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秋永優子* 、中村 修* * 、渡蓮美穂* * * 、片測結子* * * * 、谷 遼平* * * 、宮崎 藍* * *

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(1)

長崎大学総合環境研究 第 9 巻 第 1 号 pp. 63‑68 2006 年 1 1月

子どもの生活習慣病の観点から見た学校給食における 脂肪摂取量に関する研究

秋永優子* 、中村 修* * 、渡蓮美穂* * * 、片測結子* * * * 、谷 遼平* * * 、宮崎 藍* * *

S t udyo nt heFa tI nt akef r omSc hoo lLunc hSe r vi c e sf r om t hePe r s pe c t i veo fLi f e s t yl e ‑ r e l a t e dDi s e as e si nChi l dr e n

YukoAKI NAGA,Os a muNAKAMUR A, Mi hoWATANABE, Yui koKATAFUCHI , Ryouhe iTANIa ndAiMI YAZAKI

Abs t r ac t :Thei s s ueo ff a ti nt a ket ha ti ss a i dt obeabi gc a us eofl i f e s t yl e ‑ r e l a t e ddi s e a s e si n c hi l dr e na ndt her e c o mme nde df a ti nt a ket obes e r ve di ns c hooll unc he sf ori mpr o ve dhe a l t h we r es t udi e d.

Thef a c twa sc o nf l r m e dt ha tc hi l d r e ns u f fe r i ngko m l i f e s t yl e ‑ r e l a t e ddi s e a s e sa r eo nt he i nc r e a s ea ndt ha tar a t he rhi g hpe r c e n t a geofc hi l d r e nha vea ne xc e s s i vef a ti n t a ke・ Ther a t i oo f f a t ‑ de r i ve de ne r g ywa sa l s opr o ve dt obehi g hi nma nys c hooll unc hs e r vi c e s . I nc o ns i de r a t i o n oft heg r e a ti nf he nc eo fs c hooll unc hs e Ⅳi c e so nt hehe a l t ho fc hi l dr e n,t het a r ge tr a t i o i ndi c a t i o no ff a t ‑ de r i ve de ne r g ys ho ul dbel o we r e dt o25 % ‑30%,o rt o25 %. I ti sne c e s s a r y t ha tt heme nui sma d eo utt ot a r ge tt o wa r d25 % f o rt her a t i oo ff a t ‑ de r i ve de ne r g y.

K e ywo l ・ d. ・ c hi l d r e n ,s c hooll u nc hs e r v i c e s , f ati nt ak e ,l l fe s o, l e ‑ r e l at e ddi s e a s e s

1. 緒言

肥満傾 向児 の出現率1 は、2003 年度 の 1 2 歳男児で は 1 980 年度 と比べ ると 1. 5 倍、1 968 年度 とでは 4 . 4 倍 にもなってお り、女児で もそれぞれ 1 . 4 倍 と 3 . 3 倍で、過去数十年間 に著 しく増加 して きた。そ の結 果、生活習慣病が低年齢化 し、子 どもたちの健康が 損 なわれて いる ことが、深刻な問題 となって いる。

生活 習慣病 の発症 には、 「 外部環境要 因」、 「 遺伝 要 因」、 「 生活習慣要 因」の 3 つの要 因が関与す る 2 も 辛

**

***

****

福 岡教育大学教育学部

長崎大学大学院生産科学研 究科

長崎大学大学院生産科学研究科博 士前期課程 福 岡教育大学大学院教育学研究科修 士課程

受街年 月 日

2 0 0 6

(平成

1 8

年)

6

7

日 受理年 月 日

2 0 0 6

(平成

1 8

年)

9

1 4

ので、影響 を及ぼす生活習慣 として食生活、運動、

飲酒、喫煙、休養な どがあげ られて いる。

特 に子 どもに生活習慣病 の兆候が見 られ るよ うに なった原 因は、食生活 の変化、運動量 の不足、ス ト

レスの増加 な どで、なかで も食生活が発病 ・進行 に 大 きな影響 を及ぼ して いる 3 と考 え られている。魚介 類、穀物、野菜 な どを中心 とした 日本人の食文化が 最近では大 き く変化 して きたためであ り、肉や動物 性 タンパ ク質が増 え、脂質 の とり過 ぎ、糖分 の とり 過 ぎ、塩分 のとり過 ぎ、栄養 のアンバ ランス 4 が問題

