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低所得高齢者の実態と求められる所得保障制度

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《寄稿》 『年金と経済』第30 巻 4 号(2012 年 1 月) pp23−32 〔特集〕公的年金をめぐる諸問題

低所得高齢者の実態と求められる所得保障制度

みずほ情報総研 主席研究員 藤森 克彦 要旨 日本の高齢者の貧困率は、主要先進国の中でも高い水準にある。高齢者の貧困率を世帯類 型別・配偶関係別に考察すると、単身世帯と未婚者・離別者で貧困率が高い。今後、高齢者 の中で単身世帯や未婚者・離別者の増加が予測されており、高齢者の貧困率が一層高まるこ とが懸念される。 政府は、低所得高齢者対策として、低所得者への基礎年金の加算や受給資格期間の短縮な どを検討している。しかし、社会保険方式を採用する公的年金制度のもとで低所得者に加算 することは、保険料納付実績が反映されず公平性を失する恐れがある。また、受給資格期間 の短縮は、給付額の減少を伴うので最低保障機能の強化につながらない可能性が高い。 主要先進国の低所得高齢者の救済策を参考にすると、日本に求められるのは、高齢者を対 象とした特別な公的扶助制度の創設だと考えられる。現行の生活保護制度よりも資力調査を 緩和することや、免除申請者の優遇の仕組みなどを組み込む必要があろう。英国の年金クレ ジットなどはその参考になると考えられる。 はじめに 日本の高齢者は「豊かな高齢者」と呼ばれることが多いが、高齢者の貧困率をみると先進 国の中で高い水準にある。また、現役世代と比べても高齢者の貧困率は高い。特に、高齢者 の中でも単身世帯(単身者)や未婚者で貧困率が高くなっている。 今後を考えると、高齢の単身者や未婚者が増加していくことが予想される。また、90 年代 以降、低所得で雇用の安定しない非正規労働者も増加してきた。こうした変化に伴って、高 齢期の貧困問題が一層深刻になっていくことが懸念される。これらの点から、貧困に陥った 高齢者の救済は重要な課題になっている。 そこで本稿では、まず低所得高齢者の実態をみた上で、公的年金との関係から低所得高齢 者が生じる制度的要因を考察する。次に、政府が提言する低所得高齢者対策を概観して、そ の問題点を指摘する。そして最後に、主要先進国との比較から高齢者向けの特別な公的扶助 制度の創設が必要であることを指摘する。

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1. 低所得高齢者の実態

(1)高齢者の貧困率 低所得高齢者の実態をみる前に、「低所得者」の定義を示す。本稿で「低所得者」とは、 世帯の合計可処分所得を世帯人員数で調整した一人当たり可処分所得(等価可処分所得) 中央値の 50%以下で生活する人々を指すこととする(*1)。厚生労働省『平成 19 年度国 民生活基礎調査』(2007 年度)では、年間の等価可処分所得の中央値が 248.49 万円なので、 「低所得」の基準となる貧困ラインは 124.25 万円となる。つまり、年間の等価可処分所得 が 124.25 万円以下で生活する人を「低所得者」あるいは「貧困者」と定義する。 上記定義に基づくと、65 歳以上の高齢者に占める低所得者の割合(貧困率)は 22.0% になる。男女別では、高齢男性の貧困率は 18.4%、高齢女性では 24.8%となり、高齢女性 の貧困率は高齢男性よりも 6.4%ポイント高い。また、20∼64 歳の現役世代の貧困率は、男 性が 12.7%、女性が 14.0%なので、高齢者の貧困率は現役世代よりも6∼10%ポイントほ ど高くなっている(*2)。さらに、日本の高齢者の貧困率(22.0%)は、OECD30 ヶ国の 平均値である 13%を大きく上回り、30 ヶ国の中で7番目に高い水準である(*3)。「豊かな 高齢者」といわれて久しいが、日本の高齢者の貧困率は、現役世代との比較においても、国 際的にみても高い水準にある。 (2)世帯類型別・配偶関係別にみた低所得高齢者 では、どのような高齢者が貧困に陥りやすいのだろうか。ここでは世帯類型と配偶関係に 着目して、属性ごとの貧困率と、低所得高齢者に占める各構成比をみていこう。 A.世帯類型別にみた低所得高齢者 まず、世帯類型別に高齢者の貧困率をみると、男女ともに貧困率が最も高いのは、「単身 世帯」であり、単身男性の 38.3%、単身女性では 52.3%が低所得者となっている(図表1)。 一方、低所得高齢者の構成比をみると、男性では「夫婦のみ世帯」に属する人の比率が 44.5% と最も高く、単身世帯の 19.8%を大きく上回っている。単身世帯の貧困率は夫婦のみ世帯よ りも高いのに、低所得高齢男性の構成比では夫婦のみ世帯よりも低い。これは、高齢男性総 数に占める単身男性の比率が小さいためである。具体的には、高齢男性総数に占める単身男 性の比率は 9.7%であり、夫婦のみ世帯の 46.1%を大きく下回る。 他方、低所得高齢女性の構成比率をみると、単身世帯に属する人が 42.6%を占め最も高い。 これは、単身女性の貧困率が高いことに加えて、高齢女性総数に占める単身女性の比率が 20.4%となっていて、夫婦のみ世帯(29.3%)との差が小さいためである。 なお「一人親と未婚子からなる世帯」の貧困率も、高齢男女ともに3割前後と単身世帯に 次いで高い水準にある。しかし、高齢者総数に占める同世帯に属する人々の割合が男性 1.9%、 女性 6.7%と低いので、低所得高齢者に占める同世帯の構成比は 10%以下となっている。

