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頭頸部がん患者における術後補助療法実施が体格,運動機能,生活の質の術後経過に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 44 巻第 3 号 181 ∼ 頭頸部がん患者の術後補助療法実施が術後経過に及ぼす影響 189 頁(2017 年). 181. 研究論文(原著). 頭頸部がん患者における術後補助療法実施が体格, 運動機能,生活の質の術後経過に及ぼす影響* ─術後 1 年間の前向き観察研究─. 原     毅 1)# 石 井 貴 弥 1) 西 村 晃 典 1) 出浦健太郎 1) 三 浦 弘 規 2) 草 野 修 輔 3) 久 保   晃 4). 要旨 【目的】頭頸部がん患者の術後補助療法実施が体格,運動機能,生活の質(以下,QOL)への影響を検討 すること。 【方法】対象は,周術期頭頸部がん患者 24 例(男性 21 例,女性 3 例,年齢 54.2 ± 11.0 歳)とし, 術後補助療法実施の有無で 2 群に分類した。体格を Body Mass Index(以下,BMI),運動機能を 6 分間 歩行距離,握力(以下,GS),肩関節外転可動域(以下,SROM),QOL を Short-Form 36-Item Health Survey version 2(以下,SF36)で術前から術後 12 ヵ月間に各々 5 回評価した。 【結果】術後補助療法実 施群は,非実施群より SROM,SF36 の身体・精神的日常役割機能,社会生活機能が有意に低く,BMI と GS の術後回復が有意に遅かった。 【結論】術後補助療法を受けた頭頸部がん患者は,体格,運動機能の回 復が遅く,手術前より QOL が低かった。 キーワード 頭頸部がん患者,術後補助療法,体格,運動機能,生活の質. る. はじめに. 。これら術後後遺症は,多くの頭頸部がん手術治. 療経験者が術後数年にわたり身体的あるいは精神的な健.  頭頸部がん(口腔,咽頭,喉頭など)は,罹患率が全 罹患部位の 5% 程度. 2‒5). 1). と低いが,罹患部位に主要な血. 康問題として自覚され,健康関連 Quality of Life(以下, QOL)を低下させ. 6‒9). ,生存率も低下させる 10)。頭頸. 管やリンパ節が隣接しており,がん細胞の浸潤が比較的. 部がん手術治療経験者に対する積極的なリハビリテー. 急速であるため,適応される手術治療が皮弁による再建. ションは,前述した術後後遺症や健康関連 QOL 改善の. 術や反回神経や舌咽神経の切除術,頸部郭清術などが複. 有効性が報告されている. 合的に施行され高侵襲となることが多い. 2). 。術後には,. 嚥下障害,構音障害,上肢の運動機能障害などが出現す *. Effects of Postoperative Adjuvant Therapy on Body Mass Index, Physical Function, and Quality of Life in Head and Neck Cancer Patients: A Prospective, Observational, One-year Postoperative Study 1)国際医療福祉大学三田病院リハビリテーション室 (〒 108‒8329 東京都港区三田 1‒4‒3) Tsuyoshi Hara, PT, PhD, Takaya Ishii, PT, MS, Mitsunori Nishimura, OT, MS, Kentaro Ideura, OT, MS: Division of Rehabilitation, International University of Health and Welfare Mita Hospital 2)国際医療福祉大学三田病院頭頸部腫瘍センター Kouki Miura, MD, PhD: Head and Neck Oncology Center, International University of Health and Welfare Mita Hospital 3)国際医療福祉大学三田病院リハビリテーション科 Syusuke Kusano, MD, PhD: Department of Rehabilitation, International University of Health and Welfare Mita Hospital 4)国際医療福祉大学保健医療学部理学療法学科 Akira Kubo, PT, PhD: Department of Physical Therapy, Faculty of Health Science, International University of Health and Welfare # E-mail: [email protected] (受付日 2016 年 8 月 8 日/受理日 2016 年 12 月 9 日) [J-STAGE での早期公開日 2017 年 2 月 8 日]. 11‒16). 。.  一般的に手術侵襲を受けると生体内では,免疫機能の 活性化に伴い骨格筋からアミノ酸が放出され,全身性に 蛋白異化が亢進する. 17). 。手術侵襲に伴う全身性の蛋白. 異化亢進は,周術期消化器がん患者の術後痩身や運動機 能低下に繋がることが報告されており. 18). ,高侵襲手術. 治療が施行された頭頸部がん患者においても同様の現象 が発生する可能性が推測できる。加えて頭頸部がんは, 術後の病理診断でがん進行度(TNM 分類)が腫瘍 T3 以上,リンパ節転移 N2 以上に該当した場合,がん細胞 が切除断端,被膜外,リンパ節外,神経周囲,血管のい ずれかに浸潤像を示した場合に術後補助療法が推奨され る. 19). 。補助療法も手術侵襲と同様に,治療に伴い生体. 内で免疫機能が活性化し全身性に蛋白異化が亢進するた め,治療前と比較して骨格筋量および脂肪量が有意に減 少する. 20). 。これら高侵襲手術治療や補助療法は,治療.

