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平成 27 年度海外開発計画調査等事業 ( 進出拠点整備 海外インフラ市場獲得事業 ( インドにおける進出拠点開発に係る調査事業 )) 報告書 平成 28(2016) 年 2 月 新日本有限責任監査法人

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平成27年度海外開発計画調査等事業

(進出拠点整備・海外インフラ市場獲得事業

(インドにおける進出拠点開発に係る調査事業)

報告書

平成 28(2016)年 2 月

新日本有限責任監査法人

(2)

目 次 第 1 章 調査概要 ... 1 1-1 調査の背景と目的 ... 1 1-2 本報告書の内容と構成 ... 1 第 2 章 DMIC 地域における投資環境整備に向けた取り組み ... 2 2-1 本章の目的 ... 2 2-2 DMIC 構想の概要 ... 2 2-3 DMIC に関する日本側 19 案件の現状 ... 3 2-4 DMIC 地域における沿線開発の可能性の検討 ... 6 2-4-1 産業都市開発の進捗状況 ... 6 2-4-2 DMIC 地域における「日本工業団地」 ... 6 2-4-3 DFC の沿線開発と日系企業の進出の可能性 ... 7 第 3 章 CBIC 地域における投資環境整備に向けた取り組み... 9 3-1 本章の目的 ... 9 3-2 CBIC 構想と CBIC マスタープランの概要 ... 9 3-2-1 CBIC 構想の目的 ... 9 3-2-2 CBIC マスタープランの概要 ... 10 3-2-3 CBIC 案件の具現化に向けた取り組み ... 14 3-3 TNIPP 施策の進捗状況 ... 15 3-3-1 TNIPP の概要 ... 15 3-3-2 TNIPP の優先小規模インフラプロジェクト ... 17 3-4 カルナタカ州における開発施策の進捗状況... 19 3-4-1 カルナタカ州の投資環境 ... 19 3-4-2 カルナタカ州投資促進プログラム(KIPP)の進捗状況 ... 24 3-5 アンドラ・プラデシュ州に関する本邦企業のニーズ調査 ... 25 3-5-1 アンドラ・プラデシュ州の概要、州の産業 ... 25 3-5-2 アンドラ・プラデシュ州の投資環境 ... 28 3-5-3 アンドラ・プラデシュ州進出済・予定日系企業のニーズ調査 ... 29 第 4 章 メトロ・都市鉄道に関する調査 ... 31 4-1 本章の目的、構成及び方法論 ... 31 4-2 インド全土のメトロ・都市鉄道の基礎情報... 31 4-2-1 本節の目的 ... 31 4-2-2 供用中、建設中のメトロ・都市鉄道事業の分類 ... 31 4-2-3 都市ごとにみる供用中・建設中のメトロ・都市鉄道事業 ... 34 4-2-4 インドのメトロ・都市鉄道における円借款の活用状況 ... 41 4-2-5 メトロ・都市鉄道の関係機関と事業計画の策定プロセス ... 42 4-3 インドのメトロ事業における事業方式決定の考え方 ... 45 4-3-1 本節の目的 ... 45 4-3-2 各事業方式の採用状況と方式決定の基本的な考え方 ... 45 4-3-3 PPP 方式発行事例のケーススタディ:デリー空港線 ... 46 4-3-4 インドにおける他の PPP メトロ事業の現状と評価 ... 47 4-3-5 インドのメトロ事業における事業方式の考え方(まとめ) ... 48 4-4 官民ミッション又はセミナー開催候補となるメトロ・都市鉄道事業の選定 ... 49 4-4-1 本節の目的 ... 49 4-4-2 計画中のメトロ・都市鉄道事業 ... 49 4-4-3 ミッション候補となるメトロ・都市鉄道事業の選定基準 ... 52

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4-4-4 選定された6つのメトロ・都市鉄道事業と評価 ... 53 第 5 章 官民ミッション及び現地成果報告会 ... 57 5-1 本章の目的及び構成 ... 57 5-2 第 1 回官民ミッション ... 57 5-3 第 2 回官民ミッション派遣 ... 60 5-4 現地成果報告会 ... 61

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図リスト 図 2-1 DMIC 構想の概要 ··· 2 図 2-2 DMIC 地域における産業都市と所在地(赤線:DFC) ··· 6 図 2-3 DMIC 地域に所在する日本工業団地 ··· 7 図 2-4 インドにおける貨物専用鉄道の路線 ··· 8 図 3-1 インド南部における日系企業の拠点数の推移 ··· 10 図 3-2 CBIC マスタープランの概要 ··· 10 図 3-3 3 ヶ所のノードの立地 ··· 11 図 3-4 タミル・ナド州位置図 ··· 15 図 3-5 タミル・ナド州投資促進プログラムサブプロジェクト案一覧 ··· 18 図 3-6 ベンガルール近郊工業団地 ··· 24 図 3-7 カルナタカ州進出日系企業の推移 ··· 24 図 3-8 アンドラ・プラデシュ州地図 ··· 25 図 3-9 アンドラ・プラデシュ州の日系企業立地状況 ··· 26 図 3-10 アクションプランの実施状況に基づく 4 分類 ··· 28 図 4-1 インドにおけるメトロの年ごとの供用開始路線数(予定含む) ··· 34 図 4-2 インドにおけるメトロ・都市鉄道事業計画の承認プロセス ··· 42 図 4-3 インドにおける計画中のメトロ・都市鉄道事業が開発される都市の位置 ··· 49 図 4-4 選定された6都市におけるメトロ・都市鉄道事業のマッピング ··· 53

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表リスト 表 2-1 DMIC ファシリティ 19 案件の事業概要 ··· 4 表 2-2 DMIC 地域の MRTS 計画の進捗状況(2016 年 1 月現在) ··· 5 表 2-3 鉄道・道路の輸送量推移(単位:10 億トンキロ) ··· 7 表 3-1 重点開発地域の概要 ··· 12 表 3-2 優先プロジェクト一覧(インフラ・プロジェクト)··· 13 表 3-3 優先プロジェクト一覧(上表に関連する技術支援)··· 14 表 3-4 タミル・ナド州投資促進プログラム概要 ··· 16 表 3-5 TNIPP 政策マトリクス ··· 17 表 3-6 TNIPP 対象サブプロジェクト一覧 ··· 18 表 3-7 JCCIB の建議内容と州政府の対応状況 ··· 20 表 3-8 JCCIB の建議内容と州政府の対応状況(続き) ··· 21 表 3-9 インドの工業団地と他国の工業団地比較 ··· 22 表 3-10 インドにおける日本工業団地候補地一覧 ··· 22 表 3-11 世界水準工業団地建設に関するカルナタカ州における最近の進捗状況 ··· 23 表 3-12 ベンガルール周辺の日系企業進出済みまたは進出が有望視されている工業団地 ··· 23 表 3-13 新アンドラ・プラデシュ州の概況 ··· 25 表 3-14 アンドラ・プラデシュ州の主な日系企業集積地及び進出企業一覧 ··· 26