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B.配偶関係別にみた低所得高齢者 配偶関係別にみると、男女ともに貧困率が高いのは「未婚者」と「離別者」である(前掲、 図表1)。未婚者、離別者の約4割が低所得者となっており、特に未婚の高齢女性では 47.4% と高い。しかし、高齢者総数に占める未婚者や離別者の割合が2∼5%と低いため、低所得 高齢者に占める未婚者と離別者の割合は男女ともに5∼9%弱の低い比率に留まっている。 一方、「死別者」の貧困率は、男女ともに未婚者や離別者よりも低いが、有配偶者よりは 高い水準にある。また、低所得高齢者に占める死別者の構成比をみると、男性は 13.5%、女 性は 47.3%となる。特に、低所得高齢女性における死別者の構成比は、有配偶者を上回り最 も高い。 (図表1)世帯類型別・配偶関係別にみた高齢者の貧困率と構成比(2007 年) (単位:%) 高齢男性 高齢女性 構 成 比 構 成 比 貧困率 (注1) 低所得 高齢男性 高齢男性 総数 貧困率 (注1) 低所得 高齢女性 高齢女性 総数 高 齢 者 総 数 18.4 100.0 100.0 24.8 100.0 100.0 単身世帯 38.3① 19.8② 9.7 52.3① 42.6① 20.4② 一人親と未婚子 からなる世帯 27.7② 2.8 1.9 31.3② 8.3 6.7 夫婦のみ世帯 18.1③ 44.5① 46.1① 19.2 22.5② 29.3① 夫婦と未婚子 からなる世帯 17.0 16.0③ 17.7② 17.6 6.5 9.3 三世代世帯 10.3 8.3 15.0③ 10.8 8.7③ 20.2③ 世 帯 類 型 その他の世帯 16.8 8.6 9.6 20.2③ 11.4 14.1 未 婚 者 40.0① 5.1 2.4 47.4① 8.0 4.2 離 別 者 39.6② 6.1③ 2.9③ 44.0② 8.7③ 5.0③ 死 別 者 24.6③ 13.5② 10.2② 30.3③ 47.2① 39.2② 配 偶 関 係 有 配 偶 者 16.6 75.3① 84.6① 17.5 36.1② 51.6① (注)1.「貧困率」とは、世帯の合計可処分所得を世帯人員数で調整した一人当たり可処分所 得(等価可処分所得)中央値の 50%(貧困ライン)以下で生活する人々の割合。 2.男女の「低所得高齢者の構成比」は、上記貧困ラインを下回る高齢男女を 100%とし た時の世帯類型別、配偶関係別の構成比。 3.「貧困率」の網掛け部分は、高齢者総数の貧困率よりも高いところを示す。 4.丸数字は、上位3位を示す。 (資料)男女別の「高齢者総数の構成比」は、厚生労働省『平成 19 年国民生活基礎調査』に基 づき筆者作成。「貧困率」は、阿部彩氏が厚生労働省『平成 19 年国民生活基礎調査』の個票 に基づき集計した結果の引用(内閣府男女共同参画局『生活困難を抱える男女に関する検討 会報告書』2010 年 3 月、113∼123 頁)。「低所得高齢者の構成比」は、「高齢者総数の構成比」 と「貧困率」に基づき、筆者推計。

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C.世帯類型・配偶関係の変化からみた今後の低所得高齢者 以上のように、世帯類型別にみると「単身世帯」の貧困率が高い。また、配偶関係別にみ ると、「未婚者」「離別者」で貧困率が高くなっている。未婚者、離別者は配偶者がいないと いう点において単身世帯になりやすいので、高齢の単身者と未婚者・離別者は互いに関係し ている。 今後をみると、高齢者人口に占める単身世帯(単身者)や未婚者の比率が男性を中心に大 きく高まっていくと予測されている(図表2)。仮に単身世帯や未婚者の貧困率が今後も高 水準で推移していくとすれば、高齢者人口に占める単身者や未婚者の比率の上昇に伴って高 齢者の貧困率が高まっていく可能性が高い。 (図表2)高齢者人口に占める単身世帯・未婚者・死離別者の比率の将来予測 ―2005 年(実績値)と 2030 年(推計値)の比較― (単位:万人) 高齢男性 高齢女性 2005 年 2030 年 差 2005 年 2030 年 差 単身世帯 比率 9.7% (105 万人) 17.8% (278 万人) +8.1% (2.6 倍) 19.0% (281 万人) 20.9% (439 万人) +1.9% (1.6 倍) 未婚者 比率 2.4% (26 万人) 10.8% (168 万人) +8.4% (6.5 倍) 3.5% (52 万人) 5.7% (120 万人) +2.2% (2.3 倍) 死・離別 者比率 13.8% (151 万人) 17.2% (268 万人) +3.4% (1.8 倍) 47.8% (731 万人) 48.0% (1009 万人) +0.2% (1.4 倍) (注)各比率は、65 歳以上の男女別人口に占める比率。括弧内の数値は、該当者数。 (資料)2005 年(実績値)は、総務省『平成 17 年国勢調査』。2030 年の「65 歳以上人口」「単身 者数」「未婚者数」「死・離別者数」は、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計に基づく。

