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【編集注】本格付け規準は 2017 年 3 月 29 日付「Legal Criteria: Structured Finance: Asset Isolation And Special-Purpose Entity Methodology」により、取って代わられました。
*本稿は、2013 年 8 月 21 日付英語版「Legal Criteria: Japanese Asset Isolation And Special-Purpose Entity Criteria--Structured Finance」を翻訳したものですが、本文に付随する情報の一部は訳出を省略して います。それらについては英語版を参照してください。本和訳版は 2017 年 4 月 17 日に再公表したものです。
1. 本稿は、S&P グローバル・レーティング(以下「S&P」)が日本のストラクチャード・フ ァイナンス案件における法的リスクを評価するための手法と想定をまとめたものである。本 稿は、2013 年 5 月 7 日付英文リポート「Legal Criteria: Asset Isolation And Special-Purpose Entity Criteria--Structured Finance」(和訳版:2013 年 7 月 19 日付「リーガル格付け規準:ストラク チャード・ファイナンスにおける資産分離と特別目的事業体の格付け規準」、以下「AISPE 格付け規準」)を捕捉し、同リポートと併せて読むべきものである。本稿は、2011 年 2 月 16 日付「Principles of Credit Ratings」(和訳版:2011 年 3 月 2 日付「一般格付け規準:信用格付 けの原則」)に関係するものである。 2. 本段落は削除された。
本格付け規準の適用範囲
3. 本格付け規準は、証券化案件で用いられる資産の分離や特別目的事業体(SPE:special purpose entity)の倒産隔離の仕組みを組み込む、日本のすべてのストラクチャード・ファイ ナンス案件に適用される。本格付け規準は日本市場に関する主な問題を考慮したものであり、 AISPE 格付け規準と併せて読むべきものである。S&P が、特定の資産に関する資産分離また は SPE の倒産隔離性について論じる格付け規準を公表した場合、両格付け規準はその範囲内 で修正または補足される場合がある。---
2013 年 8 月 21 日【旧版】リーガル格付け規準:
日本のストラクチャード・ファイナンスにおける資産分離と
特別目的事業体の格付け規準
日本における問い合わせ先: 橋本祐志、東京 電話 03-4550-8275 山岡隆正、東京 電話 03-4550-8719 「S&P グローバル・レーテ ィング(S&P Global Ratings)」が発行した本 リポートに記載されている 格付け規準は、S&P グロ ーバル・レーティング・ジャ パン株式会社において採 用されております。また、 本格付け規準は、S&P グ ローバル SF ジャパン株 式会社においても採用さ れております。The criteria in this report issued by “S&P Global Ratings” is adopted by S&P Global Ratings Japan Inc. This criteria is also adopted by S&P Global SF Japan Inc.
リーガル格付け規準:日本のストラクチャード・ファイナンスにおける資産分離と特別目的事業体の格付け規準|
S&P Global Ratings 2
4. 本格付け規準において、英語における「insolvency remote」と「insolvency remoteness」とい う用語は、それぞれ「bankruptcy remote」と「bankruptcy remoteness」と同じ意味で用いられ る。
格付け規準アップデートの概要
5. アップデートした格付け規準は、ストラクチャード・ファイナンス債務の信用力に対する S&P の評価に影響を与える可能性のある法的リスクの評価方法を、市場に提供するためのも のである。日本では、AISPE 格付け規準リポートで詳述されている格付け規準を、本稿にま とめた日本で適用する際に反映すべき限定的な調整を加えて、適用する。6. 日本では、2013 年 5 月 7 日付「Multiple-Use Special Purpose Entity Criteria--Structured Finance」 (和訳版:2013 年 7 月 19 日付「リーガル格付け規準:ストラクチャード・ファイナンスに おける複数シリーズ発行 SPE の格付け規準」)で述べられたものと同じ格付け規準が適用さ れる。 7. 過去に S&P では、特定の法域や資産タイプに関するストラクチャード・ファイナンス格付 けの観点から、法的リスクを評価する方法について、手法と想定を論じるリポートを公表し ている。本格付け規準は、既存の見解から乖離することを意味するものではない。AISPE 格 付け規準の公表を受けて、日本のストラクチャード・ファイナンス案件の法的リスクについ て、S&P の評価方法の枠組みをアップデートして示すものである。本稿で提示した格付け規 準は、字義通り読まれるものではなく、S&P がストラクチャード・ファイナンス証券の信用 分析に関連すると見なす法的論点を検討する際に利用する一般的な格付け規準として読まれ ることを意図している。 8. 本段落は削除された。 9. 本段落は削除された。
