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体験プログラムにおける学びのための3つの「共有」によるアプローチ

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Academic year: 2021

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(1)体験プログラムにおける学びのための3つの「共有」によるアプローチ Three Approaches of “Sharing” for Learning in Experience Program 若林尚樹 東京工科大学デザイン学部 小川雄一 東京都建設局公園緑地部. 政倉祐子 愛知淑徳大学創造表現学部 田邉里奈 千葉工業大学先進工学部. 鈴木 仁 恩賜上野動物園教育普及課. WAKABAYASHI Naoki Tokyo University of Technology OGAWA Yuuichi. Tokyo Metropolitan Gov.. MASAKURA Yuko. Aichi Shukutoku University. TANABE Rina. Chiba Institute of Technology. SUZUKI Hitoshi. Ueno Zoological Gardens. 1.はじめに. 習のステップをみることができる。. 動物園の社会的な役割として、 「教育」「自然保護」「研究」. ワークショップは、問題解決やトレーニングの手法、学びと. 「レクリエーション」の4つの役割がある 。上野動物園のサ. 創造の手法としてなどさまざまな分野で行われている。参加者. マースクールは「教育」のための体験プログラムのひとつと. が自ら参加・体験し、グループの相互作用の中で何かを学び. して昭和24(1949)年の開始から長い歴史を有するものであ. あったり創り出したりする、双方向的な学びと創造のスタイル. り、小学生を対象に夏休みに実施される人気のプログラムであ. として定義されている3)。すなわち、個人的な体験とともに、. る。小学校5・6年生を対象としたサマースクールでは動物の. いっしょに参加する他者との関わりといった社会的な環境の中. 飼育の体験を通して(1)動物園の仕事の体験を通じて、働く. で具体的なモノを作ったり表現することで自分の考えを外在化. ことの意味を考えてもらう。(2)動物園の役割について理解. したり、ワークショップというプログラムの中で体験するコト. を促す。(3)動物園の活動に賛同し、積極的に活動する後進. に参加することで、他者との対話の中から自分の考えについて. を育成する。を趣旨として実施されている。これまでのサマー. のさまざまな視点を学ぶという、ダイナミックなプロセスが. スクールは、午前中は清掃やエサの準備など飼育係の仕事を体. ワークショップの特徴となっている。. 1). 験し、その体験をもとに、午後は「感じたこと」や「知ったこ と」などを、自分ならではの視点から「壁新聞」や「発表」と いう方法によって表現しまとめることで、プログラムを通して 自分が体験したことを振り返る主観的な視点に重点がおかれて いた。 今回、上野動物園教育普及係との共同研究でのあらたな取り. 表1 参加者の構成 7月24目. 男児. 女児. 5年. 6年. 合計. 9名. 7名. 10名. 6名. 16名. 7月25日. 8名. 8名. 9名. 7名. 16名. 7月28日. 7名. 8名. 7名. 8名. 15名. 7月29日. 8名. 8名. 9名. 7名. 16名. 組みとして、来園者に飼育係の仕事を伝えるための「パネル制 作」という情報伝達の視点からの立場を明確にした課題設定を 行ったワークショップによる体験プログラムの実施結果を報告 する。. 2.ワークショップとしての体験プログラム 体験学習は、柳原らが提唱した「自分で試みる場」での「主 体は自分である」ことを前提とした教育活動としての体験学習2) からはじまる。この体験学習では、まず何らかの体験をする (体験)ことから始まる。次いでその体験において何が起った か、出来事や、体験のプロセス(過程)をわかちあう(指摘)。 さらに、なぜそのようになったのか、体験の原因や、原因を構 成する状況などを明らかにし(分析) 、最後に、体験そのもの や、体験を分析する際に得られた事柄などを確認し、次にはど うするか仮説をたてる(仮説化)。そしてこのような工程によ る体験を経験へと導くステップの循環が重要であるとしてい る。上野動物園におけるサマースクールでもこのような体験学. 68. デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-1 No.93 2016. 図1 サマースクールのタイムテーブル.

