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茨城大学運動部学生の環境と 心理的一考察

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(1)

136

茨城大学運動部学生の環境と

        心理的一考察

.し.し少7

iノ

一N

1。 ま え が き

2.運動部員の数 3.運動の練習を始めた動機 4. 現在の運動を始めた時機 5. 環境について 6. 自己負担の費用

7.趣味と読書

8. スポーツに対する態度

9.試合について

10.あとがき

 1.  tS・teえ が き

 最:近スポーツは,社会人,学生を間はず,あらゆる階層に益々盛んに行われている。

 これは,スポーツに対する意義,価値等の認識が深まってきた為であると思われる。

 スポーツはもともと「自分の本来の仕事から離れ,心を他の方面に運ぶこと.陵意味し,

仕事から解放され,気分を転換する為に行われる活動は,すべてスポーツと考えられる。

しかし現在スポーツは,単なる自然的な遊戯又は娯楽とは区別され,大筋肉群を使用して 行う組識的な活動が一一綬にスポーツといわれている。

 スポーツには,多くの種類があるが,大部分のものは勝負を争う試合の形で行われる。

もちろん,スポーツは勝負を争うこと,技を競うこと自体が目的でなく,その過程を楽し む為に行うものであるけれども,その楽しみは単なる活動の楽しみだけでなく,技を競う こと,勝負を争うことに伴う楽しみを本質的なものとしている。この為にクラブを作り或 は放課後,休日等を利用してスポーツ技術の練習や試合等が行われる。

 本大学運動部学生は,学生本来の勉学と共に余暇の活用として,このスポーツを如何な ろ状態で実施し技術の練磨に努力し試合に臨んでいるのであらうか。地方の新制大学とし て,幾多の悪条件を克服しながら各種の全W本選手権大会や, インターカレッヂ,関東大 学リt一一グ戦等の試合に出揚し活躍するようになった現在,その実態をあらゆる方面から調

(2)

         磯 部:茨城大学運動部学生の環境と心理的一考察         13フ

査研究して現状を知ると共に,今後の発展の為の一資料にしたいと考え,先ずその環境と 心理的面を主として研究考察する:事にした。

調査人員は,本学学生課に登録さ2■ている運動部20部602名(男女)について,質問紙 法により無記名で解答を求めたが,シーズンオフの為解答者数が少なく]25名の集計によ って考察した。

 この質問の内容の大部分は,東京教育大学松田:岩男氏が昭和2フ年に東京都下の各大牽の 各スポーツの一流選手男子504名に対して実施した形式に準拠し,その結果を本大学運動 部員と比較研究したいと考えたが調査人一員の数と質に敵て相異がある為に,比較する事は

困難であるのでこれを参照しながら本論を進めてゆく事にする。

 2 蓮動郡学生の人数

 (1) 学生総数との比率

 全学生に対する運動部員(男女)の比率は,19.2%で602名である。これを単部別にみ ると,…位は教育学部面生総数に対する教育学部運動部員数で,24.7%で406名である。

二位は文理学部の同じく17.1%で103名,三位は工学部の同じく11.6%で73名,藩老部は 同じく7.3%で20名である。工牽部,農華部の運動部員数の少ないのは,一年次は本部

(水戸)へ熱学するが二年次からは,それぞれ多賀,土浦地区へ通学するので種々制約さ れる為であると考えられるが,全体的にみて運動部員の比率は各掌部の性格に影響されて

いると、思われる。

 これを女子学生総数に対する女子運動部員についてみると,教育学部は13、4%で53名,

文理学部は8.8%で6名である。工学部,農学部は学生3名で運動部員はいない。

 男子部員に較べて女子部員は非常に少ないが,これは,この時期の心理的身体的,条件 によるものと考えられ,各大学に於ける一般的傾向であるとみられる。

 (2) 他のクラブとの比較

 ① 掌術研究部会  18部  25.7%(全学生に対する比率)

 ② 文化部会    21部  22.7%(    〃    )

 ③体育部会  20部 19.2%(  〃  )

 この外に,その他の団体が少数あるが,全掌生の67・6%の学生が何等かのクラブに所属 して,余暇を活用して学生生活を有意義に過そうと努力している。

 体育部会が最少であるが,これもやはり各大学の一般的傾向とみられる。

 (3)本学で実施している運動部

(3)