(2) 182. 理学療法学 第 44 巻第 3 号. 後に頭頸部がん患者の健康関連 QOL を有意に低下させ 21). 2.研究デザイン. 。しかしながら現在までに頭頸部がん患者の疾患.  研究デザインは,1)手術日より 1 日以上前の時期(以. 特異的な術後後遺症に着目しリハビリテーション効果を. 下, 手 術 前 ),2) 術 後 1 ヵ 月 経 過 し た 時 期(1post-. る. 11‒16). が多い一方,理学療法士がかかわる. operative month;以下 1POM) ,3)術後 3 ヵ月経過し. ことの多い体格や筋力,全身持久力を包括的に評価し長. た時期(3postoperative month;以下,3POM) ,4)術. 期的に観察した報告は世界的に認めず,本邦で頭頸部が. 後 6 ヵ月経過した時期(6postoperative month;以下,. ん患者の健康関連 QOL を術後長期的に観察した報告も. 6POM) ,5)術後 12 ヵ月経過した時期(12postoperative. ない。頭頸部がん患者が手術治療あるいは手術治療加え. month;以下,12POM)の 5 つの時期に対象者の体格,. て術後補助療法が適応となった場合の体格や運動機能,. 運動機能,QOL を評価する前向き観察研究とした。. 証明した報告. 健康関連 QOL の変化や特徴を明らかにすることは,臨 床現場の理学療法士が頭頸部がん患者の各治療期におけ. 3.リハビリテーション内容. る体格や運動機能低下を最小限に抑え QOL を維持する.  対象者への周術期リハビリテーションは,手術前日か. ための一助となりえると考える。. ら退院前日までの在院期間中のみとした(図 1)。リハ.  以上のことから本研究では,高侵襲手術治療を施行さ. ビリテーションは,当院クリニカルパスに則り,理学療. れた頭頸部がん患者と高侵襲手術治療に加えて術後補助. 法が術後 1 日目,作業療法と言語療法が術後 4 日目より. 療法を施行された頭頸部がん患者では,体格や運動機. 介入開始した。各部門の介入時間は,術後 9 日目まで病. 能,健康関連 QOL の術後経過に差があるという研究仮. 棟内で 20 分間,手術後 10 日目(ドレーン抜去後)より. 説を立案した。本研究の目的は,高侵襲手術治療が施行. リハビリテーション室内で 40 分間実施した。なおリハ. された周術期頭頸部がん患者を対象に体格,運動機能,. ビリテーションは,手術日および日曜祝日以外の平日の. 健康関連 QOL を手術前から術後 1 年間追跡調査し,各. み,1 週間に 5 ∼ 6 日間実施した。. パラメーターの回復状況や変化,術後補助療法実施の影 響について明らかにすることとした。 対象と方法. 4.体格・運動機能評価  本研究では,探索的に体格を BMI,運動機能として全 身持久力を 6 分間歩行距離(6-minute walk distance;. 1.対象. 以下,6MWD) ,筋力を握力(Grip strength;以下,GS) ,.  対象は,平成 24 年 10 月 1 日から平成 26 年 10 月 31. 疾患特異的後遺症を肩関節外転可動域(Shoulder joint. 日までに当院へ手術目的で入院し,リハビリテーション. abduction range of motion;以下,SROM)で評価した。. 科へ依頼のあった周術期頭頸部がん患者 136 例である。.  BMI は,衣服着用下で計測した身長と体重を「BMI. 対象者の取りこみ基準は,1)手術前に運動および認知. = 体重 (kg)/身長 (m )」の式に挿入し算出した。. 機能に障害を認めず Functional Independence Measure.  6MWD は,計測前にアメリカ胸部医学会のガイドラ. が満点であった者,2)手術治療が腫瘍切除術に加えて. イン. 頸部郭清術(副神経温存)と微小血管吻合術による遊離. は,対象者が院内の勾配のない平坦な 50 m の直線コー. 皮弁移植再建を行う高侵襲手術が施行された者,3)退. スを 6 分間で可能な限り往復することを 1 回実施するこ. 院後に自宅復帰した者とした。除外基準は,1)術後経. ととした。計測値は,計測動作中の対象者を検査者が後. 過観察中に死亡した者,2)重篤な有害事象を発症した. 方 か ら 追 跡 し, 歩 行 用 距 離 測 定 器( セ キ ス イ 樹 脂,. 者,3)他科へ転科した者,4)治療拠点病院が他院へ変. SDM-1)を使用して得られた歩行距離(m)を採択した。. 更となった者,5)精神疾患を有する者とした。対象者.  GS は,厚生労働省 体力・運動能力調査に準じて計. の基本情報(年齢,性別,がん進行度(Stage 分類),. 測した。GS の計測動作は,対象者が立位姿勢(肩関節. 併存疾患,がん治療経験の有無),手術情報(手術部位,. 中間位,肘関節伸展位,手関節中間位)にて利き手側あ. 頸部郭清術の郭清範囲,遊離皮弁採取部位,手術時間,. るいは前腕皮弁採取する症例では非手術側でスメドレー. 出血量) ,C 反応性蛋白(C-reactive protein;以下,CRP) ,. 式デジタル握力計(竹井機器,グリップ D)を把持し,. 