(2) 図2 飼育体験のようす. 3.体験プログラムの概要 今回の上野動物園のサマースクールは、上野動物園教育普及 係が企画実施し、著者らの研究グループとそれに協力する学生 グループが、教材のデザイン制作や当日の実施でのスタッフと して参加し協力するという体制で実施した。「動物園のお仕事 体験」をテーマとし、動物園の来園者に飼育係の仕事を伝える ためのパネルの制作を参加者が分担して行うという課題設定 で、平成27(2015)年7月24、25、28、29日の日程で4 回の同じ内容の体験プログラムを実施した。その工程は以下の. サマースクールの工程: 体験と取材 1)イントロダクション(プログラムの説明と担当するテー マの確認) 2)飼育の体験(東園4か所、西園4か所それぞれに、参加 者2名ずつの飼育体験)(図2) 3)インタビュー(担当のテーマについての飼育係へのイン タビュー取材) 振り返りと共有. ような4つのフェーズの9段階のステップによる図1のような. 4)昼食時に飼育体験の振り返りとして話をしながらテーブ. タイムテーブルの6時間15分のプログラムで、参加者は表1. ルに落書きすることで、自分の体験を文字や絵で描いて. のような構成となっている。. みる. 実施の体制は次のとおりである。 当日の実施体制:. 分析と制作 5)飼育体験とインタビューをもとに展示シートを制作.  運営進行:上野動物園教育普及課. 6)制作をしながら飼育係との振り返り.  仕事体験:上野動物園飼育展示課. 7)教育普及係により内容の確認とアドバイス.  制作補助:東京工科大学、千葉工業大学の学生       博物館実習生. まとめと評価 8)参加者の体験を共有してもらうため、各自の展示シート をまとめたミニブックを配布(図3). 図3 ミニブックの例(7月24日の作品例). デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-1 No.93 2016. 69.

(3) 9)今日の1日のまとめとしての各自の制作した展示シート. ようにした。 また、プログラムの工程に沿って参加者による評価を行う気. へのコメントとお披露目. 持ち温度計4) を実施し、本プログラムの定量評価とその分析 なお、パネル制作で各自が分担する伝える内容として、以下. を試みた。 気持ち温度計は参加者の高揚感、達成感、難易度. のような飼育係の仕事について4つのテーマで計16の質問を. の3つ評価指標について、図4のように各指標を示す3本の温. 用意し、それをもとに飼育体験や飼育係へのインタビュー取材. 度計のイラストを用い、項目ごとに気持ちの程度として該当す. を行った。. る高さまで色を塗るという方法でプログラムの工程ごとに実施. 飼育係への質問のテーマ. した。 このような評価により、各工程で参加者がどのような.   (各テーマに4つずつの質問を設定). 印象を感じているかについての変化を定量的に捉える。. 1 飼育係ってどんな人?. 4.共有による3つのアプローチ. 2 動物がのびのびくらせるひ・み・つ 3 動物をまもるひ・み・つ. このプログラムでは、担当する質問項目について取材し展示. 4 知られざる飼育係の仕事のひ・み・つ. パネルとして伝えるために、午前中の飼育体験と取材での自分. イントロダクションの説明の際に、各自がそれぞれに担当す. の体験の中から目的に応じたもの選びだし、見る人にとってわ. る質問を明記した「質問シート」を配布し、それに飼育体験の. かりやすく表現した展示シートを制作することが求められる。. 時のメモや取材の記録の際に担当の質問を意識しながら行える. そのためには自分の体験を客観的に捉え直し、それを伝えるた めに整理し、展示シートとして制作していく必要がある。 このような課題設定に対して、参加者が積極的に取り組むこ とができるようにするとともに、課題設定が高すぎるハードル とならないようにするため、参加者が学生スタッフや飼育係と の対話を通した3つのアプローチでの体験の「共有」を行うこ とのできる段階的なステップによる構成とした。 4.1. 振り返りによる共有 学生スタッフとの対話による午前中の体験の振り返りとして ランチ&トークを実施した。各自が持参したお弁当を食べなが らの打ち解けた雰囲気づくりを行った。また、2日目以降はお 弁当を食べながら、視覚的なメモとして図5のようにテーブル の上に見てきた動物や飼育体験のようすなどを言葉や絵として 参加者に「落書き」をしてもらった。さらに学生スタッフも参 加者の話をもとに落書きを描くなど、視覚的な文字や絵での対 話を積極的に行うようにした。このような落書きをしながらの 会話によって、自然な雰囲気で体験を絵や文字で外在化するこ. 図4 気持ち温度計の評価票(A4サイズ). 図5 テーブルでの落書きによる振り返り. 70. デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-1 No.93 2016. とができるとともに、同じグループの参加者との対話のきっか. 図6 飼育係や学生スタッフとの制作. 図7 ミニブックの配布での振り返り.