138

 陸上競技部

 水  泳  部

○器械体操部

○山  岳  部

○剣  道  部  柔  道  部

○弓  道  部  ボクシング部  レスリング部  硬式野球部

茨城大学教育学部紀要 第六号

 軟式野球部

 ソフ1・ボール部  ラク ビー一部  サツ カー部  ハンドボール部

○バスケツトボ・・一ル部

○バレーボール部

○硬式庭球部

○軟式庭球部

○卓  球  部

○印は女子部員を含んでいる。

学年別部員数

女562721

男01036673

1  1  1  

1

次次次次年年年年四三二一

合  言十     543    59

学部別部員数

τ國

      男  女  :文理学部  97名  6名  教育学部 353  53

際学部73。

 農学部 20  0

    合瑚

406i

合  言十     543     59 6e2

 3.蓮動の練習を始めた動機

 部員達は,何等かの動機又は契機でスポーツ,運動を行うようになったのであるが,そ れは一体どんな動機,契機であらうか。

 第1表は調査結果の一覧表であるが,第一に挙げられるのは,自分の体を良くしたいと いう健康への願望から,体育活動,スi;・一ツを始めた者が約半数近く43%になっている。

(%合計が100以上になっているのは,一人で幾つも挙げているので%は調査人員に基い た相対頻度である・)

 二位は・何となく運動が好きが31%である。これは他の項目と同列に扱ったけれども練 習を始める動機の基盤は,運動に対する愛好心である。運動に対する愛好心は,ちょっと した契機で呼び起されるものである。

 運動会で一等になった事や先生にほめられた事,相撲をやって勝つた事など自己の能力 に対する自覚,自信によって運動に興味を持つようになったり,叉虚弱な身体を強くする 為すすめられて運動しているうちにだんだん興味を持つようになったり,相手に負けまい

として努力して練習しているうちに好きになったりする專が非常に多いのである。

 この事はこの調査の結果にもはっきり示されている。

 三位は,夢中になるものが欲しかったの22%である。これは青少年の特色として,一:事 に熱申し易い傾向があるが,彼等はすべてのものを忘れて打込む事が出来るものとして,

活澄な大筋活動を選んだのである。

 金体をみる時,自律的な動機によって,練習を始めた者が非常に多く,反対に他律的に 始めた者は少ない。これは後述による運動を始めた時期が大学入学前後から始めた考が多

(4)

磯部:茨城大学運動部学生の環境と心理的一考察 139

いので各自の判断によって選択した者が多い為と思われる。友人のすすめによるものが22

%で教師や親兄弟のすすめよりはるかに多い。これは友人の影響が非常に大きい事を示し ている。松田氏の調査と同じ傾向である。

 第1表 運動を始めた動機(相対頻度%)

本学韻箔璽

  1

自i

ihi

L 自分の体を良くしたい 2.積極的な性格にしたい 3.能力がすぐれていた 4.何となく運動が好き

5. 才旨導者カミ女子き

6。親しい友と一緒にすごす 7.自分を認めてほしい 8。すぐれた演技をみて 9.他人より上手になりたい 10.記録(技)を向上させたい li.夢中になるものがほしい

1

 12.性格に合っている

   t 一 一 r .   t t  t t     t t  t t t t r t    t  t t  t    t       t   t    t t  t   t   t t   t

zli3%

17 2 31 2 15 0 7 2 4 22 19

他i13.教師のすすめ 律114.親兄弟のすすめ 的i三5.友人のすすめ

459勾  2

翻16・藩の強制

他117・退屈したから

00ρ0

29%

21 21 62 9 24 2 25

◎﹂4^n◎1 

3

] IO

人 数 125名1…名

 4.現在の運動を始めた時期

 本学運動部員は,現在の運動 を何時頃から始めたのであらう か。これは技術のレベルを知る 上に重要な事柄である。

 先ず参考の為に第五回国民体 育大会参加の選手のうち,体操 陸上競技,庭球,卓球,バレpm

ボール,バスケットボールの選 手のみについて調査された結果

を挙げてみると,

男女共に, 15才から始めた者が 最も多く,男子25%,女子34%

である。

 男子は16才,14才,17才,13 才以前の順であり・累加すると13才以前では13%の者が始まっているに過ぎないが,17才 に於ては,88%の者が行っており,18才では95%に達する。すなわち,国体参加選手では 13才頃から18才頃までに大部分の者が練習を始めていることが判る。

