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平成17年度 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方検討委員会報告書

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過重労働・メンタルヘルス対策に対する支援の充実

平成 17 年度

職場におけるメンタルヘルス対策の

あり方検討委員会報告書

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目 次 はじめに --- 1 Ⅰ 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方検討委員会における検討状況 --- 2 1 委員会の設置 --- 2 2 委員会の構成 --- 2 3 委員会の開催状況 --- 3 4 委員会における配布資料一覧 --- 5 Ⅱ 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方検討委員会の検討結果 --- 8 検討結果 今後における労働者のメンタルヘルス対策のあり方 --- 9 趣旨 ---12 第1 労働者のメンタルヘルスに関連する諸情勢 ---13 第2 労働者のメンタルヘルス対策の現状と課題 ---15 第3 今後の労働者のメンタルヘルス対策のあり方 ---19 第4 労働者のメンタルヘルス対策推進のための基盤整備等 ---39 第5 労働者のメンタルヘルス対策に関する今後の指針のあり方 ---44 付記 用語について ---47 別紙1 事業場外資源の現状と課題 ---48 別紙2 情報提供依頼書(例) ---51 別紙3 事業場規模別の事業場外資源の活用のあり方 ---52 別紙4 過労自殺の予防-家族が気づいた特徴- ---54 別紙5 労働者のメンタルヘルス対策の具体的な場面における個人情報の取扱い ---56 別紙6 精神障害等の労災認定 ---60 別表1 職場における心理的負荷評価表 ---63 別表2 職場以外の心理的負荷評価表 ---65 別添 「検討結果 今後における労働者のメンタルヘルス対策のあり方」の要旨 ---67

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はじめに 我が国の経済・産業構造が大きく転換するとともに、企業間の競争の激化、人事労務管理の変化、 労働者の就業意識の変化や働き方の多様化等が起こり、労働者の受けるストレスは拡大する傾向にあ る。平成 10 年以降自殺者が急増し、自殺者総数は年間3万人を超え、労働者の自殺者数も年間8千 人~9千人前後で推移している。 このような状況の中、平成 12 年 8 月に「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」 が公表され、同指針に基づく労働者のメンタルヘルス対策の普及・定着が進められてきた。しかしな がら、業務による心理的負荷を原因として精神障害を発症し、あるいは自殺したとして労災認定され る件数が増加するなど、労働者の心身の負担は一層拡大している。また、労働政策審議会が平成 16 年 12 月に取りまとめた建議「今後の労働安全衛生対策について」においては、労働者のメンタルヘ ルス対策をさらに進めていくことが求められていると指摘している。さらに、平成 17 年 11 月には労 働安全衛生法が改正され、過重労働による健康障害防止対策の一環として長時間労働者等に対する医 師による面接指導制度が導入され、事業者は長時間労働者等に対しメンタルヘルス面のチェックと必 要な指導を行わなければならないこととなるなど、労働者のメンタルヘルス対策の一層の充実強化が 図られているところである。 本委員会は、今後の労働者のメンタルヘルス対策のあり方について検討するため、平成 17 年 4 月 に設置された。労働者のメンタルヘルス対策を法律に基づく指針で示す際に、現下の状況や現行の指 針の内容を踏まえつつ、メンタルヘルス対策の適切かつ有効な実施を図るため、より充実・強化すべ き対策等について精力的に検討を重ねてきたところであり、検討結果を本報告書に「今後の労働者の メンタルヘルス対策のあり方」としてとりまとめた。検討結果が今後の労働者のメンタルヘルス対策 に資するものとなり、労働者の心の健康づくりが一層促進されることを念願するものである。 平成18 年 3 月 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方検討委員会 座 長 櫻 井 治 彦

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Ⅰ 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方検討委員会における検討状況 1 委員会の設置 過重労働・メンタルヘルス対策に対する支援の充実実施要綱(平成17年3月31日付け基発 第 0331030 号の別添)に基づき、「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」(平成 12 年 8 月 9 日厚生労働省通達)及び「今後の労働安全衛生対策について」(平成 16 年 12 月 27 日労働政策審議会建議)を踏まえ、今後のメンタルヘルス対策のあり方について検討を行うため に職場におけるメンタルヘルス対策のあり方検討委員会を設置した。 2 委員会の構成 委員(50 音順 ◎は座長) 安 福 愼 一 新日本製鐵株式会社人事・労政部 部長 川 上 憲 人 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 教授 北 村 尚 人 三菱重工業株式会社人事部安全衛生グループ 主席部員 黒 木 宣 夫 東邦大学医学部付属佐倉病院精神医学研究室 助教授 河 野 慶 三 富士ゼロックス株式会社健康推進センター 全社産業医 ◎櫻 井 治 彦 中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター 所長 島 悟 東京経済大学経営学部 教授 武 田 繁 夫 三菱化学株式会社人事部健康開発センター グループマネージャー 中 桐 孝 郎 日本労働組合総連合会総合労働局雇用法制対策局 次長 長 瀬 輝 諠 医療法人社団東京愛成会 高月病院 理事長・院長 中 村 純 産業医科大学精神科医学教室 教授 藤 村 伸 社団法人日本医師会 常任理事 堀 江 正 知 産業医科大学産業生態科学研究所産業保健管理学研究室 教授 渡 辺 洋 一 郎 社団法人大阪精神科診療所協会 会長

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3 委員会の開催状況 第 1 回 日 時 平成 17 年 4 月 28 日(木)am10:00~12:00 場 所 産業安全会館 5 階大会議室 議 題 (1)資料説明 (2)討議 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方について ・メンタルヘルス指針に基づく対策の現状と課題 ・対策の見直しの方向性 (3)その他 第 2 回 日 時 平成 17 年 6 月 30 日(木)am10:00~12:00 場 所 産業安全会館 5 階大会議室 議 題 (1)資料説明 (2)討議 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方等について ・対策の方向について (3)関係者からのヒアリング 発表者 富田耕治氏(株式会社ヒカリ 代表取締役) (4)その他 第 3 回 日 時 平成 17 年 8 月 3 日(水)pm17:30~19:30 場 所 産業安全会館 5 階大会議室 議 題 (1)関係者からのヒアリング 発表者 錦戸典子氏(東海大学健康科学部看護学科地域看護学(産業看護学)教授 北條 稔氏(大森医師会理事、太田地域産業保健センター、北條医院) (2)討議 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方等について ・報告書の主要構成項目について (3)その他 第 4 回 日 時 平成 17 年 8 月 30 日(火)pm15:00~17:00

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第 5 回 日 時 平成 17 年 9 月 26 日(月)pm15:00~17:00 場 所 産業安全会館 5 階大会議室 議 題 (1)討議 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方等について ・報告書案について (2)その他 第 6 回 日 時 平成 17 年 11 月 2 日(水)am10:00~12:00 場 所 産業安全会館 5 階大会議室 議 題 (1)討議 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方等について ・報告書案について (2)その他 第 7 回 日 時 平成 17 年 11 月 30 日(水)pm15:00~17:00 場 所 産業安全会館 5 階大会議室 議 題 (1)討議 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方等について ・報告書案(「今後における職場のメンタルヘルス対策のあり方」)につ いて (2)その他 第 8 回 日 時 平成 17 年 12 月 21 日(水)am10:00~12:00 場 所 産業安全会館 5 階大会議室 議 題 (1)討議 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方等について ・報告書案(「今後における労働者のメンタルヘルス対策のあり方」)に ついて (2)その他 第 9 回 日 時 平成 18 年 1 月 11 日(水)am10:00~12:00 場 所 産業安全会館 5 階大会議室 議 題 (1)討議 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方等について ・報告書案(「今後における労働者のメンタルヘルス対策のあり方」)に ついて (2)その他

