【論 文
I
UDG :624
.
042、
7 :624.
04目本建 築学 会 搆 造 系 論 文 報 告 集 第 427 号
・
1991年9月 Jouma【of Struct.
Constr.
Engng,
AIJ,
No.
427,
Sep.
,
lgg1弾
性
変
位
に
着
目
し た
大
型
宇 宙構
造 物
の
線 形 振 動
解析
方 法
に
関
す
る
研 究
射 影 行列
の利 用
に よ る直
接
時
間
積
分 解析
と周 波 数解析
へ の適 用
ASTUDY
ON
THE
LINEAR
DYNAMIC
ANALYSIS
METHOD
FOR
A
LARGE
SPACE
STRUCTURE
Application
to
direct
time
integration
method andfrequency
responsemethod using
Projection
matrix福 和 伸 夫
* ,勝 倉
裕
** ,中 井
正一
* * *,半 谷 裕 彦
** * *IVobUO
FUKUWA
,Hiroshi
KA
TUKURA
,
Shoichi
NAKAI
andYasuhiko
ffANGAI
In
thelarge
space structures (LSS ’
s>,
the rigid body mQtion acts adominant
role.
Up
to now,
the
linear
analysis ofLSS
has
been
done
onlyby
the mode superposition method 〔MSM
)sinceit
’
s easy to evaluate elasticd
上formations
.
In
this paper,
the governing equationfor
the elasticde−
formation
is
pr posed and the equivalence with MSM is explained,
By
applying this equation,
1
.
he
elasticdiformation
canbe
properly evaluated using thefrequency
domain
and timedc
〕main methods.
Since
thisformulation
is related to projection and g−invcrse
,
the physical meaning Is explained using Projection,
A
static solution is evaluated using the reflexible g・
inverse
,
Kegwords ;lar
’
ge sPace structure, linea厂
dJntamic
anatysis method,
Projection
,
generalizedinverse
,
direct time integration method
,
frequenay
respanse method大 型 宇 宙 構 造 物
,
線形振 動解析法,
射彰
行 列,一
般 逆 行 列,
直 接 積 分 解 析,
周波 数 応 答 解 析1.
序 論 振動 外 力に対し て構 造 物の設 計を行う場 合,
最 終 的に は構造物 内の応 ノ〕レベ ルの チェ ッ クを行う 必要が ある。 構 造 物 内 部の応 力は弾 性 振 動に よっ て生じ る の で,
剛 体 変 位 を含む問 題で は,
応 答 値か ら剛 体 振 動 成 分 を適切に 除 去し て,弾性振 動 成 分 を抽 出する必 要が ある。
そ こ で, 本 研 究では,
剛 体 変 位 を 内在する構 造 物の微 小ひずみ範 囲の振動 解 析 を 対象に,
剛 体 振 動 成 分の抽 出 と 弾性振 動 に関す る基本式の誘 導を行い,
直接時間 解析お よ び 周波 数 応答解析に基づ く弾性振動 算定 手法を示す。
近年,
宇 宙 構造物に代 表さ れ る攴持 点が存 在し ない 大 型構 造 物の振 動 解 析が 必要に なっ て きた。 宇 宙 構 造 物の 場合,
振勤 応 答は 並 進・
回 転の剛 体 振 動と,
弾 性 振 動の 和で表さ れ る。 従 来,
研 究の対 象 とさ れ て き た人工衛星 レ ベ ル の小 規 模かつ 比 較 的剛 な宇 宙 構造 物で は剛体運動 が支 配 的とな る の で, 宇宙 空 問で の振 動 応 答は主に剛 体 の運 勤に よ り記 述さ れ,
かつ,
設計ヒ ク リ ティカル に な る荷 重が打ち上げ 時の加 速度である た め,
弾 性 振 動の問 題はあ まりクロー
ズア ップさ れ な かっ た。
し か し,
将 来 建 設が予 定さ れて い るkm
オー
ダー
の 大型宇 宙 構 造 物 (LSS ;LargeSpace
S
しructure )11は
,
宇 宙 空 間で建 設 組 立が行わ れ, かつ, 柔軟な構造物であ ることか ら弾 性 振 動 応 答が設 計 上 重要な量と な る。LSS
は構造物が柔 軟,
軽 量,
かつ 低 減 衰で あ り , 荷 重 レ ベ ルが非常に低い の で,
大 変 位 微 小 変 形の問 題と な る。
剛体回転を含ん だ問題 とな る の で,
本 来は幾 何 学 的 衣論文の・
部は参 考 文献 16 )に発 表し たもの ご あ る.
* 名 古 屋 大 学一
L学 部 建築 学科 助 教 授・
工博 * * 清 水 建 設 大 崎研 究 窯 主任研究 員・
:1二博 寧榊 清 水 建 設 大 崎研 究 室 王 任 研 究 員・.
L博 * * * * 東 京 大学生産 技 術 右Jl究 所 教授・
工博As8Qc
.
Prof.
1Dep
し of Architecture,
Faculty(
丿f Eng[neering,
NagoyaUn】v
.
,
Dr.
Eng.
Senior Research Enghleer
,
Ohs…戛ki Research hsd しu亡e,
Sh監mlzu Corp.
,
Dr
.
Eng.
Senior Research Engmeer
,
Ohsaki Res巳arch InstiLut〔・
,
Shlm十zu Cり叩.
,
Dr
.