手術前呼吸機能検査値,術後補助療法の内訳,評価実施. 最大努力下で把握することとした。計測値には,計測動. 時期,在院日数は,カルテから収集した(表 1) 。なお,. 作を 2 回実施して得られた値の最大値(kgf)を採択した。. 本研究における術後補助療法実施は,手術治療後に化学.  SROM は,日本整形外科学会の測定法に準じて計測. 療法(プラチナ製剤)あるいは分子標的薬を併用した放. した。SROM の計測値には,対象者が立位姿勢にて自. 射線治療,単独での放射線治療あるいは化学療法のいず. 動運動で最大肩関節外転位を保持した際の最大肩関節外. れかが適応となり実施された場合とした。. 転可動域をゴニオメーター(酒井医療,プラスチック角. 2. 22). 2. に基づき説明し実施した。6MWD の計測動作. 度計)で 5°刻みに計測した値(° )を採択した。なお計.

(3) 頭頸部がん患者の術後補助療法実施が術後経過に及ぼす影響. 183. 表 1 対象者の基本属性 術後補助療法の実施/非実施 対象者数(例) 年齢(歳) 性別(例). 実施群. 非実施群. 7(29%). 17(71%). 57.0 ± 13.8. 53.0 ± 9.9. 男性. 6(86%). 15(88%). 女性. 1(14%). 2(12%). がん進行度(Stage 分類)(例) Ⅰ. P値. n.s. n.s.. 0(0%). 0(0%). n.s.. Ⅱ. 2(29%). 12(71%). n.s.. Ⅲ. 1(14%). 4(24%). Ⅳ. 4(57%). 1(6%). n.s. p<0.05 †. 高血圧症. 2(29%). 4(24%). n.s.. 高尿酸血症. 1(14%). 3(18%). n.s.. 高脂血症. 0(0%). 1(6%). n.s.. 1(14%). 4(24%). n.s.. 舌. 3(43%). 5(29%). n.s.. 口腔底. 2(29%). 3(18%). n.s.. 中咽頭. 0(0%). 4(24%). n.s.. 下歯肉. 1(14%). 3(18%). n.s.. 上顎. 1(14%). 1(6%). n.s.. 頬粘膜. 0(0%). 1(6%). n.s.. 外耳道. 0(0%). 1(6%). n.s.. Ⅰ. 1(14%). 0(0%). n.s.. Ⅰ∼Ⅲ. 6(86%). 12(71%). n.s.. Ⅰ∼Ⅴ. 3(43%). 6(35%). n.s.. 前腕. 1(14%). 7(41%). n.s.. 前外側大腿. 2(29%). 5(29%). n.s.. 腹直筋. 3(43%). 3(18%). n.s.. 広背筋付き肩甲骨. 1(14%). 2(12%). n.s.. 手術時間(分). 440.7 ± 85.8. 479.6 ± 128.1. n.s.. 出血量(ml). 613.4 ± 605.8. 407.2 ± 171.4. n.s.. 併存疾患(例). がん治療経験の有無(例) 手術部位(例). 頸部郭清術の郭清範囲(例). 遊離皮弁採取部位(例). C 反応性蛋白(mg/dl). 手術前呼吸機能検査値(%). 手術前. 0.22 ± 0.28. 0.45 ± 0.89. n.s.. 10POD. 8.85 ± 2.74. 7.16 ± 6.80. n.s.. 1POM. 1.05 ± 1.11 0.33 ± 0.35. 0.48 ± 0.88 ‒. p<0.05 *. 補助療法開始前 補助療法終了時. 3.58 ± 4.13. ‒. 106.3 ± 16.0. 114.2 ± 10.6. n.s.. 78.2 ± 5.3. 81.1 ± 6.6. n.s.. CRT :3. CRT :0. BRT :3. BRT :0. %VC FEV1.0%. 術後補助療法の内訳(例). 評価実施時期(POD). 在院日数(日). RT  :1. RT  :0. Chemo:0. Chemo:0. 手術前. ‒5.3 ± 10.5. ‒1.4 ± 0.7. n.s.. 1POM. 33.1 ± 4.3. 30.8 ± 6.6. n.s.. 3POM. 94.6 ± 6.8. 96.2 ± 10.6. n.s.. 6POM. 196.0 ± 17.0. 186.4 ± 21.1. n.s.. 12POM. 372.3 ± 24.5. 369.6 ± 14.9. n.s.. 44.6 ± 17.8. 36.8 ± 15.3. n.s.. 年齢,手術時間,出血量,C 反応性蛋白,手術前呼吸機能検査値,評価時期,在院日数は平均値±標準偏差で表記 性別,がん進行度(Stage 分類),併存疾患,がん治療経験の有無,手術部位,頸部郭清術の郭清範囲,遊離皮弁 採取部は件数(割合)で表記 術後補助療法の内訳は件数のみ表記 手術部位,頸部郭清術の郭清範囲は重複症例あり CRT; chemoradiotherapy, BRT; bioradiotherapy, RT; radiotherapy, Chemo; chemotherapy, POD; postoeprative day, POM; postoperative month *; Mann-Whitney の U 検定,†; χ 2 検定 , n.s.; not significant.