2.低所得高齢者が生じる制度的要因 ―公的年金との関係―

それでは、高齢期を迎えた際に、どのような要因から「低所得者」となるのだろうか。こ の点、「高齢者世帯」の世帯所得を5分位に分けて基礎的所得の構成比をみると、所得最下 位 20%(第1分位)に属する世帯では、基礎的所得の 87%を「公的年金・恩給」に依存し ており、公的年金の影響が大きい(*4)。 そこで以下では、公的年金との関係から低所得高齢者が生じる制度的要因を考察していこ う。具体的には、①公的年金を受給できないこと(無年金者)、②公的年金の二階部分を受 給できないこと、③基礎年金を満額受給できないこと、といった3点をみていく。

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(1)公的年金を受給できないこと(無年金者) まず、無年金者は公的年金を受給できないために、貧困に陥る可能性が高いと考えられる。 公的年金を受給するには、受給資格期間として「保険料納付済み期間」と「保険料免除期間」 を合算して 25 年以上を満たすことが必要である。この期間を満たさないと無年金者となり、 公的年金を受給できない。 では、無年金者はどの程度いるのであろうか。旧社会保険庁の推計によれば、65 歳以上の 高齢者(2,744 万人)のうち、無年金者は最大で 42 万人存在し(2007 年現在)(*5)、65 歳 以上高齢者の 1.5%を占めている。先述の通り、高齢者の貧困率は 22.0%なので、無年金者 の割合はそれよりもかなり小さい。 また、厚生労働省『平成 19 年国民生活基礎調査』(2007 年)において、「65 歳以上の者 のいる世帯」のうち「公的年金・恩給受給者のいない世帯」の割合をみると 3.3%となって いる。特に、単身男性の 11.3%、単身女性の 3.9%が「公的年金・恩給受給者のいない世帯」 である(*6)。単身男性における無年金者の割合は、他の世帯類型と比較して著しく高い。 (2)公的年金の二階部分を受給できないこと 第二に、老齢基礎年金(あるいは旧国民年金)のみを受給し、厚生年金や共済年金といっ たいわゆる「公的年金の二階部分」を受給しない高齢者が貧困に陥りやすい。具体的には、 基礎年金のみを受給する単身世帯において年収 100 万円未満の世帯割合は、単身男性 53.3%、 単身女性 63.3%と高い比率である。一方、厚生年金/共済年金を受給する単身世帯では、年 収 100 万円未満の世帯の割合は、単身男性 9.7%、単身女性 16.9%と大きく低下する。夫婦 世帯でも、基礎年金のみの受給者では年収 150 万円未満(*7)の世帯割合が 34.1%なのに対 して、厚生年金・共済年金をもつ世帯ではわずか 4.4%である(*8)。 それでは、二階部分をもたない「基礎年金のみの受給者」はどの程度いるのか。厚生労働 省『平成 21 年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によれば、老齢基礎年金の受給者総 数 2,501 万人のうち 34.4%(855 万人)は厚生年金・共済年金の受給権をもたない「基礎年 金のみの受給者」である(2009 年度末)。男女別の内訳をみると、男性 8.2%(204 万人)、 女性 26.0%(651 万人)となっている。 このうち、民間被用者や公務員と結婚をしていれば、非正規労働に従事していたとしても (国民年金第3号被保険者)、結婚相手が厚生年金や共済年金を受給できるので世帯全体で 考えれば貧困に陥りにくい。また、これらの人々が配偶者と死別した場合であっても、自ら の基礎年金に加えて、遺族厚生年金として配偶者が得てきた厚生年金の4分の3を受給でき る。 これに対して、現役時代に非正規労働に従事していた未婚者など(国民年金第1号被保険 者)は、公的年金としては基礎年金のみを受給することになる(*9)。また、自営業や家族 従業者(同)も、高齢になって働けなくなれば、勤労所得を失って各自の基礎年金で生活し ていくことになる。さらに、自営業を営んでいた者が死亡した場合には、遺された配偶者は

