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外国人投資家の買いで上昇する日本株市場 部門別売買状況 年との比較

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チーフ・ストラテジスト 広木 隆

Strategy Report

2011/2/18

外国人投資家の買いで上昇する日本株市場

部門別売買状況 - 2005 年との比較

 外国人投資家が 15 週連続で日本株を買い越している。2005 年に 26 週連続で買い越して以来の 連続買い越しである。但し、15 週間の累計買い越し額は 2 兆円に留まり、2005 年当時の半分以 下である。  2005 年の半分以下の買い越し金額であるが、これまでのところの株価上昇ペースが 2005 年と同 等であるのは、個人投資家が押し目で買い越しに転じるなど、売り圧力が当時と比較して大きくな いことである。  2005 年相場との類似性が指摘される足元の相場であるが、単純に 2005 年のパターンを当てはめ ると、日経平均 13,000 円程度が見通せる。 外国人投資家の買いが相場上昇を牽引 外国人投資家の資金が株式市場に流入している。今週に入って、東京市場では TOPIX コア 30 が主要 株式指標のなかで最もパフォーマンスが良い(17 日引け後まで)。大手銀行株や不動産など内需出遅れの 主力株物色の動きが鮮明になり、ソニーやキヤノンなどここしばらく低調だった国際優良銘柄も切り返す動 きが見られた。某外資系証券が日本株の推奨ウェートを引き上げたことも話題となるなか、こうした時価総 額の大きな出遅れ銘柄に腰の入った買いが見られた。相場上昇を牽引してきた外国人投資家の買いが依 然衰えていないことを示すものだろう。 昨秋からの相場上昇は外国人買いが牽引してきた。いや、今回の上昇相場に限らず、近年の日本株は 売買シェアの約 3 分の 2 を占める外国人抜きには語れない。「外国人が買えば上がり、外国人が売れば下 - 1 –

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がる」といった相場になっている。17 日、東京証券取引所が発表した投資部門別売買状況によると外国人 による日本株の買い越しは 15 週連続となった。これは外国人投資家の買いで大きな上昇相場を演じた 2005 年以来の連続買い越し記録である。2005 年当時、外国人は 6 月第 3 週から 12 月第 2 週まで実に 26 週連続で買い越し、その合計額は 7.7 兆円にのぼったi 今回の買い越し額は 2005 年の半分以下 グラフ 1 は外国人投資家の買い越し額と TOPIX の推移である。外国人が買い越しに転じる前の週 を起点に 15 週までの上昇率を見ると、2005 年が 18%、今回が 17%でほぼ同じである。但し、棒グラフ の高さを比べても明らかなように、買い越しの金額 は大きく異なる。 グラフ 2 は外国人、個人、法人の主体別に同期 間の、すなわち外国人が買い越しに転じてから 15 週までの期間におけるネットの売買代金を合計した ものである。2005 年における外国人の買い越し額は 15 週時点で 4.5 兆円に達していた。それが今回はそ の半分以下の 2 兆円に留まっている。2005 年に比べ ると、外人買いのパワーはそれほど大きいわけでは ない。これは日本市場の地盤沈下、グローバルな株 式市場の中での存在感の低下と無縁ではなかろう。 新興市場の発展に比して閉塞感のある日本と日本 企業の魅力が相対的に薄れた。アジアに位置するこ とから他のアジア市場の成長性や高パフォーマンス に比べられると、日本市場の低迷ぶりは一段と際立 つ。日本株を見限る投資家が増えた。見限るという のは投資対象から外してしまうことや日本株を対象としたファンドそのものを閉鎖することを意味する。こうし て日本市場から去って行った投資家は少なくない。だから、今年に入ってインフレ懸念→引き締め懸念で新 興国から出遅れの日本株へ資金を移す動きが起こっても、以前ほどの規模の資金が入って来ない。失った グラフ1:外国人売買動向(差し引き) (出所)東京証券取引所・投資部門別売買状況を基にマネックス証券作成 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 (週) (各期初:100) 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 (10億円) 2005年(右軸) 2010-2011年(右軸) 2005年TPOIX推移 2010-11年TPOIX推移

グラフ2:部門別売買動向の内訳

(出所)東京証券取引所・投資部門別売買状況を基にマネックス証券作成 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 外国人 個人 法人 (兆円) 2005 2010-2011

i 連続買い越しは 12 月第 3 週で途切れたが、その後も買い越しは続き、買い越し額の合計は株価がピークをつける翌年の 4 月上旬まで約 10.7 兆円に達した。 – 2 –