表 3-15 Industrial Development Policy 2015-2020 の概要··· 27

表 3-16 ”Single Desk Policy 2015-2020”の概要 ··· 27

表 3-17 ビジネス環境改革に向けた 98 項目のアクションプランの実施状況(%) ··· 28 表 3-18 分野別の達成度 ··· 29 表 3-19 実施されている主なイニシアティブ··· 29 表 4-1 インドにおける供用中のメトロ・都市鉄道事業 ··· 32 表 4-2 インドにおける建設中のメトロ・都市鉄道事業 ··· 33 表 4-3 インドの大都市におけるメトロの DPR 準備状況及び供用中・建設中の路線数 ··· 35 表 4-4 JICA によるインドメトロ・都市鉄道事業への円借款供与の実績 ··· 41 表 4-5 JICA によるインドメトロ・都市鉄道事業への円借款供与の実績(都市毎) ··· 42 表 4-6 インドにおけるメトロ・都市鉄道事業に係る関係機関の役割 ··· 44 表 4-7 インドにおけるメトロ事業と事業方式(2016 年 1 月現在) ··· 45 表 4-8 インドでの経験を踏まえた事業方式検討時に考慮すべきポイント ··· 48 表 4-9 インドにおける計画中のメトロ・都市鉄道事業(1/2) ··· 50 表 4-10 ナグプール・メトロの選定評価 ··· 54 表 4-11 ムンバイ・メトロ(2 号線・7 号線)の選定評価 ··· 54 表 4-12 チェンナイ・メトロ(フェーズ 2)の選定評価 ··· 54 表 4-13 ヴィジャヤワダ・メトロの選定評価··· 55 表 4-14 ボパール・メトロの選定評価 ··· 55 表 4-15 インドール・メトロの選定評価 ··· 55 表 4-16 選定された 6 都市におけるメトロ・都市鉄道事業と選定基準 ··· 56 表 5-1 第1回官民ミッション実施概要 ··· 58

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略 語 集

略語 正式名称 日本語訳

ADB Asian Development Bank アジア開発銀行

AP Andhra Pradesh アンドラ・プラデシュ州

BOT Build, Operate and Transfer ビルド・オペレート・トランスファ ー(PPP 事業方式の一種)

CBIC Chennai-Bengaluru Industrial Corridor チェンナイ-ベンガルール産業大 動脈

CIDCO City and Industrial Development Corporation of Maharashtra

マハラシュトラ州都市産業開発公 社

CMRL Chennai Metro Rail Limited チェンナイメトロ公社 DFC Dedicated Freight Corridor 貨物専用鉄道

DMIC Deli-Mumbai Industrial Corridor デリー-ムンバイ産業大動脈

DMICDC Delhi-Mumbai Industrial Corrior Development Corporation

デリー-ムンバイ産業大動脈開発 公社

DMRC Delhi Metro Rail Corporation デリーメトロ公社 DPR Detailed Project Report 詳細事業報告書 FIRR Financial Internal Rate of Return 財務的内部収益率

GJ Gujarat グジャラート州

GOI Government Of India インド中央政府 GRDP Gross Regional Domestic Product 地域総生産

HR Haryana ハリヤナ州

JICA Japan International Cooperation Agency 国際協力機構

JV Joint Venture 共同企業体

KA Karnataka カルナタカ州

KfW Kreditanstalt für Wiederaufbau ドイツ復興金融公庫

KL Kelala ケララ州

MH Maharashtra マハラシュトラ州

MIDC Maharashtra Industrial Development Corporation マハラシュトラ産業開発公社 MMRC Mumbai Metro Rail Corporation ムンバイ・メトロ公社 MMRDA Mumbai Metropolitan Region Development

Authority

ムンバイ都市開発公社

MP Madhya Pradesh マディヤ・プラデシュ州

MRTS Mass Rapid Transport System 大量輸送交通システム NIT Nagpur Improvement Trust ナグプール改善トラスト NMRCL Nagpur Metro Rail Corporation Ltd. ナグプール・メトロ公社 ODA Official Development Assistance 政府開発援助

PPP Public-Private Partnerships 官民連携

RS Rajasthan ラジャスタン州

SPV Special Purpose Vehicle 特別目的事業体

STEP Special Terms for Economic Partnership 本邦技術活用条件(円借款の供与条 件)

TN Tamil Nadu タミル・ナド州

TNIPP Tamil Nadu Investment Promotion Program タミル・ナド州投資促進プログラム

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第1章 調査概要

1-1 調査の背景と目的

インドは、油価の下落や中国経済の混乱等により世界経済がめまぐるしく変化するなかでも、安定 的に高い経済成長を続けている。2015 年 11 月 30 日、インド統計局が発表した 2015 年 7 月~9 月期 の GDP 成長率は、前縁同期比で 7.4%であった。内需の成長率も 7%を超え、過去 3 年半で最大の伸 びを記録している。 経済成長と動きと同調するかの如く、インドに進出する日系企業数は着実に増加を続けており、 2014 年 10 月時点で 1,200 社を超えた。2008 年 10 月時点の進出企業数は 550 社であったことからす ると、極めて急速な伸びといえる。日系企業進出の量的拡大を背景に、インドへの関心度や日本企業 による進出意欲は更に高まっている。 一方、道路や鉄道などの運輸、或いは電力などのインフラ整備は十分とはいえず、進出日系企業が 抱える課題は依然として大きい。十分なインフラが整備されていない状況は、インド側にとっても更 なる企業投資呼び込みの課題ともなっている。 こうした中で、我が国は日印両国の友好関係を通じ、国益を増進させるべく、本邦技術やノウハウ、 公的資金の活用を通じて、インドのインフラの整備に貢献することが期待されている。 現地進出日系企業のインフラ支援や我が国からの輸出や投資の促進を図ることで、我が国としても、 現モディ政権の開発イニシアティブである「メイク・イン・インディア(Make in India)」に協力す ることを明言、実施している。たとえば、「デリー・ムンバイ間産業大動脈構想(Deli-Mumbai Industrial Corridor, DMIC)」や「チェンナイ・ベンガルール間産業回廊構想(Chennai-Bengaluru Industrial Corridor, CBIC)」では、実際に面的開発の着実な実現に貢献している。 そうした中で、インド全土でメトロ・都市鉄道の整備が進められつつある。デリー首都圏では既に 総延長約 190km のデリーメトロが整備され、ムンバイやベンガルールなどで相次いで円借款の供与 を得てメトロの開発が進められたほか、多くの主要都市で新線の建設が浮上している。 日印の二国間関係上、対インドのインフラ整備支援が合意され、日本の成長戦略において、インド の巨大なインフラ開発ニーズを取り込むことが求められている。 かかる背景を踏まえて、本調査は、相手国政府及び企業関係者等との対話などを通じて、本邦企業 の進出拠点開発の推進に資することを目的として実施されたものである。