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18 歳未満の子供がいない限り遺族基礎年金を受けることができない(*10)。つまり、一人分 の基礎年金のみで生活することになり、貧困に陥りやすい。 実際、65 歳以上の老齢年金受給者について、現役時代の主たる経歴別に年収 100 万円未満 の高齢者の割合をみると、男女ともに、①現役時代に無職の期間が中心であった人、②パー トやアルバイトなどの非正規労働の期間が中心であった人、③自営業が中心であった人、④ いずれの職業も 20 年未満の中間的な経歴の人において、年収 100 万円未満の人の割合が高 くなっている(図表3)。換言すれば、現役時代に「正社員中心」であれば、年収 100 万円 未満に陥る人の割合は、男性 3.5%、女性 14.2%ときわめて低い水準である。 (図表3) 老齢年金受給者(65 歳以上)の現役時代の主な経歴と老後の年収(2007 年) (単位:%) 高齢男性 高齢女性 構 成 比 構 成 比 年収 100 万円未 満の割合(注1) 年 収 100 万 円未満 総 数 年収 100 万円未 満の割合(注1) 年 収 100 万 円未満 総 数 総 数 13.3 100.0 100.0 51.9 100.0 100.0 収 入 を 伴 う 仕 事 を していない期間中心 50.0① 0.5 0.1 71.0① 24.2② 17.7② アルバイト中心 41.0② 5.7③ 1.8 59.7 4.2 3.6 自 営 業 中 心 36.6③ 55.4① 20.1② 60.3③ 26.5① 22.8① 中 間 的 な 経 歴 30.3 5.5 2.4③ 62.3② 16.7③ 13.9 常勤パート中心 26.9 1.2 0.6 55.6 5.9 5.5 正 社 員 中 心 3.5 18.0② 68.5① 14.2 4.7 17.1③ 不 明 29.4 14.2 6.4 48.0 17.8 19.3 (注)1.「年収」は本人の収入(個人単位)であり、世帯単位の収入ではない。また、等価可 処分所得ではないので、貧困率を示すものではない点に注意。 2.「正社員中心」とは、20 歳∼60 歳までの 40 年間のうち、20 年を超えて正社員等であ った者。他の項目も同様。「中間的な経歴」とは、いずれの職業も 20 年以下の者である。 3.調査対象は、2007 年 11 月 1 日現在の厚生年金および国民年金の老齢年金受給者。回 収率は 49.5%。上記設問の回答者数は、10,006 人(男性 4,499 人。女性は 5,507 人)。 このうち、年収 100 万円未満は、男性 599 人、女性 2858 人。 (資料)厚生労働省『平成 19 年老齢年金受給者実態調査』第 19 表(65 歳以上)より、筆者作成。 (3)基礎年金を満額受給できないこと さらに、基礎年金のみの受給者の中には、基礎年金を満額受給(月額 6.6 万円)していな い人の割合が高い。基礎年金のみの受給者の平均年金月額は 4.9 万円であり、その分布をみ ると、69.5%は年金月額が5万円台以下である。特に月額3万円台が 26.2%と最も高い(*11)。 基礎年金を満額受給できない要因としては、満額年金を受給するために必要な「保険料納

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付済期間(40 年間)」の不足があげられている(*12)。この背景には、①未納・未加入期間 を有すること、②免除を受けた期間を有すること、③制度上、国民年金に「任意加入」とさ れた期間に加入しなかったこと、といった三点が指摘されている。もうひとつの要因として は、65 歳前から老齢基礎年金等の繰上げ受給を行っているために、減額された老齢基礎年金 等を受給していること、といった点もあげられる。

3.政府による公的年金の最低保障機能の強化の提案とその問題点

政府は、2011 年 6 月末に決定した「社会保障・税一体改革成案」の中で、低所得高齢者 への対策として、年金制度の枠内での最低保障機能の強化を提案している。具体的には、① 低所得者への加算、②基礎年金の受給資格期間の短縮、が提案されている。そこで以下では、 政府による上記提案を概観した上で、その問題点を指摘したい。 (1)「低所得者への加算」の内容と問題点 政府は、低所得の老齢年金受給者に対して、基礎年金額の加算を提案している。例えば、 年収65 万円(月額 5.4 万円、老齢基礎年金等の受給権者の平均年金額)未満の単身者であ れば、一律に月額1.6 万円を定額加算する(*13)。加算額の 1.6 万円の根拠は、7 万円と老 齢基礎年金の平均金額5.4 万円との差額であるという(*14)。 しかし、低所得者への加算には下記のような問題がある。第一に、保険料納付実績が反映 されず公平性を損なう恐れがある。具体的には、年収 65 万円未満の単身者に 1.6 万円を加 算すれば、保険料を 32 年間拠出した人も、40 年間拠出した人も、同じ年金額を受け取るこ とになる。納付期間に 8 年間の差があるのに同一の基礎年金額を受給することは不公平であ る。 そこで、保険料拠出実績に応じて加算額を設定するという方法(定率加算)も考えられる。 しかし、この場合、保険料拠出期間の短い人にはわずかな加算額しか付与されず、最低保障 機能の強化という目的自体が実現できない。 先述の通り、基礎年金の満額受給に至らない背景には、支払うべき保険料を払っていない ことや免除期間を有することなどがある。しかし、こうした要因による低年金は、「保険料 拠出を要件に給付する」という社会保険の枠内ではやむを得ないことであろう。また、老齢 年金の繰上げ受給による減額は、早期に年金を受け取り始めた本人の選択の結果である。こ うした点からすれば、年金制度の枠内で加算することの妥当性が疑問である。 第二に、フローの所得は低くても、資産を保有している高齢者もいるので、年収のみを基 準に加算することの妥当性が問題となる。例えば、主な収入が公的年金・恩給となっている 年収 200 万円未満の「高齢者のいる二人以上世帯」について貯蓄現在高をみると、貯蓄現在 高 300 万円未満が 31.6%いる一方で、1,500 万円以上の貯蓄をもつ世帯が 18.7%もいる(*15)。 第三に、多くの老齢年金受給者に対して、実務上「所得調査」や「資産調査」を実施する