手法と想定
10. AISPE 格付け規準は、ストラクチャード・ファイナンス債務の信用力に影響を与える可能 性のある法的リスクの評価方法を市場に提供する。本稿では、以下の論点に焦点を当ててい る。 証券化における資産の分離 SPE の倒産隔離性 11. AISPE 格付け規準では、倒産隔離に影響を与える可能性のある、関連した法的論点、すな わち、取り戻しリスク(clawback risk)、相殺リスク(set-off risk)、租税リスク(tax risk) についても論じている。加えて、証券化における異議申し立てリスク(challenge risk)と、法 的論点に関するコンフォートの情報源についても論じている。リーガル格付け規準:日本のストラクチャード・ファイナンスにおける資産分離と特別目的事業体の格付け規準|
S&P Global Ratings 3
12. 日本では、AISPE 格付け規準リポートで詳述された格付け規準を、本稿にまとめた日本で 適用する際に反映すべき限定的な調整を加えて、適用する。 資産分離 13. S&P は一般論として、日本法では譲渡資産はオリジネーター(または、以前の所有者)の 倒産手続きのもとでの財産の一部としては扱われないものとして、オリジネーターから譲受 人への資産の移転をサポートするものと考えている。 14. 日本の案件の弁護士は、市場で一般的に受け入れられる留保事項(qualifications)や前提事 項(assumptions)を条件として、真正売買(「売買」または「譲渡」)を確認する旨の法律 意見書を提供するのが一般的である。法律意見書では、対抗要件具備の手続き完了を条件と して、オリジネーターから発行体 SPE への資産の移転がオリジネーターの倒産時に担保取引 と見なされないことを、可能な範囲内で確認するが、S&P では対抗要件具備の手続きは比較 的最小限で、国際的な前例に沿ったものと考えている。 SPE の倒産隔離性 15. S&P の倒産隔離性に関する格付け規準は、適用の細部については法域間で異なる場合があ るものの、グローバルで一貫している。日本の証券化案件の当事者は通常、株式会社、合同 会社、資産流動化法上の特定目的会社(TMK)、一般社団法人、信託、ならびにケイマン SPC やデラウェア LLC(limited liability company)をはじめとする海外 SPE の東京支店―― など、数種類の SPE を使用する。 16. S&P は、これら事業体がそれぞれ、格付け規準で論じられている倒産隔離性を備えること ができると考えているが、AISPE 格付け規準の段落 13-35 で説明されている、以下の倒産 隔離性の要素を反映する関連の案件契約書が条件となる。 目的と権限に対する制約 債務の制限 独立取締役 合併や再編に対する制約 設立文書等の改訂に対する制限 独立性 資産に対する担保権
17. また、AISPE 格付け規準では、借入人 SPE か発行体 SPE であるか、または親会社 SPE で あるかなど、関連の案件で事業体が果たす役割についても考慮する。日本では例えば、商業 用不動産担保証券(CMBS)の借入人レベルの SPE は通常、米国 CMBS の格付け規準を参考 に評価される(2010 年 11 月 16 日付「Criteria | Structured Finance | CMBS: Assessing Borrower-Level Special-Purpose Entities In U.S. CMBS Pools: Methodology And Assumptions」を参 照)。
18. 発行体である株式会社または合同会社、あるいは TMK の株式または出資は、一般社団法 人、または、例えば慈善信託が普通株式を所有するケイマン SPC が、保有または資金拠出す