1-2 本報告書の内容と構成

本報告書の内容及び構成は、次のとおりである。まず、第 2 章では、DMIC 地域における日本政府 及び企業の実施している取り組み、特に 2012 年 10 月に経済産業省とインド商工省で合意した事業候 補 19 件について、その進捗状況を確認・整理する。 第 3 章では、CBIC 地域における調査として、CBIC マスタープランと 3 都市(タミル・ナド州(TN 州)ポンネリ、アンドラ・プラデシュ州(AP 州)クリシュナ、カルナタカ州(KT 州)トゥムクー ルの開発計画の進捗状況を確認・整理する。また、タミル・ナド州投資促進プログラム(Tamil Nadu Investment Promotion Pogram, TNIPP)施策の進捗状況を調査し、カルナタカ州における開発施策の進 捗状況、AP 州に進出或いは進出を検討している本邦企業のニーズに関する調査結果を示す。 第 4 章では、インド全土で計画中・検討中のメトロや都市鉄道事業について基礎情報について整理 すると共に、事業方式決定の考え方について考察を行う。加えて、今後日本の官民の協力対象として 有望なメトロ・都市鉄道事業の選定を行う。 最後に第 5 章では、第 4 章での選定された有望メトロ・都市鉄道事業における協力関係を醸成・強 化することを目的として実施されたインドにおける官民ミッション派遣及び現地報告会開催結果に ついて報告する。

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第2章 DMIC 地域における投資環境整備に向けた取り組み

2-1 本章の目的

本章では、2006 年 12 月の日印首脳会合において合意されたデリー-ムンバイ産業回廊(DMIC) 構想について、これまでの取組状況を概観する。具体的には、DMIC 構想を具現化するにあたり立ち 上げられた日印 90 億ドルのファシリティのうち、日本側の 45 億ドル事業候補の進捗状況を確認する。 また、DMIC 地域の軸であるデリー-ムンバイ間の貨物専用鉄道の進展に伴う沿線開発の可能性と日 系企業の参画方策について情報収集した結果を述べる。

2-2 DMIC 構想の概要

DMIC 構想とは、首都デリーとインド最大の都市であるムンバイ間に建設中の全長約 1,500km の貨 物専用鉄道(Dedicated Freight Corridor, DFC)の沿線に工業団地、物流基地、商業施設等の産業都市 を民間投資主体で整備する日印二国間フレームワークに基づく地域開発構想である。開発対象州は、 ウッタル・プラデシュ州、ハリヤナ州、ラジャスタン州、グジャラート州、マディヤ・プラデシュ州、 マハラシュトラ州の計 6 州であり、州により指定される 11 の投資地域(Investment Region)と 13 の 産業地域(Industrial Area)から構成される。この 6 州は、インド全土の面積の約 15%、総人口の 20% (2 億人)を占める。特に人口については、今後 30 年間で 3 割増すとの試算もある。こうしたこと から、同地域はインドの中心地域の一つといえる。 図 2-1 DMIC 構想の概要 出所:インド商工省作成 DMIC コンセプトペーパー(2007 年 8 月) インド商工省が作成した「DMIC コンセプトペーパー」(2008 年 7 月)によると、インド政府は DMIC 地域の開発を通じて、今後 5 年以内に雇用経済力を 2 倍、工業生産量を 3 倍、輸出量を 4 倍に 拡大させることを目標に掲げていた。DMIC 地域への支援は、第 3 章において取り上げる後述するチ ェンナイ-ベンガルール産業回廊(CBIC)構想への支援と同様、インドにおける産業発展とインド 政府が掲げるイニシアティブである「メイク・イン・インディア」を後押しする取組としても位置付 けられる。

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2-3 DMIC に関する日本側 19 案件の現状

2011 年 12 月、経済産業省と印商工省は DMIC 地域の発展に向け、90 億ドルの資金支援枠となる 「DMIC ファシリティ」の立ち上げについて合意した。また、その 1 年後の 2012 年 11 月には、同フ ァシリティのうち、日本側支援の 45 億ドルの対象となる候補事業 19 案件について支援することを合 意した。日印政府関係者は、これら案件の進捗等について半年に一度の頻度でモニタリングを行って いる。19 案件の事業概要は表 2-1 のとおりである。

