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自閉傾向のある精神遅滞児との遊びと通じた意図の 共有化過程

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自閉傾向のある精神遅滞児との遊びと通じた意図の 共有化過程

著者 田中 真理

雑誌名 人文論集

巻 49

号 1

ページ A27‑A54

発行年 1998‑07‑31

出版者 静岡大学人文学部

URL http://doi.org/10.14945/00008926

(2)

自閉傾向のある精神遅滞児との 遊びを通 じた意図の共有化過程

問題 と目的

自閉傾向や知的遅れのみられる子ども (以 下、遅滞児 )と の臨床活動におい て、子どもは子どもなりの世界の中で楽 しんだり創造的な活動を示 していたと しても、それが関わる側の意図とずれている場合には、子どもの視点にたって その世界にじっくり関わることなく、その「ずれ」を子ども側の問題として帰 属させてしまうことは多 くみられる。 しかし、これは子 どもの側のみの問題と 言い切れるのであろうか。子どもと関わつている側が、子どもの意図と「ず河 ている場合 も当然あるであろう。

この「ずれ」を子ども側の要因としてのみに帰属 しがちな最も顕者な場は、

課題解決場面である。そこでは課題提供者 (以 下、提供者 )に は「正解」 とさ れている答があらかじめ準備されている。この「正解」は、提供者側と子ども が課題解決場面を同じ様に体験 しその課題の要求を同じ様にとらえることが前 提 とされている。これは提供者側からすると暗黙の前提である力ヽ 子どもにとっ てはこの「暗黙の前提」が提供者と共有されているとは限らない。仮に、子ど もが課題遂行に必要な能力をもっていたとしても、与えられた要求を相手とは ずれたとらえかたをしている場合には、その答は「正解」 とならず結果的には その課題遂行のための「能力がない」 と判断されて しまう。このような提供者 の意図と子 どもの意図とのずれが、子どもの課題遂行に大きく影響するという 場面は遅滞児の課題遂行において多 くみられる。

本論文をまとめるにあたり快 く協力 してくださつた、 K君 とその御家族の方に心 より感 謝いたします。

真 中

(3)

この「ずれ」について、田中 (1994)は 遅滞児・健常児を対象に課題要求に 対する意識化の程度、また課題をいかにとらえるかという課題の認知に焦点を あてて検討 した。さらに、田中 (1995)は 提供者の意図を明確に伝えるために 提供者が教示操作を行うと、課題への志向性は高まり、その結果パフオーマン スの変化がみられることを示 した。したがつて、遅滞児の課題遂行を理解する ときには、提供者側も含めた、遂行者―提供者相互の要因としてとらえなおす ことが必要である。

このような課題解決場面は実験場面という制約された場面のなかであらかじ め課題が他者 (課 題提供者 )に より設定されてお り、子どもが場面に「のせ ら れた」状況であつた。そこでの他者の意図とは他者から子どもヘー方向的に与 えられたものであり、提供者によつてゴールとして決められていた。即ち、意 図の「共有」というよりも、むしろ意図への「気付 き」に焦点をあてたといえ る。しかし、他者の方が子どもの意図した内容を探 りながら、子どもの文脈に 他者が入 り込もうとしていくことによつて、また同時に子ども側も他者の意図 した内容を探 りながら関わつていこうとすることによつて、両者が「相互」に ゴールを作つていくための意図の共有過程については明らかではない。遊び場 面では、子どもに働 きかける他者の側も、子どもとの関わりのなかで絶えず動 いていく。また、遊ぶことによつて関わつていく場面においては、遊びが他者 と子どもの関わりの媒介であ り、この遊びの内容や展開は他者の側からのみ一 方的に呈示 されるものではなく、子ども自らが設定できる場である。しかし、

二人で関わり合う遊びは、ひとりだけで展開していくのではな く、「二人で」

関わり合いながら活動をすすめていくために、ある一定の意図の方向性を相互 が共有するという「課題性」をもつこととなる。

このような「課題」を介 しての自分と他者との関係性について注目したもの に、動作法がある (成 瀬 ;1985。 1986)。 これは、ある具体的な特定パ ターン の動作を「動作課題」として与え、それを遂行するよう努力させるという手続 きをとるものである。動作法においては トレーナー・ トレーニー関係の変化を、

「他体の背後にもうひとつ別の存在、即ち他者がいることに気付 く」過程 とと

らえている。遊びが展開していく過程を、 「遊び」という課題を通 じての相互

の意図を共有 していく過程ととらえるならば、動作法における関係性の成立過

程 と同様に考えることができる。しかしながら、この相互の関わりのなかで動

いていくものとは、認知的な気付 きの変化のみではない。遊び場面 には、「 こ

の人とだつたらつい頑張つちゃう」「思わず してしまった」等の情動的な側面

(4)

やそれに伴 う行為化が含まれている。そこで本研究では、ひとりの遅滞児との 遊び場面 "を 通 じ、相互の意図の共有が課題を通 じてどのように形成されて いくのか、関わり手側のあり方によって子どもとの関係性がいかに形作られる のか、その過程について検討する。本研究では、筆者 (以 下、 T)が 臨床の場 で関わりをもった事例を通 して検討する。

鯨岡 (1991)は 事例研究の要点のひとつに「出会いの場における F関 与 しな がらの観察』の中で、子どもの存在が手応えあるかたちで生き生きと捉えられ ていること、つまリエピソー ド記述が生 き生きした訴える力を持っていること」

を挙げている。したがって筆者自身が観察者としてではなぐ関与者として関わ る方法を用い、情動的な関わりや「いまここで」の相互の意図を感 じ合いなが ら関係性が変化 していく過程を探ることに留意 した。したがってここでの解釈 は、南 (1991)が 指摘する「実際の相互作用の中で用いている F相 互主観的な』

解釈」であると考えられる。以上のことより、本研究では、他者 (こ こでは後 述する子ども K)の 主観の世界に筆者自身の主観の世界を関与させつつ、相互 の意図がどのように共有化されていくのかを以下の方法論と結果の記述に基づ

き検討することとする。

事例 の概 要

対象児   初回面接時 5歳 9ケ 月の男児 Kで ある。 Kと Tと の関係性は、課題の 在 り方によってや りとりが成立 した り逆 に全 く切れて しまう状態であ り、相互 がいかに課題の共有をしてい くのかという点からの検討が有効であることから、

Kを 対象 とした。知的能力に関 しては、 MA4:1,I Q71(田 研・田中ビネー式 知能検査 )で 軽度精神遅滞であった。保育園の年長クラスに在籍 し、障害児保 育の対象児である。家族構成は、父・母 0兄 (8歳 )と の 4人 家族である。

生育歴   出生時の体重は 3560g、 熟産での出産であった。黄疸はみ られなかっ た。首のすわ り3ケ 月・始歩 1歳 1ケ 月・排泄の自立 4歳 0発語 1歳 6ケ 月で あつた。 4歳 頃より家族や通園 していた施設の職員など身近な人に対 しては自 ら話 しかけて くることがみ られは じめ、内容は「おなかすいた」「今 日どこ行 くの」などであった。 3歳 児検診で発達の遅れを指摘 され、その後 2年 間精神 薄弱児通園施設へ通い、児童相談所の経過観察対象児である。

初回面接時の様子   友達か ら誘われると応 じるが遊びが長 くは続かず、ひとり

遊びになって しまうことが多かった。また、いつ もと違 う道を通ると泣 き叫ん

(5)

だ り、道路の真ん中でも信号が変わると「黄色信号は止まる」 と泣いて絶対に 動こうとしないなど、パニック状態になることがあつた。リズムなど動き回る ことは集団に入って行うが、砂遊びなどじっとして行う遊びは好まずす ぐに動 き回る。文字については、カルタとり遊びで「ゆ」「は」 「こ」は理解 している 段階である (母 親面接からの聴取 )。