(4) 184. 理学療法学 第 44 巻第 3 号. 図 1 当院における皮弁再建術を施行された頭頸部がん患者の周術期医療の流れ. 測は,頸部郭清術が施行された肩関節のみ(実施群 10. ラメーター比較には,Mann-Whitney の U 検定を使用. 肢,非実施群 18 肢)実施した。. した。手術前から 12POM の各パラメーターの変化には, 術後補助療法の有無と計測時期を 2 要因に設定した分割. 5.健康関連 QOL 評価. プロットデザインの線形混合モデル二元配置分散分析と.  健康関連 QOL の指標には,頭頸部がん患者への使用 が報告. 23‒26). されている包括的尺度 SF36. 27)28). を使用. 多重比較検定(Bonferroni 法)を使用し,対象者各群に おける各パラメーターの差,手術前から 12POM の各パ. した。SF36 は,対象者が自己記入式の質問用紙を記入. ラメーター変化について比較した。. し,認定 NPO 法人健康評価研究機構 iHope Internation-.  統計ソフトには IBM SPSS Statistics 21.0 を使用し,. TM. 日本語版スコアリングプ. 統計学的有意水準を 5% とした。なお,統計学的処理に. ログラムを使用して得点化した。本研究では,SF36 を. 使用したデータは,属性情報データを平均値±標準偏差. 構成している 8 つの健康概念である身体機能(Physical. または件数と割合,ベースラインの各パラメーターを平. functioning; 以 下,PF) , 身 体 的 日 常 役 割 機 能(Role. 均値±標準偏差または中央値(25 パーセンタイル,75. physical; 以 下,RP) , 体 の 痛 み(Bodily pain; 以 下,. パーセンタイル),追跡した各パラメーターを平均値±. BP) ,全体的健康感(General health perceptions;以下,. 標準誤差で表記した。. al が推奨している SF-36v2. GH) ,活力(Vitality;以下,VT) ,社会生活機能(Social functioning; 以 下,SF) , 精 神 的 日 常 役 割 機 能(Role. 7.倫理的配慮. emotional;以下,RE) ,心の健康(Mental health;以.  本研究は,国際医療福祉大学三田病院倫理委員会の承. 下,MH)各々の国民標準値(50 点)を基準に算出され. 認(H24-20)を受けて実施した。. た値を採択した。. 結   果. 6.統計学的処理. 1.対象者各群における属性情報.  対象者各群の属性情報比較には,Mann-Whitney の U.  対象者各群の属性情報は,表 1 に示した。本研究では,. 2. 検定と χ 検定を使用した。ベースラインにおける各パ. 取りこみ基準に該当し本研究参加への同意が得られた.