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4 委員会における配布資料一覧 資料番号 表 題 第 1 回(平成 17 年 4 月 28 日) <1 委員名簿等> No.1-1 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方検討委員会委員等名簿 No.1-2 〃 予定表 <2 平成 17 年度 過重労働・メンタルヘルス対策に対する支援の充実事業関係> No.2-1 過重労働・メンタルヘルス対策に対する支援の充実実施要綱(厚生労働省) No.2-2 過重労働・メンタルヘルス対策に対する支援の充実実施要領(中災防) No.2-3 事業概要図「平成 17 年度 過重労働・メンタルヘルス対策に対する支援の充実」 No.2-4 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方検討委員会設置要領(中災防) No.2-5 メンタルヘルス対策支援事業の概要 <3 労働安全衛生法改正関係> No.3-1 過重労働・メンタルヘルス対策の在り方に係る検討会報告書 No.3-2 今後の労働安全衛生対策について(労働政策審議会建議) No.3-3 労働安全衛生法等の一部を改正する法律案の概要 No.3-4 〃 要綱 No.3-5 〃 新旧対照表(抜粋) <4 個人情報の保護関係> No.4-1 個人情報の保護に関する法律の概要 No.4-2 雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が 講ずべき措置に関する指針 No.4-3 雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項 No.4-4 労働者の健康情報の保護に関する検討会報告書 <5 THP指針関係> No.5-1 労働安全衛生法 健康の保持増進のための措置(第 69 条、第 70 条の2) No.5-2 事業場における労働者の健康保持増進のための指針 <6 メンタルヘルス対策委託事業実施状況等> No.6-1 厚生労働省委託メンタルヘルス対策推進事業実施状況(平成 13 年度~16 年度) No.6-2 事業場における精神科医の産業医としての活用に関する調査研究報告書 (平成 13 年度及び平成 14 年度の「目次」と「はじめに」) No.6-3 平成 15 年度事業場外資源の活用の在り方に関する検討委員会報告書(抜粋)

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<7 関連の調査研究・統計> No.7-1 平成 14 年労働者健康状況調査結果(抜粋) No.7-2 精神障害等の労災補償状況 No.7-3 自殺企図の要因の解析に関する研究 No.7-4 自殺労災認定事案の分析 No.7-5 平成 15 年中における自殺の概要資料 <8 地域におけるうつ対策関係> No.8-1 うつ対策推進方策マニュアル -都道府県・市町村職員のために- No.8-2 うつ対応マニュアル -保健医療従事者のために- <9 その他:試案等> No.9-1 事業場における労働者の心の健康の保持増進のための指針(仮称) のイメージ(骨子) No.9-2 事業場(産業医等)に対する支援体制の概要(試案) 第2回(平成 17 年 6 月 30 日) <10 関連の調査研究報告書等> No.10-1 労働者の自殺予防に関する調査研究 研究成果報告書 No.10-2 小規模事業所における総合的健康管理等の方策に関する調査研究報告書 No.10-3-1 小規模事業所における健康確保方策の在り方に関する検討会報告書 No.10-3-2 小規模事業所における健康確保方策の在り方に関する検討会中間報告書 No.10-4 労働者のメンタルヘルス対策に関する検討会報告書 <11 ㈱ヒカリ 発表用資料> No.11-1 メンタルヘルスへの取り組み(発表者投影スライドの印刷物) No.11-2 手探りの中で-傾聴訓練を中心として- No.11-3 <㈱ヒカリ 会社案内>(パンフレット) <12 その他> No.12-1 報告書項目(素案) No.12-2 平成 17 年度メンタルヘルス対策支援事業のご案内(リーフレット) No.12-3 relax 職場における心の健康づくり(パンフレット) 第3回(平成 17 年 8 月 3 日) <13 ヒアリング資料(東海大学 錦戸教授)> No.13-1 職場のメンタルヘルス対策の今後のあり方に関する意見 No.13-2(抄録)厚生労働科学研究費補助金(政策科学推進研究事業)15年度 総括研究報告書 中小規模事業場の健康支援に関連する政策・施策・サービスの連携に関する研究 No.13-3(抄録)厚生労働科学研究費補助金(政策科学推進研究事業)16 年度 総括研究報告書 中小規模事業場の健康支援に関連する政策・施策・サービスの連携に関する研究 No.13-4 中小事業所の元気職場づくり アクションチェックリスト No.13-5(回覧)中小事業所の元気職場づくり 情報ガイドブック[埼玉県版] No.13-6(回覧)中小事業所の元気職場づくり 情報ガイドブック[福島県版]

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No.13-7(回覧)厚生労働科学研究費補助金政策科学推進研究事業 中小規模事業場の健康支援 に関連する政策・施策・サービスの連携に関する研究-最適支援システムの構 築を目指して- 16 年度 総括研究報告書 発表者投影スライド ○ 「職場のメンタルヘルス対策の今後のあり方に関する意見 ~中小規模事業場の 主体的取り組みの推進に向けて~」(錦戸典子氏) ○ 「大森医師会における地域産業保健センターでの取組」(北條 稔氏) <14 報告書項目案等> No.14-1 報告書項目案 No.14-2 労働安全衛生法等の改正に係る国会審議状況(衆議院厚生労働委員会 7/27,29) 第4回(平成 17 年 8 月 30 日) <15 報告書草案等> No.15-1 報告書草案その①(8 月 30 日版) <16 精神障害の業務上外の判断指針等> No.16-1 「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」の概要 No.16-2 精神障害等の労災認定に係る専門検討会報告の概要 第5回(平成 17 年 9 月 26 日) <17 報告書草案等> No.17-1 「職場におけるメンタルヘルス対策の在り方検討委員会報告書(案)」(9 月 26 日版) 第 6 回(平成 17 年 11 月 2 日) <18 報告書草案等> No.18-1 「職場におけるメンタルヘルス対策の在り方検討委員会報告書(案)」(11 月 2 日版) 第7回(平成 17 年 11 月 30 日) <19 報告書草案等> No.19-1 「今後における職場のメンタルヘルス対策の在り方(案)」(11 月 30 日版) 第8回(平成 17 年 12 月 21 日) <20 報告書草案等> No.20-1 平成 17 年度 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方検討委員会報告書(案) <21 法令改正等> No.21-1 労働安全衛生関係法令の改正の概要(主に過重労働・メンタルヘルス対策関係) No.21-2 プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドラインパンフレット

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Ⅱ 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方検討委員会の検討結果 職場におけるメンタルヘルス対策のあり方検討委員会は、今後における労働者のメンタルヘルス 対策のあり方について、以下のとおり「検討結果 今後における労働者のメンタルヘルス対策のあ り方」としてとりまとめた。 なお、検討結果の要旨は別添「今後における労働者のメンタルヘルス対策のあり方(要旨)」の とおりである。