とされて いる。

このような食生活 の多くは、家庭で の食のあり方

の乱れが直接的な原 因で あると考えられて いる。一

方、子どもたちが毎 日食べて いる学校給食で は、栄

養所要量の基準が定められ、学校栄養職員による徹

底した栄養計算 による献立管理が行 われて いる。し

かし、過去 には栄養 過多

5

も指摘 さ れて きた。年 間

(2)

秋永優子 ・中村 修 ・渡連美穂 ・片

結子 ・谷 遼平 ・宮崎 藍

20 0 日もの昼食 を教育 として提供 し、現在 の健康状 態 に対 してだけではな く、将来 にわたっての食習慣 形成 に大 きな影響 力 をもって いる 6 学校給 食 の内容 について も、食育基本法が制定 されるほど子 どもの 食が心配 されるようになった この機会 に、改めて点 検する必要があると言 える。

そ こで、子 どもたちが生活習慣病やその予備軍 に な らず に元気で健康 に育 っていくための学校給食 に ついて、献立面 にお ける改善 を中心 に、そ のあ り方 を見つめ直す ことにした。

本報では、献立改善の方向性 を得 るために、子 ど もの肥満、生活習慣病 の大 きな原 因である脂肪摂取 量 を中心 に、現状 における問題点 を明 らかにす る。

次 に、よ り健康 に寄与するものとするために、脂肪 摂取量のあ り方 について検討す る。

2. 子どもの健康状態

子 どものための生活習慣病予防健診実施方法 7 と して、第 1次生活習慣病予防健診では、調査票 とあ わせて、身体測定 による肥満度 の算出、血液検査 に よる総 コレステ ロール、血圧検査、尿検査 による血 糖 の把握がなされている。

かつては、血液検査等は、肥満児 に対 してのみ行 われ る ことが多かったが、近年、肥満 の有無 に関わ らず全児童 を対象 に、健診の一貫 として実施 される 地域が見 られ始 めた。

子 どもたちが どれ くらいの頻度で危険因子 を保有 しているかを、長野県 内の小学生 4, 41 3名、中学生 4, 3 40名に調査 した結果 8 では、家族 に若年のうちに 心筋梗塞、狭心症 になった人がいるという家族歴 を 保有す るのは小学生 24. 8%、中学生 27. 6%、肥満は 1 2. 8%と 1 1 . 6%、血圧は 2 . 2 %と 3 . 3 %、高コレステ ロールは 1 1 . 7%と 6. 7%であった。有所見者は 42. 7%

と41 . 8%であ り 、1 0 人中 4 人の子 どもが、なん らか の危険因子 を保有 して いた。

新潟県 A市の小学校 4 年生を対象 とした健診で も、

肥満、高脂血症、高血圧 のうちいずれか 1 つ以上 を 有する者は、約 28%であった 9。

1 998年 に愛媛県松 山市 の中学校 1 年生 に実施 さ れた小児生活習慣病予防健診で も、軽度か ら高度 を 含めた肥満出現率は 1 3. 4%、高 コレステロール血症 の出現率は約 6 %1 0 で、1 0 年前 と比べて増加 して い た。

栃木県真岡市内の 4 つの小中学校 の児童 ・生徒 に 1 99 2 年度か ら 1 99 4 年度 に年 1 回行 った健診 1 1 では、

‑6 4‑

3 年間を通 し、標準体重 に対する過剰体重が 20% 以 上である肥満度 1 20%以上の出現率は 1 2%‑1 3%で、

肥満度、血圧、総 コ レステ ロール、高比重 リポ蛋 白 コレステ ロール、動脈硬化指数のいずれか に異常所 見がみ られた児童生徒 も 20 数 %であった。

これ らは、厚生労働省平成 1 5 年国民健康 ・栄養調 査報告 による、6‑1 4 歳 の子 どもの 20%以上が太 り ぎみ、約 1 0% 以上が肥満 に相 当しているという結果