また以下は通園していた精神薄弱児通園施設での担任からの報告による本児 の臨床像である。

対人関係面 :他 児と大声を出し合うことを楽 しむ、友達が何 もしていないにも かかわらず「〜せんどって」 (「 〜しないで」の意味 )と 言つて怒ったり「何だ よ‐」「このやろ―」「何 してるんですか」など強い語調で話すことが多 くみら れる、職員によく話 し掛けるようになつてきた、「走らないで」 「静かにして」

と他児に対 して注意をしている、 「〜して」の要求に対 してはスムーズに応 じ る、他児の模倣は多いが自発的な関わ りは少ない、周囲が遊んでいることに対

してもひとりでぼんや りとみていることが多い 運動面 :遊 具を使って自由に遊ぶのは苦手である

認知・言語面 :「 お父さんの車に乗った」「〜へ行つた」等過去の出来事を報 告できる、絵本を楽 しめるようになり人形で遊んだ り大人を介 してごつこ遊び をした り粘土 。積み木をみたてて遊ぶようになってきた、簡単なルールの遊び であれば理解 し楽 しんでいる

情緒面 :泣 きをひきずることが少なくなつてきた

対象児 Kと 筆者との出会い   上記のような Kの 経緯をふまえ、特に『友達との 関わりが少 なく、ひとり遊びが多い。 』 (母 親より )と いう対人面での不適応を 主訴として、筆者が臨床員をしている K大 学発達臨床心理センターを訪れた。

自分から他者に対 しての働 きかけが少ないという主訴をふまえ、遊びを通 して 対人的な関わりを促すことを方針 として面接を行つた。

期間   本論文での分析対象となる期間は Kが 5歳 9ケ 月〜 7歳 8ケ 月の 1年 11 ケ月間である。 1〜 2週 間に 1度 1時 間、Kと 遊びを介 した面接を行つた。面 接回数は 41回 である。

エピツー ドの抽出   遊び場面は VTR録 画によって記録された。このエピソー

ドは毎回の面接終了後にビデオを見ることによつて、実際に関わつたときに感

じていたことを想起 しながら記述されたものである。エピソー ドごとにカー ド

化 した。全エピソー ドは 207場 面で、Kと Tと のや りとり場面のなかか ら、関

わっていたときに Tの 意図と Tが 感 じた Kの 意図について明確に意識化されて

(6)

いた 40場 面のエピソー ドを本研究での分析対象として抽出した。

経過 と考察

Kの 言動を筆者 (以 下、 T)が どのようにとらえ、どういう意図で関わつて いたのか、また Kの 変化を Tが どのようにとらえていたのかについて、Kと T

とのやりとり。 Tの 意図と Tが 感じた Kの 意図の変化の 2つ の側面から TABLE l に示す。初回面接時を X年 とする。

面接の経過は、 K。 課題・Tと の関係の在 り方によって、以下の 4期 に分け られた。 #(番 号 )は 面接の通算の番号を示 している。また、文中の ( )内

の数字は TABLE lの エピソー ドの番号と対応 している。各時期の最初の部分 には、 K・ Tの それぞれにとって、各期がどのような時期として意味付けられ るのかについてそれぞれ示 している。

丁 ABLE l Kと Tと の遊びにおける相互の意図の共有化過程

# エ ピ ツー

ド 年 月 日 Kと Tと のや りとり Tが とらえた Kの 意図・

Kと の関係性

(1)* X/

6ノ /3

Tが リカちゃんハウスを広げると K

が近寄って来る、 <Kく んテーブル 作ってて― >**、 Kは テーブルと 椅子 を並べ るが並べ終わるとす ぐに 立ち上が り別のお もちゃへ行 こうと する、その直前に <は ―いで きまし た !ど うぞ !>と お料理を差 し出す、

Kは 座 り込んでぱ くば くと食べる真 似 を して、感情のこもらない一本調 子の口調で「おい し―い」 ***と

だけ言ってす ぐに立ち上がる、 Tの 方へは視線 は全 く向いていない、 K

は立ち上がってす ぐにまた行 こうと する

← ****イ ンテーカーによ る情報か ら、リカチャンハウ スに興味を持っていることを 知 っていたので、これを課題 としてKと の関係作 りの足場 にで きるのではないか。具体 的な行動や ものを課題 とした 方が遊べ るのではないか と考 え、より具体的なものを呈示・

要求する。

→ *****Kは ひとつひと つには応 じるが Tと 遊んで いる "の ではな く 課題に "

応 じている感 じが強い。 Kの

行動カツト 常にこま切れでそれ

を Tが 必死につなごうとして

いる。 Kは 自分のペースで遊

びたかったのか ?

(7)

Kが 大 きな積み木を並べて遊び始 め るが、す ぐに他へ興味が移 り車にのっ て部屋中を動 き回る、車についてい る電話の受話器をとり「もしも―し」

とい うのに Tが 応えようとして受話 器を耳にあてる仕草 をす るが、 Kは もうすでに持 つていた受話器 をおい て車で走 り出 している

→電話をかけてきた Kは T

に "か けて きたのではな く、

受話器に "対 して語 りかけ たにす ぎないのか。受話器の 向 こう側 にいる Tの 存在 は意 識 されていない ?

3 X/

6//8

Tが

1リ

カチ ヤンハ ウスを出 して Tの 手にウサギの人形 を持 つて <私 どこ に座 ろっかなあ>と 言 うと、 Kが そ のウサギをテープルに座 らせる、 T

がウサギを指人形のように動か しな が ら <ど うやつて食べるかわかんな いよお>と 言 うと Kは 「はいスプー ン」 とテァプルの上にスプーンを置 くが、ばっと立ち上が り車 にのって その場 を去 る、 <先 生 も連れていつ て―>と Tが 言 うが何の応答 もない

← Tが 直接話かけるより ウ サギと話すこと "を 課題 とし た方が関係を持ちやすいので はないか と考え、声 も語調 も 変化 させてTと は別の もの と して関わる。   ウサギ と関わ る "と いう課題を通 してTと の関係を作つてい く。

→ ウサギを動か している T

の "意 図に合わせ ようという 意識は低いのではないか。

5 X/

9ノ /29

Kが 車にのって走 り回つている横で Tが <先 生 もしたいよお>と 声をか けるが全 く聞こえていない様子でひ とりであちこち動き回つている、 T

の方へ視線 も向けない、 <じ やんけ んしよ―最初はグーまたま ̀た グー >

と言いかけると Kが 近づいて来る、

Tの 声かけよりいつてんぽ遅れて K

がじゃんけんを出すので <ず る―い >

と言うが Kは 知 らんぷりで車へ乗る、

<電 話の受話器が落ちてるよ―電話 しようつと >「 もしもし」 <待 つて ま―す、早 く帰つてきてくださ―い

>、 しばらくして近づいて来てKを

Tが <わ つ>と 驚かすと「きゃっきゃっ

」と喜ぶ、 <じ ゃあ今度 Kち ゃん隠 れて ><も ―い―か―い >「 も一いニ よ―」と応えるが「わ一つ」と言つ て自分から出てくる、しかし Tに 向 かってではない

→ じゃんけんは具体的な課題 としてそれ自体が課題性をわ ているために応 じやすかつた のではないか。 Tの 動 きを注 目していたか らこそ意図的に いってん IF99遅 れることが で きたのではないか。 (2)か ら 受話器に向かつて話す "

課題 を通 じてTと のや りとり が成立 しやすいのではないか と考える。電話の相手である Tに 意識が向いている様子は ない。

←か くれんぼの掛け合いのよ

うなパ ターン化 されたや りと

りには応 じやすいのではない

か。   パ ターンにのる "課

を通 じてTと のや りとりが持

続 しないか。

(8)