(5) 頭頸部がん患者の術後補助療法実施が術後経過に及ぼす影響. 185. 表 2 頭頸部がん患者におけるベースラインの各パラメーター比較 術後補助療法の実施/非実施 2. Body Mass Index(kg/m ) 6 分間歩行距離(m) 握力(kgf) 自動肩関節外転可動域(°) SF36 下位尺度得点(点). 実施群. 非実施群. P値. 21.0 ± 1.3. 22.0 ± 3.3. n.s.. 482.5 ± 62.2. 523.4 ± 87.4. n.s.. 36.9 ± 8.4. 34.0 ± 8.8. n.s.. 164.5 ± 12.6. 166.9 ± 9.1. n.s.. PF. 57.8(55.1, 57.8). 54.2(54.2, 57.8). n.s.. RP. 49.1(40.8, 54.9). 55.7(55.7, 55.7). p<0.05 *. BP. 45.2(34.0, 52.4). 49.2(44.3, 61.7). n.s.. GH. 52.2(43.4, 60.2). 49.0(46.2, 59.4). n.s.. VT. 49.8(44.2, 60.3). 53.0(43.4, 60.3). n.s.. SF. 50.6(34.4, 57.0). 57.0(50.6, 57.0). n.s.. RE. 41.5(33.2, 46.7). 56.1(55.0, 56.1). p<0.05 *. MH. 46.5(33.8, 49.1). 53.2(43.1, 59.9). n.s.. Body Mass Index,6 分間歩行距離,握力,自動肩関節外転可動域は平均値±標準偏差で表記 SF36 下位尺度得点は中央値(25 パーセンタイル,75 パーセンタイル)で表記 SF36; Short-Form 36-Item Health Survey version 2,PF; Physical functioning,RP; Role physical, BP; Bodily pain,GH; General health perceptions,VT; Vitality,SF; Social functioning,RE; Role emotional,MH; Mental health *; Mann-Whitney の U 検定,n.s.; not significant. 58 例中,除外基準に該当した 34 例を除く 24 例を対象. 4.対象者各群における健康関連 QOL の経時的変化. として選出した。対象者 24 例を術後補助療法実施の有.   対 象 者 各 群 の 手 術 前 か ら 12POM ま で の 健 康 関 連. 無で分類した結果,実施群は 7 例(男性 6 例,女性 1 例,. QOL の計測値は,表 3 に示した。評価時期要因では,. 年齢 57.0 ± 13.8 歳:平均年齢±標準偏差),非実施群は. PF,RP,BP,VT,SF,RE,MH の 7 項目に有意な主. 17 例(男性 15 例,女性 2 例,年齢 53.0 ± 9.9 歳)であっ. 効果が認められた。多重比較検定の結果より前述した 7. た。非実施群と比較して実施群は,がん進行度(Stage. 項 目 は,1POM で 有 意 な 低 値 を 示 し,VT,SF,RE,. 分類)と 1POM 時の CRP が有意に高値を示した。. MH が 3POM,PF,RP,BP が 6POM で手術前と同程 度まで回復した。術後補助療法実施の有無要因では,. 2.ベースラインにおける各パラメーター比較. RP,SF,RE に有意な主効果が認められた。.  ベースラインにおける各パラメーターの計測値は,表. 考   察. 2 に示した。非実施群と比較して実施群は,RP と RE が有意に低値を示した。. 1.体格と運動機能の術後変化と術後補助療法の影響に. 3.対象者各群における体格,運動機能の経時的変化.  頭頸部がん患者の体格や全身持久力,筋力は,術後.  対象者各群の手術前から 12POM までの体格と運動機. 1 ヵ月経過時に有意な低値を示した(表 3)。頭頸部がん. 能の計測値は,表 3 に示した。評価時期要因では,すべ. 患者における術後免疫機能活性に伴う炎症誘発の程度. ての項目に有意な主効果が認められた。多重比較検定の. は,血中の炎症性サイトカイン IL-6 が反映し. 結果よりすべての項目は,1POM で有意な低値を示し. 期の CRP やフィブリノゲンが有意な正の相関関係にあ. 6MWD が 3POM,GS が 12POM,SROM が 6POM で. る. 手術前と同程度まで回復した。BMI は,12POM でも手. 当院クリニカルパス上 10POD 時点で対象者の CRP が. 術前と比較し有意に低値であった。術後補助療法実施の. 高値を示した(表 1)ことから,術後に全身性の蛋白異. 有無要因では,6MWD と SROM に有意な主効果が認め. 化亢進の発生が推察される。また,血中の炎症性サイト. られた。また BMI と GS は,要因間に交互作用が認め. カイン増加が骨格筋量および筋力低下に繋がる. られた。. から,頭頸部がん患者では術後の活動制限や経口摂取の. ついて. 29). ,同時. 29). 。本研究では,手術創部が経過良好と判断された. 30). こと. 制限に加えて蛋白異化亢進が,術後の痩身や運動機能低.