1 2 と一致 した傾向である。

さ らに,2000 年 に香川県高松市が小学校 4 年生 に 行 った血液検査では、20%が高脂血症、1 6%に肝障 害がある 1 3という結果 も明 らかになって いる。

実は、小学校入学前か ら、肥満、高 コレステ ロー ル、低 HDL コレステ ロール、高動脈硬化指数な ど の慢性疾患危険因子 のいずれかを有す る子 どもが毎 年 3割以上み られ る 1 4 という実態 も、埼玉県 内にお ける 4 、 5 歳児の幼稚園 ・保育園児 に対す る検診の 結果か ら明 らかになっている。

そ して、すで に、1 5‑1 9 歳の男子 の 1 3. 4%と女子 の 7. 2%が肥満 を示す BMI ( Bod yMa s sI nde x) 25 以上 に該 当し、そのうちそれぞれ 9. 0%と 3. 0%が内臓脂 肪型肥満予備軍で ある上半身肥満 の疑 いがある 1 5 と いう事態 になっている。内臓脂肪型肥満は、糖や脂 質 の代謝異常 をお こしやす い ことがわかってお り、

生活習慣病 と深 く関わ る 1 6 健康上問題 の大 きい状態 である。

このように、多 くの子 どもたちが、すで に生活習 慣病 の状態 にあるか、その予備軍 になって いる こと がわか る。子 どもたちが健康 に育 って いくために、

早急な対策が必要であ り、学校給食で も、可能な限 り対応 していくことが求め られる。

3. 子どもの脂肪摂取量

子 どもの生活習慣病が増 えてきた原 因は、食生活 に関 しては、前述 のように、肉や動物性 タンパ ク質 が増え、脂肪 をとり過 ぎている ことが第一 にあげ ら れている。具体的な病名か ら見て も、高脂血症が増 えたのは、動物性脂肪 の とりすぎや運動不足 1 7 が原 因 として考 え られている。動脈硬化危険因子 の継続 や改善 には、 「 体 力」、 「 油 を使 う料理 の回数」、 「 夜 食の摂取状況」な どの関与が前出の真 岡市の調査 に おいて強 く認め られている。

そ こで、まず、子 どもの脂肪摂取量 に注 目して見 てい く。

健康 に生活す るためにとることが望 ましい目標量

(3)

子 どもの生活習慣病の観点か ら見た学校給食 における脂肪摂取量に関す る研究

表 1 脂肪エネルギー比率の分布 ( 性 ・ 年齢階級別)

年齢( 歳) パ ー セ ン タ イ ル

1 5 1 0 25 50

(中央値)

7 5 90 95 99

男 9、 6、 ‑1 ‑8 2 1 1 6. 7. 3 7 20. 1 9. 9 8 22. 22. 6 25. 1 25. 8 7 28. 28. 8 9 34. 32. 2 4 38. 36. 0 0 37. 40. 6 8 47. 41 . 0 6 1 2、 ‑1 4 1 3. 0 1 7. 6 1 9. 9 22. 由 26. 6 30. 7 3 4. 5 36. 3 40. 1

女 9、 ‑ 6、 ‑1 ‑8 2 1 1 4. 8. 0 8 20. 1 8. 0 1 21 2 1 . . 6 25. 0 24. 7 3 29. 27. 8 1 33. 32. 5 7 37. 37. 6 7 39. 38. 5 8 45. 43. 0 8 1 2

‑1 4 1 7. 3 20. 1 22暮 1 24. 6 28. 6 32. 3 37. 2 37. 9 43. 5

として定め られた 1 栄養所要量では、脂肪については、

摂取エネルギーに占める脂肪か らとるエネルギーの 割合 「 脂肪エネルギー比率」で示 され、小中学生の 年齢層では、長年 にわたって 25‑30 %とされてきた。

