82
泥炭性有機質土の物理性と強度について
己 雅 馬 突 す
Physical Property and Shear Strength for Peat
Masak i TSUSHIMA
(昭和
52年
10月
31日受理〉
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2.2
2.0 比
重
G1.8
き
乱した状態における有機質土(黒泥)の物性およびそ の強度特性については,ある程度著者らによって検討さ れているわ。しかし,繊維質を多く含む土,いわゆる泥 炭性有機質土の工学的問題に関する研究は,未だ少ない
ようである。
ここでは,なるべく乱さない泥炭性有機質土の物理特 性について言及し,さらに室内試験(軸対称三朝l 圧縮試 験〉によってその強度と物理定数の相関性について若干 の報告を試みたい。
カ t
ま え
飯留の姻側議 川木義岡 地桑 閥 横
O @
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1.6
4 時聞を原則としている。比重の測定に際しては,ゲー リュサック形比重ピンに約
109の試料を入れ,気泡を完 全に除くため,約
4時間煮沸を行った。図一
lは,比重 G と強熱減量{直 1
eの関係を示したものである。比重が 強熱減量値の増大に「ドなって減少している。泥炭性有機 質土の構造模型として,国体相の中に無機質部分(ここ で・は比重
Gs=2.8と仮定〕と有機質部分(比重
Gp)と の合成体からなると考えられ. Gp の値を 1.3~ 1. 5 とし たときの
G~
Ieの関係を図示している。この図からわ かるように,大部分のデータがこの範囲
CGp=1 .
3~ 1 .
5)の中に入り.
1 eの噌大に{手なって
Gの値がかなり 広がりをもつことが注目される。これはほぼ同じ程度の
Id
直をもっ泥炭性有機質土でも,その植物の種類,生成 状態の相異を示唆するものではないかと思われる。植物 の種類および生成状態をほぼ等しくする場合には. 1
e 1u臼 で整理するよりも分解度などによって
.Gとの関係を示 すことがより妥当ではないかと思われる。
初一一一‑‑‑so
強 熱 減 量 値1,(%)
比重と強烈l 減量値の関係
20図 ‑1
1.4
試料および実験方法
本実験に用いた試料は,秋田県の雄物川流域および八 郎潟周辺から採取した乱さない泥炭性有機質土であり,
自然含水比300~800.%. 比重1. 4~ 1. 9. 強熱減量値40~
90%
程度の範囲である。個々の試料について物理試験を 行ない,それと並行してセ
γ断試験を実施した。供試体 は直径
7.1cl I I . 高さ
15.0cmの円柱形であり,圧密を促進 するためにベーパードレーンを用いた。また供試{本のll'
JJ面摩擦を軽減するために,シリコングリースを塗ったド ーナッツ型のゴム膜を使用した。試験は.
5段階のほ力 で等方圧密した後,非排水セン断試験を行なった。納変 位速度は,約1.
4x10‑1mm/minで行ない,発生関ゲ キ水圧は供試体の底端部で測定した。なお破壊規準とし ては,軸差応力
(σ1ー
σ3)maxによった。
泥炭中の有機質部分の合有量を近似的に表示する尺度 として,便宜的であるが強熱減蛍値
Ieをもってその他 とした。また測定法は,電気マッフル炉により
800'C.結果および考察 比重と有機物含有量 2
3 3‑1
泥炭性有機質土の物理性と強度について
3‑2
含水比と強熱減量値
泥炭性有機質土では,含水比が有機物含有量の増大に 併なって増加している(図一
2)。この図より
Wと
Isの 比すなわち,宮
)112)が提案がした合水一強熱減量比
w/Is
(=f)なる指数は, 有機質部分に対する含水量に相 当するものであり. またW と 1
sとの聞に線型関係が成 立するとすれば
W=fIe+Wo
( 1 ) となり
Wo=Oとしてその値は f
手8となる。ー般に圧縮履歴をもたない素地の泥炭地盤に対しては f
手10あ るいは
f>10とみなしてよく,圧縮泥炭に対しては,そ の圧縮の度合に応じて
f<lOとなることが示されてい る。したがってこの指数によって,泥炭性地盤の圧縮履 阪を推定する一つの手がかりとなると考えられ,さらに この値が非排水強度と結びつく可能性を示唆していると 言える。泥炭性土の堆積状態について示せば図‑ 3 のよ うになる。
w/Ie値は,有機質部分の見かけ比重
1e Td/Tw , 水体積率
WTd/TwO t t 積物の内に占める水の体積
割問
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20 40 6画 一 一 寸 訂
強 熱 純 量f直1
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(/1.)画
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図
‑2合水比と強熱減量値の関係
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1.⑤、.