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ものはすべて取り戻せないのである。 個人投資家の押し目買いも相場の支えに では、なぜ 2005 年の半分にも満たない外人買いで、2005 年と同等の株価上昇が起きているのか?再び グラフ 2 に目を転じていただきたい。外国人の買い越し金額が半減する受け皿として、日本の個人・法人の 売り越しが減っている。外国人の買い越しが 2005 年の 4.5 兆円から今回は 2 兆円と 2.5 兆円減少する一方 で、個人の売り越しは 2005 年の 3 兆円から 1.5 兆円と半減、法人の売り越しも 5 千億円減少している。簡単 にまとめると、売り圧力が 2005 年の半分だったから、2005 年の半分以下の外人買いで当時と同じ株価押し 上げ効果があったと言える。 事実、個人投資家の売買状況を見ると、2005 年当時は外国人が買い越しに転じてから遅れること 17 週 目で買い越しに転じていたのに対して、今回は 11 週目(1 月第 2 週)に買い越しに転じている。日本株相場 は 1 月中旬に一旦高値をつけて短期的な調整に入った。その週(1 月第 3 週)の個人の買い越し額は 1 兆 8 千億円近くに膨らんだ。信用の買い残も 2 週連続で増加し、先物主導で崩された押し目に個人が積極的に 買い向かった様子が見てとれる。今回の相場上昇は外国人買いだけでなく個人投資家の機動的な売買に 支えられてきたとも言えよう。 2005 年相場の再来? ここからは「たられば」の話で、理論的な分析ではない。「この先、2005 年と同じように外国人買いが続い たら?」という仮定の話である。但し、今回の相場環境は 2005 年との類似性がしばしば指摘されている。 2005 年と同じように外国人買いが続いたら?という仮定を置いてみるのは強ち無意味なことではなかろう。 現在と当時ではマクロ経済の状況も、相場サイクルも似通っている。IT バブルという錯乱要因もあって、日 本株の長期下落相場が大底を打つのは、2003 年春。りそな銀行への公的資金注入が契機となった。不良 債権問題に端を発する日本の金融危機の処理に最終的な目途がついた象徴とされるイベントだった。しか し翌 2004 年には景気・株価とも踊り場を迎えてしまう。それが 2005 年夏に政府・日銀の景気踊り場脱却宣 言が出されると、先駆けて買い越していた外人買いが一気に急増、小泉チルドレンが躍進した自民党の衆 院選圧勝を受けて弾みがつき、2006 年春まで約 5 割の相場上昇を演じたのである。 今回もリーマンショック~グローバル金融危機を経て、相場の底打ちは 2009 年春。ところが 2010 年の日 本株相場はほとんど「行って来い」の展開だった。そして今年、新興国の引き締めの影響など不安材料はあ るものの、世界経済の回復、そしてグローバル経済に対する感応度が高い日本企業の業績回復も顕著とな – 3 –

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るなか、いよいよ日本経済自身が長期間苦しんできたデフレ脱却を目指そうという段階に入ってきたii。2011 年は 2005 年の再来となるだろうか? 「この先、2005 年と同じように外国人買いが続いたら」、つまり 26 週連続で買うとすれば、今は 15 週目、 まだ 6 合目であるiii。26 週というと 4 月末まで買い越しが続くということになる。2005 年は外国人が買い越し に転じてから 26 週でTOPIXは 38%上昇した。その上昇率を日経平均に当てはめると、12,925 円である。今年 の春には 13,000 円が見えてくる。 ここまで書いて筆を置こうと思ったが、つい最近、まったく同じ文章を書いたことを思い出した。先週書い たレポート(2 月 10 日付「予想PERの低下をもたらした業績の上方修正」)の結びは以下の通り。 「日経平均の 1 株当たり利益」776.6 円を 16.63 倍まで評価すれば 776.6×16.63=12,914 日経平均 13,000 円台が見えてくる。 日経平均 13,000 円は企業業績、バリュエーション、需給動向など多角的な見地から、この春の株価ター ゲットとして正当性があるものと考える。

ii 政府・日銀にデフレ脱却を目指そうという意識の芽生えが以前に比べれば感じられるが、残念ながらデフレ脱却が見通せる ようになったわけでは決してない。 iii まだ 6 合目か、もう 6 合目か、判断が分かれるところではある。「まだはもうなり、もうはまだなり」(本間宗久) – 4 –

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