「 第六次改定 日本人の栄養所要量一食事摂取基準‑」

において も同様であったが、昨年新 しく策定 された

「日本人の食事摂取基準 」 2 では、目標量は 20 % 以上 30 % 未満 と定め られた。下限が大 きく引き下げ られ、

子 どものそれ までの脂肪摂取量が多す ぎた ことを裏 付 けた もの となった。食事摂取基準 の考え方は、栄 養欠乏症、健康増進 のみな らず、生活習慣病の一次 予防のために、過剰摂取 による健康障害の予防に、

よ り力点 をおいた もの となっている。

さて、子 どもの実際の脂肪摂取量は、平成 1 5 年の 国民健康 ・栄養調査報告 3 によると、学校給食の対象 年齢である 7 歳 ‑1 4 歳 の平均値では、脂肪エネルギ ー比率( 以降、

FEn

比 と称す) は男子では 28 . 4%、女 子では 29. 0% であった。摂取基準の範囲内に収 まっ てはいるものの、きわめて上限に近 い値 となってい る。 この ことか ら、食事摂取基準 の範囲を越 えてい る子 どもも少なか らず いることが予想 され る。

平均値 にす る と見 えな くなって しまう個 々の子 ど もの実態 を知 るために

、FEn

比の分布 4 に視点 を移す。

年齢 の刻み方が異なっているものの 、75 パーセ ンタ イル に位置す る子 どもは、最低で 30. 7% 、最高で 3 4. 2% となっていた( 表 1) 。学校給食の対象 となるい ず れ の年齢 層で も

4

1

以上 の子 どもが、

FEn

比 30% 以上に相 当 し、過剰 に摂取 していることになる。

特 に 、6‑8 歳男子では、中央値が

FEn

比 28. 8%、75 パーセ ンタイルでは

FEn

比 3 4 . 2%、女子で

FEn

平成 1 5 年度国民健康 ・ 栄養調査報告より抜粋

29. 1% と 33. 5% となってお り、 4割 ぐらいの子 ども が摂取基準 の上限を超 えている可能性がある。同年 齢 の 95 パーセ ンタイル に位置す る子 どもに至 って は、男子で

FEn

比 40. 6% 、女子で

FEn

比 39. 5% であ り 、20 人に一人の子 どもが これ以上の比率でエネル ギーを脂肪か ら摂取 していることになる。かな りの 割合の子 どもたちが、脂肪摂取量の非常 に多 い食生 活 をして いることが予想 され る。

そ こで、子 どもたちが、実際にどの くらいの量の 脂肪 を摂取 している ことになるのかを調べた。前出 の国民健康 ・栄養調査報告 22 によると、 7‑1 4 歳 の 子 どもが一 日に摂取 している分量の平均値 は 6 4. 8 g であった。 これ をサ ラダ油 を用 いて 25 ml のメスシ

リンダーに計 りとった ものを、写真 1に示す。

Y r 汚 、 ぎ 弐 : 繁藍′ … ‥ 震表 れ 慈; 芸 ミ 志 姦最 … * i ぷ

n i t j n / 髪 i ' 詮

§ 象 で … 姦 陵 J 怒 j 5 ; 稚 ぷ ℃

選 択転 毒 ま … 蔓 ミ ′

:+ 与 : V ざ 謁 ≧ ぎ て ≒ ; ; 丸 さ ∴ 〜 : { 蛋 き ;鷲 ま 3 3 3 1 賀 +

‑ 鳳雛萎 え 毛 r A 幣 常 習 亨 等 <

麺 羨 望 表 巌∫ ≡ ン ● 鮎滋 ‑ こ … 1 < ≦ . だ : 三 、 へ ・ 韻 = ≡ ボ ラ ㌣ : ち : ; ∴ 「 汝 ‑ 滋 , : : ミ … ! 遠さ ‑ ; / l d 1 ‑ A , : ち ; ∧ 顎 i ; ㌧ J T =