Eng、
な非 線 形 性を考慮し た更新ラグランジェ 法な どによ る解 析ZL3 )が 好ま しい
。
し か し,
有 限 変 位 問題であ ること を 無 視 し て剛 体 回転モー
ド を除 去す るモー
ド解 析 法に基づ く解 析が多 用さ れて い るt ]’
6 ) 。 他の有 力な解 析 法である 直 接 時 間 積 分 法や周 波 数 応 答 解 析 法は高 振 動 数 外 力に対 して は採 用 されて いる が,
剛 体 変 位 を励 起 しや すい低 振 動 数 外 力に対 し て の適 用 例は見られな い。
こ の原 因は,
両 解 析 法で は, 剛体 変位と弾 性 変 位の和である全 体 変 位 に対して定 式 化が行わ れ て お り, 剛体 変 位 成 分 を適tDに 除 去す る方 法 が 示され ていな かっ た た めと想 像されるu 直接時 間 積 分 法や周 波 数 応 答 解 析 法を宇宙構造物の解 析 に適 用す る場 合に は,
剛 体変位成分を分離し ないと,
持 続 的 外 力や 長 周期成分 を含む外 力が作用 す る問題では,
応 答変位に占 める剛 体 変 位 成 分が攴配 的と な り弾 性 変 位 に対す る数 値 誤 差が拡 大し,
適 切な応 力を求め ること が で き な く な る。
一
方,
静 的に支持さ れ ない構 造 物に は浮 遊 式 海 洋 構 造 物が ある。
浮遊式海洋構 造 物の 場 合に は,
剛体 運 動に対 し て外 部 流 体が抵 抗す る もの の,
剛体 変 位を含んだ閊 題 となる。
また,
本 来は弾 性 支持さ れ ている が,
解析の仮 定 上 静 的に弾 性 支 持さ れ て い な い問題 とし て,
地 盤の 振 動解析に お ける有 限 要 素 法の境 界処理 や,
構 造 物と 地 盤 との動 的 相 互 作 用 問 題に用い られる相 互 作 用ば ね の問 題 が あ る。
地 盤の有限要素解 析で は地 盤の無 限性を表 現す る た めに粘 性 境 界を設ける ことが多い。
こ の場 合, 有 限 要 素 領 域は弾 性 支 持さ れ ないの で,
応 答 変 位に は剛 体 振 動 成 分が含ま れ,
静 的 値近傍の 低振 動 数 領域におい て剛 体 変 位に よる誤 差が蓄 積さ れ るη 。 ま た,
構 造 物と地 盤 との動 的 相 互 作 用 問 題におい て用いら れ る2次 元 解析モ デル による相互作用 ばね も静 的に は値を有さずS),
構造 物応 答 波形の ゆ が みの 原 因 とな る こと が指 摘 さ れて い るe]。
この よ うに,
我々が対象と する構造物の振 動 解 析 問 題 におい ては,
解 析 者の意 図にか か わ らず 剛 体 変 位が含 ま れ る問 題か 多い。
そ こで,
本論で は,
検 討の第.
一
・
段 階と し て, 空 中に浮 遊する宇 宙 構 造 物を対 象に,
剛体変位の 誘 導 を行い,
支 配 方程 式か ら剛 体変位 成分を除 去し た弾 性 振 動 成分に関する支 配 方 程 式を新た に定式化す る。
次 に, こ の支配方 程 式と従 来の モー
ド解 析との等 価 性を示 す。
さらに,
こ の 支 配 方 程 式に基づい て,
直接 時 間 解析 お よ び 周 波 数応答 解析に より弾 性 変 位を算 定す る方 法を 示す.一
方,
射影 行列の観 点か ら剛 体 変 位 を 含む振 動 問 題の 考察を行い,
本 手 法の位 置づけを明 確にす る と と も に,
周 波 数 応答解析 法に お いて重 要とな る静 的値の 評 価 に一
般 逆 行 列既 ::1
を用い る方法を示す。 従 来,
剛 体変位 を 内 在する問題に関して射 影 行列,.
一
般 逆 行 列との関 連 で統一・
的に線形振 動問題 を議 論した研 究は認め られな い。
な お, 本論で誘 導し た一
般 逆 行 列は動 的 剛性 行列の一 80 一
逆 行 列の静的収 束値を与え る ものであり,
反 射 型の一
般 逆行列 と な る。
半谷 ら121−
141 が静 的な不 安 定 構 造 解 析な どに用いたムー
アペ ン ロー
ズ逆行列が標準 固 有 値 問 題に 対 応す るの に対して,
本論で誘 導し た一
般 逆 行 列は 般 固有 値 問 題に対 応す る。 2.
剛 体 変 位の誘 導 まず, 剛体 変位の誘 導を行う.
有 限 要 素法などの離 散 解析を 用いた場 合, 線 形 系の振 動 方 程 式は一
卜式の よ うに 表すこ と がで き る。
Mit
{t)十C
血(t
)十Ku
(t
>;f
(t
)・
・
…t・
・
…・
……
(1) こ こに,M ,
C ,
K
は各々質量, 減 衰, 剛 性 行 列で あ り, u(t)お よびf
〔t)は変 位お よび 外 力ベ ク トルで ある。
ま た,
tは時 間を,
0
は時 聞微分を表す.