6 ν

Tが Kの 車のそばに行 って<リ ーん リーん、電話が鳴つてるよ、 Kち ゃ んとって>と 言 うと、 Kは 取 りに来 て「はい もしもし」 とだけ言つてが ちゃんと受話器を置 く

→電話で話 したいと思ってい る Tの 意図や電話の向こうに いる Tを 意識 していないが、

電話一受話器一「もしもし」

と語 り掛ける、という一義的 な結びつきはある。 Tが いる 場で「もしもし」というのと

Tが いない場で「 もしもし」

というのとでは、 Kに とって 同じ事なのではないか。

9 X/

11/10

シーソーに乗 り「上に行け、下に行 け」 と一本調子に言 う。視線 は Tヘ は向いてお らずシーソーの高 さが変 わることだけに目を向けている。シー ソーが自分の指示通 りに動かないと すつと砂場へ行 く。砂場で 2つ の人 形を動か しなが ら戦わせ合わせてい る。やっつけられた人形を <か わい そう、病院に連れて行こう !>と 言つ て展開 しようとすると Kの 人形遊び は中断する。 Tが 砂場か ら離れ全 く 関係ない様子でひとりで遊ぶ。途中 ではつと気付いたように Tを みるが 見るだけで再びひとりでショベルカー

を動か して遊んでいる。

← Tが Kの 指示通 りに動かず Kの 命令 を邪魔することで、

自分のイメージ通 りにすす ま せて くれない存在 としての T

を意識 し、その結果 Tへ の要 求 としての気持 ちが表現 され るのではないか。

→思 う通 りに状況が動かない と、 Tに 働 きかけるのではな く、課題その ものを変更 しよ うとして別の遊びにい くのか ?

X/

12/1

シ ョベルカーで遊びなが ら Kが らっ ぱを吹 き始める、 <ら っぱが鳴った らシ ョベルカーが とまると !>と 言つ てルールを作 り、 Kが らっぱを鳴 ら した り止めた りするのに合わせて T

はシ ョベルカーの動 きを変える、 <

じゃあ今度は先生が らっぱ吹 くね >

と役割交替 し、 Kは Tの らっばに合 わせて 2〜 3回 動 いた り止 まった り するが Kは ふ と棚の方へ移動する

←お互いの動 きに合わせて行 為 をすることをやってみよう。

シ ョベルカーでは Kは ひとり 遊びに入って しまうため、相 手の動 きに合わせてシ ョベル カーを動かす ことを呈示 して はどうか。 Kに とって らっ ぱに合わせること "と Tに 合わせること "と が重 なるよ

うな課題 を設定する。

(9)

Kが 病院の ミニチュアを砂場へ持 っ て くる、 <お 腹が痛いので注射 して 下 さい!>と 言 うが Kは きょとん と した顔で Tを 見ている、 <誰 が病気 ですか >に Kの 返答はない、 <あ この人手が痛いみたい>と 手の取れ た人形を Kに 渡 しなが ら <手 をくっ つけて ください >、 Kは テープで人 形の手 を貼 り「次の病気の人はァ」

と言いなが ら棚の前で全体を見渡 し て首の とれた人形や足のない人形を もって きて 自分で手当てをす る、

「次は誰ですか」 と言 いなが ら自分 で馬を持つて くる、 <ど うしました か>「 かぜ」<じ ゃあ注射を、ぶすっ >

「 ううう大丈夫です」 「 じやあ次は一」

と2つ の人形を持って来る <ど うし ましたか >「 いや じいちゃんとばあ ちゃんのお見舞いです」 と場面を展 開 しそ うになるが突然「つか まえて やる―」 とショベルカーで人形をつ かまえようとし、いつ もの戦いの場 面への展開 となる

→ Tが 直接関わるよりも、人 形 を介 して 人形が "関 わる ような場面を設定 した方がや

りとりが持続 しやすい。

X/

12/8 「電話マンだあ、もしもし」 <は い、

誰ですか >「 青レンジャーだ」 <あ こんにちわ―、今何をしているんで すか >「 電話だ」 <今 からどこかに 遊びに行きませんか >「 ミニーちゃ んを連れてこい」

→電話へ話 し掛けるのではな く、電話 をかけてい る Tへ の 話 し掛 けが感 じられる。   電 話で話す "課 題 をこえて T

と話すこと "へ と広が ってい る。

α 0 X/

12ノ /15 シーソーに向かい合ってのる、 自分 の高さを「 1階 、 2階 」 と高 さを指 定する (1階 Kが 下で Tが 上 の状 態、 2階 はKと Tが 水平の状態 、  3

階は Kが 上 で Tが 下の状態 )、 Kが

言 うの とは違 う高 さにわざ と Tが 動 か していると途中から、自分が 1階 に行 きたいことを「先生の 3階 」 と いう言い方 に変わる。 (Tの 3階 Kの 1階 である

)

→ 自分の動 きだけでな く、 自 分の動 きに応 じて Tも 動 いて いることを意識 している。

→ Kが 二人の動 きの関係 を全

体 として把握 してお り、 それ

を言葉で表現 し Tに 伝 え よう

としている。

(10)

X+1/

2//3

Kが ミッキーマウスの人形 をもって 来てその顔 を Tの 方ヽ 向け なが ら

「 ミニーちゃんのところへいきたい」、

<い つて きていいよ >、 Kは ドアの ところでため らっている様子で動か ない「 ミッキーさんが T先 生好 きっ て」 とミッキーマウスの手や顔を動 か しなが らミッキーが Tを 誘 うよう な おいでおいで "の 仕草 をする Kは プレイルームに入るなり「お話 をします、ミフィーちゃんと…・」

と話 し掛けたところで、 Tが<ゴ レ ンジャーがいました>と 話をつなげ る、 「そして、ふたりは…・」 <ジ ヤ ングルヘ行きました >「 ラッパマン がいない」 <ジ ャングルヘ行 きまし た >「 ラッパマンがいない」 <よ ん でみよう、さんはい >、 言い始める タイミングを伺うように Tの 方を見 ながらふた り同時に <「 らっばま―

ん !!」 >と 叫ぶ

いつ もの戦いの場面の途中で Kは さっ と砂場の方へ行 き、ウサギと人形 と 鈴で一人三役のや りとりを始める、

Tが それに加わろうとするが Tの 言 葉は全 く関係ないかのように「悪い 子だ―、え、悪い子、ははは、何か 声が しているぞ―、あ―よ― し…・」

等次々 とひとりでの会話が続 く、 T

は lm程 離れたシーソーヘ行 きじっ と Kを 見 る。 Kは 全 く Tの 存在 には 関係無 さそ うに一人で遊ぶ、 Tは 絵 本を読み始める、 Kは 鈴 を砂場 に隠 し Tの 方 をちらっと見 るだけで「ぼ くの鈴がな くなった、わっはっは¨」

とだけ言 って鼻歌を歌いなが らまた 二人三役の会話が始 まる。 Tが 声 を 出 して絵本 を読み出す、「鈴がない よ―」 と Kが 立ち上が り Tの 方へ来 る、く どこいつちやつたん!?>と 答 え<く ん くん何か臭いがするぞ―、

ここだなあ>と 鈴を探 しだす

→ K自 身が "誘 うのではな

く ミッキー"力潮 ,っ ている。

これまでは Tが 、   人形 と関 わること "を 課題 として行 っ て きたが、ここでは Kが それ を行つているのか ?