 本肇運動部員の練習を始めた時期は,これに比べると,ややおそいようである。

 第2表は年令別ではなく,時代別に大別し        第2表

て蹴までの縮鯛蝋・議したのであ 網を始めた時期鵬餓憂心習

るが,これ揺ると63%の部fi・/ま,融時代 小学校蹴から7%i9年11明

      中学校時代から 21% i 5年9ヶ月 にすでに運動を開始し,現在までに4年以上   高校時代から 35%i 4ケ年

の糖試合の鰍を持っているが,勘の37 大学入学後 37%11年3ケ月

%の者は7大学へ入学してから,後述の種々の目的をもつて運動を始めた人達である。

 従って練習期間も短く平均雇年3ケ月では,基礎技術の練習の段階であり,はげしい競 争場裡に於て好成績を収める事は困難である。

 しかし彼等は高校時代に行わなかったスポーツを,大学入学後に始めた事は,スポーツ

(5)

140       茨城大学教育学部紀要 第六号

 本来の意義を理解し,牽生生活を有意義に送ろうと努力している姿であり良い傾向である  といえよう。これはまた入学試験とも関連していると考えられるが如何であらう。

 5. 環境について

 (1)現 住 所

 われわれは環境に大きく左右される。運動部員達を包む種々の環境は,やはりその運動 生活に影響を与える。

 部員の現住所をみると,地方大学の特色として自宅からの通学が非常に多く,76%を示 している。下宿8%,学寮4%,アパート,親戚,間借等12%である。

 これは県内出身の者が多く通学可能な為でもある。しかし部員は,後述の如く多くの時 間を通学に費す為に,その練習時問に影響がみられる。

 (2) 通学時間(片道)

 上述の如く自宅からの通学者が多いので,自転車,バス,汽車等の乗物を利用する者が 多く(60%)従って通学時計も多くなってくる。即ち,30分以内26%,60分以内18%,1 時聞30分以内15%,2時聞以内24%,3時間以内17%

 これをみると,1時間以上から最高3時間までの者が56%で半数以.ヒを占めており,如 何に多くの部員が,多くの時間をかけて遠距離から通学しているかが判る。

 貴重な時聞を,このように乗物等に費す事は,練習の為にも,健康の為にも,大きなマ イナスである。

 これは後述の調査による練習時間の不足,疲労,拘束されない自由時聞の不足等の諸問 題と関連してくる。

 しかし,これだけ多くの時間を通学に要し不便をしのびながらも猶彼等はスポーツを行 っている。如何に彼等は,スポーツを愛し,求めているかが判らう。

 (3)家族及び友入の部員に対する態度

 運動部員に対して,その家族の人及び,友人はどのような態度で接しているであらう   第3表

lin

@ 塾掴父母知剃姉痢友人繍

  無 関 心40 3呈 38 36 26 41 35 56 8 44i

一一Rロ

(}躍癬i岡181癬聯8懸1無

(6)

磯 部:茨城大学運動部学生の環境と心理的一考察 141

か。第3表は,「現在,家族の入及び友人は,あなたがスポーツをやる事を喜んでくれた り,激励してくれますか」という皆野に対して表中の三つの態度のうち一つを選んで印を してもらったものである。( )内の数値は,部員の人数を示し,その人数に対して三つ の態度の%をそれぞれ求めたのである。

 これによると,一一般に家族の入々はその友人と共に激励している事が判る。

 なかでも父,兄,弟,友人は半数以上が,部員に尉して激励の手をさしのべている。

 これは最近スポーツが非常に普及し,その理解が深まった為であると思われるが,祖父 祖母,母等は,反対する者が比較的多い。これはやはり時代の差であらう。

 いつの時代でも家族の人々が運動部員,選手になる事に対して肯定的であるとは限らな い。現在の大牽運動部員に対するこのような家族の賛成的態度は,現在に於けるスポーツ の祉会的位置や,一般の人々のスポーツに対する態度を反映するものであろ。

 このように部員達を温く激励してくれる態度は,後述のその費用を,大半の部員が家族 から蹴してもらっている調査結果と符合している。

 (4) 練  習  時  聞

 以上のような環境にある部員は,日常生活のなかでその余暇を練習と試合に費している のであるが,その旧聞はどのようであらうか。

 シーズン中の一一一週間の練習時聞は平均12時間であるが,これは運動の種類によって異な り,本学に於ては個人的競技の方が団体競技よりも練習時間が長い傾向がみられる。叉試 合前,シーズン前には合宿練習をやるが一年平均12日間行っている。

 合宿練習は,技術の錬磨と共にチームワークの養成に多大の効果をもつている。本孕に 於ては部員は,通学に多くの時間を必要とするので,毎日の練習時間が比較的短かく,こ れを合宿練習によって哺っている傾向がみられる。