本論で対 象と す る 空中に浮 遊す る構 造 物の場 合に は,
剛 性 行列K
は 半正定 値 行 列とな り,
〔工)式の 固有値に ゼロ固有値を 含む。
また,
宇 宙 空 聞におい て は空 気 抵 抗が ない の で減 衰 行 列は内部 減 衰の み で与え られ る。
し た がっ て,
〔1) 式の解に は剛体 変 位 成分が含まれ る こ と に な り,
剛 体 変 位に対 し て 仕事を す るの は質量行列のみ と な る。
(ユ)式の剛 体 変 位は,
以 下の よ うに し て求め るこ と が で き る。
まず剛 体 変 位の固 有モー
ドを求め る。 剛体変 位モー
ドは,
無 減 衰 時の (1)式の 自由 振 動 解か ら得ら れ る。
す な わ ち,
κ φ;Mdi
Ωt・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
『
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
一・
・
・
…
曁
・
・
(2) こ こ に,
φは固 有モー
ド行 列,
Ω2 は対 角に 固有 値を含 むス ペ ク トル 行列である。
た だ し,
固 有モー
ド行 列 φ は,
質量行 列を介して正規 直 交化 (φtM φ;
∬)さ れ て い る ものと す る。 剛 体変位モー
ドは 固有値ゼロ の モー
ドベ ク トルに相 当するの で,
固有 値お よ び 固 有ベ ク トル を 剛体 変 位 成 分と弾 性 変 位 成 分に分 離す るこ と がで き,
・
一
[・・…E] ・・一
[
レ
ー ・
……
・・) と表せ る。
こ こ に, ト添 字 R は剛 体 変 位モー
ド を,
卜 添字E
は弾性 変位モー
ドを示す。
な お,
剛 体 変 位モー
ドは,
固有 値 解析を介さずと も,
構 造 物 重心と各節 点 位 置との 幾 何 的 関 係か ら も簡 単に誘 導で き る。
い ま,
剛 体変位を求め る た めに,
変 位 を剛 体 変 位モー
ドを介し て一
般化座標に変 換 す る.
UA(t);
ΦRU ,(t)・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(4 ) 〔4)式を(1)式に代入 し,
左 か ら 鑑を乗じ る と,
(1) 式は,
On
(t)十φftC
φRO κ(t)十9
孟U
κ(t)=
Φ鳧/(t)・
…
(5) と変 換さ れ る。
ここで,
剛体モー
ドに対応 す る 固有 値は 0であ る0)で (91−
0),
左 辺 第 3項は消 去で きる。
ま た,
減衰行列は内 部 減 衰の み で構 成さ れ る と仮 定し てい る の で,
剛体 変 位に対して は仕 事 をしない。 し たがっ て,
(5) 式 左辺第2項 も消 去で き る。
結 果とし て,
(5>式ぱニ ュー
トン の第
2
法 則に・
致し,
U ,(t)=
・
φltf
(t)一 …・
……・
…・
………・
・
……・
(6
) となる。
(6)式は 3次 元 振 動 問 題の場合,6
元の連 立 方 程 式とな る。
一
般 化 変 位か ら実変位に変換す る と,
(6)式は,
U
配(t
)=
Φ尺φ良/(t
>・
9・
99・
・
一・
一…
r7r
・
7r・
7r・
r・
・
・
・
・
…
(7) と な り,
剛体変 位成分の 加 速度が得ら れ る。
(7)式に 対 応す る剛 体 変 位は,
初 期 条 件を考 慮し て (7)式の時 間 積 分 値を評 価す ることに より得られる。
3.
弾性 変位に関 する基礎式の誘導と弾性 変位 解 下 式の よ うに変 位を 剛体 変位成分 UR と弾性変位 成 分 UE に分離し,
u(t
〕=
Ufl(t)十t乙虹(t)・
・
・
…
一・
・
一・
一・
凾
一・
噛
一・
鹽
一・
「
・
・
(8) これ を (1)式に代入す る と,
(ユ)式は,
M
毎ω+c
毎 (孟)+Ku .(t)=
・
f
(t)一
(Mit,(t
)十CttR
(t
)十Ku
,(t
))…・
…
〔9
) と な る。
〔9)式に (7)式 を 代 入 す るこ とに よ り,
Mti
,(t
)十C
物ε(t)十Ku
ε(t)・
=
(1− Mdi
,Φft
)f
(t)一 …・
………
(10} が得 ら れ る。
これ が,
弾 性 変 位に関す る基 礎 式とな る。
(10
>式と (1) 式を比 較 する と,
左 辺の係 数 行 列は同.
で あ り,
外 力ベ ク トル の みが剛 体 変 位モー
ドに よ り修 正 さ れて い る こと が分か る。
す な わち, 剛 体 変 位に伴う 慣 性 抵 抗 を右 辺に考 慮 する ことに よっ て, 剛 体変位を除 去し,
弾 性 変 位の み を求め る基 礎 式と してい る。
し た がっ て,
(10>式 右 辺は 自己釣 合 外 力と な る。
この こ と か ら,
通 常の振 動 解 析 プロ グラム を弾 性 変 位算定用 に準用す る に は, 解 析に先 立っ て,
剛 体モー
ドに よ る外 力の補1Eを 行っ て おけ ば よい ことにな る。 次に,
本手法と従 来よ り行わ れて い るモー
ド解 析 手 法 との 等価 性 を示す。
(10)式に左か ら弾 性 変 位モー
ドφ髭 を乗じ ることにより下 式が得ら れる。
φ畳Mti
,(t)十 φ芸c
恥〔t}十di
匿KUE
(t) ; φ各(∬− M
Φ,Φ盞)f
(t
)……一 ・
…………・
・
(11> 弾 性モー
ドと 剛体モー
ドは質量行列 を介して直交して い る ゆ 泌 軌=
O}の で右辺第 2項 は 0と な る。
さら に,
弾 性 変 位モー
ドを 用い て弾 性 変 位をモー
ド座標に変 換す る (UE(t
>=
¢EUPT
(tD
ことに よ り,
(ll
)式は,
Φ畫M Φ底
OL
(置)十 φ}CdiEOE(の十 φ島KΦEしrE(t)=
φt
,f
(の・
…
一・
一・
鹽
一・
一一一・
・
」
畠
・
畠
・
…
一
(12) と な る。 (12)式は,
弾 性モー
ドの み を用いたモー
ド合 成法の 墓礎 式に他な ら な い。
し た がっ て,
(10)式で与 え られる弾 性振動に着 目し た基 礎 式は,
モー
ド合 成 法に お け る基 礎 式と等 価である こと が証 明され る。
以 上の関 係を図一
] に示す。
弾 性 変 位 成 分 に着 目し た基 礎 式 (10)式を用い ること に よ り,
直接 時 聞 積 分解 析や 周 波 数 応 答解 析に よ る 大 型 ・・嚇 M 瞬[
:
副
図一
1 本解析法とモー
ド解析法との等値 価性 宇 宙 構 造 物の解 析か 可 能 と な る.