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ことが可能なのかという点である。また仮に可能だとしても、こうした資力調査に基づく給 付は「保険料拠出を要件に給付を受ける」という社会保険の枠を超えていると言わざるを得 ない。 したがって、低所得高齢者を救済する必要性はあっても、公的年金制度の枠内で低所得者 に加算することには無理があるといえよう。 (2)基礎年金の受給資格期間 25 年間の短縮と問題点 最低保障機能の強化に向けて提案されているもう一つの点は、現在 25 年間となっている 基礎年金の受給資格期間の短縮である。受給資格期間を短縮すれば無年金者の減少につなが る。そこで、受給資格期間を10 年に短縮することなどが提案されている。 確かに、受給資格期間を短縮すれば、長期的にみて無年金者が減少する可能性がある。2007 年現在、65 歳以上高齢者のうち無年金者が 42 万人いるが、このうち保険料の納付済み期間 が 10 年以上 25 年未満の人は 40%(16.8 万人)にのぼる(*16)。受給資格期間を 10 年に短 縮すれば、こうした人々が年金を受給できるようになる。また、受給資格期間の短縮によっ て、納付した保険料に応じて給付がなされる方向が強化されること自体には意義がある。 しかし、受給資格期間の短縮が「最低保障機能の強化」という目的に資するかというと、 難しいと言わざるをえない。なぜなら、受給資格期間を短縮して納付期間が短くなれば、そ れに応じて基礎年金の受給額が減少するからである。例えば、受給資格期間を 10 年間とし た場合に、10 年間だけ保険料を納付してその他の期間は免除を受けた場合の年金月額は 1.6 万円強にすぎない。また、10 年間全額免除を受けた場合には、年金月額 0.8 万円強となる(*17)。 これでは、最低保障機能の強化という目的を達成することにはならない。 4. 高齢者向けの特別な公的扶助制度の必要性 以上のように、社会保険方式を採用する公的年金の枠内で、低所得者への加算をすること には限界がある。また、受給資格期間の短縮が最低保障機能の強化につながるとも考えにく い。 では、どうすればよいか。低所得高齢者問題は、多くの先進国が抱える共通の課題になっ ている。そこで、海外における低所得高齢者への対応策を概観し、日本の対策を考えていこ う。結論としては、日本では「高齢者向けの特別な公的扶助制度」の創設を検討すべきと考 える(*18)。 (1) 主要先進国の低所得高齢者への対応策 まず、先進7ヶ国の高齢者の貧困率をみると、日本は米国に次いで高い水準にある(図表 4)。この中で、日本と同様に2階建ての公的年金をもつ国は英国とカナダである。興味深 いことに、日本の基礎年金の給付水準は、英国やカナダを若干上回っているにもかかわらず、

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カナダの貧困率は主要先進国の中で最も低く、また英国の貧困率は日本の半分程度となって いる。この背景には、以下の二つの要因が考えられる。

第一に、英国とカナダでは、資力調査を実施した上で低所得高齢者に一定の所得を保障 する「高齢者向けの公的扶助制度(資力調査付き給付)」があり、利用率が高いことがあげ られる。具体的には、カナダでは、一定所得に満たない低所得高齢者世帯に、支給される「補 足所得保障(Guaranteed Income Supplement :GIS)」が導入されている(*19)。高齢者の 受給率も34%と高い。また英国でも、後述するように「年金クレジット」と呼ばれる高齢者 向けの特別な資力調査付き給付があり、受給率は23%にのぼる(前掲、図表4)。 日本でも、受給者を高齢者に限定していないものの包括的な生活保護制度(資力調査付き 給付)があり、図表4に示されている通り、その給付水準は英国やカナダとほとんど差はな い。しかし実際の受給状況をみると、日本では、高齢者に占める生活保護受給者の割合はわ ずか 2%にすぎない。これが、日本における高齢者の貧困率を高めている大きな要因ではな いかと考えられる(*20)。 (図表4) 主要先進国の高齢者貧困率と基礎年金と資力調査付き給付 (単位:%) 平均所得と比較した 給付水準 受給率 65 歳以上 高齢者の 貧困率 (注1) 基礎年金 資力調査 付き給付 (注2) 最低年金 (注3) 資力調査 付き給付 (注2) 最低年金 (注3) 米 国 22.4 19.0 7 日 本 22.0 15.8 19.4 2 イタリア 13.0 20.2 19.9 5 32 英 国 10.3 14.0 19.2 10.5 23 n.a. フランス 8.8 23.1 23.3 5 36 ドイツ 8.4 20.3 2 スウェー デン 6.2 16.3 24.8 1 55 カナダ 5.9 14.2 17.9 34 (注)1.「貧困率」の定義は、図表1注1参照。 2.「資力調査付き給付(resource-tested or targeted)」とは、資力調査(所得調査ある いは所得・資産調査)を行った上で低所得者を対象に支払われる給付。日本では生活 保護制度が該当。主要先進国の多くは、高齢者を対象にした特別な資力調査付き給付 が設定されていることが多い。 3.「最低年金(minimum pension)」とは、年金額だけを基準として、低年金の高齢者を対 象に支給される給付。英国では、公的年金の二階部分にあたる国家第二年金が最低年 金の機能をもつ。