 関東大学:リーグ戦等に加盟している運動部では,シt一一ズン中は毎週土,日曜に上京して 試合を行っているので,これらに要する時聞と費用は非常に大きくなっている。

 次にシーズン外でも我国では,多くの選手はその専門種目を中心とした基礎的な体九 技術を修得する為の練習を行っているが,本学部員も一週間約4時聞のトレーニングを行

っている。

 現在の練習時習より,もっと長い:方がよいか,どうかの質問では,①もっと長い方がよ いとする者28% ②現在でよいとする者67%で非常に多い,③短い方がよいとする者5%

である。

 これによると現在の練習時間を大部分の部員は肯定しているが,しかしもっと練習して 強くなりたいという意欲がみられる。

(7)

142 茨城大学教育学部紀要 第六号

 第五回国体参加選手の練習時間調査によると,一編4時間以上というのが多い。このよ うに運動部員の生活に於て,その運動に費される時闇は極めて多いといわなければならな

い。

 6・ 自己負担の費用

 挙:友会の体育部予算は,総額689,000円でこれが20の部に配当されている。各部の平均 34,450円になるが,運動部の性格にもよって額の差はある。(例えば硬式野球部は106, 900 円で最高であり,新設のレスリング部はIO, OOO円で最少である)

 全体的にみると,非常に少ない部費によって一年聞の試合,練習,合宿等が運営されて ゆくわけであるが,これらの部費は,共通の用填購i入費,設備費,試合,合宿等の交通費 宿泊費等の一部補助として使用されているので,各部員は更に多くの個人負掛の費用がか かる事が予想されるのでこの調査を行った。

 (1) 用具服装費

 部員は個入使用の練習着,靴,用具等は自費で買わなければならない。運動の種目によ って異なるが年間平均2,000円必要とする。

  ①1,000円まで36% 1 「④4,000円まで12%

  ②2・ OO職で28% i⑤5・○○鰯で8%

  ③3,000円まで14% { ⑥6,000円まで 2%

最:高6,000円から最少500円までに分かれているが1,000円以下が36%で一番多く,次に 2,000円以下が28%である。3,000円以下が14%,4,000円以下が12%,5,000円以下が8%

6,000円が2%の順になっている。

 水泳体操等あまり個人の用具を必要としない部は1,000円以下が多く,球技,剣道等 が高額の費用を必要:としている。

 (2)交通費宿泊費

 交通費は試合,合宿等のための自己負担額で各部の差はあまりみられないが,しかし強 い運動部や強い選手は試合数も多くなり当然費用も多、くなってくるが,各部平均して 約2,200円である。次に宿泊費の自己負担額は平均約2,300円である。

 以上三つの合計は約6,500円になり,部員達は年間に多額の費用を出している事が判 る。この金額は純粋に競技に必要な経費であってこの外に遠征等には種々の雑費が必要で あり,それ等を加えると,相当高額になるであらうと想像される。

 (3)費冊の出所

 運動部生活をするためには以上のような多額の経費を必要とするが,その費用は誰が出

(8)

      磯 部:茨城大学運動部学生の環境と心理的一一考察      143

すかという調査によると,(相対頻度%で示す)①家の人が出してくれる61%,②アルバ イトで稼ぐ48%③奨学金を使う16%,これによると半数の者は上述の如く理解ある家族 の者から出してもらっていることが判るが,更にアルバイトによって稼いでいる者も相当 多い。松田氏の調査による東京の一流選手のアルバイトをやっている数は22%で本学生に 比較して非常に少い。これは如何なる理由によるのであらうか。このために練習時聞や技 術上達等に少なからず影響してくると思われる。

 アルバイトの種類は園生の本分を活用しての家庭教師が非常に多く43%であ観次に労 働25%。雑役22%,:事務店員が10%である。

 アルバイトの日数は年聞60日以下が70%で非常に多い。これは休暇を利用して行う労働 雑役等である・次に61日以上の者も合計30%に達するが,これは,家庭教師等定期的に夜 間に行うために長期間に亘るものと思われる。調査の最高は350日であった。

 アルバイトの収入は,そのH数,職種によって異なるが,最少1,000円から最高40,000 円までに達する。しかし5,000円から10,000円の者が74%で一」番多い,次に15,000円から 40,000円の者16%,次は3,000円以下が1G%である。

 以上の二つを平均してみると一人当り77日収入9, 980円になる。一一・一・・H平均約130円であ まり良い収入ではないがしかし,運動部員達は自分のスポーツを愛し,それに参加する為 に,このように時間的制約を受け乍ら,疲労した身体に鞭打ってアルバイ1・をやってその 費用捻出に努力しているのである。

 7.趣味と読書

 以上のように,運動部員は,その運動のために費される時間は,非常に多いといわねば ならぬ。この特殊な環境におかれている運動部員は,自己の専門のスポーツのために費さ れる時間以外の余暇の時間を,どのように過ごしているであらうか。