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表 2-1 DMIC ファシリティ 19 案件の事業概要 分野 事業名(日本側企業) 事業概要・進捗状況 鉄道 1. アーメダバード市-ドレラ地区間鉄 道建設事業 表 2-2 参照。 2. デリー-マネサール工業団地-ニムラ ナ工業団地間の都市鉄道建設事業、 ※いわゆる、グルガオン-バワル 表 2-2 参照。 3. デリー近郊のダドリ-ノイダ-ガジア バード間の都市鉄道建設 表 2-2 参照。 4. ムンバイ近郊プネ市における都市 鉄道建設事業(東芝) マハラシュトラ州プネ地域のプネ中心部と北西部のヒンジャ ワディ工業団地を結ぶ 21.6km の都市鉄道(軽量鉄道)を整備 するもの。JICA による PPP F/S が終了(2013 年)。 水 5. ダヘジ海水淡水化・工業団地への水 供給事業(日立、伊藤忠商事、Hyflux 社(シンガポール)) グジャラート州ダヘジ地区の工業団地において、海水淡水化プ ラントを建設し、30 年間に亘り工業用水を安定的に供給する もの。 6. アーメダバード市からドレラ地区 への工業再生水供給事業 グジャラート州ドレラ特別投資地域へ飲料水・工業用水を供給 するもの。 7. オクラ下水処理場からニムラナ工 業団地への用水供給事業 日系企業が進出する、ラジャスタン州ニムラナ工業団地へ飲料 水・工業用水を供給するもの。 8. ナルマダ川からピタンプール工業 団地への用水供給事業 マディヤ・プラデシュ州ピタンプール工業団地へ飲料水・工業 用水を供給するもの。 電力 9. 太陽熱発電事業(三井造船) グジャラート州において、太陽光により蒸気を発生させる集光 型太陽熱発電プラントにて発生させた蒸気を供給することに より、既設発電プラントの燃料消費量等を削減し、再生可能エ ネルギーの利用促進を図るもの。 10. 再生可能エネルギー大量導入に対 応した電力系統安定化事業(日立製 作所) グジャラート州において、電力系統の安定化の基盤を整備し、 再生可能エネルギーの普及促進を図るもの。 11. 高効率ガス焚発電 IPP 事業(三菱商 事) マハラシュトラ州において、高効ガス焚発電所を建設するも の。 12. ガス焚発電 IPP 事業(丸紅) マハラシュトラ州において、ガス焚発電所を建設するもの。 13. ニムラナ工業団地を対象とした地 域電力・熱供給事業(三井物産、関 西電力) ラジャスタン州ニムラナ工業団地において、ガスエンジン発電 事業を実施し、電力供給の安定化を図るもの。 廃棄物 14. 携帯電話の廃品回収を通じた資源 再利用事業(日本環境設計) グジャラート州において、携帯電話・廃電子基板を買い取り、 収集し、高度なリサイクル技術により再利用し、廃棄物の適正 処理や環境負荷の軽減につなげるもの。 スマート コミュニ ティ 15. サナンド工業排水処理・再生水供給 事業(三菱重工) グジャラート州サナンド地区の工業団地において、スマートコ ミュニティ(マイクロ・グリッドによる電力供給、水供給・排 水処理、交通システム整備、廃棄物処理・発電の基幹インフラ 整備)を構築するもの。 16. マネサール工業団地を対象とした 地域電力・熱供給事業(東芝、東京 ガス、エネルギーアドバンスト) ハリヤナ州マネサール工業団地を中心にスマートコミュニテ ィ(エネルギー、水処理、ロジスティクス、ICT サービス等) を構築するもの。 17. 分散型インフラを活用したスマー トコミュニティ開発事業(日揮) マハラシュトラ州ウランガバードのシェンドラ工業団地にお いて、各種インフラ機能(飲料水、下水、交通等)を分散して 導入するもの。 物流 18. IT を利用した物流可視化管理事業 (NEC) 貨物コンテナをリアルタイムでトラッキングする共通物流情 報基盤を整備するもの。 19. 自 動 車 完 成 車 の 鉄 道 輸 送 事 業 (AFO)(双日、日新) 物流加工保税区と鉄道輸送を合わせた複合物流インフラ事業 を整備し、自動車輸送のモーダルシフトを図るもの。 出所:各社 HP、DMICDC 作成資料(2015 年 8 月)から新日本監査法人作成

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これらの 19 案件の中でも、日本が特に力点を置くメトロ・都市鉄道事業(大量輸送交通システム (Mass Rapid Transport System: MRTS)を含む)の進捗状況について、表 2-2 に示す。情報収集の結 果、鉄道案件の中でも表 2-2 の 3 案件について、インド側による DPR が作成中、あるいは、日本の 支援による追加調査が実施中であり、案件の組成が進んでいる点が確認できた。都市内のメトロ計画 に加え、大都市と周辺都市との都市間鉄道の需要も高まっており、日本企業の参画が期待される。 表 2-2 DMIC 地域の MRTS 計画の進捗状況(2016 年 1 月現在) 事業名・事業概要・事業進捗 関連図 1. アーメダバード市-ドレラ地区間鉄道建設事業 ■事業概要 グジャラート州の DFC 沿線から 100km 以内の立地に建設され、新規 にアーメダバードとドレラ特別投資地区を結ぶもの。所要時間は約 50 分である。総事業費は、約 700 億ルピーと見積もられている。 ■進捗状況 DPR が作成中である。ドレラ特別投資地域開発公社(DSIRDA)と DMICDC Trust により特別目的会社(SPV)が設置された。 2. デリー-マネサール工業団地-ニムラナ工業団地間の都市鉄道建設事業(グルガオン-バワル) ■事業概要 ハリヤナ州グルガオン-バワル間に総延長 108km の都市鉄道システム を建設することにより、増加する輸送需要への対応を図り、交通渋滞 の緩和と公害の軽減に寄与するもの。総事業費は、約 2,000 億ルピー と見積もられている。 ■進捗状況 JICA による協力準備調査が実施中である(グジャラート州政府が計 画の見直しを掲げていたため一時中断していたが、調査の再開が検討 されている)。ハリヤナ大量輸送公社(HMRTC)と DMICDC により SPV が設置された。 3. デリー近郊のダドリ-ノイダ-ガジアバード間の都市鉄道建設 ■事業概要 デリー近郊のウッタル・プラデシュ州ダドリ-ノイダ-ガジアバード 投資地区とデリーをつなぐもの。ダドリは、DFC の東西回廊の交差点 でもある。総事業費は、約 171 億ルピーと見積もられている。 ■進捗状況 グレーターノイダ公社と DMICDC が SPV 設置について合意した。 出所:各社 HP、DMICDC 作成資料、ニュースソース等から新日本監査法人が作成

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2-4 DMIC 地域における沿線開発の可能性の検討

2-4-1 産業都市開発の進捗状況 前述の通り、DMIC 構想とは、デリー-ムンバイ間に建設中の DFC 沿線に産業都市を形成し、DMIC 地域の産業開発を促進する日印共同の取組である。これは、DFC という線と産業都市という点を関 連付けることにより、対象 6 州における産業開発の面的展開を推し進める取り組みといえる。インド 政府は、商工省が作成したコンセプトペーパー等を踏まえ、第一段階として各州から提案された以下 7 つの産業都市(Industrial Cities)開発を進めている1。 図 2-2 DMIC 地域における産業都市と所在地(赤線:DFC) 出所:DMICDC 作成資料 図 2-2 が示す通り、いずれの産業都市も既設の旅客鉄道や国道沿いあるいは新設の DFC 沿線に隣 接し、特に①、②、④及び⑦は DFC の始終点あるいは沿線に計画される。それぞれの進捗状況につ いて関係者にヒアリングを行ったところ、2016 年 1 月現在、①、④、⑤及び⑥は工事着工段階にあ り、2016 年夏から秋にかけてテナント企業を募集予定とのことである。また、それら産業都市の基 礎インフラ開発は、施工価格の安さからインド建設会社が受注しており、残りの産業都市開発も同様 の施工体制で進むことが見込まれる。 2-4-2 DMIC 地域における「日本工業団地」 インド政府のイニシアティブにより進められる産業都市開発と関連し、日本政府のイニシアティブ により、「日本工業団地」(Japan Industrial Township)の開発も進められている。日本工業団地は、DMIC 及び CBIC 地域における日本からインドへの投資促進を目的として、2014 年 9 月の「日インド特別 戦略的グローバル・パートナーシップのための東京宣言」2において、その必要性が言及された。そ の後、2015 年 4 月の「日印間の投資貿易促進及びインド太平洋経済統合に向けたアクションアジェ ンダ」3において 11 の候補地が特定され、また、2015 年 10 月の「マディヤ・プラデシュ州への更な る投資と開発に向けた協働の取組に関する協力覚書」4において 12 番目の候補地が加わり、それぞれ 1 大半は、2 頁に記載した 11 の投資地域及び 13 の産業地域から各州 1 ヶ所が選定されている(MH 州は 2 ヶ所)。 2 日印首脳間で締結された。 3 経済産業大臣と印商工大臣との間で締結された。 4 経済産業大臣とマディヤ・プラデシュ州首相との間で締結された。