(4) けとなったり、会話がはずむなど、積極的な体験の共有化がみ. 5.共有のための改善. られた。このテーブルの上への落書きはその後の展示のための. 4日間のワークショップでは、実施直後に教育普及係のス. シート(展示シート)づくりの下書き、あるいは試し描きとし. タッフと学生スタッフらによるスタッフミーティングでの振り. ての活用を促すことで、展示シート作成に対するハードルをす. 返りを行い、問題点や検討課題、およびその改善案を検討し、. こしでも低くする効果もあったと考えられる。. 前述の共有のための3つの仕掛けを4日間のワークショップで 徐々に改善を重ねてきた。実施した改善点は次の通りである。. 4.2. 一緒に考えることによる共有. 1)ランチ&トークでの振り返りでは、初日は学生スタッフと. 展示シートの制作では、午前中の飼育体験で担当した飼育係. の会話を中心に行ったが、2日目以降はテーブルへの落書き. も制作している会場に訪れ、図6のように飼育体験をした参加. による絵や文字を描きながらの振り返りを実施した。さらに. 者に声をかけたり、落書きをみながら質問に答えたり、アドバ. 3日目以降は学生スタッフも落書きを描きながら参加者に落. イスをするなど、参加者それぞれの体験を一緒に振り返る時間. 書きを描くように促すなど、振り返りの際に積極的に落書き. を設けた。飼育係にとっては自分の仕事を伝えてもらうために. を活用した。. 「正しい情報をきちんと伝えて欲しい」、「自分の仕事の魅力を.  このような落書きによる対話によって、よりスムースで活. しっかりと伝えて欲しい」という視点から、必要な情報の補足. 発なコミュニケーションが可能になるとともに、自分の体験. や内容の確認とともに、飼育係と参加者が一緒に相談しながら. を視覚的に分かりやすく表現することができるなど、振り. 表現を考えるなどの行動もみられ、「伝える」ことに意欲的に. 返りの際の対話の記録としての役割もあることから、グラ. 取り組む姿が多く見られた。. フィックレコーディング5)としての効果も期待される。 2)制作の段階では、初日にも飼育係が会場に参加者のようす. 4.3. 全体を俯瞰することによる共有. を見に来たが、あまり積極的な関わりは行われなかった。2. 参加者のすべての展示シートをまとめた図7のような A5サ. 日目以降は多くの飼育係が制作の会場に訪れ参加者と積極的. イズ20ページのミニブックを開催日ごとに作成し、成果物と. に会話をしながら展示シートの制作のサポートやアドバイス. して参加者に配布した。このミニブックによって、自分の担当. を行った。さらに、3日目からは飼育係も落書きを見ながら. した質問以外の質問の展示シートを見ることができる。これに. コメントやアドバイスを行うなど、落書きを積極的に活用し. よって自分だけの個人的な体験の記念・記録にとどまらず、同. た会話や制作のサポートを行った。. じ日に同じように体験した他の参加者がどのように感じそれを.  動物園での仕事は今回のサマースクールに参加する子ども. 展示シートとしてまとめたのかを見ることが可能となる。全体. たちにとっては憧れの仕事であり、飼育係は憧れの「人」で. を俯瞰する視点を知るためにもこのような形での「共有」は有. ある。そのような人たちから制作の際にアドバイスをもらっ. 効なものであると考えられる。 また、それとともに制作した. たり、わからない点を教えてもらったり、一緒に考えながら. 展示シートは図8のように園内の両生爬虫類館に展示するため. 制作していくなどの対話による共有化は子どもたちによって. の B0パネルにレイアウトし8月6日から31日まで展示した。. 高いモチベーションとなることが期待される。. 図8 両生爬虫類館に展示した展示パネル(参加者の制作した作品をレイアウトしたパネル). デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-1 No.93 2016. 71.