写真

1 サラダ油で示した子ども ( 7‑1 4 歳) の

平均脂肪摂取量 6 4. 8 g

(4)

秋永優子 ・中村 修 ・渡蓮美穂 ・片測結子 ・谷 遼平 ・宮崎 藍

2学校給食における摂取エネルギーに占める脂肪エネルギー比率( FEn 比) の月平均値

所在県 福島県 福岡県

学校

A 8

献立方式 自校献立 自校献

革生麺 旦

2 0 0 0 . 1 2 2 0 0 1 . 1 2 0 0 6 . 1

記入名称 基準量

基 エネルギー

( k ( al 二 6 6 2

準 脂質

( g ) 1 8 . 小 2 2 . 1

F E n

比** (

2 5 . 0‑3 0 . 0

志 忘

芸ルギー 詰 , ' a' ナ 2 6 . ? 4 . . 6 , ?. 2 6 . T,

F E n

比** ()

2 6 . 5 2 4. 9 3 2 . 8

6 2 4 . 6;6 4 2 . 7 1 8 . 9 2 1 . 8 2 7 . 4 ≡3 0 . 5

福岡県

D

統一献立 I̲卓摩蔓

̲

食の基準量 ] 給食 の 基準 量

6 5 0 6 5 0 2 1 . 7 2 1 . 7 3 0 . 0 3 0 . 0

6 5 2 6 5 2 6 7 0 2 2 . 3 2 1 . 6 2 3 . 0 3 0 . 8 2 9 . 8 3 0 . 9

東京都 福岡県

F 伝(

小) 統一献立 統一献立 センター式

2 0 0 3 . 1 2 2 0 0 2 . 1 2

基準量

65 0 21 . 6

̲ 2 9 . " 9

6 2 9 6 9 4 2 2 . 0 2 0 . 3 3 0 . 5 2 6 . 3

* G(

小)と

G(

中)は同 じ自治体の同 じ給食調理場で作られる小学校と中学校であり、他校はすべて小学校であるO

* * F E n

比は、エネルギー

( k 〔 al )

と脂零 (g)から著者が算出した。

3 本弱に相 当する分量を子 どもが一 日で摂取 してい ることになる。

さらに 、75 パーセ ンタイル 23 に位置する子 どもで は、男子 6‑ 8 歳で 72. 1g 、 12‑ 14 歳で 89. 1g 、同年 齢の女子で 62. 0g と 79. 4g であ り、各年齢の子 どもた ちの 4 分の 1 が この分量以上の脂肪 を毎 日摂取 して いる現状である。

これほどの量の脂肪を子 どもが毎 日摂取 している という事実の認識は 、7 歳か ら 14 歳の子 どもたちに も生活習慣病予備軍が多 くなっているという実態に 対する理解 を助けるものと言えよう。

3. 学校給食における脂肪摂取量

子 どもた ちが毎 日多量 の脂 肪 を摂 取 してい る 事実 に鑑 み る と、個 々の食 生活や健康状態 に関わ らず お しなべ て摂 取す る こ とにな ってい る学校 給食 では、それ に よって子 どもた ちが摂取す る脂 肪 が多 くな る こ との ない よ うに配 慮 す る こ とが 必要 である。現在 定 め られ てい る学校 給食 の平均 栄養所要量 の基準 は、 日本人 の栄養所要量 の基準 を参考 と し、食事摂取基準 の考 え方 を掛酌 しつつ 算 出 され た もの 2 4 である。脂肪 の所要量 としての 脂肪 エネル ギー比率 は、前 回 まで と同様 に摂取エ

ネルギーの 25% ‑ 30% とされている。

しか し、前述のように、子 どもたちが脂肪を過剰 に摂取 しがちであることか ら考えると、 この値は高 すぎて、生活習慣病を招 く可能性がある。新 しい 「日 本人の食事摂取基準」に基づ く基準が新たに定め ら れることが待たれる。一方、実は、 この学校給食の 平均栄養所要量 の基準は、 「 全国的な平均値 を示 し たものであるか ら、適用 に当たっては、個 々の健康 及び生活活動等の実態並びに地域の実情に十分配慮 し、弾力的に運用すること 24 」 と記 されていること