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目 次 ページ 趣旨 12 第1 労働者のメンタルヘルスに関連する諸情勢 13 1 産業社会の一般情勢 13 2 労働者の心の健康に関する情勢 13 (1)労働者健康状況調査結果 (2)労働者の心の健康の動向 (3)精神障害の動向 3 自殺に関する総合対策 13 4 労働安全衛生関係法令の改正 14 5 精神障害者に関する雇用関係法令の改正等 14 第2 労働者のメンタルヘルス対策の現状と課題 15 1 労働者のメンタルヘルスケアの新たな課題 15 (1)管理監督者のメンタルヘルス (2)業務形態の変化への対応 (3)派遣労働者のメンタルヘルスケア 2 事業場内産業保健スタッフの活動及び事業場外資源との連携に関する現状と課題 15 (1)産業医の課題 15 (2)産業医と主治医の連携の課題 16 (3)衛生管理者等及び保健師等の活動の現状と課題 16 (4)事業場外資源との連携に関する知識、技術の修得等 16 (5)地域産業保健センター等 17 3 中小規模事業場における現状と課題 17 4 メンタルヘルス指針策定とその効果 17 (1)メンタルヘルス指針の普及・定着のための行政の取組み 17 (2)事業場における取組み 18 (3)メンタルヘルス指針の評価 18 第3 今後の労働者のメンタルヘルス対策のあり方 19 1 事業場における具体的対策 19 (1)一次予防対策の充実 19 ア 雇用管理、労働時間、働き方 イ 職場環境等の把握と改善 ウ 労働者及び管理監督者に対する教育研修の充実 エ メンタルヘルスチェックの実施 (2)メンタルヘルス不調への気づきと対処 24 ア セルフケア イ ラインによるケア (3)管理職に対するケア 24 (4)業務形態の変化等への対応 25 (5)職場復帰への支援 25 ア 職場復帰支援の原則 イ 職場復帰支援における管理監督者等の役割 (6)事業場外資源との連携等 26 ア 医療機関によるサポートの活用 イ 相談機関の活用 ウ 事業場規模別の事業場外資源の活用 エ 家族との連携 (7)事業場における組織的、計画的な推進 30 ア 衛生委員会の活用 イ 事業場内メンタルヘルス推進担当者等の設置等 ウ 計画的な推進と継続的な改善

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2 労働者のメンタルヘルス対策における個人情報の保護 33 (1)メンタルヘルスに関する個人情報の保護の重要性 33 (2)個人情報保護法及び関係指針に基づくメンタルヘルスに関する個人情報の取扱い 34 ア 個人情報保護法とメンタルヘルスに関する個人情報 イ 専門職によるメンタルヘルスに関する個人情報の取扱い ウ 事業場と医療機関との間でのメンタルヘルスに関する個人情報の取扱い エ 雇用管理におけるメンタルヘルスに関する個人情報の取扱い (3)労働者のメンタルヘルス対策の具体的な場面における個人情報の取扱い 36 (4)精神障害者の雇用状況等の報告に関する対応 36 3 その他労働者のメンタルヘルス対策において留意すべき事項 36 (1)過重労働による健康障害防止対策と労働者のメンタルヘルス対策 36 (2)長時間労働と精神障害発病との関係 36 (3)精神障害等の労災認定 37 (4)THPと労働者のメンタルヘルス対策 37 第4 労働者のメンタルヘルス対策推進のための基盤整備等 39 1 中小規模事業場に対する支援 39 2 事業場内メンタルヘルス推進担当者等の育成 39 3 産業医と主治医の連携推進のための教育研修 40 4 事業場外資源との連携推進のための衛生管理者等及び保健師等に対する教育 40 5 事業場外資源(相談機関)の育成 41 6 事業場外資源の整備・充実 41 (1)医療機関及び相談機関 41 ア 医療機関 イ 相談機関 (2)事業場外資源の育成支援 42 (3)事業場外資源に関する調査研究、評価、情報提供 42 第5 労働者のメンタルヘルス対策に関する今後の指針のあり方 44 1 労働者のメンタルヘルス対策の意義等の明確化 44 2 指針の構成及び内容 44 (1)心の健康づくり計画 44 (2)4つのケア及び予防の各段階における対策 44 (3)教育研修の充実 45 (4)事業場外資源の活用 45 (5)中小規模事業場での具体的な方法の提示等 45 (6)変化する就労形態や特定の職種におけるメンタルヘルス対策への配慮 46 (7)家族の支援 46 (8)個人情報保護への配慮 46 3 事業場の実態への対応 46 付記 用語について 47 別 紙 目 次

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今後における労働者のメンタルヘルス対策のあり方

趣旨 厳しい経済環境の下、企業間の競争の激化、人事労務管理の変化等を背景に、仕事や職業生活に 関する強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合が 6 割を超えるなど、労働者の受ける ストレスは拡大する傾向にある。このような状況の中、平成 12 年 8 月に労働省(当時)から、事 業場において事業者が行うことが望ましい労働者のメンタルヘルスケアの原則的な実施方法を総 合的に示した「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」(以下「メンタルヘルス指 針」という。)が公表され、同指針に基づくメンタルヘルス対策の普及・定着が進められてきた。 しかしながら、長期間にわたる疲労の蓄積により、脳・心臓疾患を発病したとして労災認定される 件数は依然多く、業務による心理的負荷を原因として精神障害を発病し、あるいは当該精神障害に より自殺したとして労災認定される件数が増加するなど、労働者の心身の負担は一層拡大している。 労働政策審議会が平成 16 年 12 月に取りまとめた建議「今後の労働安全衛生対策について」にお いては、労働者のメンタルヘルス対策をさらに進めていくことが求められていると指摘している。 さらに、平成 17 年 11 月には労働安全衛生法が改正され、過重労働による健康障害防止対策の一環 として長時間労働者等に対する医師による面接指導制度が導入され、事業者は長時間労働者等に対 しメンタルヘルス面のチェックと必要な指導を行わなければならないこととなるなど、労働者のメ ンタルヘルス対策の一層の充実強化が図られているところである。 このように、労働者のメンタルヘルス対策の一層の充実強化が課題となっており、上記の建議で は、労働者のメンタルヘルス対策の適切かつ有効な実施を図るため、メンタルヘルス教育の実施、 相談体制の整備、外部機関の活用等について、法律に基づく指針で示すこととされているところで ある。 本委員会は、今後の労働者のメンタルヘルス対策のあり方について検討を重ねてきた。本報告は、 労働者のメンタルヘルス対策を法律に基づく指針で示す際に、労働者のメンタルヘルスを取り巻く 現下の状況やメンタルヘルス指針の内容を踏まえつつ、メンタルヘルス対策の適切かつ有効な実施 を図るため、より充実・強化すべき対策等について検討した結果を取りまとめたものである。