直 接 時間 積 分法の場 合 に は, 適当な時間積分公式を用い て,
{7)式を初 期 条 件 を考慮 し て積分 す るこ とに よ り 剛体変位が,
(10
)式 を 積 分 す ることに より弾 性 変位 が,
各々求め られ る。
例 えば時 間 積 分 公 式に Newmark の β法 を採 用 した場 合に は,
等 価 剛 性 行 列に質 量 行 列 や 減 衰 行 列 が係 数 を介し て 加 算される の で, 係 数 行 列が正定値と な り,
通 常の 解析 と全く同 様に して弾 性 変位 解 を求め るこ と がで きる。
一
一
方,
剃波 数 応 答 解 析 法の場合に は, フー
リエ変 換,
u(・}
一
∫
:
・ω・−
i…dt
・の一
21牙∬
・(・}・… td ・……・
……・
・
…・
・
………
(13} を利用 する ことによ り,
(1)式は,
(一
ω 2M +ib
・c
+K
)u(tU)=
f
(ω〕…………・
…・
(14) と振 動 数 領 域に変 換さ れる。
こ こ に,
u(w )と∫(ω)は 変 位および外 力 をフー
リエ 変 換した もの である.
また,
〔7)式に対 応する剛体 変 位 成分は,
tiR(ω)=
Φ、φ良∫(ω)・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(15)。n〔。片D
− 一
≒
¢、Φkf
(。) ω と求め ら れ る。
こ こ で,
注 意を要す る の は,
浮 遊 構 造 物 の 場 合,
静 的に も加 速 度 が 存 在 し う ることである。
す な わ ち,一
一
・
定の静 的 外 力が作 用する問 題で は,
静 的に 剛 体 運 動の定 加 速 度が生じ,
対 応する速 度お よび変 位が無 限 大とな る。
.
方,
弾 性 変位は,
ω≠0に対し て, 蝋 ω)=
〔一
ω ’M +i・ ・C
+κ)−
1 (∬一
〃 φ,φ島)f
(ω)・
…
77齟
』
・
・
…
一・
rF7
・
・
・
・
…
一
(16> と得ら れ る。
外 力に静 的 成分 が含ま れ,
かつ,
ω=
0の 場合には,
(16)式の逆 行列の 評 価がで き ないの で (16) 式か ら静 的 弾 性 変 位を求め ること はで きな い。
振 動 数 領 域の解 析におい て は,
静的 値を 適切に評 価し ない と,
数 値 的な永 久 変 形 を 生じ さ せ る原 因とな る。
そ こ で,
本論 で は,一
般逆行 列を利 用す ることに より静 的な弾 性 変 位 を 求 め る。
結果の みを 次 式に示 す。
Ut/(ω一
〇〉−
K;(卜 M Φ、Φk
)f
(ω一
〇)一 ・
…
(恥 こ こ に,
KF は反 射 型の.
一
.
般 逆 行 列で あ り,
K
チ= (1一
φ尺
φ盞M
)K
.
(1− M
φ,φM
= ΦEΩ匠2¢を………・
………・
・
…・
…・
…
(i8) と表さ れ る。
こ こに,K
一
は任意の一
般 逆行列である。
(17) お よ び (18)式の 誘 導 お よ び 意 味につ いて は,
射 影 行 列との関連で次節にて説 明する。
また,
K一
の求め 方の 1つ を以 下に示す。
剛 性 行 列K
は正 方 行 列なの で,
.
三角 分解な ど を用い て階 数 分 解 し た結果は,
κ=
LLt・
・
・
・
・
…
一・
・
…
P7・
r7・
・
…
一一鹽
畠
・
一・
・
」
一・
・
・
・
…
(19
) と示され るn こ こ に,
L は nXr の 行列 で あ る、
n はK
の大き さ, r は K の ラ ン ク であ る。 本 問題の場 合,
r は弾性モー
ドの 数に等しい。 (19)式を用い て,
.
般 逆行列K
一
は,
K
−=L
(LtL
)−
1(LtL )−
LLt・
……・
…・
・
…………
(20) と求め ら れ るlu1。 (17
)式 中のK
; は, (20)式 を (18) 式 第1式に代入 す ることに よ り 得 ら れ,
静 的弾性 変 位は 固有 値 解 析 を介 すること な く決定で き る。(
17
)式に,
UE〔ω=
0)=di
εUE
(ω=0
)お よ び (18
)式 第2式を代入し, 弾 性モー
ドと剛 体モー
ドの 直 交 性を利 用す る と,
Ω
Z
・
・U,(ω一 〇)−di
・i
’
f
(ω・・
O)ttt
・
…………
∴…
(21) が 得ら れ,
モー
一
ド周波数 解析法で得られ る静 的弾性変位 に関 する基 礎 式に一・
致 す る。
し た がっ て, 反射 型一
般 逆 行 列を用い た静 的 弾性 変位 解はモー
ド解 析に よ り得られ る解と同一.
・
であるこ と が示さ れ るfi4.一
般逆 行 列 と射 影 行 列によ る考 察 本 節で は, (17
)お よ び 〔18)式に示 し た反 射 型一
.
一
般 逆 行 列に よる静的弾性 変 位の誘 導と,
射 影 行 列 を用い た 本 間 題の記述 を 試 み るn まず,
一
一
般 逆 行 列A
’
は,
長 方 もし く は非 正 定な 止方 行列A
に対 して、
AA
−
A 二A ・
・
…
鹽
一・
・
一・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
7r・
P・
r・
・
・
・
…
77・
7・
・
(22) を満足 す る行列で あ り,
通常用い られ て い る逆 行 列の考 え方を拡 張 し た もの で あ る。
(22) 式の み を満足 する一
般 逆 行 列に は.