‑66‑

も忘れてはな らない。現在の基準であって も、子 ど もたちの実態 をふまえた比率で献立作成することが 求め られているのである。

そ こで、次 に、実際の学校給食では どのような F En 比 となっているかについて調べることにした。

いくつかの学校の予定献立表を用いて F En 比を算 出した結果、基準値 を越えている場合が少な くない ことがわかった( 表 2)0 12 月前後の給食の献立につ いて、 F En 比が 30% を越 えていたのは、 1 3件中 6

件に及んでお り、残 り 7 件のうちの 3 件 も 29% 台で あった。

先の試み と同様、 これ らの脂 肪量 をサ ラダ油を用 いて視覚 的に捉えると、 1 3件のうち中 学校 を除いた 1 2 件の平均値

21. 4g は 、 25ml のメスシリン ダーのほぼ 1本分 に相 当した ( 写真 2)

0

学校給食は、一般的な家庭 の食事 よ りも概 してよい内容 であ り、子 どもたちに不足 し ている野菜 も多 く使用 され、

栄養価計算 も綿密になされて いて、健康 によいものである と思われる。 しか し、脂肪 に ついては,予想以上に多 く含 んだ献立が 日常的に子 どもた ちに出されていることが明 ら

毒 .I.:.I.." .I:"..." ..:H." "...." ,.i,H ,...H.," ,.H.I.. 1L Jt :

写真

2 サラダ油で示した 学校給食 13 件の 平均脂肪量 21. 4g

かになった。前述のように、子 どもたちが脂肪 を過 剰 に摂取 しがちであることか ら考 えると多 くの学校 給食における F En 比は高すぎ、生活習慣病 の原因 と なっている可能性は否めない。

学校給食 において脂肪量が多 くなる原因として,

(5)

子 どもの生活習慣病の観点か ら見た学校給食 にお ける脂肪摂取量に関す る研究

加工食品を使用す る場合、それ に脂肪が多 く含 まれ ていることと、子 どもたちは食べる量が少ないため、

エネルギーの基準量 を満たすのに脂肪で とらざるを 得ないという実情が、学校栄養職員か らあげ られた。

その結果、 F En 比が上限の数値 に近 い値 とな りやす いと言 える。

このよ うな現実的な事情 に加 え、 「 基準」という数 値 の持つ効力 も少な くないと考 え られ る。わか りや す い例 として、表 2に 2件の値 を掲載 して いる D校 を見てみると、他 の年度や他 の月を調べて も、 2 9%

台か ら 3 0% 台のほぼ 1% の範囲に変動が収 まってお り、基準 としてあげ られて いる数値 に近づける努力 がなされている ことが読み取れる。基準 の数値があ ると、栄養士 としてはそれ を大 き く意識せざるを得 ないというのが多 くの栄養士の実情だ と思われ る。

地域 によっては献立 の栄養価 について議会で も質問 が出され ると言われる。

しか し、問題であるのは、多 くの場合,意識 され ている数値が,本来幅 を持 っている基準値 の範囲全 体ではな く、その上限の値 のみ と見受け られる点で あろう。

そのため、基準値の数値 の表記の仕方 について も、

検討す る必要があると考え られ る。 F En 比について は、基準 の上限である 3 0% が 目標 とされている。こ れは、平成 7 年 に現行 のものに改訂 され るまでの基 準 25 が 「 学校給食 による摂取エネルギー全体 の 3 0%

以下」 と、上限 しか定め られていなかった時に行 っ てきた計算の仕方が、その後 も踏襲 されて いるもの

と思われ る。

島田 26 は、すでに 1 0 年あま り前 に、 「 学校栄養職 員 にとって、脂肪 を低 く抑 える ことは非常 に困難で あるため 、3 0% に近 いところで献立が出来上がる こ とになる」 と述べて いる。 しか し、その一方で、パ ンを主食にして洋食の献立 にしておかないと脂肪や エネルギーの量が低 くなって しまい、基準か らはず れて しまうと嘆 く学校栄養職員 の声 も聞かれ る。