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第1 労働者のメンタルヘルスに関連する諸情勢 1 産業社会の一般情勢 我が国経済社会は、高い実質経済成長を期待しがたい環境の中で、経済活動の国際化、情報化、 サービス経済化が進むとともに、生産設備の海外移転、規制改革等に伴う産業構造の変化が急速に 進展している。 このような経済社会情勢の下、企業間競争が激化し、企業における能力主義、成果主義的な賃金・ 処遇制度の導入など人事労務管理の個別化も進んでおり、労働時間は長短両極へ二分化する傾向に ある。 2 労働者の心の健康に関する情勢 (1)労働者健康状況調査結果 平成 14 年労働者健康状況調査によると、心の健康対策に取り組んでいる事業場は 23.5%であ る。事業場規模別にみると、1,000 人以上規模事業場では約 9 割となっているものの、小規模事 業場での取組みに遅れがみられる。心の健康対策に取り組んでいない理由としては、約半数の事 業場で専門スタッフがいないことを挙げ、また、取組み方がわからないとする事業場も約 4 割と なっている。 (2)労働者の心の健康の動向 仕事に関してストレスを感じている労働者は6割を超えるなど労働者への負荷は拡大する傾 向にある。自殺者の総数は平成 15 年には、34,427 人と過去最悪となり、平成 16 年も 32,325 人 と、平成 10 年以降 7 年連続で 3 万人を超える高い水準で推移している。平成 16 年は自殺者全体 のうち労働者(被雇用者と管理職の計)は約 9 千人を占めている。また、精神障害等の労災補償 状況をみると、請求件数、認定件数とも近年増加しており、そのうち未遂を含めた自殺の労災認 定件数は年間 40 件を超えている。自殺を企図し救急施設へ運ばれた者についての調査によれば、 自殺を企図した者の 75%に精神障害がみられた。また、この精神障害の内訳をもとに、実際の 自殺者の年齢構成比で補正した結果、自殺者の約半数がうつ病等であるとの推計が報告されてお り、自殺は精神障害と強い相関関係があることが示唆されている。 (3)精神障害の動向 我が国において精神障害で医療機関を受診している人は、平成 14 年では国民の約 45 人に 1 人 にあたる 260 万人に上っている。実際には精神障害があっても受診していない人もいるので、国 民(成人)の 2 人に 1 人は過去 1 ヶ月間にストレスを感じており、生涯を通じて 5 人に 1 人が精 神障害と診断されうるという調査結果もある。 3 自殺に関する総合対策 上記2の(2)の動向を踏まえ、参議院厚生労働委員会では平成 17 年 7 月に、関係府省が一体

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となって取り組むこと、自殺問題に関する調査研究や情報収集・発信の拠点機能の強化を図ること、 「自殺予防総合対策センター(仮称)」を設置することなどを内容とする「自殺に関する総合対策 の緊急かつ効果的な推進を求める決議」が行われたところであり、政府として総合的な自殺対策の 推進、支援が求められている。 4 労働安全衛生関係法令の改正 労働安全衛生法等の一部を改正する法律(平成 17 年法律第 108 号)が平成 17 年 11 月 2 日に公 布された。この法律は、一部を除き、平成 18 年 4 月 1 日から施行される。改正法では、労働者の 安全と健康の一層の確保を図るため、長時間労働者等の健康を保持するための措置の充実強化が図 られている。事業者は、その労働時間の状況等が一定の要件に該当する労働者に対し、医師による 面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行 うことをいう。以下同じ。)を行わなければならないとされた。これにより、長時間労働者等につ いて、医師によりメンタルヘルス面のチェックが行われることとなる。 法改正に合わせて改正された労働安全衛生規則では、産業医の職務として面接指導等の実施等が 追加された。また、面接指導の具体的な対象者として、「1 週間当たり 40 時間を超えて労働させた 時間が 1 月当たり 100 時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者」とされ、この要件に該当す る労働者の申出により行うものとされた。さらに、衛生委員会の調査審議事項として、長時間にわ たる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること及び労働者の精神 的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関することが定められた。これらの規定は上記の改正 労働安全衛生法の施行日に合わせて施行されることとなった。 5 精神障害者に関する雇用関係法令の改正等 障害者の雇用の促進等に関する法律(以下、「障害者雇用促進法」という。)は、障害者の職業の 安定を図ることを目的として、障害者雇用率を設定し、事業主に対して障害者の雇用義務を課して いる。今般、障害者雇用促進法の改正により、各企業の実雇用率の算定の際に従来の身体障害者及 び知的障害者に加え、精神障害者も算定対象とすることとされた(平成 18 年4月施行)。この際の 付帯決議において、従来、企業各社において取り組まれているメンタルヘルス対策について、引き 続き充実が図られるよう指導を行うこと、精神障害者については、メンタルヘルス対策とともに、

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第2 労働者のメンタルヘルス対策の現状と課題 1 労働者のメンタルヘルスケアの新たな課題 (1)管理監督者のメンタルヘルス 4つのケアの第二のケアに相当する「管理監督者による部下のケア」は、事業場におけるメン タルヘルスケアにおいて最も重要な柱となるものである。管理監督者は、適宜部下のメンタルヘ ルスに留意し、メンタルヘルスにおける一次予防、二次予防、三次予防のいずれにおいてもケア を行う役割を負っている。 しかしながら、ケアを行うものには相当のストレスがかかるため、「ケアを行うものとして」 ケアを受ける必要性のあることにも留意すべきである。この際には、ライン上の上司がその責務 を負うことになるが、第3のケアである人事担当者を含む事業場内産業保健スタッフ等によるケ アも重要である。この管理監督者のケアの体制を保障することが、管理監督者による、部下のよ りよいケアにつながるものと考えられる。また管理監督者を対象に、部下のケアのみならず管理 監督者自身がセルフケアを行えるような教育も行う必要がある。 (2)業務形態の変化への対応 事業場におけるメンタルヘルスケアは、ラインによるケアを中核としたものであるが、昨今の 労働形態の変化により、このラインによるケアが機能しにくくなっている状況がある。様々な業 態において、ある課題を解決するためにプロジェクトが企画されることが多くなり、部や課等を 横断するプロジェクトにおいては、プロジェクトのマネージャーは当該の労働者を組織上管理監 督する立場の者とは限らないため、ラインによるケアが機能しにくくなる。したがって、ライン によるケアだけでなく、実務において指揮命令系統の上位にいる者(プロジェクト・リーダーや プロジェクト・マネージャー等)がメンタルヘルスケアを行うことが求められる。プロジェクト においては、実際に業務管理を行うマネージャーが、組織上の管理監督者と適切に連携をしなが ら、プロジェクト・メンバーのメンタルヘルスケアを行うことになる。 (3)派遣労働者のメンタルヘルスケア 近年、派遣労働者の増加にともなって派遣労働者のメンタルヘルスケアのあり方が重要な課題 になってきている。派遣労働者においては、派遣元と派遣先の事業場の両方からメンタルヘルス ケアを受けることが考えられるが、派遣元の事業場においては、派遣先の事業場の管理監督者と 適切に連携しながら、適宜メンタルヘルスケアを行うことになろう。 2 事業場内産業保健スタッフの活動及び事業場外資源との連携に関する現状と課題 (1)産業医の課題 最近の産業医の多くはメンタルヘルス不調の労働者を経験している。しかし、メンタルヘルス 不調に関して、精神科・心療内科の嘱託医にまかせている産業医の場合は、これら医師との連携 に際してどの程度、対象者を理解し、事業場内の状況、情報を把握しているかが課題である。集