・
意 性が な く,
種々 の一
般 逆行列が提 案さ れて きて い るM /。一
般逆行 列を用い ることに よ り,
Ax=
y・
………・
・
…・
…・
………・
・
…・
・
・
・
………
(23) に対する解は, n−
r Jじ=
A y十 Σ]h
,b
丿一・
・
・
・
・
・
・
…
一
・
・
・
…
一・
・
・
…
9・
・
一
(24) 」 で与 え ら れ る。
こ こ に,馬 は任 意の係 数,
n は A の元 数,
r ばA
の ラ ン クで ある、
,
また,
(24)式 右 辺 第 2項 はAx =
・
Oの 解であ り,
b
,は,
行 列,B ;1− A
−
A …
一…
r・
7…
7r・
−7・
7r7
・
・
r・
・
・
・
・
・
・
…
一鹽
(25) の.
一
次 独 立ベ ク トルで与え ら れ る。
また,
(23}式の解 の存 在 条 件は,
y;
AA−
y・
…………・
…一 ・
…・
…・
・
…・
・
一 …
〔26) と与え ら れ る82 一
(22) 式に加え て,
A
−
AA
−=A −・・・・・・…………・一 ………・……・
〔27 > を満足 す る一
般 逆 行 列は, 反 射 型一
.
般 逆 行 列と よばれ, あ る 条件を 満 足 する と きの み一
.
.
意に定まる。 また,
〔22 ) 式,
(27
)式に加え て, 〔ん4−
)t=
AA・
・
…
鹽
…
一・
・
『
一・
7鹽
・
』
鹽
鹽
・
・
・
・
…
(28
) 〔A−
A)t=
A.
A
を満 足 する場 合には,
ムー
アペ ンロー
ズ逆行列と な り,一
意に定め られ る.
本 論で は,
反 射型.
般 逆 行 列 をA
; と, ムー
アペ ン ロー
ズ逆 行 列を A’
と 示 すこと と し,
任 意の.
般 逆行列はA
一
と記すこ と に す る。 な お,
半谷に よ り,
静 的な不 安 定 構造問題に適 用さ れ たの はムー
ア ペ ンロー
ズ逆 行 列で あり12同 4 体 論で用い る の は反射型一
般 逆 行 列である。
まず, (18)式 第2式 が 反 射 型
一
般 逆 行列で ある こと を証 明す る。
こ のた めには,
(22
)式お よ び (27 )式 を 満足 す ること を証 明 すれ ばよい。
す な わ ち,
K
=M
ΦeS2蓬dikM・
・
一
一・
・
・
・
・
・
・
…
‘
・
・
一畠
・
(29)K
;=
φEΩ忌 2 Φ皇 を用い ると,
KK
;K=Mdi
.gi
,φkM
Φ.s2Etdif
,M Φ,9をφ髭M=M
φ月9
養φ隆M ;K
K;KK ;=
φEΩ葺 2 φをM ΦFΩ釜φをM
φεΩ 互 2 Φ島=
=
¢,ΩE2
Φ烏=K
;……・
…・
………・
………
(30> と な り,
反射型一
般 逆 行 列である こ と が 分 か る。
こ こ に,
鋭M
φE=1
を利用し てい る。
また,
KK チ=
MΦ,φ隆・
・
………・
・
・
・
・
・
・
………・
〔31) κ;κ=
Φ.φt
−
M と な り,
これ ら は対 称 行 列 とは な ら ない の で,
(28)式は,
満足 し ない。
し た がっ て,
ムー
ア ペ ンロー
ズ行 列で は な い こ と が 分 か る。
この場合の ムー
アペ ン ロー
ズ行 列は,
標 準 固 有 値 問 題,
K 壁=
邑「ノt・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
一・
一・
・
一…
(32> の弾 性モー
ド 監 と対応 す るス ペ ク トル行 列A
, を 用い る ことにより,
KI=
厮ε/LEiΨt
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
tt
(33) と得られ, (22), (27)お よ び 〔28)式を すべ て満足 す る。 し た がっ て,
(29)式で与え られ る反 射 型.
.
.
般 逆 行 列は一
般 固 有値問 題に,
(33) 式の ムー
アペ ンロー
ズ 逆行 列 は標準固有 値問題に対 応す る。
本 論で対 象とし て い る構 造 振 動 問 題は一
般 固 有 値 問 題に属 するの で,
反 射 型一
般 逆 行 列 を 用い る必要が あ る。
ち な み に,
ムー
アペ ンロー
ズ 逆行列 を 用いた場 合に は,
得ら れ た変 位 解は動的 変 位 解の静 的 収 束 値とは ならないn また,
(29) 式で与え ら れ る反 射型一
般 逆行列 は,
質量行列 が 単位行 列 と な る と きにムー
アペ ン ロー
ズ 逆 行 列に.
一
一
致す る。
次に,.
.
般 逆行 列と部分空 間との関 係 を検 討す る。
Kcr(A
.
A)=
S〔i・
A.
A) Ker(AA°
)iSa −
AA『
) S(A.
A} S〔A)=
S(AA.
〉 図一
2一
般 逆 行 列と部分塞間の関係 般 逆行列A は,
図一
2に示す よ うに,
AA.