(6) 186. 理学療法学 第 44 巻第 3 号. 表 3 頭頸部がん患者における各パラメーターの経時的変化 評価時期 術後補助療法実施の 有無 2. Body Mass Index(kg/m ). 6 分間歩行距離 (m). 握力(kgf). 自動肩関節外転可動域(°). SF36 下位尺度得点(点). PF. RP. BP. GH. VT. SF. RE. MH. 手術前(Ⅰ). 1POM(Ⅱ). 3POM(Ⅲ). 6POM(Ⅳ). 12POM(Ⅴ). 統計結果. 実施群(A) (n=7). 21.0 ± 0.5. 19.4 ± 0.5. 18.9 ± 0.5. 19.5 ± 0.5. 19.6 ± 0.5. (Ⅱ)(Ⅲ)(Ⅳ)(Ⅴ)<(Ⅰ)*. 非実施群(B) (n=17). 22.0 ± 0.8. 20.3 ± 0.8. 21.3 ± 0.8. 21.6 ± 0.8. 21.8 ± 0.8. (Ⅱ)<(Ⅴ)*, ‡. 実施群(A) (n=7). 482.5 ± 17.8. 432.8 ± 17.8. 479.8 ± 17.8. 485.3 ± 17.8. 465.9 ± 18.6 (Ⅱ)<(Ⅲ)(Ⅳ)(Ⅴ)*. 非実施群(B) (n=17) 523.4 ± 16.6. 503.7 ± 16.9. 540.1 ± 17.1. 535.1 ± 17.7. 554.9 ± 17.4 (A)<(B)†. 実施群(A) (n=7). 36.9 ± 3.0. 28.9 ± 3.0. 27.6 ± 3.0. 29.2 ± 3.0. 30.5 ± 3.1. (Ⅱ)(Ⅲ)<(Ⅰ) (Ⅴ)*. 非実施群(B) (n=17). 34.0 ± 2.3. 30.7 ± 2.3. 30.2 ± 2.3. 33.1 ± 2.4. 36.0 ± 2.4. (Ⅳ)<(Ⅰ)*, ‡. 実施群(A) (n=10) 164.5 ± 8.5. 98.5 ± 8.5. 116.5 ± 8.5. 148.0 ± 8.5. 165.9 ± 9.4. (Ⅱ)(Ⅲ)<(Ⅰ) (Ⅳ)(Ⅴ)*. 非実施群(B) (n=18) 166.9 ± 5.9. 130.0 ± 6.0. 135.8 ± 5.9. 160.9 ± 6.2. 169.4 ± 6.3. (A)<(B)†. 実施群(A) (n=7). 54.7 ± 3.8. 34.9 ± 3.8. 45.1 ± 3.8. 49.1 ± 3.6. 47.3 ± 3.8. (Ⅱ)<(Ⅲ)<(Ⅰ)*. 非実施群(B) (n=17). 54.5 ± 2.1. 36.7 ± 2.2. 48.1 ± 2.0. 51.6 ± 2.2. 54.3 ± 2.2. (Ⅱ)<(Ⅳ)(Ⅴ)*. 実施群(A) (n=7). 44.9 ± 5.3. 13.3 ± 5.3. 22.7 ± 5.3. 32.9 ± 5.0. 34.7 ± 5.3. (Ⅱ)<(Ⅲ)<(Ⅰ)*. 非実施群(B) (n=17). 51.7 ± 3.7. 23.7 ± 3.8. 40.2 ± 3.7. 47.4 ± 3.8. 48.6 ± 3.9. (Ⅱ)<(Ⅳ)(Ⅴ)*,(A)<(B)† (Ⅱ)(Ⅲ)<(Ⅳ) (Ⅴ)*. 実施群(A) (n=7). 43.4 ± 5.0. 39.9 ± 5.0. 41.6 ± 5.0. 50.2 ± 4.8. 48.8 ± 5.0. 非実施群(B) (n=17). 50.4 ± 2.3. 39.0 ± 2.4. 43.6 ± 2.3. 52.2 ± 2.4. 54.5 ± 2.4. 実施群(A) (n=7). 50.7 ± 5.3. 50.3 ± 5.3. 48.0 ± 5.3. 46.8 ± 5.1. 44.8 ± 5.3. 非実施群(B) (n=17). 51.2 ± 2.6. 47.0 ± 2.6. 50.4 ± 2.5. 51.2 ± 2.6. 53.2 ± 2.6. 実施群(A) (n=7). 49.2 ± 4.3. 41.7 ± 4.3. 44.6 ± 4.3. 