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団検診から得られた情報や職場から得られた情報を個人に反映する方法や、復職後のフォローア ップの方法等について修得する必要がある。また、産業医が直接メンタルヘルス不調の労働者に 対応する場合は、産業医自身が適切に対応をするための知識、対応能力を習得する教育が必要で ある。 (2)産業医と主治医の連携の課題 実際に治療をしている多くの精神科医や心療内科医は対象となっている患者の症状の変化に は敏感であるが、職場の事情を知らないことが多い。したがって、事業場の産業医と治療を行っ ている医師の連携方法についてのマニュアル等を作成し普及するなど、連携を進めるための環境 整備が必要である。 なお、産業医と主治医の連携にあたっては、各種の事業場外資源が地域によって偏在している ために、各地域において適切な役割分担と連携のとれるようなネットワークを形成することが望 ましい。例えば、大阪府においては、精神科医、内科医、産業医等によるネットワーク形成の先 進事例がある。 (3)衛生管理者等及び保健師等の活動の現状と課題 産業医は事業場における産業保健活動のリーダーであり、事業場のメンタルへルス活動の推進 においても重要な役割を担う立場にある。しかしながら、産業医はその多くが嘱託であり、メン タルへルス対策にかかる活動を自らが実施できるところは限られている。また、労働者数 50 人 未満の事業場には産業医の選任が義務付けられていない。 一方、このような事業場であっても、労働者 50 人以上のところには衛生管理者、10~49 人の ところには衛生推進者もしくは安全衛生推進者の選任が義務づけられており、事業場における産 業保健活動の実務を担当することとされている(総務省の平成 16 年事業所・企業統計調査によ ると、労働者数 10~49 人:約 78 万事業場、50~999 人:約 12 万 5 千事業場)。しかし、衛生管 理者、(安全)衛生推進者は、他に本務をもちながら活動している場合が大半であること、メン タルへルス活動に必要な知識・技法に関する教育を受けていない者がほとんどであることなど、 期待される機能を発揮できるようにするには、改善を要する点が山積している。 大企業を中心とする一部の事業場では保健師等が配置され産業保健活動を担っている。企業に よって活動の実態は様々であるが、嘱託産業医・専属保健師の組み合わせの事業場では、産業保 健活動の中核的な役割を果たしていることが多い。また、こうした企業では、分散事業場への訪

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しては「事業場外資源の活用の在り方に関する検討委員会」(平成 15 年度~平成 16 年度:中央 労働災害防止協会)において、その実情について調査検討が行われている。その結果に基づき、 事業場外資源の現状等を別紙1に示す。 事業場がこれらの事業場外資源を利用するにあたっては、個々の事業場外資源についての情報 を十分に収集して適切な利用を行うことが重要であるが、このためには情報の提供が必要である。 労働者のメンタルヘルスケアにおいて事業場外資源がより有効に活用されるためには、事業場内 産業保健スタッフ等が事業場外資源についての知識やメンタルヘルスに関する知識・技術の修得 に努めることが重要であるとともに、事業場外資源の担当者が産業保健および当該事業場の特性 等に関して十分に知る機会を持つことも重要である。 (5)地域産業保健センター等 小規模事業所に働く労働者のメンタルヘルス対策は今後最も重要な課題となることが予 想されるから、小規模事業場の産業保健活動の支援のために重要な位置を占める地域産業保 健センターの活用促進を図る必要がある。また精神保健福祉センターの活動や地域における うつ対策等の中にも産業保健のメンタルヘルス対策に資する部分が含まれることも考慮す る必要がある。 3 中小規模事業場における現状と課題 平成 14 年の労働者健康状況調査によると、事業場の中で心の健康対策に取り組んでいる割合は、 事業場規模が小さくなるに従って低下している。その背景として、事業場規模が小さくなるほど産 業保健に係る体制が弱く、また、事業者の認識も不十分となりがちであることがあげられる。中小 規模事業場では事業場内産業保健スタッフに代わる者として事業場外資源の活用が提言されてい るが、実際には事業場外資源等の活用率も事業場規模が小さくなるほど低下している現状がある。 中小規模事業場において事業場外資源を活用した労働者のメンタルヘルス対策が進まない要因 として、 ①労働者のメンタルヘルス対策の意義や内容に関する知識が不足し、取組み方法がわからない。 ②事業場外資源についての情報が不足し、また情報が断片的で活用方法がわからない。 ③利用しやすい事業場外資源がない。また、そのサービスの質が不十分である。 などの課題があり、これらの要因が絡み合って、事業場外資源の活用を阻んでいるものと考えられ る。近年のいくつかの調査結果によると、大企業を含む一般労働者の調査結果と比較して、中小規 模事業場の労働者の抑うつ度が高い(特に若年男性で抑うつ度が高い)ことが示唆されており、中 小規模事業場における事業場外資源の活用を含むメンタルヘルス対策の促進が重要である。 4 メンタルヘルス指針策定とその効果 (1)メンタルヘルス指針の普及・定着のための行政の取組み メンタルヘルス指針は心の健康づくり計画の策定とメンタルヘルスケアの具体的進め方とし

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て4つのケアを示している。メンタルヘルス指針の公表後、同指針に基づく取組みの普及・定着 を図るため、厚生労働省からは5年間にメンタルヘルス指針のパンフレットを約 40 万部作成の 上、あらゆる機会を通じて周知が図られている。また、管理監督者、事業場内産業保健スタッフ 等約2万人に対して研修を実施するとともに、延べ 235 のモデル事業場に指針推進のための指導 が実施された。さらに、毎年事業場の担当者等約 600 人の参加を得てメンタルヘルスシンポジウ ムが開催されている。 (2)事業場における取組み 事業場における労働者のメンタルヘルス対策の推進状況としては、平成 14 年労働者健康状況 調査によれば、何らかのメンタルヘルスケアに取り組んでいる事業場は 23.5%であり、その取 組内容としては、相談の実施 55.2%、職場環境の改善 42.3%などとなっている。また、心の健 康づくり計画の策定については、1,000 人以上規模の事業場においては、約4割が策定している ものの、1、000 人未満規模の事業場においては 1 割未満となっている。 また、大阪労働局で実施された「大阪府下事業場におけるメンタルヘルス対策に関する実態調 査」(平成 15 年)によれば、メンタルヘルス指針の認知状況は、「内容を知っている」とするも のが 41.4%、「公表されたことは知っているが内容は知らない」とするものが 36.9%となってい る。また、「内容を知っている」とする事業場の率は事業場の規模が大きいほど大きくなる傾向 にある。4つのケアの実施状況についても、事業場規模が大きいほど実施率が高くなっており、 また、小規模事業場においてもラインによるケアは比較的実施率が高く、セルフケアの実施率が 低くなっている。内容では、教育研修・情報提供は実施率が低い。 (3)メンタルヘルス指針の評価 メンタルヘルス指針は事業場における普及も徐々に進んできており、一定の評価はできるが、 二次予防を中心とした内容となっていることから、自殺予防の観点やプライバシー保護の観点か らも内容を見直し、さらなる事業場に対する周知徹底が必要である。特に中小規模事業場におけ る取組みが進むようにすることが必要である。

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第3 今後の労働者のメンタルヘルス対策のあり方 1 事業場における具体的対策 (1)一次予防対策の充実 メンタルヘルス指針はメンタルヘルス不調の発生の予防という視点からのものであるが、こ れまでの事業場のメンタルヘルス対策は、ともすれば、早期発見や、早期治療勧奨、復職時の対 応など、メンタルヘルス不調者等への対応が大きい割合を占めていた。しかし、メンタルヘルス 対策も他の疾患同様、メンタルヘルス不調を発生させないような取組みが不可欠である。 ア 雇用管理、労働時間、働き方 雇用管理は、事業者が行う労働者の採用、配置、労働条件、能力開発、福利厚生など、労働 者の入社から退職までの雇用に関する管理を総称するものである。「心理的負荷による精神障害 等に係る業務上外の判断指針」でも、「仕事の量・質の変化」や、「身分の変化等」、「役割・地位 等の変化」などの雇用管理関連の項目を心理負荷として取り上げており、雇用管理が労働者に過 剰なストレスを与える可能性があることも考慮し運用する必要がある。 (ア)労働時間 雇用管理の中で「労働時間」については、平成 9 年と平成 14 年に実施された労働者健康状況 調査でも、実労働時間が増えるに従い仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスが増え る労働者の割合が増えており、実労働時間を適切に管理することが必要である。 図1 仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレス有りとの関係 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 10時間~ 9~10時間 8時間~9時間 7時間~8時間 6時間~7時間 ~6時間 実労 働時間 割合(%) 2002 1997 (イ)働き方 厚生労働省が実施した「平成 15 年就業形態の多様化に関する総合実態調査結果の概況」によ れば、図2に示したように労働者における非正社員の割合がほぼ 35%を占め、労働者が多様な 「働き方」をしていることが分かる。 働き方とストレスの関係について、労働政策研究・研修機構が平成 16 年に実施した「人口減 少社会における人事戦略と職業意識に関する調査」によれば、図3のように性別を問わず非正規 従業員よりも正規従業員のほうがストレスを感じるとしている。