(5) 3)ミニブックを配布する際に、2日目以降は教育普及係が参. 以上のような開催日別の変化の要因としては、4回の開催の. 加者一人ずつに手渡す際に、本人が制作した展示シートの. 中で1)から3)の改善策をはじめさまざまな改善を講じたこ. ページを開きその内容を全員の前で紹介し、良い点や頑張っ. とによるものと考えられる。特に改善点の1)のランチ&トー. た点などについてコメントすることで、良い点をほめるよう. クでの落書きによる飼育体験の振り返りは、飼育体験をした動. に心がけた。. 物や体験で使った道具を描きながら学生スタッフに説明した.  このような他の参加者の作品を発表会や展示によって俯瞰. り、気づいたことを言葉で書くなど自分の体験を客観的に捉え. することで、自分の制作した作品を再度見直す機会となるな. ることのきっかけとなったと考えられる。また、それとともに. ど、客観的な視点からの振り返りを効果的に実現できる仕掛. パネル制作の下書きとしての位置づけとなり、制作がよりス. けとして期待される。. ムースに行えたことによるものと考えられる。この点について は、プログラム終了後の参加者へのアンケートでも「落書きを. 6.気持ち温度計による分析. しながらのお昼ご飯が楽しかった」や「制作が楽しかった」な. 気持ち温度計による評価は、体験学習プログラムに参加した. どの反応にもみられる。このことから落書きをしながらランチ. 5、6年の小学生61名(男児30名、女児31名)を対象に実施. &トークや、飼育係との対話といった自分の体験を学生スタッ. した。. フや飼育係らと「共有」すること、およびミニブックでの全体. プログラムの工程のうち①はじめる前に、②今日の説明を. を俯瞰するという視点での参加者同士の「共有」が、気持ち温. 聞いて [ 説明 ]、③飼育係のお仕事体験をしてみて [ 仕事体験 ]、. 度計の終了後の時点での高揚感や達成感の項目での高い値とし. ④展示シートを作ってみて [ 制作 ] の各作業終了後、その時感. てあらわれていると考えられる。. じた気持ちの程度について3項目(高揚感:「わくわくした」、 達成感:「できた/わかった」、難易度:「むずかしかった」)を マグニチュード推定により評定した。また、全工程終了後、⑤ 全体を振り返って(終了後)として評定を行った。評定には、. 6.2. 評価軸ごとの評定値からの変化の分析 図10に軸ごとの評定値(標準化済み)の平均と標準偏差を 示す。評価軸ごとの各工程の傾向は次のとおりである。. 3つの指標を示す3本の温度計のイラストを用意し、項目ごと ・高揚感. に気持ちの程度として該当する高さまで色を塗った。. 「仕事体験」と「終了後」で高い値となっているが、「制作」 6.1. 工程による評定値の変化からの分析 気持ち温度計の集計結果として開催日別の工程による評定. いることについては、各自が制作した展示シートをまとめたミ. 値(参加者ごとに標準化済み)を図9に示す。開催日による傾. ニブックをまとめの段階の発表会で配布し、制作の成果が具体. 向の違いが明らかである。飼育体験での高揚感と達成感は4日. 的に共有されたことによるものと考えられる。. 間を通じて高い値を示したが、それに比べると制作は低い値と. しかしこれまで行ってきた他の体験プログラムでの分析の事. なっている。また、1日目(24日青線)では「制作」と「終. 例からは、通常は「体験」と「制作」、「終了後」と工程を経る. 了後」で達成感が低い値となっているが、2日目以降(25日. に従い徐々に高い値となる傾向がある。それに対して今回はそ. 赤線、28日緑線、29日紫線)では達成感の値が高くなってい. れとは異なる変化を見せ、「仕事体験」で高い値を示した後に. る。. 図9 開催日別の工程による評定値. 72. の工程では低い値となっている。「終了後」で高い値となって. デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-1 No.93 2016. 「制作」で低い値となり、その後、「終了後」に再び高い値を示. 図10 評価軸ごとの評定値.