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開発に向けた準備が進められている。 図 2-3 DMIC 地域に所在する日本工業団地 出所:経済産業省、DMICDC の資料を基に新日本監査法人が作成 図 2-3 が示す通り、DMIC 地域における日本工業団地は DMIC 対象 6 州から提案された産業都市と 同じ地点も含まれている。そのため、日印双方が連携して開発を進めていくことが求められる。 2-4-3 DFC の沿線開発と日系企業の進出の可能性 インドでは、データは古いが、表 2-3 が示すとおり、道路(トラック輸送)が輸送分担率の高い割 合を占めており、インド物流の中核輸送力である状況は、今日もさほど変わらないといえる。 表 2-3 鉄道・道路の輸送量推移(単位:10 億トンキロ) 1950-51 1960-61 1970-71 1980-81 1990-91 1999-00 鉄道 44 88 127 159 243 302 道路 5 27 77 145 503 800 計 49 115 204 304 746 1,102 出所:日通総合研究所論集 2009.6、インドの道路輸送と貨物新幹線計画 途上国における長距離輸送の課題として、道路整備が不十分であること、適切なメンテナンスがな されていないこと、州越境時の手続きに時間を要すること、燃料輸入国にとって高い燃料代がかかる こと、国土が広大な故に過酷であること等が挙げられる。インドもその例外ではない。しかし、その ような状況においてもインドにおいて鉄道利用率が低い理由として、貨物用の輸送ダイヤがなく、旅 客輸送が優先されてきたことが挙げられる。そのため、貨物輸送専用の鉄道が建設され輸送ダイヤに 則って運行されることは、道路から鉄道への輸送力のシフトを促す画期的なインフラ整備であるとし て、インド国内で報じられている5 5

Bubiness Today 誌(http://www.businesstoday.in/current/policy/ railways-to-come-out-with-time-table-for-freight-operation/ story/222578.html)

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図 2-4 インドにおける貨物専用鉄道の路線 出所:国土交通省 HP DFC は逼迫する鉄道貨物輸送能力を増強するため、インドの主要な消費地・生産拠点である首都 デリーと東西の玄関港であるムンバイ及びコルカタ並びに東南アジアとの玄関口である南東部チェ ンナイをそれぞれ結ぶ路線が計画され、現在東西回廊の開発が先行して進められている。デリーとム ンバイを結ぶ西部回廊は日本の有償資金協力により、本邦技術活用条件(STEP)による調達が進め られている。 前述の通り、DFC の沿線には産業都市あるいは日本工業団地が点在しており、DFC との相乗効果 が期待される。DFC が運搬する貨物の大半はインド企業のそれが占めると見込まれているが、イン ド企業と連携を強めることにより、日系企業にとって新たなビジネスチャンスが生まれる可能性も考 えられる。その可能性を確認するため、DFC の運行を見据えた DMIC 地域におけるビジネスの関わ り方について、現地に進出する日系の物流業者、メーカー、ディベロッパー、建設業者等を対象にヒ アリングを実施した。本調査にてヒアリングを実施した数は限られおり、それを持って DFC に関す るビジネス機会を包括的にまとめることはできない。しかし、ヒアリングを通じて、その可能性及び 課題について、有益な示唆を得ることができた。また、DFC の運行はインド北西部の物流コストの 改善につながり、運行に期待を寄せる日系企業が多い点も確認することができた。

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第3章 CBIC 地域における投資環境整備に向けた取り組み

3-1 本章の目的

本章においては、2011 年 12 月に日印首脳会合において合意されたチェンナイ-べンガルール産業 回廊(CBIC)構想に関する、これまでの日印の取組状況を概観する。具体的には、2015 年 7 月に完 成した CBIC マスタープラン及び 3 都市の開発計画、有償資金協力により実施中の「タミル・ナド州 投資促進プログラム(TNIPP)」の施策の進捗状況及びカルナタカ州における投資環境整備に係る施 策の進捗状況の確認を行う。また、新たな投資先として注目されているアンドラ・プラデシュ州につ いて、投資促進政策や投資環境整備の状況を整理する。

3-2 CBIC 構想と CBIC マスタープランの概要

3-2-1 CBIC 構想の目的 CBIC 構想の開発は、第 2 章で扱った DMIC 構想と並び、日印の二国間協力の柱に位置付けられて きた。同構想は、インド南部の産業大動脈(約 560km)の構築を進め、進出する本邦企業を初めとす る製造業の投資環境整備を推し進めることを目的とする。同構想を具現化するため、2012 年に日本 側の協力として JICA による CBIC マスタープラン(「南部インフラ開発マスタープラン策定協力準備 調査」)策定のための事前調査が実施され、さらに 2013 年から約 2 年間にわたり本格調査が実施され、 同マスタープランは 2015 年 7 月に完成した。 後述のとおり、CBIC マスタープランでは、インド南部の中・長期的かつ包括的な開発ビジョンが 示されている。2011 年に策定されたインドの「国家製造業政策(National Manufacturing Policy)」は、 2022 年までに GDP に占める製造業の割合を 1980 年代から横ばいの 16%から 25%まで拡大する目標 を掲げており、同マスタープランの提案の具現化は、この国家目標の達成を後押しするための投資環 境整備を進めるものである。「国家製造業政策」では、以下 6 つの目標を掲げられており、CBIC 構 想を進めるに当たっても、これら目標を達成するための工夫が求められる。 ・ 中期的に製造業を 12%-14%成長させる。 ・ 2022 年までに 1 億の追加的雇用を創出する。 ・ 貧困層の就業能力向上に取り組む。 ・ 付加価値と技術志向を向上させる。 ・ 国際競争力の向上を図る。 ・ 環境持続的な成長を実現する。 インドにおける日系企業の進出は年々拡大傾向にあり、同国南部の州における拠点数は表 3-1 のと おり 1,300 件を超えている(2015 年 1 月現在)。特に、東南アジアとの玄関口であるチェンナイ港が 位置するタミル・ナド州における拠点数は他州と比較して多く、次いでカルナタカ州の順となってい る。また、絶対数は及ばないが、アンドラ・プラデシュ州への進出件数が 6 年間で約 10 倍に増加し ている点も注目に値する6。また、2012 年から 2013 年にかけて、南部における拠点数は 1.5 倍に増加 したが、これはこの時期に日系自動車メーカーがそれぞれチェンナイに進出したことにより、多くの 関連会社も進出したことが要因であると考えらえる7 このような近年の日系企業の拠点数の増加は、インド南部が有力な投資先となっていることを示し ている。一方で、後述のとおり、各州では行政手続き面やインフラ整備面の課題が顕在しており、よ り一層の投資環境面の改善が必要とされている。 6 これは、アンドラ・プラデシュ州分離前のデータに基づく記述である。2014 年 6 月、アンドラ・プラデシュ州が分 離し、新たにテランガナ州がインド 29 番目の州として誕生した。日系企業の多くが進出するハイデラバードは、 テランガナ州の州都となるとともに、アンドラ・プレデシュ州の新州都が形成されるまでの今後 10 年間は、2 つの 州の共同州都となった。 7 自動車メーカーが 1 社進出する毎に、30~50 社の関連企業が進出すると言われている。