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図 2 労働者の就業形態 図3 個人属性別のストレス(ストレスを感じると回答した者) 64.5 38.1 53.1 64.7 0 10 20 30 40 50 60 70 女性非正規従業員 男性非正規従業員 女性正規従業員 男性正規従業員 (%) (注)非正規従業員とは就業形態が、「契約社員」、「臨時的雇用者」、「パートタイマー(短時間)」、 「パートタイマー(その他)」、「派遣労働者」、「職場内の請負社員」である者。 しかし、平成 17 年労働経済の分析(労働経済白書)では、「企業における従業員の働き方を みると、正規従業員が基幹業務を担い、長時間労働に耐える一方で、非正規従業員は定型業務を 担い、長時間労働を要求されることは比較的少ないが、雇用は不安定で、給与や福利厚生の面で 正規従業員ほど優遇されない、という状況である。」としており、非正社員に見られる多様な働 き方は、労働者にとって就労のしやすさなどのメリットがあるものの、雇用の不安定さなど労働 者にとってストレスとなりうる要素も含んでいると考えられている。多様な「働き方」はその運 用に当たって、労働者にとってさまざまなストレスを与える可能性があることを念頭に置き対応 することが望まれる。

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イ 職場環境等の把握と改善 メンタルヘルス指針では、職場環境等におけるストレス要因を改善することを通じて労働者の ストレスを軽減し、心の健康問題の未然防止をはかる「職場環境等の改善」がメンタルヘルス対 策の柱の1つとして取り上げられている。世界9カ国から職場のストレス対策の成功事例 19 件 を収集した 1992 年の国際労働機関(ILO)のレポートでは、事例のうち 14 件が職場環境等の改善 を通じた対策であった。またこれまでにさまざまな介入研究において、職場レイアウト、作業方 法、コミュニケーション、職場組織の改善などを通じた職場環境等の改善が労働者のメンタルヘ ルスの改善に効果的であるとの科学的根拠が蓄積されている。平成 14~16 年度厚生労働科学研 究費労働安全衛生総合研究事業「職場環境等の改善等によるメンタルヘルス対策に関する研究」 では、全国から 250 以上の職場環境等の改善事例が収集されている。 平成 14 年労働者健康状況調査によれば、心の健康づくりの一環として職場環境の改善を実施 している事業場は 10%見られた。平成 13 年度労働省委託研究費による 2002 年の全国事業場調 査(回答事業場数 412、回収率 32%)でも管理監督者が日常的に行う職場環境等の改善は 29% の事業場で実施されていたが、事業場内産業保健スタッフ等が行う職場環境等の評価と改善は 10%の事業場で実施されているのみであった。職場環境等の評価と改善の普及状況はまだ十分と は言えず、さらにこれを推進する必要がある。中小規模事業場では、メンタルヘルス対策の中で も、明るい職場づくりなど職場環境等の改善に関連する対策への意欲が比較的高い。中小規模事 業場においても実施が容易でローコストな職場環境等の改善の手法を提供することで職場環境 等の改善が推進できると期待される。 職場環境等の評価については平成7~12 年度労働省委託研究事業による「仕事のストレス判 定図」が多くの事業場で活用されている。一定規模以上の事業場では「仕事のストレス判定図」 等の方法によって職場単位でのストレスの評価を定期的に実施することが望まれる。またすでに 実施されている場合にはその結果を職場環境等の改善につなげる一層の努力が望まれる。中小規 模事業場においては、労働衛生機関などに委託して職場環境等の評価サービスを提供してもらう ことが考えられる。職場環境等の評価は、「仕事のストレス判定図」などのような質問票調査を 基にした方法以外にも、職場巡視や定期健康診断結果等の職場別の分析などを通じた方法も簡便 な方法である。こうした現状の事業場内の資源や情報を活用した職場環境等の評価も推進される べきである。 職場環境等の改善については、平成 14~16 年度厚生労働科学研究費労働安全衛生総合研究事 業「職場環境等の改善等によるメンタルヘルス対策に関する研究」により、職場環境等の改善の 事業場への導入マニュアルと労働者参加型手法による職場環境等の改善ツールである「職場環境 改善のためのヒント集」が作成されている。これ以外にも個々の事業場において職場環境等の改 善を推進するための工夫がなされている。こうした新しいツールを活用しながら、事業場におい て職場環境等の改善が実質的に推進されることが望まれる。

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職場環境等の評価と改善の方法やその効果については、事業場においてまだ十分に理解されて いないと考えられる。職場環境等の評価と改善の方法および効果について、事業場向けの普及・ 啓発等その推進のための方策が必要である。また職場環境等の評価と改善の方法について、さら に効果的で、ローコストかつ実施が容易な方法を開発する必要がある。 ウ 労働者及び管理監督者に対する教育研修の充実 管理監督者の教育研修が、管理監督者が部下の話を聞く態度を改善し、部下の感じる上司の支 援を増加しメンタルヘルスを改善することが、わが国のこれまでの介入研究から示されている。 労働者向けの教育研修については、リラクセーション法および認知行動的技法を利用したストレ ス対処が効果的であるとの科学的根拠が示されている。わが国でもストレス対処、アサーション 訓練などが労働者のメンタルヘルスに効果的であったことが介入研究により報告されている。管 理監督者向けおよび労働者向けの教育研修はメンタルヘルス対策の重要な柱の1つである。 平成14 年労働者健康状況調査によれば、管理監督者に対する教育研修または情報提供を行っ ている事業場は7%、労働者に対する教育研修または情報提供を行っている事業場は8%であっ た。いずれも事業場規模が小さいほど実施している事業場の割合は低くなった。管理監督者向け および労働者向け教育研修が一層推進される必要がある。 管理監督者向けおよび労働者向け教育研修を行っていない事業場においてはこれを実施する ことが望まれる。すでに実施した事業場においては、教育研修の定期的な実施や、未受講対象者 に対する教育研修の実施が望まれる。 管理監督者向けおよび労働者向け教育研修においては講師の確保と費用負担がしばしば課題 となる。都道府県産業保健推進センター、地域産業保健センター、労災病院メンタルヘルスセン ターなどの準公的機関による教育研修の企画・実施のための情報提供や教育研修の開催、講師派 遣などの推進の他、地域の労働衛生機関、精神科医・心理専門職などの専門家などの活用が求め られる。さらに、可能な事業場においては、事業場内で教育研修が実施できるよう教育研修の担 当者を計画的に育成することが望まれる。 教育研修の内容については事業場ごとのニーズや計画によって決められるべきであるが、メン タルヘルス指針において示されている管理監督者および労働者が学ぶべき内容が参考にされる べきである。 また「過重労働・メンタルヘルス対策の在り方に係る検討会」報告書(平成16 年 8 月 18 日)