←話を聞 くだけでは Kに とっ て Tへ "話 かけるという意 識が薄 くなるのではないか と 考 え、Kと Tが ふた りでひと つの話 を作るような流れを設 定する。 Tが つなげた話をう けてKも 話 をつなげている。

→ Tと 同時に言い始めるため に Tの テ ンポに合わせ ようと す る Kの 意図が感 じられる。

― Kと の距離 をとった り、 K

とは別の課題 を行 うことで、

逆 に Tの 存在が意識 されるの

ではないか。

(11)

X+1/

2//10

Tが Kの 真横で語 りかけるように絵 本『赤鬼はどこか らきた Jを 読む、

Kは 絵本 を覗 き込み じ一っと絵本ヘ 視線 を向けるが途中で らっぱを吹 き 始める、 Tは 声 を出 しなが ら読み続 けて <赤 鬼はどこから来たんだろう!?>

とクイズのように Kに 問 うが Kは 返 事 をせず らっばを吹 き続ける、人形 が Kに 語 り掛けるように Tが 人形 を 動か しなが ら <ね えねえ、赤鬼 さん はどっか らきた ?>と 聞 くと、右手 を挙げなが ら「はいはいはい家から 来た、ぶ―、はいはいはい、学校か ら来た、ぶ―、はいはいはい空から 来た、ぴんぼ―ん !」 と人形に向かつ て一人でや りとりをしている、その 途中で Tが <は いはいはい、てんと うむ しか ら来た!>と 言 うと、その 答えに対 して Kが 「ぶ―」 と言 うが その後再びす ぐに一人で答えを言っ てはそれがあた りかはずれかを自分 で言つてい くことが続 く

「ゴレンジャーは海の中に入 りまし た」と言いながら箱庭でゴレンジャー を泳がせる、そのうち戦いの場面ヘ と展開しそうになる、<こ こはどこ ?>

「魔女の国」 <ん じゃ―魔法をかけ ちゃうぞ―、Kち ゃんを大にする一

!

えいっ !し ゃららら―ん !>「 わんわ ん」と Kが 四つ這いになって吠える、

<も どれ― >「 ふにゃふにゃ」 <今

度は―>と 次に変身を言うまでに少 し間をあけると、その間 Kは 期待 し ているかのように Tの 顔を見て待っ ている、 <今 度は何になる ?>「 ス リッパマン」 <よ し、スリッパマン

にな―れ >、 Kは スリッパに近づき

スリッパの中に頭を入れようとする、

<も とに戻れ― >

→ Tが 'で はなく り u笏

'

語 り掛 けると返事が返 って き やすいようだ。

→ Tに 向かって答えを言 うと い うよりも自己に閉 じられた 状況でのや りとりとなってい る。

→ 赤鬼が どこか ら来たかを 考える "と いう課題は、 Tか

ら呈示 され、その課題 をKも 共有 しようとしたが、それを 展開 してい く過程では、Tと 共有 された課題 にはなってい ない。

←いつ もの戦いの遊びではひ とり遊びに入って しまうので はないか と考え、そのパ ター ンを崩そうとする。

→ Kが 呈示 した 魔法の国 "

の世界を Tが 共有する。

一 Tが 次に何 に変身させたい のかという意図へ意識 を向け ている。

←受動的に応 じるのみでなく、

T自 らも 何に変身するのが

'

の課題を設定することを促す。

(12)

Q0 Tが おもちゃのない部屋で遊ぼうと 誘う、 Kが やや緊張 した表情をみせ ながら中に入ろうとせず警戒するよ うに ドアの外から部屋の中をじろじ ろと見ている、部屋の中にいる Tが

<こ れな―んだ!?>と カンガルーの 真似をしてみせる、 Kは きょとんと した表情だが Tの 方を見ている、 <

お腹に袋があってその中に>と 言い かけたところで、部屋の中に入って きて「ふ くろう !」 と答える、 <ふ

くろの中に赤ちゃんがいて >「 ふ く ろうのあかちゃん !」 <見 てて、こ んなにして動 くんよ >、 答えず「 こ れは何でしょう」と Tに 質問を出す、

Kが 手を床についてぴょんぴょん飛 んでいるのを見て <か える !>「 ぴ んぽ―ん」、 Kが しこを踏みなが ら

「これは ?」 <あ けぼの !>「 ぴん ぽ―ん」

← ものが媒介 となることで、

逆 に Tと の直接的な関係が成 立 しに くいのではないか。

← ものではなく Tの から ,ぼ

を課題 とする。

→ジェスチャーあてごっこと い う Tの 呈示 した課題は共有 している、しかし、   このジェ スチヤーが何か当てて "と う Tの 意図 より K自 身の意図 が先行 している。

0 X+1/

2/26

Tが 2つ の積み木を打ち合わせて音 を出す、 Tを 真似てKも 積み木で音 を出す、その音が何かの歌のリズム をとっているのに Tが 気付 き <何 の 歌 ?>と 聞 く、 「スケーターヮルツ」

<タ ーンタンタタター ン…・ >と ス ケーターワルツの歌 を歌 う、二人で リズムに合わせて積み木を交互に打 ち合わす、 <今 度はさ―先生が小 さ

くかちかちって した ら Kち ゃん も小 さくかちかちって してね>と 言うと、

Kは Tの 音の大 きさに合わせて自分 の積み木の音の大 きさを調節する。

←積み木を打つことを通 じて 音楽 に合わせる "こ とか ら Tに 合わせ ること "へ つな げる。

→ Tの 意図を くみ、 Tと の関 係の中で Kは 自分の音の大 き さを調節 している。

0 X+1/

3ノ /7 Kが 鈴 を鳴 らし始める、 <何 の歌 ?

>と 聞 くが何の応答 もない、 <教 え て教えて>と 再度聞 くが Kは 何 も答 えずに、 もくもくと鈴を鳴 らしてい る、 しばらくして <で は !SKく ん の音楽会、始まり始まり !拍 手 !き ょ―

つけ―!>と 言 うと Kは 鈴 を鳴 らす のをやめてばっと足を揃える、 <礼 >

で頭を下げて、 Tが 手にマイクを持っ たような仕草で <で は今 日の歌は ?>

← Tが 直接的に質問をしただ

けでは Kの 返事が返ってこな い。

→ 音楽会 "  マイクでイン タビユー "の 設定 を通 じて T

の質問に応 じる。

(13)

0 X+1/

3ノ /7 とその手を Kの 口元に差 し出 しイン タビューの ようにすると「ぴ―ひゃ ら」、 <始 まり始 ま リー >で Kは 再 び鈴を鳴 らし始める、その鈴に合わ せるように Tが ちびまるこちゃ″

'

を歌 う、 Kは 鈴 を凝視 しなが ら一生 懸命鳴 らしている、歌が終って Tは 拍手 をし <じ ゃあ交代 しよう>と 言

うが Kは さっと棚の方へ行 き Tの 言 葉への反応はな く怪獣に砂 をかけ始 める、 <お ―砂のシャワーだなあ、

気持 ちい―、 もっとかけて くれ― >

と怪獣が喜んでいるような仕草にな るように怪獣 を動かす、 <砂 はおい し―ぞ―>と 言いなが ら T力 ゛怪獣を ぱ くば く砂 を食べているように動か す、 「 え―い、もっとかけてやる―」

と戦いの場面へ移る

← Kが ひとり遊びに入ってし まう 戦い "の 遊びにならな いような設定をしようとする。

が Kは 戦い "を 課題 として 関わろうとしていた。

091 X+1/

3/14

プレイルームに入室するな り「お絵 描 きしよう」 と言つて黒板の前に行 きチ ョークで描 き始める、左か ら順 番に丸 と三角 と四角を描 く、 Kの 描 いた三角の下に Tが 四角を描いたの を見て「船」 と言つたので、その船 の周 りに Tが 波 を描 く、四角をエ レ ベーターに見立てて「上へ行きます」