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図 3-1 インド南部における日系企業の拠点数の推移 出所:JETRO 作成資料 3-2-2 CBIC マスタープランの概要 CBIC マスタープランは、インド南部の二大都市圏であるタミル・ナド州都チェンナイとカルナタ カ州都べンガルール間を基軸とし、アンドラ・プラデシュ州等の周辺地域も含めた経済連結性の強化 を目的として、今後 20 年間(2014 年~2033 年)の包括的な地域開発計画の策定、重点開発地域(ノ ード)の選定及び個別プロジェクトの優先順位付けを行った。同マスタープランの概要を図 3-2 に示 す。 図 3-2 CBIC マスタープランの概要 出所:JICA 作成資料に基づき新日本監査法人作成

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各ノードの選定に当たっては、国家目標達成のため、電子機器、自動車、機械、製薬、食品加工、 繊維等の主要セクターの拡大を念頭に、既設及び計画された道路網や港湾等のインフラとの連結が重 視され、インドの中央・州政府関係機関との協議を経て、最終的に以下 3 つの地点が選定された。 ・ ポネリ(Ponneri)(タミル・ナド州) ・ トゥムクゥル(Tumakuru)(カルナタカ州) ・ クリシュナパトナム(Krishnapatnam)(アンドラ・プラデシュ州) これら 3 地点は、経済産業省がインド商工省との間で進める、日本からインドへの投資を促進する ための「日本工業団地」開発の 12 の候補先に含まれる。 既設インフラとの接続性や立地条件等を踏まえて選定された 3 つのノードの概要を表 3-1 に示す。 CBIC マスタープランでは、各州の主力産業に加えて新たな有望産業(Sunrise Sectors)を特定し、各 ノードの特色や優先付けを明らかにした点が特徴的である。 各ノードの立地は、図 3-3 のとおりである。現在、ノードの立地が特定され用地取得が進められて おり、その後、ノード内のインフラ整備や周辺の既設インフラとの連結が段階的に進められることと なる。ノード内のインフラ整備については、電源、水等の確保が必要となる等、不確定要素も点在す る。しかしながら、各州は日本工業団地の建設に意欲的であり、ノード開発を進めるにあたり、州政 府が用地取得や手続きの円滑化の面で適切なリーダーシップを発揮することが期待される。 図 3-3 3 ヶ所のノードの立地 出所:JICA

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表 3-1 重点開発地域の概要 ノード名 ポネリ トゥムクゥル クリシュナパトナム 州 タミル・ナド カルナタカ アンドラ・プラデシュ 面積 約 4,200ha 約 4,800 約 4,900ha 州の日系企業既進出数 225 社(577 拠点) 182 社(395 拠点) 35 社(257 拠点)8 州の日系企業進出事例 日産、東芝、コマツ、ヤ マハ、パナソニック、自 動車部品等 トヨタ、ホンダ(二輪)、 横河電機、日清食品、自 動車部品等 いすゞ、コベルコ、エー ザイ、自動車部品等 主要産業 自動車 自動車部品 石油・化学 機械 精密機器 自動車部品 精密機器 繊維 製薬 食品加工 食品加工 金属 電気機器 石油・化学 繊維 今 後 想 定 さ れ る 有 望 産 業 (Sunrise Sectors) 金属 電気機器 電気機器 宇宙航空 自動車 機械 我が国による投資環境整備 支援(財政支援) 「タミル・ナド州投資促 進プログラム」(有償資 金協力)を供与済み。 JICA にて組成中。 -出所:在インド日本大使館・JETRO 作成資料、JICA 作成資料等に基づき新日本監査法人作成 CBIC マスタープランの策定を通じて、各ノードと周辺地域との連結性を高めるためのさまざまな インフラ整備計画が特定された。また、同マスタープランでは、各インフラ整備計画の検討状況等も 踏まえ、表 3-6 のプロジェクトが優先度の高い案件として選定された9 8 分離したテランガナ州の進出数を含む。 9 優先プロジェクトには建設中のプロジェクトも含まれるため、最終的に 35~36 件となったとのことである。