48.0 ± 4.1. 47.8 ± 4.3. 非実施群(B) (n=17). 52.7 ± 2.5. 46.8 ± 2.6. 52.8 ± 2.5. 54.6 ± 2.6. 56.2 ± 2.6. n.s.. (Ⅱ)<(Ⅰ)(Ⅳ)(Ⅴ)*. 実施群(A) (n=7). 41.1 ± 5.9. 13.2 ± 5.9. 34.1 ± 5.9. 38.6 ± 5.6. 38.5 ± 5.9. (Ⅱ)<(Ⅰ)(Ⅲ)(Ⅳ)(Ⅴ)*. 非実施群(B) (n=17). 53.5 ± 2.8. 35.8 ± 2.9. 47.1 ± 2.8. 50.7 ± 2.9. 52.9 ± 3.0. (A)<(B)†. 実施群(A) (n=7). 37.3 ± 6.2. 26.2 ± 6.2. 31.7 ± 6.2. 38.2 ± 5.8. 38.6 ± 6.2. (Ⅱ)<(Ⅰ)*. 非実施群(B) (n=17). 52.8 ± 3.0. 41.4 ± 3.1. 49.1 ± 3.0. 49.4 ± 3.1. 51.2 ± 3.2. (A)<(B)†. 実施群(A) (n=7). 41.7 ± 4.5. 36.4 ± 4.5. 44.9 ± 4.5. 47.2 ± 4.3. 51.3 ± 4.5. (Ⅱ)<(Ⅲ)(Ⅳ)(Ⅴ)*. 非実施群(B) (n=17). 50.0 ± 2.8. 46.3 ± 2.8. 53.5 ± 2.8. 53.3 ± 2.8. 55.5 ± 2.8. (Ⅰ)<(Ⅴ)*. 各パラメーターの評価値は平均値±標準誤差で表記 POM; postoperative month SF36; Short-Form 36-Item Health Survey version 2,PF; Physical functioning,RP; Role physical,BP; Bodily pain,GH; General health perceptions,VT; Vitality,SF; Social functioning,RE; Role emotional,MH; Mental health * p<0.05(Bonferroni),† p<0.05(ANOVA; 有意な主効果あり) ,‡ p<0.05(ANOVA; 交互作用あり) ,n.s.; not significant. 下に繋がった可能性を推察する。. 体格や骨格筋力の回復が遅延した可能性が推察される。.  次に頭頸部がん患者の体格と筋力は,要因間に交互作.  一方で頭頸部がん患者の全身持久力は,要因間に交互. 用が認められ(表 3),術後補助療法実施により術後回. 作用が認められず(表 3) ,術後回復に術後補助療法実施. 復が遅延することが明らかとなった。補助療法を受けた. の影響が少ないことが明らかとなった。本研究で使用し. 頭頸部がん患者は,治療に伴い免疫機能が活性化し全身. た 6MWD は,対象者の年齢や性別,体格,心肺機能予. 性に蛋白異化が亢進するため,治療前と比較して骨格筋. 備力,骨格筋力などを総合的に反映する全身持久力の評. 量および脂肪量が有意に減少し,体格が有意に痩身とな. 価スケールである. る. 20). 。本研究においても術後補助療法が実施された頭. 頸部がん患者は,補助療法終了時の CRP が高値であり. 22)31)32). 。加えて頭頸部がん患者が受. けた補助療法は,治療後に骨格筋量や脂肪量を有意に減 少させる一方,呼吸機能への影響が少ない. 20). 。これら. (表 1),治療に伴う全身性の蛋白異化亢進の発生が推察. のことより術後補助療法が実施された頭頸部がん患者で. される。これらのことより術後補助療法を受けた頭頸部. は,治療に伴う身体組成変化に対して心肺機能予備力が. がん患者では,先行研究同様に補助療法に伴う全身性の. 代償的に働き,非実施群と比較して全身持久力の術後回. 蛋白異化亢進により骨格筋量や脂肪量が減少したため,. 復に差が認められなかったと推察する。また術後補助療.