<空 の上 まで ?雲 の上も ?>「 下は」

<エ レベーターを開ける と― …・幽

霊だぞ― >、 Kが ふっと幽霊 になっ

たかのように手を前にダランとたら し「中か ら T先 生が 出て くる !T先 生

!」

<逃 げろ― >と Tが 黒板 か ら 離れ逃げてい く、その Tを Kが 追い かける

← Kの 絵 と Tの 絵 をつなげる ことで絵 を通 じたや りとりを ね らう。

→ Kが 「 T先 生」 と言つたこ とに、   幽霊 "で はな く T

自身 "へ の関わ りを感 じる。

→初めて Kが 追いかける "

役割 をとる。これ までの 追 いかけられる "と いう受動的 な役割か ら 追いかける "と い う能動的な役割への変化が み られる

④ X+1/

3/28

Kが もってきた双六ゲームを出して

「先生どっちがいい ?」 と 2つ のこ まを Tに 見せる、 Tの 順番になると

「はい」とさいころを差 し出す、  1

回目のゲームが終ると Kが ひとりで

「ぼくドラエモン、 │ま くダイレンジャー、

じゃんけんぼん」 と言い、右手 と 左手でひとりじゃんけんをしてして 順番を決めている、 Kは ‐人三役で

→ゲームのようなやりとりが パターン化 している場合には、

役割交代や相手を待つという

ことがスムーズに展開する。

(14)

ω X+1/

3/28

2回 目のゲームを始めどんどんこま をすすめる、 <先 生ももう 1回 する一

>や <入 れて―>と 言うが何の反応 も無 くひとりでゲームを展開する、

途中で <こ っち先生>と こまを取る と Kは 火がついたように泣き叫び、

Tを 叩 く。足で蹴るの大騒ぎになる、

Tは Kに たたかれるまま・蹴られる ままになりながら <ご めんごめん >

と謝るが Kは さらに大声で泣きわめ き Tを たた く、 <じ ゃあおすもうで 決着だ>と 言うもやはり泣き叫び続 ける、 Tは 立ち上が り <か まえて―

>と Tが おすもうの構えをすると K

も半泣きしながら寄って来ておすも うの構えになる、おすもうを始めそ のうちに泣き上む、 Kが 勝ち Kの 片 手を Tが 持ちながら <Kの 勝ち― >

と言うと Kは にっこりと笑顔になる

→ Tと "遊 んでいるという よりも、   す ごろ くと "遊 ん でいる感 じが強い。

→ふた りでおす もうができた のはこの時が初めてである、

体がぶうか り合うことの中に、

受動 と能動が同時に起 こって いる状態がある。

2⊃ X+1/

4//4

Kは もくもくと固定自転車をこぐ、

Tも 隣の自転車 にの り並んでこぎ始 める、 <び ゅ―んKち ゃんを追い越 すぞ― ><ど こまで行 く ?>等 Kに 話かけるが Kは Tの 声かけに対 して は何の応答 もな くもくもくとこぎ続 ける、 しばらくして <は ―い、着 き ました>と 言つて Tが 自転車か ら降 りKも 降 りるように誘 うが Kは ひた す らこいでいる <お なかがすいて き た―、 レス トラン行 こうかあ>と T

は自転車か ら離れ大積み木をテーブ ルと椅子を並ベ レス トランのように 作 り <い らっ しゃいませ―>と Kを 呼ぶ、するとすっと Kが 自転車か ら 降 りて きて積み木の椅子に座る、 <

何が欲 しいですか>と Tが ウェイ ト レスになって聞 くと「 うどん」、 T

がその場 を 5〜 6m程 離れる、 Tが 再び戻 って くるのを Kは 座 ったまま で待っている、 <お またせ しました

>と 手にうどんをもって きたような 動作 を しなが ら Kに 差 し出す、 Kは その差 し出された ものを食べる真似 をする

→ 自転車にのるというのは個 人的な動 きであ り、や りとり 的な構造 をもちに くい。

→対人関係の場を含んでお り や りとり的な構造をもちやす い場の設定をする。

→ レス トランごっこの中での

役割 を明確 に呈示する。

(15)

② X+1/

4/14

ふたりで横になり自転車をこぐ、 <

よ―し、Kち ゃんを追υ曹 ぞ―ウイー ン>と 言って Tは さらにスピー ドを あげてこぐ、 「先生はもう後ろにお る」と言つて回転する車輸をみなが らもくもくとこぎ続ける

→ ひとり遊びに入 りやすい自 転車の りにおいて も、 Kは T

のイメージを取 り入れている

② X+1/

4/21

ミニチュアの車 を動か しなが ら「信 号が青」「ブーン」 「 キーン」「カン カンカン !信 号が赤」等 と言いなが ら遊んでいる、 <よ ― し先生 も>と Tが Kの 遊びに加わろうとすると K

は「だめ― !!」 と非常に大 きな声 を 出 し顔 も赤 くして興奮気味に強 く否 定する、 Tは 怪獣 を手にもち <つ い てい くも―ん>と Kの 車の後を追う、

怪獣の真似 をしなが ら <見 て見て、

これ怪獣の顔>と T顔 のKに 見せる、

「わ―はっはっは…・」 と大声だが感 情のこもらない笑いをする、 Tは 怪 獣の顔だけでな く格好 も真似てみせ ると Kは 再び感情のない高笑い、 T

の怪獣 を戦いでやつつけたあと「い ててててつて言 うとよ」 <誰 が ?>

「 T先 生がいててて って」 <い てて てて >

←怪獣ではなく Tへ の直接的 な関わ りを感 じる

② X+1/

5/12

センターの玄関で会った Kに <Kち ゃ ん、こんにちわ>と 声をかけるが K

はきょとんとして何の応答 もない、

Kは 突然階段 を指差 して「何であそ こらけ電気がついてるの―」 <ね え ねえ、こんにちわつて >、 Kは Tを ちらっとみるが電気 を じっと見上げ ている、プレイルームヘ入 り <ご あ いさつ してなかったね、こんにちわ >、

Kは 心 ここにあ らず とい う状 態 で

「おはようございます」 <学 校 か ら まっす ぐ来た ?>に は Kの 返事はな い、 Tが マ イクをもっているように 手を差 し出 して <で は Kち ゃんに聞 きます、今 日はここまで車で きまし たか ?>と 聞 くと「はい」 <お 家で 何 して きた ?>「 あやつ食べてきた」

←マイクを設定することによ

り 話す こと "の 課題 を明確

に伝える

(16)

ω Kが 線路 を組み立てている、 Kは お もちゃ箱の中にある組み立て部品を 取 りたそ うに箱 に視線 を向けるがす ぐ近 くにいる Tに 要求す ることはな い、できた線路に電車を走 らせる、

Tが 人形 を 3つ 持って来て <乗 せて くださ―い ><お 金はおいくらです か ?>「 50円 」 <こ れはどこ行き ?