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表 3-2 優先プロジェクト一覧(インフラ・プロジェクト) No. セクター インフラ・プロジェクト名 留意点 1 港湾 チェンナイ港メガ・コンテナ・ターミナル整備 -2 チェンナイ港 RORO バース及び立体駐車場整備 -3 スリペルンブデュール ドライポート整備 -4 道路 チェンナイ港第 2 コンテナ・ターミナル東側湾岸道路整備 -5 港湾 チェンナイ港メガ・コンテナ・ターミナル水域施設及び水路整備 -6 エンノール港コンテナ・ターミナル整備 -7 エンノール港マルチ・カーゴ・ターミナルの整備 -8 鉄道 チェンナイ‐グドゥール路線ミンジュール鉄道駅北‐エンノール港間接続鉄 道整備) -9 エンノール港アバディ‐ティルバルール間接続鉄道整備 -10 チェンナイ‐ベンガルール間鉄道線路改良整備 -11 スリプルムブドゥール‐オラガンダム経由アバディ‐グドゥバンチェリー間 接続鉄道整備 -12 チェンナイ‐ベンガルール間高速鉄道整備 -13 チェンナイ‐ベンガルール間貨物専用鉄道整備 -14 道路 エンノール港北アクセス道路整備 JICA 協力中10 15 チェンナイ外郭環状道路フェーズ 2 -16 チェンナイ周辺環状道路整備(ママラプラム‐エンロール間) JICA 協力中11 17 ムルバガル‐アンドラ・プラデシュ州境界間 NH4 4 車線化 -18 カルナタカ州ホスコテ‐ドバスペット間 NH207 4 車線化(NHDP フェーズ 4) -19 アンドラ・プラデシュ境界‐チットゥール間 NH4 4 車線化 -20 ベンガルール‐チェンナイ間高速道路整備 -21 チドール‐レニグンタ間 NH18A 及びレニグンタ‐ナイデゥペタ間 SH61 4 車 線化 -22 空港 スリペルンブドゥール新空港整備 -23 道路 ベンガルール周辺環状道路整備 事前通報済12 24 衛星都市環状道路(STRR)、ベンガルール及び個別都市環状道路 印側が JICA 支援要望 25 流通 ヴェサンスナーサプラ及びハロハリのロジスティックパーク整備 -26 港湾 車両輸出港増設 -27 水 海水淡水化プラント建設事業(ネメリ) -28 水 海水淡水化プラント建設事業(ペルール) JICA 協力中13 29 水 チットール上水道整備 -30 水 エティナホール地方給水整備 印側が JICA 支援要望 31 鉄道 ジョラーペタイ‐ホスール間鉄道整備 -32 物流 Logistics nodes contingent on the alignment -33 道路 チェンナイ港‐マドラボヤル間 4 車線高架道路整備 -34 鉄道 トゥンクール‐ダバンジェレ間鉄道整備 -35 水 タミル・ナド下水再利用施設整備 -36 水 カルナタカ下水再利用施設整備 -37 水 アンドラ・プラデシュ下水再利用施設整備 -38 水 チェンナイ下水処理施設整備 -39 電力 タミル・ナド発送電整備 -40 電力 カルナタカ発送電整備 -41 電力 アンドラ・プラデシュ発送電整備 -42 投資環 境 民間工業団地・スマートシティ整備 -出所:JICA 資料に基づき新日本監査法人作成 10 2016 年 2 月現在、JICA 協力準備調査が実施中。 11 2016 年 2 月現在、JICA 協力準備調査が実施中。 12 2015 年 12 月、安倍総理のインド訪問時に事前通報がなされた。 13 2016 年 2 月現在、JICA 協力準備調査が実施中。

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表 3-3 優先プロジェクト一覧(上表に関連する技術支援) 分野 技術支援名 留意点 1 港湾 港湾オペレーションの改善に係る技術支援(チェンナイ港、エンノール港) JICA 協力中 2 電力 効率的な発電及び電力供給に係る調査 -3 鉄道 在来線オペレーションの改善に係る技術支援 -4 許認可 ・手続 ビジネス・プロセス・リエンジニアリング -5 道路 都市部における効率的交通マネジメントに係る調査・技術支援(ITS 等) JICA 協力中 出所:JICA 資料に基づき新日本監査法人作成 表 3-2 では、運輸・交通分野のネットワークの構築や強化を目的とした道路や鉄道案件が多数リス トアップされている。加えて、工業団地向けの水や電力事業も含まれている。このリストに示された プロジェクトの内、我が国は、在タミル・ナド、カルナタカそれぞれの日本商工会議所の意見等も踏 まえ、物流のボトルネックの解消や飲料水・工業用水の不足を補うため、道路網整備や海水淡水化に 焦点を当てて支援を実施中である。 表 3-2 の中には、DMIC 地域にて日本の支援により先行する高速鉄道整備や貨物専用鉄道整備等の 案件が含まれていることから、CBIC 地域においてこれら計画が具現化される際には、DMIC 地域に おける鉄道インフラの技術やノウハウを踏まえた検討が進められることが期待される。 3-2-3 CBIC 案件の具現化に向けた取り組み 2015 年 12 月の日印首脳会談において、CBIC マスタープランの完成が歓迎され、CBIC 構想を具体 的実施という次の段階へと進めることについて同意がなされた。このことが示すとおり、インドでは 各ノードの開発及び個別プロジェクトの実施に向けた取り組みが始まろうとしている。 CBIC マスタープランでは、各ノードと個別プロジェクトの必要性や立地が明らかとなったが、そ れらのフィジビリティについては今後詳細に調査する必要がある。また、それぞれの開発計画の実施 に日本を含め、官民がどのような方法で関わっていくのか、資金調達はどのように行っていくのか等 について検討していく必要がある。

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3-3 TNIPP 施策の進捗状況

3-3-1 TNIPP の概要

タミル・ナド州は、 2012 年 3 月に、「Vision Tamil Nadu 2023」により、同州が 2023 年までに目 指す姿を示した。このなかには、2012 年から 2022 年までの 11 年間の州の GDP 成長率を 11%とする 目標として掲げている。また、2023 年には州民一人当たり所得を現在の 6 倍の 45 万ルピーに増加さ れるなど、野心的な目標を掲げている。 図 3-4 タミル・ナド州位置図 出所:新日本監査法人作成 このような成長を実現するため、同州は民間からの投資誘致の重要性を認識しており、積極的な投 資誘致を行う方針である。加えて、投資環境整備の推進についても積極的に進めている。 JICA では、このようなタミル・ナド州の取組への支援の一環として、タミル・ナド州投資促進プ ログラム(Tamil Nadu Investment Promotion Program, TNIPP)を実施している。TNIPP は、Vision Tamil Nadu 2023 に示されたタミル・ナド州の政策方針のうち、特に投資誘致・投資環境整備に関する取組 を支援するものとなっている。同プログラムは、後述の「政策アクション」の実施促進を行う一般財 政支援である。同プログラムの概要は、以下のとおりである。

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表 3-4 タミル・ナド州投資促進プログラム概要

案件名 タミル・ナド州投資促進プログラム (Tamil Nadu Investment Promotion Program, TNIPP)

借款契約調印日 2013 年 11 月 12 日 承諾金額 130 億円

借入人 インド大統領

事業実施機関 タミル・ナド州政府財務局(Finance Department, Government of Tamil Nadu) 事業の目的 本事業は、インド南部タミル・ナド州政府において、投資を促進する政策・制 度の改善を促すとともに、主に道路、電力、上下水道等のインフラ整備プロジ ェクトの早期実施を促進することで、同州投資環境の整備を図り、もって同州 に対する海外直接投資の増加を図る。 プロジェクトサイ ト/対象地域名 タミル・ナド州チェンナイ市及び周辺地域