 (1)趣  味

 第4表は,部員の趣味について,具体的に記入したものを,芸術的活動。身体的活動。

 第4表 趣味相対頻度(%)

①芸術的活動48%

  映画18%,音楽16%,カメラ7%,絵画,生花,観劇

②身体的活動4C%

  専門外のスポーツ2G%,釣IC%,旅行,登山,キャンプ,ハイキング,散歩

③知的活動23%

  読書15%,蒐集2%,創作,書道,/非句,ラジオ製作

④ 社交的活動 12%

  囲碁4%,マージャン4%,将棋ラ勝負こと,談話

(9)

144 茨城大学教育学部紀要 第六号

知的活動,祉交的活動に分類し,これを更に頻度の多い順に具体的に列記したのである。

これによると,大筋活動を主とするスポーツマンは,その余暇を静的に楽しもうとしてい る事が判る48%,しかし,身体的な趣味もやはり相当多い。第五回国添選手の趣味につい ての調査でも第一位は芸術的活動であり次に身体的。社交的。知的の順である。

 第5表 蕨城大山査

①スポーツ(専門外の) ⑫映画 ③音楽 ④読書 ⑤釣 ⑥カメラ ⑦旅行

⑧絵画 ⑨蒐集 ⑩創作 松田氏調査

 ①映画 ②スポーツ(専門外) ③スポーツをみる ④読書 ⑤音楽 ⑥散歩  ⑦スrte・一一ツ放送をきく ⑧トランプ ⑨カメラ ⑩釣り

教師養成研究会(20才男子学生についての調査)

 ①読書②スポーツ③ラジオ④音楽⑤新聞⑥勝負事⑦談話⑧交際  ⑨散歩⑩休息 ⑪映画

 頻度の多い活動をその順位に従って十位まで挙げでと第5表の通りであるが,参考まで に,松田氏の調査及び,教師養成研究会の調査によるものを挙げてみた。

 (2)読  書

 運動部員は,また学生として各専門書と共に専門外の書物も相当読んでいるが・その内 容について調査した結果によると,第一位は文学であり,次に体育スポーツに関するもの である。第三位は娯楽的なもの,第四位は政治経済に関するものとなっており,これは松 田氏の調査と同傾向を示している。

 調査の対象となった部員は18才から21,22才にわたる大学生であるが,一般的な傾向と しては文学に次いで哲孕,思想に関する耳珠が高まる時期であるとされているが,部員達 は哲学思想にに関する読書が一番少なく,それに向う関心が体育,スポーツ等に主として 向けられているようである。これは一般的な傾向にすぎないが,運動部員のパーソナリ ティの一一面を示しているという:事ができよう。

 9 スポーツに対する態度

 (1) 健康と活動性の推移

 第6表は運動開始前と開始後に分けて,叉,時代別に健康状態,活動性の推移につい て,その自覚状態を記入したものであるが,健康状態は運動開始前に,普通,病気勝ちで あったものが合計68%であるが開始後には頑健になった者が74%に増加している。これは 運動の健康に及ぼす効果が如何に大きいかを如実に示すものであり,部員のスポーツ観に

も大きく影響している。

(10)

機 部:茨城大学運動部学生の環境と心理的一考察 145・

 活動匪(積極的行動)についても,やはり同じような増加の傾向がみられる。これも活 溌な動的スポ鳥ツ・チームの一員として積極的な協力を要求される団体生活多勢の前で自 己表環をする積極的なスポーツの一つの効果であると考えられる。松田氏の調査は分類は 異なるがやはり同じ傾向を示している。

 (2)運動部員の悩み        第6表  部員は運動生活の中で,どのよう

な聞題に当面し,どんな悩みをもっ ているであらうか。彼等の多くは,

それぞれの悩みを通して各自のスポ ーツ観を確立し,スポーツを生活の 中に位置づけて練習に精進している のである。

 第7表は「運動生活をしていて最 も大きなあなたの悩みは何ですか」

という質問に対する記入を,その内 容によって分類したものである。

 青年期の一一般的傾向として,人生

開始前1開始後1

…3

60

8

……

灘蓋病気勝ち翻

 健康 状 態

74%;

25

i

lOO

就学前小学校1中学校高校1

  = 1一一一一 :一:一一一.1=. J .i 一一一n . .1

 26%    32%

       43%

      Jr 8%I

      l  1

二;嚢「…ヨ… u翫96rm

22 15 i 2

.無記入3i 2 4 2

4

1oo 1100 I IOO 1100 1

活画

 …亜

 髄宴:

1・ 一rl

 I i

i3 Pss II 37 47

動i非動40 性1矧1・・

37 48

47い1i60・

44   41 1 30

8 11 6

  1無記入41 3 100 /一一一一    100 iIOO

2 1

61引

 一一一1一一一一l ioo I ioo

問題に関する悩みがあげられるが,次表にないのは質問に「運動生活をしていて」という 限定を加えた事が影響していると思われる。

第7表

①②③④⑤⑥⑦⑧ 経済上の悩み

拘束された自由時間の悩み 練習と勉学両立困難の悩み

身体的ハンディキャップやコンディシ・ソに関する悩み 練習法や技術に関する悩み

チーム内部の交友に関する悩み 練習場設備に関するなやみ

その他

茨大 32%

16 14 12 10 8 8 0

松田氏  21%

 16  27  15  10

 3  0  8

 これによってみると♪経済上の悩みが一位である。普通の学生生活においてさえ多くの 経済上の困難が伴う現在の生活事情下において,運動部員は前述の如く多額の余分の出費

を必要とするためである。

 二位は拘束されない自由時間の不足に関連した悩みである。これは敷課後の練習或は試 合,合宿等,又はアルバイト等によって貴重な休日を費し自分の全く自由に過ごせる時聞

(11)

146 茨城大学教育学部紀要 第六号

が少なくなるためである。

 三位は練習と勉学の両立に関する悩みである。これは練習による疲労のためや,逓学時 間が長いために,練:習と勉学の時間の不足,或は遠征等による授業の欠席等が含まれる。

 四位は身体的ハンディキャップやコンディションに関する悩みであるが,これは身長や体 重が足りない事,体力が無い。進歩しない。耐久力が無い。もっと強くなりたい。柔軟性 がない等の悩みで,五位の練習法や技術に関する悩みと直接関連している。

 六位はチーム内の交友に関する悩みで, キャプテン。マネージャーとして多くの部員達 を統一して,部の推進力となっている責任のある者の悩みや,共同生活に於ける相互の対 人関係に関する悩み等がある。

 七位は練習揚,設備の不足の悩みである。現在,野球(硬式。軟式)ソフトボール。ラ クビー。サッカー。ハンドボール等は,同一グラウンドを使用しているために充分練習能 率を挙げる事が出来ないのみならず非常に危険である。叉,県営体育館。グラウンドを借 用したりして各自の專用= 一一ト。設備を持たない運動部が多い。次にシヤワ・一一。部室の不 備等を挙げでいる。松田氏の調査にも大体同様の悩みの傾向がみられるが,施設。用具の 不足の悩みはみられない。彼等は,充分整った施設で練習をしているが,本学に於て部員 にこのような悩みがある事は♪その貧困を物語るものである。

 (3)運動と勉牽の両立について

 運動生活と勉学の両立の問題は,部員と共に体育指導者の大きな関心事であるが,調査 の結果をみると,本学に於ては,「両立する。」「両立させるように努力している」と解答

した者が62%で非常に多い。 「しない」が33%,無記入5%である。松田氏の調査では,

する」36.6%,「しない」56. 9%,無記入6.5%になっていて本蓼とは逆になっている。

「両立これは前表のなやみの項で本学部員は両立の問題は三位であるが松田氏の調査では 一位になっている事と対照してうなづける。

 両立しない理由として,練習による疲労が一番多く,次に時間の不足が挙げられろ。

 学生スポーツの本質として・勉牽との両立が望ましいが本学部員は,この望ましい態度 を示しているという事が出来る。

 更に具体的に運動部員が勉単との関連に於てスポーツをどのように考えているかを明ら かにする為に次の四つの項国の一つだけを選んでもらった。

 第8表によると,スポーツをする為に勉学への熱意が生ずるとするものが50%を示して いる。合理的な練習計画を実行して,練習で失った時間をスポーツによって得たプアイト と体力をもつてカバーし,或は他人に負けまいとする熱意,努力によるものと思われる。

これは前述の両立する(62%)と符合している,

(12)