>「 おど行き」、 Kは 人形をのせて 電車を発車させる

→Tと 一緒に線路を作ってい くという Kの 意識はあま り感 じられない

0 X+1/

5ノ /19 (Kは 面接の時間より早 く着 き遊ん でいる )そ の部屋を開けた Tに 「 T

先生遊ぼう」と Kが 声をかける

→おもちゃ と "遊 ぶ、から、

おもちゃ で "T と "遊 ぶ、

という意識が感じられる 0 X+1/

5/26

Kは 電車を 3連 つなげて走らせよう とする、 <誰 か乗せてつて >、 Kは おもちゃ箱から男と女の人形を持っ てくる、 Kの 電車の後ろから Tの 電 車 もついてい く、すると「ついてこ ないで下さい」 <だ って― Kち ゃん と一緒に行きたいんだもん >、 Kは それ以上の拒否はなく電車を走らせ る、 Kは 電車の穴に砂を入れながら

「穴を開けたら―」 と言いかけたと ころで <穴 を開けた―ら、幽霊だあ―

>「 幽霊出て来て先生を食べる」 <

ばくん >Kが 笑う <穴 を開けた―ら "

・>と 言いかけたところで今度は K

が「へびが出て来て先生を食べる !」

→ ついていきたい "と い う Tの 思いや Tの 電車 を意識 し てこその発言である

→ Kの 発言 を受けてその内容 の中から Tの 発言でつなげる。

Kも Tの 発言 をうけてその内 容の展開を示 している。

281 X+1/

6/2 人形 を出 して「 これラーメン博士」

と Tに 見せる、 Kは ラーメン博士 と ミッキーマウスを両手に持ち、それ ぞれの役にな りきって一人三役で電 話や じゃんけんを している「おでか けします」<おみやげかってきてね― >

す ぐには返事がないが しばらくして

「朝になったらおみやげ を もって き ます」、 Kは 車 に ミッキーマ ウス を のせて滑 り台の上で「夜です」、 T

もその場で横になり寝る、廟 だよ―」

<お っはよ― >、 Kは Tの ところヘ 戻って くる、 <お みやげは ?>と F17

→ Kは ふた りでいた場 を離れ

るが、文脈に合った意味付け

を しそれを Tに 伝える

(17)

281 X+1/

6/2

くが Kか らの返事はない <あ tあ そ こにラーメンがある !>と 指差 した 方向に走つて行 く、走ってい く Tに Kも 一緒の方向に走る、 Kが Tよ り 先にラーメンの所へ行 きラーメンを 食べ る仕草 を しなが らへ っヘーと笑 う、 <あ 、あそこにもラーメンが

!

>と 言いなが ら Tが 指差 した方向に Kと ふた りで走 り出す

←具体物ではなく架空のもの を媒介にすることでKと Tと のイメージの共有につなげる。

ラーメンを自分 より Kが 先に 食べ られて くや しい と思 う T

の気持 ちをくんでいるか らこ その 得意そ うな "笑 顔では ないか。

291 X+1/

6ノ /9 「はっけよ―い」と Kか ら構 える、

Tは しこをふんだ後塩をまく仕草を する、Kも 真似をして塩をまく動作 をする、2回 目に塩をまこうとした その塩を Kに かける仕草をする、 K

は顔にかかつた塩をぬぐうような動 作をして Tに かけ返す、 Tは かけ返 された塩を受け取 り手の平で丸める かのような動作をして <塩 のお団子 だよ―ん>と 言つて Kに 投げる、飛 んで来たお団子をよけるように体を 動かしながら「あたつてないよ―」

→具体物ではなく架空の ̀t塩

'

のイメージを共有 している、

さらにその塩で相互のイメー ジを展開させている。

架空の塩 を投げた Tと "の や りとりを感 じる。

130 ふた りで窓から外を見ている、一方 が言つた ものが どこにあるかをもう 一方が当てるというゲームになる、

<青 いバ イク >「 あそ こ」、役割 を 交代 して「 白い学校」 <は い >… ・ と 10間 程交互 に問題 を出 し合つてい く、 Tが <ジ ユース>と 言つたのが Kは それが どこにあるのかわか らな い様子でキ ヨロキ ョロしている、 <

あそこあそこ>と Tは 指差 しはせず にジユースの方向へ視線 を送る、す ると Kが Tの 視線をじっと見て、ジユー スの方向へ送つた Tの 視線上 に自分 の視線が入るように移動する

→ふた りから離れたところに

ある目標物 に向け られた Tの

視線 を Kが 追つている

(18)

130 X+1/

6ノ /30 2台 の自転車に Tと 並んで こぐ、

「 T先 生みえなくなった―」 と Tを 追い越 し自分が先に行っているため に Tが みえなくなったことを表現 し ている、 Tは さらに早 くペダルを回 転させスピー ドをあげてこぎ <お い ついたぞ― >「 まだ追いついていま せん」 <ウ ィーン、おいつ くぞ― >

「あ―また T先 生が見えなくなった―」

と Tの 顔をみる、 <あ 、前に大きな ぞうさんがいます>と いう Tの 言葉 をうけて Kは ぞうさんを超えるかの ように立ちこぎを始め「これでいい !」

→今までの自転車の りは、ひ とりの世界へ入ってい くこと が多かったが、Tと イメージ を共有 し、それを課題 として 関わつている

0 X+1/

7ノ /7 玄関で会うなり「 4時 に遅れてどう もすみません」とTの 顔をみて言う

→紋切 り型の挨拶ではなく、

Tへ "伝 える言葉 として感

じる

1331 プレイルームに入ると「サッカーし よう」とボールを持って部屋の奥の 方へ行 き、 「先生い くよ―負けるも んか―」とポールを蹴る構えをして いる、 <オ ーケー>と Tも 構える

→自分がサッカーをしたいと いう気持ちと Tを "誘 うと いう気持ちを感 じる

tOn X+1/

7/21

Tよ りも先に Kが プレイルームに入っ て黒板に『ちんちん。 ・・』 と書いて いる、 Kは 書 きながらドアの入 り口 を振 り返 り Tを みて「ヘヘヘー」と いう表情をしている

→ Kは Tの 反応 を予測 しまた 期待 していたために、この よ うな表情 をしたのだろう。

的 X+1/

9ノ /29

Tが ゴリラのぬいぐるみの手を『お いでおいで』というように動かしな がら <握 手 しよう>と 言つてゴリラ の手を差 し出すと、 Kは 笑いながら 近づいて来て、そのゴリラを自分の 背中におぶろうとする、ところがう まくできず Kの 背中からゴリラがず り落ちてしまう、その度に Kは 「な かなかうまくいかないよ』と訴える ような表情でゴリラと Tの 間に視線 を交互に向ける

→ Kの 『みてみて』という対

象物への注意の促 しや、『な

かなかうまくゴリラを背中に

おんぶできないよ Jと いう訴

えが Tに 向けられていること

を Kの 視線のなかに感 じる。

(19)

00 X+1/

10/11

Kは つなげた線路を片づけようとし て、 レールのつなぎ目の連結部をと ろうとするが うまくとれない、 <こ んな風 にするとす ぐとれるよ>と T

が横か ら言 う、 Tが する手の動 きを じっと見てKも それを真似 して同 じ ようにするが うまくできない、 Kが 別のや り方でするとす ぐにとること がで き「 こんな風に上か らした方が いいみたいだよ」と Tに 教えてくれる

→ Kは Tが うまくいかないで 困つている状況にいることに 気付 き、そのための工夫につ いて積極的に Tに 伝えようと している Kの 意図を感 じる。

帥 X+1/

11/10

Kが 電話 をもって立ち上が り「 この 電話は飛べ るんだぞ―」<う わ―、

このシ ョベルカーだって飛べるぞ―

>「 これは ミラクルスーパー電話マ ン !」 <す げ―、こつちはウル トラ スーパーシ ョベルカーマン !>「

光線」「 ビー」な どと言いなが ら攻 撃を仕掛 けて くる、 <見 てみてこれ 長い もんね―>と シ ヨベルカーのは しごの部分を伸ば してみせると「で も、ほら、これ も長いよ―」 と電話 の受話器をタテにぶら―とぶ らさげ て見せる<う ―負けたあ― >

→ Kは 一方的に攻撃をしかけ るのではな く、 Tの 言葉 をう けての発言である

081 X+1/

11/24

ふた りで向かい合わせになって話 し ている、 「右ってどっち ?」 <書 く 方、ベ ンをもってる方 >「 おは しと 御茶椀だつたら ?」 <お は じの方 >