しか し、「日本人の食事摂取基準」に基づ く基準が 新たに定め られた場合、 準 じて F En 比の下限 を 2 0%

とした 目標が設定 され る可能性 も高い。いずれ にし て も、 この学校給食の平均栄養所要量の基準は、前 述 のよ うに、 「 個 々の健康及び生活活動等 の実態並 びに地域 の実情 に十分配慮 し、弾力的に運用す る」

必要があることか ら、子 どもたちの実態 をふ まえた 比率で献立作成す る ことが重要である。当面は、現 在の下限である 2 5% を F En 比の 目標 とし、その値 に 近づけるための努力が望 まれ る。

4. 学校給食における脂肪摂取の影響力

学校給食 に含 まれ る脂肪 の量は、 2 つの意味で子 どもたちの健康 に大 き く影響 している。一つは、学 校給食 として子 どもたちが現在体 内に取 り込んでい る物質 としてである。 もう一つは、そ のような食べ ものを学校給食 として取 り続ける ことによって形成 され る食習慣 としてである。

前者は、 これ らの物質 を子 どもたちが摂取 し、体 内に取 り込み、 どう働 いているか、カ ロリー過剰で はなかったか、脂肪過多で高脂血症 の原 因になって いないか という、いま現在の子 どもの体 の中での問 題である。 これは、 目に見えやす く、議論 されてき ているテーマである。

一方、後者は、見 えにくく、因果関係がわか りに くいテーマである。 しか し、学校給食は、教育の一 貫 として行われ、教室の中で、教師の指導 のもと、

クラス メー トとともに、毎 日繰 り返 される行為であ るため、子 どもたちに対するす りこみ効果が大変 に 大 きいことは容易に想像できる。荷見 ら 6 は、学校 給食は、その喫食 されている時期だけでな く、彼 ら の成人後 の食習慣や食噂好 にも強 い影響 を及ぼす こ とを明 らかにしている。足立 27 は、食べる行動 を介 して食噂好や食物観、食事観、食知識な どが影響 を 受けて形成 され、次 の食欲 の方向を決 めていくと述 べている。

米 を主食 としてきたはず の 日本人にパ ンを常食す る人が増えて しまった実態は、第二次世界大戦後 の アメ リカ余剰農産物 28 である小麦粉 の援助物資 とし ての利用 に端 を発す るものであった。脂肪 を使 った 料理 を毎 日摂取する ことによって、濃厚な料理、油 の多 く含 まれた こって りした料理、油 と水分が乳化 した 口ざわ りの とろ りとした料理、油 を用 いて高温 でか らりと仕上げたさくさくした歯 ごたえの料理な どを好む噂好が形成 され、脂肪の摂取の多 い食習慣 を獲得 して しまうのである。

5. 結語

以上、子 どもたちに生活習慣病羅患者や生活習慣 病予備軍が増加 して いる現状 を踏 まえ、その原 因の 一つである脂肪摂取 のあ り方 について、学校給食の 立場か ら検討 した。学校給食 における脂肪エネルギ ー比率は、 必ず しも低 くはな く、 「 学校給食の平均栄 養所要量の基準」を前提 としつつ も、改善の余地が あることが明 らかになった。

そ こで、著者 らは,学校給食の及ぼす影響力の大

(6)

秋永優子 ・中村 修 ・渡連美穂 ・片測結子 ・谷 遼平 ・宮崎 藍

きさに鑑み、脂肪エネルギー比率 の目標値 の表記 を 30%とす るのではな く、25%〜30%、もしくは 25%

とする ことを提案す る。そ して 、25%に近づける こ とを目指 して献立 を作成 し、実施す る努力をしてい くことが大切であると考 える。

今後,子 どもたちが生活習慣病 を回避 し、健康 に 育 って社会人 となってい くのに適 した食事 をと り、

食習慣 と噂好 を身につける ことを目的 として、脂肪 エネルギー比率 の低 い、よ り望 ましい学校給食の献 立実施 のための方策 について検討 し、提案 して い く。