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ることがある。このような方法によって、発行体は AISPE 格付け規準に沿った孤児 SPE (orphan SPE)として扱われることがある。一般社団法人は、法律では社団法人は基金(設 立拠出金)に対する利息を支払わず、株式も社員持ち分も発行しないため、通常、発行体と しては使用されない。 19. 日本の信託法と破産法は 2007 年に改正され、証券化案件との関係も含めて、SPE としての 日本の信託の有効性を高めた。特に、破産法では、信託財産は受託者の破産財団の一部とは ならず、必要であれば裁判所が信託財産管理者を任命することを規定している。また、案件 の契約書に、案件の期間中に信託が終了するリスクを軽減する要素が含まれることも重要で ある。資産担保ローン(ABL)が信託 SPE に貸し付けられた場合、ABL と信託受益権の間の 優先順位の有効性、および ABL の貸し手が信託財産に関して破産手続きの開始を申し立てる インセンティブについて考慮することも重要である。 20. 他の法域と同様に、日本でも、倒産隔離性は通常、倒産不申立(nonpetition)の条項、取締 役など特定の人物から SPE の倒産申し立てを行わない旨の確約、および遡及権制限(limited recourse)などの契約条項を通じてサポートされている。債務者の倒産手続きにおける遡及権 制限条項の有効性については若干議論の余地があり、日本の裁判所は、倒産不申立の確約に 反して、申し立てを受諾するのではないかという議論がある。したがって、日本の証券化の 案件当事者は総じて、債権者とその他特定の当事者が倒産申し立てを行うインセンティブを 削減するため、もう一段の措置を講じるが、それには、投資家を受益者とする担保権の設定 や投資家への支払いを優先する劣後特約などが含まれる。 関連のある法的論点
21. AISPE 格付け規準で指摘したとおり(同規準の段落 36-43 を参照)、S&P は、SPE の資 産の分離と倒産隔離の評価に影響を及ぼす可能性のある、関連のある法的論点を特定するこ とがある。その一部について、日本の法制度との関連において、以下のセクションで解説す る。 取り戻しリスク(「否認」および「詐害行為取り消し」) 22. 倒産法制における一般的な特徴であるが、日本法の破産手続きにおける管財人には、一定 の取引を否認する権利がある。ただし、2004 年に破産法が改正され、破産者による適正な市 場価格での不動産の売却に対しては、売却代金が隠匿、無償の供与等がなされていない限り、 否認権の申し立て余地がないことが明確になった。 23. 裁判所の分析は事実を根拠とし、通常は事後判断となることから、取り戻しリスクの分析 は必然的に定性的である。しかしながら、日本の証券化の当事者は、総じて資産の移転がそ のような申し立ての対象となるリスクを最小化すべく、案件を組成している。 法的論点に関するコンフォート 24. 日本の裁判所においては、証券化に関連するいくつかの論点について、完全に分析が完了 していない、または見解が示されていない点がある。その中には、例えば、リース料債権の 証券化に関して(原リース契約が)双務未履行契約と見なされるか否かといった論点も含ま れる。ただし、日本の証券化市場は成熟しており、裁判所が分析していない論点は、市場参
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加者とその弁護士の間での、一般的な合意の対象となることが多く、そのため、案件当事者 は通常、租税に関する意見を含めた適切な法律意見を利用できる。
付属資料:変更履歴の概要
25. (訳注:本段落は訳出を省略している) 26. (訳注:本段落は訳出を省略している)関連格付け規準と関連リサーチ
(訳注:本項は英語のまま転記している)• Asset Isolation And Special-Purpose Entity Criteria--Structured Finance, May 7, 2013 • Guarantee Criteria--Structured Finance, May 7, 2013
• Multiple-Use Special-Purpose Entity Criteria--Structured Finance, May 7, 2013 • Principles Of Credit Ratings, Feb. 16, 2011
• Assessing Borrower-Level Special-Purpose Entities In U.S. CMBS Pools: Methodology And Assumptions, Nov. 16, 2010
• Debt Recovery For Creditors And The Law Of Insolvency in Japan, Feb. 28, 2008
* 本格付け規準(criteria)は、信用リスクと格付け意見を決定する基本的原則(fundamental principles)を個別ケースに適用する際に用いられるものである。格付け規準の適用は、発行 体または個別債務に固有の事実、当該発行体または個別債務の信用リスクに対する S&P グロ ーバル・レーティングの評価、ならびに該当する場合には、発行体や個別債務格付けのスト ラクチャーにかかるリスクによって決定される。手法(methodology)と想定(assumptions) は、市場や経済の状況、個別債務または発行体に固有の要因、信用力の判断に影響を及ぼし うる実績データを勘案した結果を受けて、適宜変更されることがある。
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