第8表

磯部:茨城大学運動部学生の環境と心理的一考察

茨 大

147

①②③ スポーツをする為に勉学への熱意が生じない スポーツをする事は時間的にも身体的にも勉学 のためマイナス

スポーツをするために勉学への熱意が生ずる

④スポーツをする靴轡との[kTj・ll:は関係がな■

596 15

0︵︶53

 松田氏の調査では「勉学 のためマイナスである」と する者が一番多く43%であ

る。これは・一一一一 流選手として

活躍する為には♪本学部員 より以上の猛練習が必要で ある為でこのような結果になったものと思われる。

 (4) スポーツに対する態度

 運動部員は,どのような態度をもつてスポーツに対しているであらうか。どんな事柄を 最も多く意識しながら毎日の練習に励んでいるだらうか。

 第9表は調査した結果を相対頻度%で示したものである。

 これによるとs心身の鍛錬,社会性の   第9表 育成等スポーツを通じて人間 形成を目指

して練習に精進しているものが圧倒的に 多いことが判る。又将来教師として必要 であると自覚して行っている者も9%あ る。運動に没入する事によって雑念を払 い無我の境地に達しようと努力している 者もあり,全部で九項の合目的な項目を 挙げている者が非常に多いが♪これは多 分現在意識されている「あるがまま」の 態度と共に「あるべき」態度が含まれて いるからであらう。これに較べてレクリ エーション二七的は非常に少ないようで

ある。

1}①心身の鍛練 忍②祉会性の育二

一③技術の阯

ミ    ミ

順1④将来教師として必要だから

∵雛越生め

口⑦稲備襯養うため

}的}⑧若さを保つため

ミ     

i 3⑨ 学生生活を有意義にするため

l  l

72 9/o

IO 3 9 7 i

4

1 1

⑩⑪⑫⑬ レクリェ■一一一ショソとして

面白いから 親友と一緒にすごす

自己満足のため

i的ρ勝欝がすき

io 4

1 1 1

  G,O

.叢 母校のため 2

1あ1⑯ 社会を知るため

陣いう』關からの逃避 i一﹁

 又社会的承認の目的や功利的目的は全然挙げられていない事はよい事である。

 卒業,就職してからも現在のスポーツを続けて行うかどうかを調査した結果では,①続 けて行いたい80%。②止める14%。③無記入6%で,これは各部員が各自のスポーツに対 して非常に強い愛着をもつでいる事を示している。多感な青年時代に種々の困難を打開し ながら練習したスポーツ。試合の興奮。勝利の感激等のスポーツの魅力が部員を・一生その

スポーツから離さないのであらう。

(13)

148 茨城大学教育学部紀要 第六号

 9. 試合について

 運動選手にとって試合の揚は,晴の舞台であり」日頃の練習の成果を客勧的に評価され る揚である。即ちそれは特有な雰囲気をもつている。試合は勝つ可能性と同時に負ける可 能性を持っている揚である。充分に実力があっても各選手の=ンデションは恒常ではなく 思いがけない:事から負ける揚合もある。

 この特有の雰囲気にのまれてしまって練習の結果を発揮する機会を失ってしまう場合も

ある。

 平常心で試合に臨むことが理想的であるが,多かれ少なかれ観衆の前で自己表現をする 場合には興奮を伴う。この興奮によって,不眠や消化不良や神経質,焦躁感,不安感等の 種々の障害を起しやすい。

 試含の場には種々の闇題があるが,ここでは選手の「あがる」問題と「縁起」について 調査研究した。

 (1) 「あがる」心理

 「あがる」という現象は,主体が外的な力に支配され圧迫されて主体の体制が崩され,

精神構造が等質化される事である。この場合には行動が変容し,ときには生理的な変化を 伴う事がある。即ち今まで修得したスポーツに対する技術の体制が崩され,統一が破れ連 続;生,適応性が失われ,筋に不必要二な緊張を招き動作がぎごちなくなり,日頃の実力が発 揮出来なくなる。

 選手の「あがる」のは自己の技禰に自信がなく不安がある揚合に多い。外的な圧力と,

主体が外界を支配する力とは常に相対的な関係にあると考えられるから,選手に充分の実 力があり,揚馴れして自信が持てるようになると外界を支配するような構造が作られ,常 に自己の揚で,自己の行動のリズムで動く事が出来るようになる。即ち,あがらなくなる のである。

 調査の結果によると♪どんな試合   第10表 でも,あがらないが43%で,他の57

%は条件は異なるが試合にあがって いる事が判る。

 強敵との試合の揚合はs勧客の多 い揚合よりも多くなっており,観衆 よりも競技する相手により多く影響 される者が多い。これは精神的な揚

 ①どんな試含でもあがる 1② 強敵との試合であがる i③観客の多いときあがる i④あがらない

i鷺写鷺簾とあがる

i 鮨己入

濠州松鴫

i5%

17 8 43 4 13 0

1O,79Z.1i

28.4 1 16.7 l gglb l

ol

o[

}oc一i

(14)