「 どっち ?」 <こ っ ちの手 を挙 げ て>と Tが 右手 を挙げると、 Kは 左 手をあげる

→ Tに とつての右が自分から みた左になるという相手にとつ ての知覚的な視点にたって理 解 している

lal X+1/

12/1

<何 して遊ぼっかあ >「 おにごつこ」、

Kは 逃げようとする、 Kは Tに 追い かけられるのを期待 しているような 笑顔をみせる

→ Tが 追いかける前か ら逃げ てお り、 Kが 先行 して状況を 作 つている。

④ X+1/

12/10

Kの 言つたことがうまく聞き取れず に <え ?何 だって ?>と 聞 くともう 一度 Kは 同じ事を言う、がそれでも うまく聞き取れないので再度 Tが 質 問する、すると先ほどよりゆつくりと したまたはっきりとした口調で話す

→ Tに 伝 えることを意識 し、

Tの 間 き取 りやす さを意識 し なが ら口調や声の大 きさを調 整 している

()*     エ ピソー ド番号

<>**    Tの 発言

「」 ***   Kの 発言

←  ****   や りとりの背景にある Tの 意図

→  ***** Tが とらえた Kの 意図、 Tが 感 じた Kと の関係性

(20)

<第 I期 :#1〜 #9>

Kに とっては自分で課題を設定 している時期であ り、 Tに とっては共有 して い く課題 を模索 している時期 と考えられる。

Tは 、 リカちゃんハウスでままごとをすること (1)、 受話器 を使 つて話 しか けること (2)、 人形を媒介に して Kに 語 りかけること (3)、 か くれんぼの「 も―

い―かい、ま―だだよ―」ゃ じゃんけんのような「型」が きまっている言葉の 掛け合いでや りとりをしようとすること (4)な ど、 Kと 共有 で きる課題が何 か を模索 していた。その際課題 としては、 「受話器→話す」の ようなよ り具体的 な行動や ものそれ自体がふた りのや りとりを規定するように呈示で きるものを 考えていた。課題 を媒介に課題の中で Kと Tと が意図を探 り合 うのではな く、

課題それ自体をどのように設定 していくのかについて Tは 試行錯誤 していた。

しかし、 Kは Tが 設定 した課題へ応 じることなく、リカちゃんハウスで少 し遊 んだかと思うとそこからす ぐに離れ トランポリンの方へ行つた り (1)、 受話器 に向かって「もしもし」と言うのみで車で走 り回る (5)な ど、 Kは トランポリ ン・車 という Tが 呈示 した課題とは別の課題でTと 関わろうとしていたとも考 えられる。 しかし、 Tは Kが 移つていった課題へ応 じようとしなかったために、

また別の課題を模索 し呈示 していた。その課題もKと の関係作 りの足場 となる ような課題の設定とはならず、 Kは Tが 設定 した課題へは対処せずにその課題 とは別の課題を設定 していくということが繰 り返され、Tと の遊びは続かない 結果となった。すなわち、Tも Kも 自分の課題を呈示 し合つたにすぎず、課題 を相互に共有するという事態にはならなかったといえる。 Kが 課題に対応 して いる場面はあるが (1・ 205)、 Tは この遊びに Kを 「のせよう」という意図のみ が先行 し、 T自 身が設定 した課題にいかに Kを 引き込むのかに焦点をあててい た。 (3)の ように、リカちゃんハウスから離れようとしている Kの 意図が どこ にあるのか、という Kの 視点から課題を設定 しようとはしていなかった。即ち、

Tが Kに 求めていたことは、Tと 意図を共有 していくことではなく、 Tの 意図 に気付かせることであったといえる。ここには KOT双 方向から課題を作 り合 う相互の歩み寄 りの過程はない。このことが、遊びが続かなかった要因である と思われる。

(3)で は、人形やぬいぐるみを通 したや りとりがTと Kと の関係作 りのきっ

かけとなり遊びが展開しつつあったが、ここで Tが <先 生 も >と 発言 したこ

とは、 Kが ぬいぐるみを使つてのごっこ遊びの中で動いていることとは別の意

図を投げかけたことになっていたと思われる。したがって Kは 「何 も応答がな

(21)

かった」のであろう。このことは (6)に おいてもあてはまる。 Kは 戦いの場面 の中でや りとりをしていきたいという意図があつたにもかかわらず、 Tは 戦い ではなく別の場面への展開をしたいという T側 の意図が先行 し、 「病院へ行 く」

という場面へとつなげようとしていた。これは Tが 自分の意図する展開ヘー方 的に Kを 方向づけようとしていたことといえる。その結果、 Kは 再びショベル カーヘのひとり遊びの世界へと入っていつたのであろう。一方で、じゃんけん やか くれんぼのようなや りとりの形態自体がパターン化されたものであれば K

との関係の足がかりになると考え、 パターンにのる "課 題を通 じて Kと のや りとりを持続 しようとしていた。

<第 I期 ;#10〜 #15>

Kに とっては課題との関係だけに閉じて遊びを展開している時期から、課題 を通 じて他者の意図を模索 し共有 しようとしたり自分の意図を伝達 しようとし 始めている時期である。また、 Tに とってはKと ともに展開していく課題を共 有できない時期からし始める時期である。

Kは シヨベルカーとらっぱ (7)・ 病院のミニチュア (8)・ シーソー (10)。 「赤 鬼はどこからきたかをあてる」 (14)こ とを主テーマとして、遊びを展開させて いる。 したがつて、 Tが 呈示 した課題には応 じていたといえる。しかし、シー ソーの高さが変わることだけを楽しんだり (10)「 (赤 鬼は )家 から来た、ぶ―、

空から来た、ビンポーン」のように一人三役での会話が続いていた。ここには、

シーソーの高さを変化させた主体としての「 T」 への意識化は感じられなかつ た。また、赤鬼がどこからきたのかの答えは「 Tに 対 して」のものではな く

「 K自 身」に向けられていた。 Tは シーソーの高さを Kの 要求 とはわざと違 う ように動かしたり (10)、 赤鬼の答えを Kが 答える前に言う (14)な ど Kの 意図と は逆の応 じ方をすることによつて Kの 遊びの展開に入 り込 もうとしていた。し かし、 Kは Tが 意図した内容については意識を向けていない様子であ り、 Kの 遊びはTと のや りとりのなかで展開していくという状況にはならなかつた。

しかしながら、Tと 同時に同じことばを言い始めようとしてそのタイミング を伺うという (12)同 期性への志向も瞬間的ではあるがみられた。また、時間 的には長いや りとりではないが、 Tの 意図に応 じた遊びの展開がこの期におい てもみられはじめている。 Tは 相手に合わせて自分の動きを調整するような行 為を媒介にしたやりとりの有効性を考え、シヨベルカー(7)0シ ーソー (10)。

ジェスチャー (16)の 課題を行つた。 Tの らっぱに合わせて Kが ショベルカーを

動かしていたこと (7)は 、シヨベルカーを動かすという課題が「 Tに 合わせて

(22)

動かす」 という課題とも重なっていたといえる。即ち、課題を提供 した他者の 意図への対応があった状態であるということができる。しかし、この課題は第 I期 で多 くみられたように、 Tに よって設定された課題であったために、長 く は続かず Kは その場を離れたのであろう。 (10)の シーソーでは、 Kの 言う通 り の高さに、 Tが 何度も動か していったという関わりが前提 としてあつた。そこ では、始め Kは シーソーの高さのみを意識 してお り、自分の高さの変化と同時 に Tの 高さも変化 していることに対 して意識はしていなかった。しかし、何度 も繰 り返すうちに、 「先生の 3階 」という他者の視点にたった発言がみ られて いる。ここには、他者や自己の視点に敏感になり、他者 (自 己 )の 動 きに影響 されている自己 (他 者 )へ の気付 き 。自分や他者の変化への気付 きかたにも新 たな変化が生 じてきていることを示すものであると考えられる。