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エ メンタルヘルスチェックの実施 メンタルヘルス指針では、労働者にストレスへの気づきを促す1つの方策として、質問票など を活用したメンタルヘルスチェックあるいはストレスチェック(以下合わせてメンタルヘルスチ ェックと呼ぶ)を実施することが推奨されている。メンタルヘルスチェックについてはその有効 性に関する科学的根拠を示す研究はまだわずかであるが、メンタルヘルスチェックに引き続いて の保健指導の効果を指摘する研究は多い。またメンタルヘルスチェックを実施した事業場からは、 メンタルヘルスに関する労働者の意識向上に役立ったとの意見が報告されている。個人ごとのメ ンタルヘルスチェックの回答は、職場ごとに集計する等の方法により、職場環境等のストレスの 評価にも活用できる。「職業性ストレス簡易調査票」など簡便な方法が提供されたこともメンタ ルヘルスチェックが普及しつつあることの一因と考えられる。しかし平成 14 年労働者健康状況 調査によれば、心の健康づくりに関して定期健康診断などで問診やアンケートを実施している事 業場は 10%であり、まだ多いとは言えない状況である。 メンタルヘルスチェックを未実施の事業場においては、心の健康問題のリスクが高いと思われ るグループ(例えば、長時間労働者)や希望者に対して、必要に応じてメンタルヘルスチェック を提供できる体制が最低限求められる。またメンタルヘルスチェックについては、チェックを実 施したのみでその後の対応がなされていない、いわゆる「やりっぱなし」になってしまっている という問題が見られる。事業場においては、メンタルヘルスチェックを実施した後の保健指導の 充実が求められる。 メンタルヘルスチェックにおいては、特に個人情報の保護に対する留意が求められる(別紙5 の4参照)。例えば、メンタルヘルスチェックを実施し、保健指導等を行うためにその結果を事 業者が入手する場合は、実施時にその対象者に対して、情報収集の目的、情報の保管方法、個人 情報への配慮の方法などについて十分な説明を行い同意の上で実施することが必要である。

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(2)メンタルへルス不調への気づきと対処 「いつもと違う」という言葉は、メンタルへルス不調への気づきと対処を進めるためのキーワ ードである。 ア セルフケア セルフケアでは、「いつもと違う自分」に対する気づきをよくすることがポイントとなる。「い つもと違う自分」に気づいた個々の労働者は、まず「どうしてだろう」と考える。その理由に思 い当たることがあれば、自分なりに対応することができる。しかし、「いつもと違う自分」が何 日も続いているにもかかわらず、どうしてかがわからない場合には、誰かにそのことを伝えるこ とが大切である。そのためには、安心して話を聴いてもらえる人の存在が必要である。 この行為は、通常「相談」とよばれているが、セルフケアを効果的に行うためには、わからな いことは「相談」することが不可欠である。個々の労働者は、まず、身の回りにこうした相談相 手を自力で確保しておくことが望ましい。一方、事業者は労働者に対してこの相談相手を提供す べきであり、健康に関する問題については、産業医などの事業場内産業保健スタッフがその役割 を果たすことが期待される。産業医は、「いつもと違う」ことの背景に病気があるかどうかを考 え、可能性があると判断した場合には、精神科・心療内科に紹介する。 地域の医療機関、地域産業保健センター、EAPサービス機関(別紙1の2の(2)のオ参照) などの事業場外資源の提供するサービスも、労働者の相談相手としての機能を担う。 イ ラインによるケア ラインによるケアでは、管理監督者が「いつもと違う部下」に早く気づくことがポイントであ る。「いつもと違う」という感じをもつのは、部下がそれまでに示してきた行動様式から乖離(か いり)した行動をするからである。 こうした「いつもと違う」部下に対しては、管理監督者は職務上何らかの対応をする必要があ る。ただ、その背後に「異常性」、すなわち病気が隠れていることが少なくないので、病気がな いことを確認しておかなければならない。 しかし、異常性の有無の判断は管理監督者にはできない。これは、産業医もしくは産業医にか わる医師の仕事である。したがって、管理監督者が、「いつもと違う」と感じた部下の話しを聴 き、産業医のところに行かせる、あるいは管理監督者自身が産業医のところに相談に行く仕組み を事業場のなかに作っておくことが必要となる。この場合ももちろん、産業医は、「いつもと違

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なっていない管理職の過重労働に関しては、概して一般労働者ほどには留意されていないため、 ケアを行うに当たっては、特にこうした点に注意をして実態把握を行うとともに、必要な対応を とることが求められる。 また昨今では、管理職は、一般的にプレイング・マネージャーと称されているように管理業務 以外の業務を有することが多く、こうした多重の役割を負っているということにも十分に配慮す ることが求められる。管理監督者を対象に、部下のケアのみならず管理監督者自身がセルフケア を行えるような教育を行う必要がある。 (4)業務形態の変化等への対応 産業構造の変化にともなって事業場内においてプロジェクトが多くなり、従来のラインによる ケアに加えて、プロジェクト・リーダーやプロジェクト・マネージャー等プロジェクトの業務管 理を行っている者による労働者のケアも必要である。 派遣労働者については、上述したように派遣元と派遣先の事業場の両方からメンタルヘルスケ アを受けることになる。派遣元の事業場においては、派遣先の事業場の管理監督者と適切に連携 しながら、適宜メンタルヘルスケアを行うことになる。 近年、裁量労働など変形労働を行う労働者、在宅労働者、客先に常駐する労働者、管理監督者 の常駐する事業場と異なる遠隔地の事業場において業務を行う労働者等、従来のラインによるケ アでは十分に機能しない労働者が増加している。こうした業務形態の変化にともなってラインに よるケアの拡充や、ラインのケアを補完すべき仕組みを検討することが望まれる。 (5)職場復帰への支援 平成 16 年に厚生労働省が公表した「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手 引き」に職場復帰支援の詳細が示されている。個々の事業場にはそれぞれの特性があるので、こ の手引きどおりにはいかない点もあるが、事業場の実態にあったマニュアルを作成し、管理監督 者、労働者に周知しておくとよい。 ア 職場復帰支援の原則 治療者である精神科・心療内科の医師は、患者の病状がある程度改善してくると、休業という 非日常的な生活をできるだけ早くきりあげて、日常的な社会生活のなかで治療を続けたいと考え る。これは治療者として当然である。患者である労働者も、休業期間が長くなることを望まず、 自覚症状が軽減してくると、早期の職場復帰を希望することが多い。その結果、職場には「半日 勤務なら復職可」とか「軽労働なら復職可」という診断書が提出されることになる。このような 事例については、産業医が本人と面接し、日常生活レベルでの改善はもちろん、労働を負荷する ことによって病状が増悪することの可能性を評価することが原則である。 メンタルヘルス不調者の場合は、状況に応じた個別の判断を必要とする例が多いため、職場復 帰をどの段階で認めるかについての具体的な基準を作ることは、医学的にも職場管理の実務上も なかなか難しい。また、現在多くの企業では、正社員の業務は作業密度が高く、一人当たりの業