磯 部1茨城大学運動部学生の礫境と心理的一考察 149

の影響の方が強い,事を意味する。

 松田氏の調査対象である東京の各大学の一流選手である彼等は,試合回数も非常に多く 重ねた丁々であり,国際試合の経験のある者も種目によっては相当含まれているのである が,なほ多数の者が試合の時あがっている事を意識している。本学部員はこれに較べて,

あがらない者が多い。

 「あがった時どんな微候が自蛍されますか」という問に対する記入を,動作・生理に関 するものと,精神心理的なものに分類してその頻数を示すと第11表の通りである。重複す

る点もあるかもしれないが具体的な内容を示すために挙げてみた。

 この表によると,あがった多毛に心理的変化と共に,身体,生理的動作に関する徴候を 訴える者が相当に多い事が判る。松田氏の調査でも大体同檬の徴候が現われている。

  第11表      (2)運動選手と「縁 動作生理に関するもの騰1精*・腿に関するもの麟

①体が自由に動かない

②小便が近くなる

③動悸が高まる

④足がふらつく

⑤顔面蒼白

⑥顔が赤くなる

⑦腹にカが入らぬ

⑧あくびがでる

⑨体がだるい

⑩食欲がなくなる

⑪ はき気を催す

⑫ボールが手につかぬ

⑬体が熱くなる

⑭手がすくむ

⑮技術が発揮できない

⑯ 動作がまとまらない

⑰ のびのび出来ない

⑱とんでもない行動をする

①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑪⑫⑬⑭⑮⑯⑰⑱⑭⑳ ⑳⑳

13 P2

W643322111111111

思考力判断力を失う 落ちつきがなくなる 目前がボーとなる 極度の緊張 視野が狭くなる あせりを感する 不安になる 劣等感を抱く いらいらする ボールが遠く見える ボールが見えない

ファイトが欠ける 苦痛を忘れる 他の事を考えてしまう 恥しくなる

圧迫感を受ける 相手が大きく見える

陶分が負けそうに感ずる 周囲の事に気がつかない テニスコートが小さく見 えネツトが高く見える 観衆が気になる あがつてないと思う

97654321111111111111

 起」 勝負事には縁起をか つぐ=場合がある。馬鹿 げた事ではあるが本人 にとつては真剣な事柄

・であり,その人の行動 を大きく支配するよう な働きをもつ事がある  危機的場面に直面 すると,人は自分以外 の力に頼らうとし奇蹟 を願うようになる。勝…

利を目指して試合の場 に臨み,多くの外的な 力に抑圧されて精神構 造が等質化し不安にお そわれている運動選手 には,このような縁起かつぎがみられる。調査によると約10%の者が縁起をかついでおり 余り多くないが,具体的に,どんな事が良い場合であり,どんな事が悪い場合であるかを 調査した結果を第12表に示す。

(15)

150 茨城大学教育学部紀要 第六号

第12表

N, N

ーー

①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑪

家を出る時不快な事がある時 途中で霊枢車に遇う

スパイクを左からはく

指の関節が気持よく音がするとき 風の吹く日

ウオーミングアップの時体がだるい時 チームが同じ仕度服装のとき

乗物にすわれる

水揮がきっちりしめられた時 コーースナソバーによる 背番号9.18.27

①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩ 試合前普段と違った事をする 試合場が予想通りのとき 名選手のミス

スパイクを右からはく スパイクの紐がゆるむ スタートの時附近の石をひろう 乗物にすわれない

マッチの火付が悪いとき

   り  の

ひものが食事に出た時 背番号4.13

 10.あとがき

 本学運動部員の諸運動能力,形態,心理面とその環境,活躍状況等の調査研究は私の多 年の念願であったが今その一一部を果す事が出来た。資料不足の為に統計的に,叉洞察力の 不足の為にその判断に誤りある事をおそれるが,しかし一面の傾向を知る事は出来る。

 本学運動部員選手は,現在の困難な生活事情下に於ても,よく即事スポーツの本義を理 解体得して,真剣にそして楽しく,しかしその反面その悩みを悩みながら,スポーツの 実践を通して人間向上に努力している事がわかる。実にスポーツは彼等にとって生活の一 部であり推進力になっている。

 今回は運動部員全体の傾向について考察したが,運動の種類,男女によって特質がある ので,その比較検討も必要であるが,それまで至らなかったのは残念である。なお,調査 に協力してくれた各運動部諸君に深く感謝する。

参 考 文 献

①教育心理学講座8(運動選手の心理・一・松田岩男)

②青年心理学……教師養成/iJF究会編

③ 愛知県教育文化研究紀要 昭和26年

参照

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