以上は、行為を媒介にしたり、ショベルカーと鈴のような具体物や、シーソー のような視覚的にもフィー ドバックされやすい具体的な動きを課題 とした状況 である。そこで I期 の後半において Tは 、イメージのような具体性が高 くない 課題を媒介 とした状況におけるKと のや りとりの展開をねらった。まず、 (12)

では、いったん Tが Kの 発言をうけて「二人で」話 しをつなげていくなかで物 語を作っていったという過程があり、このことが Tを 意識する Kの 視線をもた らしたと思われる。このことは (15)の 「魔女の国」にも同様にあてはまる。 <

ここはどこ ?>と 聞いたことに対 して、 Kは 「魔女の国」と答え、その Kの イ メージのなかに T側 が入ることによつてイメージを共有 していた。このや りと りのなかで、 Kは Tが 次に何を言うのかを期待する「待ち」の間を 示 した。

これは Tの 意図を探つているからこその「待ち」の状態である。 このような

「待ち」はここで初めてみられたものである。仮に、 T側 か ら <こ こは魔女の

国だぞ>と 設定 したとしたら、Kと Tと の遊びはこのようには展開しなかつた

であろう。即ち、 Kが 意図し設定 した枠のなかに Tが 入ることによってその意

図を共有 し、 「その枠のなかで」今度は T側 が課題を設定 し Tの 意図を意識 し

ながら Kが 対処 していく、という相互に課題を形成 していく過程が重要である

ことを示 したものといえる。この点からみると、 (14)で は Tの 呈示 した『赤鬼

はどこからきた』の絵本は Kが 意図したものではなく、このことがその後の一

人三役という自己に閉じられた状況での発語となってあらわれているのであろ

う。この一人三役の会話は (13)で もみられる。 (13)で は Tが 割 り込んでいく言

葉は全 く無視 していた状態であったが、 (14)で は一瞬でまた機械的ではあるが

Tに 対 して応答 している。このことを考えると、 Kの 示す一人三役での会話は

(23)

完全に自己に閉じているわけではなく、自己の中に他者の視点を含んでいたの ではないだろうか。 (11)に おいても、人形を操作 しながら一人三役を演 じてい るが、 「その人形」が Tに 『一緒に行こう』と誘いかけるなど、他者に向かっ て自分の意図を伝えようとしている。そうして (14)の ように、 Tが Kの 中にあ る他者に重なるように関わつたことは、 「 Kの なかにある他者」 を Tが 担って いた状態であつたといえよう。このように考えると、 (13)で 、 Kの 一人三役を

‐ している世界に Tが 入っていけなかったことは、 Tの 関わりが「 Kの なかにあ る他者」 とはそぐわないものであったことを示 していると考えられる。

電話遊びにおいては、 Kは 第 I期 から好んで電話を用いておしゃべ りを続け ていた。 しかし、その発話の相手として Tを 意識 していたのではなかった。電 話での「 Tと の」会話が初めて成立 したのは (9)の ときであった。それまでは 受話器は単にしゃべ りかける道具 としてのみの存在であったが、ここでは電話 を対人的なや りとりの手段 となる道具として用いていたといえる。しかし、電 話でのや りとりは言葉によってKと Tと のイメージを共有することが必要であ り、このことに対する困難さが電話遊びが長 くは続かなかった理由であろう。

このイメージの共有という点からみると、 (16)の ジェスチャーあてごっこは、

具体物を媒介にすることなく、相互のイメージを積極的に推理 し、イメージを 共有できたときが「当たり」 となリゴールに達成するという遊びである。この 遊びのなかで Kは 「当たり」を懸命に探ろうとしていたということができる。

このようにみると、第Ⅱ期の後半においては、子 どもは課題 との関係だけに 完全に閉じて遊びを展開しているのではなく、課題を通 じて他者の意図を模索 し共有 しようとしたり自分の意図を伝達 しようとし始めている時期であるとい える。

<第 Ⅲ期 ;#16〜 #23>

Kに とっては課題を共有するなかで他者の意図に応じる時期であり、 Tに とっ ては課題を共有するなかで子どもの意図に応 じる時期である。

(18)(21)(24)で は共通 して、 Tが 「Tと して」直接的に関わつても Kの 反応 はなかった。そこで Tは ある特定の関係性、即ち「インタビューするひと一答 えるひと」や「客と店員」の関係性、を限定的に呈示 したことによって Kに とっ ては役割がとりやす く、このことがや りとりの形成へ とつながるのではないか と考え、 Tが マイクを使つてインタビューするという設定にしたり (18)(24)、

具対物を用いてレス トラン場面を設定する (21)と いう場面の展開を行った結果、

Kと のや りとりの展開がみられた。

(24)

(21)で はレス トランの場自体は積み木を用いてテーブルと椅子を設定 したが、

その後の食べ物を運んだり食べたりする場面においては具対物をあえて介さず、

ジェスチャーと言葉のみのや りとりを設定することで、よリイメージの共有が 必要となってくる状況でのKと の関係性形成を意図していた。第Ⅱ期の最後の セッションにおいてもイメージの共有を前提 としたジェスチャーのあてごっこ の遊びはみられていたが、ここではそれをさらに展開させて、そのイメージを もとに遊びを展開している。このイメージの共有は (22)の 自転車の りにおいて もみられた。この自転車の りはもともとや りとり的な構造を含んでいない遊び であるが、この自転車の りにおいてもKと Tと のや りとりが展開できたのは、

「スピー ドを出して追い越 しあう」というイメージの共有があったからであろ う。

(17)(23)で は、 「積み木を打ち合う」「怪獣の戦い」という課題を通 じて、課 題に応 じるのみでなく、課題を通 じて「 Tの 音に合わせたり」「先生が言つて」

などの他者への関わりがみられた。第 I期 まで戦いの場面は頻繁に起こり最後 はおいかけっこになるというパターンができていた。しかし、必ず Kが 逃げて Tが 追いかけるという役割分担ができているかのように、 Tが たとえ逃げたと しても Kは 追いかけることはなく、おいかけっこは途中で切れていた。また T

が Kの 体をつかまえて体ごとぶつか り合おうとすると、 Tの 体から離れていく ことが多かった。そこで Kの 能動的な関わりを引き出すことをねらい、 Kが T

に体ごとぶつかってくるなど、まず行為を媒介にした Kの 能動性を遊びのなか で展開しようと考えていた。この点に関して、この期のおいかけっこで初めて Kが 追いかける役割をとり (19)、 またおすもうの体のぶつか り合いがみられた

(20)。 このことは、 「する一される」の関係の変化ととらえることがで きる。

即ち、 「能動―受動」の主体的働 きの相互交換 (浜 田・山口 ;1984)で あ り、最 初は受け身的であった役割を能動的な役割に変化させていったのである。これ はや りとり関係の基盤である。しかし、 (25)の ように場面設定のない、役割関 係の明確な呈示のない場合には、イメージの共有がなされていたとはいえず、

Kは 能動的な関わりを示さなかった。

<第 Ⅳ期 ;#24〜 #39>

Kに とっては課題を介さず直接的に他者の意図へ応 じる時期であり、 Tに とっ ても課題を介さず直接的に子どもの意図へ応 じる時期である。

「先生遊ぼう」 (26)「 ついてこないで」 (27)「 お くれてすみません」 (32)

「サッカーしよう」 (33)「 こんなふうにするといいよ」 (36)な ど、この期では

参照

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