大崩海岸の枕状溶岩 : 地学散歩(21)
著者 荒井 章司
雑誌名 静岡地学
巻 41
ページ i‑iii
発行年 1980‑06‑22
出版者 静岡県地学会
URL http://doi.org/10.14945/00008862
岡 地 学 第 41号 (1980)
荒 井 *
か ら 焼 律 市 に か け て の 大 崩 儲 岸 は 京 石 が 崩 壊 し や す く 、 国 道 150号 線 の 難 所 と し て 有 名 で あ る
Oもう一つ、ここは地球科学的には枕状溶岩で有名である
O焼 津 市 の 小 浜 海 岸 は 、 体 誌 に な る と 釣 り や 、 夏 に は 海 水 浴 で に ぎ わ う 所 で あ る が 、 こ こ に は 波 食 に よ っ て 生 じ た 垂 直 の 躍 が あ れ よ く 見 る と 丸 い 枕 状 ま た は 保 状 の 岩 石 が 積 み 重 な っ た 構 造 が 容 易 に わ か る ( 写 真 1 )。これが枕状溶岩であ る
Oこ こ の 枕 状 溶 岩 は 、 お そ ら く 世 界 的 に 見 て も 最 も 見 事 な も の の 一 つ で あ り 、 有 名 な 火 山 岩 の 教 科
で あ る 「 火 山 お よ び 火 山 岩 J (久野久著)にも、その写真が模われている程である
O枕状溶岩は、玄武岩繋マグマの様な粘性の低いマグマが水中に流入(あるいは、水中で噴出)し、
間 化 し つ つ 斜 面 を 流 れ 下 る 時 に で き る
Oマグマが次々に供給ずれると、この枕状のものが積み重なる になる
O初 期 の 段 階 で は 、 枕 の 薄 い 外 皮 の 内 側 は ま だ 回 結 せ ず 液 体 の ま ま で 、 全 体 と し て は
形 を し 、 下 部 の 、 よ り 間 結 度 の 高 い 枕 の 間 擦 に た れ 下 が る ( 写 真 2 )。この潜造により、重力の方向、
な わ ち 溶 岩 流 の 上 下 が 判 定 で き る 事 に な る 。 個 々 の 枕 は 分 離 し て 存 在 す る 事 が 多 い が も 枕 の 外 皮 が 破 れ て も 中 か ら 未 盟 結 の マ グ マ が 流 れ 出 し 、 次 々 に 連 な っ た 枕 を 作 る 事 も あ る ( 写 真 3 )。写真 3 は そ の 援 な 例 で あ る が 、 小 浜 海 岸 で は 、 こ の 撲 に 見 事 に 観 察 で き る も の は 極 め て ま れ で あ る
Oこれに
よ り も 斜 面 の 方 向 、 す な わ ち も 溶 岩 の 流 れ た 方 向 が わ か る 。 こ れ ら の 観 察 に ょ に 小 浜 海 岸 に お い て は 、 溶 岩 流 は 東 か ら 西 へ ( す な わ ち 海 側 か ら 山 側 へ ) 流 れ 、 堆 積 面 ( 当 時 の 水 平 面 ) は 逝 転 し て お ら ず、や
L西 側 ( 山 側 ) へ 傾 い て い る 事 が わ か る
Oそ の ほ か 、 枕 状 溶 岩 の 一 般 的 な 特 徴 と し て 、 枕 の 中 心 か ら 放 射 状 に 延 び る 割 れ 目 の があるが、
小 浜 海 岸 で は 典 型 的 な も の は 少 な い 。 な お 、 こ の 形 状 が 車 輪 に 似 て い る た め 放 射 状 割 れ 自 の 発 達 し
れ告は、枕が冷えて固まる特にできるものであり、
を、車石(北海道根室のものが有名)と がある
Oま た 、 枕 の 外 皮 は 、 マ グ マ の 水 中 で の 急 冷 に よ っ て 生 じ る た め も 結 品 粒 が 極 め て 細 か く、時にはガラス質である
O外 皮 の 内 側 は ゆ っ く り 冷 え る の で 、 枕 の 中 心 に 向 か つ て 徐 々 に 結 晶 粒 が 粗 く な る の が 観 察 で き る
O続と枕の間には、やはり急、冷によってできたガラス質から縮粒の玄武居が つまっている
O大 崩 海 岸 の 枕 状 溶 岩 は ま た 、 鴻 石 類 の 豊 富 な 事 で も 知 ら れ る
O枕 の 中 の 小 さ な 丸 い 自 は 、 マ グ マ の 気 泡 を 埋 め た 沸 石 で 、 時 に 上 方 に 伸 ば さ れ た 形 態 を 示 す
Oそのほか、枕と枕の間にも
が大量にできている
Oが水中で破砕されてできた また、転石ではあるがも
れ る ) も 見 ら れ る ( 4 )。また、ほ くや
Lこれらは、
なお、これら むマグマである
O卒
を明らかに切っており、 ミ カ
の を作ったマグマは
hアルカリ
一 ( i )一
レキ岩(ピロープレッチャーと呼ば い紬紛のまキ左
lが数本県られるが、
に直入した玄武京の岩脈である
Oマグマと呼ばれるアルカりに
一 ( i i )一
1 . 焼 津 市 小 浜 海 岸 の 枕 状 溶 岩
*印で囲まれた部分が写 真 2
矢印の部分が写真 8
2 . 枕のたれ下がり構造
矢印の部分が写真 3 の
部分であるが、誰かが持
ち 去 っ た た め 現 在 で は 空
洞 と な っ て い る
O
3 .
4 .
連 結 し た 枕
ピ口
i
ブ レ ッ チ ャ
i
であり、私たちが他の研究者、
は、形態的に非常にみごとで、学問的にも 3 の 枕 状 溶
1 た 写
な研究、教育、学習の「場 J で たちと共に、学会や野外実習などの折に訪れていた極めて
わかっ いておいて多くの人々に観察してもらい 3 の枕の部分がそっくり、持ち去られて無くなっている
やはり露頭 た。独占したい気持はわからぬではないが、
ところが、最近、
あった。
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