(6) していることから、「仕事体験」の高揚感が「終了後」の高揚. れると考えられる。. 感にも影響しているとも考えられる。. 8.今後の展望 ・達成感. 今回のサマースクールの実施によって得られた知見をもと. 仕事体験と終了後で特に高い値を示している。この値の変化. に、体験プログラム設計と実施のための枠組みとしてまとめて. は「終了後」の達成感はまとめの段階で各自が制作した展示. いきたいと考えている。また、その枠組みを利用した新しい. シートをまとめたミニブックを配布し、制作の成果が具体的に. ワークショップの設計と実施を重ね、体験プログラムの質と、. 共有されたことによるものと考えられる。. 実施スタッフのためのノウハウの質を高めていきたいと考えて. しかし、高揚感と同様、「仕事体験」の達成感が影響してい ることもその一因であるとも考えられる。. いる。さらに、体験学習としてのサイクルや関連するプログラ ムや活動との連携によって、夏休みの一過性のイベントへの参 加に終わらせるのではなく、その後の学びへの展開のための仕. ・難易度. 組みづくりも検討して行きたい。. 説明で特に低く、仕事体験、制作、終了後の難易度には差が ない。これは受動的である説明の工程よりも、能動的作業を要 する工程では主観的な難易度が高くなったと考えられる。. 謝辞 本研究は JSPS 科研費(挑戦的萌芽研究課題番号:26560098). また、差がないということは、ばらつきが大きく一般的傾向. の助成を受けたものです。また、本研究における体験プログラ. として見出せないということでもあり、能動的な作業では個人. ムの企画及び実施、評価にあたりご協力頂いた上野動物園教育. 差が表れやすいことも意味していると考えられる。. 普及係と飼育係の皆様に謝意を表します。. 7.まとめ 以上のことから高揚感・達成感の変化をみると、やはり「飼 育体験」がメインのスクールで、参加者も「飼育体験をした い!」ということが目的で、今回の午後の制作は、ついで、あ るいはやらされている感があったという傾向があらわれている ようにも考えられる。また、これは午前中の飼育体験と午後の 制作が別々の作業イベントであり、相互の関連性については、 開始時の「説明」で成果物としての展示パネルを提示しながら の説明が行われたことでその理解はあったものの、制作の必然 性やモチベーションという点では参加者はあまり積極的には感 じてくれていなかったのではないかとも考えられる。. 【参考文献】 1)公益財団法人東京動物園協会恩賜上野動物園,恩賜上野動 物園教育活用ガイドブック,2014. 2)柳 原  光, ク リ エ イ テ ィ ブ オ ー テ ィ ー 第 一 巻,1976 (2003復刻). 3)中野民夫,ワークショップ─新しい学びと創造の場,岩波 新書,2001. 4)政倉祐子・若林尚樹・田邉里奈,“子どもの主観評定に基 づく体験学習型ワークショップの定量評価─気持ちの変化 を捉える評価ツールの提案とケーススタディー”,日本感 性工学会論文誌,15(1),233-244,2016. 5)サニー・ブラウン,描きながら考える力,クロスメディ ア・パブリッシング,2015.. しかし、図9の開催日別の工程による評定値の変化にみら れるように、制作の項目については高揚感・達成感ともに24、 25、28、29日と日を追うごとに評定値が高くなっていること がわかる。これは「共有による3つのアプローチ」を参加者自 らが積極的に行なえるようにするために、参加者と飼育係や学 生スタッフとのコミュニケーションが活発になるような改善を 重ねたことによって、徐々にその効果がみられるようになって きたことがうかがわれる。 さらに、後日送付された参加者アンケートには、「制作が楽 しかった」等のコメントもみることができる。このことから、 主な期待は動物飼育体験であったと考えられるが、単に体験を 行っただけでなく、「飼育体験」の中でも飼育係への質問、そ してそれをもとにした展示シートの制作を通じて、上野動物園 の飼育係の仕事や役割について学ぶことができたことが読み取 デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-1 No.93 2016. 73.

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