と1−
AA一
が張る 空問か ら,A
−
A
と1−
・4
−
A
が張る 空間に線 形 写 像す る変 換 行 列 で あ る1D。 また,
A 4一
と ∬−
AA−
,
A−
A と 1−
A−
A は直 和の関 係が ある。
こ の 性 質を,
(29 )式で定義し た 反射 型一
般 逆 行 列 K] に当て は めてみ る と,
KK 憂=M
ΦEφ詣=J− M
φ,
φlt
l−
KK ;=
M φ,Φk
=
1− M
Φゆ 皇・
(34} κFκ=
Φεφ髭ハ4=
∬一
Φ尺φ各配 ∬−
KIK=
φ尺φ農M=
1一
Φεφ}M と な る。
こ こ に,M
−
1=
φ Φε=
叺鑑十 ΦK鑑 なる関 係 を 利用 して い る。
今,KK
;と J−
1(K ;が張る部 分 空 間 を そ れ ぞ れE
とR
,KFK
と ∬− K
;K が張る部分空間 をE
とR
と す る と,E
とR
,E
とR
は そ れ ぞ れ n 次元 空間の斜 交 直和分解さ れ た部分空間 と な り,
かつ,
各部 分 空 間は (34)式 右 辺に よ り.
一
一
意に定め ら れ る。 こ の こ とは,
反 射 型一
般 逆 行 列が..
意に定め ら れ る条 件川 に相 当する。
ま た,
(34)式か ら E と E は弾 性モー
一
ドが張 る部分空閲 に,R
とR
は岡1」体モー
ドが 張る部 分 空 間 と なっ て いるこ と が 理解で きる。
なお,
質 量 行 列が 単位 行 列の 場 合,
す な わ ち,
ムー
アペ ン ロー
ズ 逆 行 列の場 合に はE とR ,E
とR
は そ れ ぞ れ直 交し,
直交 直和分解さ れ る.
.
方, 〔34}式で与え ら れ る各 諸量は,
射 影 行 列と なっ て い る こと を以 下に示 す。
射 影 行 列であ る必 要 十 分 条 件 は,
射 影 行 列 をP
と 示 す と,
PP ;P …・
・
・
・
……・
…『
・
『
…….
…………・
……
(35) で与え ら れ る、
t
今,
PE.
R=
κKF ;
ルfφ,di
k
・
=
∬− Mth
κΦk
P.、
E=1− K
κF=M
φ盈Φ蚤=1− M
Φ厂Φ詣 PI.
i=
KFK・
・
di,ΦkM
=
f一
φ,di
拓1しf P 瀧;
J一
κ チκ=
φ君φ長ルf薈
∬−
di, diE・
M・
・
・
・
・
・
・
…
(36) とお く と,
これ ら は,
〔35〕式を満足 しており,
いず れ も射 影 行 列で ある こと が分か る。 さ ら に,
P,.
R は部分 空 間 R に沿っ て部 分空間 E に射 影す る射 影 行 列であり,
PR.
E はE に沿っ たR へ の射 影 行 列と な る。
こ こ で, 注 目すべ き点は,
以 下の 点で あ る。
前 節に爪 し た弾 性 変 位に着 目し た支 配 方 程 式 〔10〕式の右辺で行っ てい る外 力の補 正は, 射 影 行 列P
、,.
R を 乗 じて いるこ と に他な らず,
外 力ベ ク トルを 弾 性モー
ドが張る部 分 空 間 E に射 影 し,
剛 体 変 位を除 去して い る ことに相当する.
ま た,
解の存 在 条 件 (26
)式が意味す るこ と は,KK
;=
PE.
R で ある の で,
外力ペ ク トルが弾性モー
ドが張る部 分 空 間 E に含ま れて いなけれ ば な ら ない こ と を示 して い る。 (10) 式で は,
外 力ベ ク トル を弾 性モー
一
ドが張る 部分空 間 E に射 影し て い る の で,
解の 存在 条件は自動 的に満 足さ れ ることになる。
つ ぎに,
反 射 型.
一
般 逆 行 列 K; の定 義 式 (18)式 第1
式の誘 導 を 行 う。
反 射 型一
般 逆 行 列は,
(22)お よび(27)式を満足 す るの で, 以 下の よ うに変 形する こと が可 能で あ る
。
Kl=K
;KK
孑;K
チKK
−
KKF ・
・
…………一
〔37) こ こ に,
K一
は任 意の一.
般 逆1
「
i
’
列であ る。 (37
>式 に,(34
} 式を代人 する と,
K
チ=
(∬一
ΦRφ島1しf)K−
(J−
M φ,Φ島)・
・
…
r・
・
・
・
…
(38) と な り,
(18
)式第1
式が誘 導でき る。
(38
)式を 用い る こ とに よ り,
本 閊題 に対応 す る 反射型一
般 逆行列 は,
任 意の一
般 逆 行 列と剛 体モー
ドか ら求め ること が口∫能と な る。
前 述し た よ うに,
剛 体モー
ドは,
各 節 点の重 心位 置 か ら の座 標か ら容 易に求め る こと がN∫能で ある。
(38) 式は,
任 意の一
般 逆 行 列の両 側に,
弾 性モー
ドか張る部 分 空 間へ の射 影 行 列 を 乗じてい る ことに相 当する の で,
K; は部分空 間E か ら部分空間E へ の線形 写像を行う 変換行列を意味す る。
以一
.
L
に示 し た射 影 行 列と一
般 逆 行 列の関 係を 図示す る と 図一3
の よ う に な る。
図一
3に は,
本 問題の 対 象と な る一
般固有値問題の他に,
参 考と して標 準 固 有 値 問 題に 関 し て も示し てある。
図一
3(a)か ら前 節に示し た弾 性 変 位 評 価 方法の 位 置 づ け が容 易に理 解で きる、、
まず,
外 力ベ ク トルf
を弾 性モー
ドが張る部 分 空 問E に射 影 し,
そ の後に弾 性 変 位の部 分 空 間に線 形写像して い る ことになる。
外 力か ら 剛 体 変 位を刺激 す る成分を 除 去する こ とに な る ので,
弾 性 変 位を丸め誤差 を避 けて求め ること が 可 能 と な る。.