(資料)「貧困率」は OECD(2008), Growing Unequal? : Income Distribution and Poverty in OECD Countries, p.140。「平均所得と比較した給付水準」と「受給率」は、OECD(2011), Pension at A Glance,2011, pp.106‐109 により作成。

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第二に、英国では、公的年金の二階部分(国家第二年金)において、低年金者に手厚い給 付がなされる設計になっている。社会保険方式でありながらこうした設計ができるのは、英 国では一定要件を満たす私的年金に加入すれば、公的年金の二階部分に加入しなくてもよい とする「適用除外制度」が影響していると推察される。つまり、低所得者加算に不満をもつ 人には、私的年金に加入して公的年金の二階部分に加入しないという選択が認められている (*21)。日本では適用除外制度は認められていない。 以上の点から、日本において低所得高齢者対策として検討すべきは、「高齢者向けの特別 な公的扶助制度」と考えられる。そして、「高齢者向けの公的扶助制度」は、米国、ドイツ、 フランスなどの主要先進国でも設置されている(*22)。各国ごとに制度内容は異なるが、一 般の公的扶助制度に比べて資力調査が緩和されていることや、給付水準が高めに設定されて いることなどの特徴がみられる。以下では、その一例として英国の「年金クレジット」を考 察していく。 (2)英国の「年金クレジット」 英国では、2003 年に低所得高齢者を救済するために「年金クレジット」が導入された。 これは税金を財源にし、資力調査を実施した上で受給が認められる高齢者向けの「資力調査 付き給付」である。給付の内容としては、「保証クレジット」と「貯蓄クレジット」の二種 類がある(*23)。 まず「保証クレジット」は、高齢世帯の総所得が政府の定める最低所得基準額に満たない 場合に、その差額が支給される。対象となる高齢者の年齢は、概ね60 歳以上であり、現在、 女性の公的年金の支給開始年齢の引き上げに伴って上昇している。標準的な最低所得基準額 は、高齢単身世帯は週137.35 ポンド(月額約 7 万4千円、1ポンド=125 円で換算、以下 同じ)、高齢夫婦世帯は週209.70 ポンド(月額約 11 万2千円)である(2011 年度現在)。 重度の障害者や介護者、住宅費を要する者であれば、上記の最低所得基準額が引き上げられ る。 この基準額は、一般の公的扶助制度(所得扶助:Income Support)の水準――単身世帯(25 歳以上)週67.50 ポンド、夫婦世帯(共に 18 歳以上)105.95 ポンド――に比べて高めに設 定されている(*24)。また、同基準額は、基礎年金の受給額(単身世帯:週 102.15 ポンド、 夫婦世帯:週163.35 ポンド)と比べても高い水準にある。 資産については、1 万ポンドを超える資産――居住している住宅を除く――について、500 ポンド毎に1ポンドが週所得に加算される。例えば、1 万1千ポンドの貯蓄がある高齢者は、 週所得に2ポンドが加算されることになり、その分、保証クレジットの給付額が減額される。 なお、一般の所得扶助の受給には、保有する資産額が1万6千ポンド以下であることが要件 になっているが、年金クレジットにはこうした制限がない。ただし、先述の通り、資産は所 得に換算されるのでその点からの制限を受けることになる。 上記の保証クレジットの課題としては、年金生活者の収入が増えるとその分だけ受給額が