引用文献

日本子ども家庭総合研究所 :日本子ども資料年鑑 2005 、KTC中央出版、東京、 1 38( 2005)

2 厚生省保健医療局地域保健 ・ 健康増進栄養課生活 習慣病対策室 : 生活習慣病のしおり、東京、2 ( 1 998 )

3 中川雅夫 : 生活習慣病の Q&A 、ミネルヴァ書房、

京都、 1 6( 2002)

4 秋 山滋、田沢梨枝子 :気をつ けよう!子どもの生 活習慣病 1 ‑毎 日の食事をチェック一、汐文社、東 京、9( 2004)

5 日本消費者連盟編著 : 学校給食はこれでよ いのか、

三一書房、東京、51 ( 1 98 6)

6 荷見武敬、根岸久子 :学校給食を考える、日本経 済評論社、東京、5 2( 1 993)

7 大国真彦 : 子どもの生活習慣病、芽ばえ社、東京、

11 5( 1 999)

8 大国真彦( 前出) 、1 9

9 西山悦子 :学校保健と地域保健の連携一生活習慣 病対策の問題点とこれからの展望‑、学校保健研 究、第 46 巻、5 93‑594( 2005 )

1 0 益 田裕子、大揮光枝、森葉子、益 田栄治、得居伸 三 :小児生活習慣病予防健診( 第 5 報) ‑事後指導と 1 0 年間の動向‑、 予防医学ジャーナル 、 第 357 号、

1 3‑1 7( 2000)

1 1黒川修行、小宮秀明、宇佐見隆虞、佐伯圭一郎 : 学齢期における動脈硬化危険因子の軽減 ・是正の 可能性について、学校保健研究、第 41 巻、533‑

543( 2000)

1 2 健康 ・栄養情報研究会 :厚生労働省平成 1 5 年国 民健康 ・ 栄養調査報告、第一出版、東京、1 53( 2006)

1 3 西 日本新聞、2006 年 3 月 25日付、 「 食卓の向こう 側 第 8 部食育その力」 、 1 .プ ロローグ

1 4 坂本元子 :いま、子どもたちの体 に何が起こって いるか、食生活、V b l . 96 、No.5 、1 4‑ 1 7( 2005)

‑68‑

1 5 健康 ・栄養情報研究会( 前出) 、49

1 6 浅野次義 :内臓脂肪、マキノ出版、東京、1 7( 2000)

1 7 小田原雅人 :中性脂肪とコレステ ロール、主婦の 友社、東京、89( 2005 )

1 8 小池五郎 :新やさしい栄養学、女子栄養大学出版 部、東京 、29 ( 1 990)

1 9 第一出版編集部 :厚生労働省策定 日本人の食事 摂取基準( 2005 年版) 、第一出版、東京、62( 2005)

20 健康 ・栄養情報研究会( 前出) 、5 2 2 1 健康 ・栄養情報研究会( 前出) 、283

22 健康 ・栄養情報研究会( 前出) 、58

23 健康 ・栄養情報研究会( 前出) 、281

24 日本スポーツ振興センター健康安全部健康安全事 業課 :学校給食要覧、 日本スポーツ振興センター、

東京、31 ( 2005 )

25 日本体育 ・学校健康センター学校給食部 :学校給 食要覧 平成 9 年版、第一法規出版、東京、35( 1 997)

26 島田彰夫 :食とからだのエコロジ ー、農山漁村文 化協会、東京、 1 83 ( 1 994)

27 足立己幸、中村靖彦、増 田淳子 :子どもたちのた めの食事教育、群羊社、東京、1 07 ( 1 992)

28 鈴木猛夫 : 「 アメリカ小麦戦略」と 日本人の食生活、

藤原書店、東京、81 ( 2003)

参照

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