方,
図一
3(a)の中に は,
ノ’
か ら全体 変位u を求め た後 に,
射 影 行 列 P 演=
1一
φ、φkM
を乗じ て弾 性変位を求 める方 法が存 在し て い る。
こ れ は,
全体 変 位に対する支 配方程式 (1)式か ら全 体 変 位 解を求め た後に,
剛 体 変 位を 減 じる ことに相 当する。
すな わ ち,
(7 〕式よ り,
tZ,(t)=
・
Φ,φlif
〈t)二
φ尺φ良(M嵐 幻十C乱(t)十Ku(t)) = φ尺φ鳧M {〜(t)tt・
・
・
・
…
』
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(39) であ るの で,
(1− di
.ΦkM
)u =
包一
Φ,diRM航=
U−
tiR’
7・
…
7國
・
…
▼
國
鹽
・
…
冖7冖…
(40) と なる。
した が っ て,
対 応す る変 位も 〔40>式と同様の斉
.
S{ト KiK ).
S〔Φ 、 Φ』M } 尺.
S〔【.
KK,
].
slMΦ , 。A) 。.
Φ _ _ _ f MΦ R Φ1.
disolM 饗 ).
__、
Φκ
r UE=
【一
ΦAΦκ
M 巳 9.
StK,
K ).
S〔1.
Φゆ IMI ε.
S{KK,
}.
S[匸MΦ,
Φ辯?
KΦ3M
Φ Ω Kl.
〔】.
Φ,Φ鼻MIK 【レM Φ。 Φ島〕 〔a)一
般固 有 値 問 題 の 場 含バ
繍ア
UR置
Ψ配
Ψ)凵
Pi E=
1.
K’
K=
ΨRΨ襲 s {IKK・
} s[Ψ yk) Ψ π Ψ1 且.
Ψ 爬噂 二茎
),
…
UE旨
1.
ΨRΨκ凵
E=
s〔K.
K〕冨
s〔聖.
ΨRVs [ E.
s〔KK つ昌
s〔1.
Ψ eΨk’
1
KΨ=
ΨA K・
・
〔1.
Ψ,
帽K 〔i.
v,
yk) ΨsΨk yLf {b〕 標 準固 有値 問 題の場合 図一
3 部 分空間と射 影 行 列,
般 逆行 列 との関 係 関 係を満 足する。
こ の 方 法で は,
低 振 動 数 域で剛体変位 が卓 越す る の で,
全 体 変 位か ら剛 体 変 位を減じると きに 丸め誤 差が混入 する可 能 性が高い c、
また,
剛体 加 速 度に関す る 〔7 )式か ら,
MUn (t
)=
Mdi,Φ島∫(t
)・
…
一・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
〔41) を得る。
図一一
3
〔a)に よ れば, 上 式の右 辺は,
任 意の外 力ベ ク トル を 剛体モー
ドが張る空間 R に射 影す る こ と に相 当し て いる。 こ の よ うに,
射 影 行 列と一
般 逆 行 列 を,
部 分 空 聞と対 応 付け て考え る ことにより,
剛 体 変 位 を含む構造 物 の振 動 応 答に関し ての本 質 的理解が容易に な る。
前 節お よび本 節に 示 し た方 法を 用い るこ とに よ り,
周 波 数解析 や直接 時 問解析に おい て も弾 性 変位と剛体 変 位 を分 離して求め ること が可 能と なり,
大 型 宇 宙 構 造 物な どの浮遊構 造 物の振 動 解 析におい て,
応 力や ひずみ を適 切に評価するこ と がで きる よ う に な る。
な お,
本 論に示 し た静 的 弾 性 変 位の算 定 手 法は,
動 的 闘 題の静 的 収 束解 と し て定 義し て い る こと,
お よび,
弾 性 変 位に対す る外 力を自己 釣合 外力 とし て解の存 在 条 件を常に満 足させ て い る こと が,
文 献21との差 異で ある。
5.
解 析例 本 論に示し た解 析 手 法の有 効 性を示すために,
図一
4 に示す よ う な単 純な例題 を対 象に,
周 波 数 応 答関数と イ ンパ ル ス応 答 を 算 定 す る。
こ こ で は,
全 長 30 m の 1次一 84 一
一
一
ip
、.
O.
・5mγ
.
7.
9V.P
E
.
2.
1、loTttm2 v=
1rs h=
0.
Ol 図一
4 解 析 例 題 概 念 図 元構造体を考え,
せ ん 断変形 を考慮 し た梁 要 素に よ り 6 分 割し た モデル を用い て い る、
質量行 列は整 合 質 量 行 列 を 採 用 し て い る。
各 部 材は直 径5cm,
材 長5m の密 実 材とし, 鋼 製 部 材を想 定し て栄位 体 積 重 量 7.
9t/m3,
ヤ ング係 数2,
ユXIOTt/m2,
ボア ソ ン比1〆3を 用いている。
また,
材 料 減 衰は複 素 減 衰の形で 1% を与えて い る。
こ れ ら の諸 元は,NASA
に よる フ リー
ダム に用い ら れ る構 成 部 材 を参考に設定し ている陶 。 解析は周波数 領 域 で行い,
時 間 刻 みO.
02
秒,
継 続 時 間80.
92秒 , 振 動 数 範囲 0−
25Hz と し た。 ま た,
加 振は構 造 物 中 央に材 軸 直 交 方 向に作 用さ せて いる。
インパ ル スカは時 刻0秒で,
r,Ot
(=
1/At )を与え て い る。
こ れ は, デ ィジ タル信 弓.