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減少する仕組みのため、人々が私的年金などに加入しなくなる点である。これを防ぐために、 「貯蓄クレジット」が組み込まれている。 貯蓄クレジットは、私的年金などに加入して一定以上の所得をもつ高齢者に給付を加算す る制度である。収入が高まるのに応じて、一定限度額まで貯蓄クレジットの給付額が増加し、 一定限度を超えると給付額が逓減していく仕組みになっている(図表5)。貯蓄クレジット の最高給付額は、単身世帯であれば週20.52 ポンド(月額約 1 万1千円)、夫婦世帯であれ ば週27.09 ポンド(月額約1万5千円)である。貯蓄クレジットを受給できる世帯の所得は、 単身世帯であれば週103.15∼188.00 ポンド(月額約 5 万 5 千円∼10 万円)、夫婦世帯であ れば週164.55∼277.00 ポンド(月額約 8 万 8 千円∼14 万 8 千円)の収入を得ている世帯に 限られる。 年金クレジットを導入したことが大きな要因となって、英国では高齢者の貧困率が低下し た(*25)。具体的には、97 年度の年金生活者の相対的貧困率は 13%であったが、2009 年度 には8%に低下した(*26)。 一方、寛容な制度設計だからといって、全ての低所得高齢者が年金クレジットを受給して いるわけではない。年金クレジットの受給資格世帯のうち受給しているのは 62∼73%と推 計されており、受給資格をもつ世帯の3分の1程度は申請していない(*27)。これは、年金 クレジットの受給には、スティグマ(恥辱)というハードルを超えなくてはならないためだ と推測される。 (図表5) 年金クレジットの概念図 ―単身世帯の場合(2011 年度)― 所 得 (週) 年 金 ク レ ジッ ト 受 給 後 の 所 得 188.00 188.00 137.35 137.35 103.15 保証クレジット 貯蓄クレジット (ポンド) 0 ︵ 週 ︶ (ポンド) 所 得 (注)年金クレジットの数値は、2011 年度の値。

(資料)Explanatory Notes to State Pension Credit Act 2002, Chapter16

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おわりに 以上のように、低所得高齢者の救済に向けて日本が取り組むべきは、緩やかな資力調査に 基づく「高齢者を対象にした特別な公的扶制度」の創設であろう。そして英国の貯蓄クレジ ットのような仕組みを用いれば、私的年金への加入を奨励することや、免除申請を行なった 者に給付を加算する措置などを組み込むことも可能になろう。また日本では、欧米諸国に比 べて扶養義務者の範囲が広いために生活保護の受給を困難にしている面がある。上記制度の 新設にあたっては、こうした点も併せて見直す必要がある。 なお、本稿では検討していないが、短時間労働者への厚生年金の適用拡大は、高齢者の貧 困を予防するという点で、重要な施策である。現行のままでは、非正規労働者が高齢期を迎 えた場合に基礎年金だけで生活することが予想される。そもそも国民年金は、主として定年 がなく高齢期にも収入を得られる自営業者や農業従事者の老後の所得保障を念頭に創設さ れた制度である。非正規労働者は被用者であるのだから、厚生年金に加入して高齢期の貧困 を防げるようにすべきであろう。 <注> (*1) 「等価可処分所得」は、世帯所得を世帯人数の平方根で除して求めている。なお、現在 政府が年金制度の枠内で低所得高齢者への対応を検討している。そこでの「低所得」の定義 は、老齢基礎年金の平均受給額に相当する年収 65 万円未満で生活する高齢者(単身の場合) を想定している(社会保障審議会年金部会議事録、2011 年 12 月 1 日)。本稿の「低所得者」 の定義よりも低い水準になっている点に注意を要する。 (*2) 内閣府男女共同参画局(2010)、p.113。なお、同報告書の付表は、阿部彩氏が、厚生労 働省『平成 19 年国民生活基礎調査』の個票に基づき推計したものである。 (*3) OECD(2008), p.140 (*4) 厚生労働省『平成 19 年国民生活基礎調査』第1巻、p.405。なお、「高齢者世帯」とは、 65 歳以上の者のみで構成するか、あるいは、これに 18 歳未満の未婚者が加わった世帯をい う。また、同調査では、世帯人員数による所得調整が行われていない点に注意。 (*5) 社会保障審議会年金部会「受給期間の短縮について」(資料2、2011 年 9 月 13 日、p.1)。 (*6) 厚生労働省『平成 19 年国民生活基礎調査』第1巻、第 103 表、p315。 (*7) 夫婦世帯の 150 万円を世帯人数の平方根(√2)で調整すると約 106 万円になる。 (*8) 厚生労働省『平成 19 年老齢年金受給者実態調査』第 23 表、第 36 表より筆者計算。 (*9) 国民年金の第1号被保険者の 39.4%を「被用者」が占めており、主に非正規労働者と考 えられる(社会保障審議会年金部会「報告事項」資料 1、2011 年 11 月 11 日、p5)。 (*10) 20 歳未満の障害のある子供がいれば、遺族基礎年金を受給できる。 (*11) 社会保障審議会年金部会「低所得者等への加算について」2011 年 9 月 13 日、p.1(原 データは、「平成 21 年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」)。

