判断だけではな くて,内国仲裁判断について も妥当す る。要す るに,≪ど の国でそれ (仲裁判断)が下 されたか どうかにかかわ りない≫と言っている25) 仲裁判断の承認 と執行宣言は,模範法36条により,模範法34条が仲裁判断の 取消 しを可能 としているの と同一の理由にもとづいて拒絶 されな くてはならな い。一方で取消手続 と他方で承認 ・執行許可手続が全 く対称的に構成 されてお 26),その結果,執行許可手続の訴訟物 は取消手続のそれをも含んでいる。

訴訟物の広範囲の一致にもかかわ らず,取消手続 と執行許可手続の間には, 唯一,模範法362項が執行許可 を実施する裁判所 に,それに係属 している手 続 を取消手続 についての判断に至 るまで中止する可能性 を与 えているとい うこ とを除けば,結局の ところいかなる結びつ きも存在 しない27)。その他の点では, 両手続 は完全 に独立 している。 したがって,取消の訴えについて模範法343 項の中で定め られた3か月の期間の経過は,執行許可手続 に関 して遮断効 を意 味す る ものではな く28), したが って,仲裁債務者が模範法34条の取消の訴 え を既 に既判力 をもって棄却 されているときで もなお,模範法36条 は執行許可手 続おける承認拒否事 由の主張 を許 している29)。両方の事例 において,債蕨者 は全ての点で,模範法342項の取消 と一致する模範法361項の承認拒否事 由に依拠す ることがで きる。その ことか ら,仲裁判断の拘束力が問題 となって

25)理由については,Holtzmann/Neuhaus(Fn.24),S.10070 26)HoLtzmann/Neuhaus(Fn.24),S.1057;鏡像 (mirrorimage)

27)Holtzma7m/Neuhaus(Fn.24),S.1062.

28)Holtzmann/Neuhaus(Fn.24),S.1062f.:Solomon,DieVerbindlichkeitvon SchiedssprtlcheninderinternationalenprivatenSchiedsgerichtsbarkeit,2007,S.

219ff. 29)前掲注28)0

参照

関連したドキュメント

当初申請時において計画されている(又は基準年度より後の年度において既に実施さ

各テーマ領域ではすべての変数につきできるだけ連続変量に表現してある。そのため

断するだけではなく︑遺言者の真意を探求すべきものであ

層の積年の思いがここに表出しているようにも思われる︒日本の東アジア大国コンサート構想は︑

の繰返しになるのでここでは省略する︒ 列記されている

右の実方説では︑相互拘束と共同認識がカルテルの実態上の問題として区別されているのであるが︑相互拘束によ

  支払の完了していない株式についての配当はその買手にとって非課税とされるべ きである。

1 つの Cin に接続できるタイルの数は、 Cin − Cdrv 間 静電量の,計~によって決9されます。1つのCin に許される Cdrv への静電量は最”で 8 pF