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図
‑3 W/Ieと
1e r d /r
wの関係
53 2月
83
割合〉のパラメーターとして表わされるものであり,こ れらの要素によって
w/Ieは変化するものである。この 泥炭性土が圧縮されれば,
Wが減少し
WTd/ r
Wも小さ
くなり,
w/I eは減少することとなる。
3‑3
コンシステンシー限界
図‑ 4 は泥炭性有機質土の塑性図上の位置を示したも のであり,粘性土と異なり液性限界
WLが高くなるにつ れて
A Lineからはなれる傾向にある。液性限界と強烈i 減益 : { I 自の関係を図 ‑ 5 に示す。強需品減量値が増大すれ ば液性限界は増大する。これは一般に表示されている性 質と一致している。また母材が無機質部分と有機質部か らなるため,有機質部分の合有量の増大が泥炭性有機質 土の保水性を高める原因となっている。また塑性指数と 1
eについても前図と同様な傾向を示すようである。図
‑ 6
は,泥炭の自然合水比
Wnと液性限界
WLの関係を 示したものである。
Wnと
W Lとの聞に相関性が認めら
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‑4~辺!性指数と液性限界の関係
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20 40 60 強 熱 減 量 値h(%)
80
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叫図
‑5液性限界と強熱減量値の関係
(3) Cc=Q.QQ7WL
己 . 雅
馬
84対
泥炭性有機質土の場合にも正規圧密状態における応力 と飽和含水比との関係は
Wo‑W= (Cc/G)
. e
og (u/uo)で表わされることが実験的に認められている。
ここに
Wo,
Wは圧密応力
aOI aに対応する合水比,
G
は比重,
Ccはいわゆる圧縮指数で土質ごとに圧密圧 力の異方性に対応した値となる。
圧密による非排水強度の増加率が土質について圧密条 件に対応した定値とみなされるとすれば
Wo‑W=(Cc/G
) . e
og(Cu/CUo) (5)となる。
CUo,
Cuは
6 0,百に対応する非排水強度であ る。式
(4),
(5)は
Eの変化に伴なう
W,
Cuの推移を示す もので,
Wの変化を通じて
Eまたは
Cuの値の推移がま口 れる。初期値の知れている土質の圧密に伴なう
u,
Cuの値の推移は,
Wの値を追跡測定することによって推定 できることを示すものであり,ほぼ一様とみなされるよ
うな地盤では大まかな意味では実用的な意味をも勺かも しれない。普通の無機質粘性土で
Cc/Gの値にさほど大 きな変異がなければ,
Wと.e
ogCuとの聞に線形関係が 認められることは従来のデータからも示される。
泥炭性地盤では不均質性の著しいことがその特徴の一 つであり,このことがその土質工学的取扱いを非常に困 難にしているー要素である。したがって上述の関係は,
供試体ごとの圧密過程に適用を限定して考えた方がよ い。有機質土に対する粘土の混入による試料の圧縮指数
Ccと有機物含有量の代替指標としての強熱減量値Ie
と の聞には,既に定性的に示されているようにわほぼ
~=mIe
0 0
なる関係がある。
(6)式のコウ配
m C=Cc/Io)は,試料 中の有機質部分の圧縮指数に相当することになり,この 値は当然植物の種類,生成の履歴などによって異なると 恩われる。しかし,今回用いた
4種の泥炭性有機質土の
CclIeは,図
‑ 8よりほぼ定値とみなされ,
Cc/I t手6.4となる。
G =Gs Gp/(Gp+I 6 (Gs‑Gp)] (7)
ここに
Gsは無機質部の比重,
Gpは有機質部の比重,
と表わせば
3),
Cc/G=m 1 e/G
( 8 ) となり,
Cc/Gは
Gs,
Gpが定値とみなせる場合には
Ioのみによって変化することになり,
Gs=2.8,
Gp=1. 5 に対してデータと共に図に示す(図-8)oCclG~
Ie
は当然線形とはならないが,
(4)
物理定数と強度
となる。
3‑5
〆,
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‑扇面
自然含水比と液性限界の関係 れ,両者の値はほぼ等しいとみることができるようであ る。この現象が他のデータとともに納得できうるなら ば,現場から得られた含水比を測定することによって,
その物性
(WL)を推定することが可能と言える。
図
‑6数
圧縮指数を液性限界から推定する方法が経験的に行な われている。これを適用してみたのが図ー
7である。図 には,植物の種類および生成状態が異なる乱さない泥炭 性有機質土についてプロットしてある。これからスケ
γプト
γなどが行なっているような
Ccの推定値,
Cc= a(WL‑b) として係数
a, b を求めてみた。その結果,
b
手
Oとして
Cc=Q.QQ8WL (2)
なる関係式が得られた。参考までに乱した試料(黒泥〉
については 縞 指
3‑4
圧
6
〆 〆 .