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(*12) 同上、p.3。 (*13) 二人以上世帯の場合には年収基準を 2 倍にすることを検討(社会保障審議会年金部会 「低所得加算について」2011 年 12 月 1 日)。 (*14) 年収 65 万円未満の高齢者(単身の場合)に対して同額 1.6 万円を一律加算すること が、最低保障機能になりうるのか疑問に思う。なお、低所得者への加算、障害基礎年金への 加算、受給資格期間の短縮といった最低保障機能の強化には、0.6 兆円程度の財源が必要と なる(同上)。 (*15) 調査対象は、60 歳以上の高齢者がいる二人以上の世帯で、かつ家計を賄う主な収入の 種類が公的年金・恩給となっている世帯(総務省『平成 21 年全国消費実態調査(全国、高 齢者世帯編、報告書非掲載表)』 第 31 表)。 (*16) 社会保障審議会年金部会「受給資格期間の短縮について」(資料2、2011 年 9 月 13 日、 p.2) (*17) 同上、p9。 (*18) 社会保障国民議会・所得確保・保障(雇用・年金)分科会(2008 年 4 月 30 日)の議 事要旨における権丈善一氏、山田篤裕氏の発言等を参照。 (*19) OECD(2011),p.205、金子(2010),pp.173-174、社会保障審議会年金部会「高所得者 の年金額の調整について」2011 年 9 月 13 日、p4参照。 (*20) 高齢者の被保護人員は 68 万 8 千人であり(2009 年)、65 歳以上高齢者人口(2,899 万 人、2009 年)に占める生活保護受給者の割合(保護率)は 2.4%である(国立社会保障・人 口問題研究所HP, http://www.ipss.go.jp/s-info/j/seiho/seihoH23/H23-21.xls)。 (*21) このような制度設計に対しては、保険原理を曖昧にするという批判も出されている。 拙稿(2006)参照。 (*22) 社会保障審議会年金部会「参考資料集」(2011 年 9 月 13 日)、pp.25-26 参照。 (*23) The Pension Service, Pension Credit, August 2011,参照。

(*24) 英国の「所得扶助(income support)」は、個人手当、プレミアム、住宅費補助の三つ の要素から構成されている。本文で示した所得扶助の金額は、2011 年度の個人手当の支給額。 (*25) Department for Work and Pensions(2006), p.5.

(*26) 住宅費控除後の所得でみた等価所得の中央値 50%以下の年金生活者の割合

(Department for Work and Pensions, Households Below Average Income ‒ Analysis of the income distribution 1994/95-2009/10, May 2011, p.170.)。

(*27) Department for Work and Pensions, Income Related Benefits Estimates of Take-Up in 2008-09, 10 June 2010. 及び、House of Commons( 2011), p.16.

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<参考文献> 阿部彩(2010)「日本の貧困の動向と社会経済階層による健康格差の状況」(内閣府男女共同 参画局『生活困難を抱える男女に関する検討会報告書―就業構造基本調査・国民生 活基礎調査 特別集計―』2010 年 3 月) 阿部彩(2009)「女性と年金:高齢女性の最低生活保障」(『年金と経済』第 28 巻第 3 号、2009 年 10 月号) 有森美木(2011)『世界の年金改革』第一法規、2011 年 江口隆裕(2008)『変貌する世界と日本の年金』法律文化社、2008 年 金子能宏(2010)「カナダの年金制度」(『年金と経済』第 28 巻第4号、2010 年 1 月号) 菊池馨実(2011)「菊池馨実委員提出資料」(社会保障審議会年金部会、2011 年 9 月 29 日) 権丈善一(2009)『社会保障の政策転換』慶應義塾大学出版会、2009 年 四方理人(2010)「高齢者の最低所得保障」(駒村康平編『最低所得保障』岩波書店、2010 年) 社会保障審議会年金部会(2008a)「低年金・低所得者に対する年金給付の見直しについて」 2008 年 9 月 29 日 社会保障審議会年金部会(2008b)「社会保障審議会年金部会における議論の中間的な整理― 年金制度の将来的な見直しに向けて」2008 年 11 月 27 日 田中敏(2006)「無年金・低所得者と高齢者の所得保障」(『調査と情報』第 528 号、2006 年 3 月 30 日) 内閣府男女共同参画局(2010)『生活困難を抱える男女に関する検討会報告書―就業構造基本 調査・国民生活基礎調査 特別集計―』2010 年 3 月 西沢和彦(2009)「『社会保障審議会年金部会における議論の中間的整理』における低年金・ 低所得者に対する年金給付見直し案の論点」(『年金と経済』第 28 巻 3 号、2009 年 10 月) 藤森克彦(2006)「イギリスにおける市民年金構想」(『海外社会保障研究』第 157 号、2006 年 12 月) 堀勝洋(2009)「低年金者・低所得者に対する年金給付の見直し―社会保障審議会年金部会に おける議論の中間的な整理」(『共済新報』2009 年 1 月号) 山田篤裕(2011)「高まる高齢期の貧困リスク」『週刊エコノミスト』2011 年 7 月 5 日 山田篤裕(2010)「高齢期の新たな相対的貧困リスク」『季刊・社会保障研究』第 46 巻 2 号、 2010 年秋号

Department for Work and Pensions(2006), Security in retirement towards a new pensions system, May 2006

House of Commons(2011), State pension reform, 29 July 2011 OECD(2011), Pension at Glance 2011.

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• 本稿は『年金と経済』第 30 巻 4 号(財団法人年金シニアプラン総合研究機構、2012 年 1 月) に寄稿した原稿について、財団法人年金シニアプラン総合研究機構の了承のもと様式を変 更して公開・配布するものです。 • 本稿におけるありうる誤りはすべて筆者個人に属します。 • レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。全ての内容は日本の 著作権法及び国際条約により保護されています。

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