(7) 頭頸部がん患者の術後補助療法実施が術後経過に及ぼす影響. 187 25). 法実施群の全身持久力は,手術前から術後 1 年間までの. 別が影響すると報告している. データが非実施群と比較して有意に低値であった(表. 有意な性差を認めなかったが術後補助療法実施群のがん. 3) 。本研究で使用した全身持久力評価である 6MWD. 進行度が有意に高く(表 1),頭頸部がん患者が病態進. は,前述したように対象者の様々なバイアスを受け. 行に伴う疲労感など身体的および精神的な症状. る. 22)31)32). ため,今後頭頸部がん患者を対象に多変量解. 覚したため,先行研究. 25). 。本研究では,群間で. 38). を自. 同様にベースラインで日常生. 析などを使用し,交絡因子について再検討が必要である。. 活に関連する健康関連 QOL 低下に繋がった可能性が示.  頭頸部がん患者の肩関節機能は,術後 6 ヵ月経過時で. 唆される。また,術後補助療法実施群が受けた放射線治. 手術前と同程度まで回復し(表 3),先行研究と同様の. 療は,放射線照射部位に治療後より組織内浮腫が発生. 術後経過であった. 33). 。また,肩関節機能は,要因間に. し,数ヵ月から数年かけて線維化,瘢痕化,萎縮などの 39). 。これら放射線照射部位に生じる晩期. 交互作用が認められなかったが,実施群で有意に低値で. 変性を起こす. あった(表 3) 。術後の肩関節機能低下の原因は,頸部. 的有害事象は,頭頸部がん患者の治療後における自覚症. 郭清術や微小血管吻合術など手術操作に伴う副神経の軸. 状を増悪させ,屋外活動や職場復帰の阻害因子とな. 索損傷と考えられている. 34)35). 。加えてこの軸索損傷の. 再生阻害因子には,生体内全身に存在する糖蛋白質のプ 36). る. 40). 。術後補助療法が実施された頭頸部がん患者は,. 術後 1 年間経過した時期でも前述した晩期的有害事象に. の影響が報告されている。術後補助. 伴う自覚症状の増悪が,仕事や日常生活活動,社会生活. 療法が実施された頭頸部がん患者は,術後 1 ヵ月経過時. を反映する健康関連 QOL を低下させる一要因となった. に CRP が有意に高く(表 1),術後蛋白異化亢進の長期. 可能性が推察される。. 化に伴う血中内のプロテオグリカン濃度が向上したこと.  以上のことより本邦の頭頸部がん患者では,手術治療. が術後早期の肩関節機能回復力低下の一要因として影響. に加えて術後補助療法が適応になった者ほど,術後早期. した可能性が示唆される。一方で軸索損傷の再生促進因. より日常生活や社会活動に関連する健康関連 QOL を考. 子は,リハビリテーション後に発現上昇する神経栄養因. 慮した理学療法プログラム立案および実施の必要性が示. ロテオグリカン. 子. 37). が重要であるため,術後早期の肩関節機能回復に. 唆される。. は今後様々な検討が必要である。  以上のことより頭頸部がん患者では,手術治療に加え. 3.本研究の限界. て術後補助療法が適応になった場合,体格や筋力の術後.  本研究は,対象者数が 24 例と少なく,当院のみで実. 回復が遅延する可能性があり,追加治療の有無に応じた. 施された検討であるため,対象者の選択バイアスが考え. 理学療法プログラム立案および実施の必要性が示唆さ. られる。今後は,地域差などを考慮できる多施設共同研. れる。. 究などを実施し,信頼性の高い見解を導きだす必要が ある。. 2.QOL の術後変化と術後補助療法の影響について  頭頸部がん患者の健康関連 QOL は,術後 1 ヵ月経過. 結   論. 時に有意に低下するが,術後 6 ヵ月経過時にすべての項.  高侵襲手術を施行された頭頸部がん患者は,術後体格. 目が手術前と同程度まで回復した(表 3)。先行研究で. の回復が遅いが,術後 1 年経過時に運動機能および健康. は,健康関連 QOL の中でも運動機能に関連する項目の. 関連 QOL が手術前と同程度まで回復することが明らか. 回復が遅く,すべての項目が手術前と同程度まで回復す. となった。また,術後補助療法が適応となった頭頸部が. るには術後 1 年の時間を要していた. 25). 。本邦における. 頭頸部がん患者の健康関連 QOL は,先行研究. 25). と同. 様に運動機能に関連する項目が術後回復に時間を要した. ん患者では,体格や運動機能の回復に遅延する可能性が あり,手術前や積極的治療後の日常生活や社会活動を反 映する健康関連 QOL が低いことが明らかとなった。. が,同項目が比較的早期に回復した。先行研究では,リ ハビリテーション実施の有無が記述されていないた め. 25). ,今後頭頸部がん患者の QOL に対する周術期リハ. ビリテーションの有効性を検討すべきである。  次に術後補助療法が実施された頭頸部がん患者では, 非実施群と比較してベースラインで RP,RE(表 2), 手術前から手術後 1 年間のデータ比較で RP,SF,RE が有意に低値であった(表 3)。先行研究において頭頸 部がん患者の健康関連 QOL は,全体的に低い傾向にあ るが,特に日常生活に関連する項目が低く,対象者の性. 謝辞:本研究の実施にあたり多大なご協力をいただきま した,国際医療福祉大学三田病院リハビリテーション室 のスタッフの皆様には深く感謝いたします。 文  献 1)Matsuda A, Matsuda T, et al.: Cancer incidence and incidence rates in Japan in 2008: a study of 25 populationbased cancer registries for the Monitoring of Cancer Incidence in Japan (MCIJ) project. Jpn J Clin Oncol. 2014; 44: 388‒396..

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表 1 対象者の基本属性 術後補助療法の実施/非実施 実施群 非実施群 P 値 対象者数(例) 7(29%) 17(71%) 年齢(歳) 57.0 ± 13.8 53.0 ± 9.9 n.s

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