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心 。 9 '
ノ 〆 〆 〆
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111111@ 染 出4、
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1<1‑1'地 42 圧 縮 指 数 仇
1100 4 0 0 ω o 波性限界仙.(%) 200
圧縮指数と滅性界限の関係
図
‑785
ある地点では.
W/le値の経過によって
Cu値 ( ( j値) の推移を知る可能性のあることを示すものである。そこ で今回の試料について .
Q og Cuと
W/leとの相関性に ついて検討したのが図ー
10である。これらの等方圧密供 試体(I
e =40~90%. 百 =0.3~ 1. 5kg/cm2) について回 帰分析を行なった結果,相関係数
0.82を得た。ところで 水体積率
Wrd/ r
wは ,
W r
d/ r
w= (W /1 e )/[(I/Gp‑l/GS)+I/Gsle+W/leJ
帥 のように
leによっても変化し,強度へ与える一つの要 素と成りうるから, この状態量をも併せ考慮して.
W/le
と
Wrd/ r
wの2状態量の関数として表示すると重相 関係数は
0.85となった(図ー
11。 )
泥炭性有機質土の物理性、と強度について
•
・
, 曲 '‑Cc/lt与6.4として計算
‑ ‑CcJG
, 心 '
一一."
o 20
図
‑8100
"0 Cc • CclG
と強熱減量{自の関係
ノもh
ιc私〉ン
40 6u 強熱減量値[, (%)
。飯園川
@桑の木
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Cc 4.0
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0.8~:
f i l . [
Cu ( kg/rmリ )
0.4
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01山川川
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氏l.li地Cc/GI e
と強熱減量値の関係
ao図
‑9。
40 4.0
2.0
20 CC/GI
,
8.0
却'q
,
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•
6.0
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•
。
Cu
の計算値と実視
lJ ( i 1 ' i 図
11• 4.0
•
。
。飯関川
@桑の木
@図録議
・機緯団地
論
乱さない
iJE炭性有機質土についてその物性,さらに強 度と物理定数の一端を示したものであり,それらを要約 すると以下のようになる。
1)
比重Gは有機物合有量:と密政に関述し.1
eの増大に 伴なって Gの f f fIがかなり広がりをもっ。
2)
自然合水比と有機物含有量との聞には線形関係が成 立し. f
(=W/le)の指数によって泥炭の圧縮履歴を 打
"f返する一つの手がかりが示された
03)
白然合水比は液性限界とよい対応性を示すようであ り,その両者の値はほぼ等しくなる関係が得られた。
4)
非排水強度と合水ー強烈
l減量比との間には,よい相 関性が得られ
W/le値の経過によって
Cu値の抗移を知
る可能性を示唆した。
4
結
C
c /
GI e =m/G (9)( 9 ) 式を 1 1 に対応して図
9に示したところ. 1
eの変化 による
Cc /
GIe値の変動 l 隔は比較的小さいようである。
そこで仏)式を書き改めて,
Wo/I
す ‑
W /1 e =(Cc /
GI e )Qog (Cu/CUo)( l G とすれば.
CclGI eを近似的に定値とみなすことが許さ れる範囲では.
Cuは
W/leによって統一的に整理され る可能性があることになる。泥民性地憾で、は少なくとも
2月
‑0.2 。
W/le
と
QogCuの関係
‑0.4
~"a, (kg/aoil
図
‑10‑0.6
‑0;8
86
対 馬 雅 己 終りに本研究を行はうにあたり御指導いただいた秋田
大学鉱山学部宮川勇教授に感謝の意を表します。
参 考 文 献
1)
宮川・三浦・岩崎..有機質土の強度特性とダイレィ タンシー性状についての実験的考察,第 1 1 国土質工学
研究発表講演集, pp.263~266 ,
1976年
2)
宮川勇:泥炭地の土質工学的調査研究,第
3報,北 海道開発局,
1958年
3)