の意 味での イン パ ル スカに対 応する。
解 析 結 果につ いて は,
いず れも,
弾 性 変 位と剛 体 変 位に分 離して示す。
図 mtt20 て0
覆
篷
・襞
一
10一
20 mlt20 冊。
→ 。 変 位 伝 達 関 数
一
20 o 2 4 6 振 動 数 {a) 剛 体 変 位 8 10 o 2 4 6 8 振 動 数 (b)弾 性 変 位 図一
5 周 波 数応 答関数 10 Hz Hzm200016001200800400o m 20 15 10 5 0
−
5−
10−
15−
20 sec sec O 10 20 30 40 50 60 70 80 0 10 20 30 40 50 60 70 80 〔b}弾 性 変位 (a) 剛 体 変 位 図一
6 イン パ ル ス応 答 Osee 図一
7 弾性 変 位モー
ドの時刻歴応答 全 体 変 位 (m) goo 800 700 600 500 400 300 200 loo 0・
100 図一
8 全 体 変 位モ・
一
ドの経 時 変 化 40sec 30sec 20tSec 10sec Osec一
5に構 造 物 中心位置の並進周波 数 応 答 を示す。
図よ り,
低 振 動 数 領域で は剛体変 位が支 配 的であり,
比 較 的 振 動 数が高く なる と弾 性振 動 が 優 勢 と な るこ とが分か る。
図一
6に対 応す る イン パ ル ス応答を示す。
ま た , 図一
7に O〜
20秒の弾 性 変 位モー
ドの 時 刻歴推移を示す が,
時 間 の 経 過とと もに, 高 振 動 数 成 分が減 衰し,
10秒以降は 非 常に滑ら か な時 刻 歴 特 性 を有して い る,,
図一8
は,0
−
40秒の全体変 位モー
ドの推 移 を示 し た もの で ある。
こ れ よ り,
外 力 作 用 時か ら時間が経 過す る と, 全 体 応 答 に占め る弾 性変位の割 合が非常に小さ く な り,
弾 性 変 位 を直 接 誘 導する方 法を採H
し ない と弾 性 変 位が 剛体 変 位 の数 値 誤 差に隠れて しまうこ と が理 解で き る。 外 力が持 続 し て作 用する場 合に は,
こ の傾 向が顕 著と な る と考え ら れ る の で, こ う いっ た場 合に は,
本 論で示 し た弾性 変 位 抽 出 法が有 効とな る。
6.
ま と め 宰 宙 構 造 物の よう に弾 性 支 持さ れ ない 浮遊構造 物を対 象に,
弾 性 変 位を適 切に評 価す る線形振 動 解 析 手 法 を構 築する こ とを 目 的とし て,
剛 体 変 位と弾 性変位を 分離す るこ とに よ り,
弾 性 振 動に着 圏し た基礎式を誘 導し た。
本 幕 礎 式と モー
一
ド解 析 法との 等 価 性を示 す と と もに,
こ れ に基づい た,
周 波 数 応 答 解 析や直接 時 問解 析の方 法を 示し た。 また,
射 影 行列 と.
般 逆 行 列 を 用いて,
剛 体 変 位を含む線形 振 動問題の統一
的な議 論を行い,
弾 性 変 位に着 目し た支 配 方程式は
,
弾性モー
ドの張る部 分 空 間へ の射 影に相 当す る こ と を 示 し た。
また,
周 波 数 応 答 解 析 手 法に おい て重 要と な る静 的 弾 性 変 位の 評 価 方 法と し て,
反 射 型一
般 逆行列 を用い た手 法を提 案し,
動 的 解 析 と の連 続 性のあ る 静的 弾 性 変 位 解の誘 導 方 法 を示し た。 本 論で示し た手 法を用い ることにより, 浮 遊構造物に持 続 的 外 乱が作 用し た と きの応 力・
ひずみ を周波数応 答 解 析 手法 や 時 刻 歴 応答 解 析 手 法を用い て適切 に評 価する こ と がO∫能と な り,
従 来,
モー
ド解 析 手 法に限 定さ れが ち であっ た大 型 宇 宙 構 造 物の振 動解析手法に,
解 析 手 法 選 択の 自由 度を増す こ と がで き る。 結 果とし て,
両 解 析 手 法の既 往の蓄 積 を利用 す ること が可 能と なる。 大 型 宇 宙 構 造 物に対す るモー
ド解 析 法 適 用の限 界が幾つ か指 摘さ れ てい る現 状に あっ て, 周波数応 答解析手 法 や 時 刻 歴 応 答 解 析 手 法の適用口」.
能 性は, 将来の大 型 宇 宙 構 造 物の設 計に対す る振 動 解析 的解決を容易にする と考え られる。
本論で は
,
解 析の 対 象を字 宙 構 造 物に限 定し た が, 本 手 法は浮遊式 海 洋 構 造 物な どの他の構 造 物に も適 用 可 能 な の で,
今 後,
外 部 減 衰を 考 慮 し た問題や振 動 数 依 存 性 を有す る問題 につ いて検 討を行っ て い く予 定である。
ま た,
解析法が,
微小変形 範 囲で の剛体回 転の 除 去に制 約 さ れて いるの で,
今 後,
有 限な岡1」体回転も含めて考 慮で き る解 析 方 法を検 討して いく。
謝 辞 本 論を ま とめ る に当た り, ノー
ス ウコ
ー
ス タン大 学のT .Igusa
助 教 授 とは貴 重な議論を さ せて い た だきまし た。
こ こに,
記 して謝意を 表 し ま す。
参 考 文 献 ユ〕 名 取 通 弘 :宇 宙 構 造 物 工 学の概要,L
木学 会 論 文 集,
第 41〔1号,
pp,
1−
16,
]9892) Bathe
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andCimento,
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P.
;S{川 e Practlcal Proe.
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14,
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1613−−
1626,
1979 3) 古 田 裕 :有 限 要 素 法によ る幾 何 学 的 非 線形構造解 析 法 の現 状と課 題,
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1986の Browder
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Varying Systems,
29 th
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Structur“[Dynamlcs and Mnlerlals一一
86
−・
.
.
Conference
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