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務量も増えているので、回復のレベルが高くないと仕事への適応が困難であることが少なくない。 これが休業期間を長引かせる背景要因のひとつとなっている。休業期間を短縮するには、復帰後 の労働負荷を軽減することも重要な対策となる。 なお、職場復帰させる際には、元の職場に戻すことが原則である。しかし、最近は発病の背景 に職場要因の存在が明らかである例も多い。そうした事例については、当然配置転換を考慮すべ きである。 イ 職場復帰支援における管理監督者等の役割 管理監督者が、「復職した以上きちんと仕事をして欲しい」と考えることは気持ちとしては自 然である。復職者を特別扱いする必要もない。しかし、数か月にわたって休業していた人に、い きなり発病前と同じ質、量の仕事を期待することには無理がある。復職者の心理状態には波があ るので、良好な状態、低下した状態、平均的な状態に区分し、それぞれのレベルと持続時間を総 合して回復状況を把握する。 復職者は、「職場では自分はどう思われているのだろうか」、「職場にうまく適応できるだろう か」、「病気がまた悪くなるのではないだろうか」など、さまざまな心配をしながら復職している。 管理監督者には、そうした復職者の気持ちを受け止めることが求められる。 復職に際し、他の部下には、当分の間、状態には波があること、特別な対応は必要ないが、本 人が何か言ってきた場合には、面倒がらないで対応してほしい旨を伝えておく。復職の際、産業 医は、本人に自分から働きかけない限り、職場は何もしないことをあらかじめ説明しておくこと が必要である。 (6)事業場外資源との連携等 ア 医療機関によるサポートの活用 (ア)事業場と精神科主治医との連携の方法 メンタルヘルス不調の労働者が生じた際には、当該労働者に対する対応、復職支援などを的確 に行うためにも精神科主治医と連携をとることは極めて有用である。しかしながら、主治医との 連携にあたっては、主治医が当該労働者の診療内容に関して個人情報保護、及び、守秘義務に関 する法令を遵守する義務を負っていることを十分に認識することが重要である。したがって一定 のルールを守った上で連携をとることが重要となる。 原則としては、事前に当該労働者への説明と同意を得ておく必要がある。また、主治医に対し

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また、情報提供の依頼は文書で行うのが原則である。その際には、情報提供を依頼する内容を 明記した上で、当該労働者から主治医がその情報提供依頼事項に回答することの同意書を提出す る必要がある。別紙2に情報提供依頼書の例を示す。 直接主治医との連絡や面会を行う場合にも、文書による情報提供に準じた手続き、すなわち、 主治医より提供を受けたい情報内容を事前に労働者に明示し同意書を得ることが必要であり、さ らに、本人の同席が原則である。このような場合に備えて、あらかじめ衛生委員会等の審議を踏 まえて、必要な情報の収集等を行うための労働者の同意の取り方やその基本的な項目、手続き等 を定めておくことが望ましい。 一方、労働者の職場での状態や健康情報等を主治医へ提供することも主治医が本人の病状を正 しく理解するため、あるいは復職、休職の判断のための情報として有用である。しかしながら、 職場から主治医に情報を提供する際にも原則として当該労働者の同意が必要である。 ただし、当該労働者本人あるいは第三者の生命、身体又は財産の保護のために必要があると判 断される場合であって、本人の同意を得ることが困難であるようなときには、本人の同意がなく ても情報を提供することが可能であり、また、そのような場合には積極的に、その状況を主治医 に伝えることが必要である。 メンタルヘルスに関する情報、特に病名などは誤解や偏見を招きやすいだけに極めて慎重な姿 勢が必要とされる。しかしながら、当該労働者の就業措置、復職支援など当該労働者にとっても 必要であり利益につながる事柄であれば、上記のルールを踏まえた上で積極的な連携が必要とな る。そのためにも、本来は情報が産業医等の手許に集中され、産業医等が就業上必要と判断する 限りで集約・整理した情報が、事業場の中でその情報を必要とする者に伝えられる体制が望まし い。この場合、産業医等は専門的な立場から情報を集約・整理し、労働者のプライバシーが守ら れた状態で関係者間の情報交換が可能になるよう、調整役として機能する必要がある。産業医の 選任されていない小規模事業場においては、事業所場内の衛生推進者などメンタルヘルス推進担 当者が責任者となって情報を管理する必要がある。事業場と主治医の連携におけるメンタルヘル スに関する個人情報の保護に関しては、本文第3の2及び別紙5についても十分に配慮した上で 適切な対応が必要である。 なお、健康保険が適応されるのは本人の診療に限られるため、主治医から文書や面会により情 報提供を受けた場合においては、事業場として相応の費用を負担することも留意しておく必要が ある。 (イ)医療機関相互の連携 うつ状態を初めとするメンタルヘルス不調の労働者は、精神科・心療内科以外の医療機関を受 診することが多い。精神科・心療内科以外の医療機関で治療可能な状態も少なくないが、精神科・ 心療内科以外の医療機関で治療可能かどうかの判断は困難な場合が多い。従って、精神科・心療 内科以外の医療機関と精神科・心療内科の医療機関の連携体制がより一層整備されることが望ま

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れる。 (ウ)主治医以外の医師に意見を求める場合の配慮事項 労働者が治療を受けているものの改善がみられないとき、あるいは、労働者自身が主治医の治 療に対して不安や不信を抱いているとき、さらに、事業場として主治医以外の医師の意見も聞き たいと思う時など、主治医とは別の精神科・心療内科医療機関の医師に意見を求めることも考え られる。事業場が精神科・心療内科医療機関もしくは所属する医師と嘱託契約を結んでいると意 見を得やすいメリットがある。 しかしながら、メンタルヘルス不調の患者について事業場が主治医以外の医師から意見を求め るという行為は十分に慎重を期する必要がある。メンタルヘルス不調の診断、予後予想などは初 診で簡単に分かるものではない。また、メンタルヘルス不調の患者の治療においては、良好な医 師-患者関係が非常に重要であるが、他の医師の診断を受けるということで現在の主治医との治 療関係に悪影響を及ぼすこともあり得る。したがって、事業場として主治医以外から意見を得た いと考える際には、まずは、本人の了解あるいは同席の上で現在の主治医と面会し、十分な意見 交換をはかることが第一である。そのうえで、なお主治医以外の医師の意見が必要と考えるので あれば、その理由を当該労働者に説明し、本人の納得を得ることが不可欠である。さらに、主治 医にも事業場として他の医師の意見を得る旨の説明をして了解を得ること、そして可能であれば 主治医から診療情報提供書を記してもらうことが望ましい。 また、この場合の窓口は、産業医が選任されている事業場においては産業医が窓口になるべき である。さらに、事業場として主治医以外の医師に意見を求める場合があるのであればそのこと を就業規則に記しておくことが望ましい。 (エ)医療機関との連携における事業場内産業保健スタッフの役割 心の健康づくりにおける事業場内産業保健スタッフの最も重要な役割は、従業員の抱えるメン タルへルス問題の解決を援助することである。ただし、事業場内産業保健スタッフだけで全てを 解決する必要はない。手に余るケースを抱え込むことなく、事業場の内外を問わず問題解決に最 も適した資源を活用すべきである。そのためには、①従業員の抱えるメンタルへルス上の問題を 正しく把握し評価する、②問題解決の方法を計画し利用できる最適な資源を事業場内外から選択 する、③従業員本人と必要な関係者に問題解決の手段を説明し行動を起こさせる、というプロセ スを踏まねばならない。

図 2  労働者の就業形態  図3 個人属性別のストレス(ストレスを感じると回答した者) 64.5 38.1 53.1 64.7 0 10 20 30 40 50 60 70女性非正規従業員男性非正規従業員女性正規従業員男性正規従業員 (%) (注)非正規従業員とは就業形態が、 「契約社員」 、 「臨時的雇用者」 、 「パートタイマー(短時間) 」 、 「パートタイマー(その他) 」 、 「派遣労働者」 、 「職場内の請負社員」である者。 しかし、平成 17 年労働経済の分析(労働経済白書)では、「企業にお

参照

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