事業概要 本事業では「Vision Tamil Nadu 2023」にて掲げられている政策方針のうち、主に ①投資環境整備に資する政策・制度・手続きの改善、②道路、電力、上下水道 等のインフラ整備への取組みにつき、2012~2014 の各年度に達成すべき政策ア クションを政策マトリクスとして整理し、本借款の各トランシェに結び付けて その達成を同州政府と JICA の双方でモニタリングを行うことで同マトリクス の達成を促進する。特に本邦企業をはじめとする海外投資家からの要望が大き い小規模インフラプロジェクトについては、小規模インフラプロジェクト特別 委員会を設立し、この委員会が特定した優先度の高いインフラ整備に対して優 先的に予算を措置するとともに、遅延が生じないよう同委員会が適切に進捗管 理を行うこととなっている。政策アクションにおいても、小規模インフラプロ ジェクト特別委員会がプロジェクト管理マトリクスを作成し、整備に向け迅速 な対応がなされるよう実施管理・促進することが設定されている。 事業実施体制 各政策アクションは州政府の各担当部局が遂行する。政策アクションの進捗状 況は、タミル・ナド州財務局首席次官(Principal Secretary)を委員長とし州政府 関係部局の次官(Secretary)を委員とする計画モニタリング委員会(Program Monitoring Committee)により原則四半期に 1 度確認され、その結果が JICA に 報告される。JICA は年度初めの計画モニタリング委員会にて、前年度の政策ア クションの達成状況の評価と次年度のアクションの合意を行う。当該委員会の 開催等の調整及び JICA との窓口は、財務局内に設置される計画実行ユニットが 担当する。 出所:JICA 事前事後評価表を基に新日本監査法人作成 TNIPP において、タミル・ナド州政府が取り組んでいる政策に係る目標及び主要政策アクションを マトリクスの形にしたのが下表である。

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表 3-5 TNIPP 政策マトリクス 政策 目標 主要政策アクション インフラ プロジェ クトの調 整と優先 順位づけ ・関連規制部局の次官が委員となるタミル・ナド 州インフラ開発委員会 (TNIDB) がプロジェクト の優先順位づけと部局間調整を行い、プロジェク ト実施を加速する。 ・TNIDB の設立を定める州法が成立する ・小規模インフラプロジェクト特別委員会を設立 し、委員会が特定した優先度の高いインフラ整備 に対して優先的に予算を措置すると共に、遅延が 生じないよう同委員会が適切に進捗管理を行う。 ・優先小規模インフラプロジェクトが進捗管理 表に沿って実施促進される 投 資申請 プロセス ・投資申請プロセス、関連規制やその運用につい て包括的な見直しを行うBusiness Process Reengineering (BPR) 調査を通して、投資申請プロ セスの改善を行う。 ・BPR 調査の提言に基づいたアクションプラ ンが策定される 投資家の ためのシ ステム統 合 ・投資家向けのトラッキングシステムにより投資 申請プロセスの透明性を高め、投資家の満足度向 上につなげる。 ・関係部局と必要な協議を行った上でトラッキ ングシステムの仕様が起案される 中小企業 向けビジ ネス環境 整備 ・中小零細企業の投資課題に係る調査結果に基づ いて商工業総局 の機能が中小零細企業のシング ルウインドウとして強化される。 ・中小零細企業の投資課題に係る総合調査が実 施される ・中小零細企業がオンラインで利用できる投資ガ イドや投資システムが構築され、中小企業の投資 手続きの負担が軽減される。 ・海外の中小零細企業投資家のための情報提供や ワークショップが行われる。 ・中小零細企業向けの投資ガイドブックがオン ライン上で公開される 人 的資源 開発 ・包括的な技能開発アクションプランが実施され、 投資家の労働力需要への対応に貢献する。 ・タミル・ナド州技能開発の総合的な長期アク ションプランが発表される Land Pooling 制度 ・地主に対して州道小規模港湾局が購入した土地 による補償を実施できるようになり、Land Pooling 制度の活用によりインフラ開発が加速される。 ・タミル・ナド州道路法改正が最終承認される マスター プラン策 定/土地用 途変更 ・土地計画マスタープランを新たに策定し、適切 に工業用地を定めることで用途変更が短縮され工 業投資が容易になる。 ・フェーズI のマスタープランが完成し、官報 にて公開される 出所:JICA 事前事後評価表 3-3-2 TNIPP の優先小規模インフラプロジェクト (1)小規模インフラプロジェクト一覧 前項に記載の「小規模インフラプロジェクト特別委員会」は、TNIPP における優先小規模インフ ラプロジェクトをリストアップしている。そのリストに特定された TNIPP のサブプロジェクト 4 分野 14 件の一覧は、以下のとおりである。

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表 3-6 TNIPP 対象サブプロジェクト一覧 電力改善 A1 OMEGA 230kV substation A2 OMEGA 110kV substation エンノール港へのアクセス改善 B1 NCTPS Road

B2 Attipattu Rail Over bridge B3 TPP Road

物流改善

C1 Madhavaram Truck yards C2 Manjambakkam Truck yards C3 Karunakarancheri logistics park C4 Irungattukottai Track yards 上下水改善

D1 TTRO plant at Koyambedu

D2 Koyambedu Pipeline conveying to SIPCOT industrial areas D3 Nemmeli Pipeline for OMEGA

D4 Shilinganallur STP D5 Villivakkan STP 出所:JICA 上記の 14 案件は、(i) 東芝 JSW が大型タービンの輸出にあたって必要となるエンノール港へのア クセス道路等の整備、及び(ii) 日系企業の開発する工業団地(ワンハブチェンナイ(OMEGA 工業団 地)、双日マザーソン工業団地)への給水・変電所建設などが含まれる。これら各プロジェクトとそ の主なサービス提供先をマップで示したのが次図である。 図 3-5 タミル・ナド州投資促進プログラムサブプロジェクト案一覧 出所:JICA

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3-4 カルナタカ州における開発施策の進捗状況

3-4-1 カルナタカ州の投資環境 ここでは、TNIPP の比較対象として、カルナタカ州における投資環境整備の取り組みについて整理 する。具体的には、同州における最新動向として、バンガロール日本商工会の建議書活動、世界水準 工業団地建設プロジェクト、既存の工業団地における取組の概要を示す。 (1)バンガロール日本商工会の建議書活動 カルナタカ州では、バンガロール日本商工会(JCCIB)が、現地州政府との間で、年に数回程度、 定期的に建議書による要望事項の取組状況に関する対話を行っている。その「建議内容」及び「州 政府の対応状況」に関する対応状況を表示すると、以下のとおりである。

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表 3-7 JCCIB の建議内容と州政府の対応状況 項目 建議内容 州政府の対応状況 【開発計画・産業政策の策定】 - ・策定が遅延している州の開発計画・産 業政策の早期の策定。 ・2014年10月に新しい産業政策(政策期間2014~2019 年)を公表済。 【行政手続きの整備・改善】 ワンストッ プサービス 導入 ・一元的な情報管理体制の整備。 ・海外投資家向けの相談窓口の設置。

・州の投資誘致機関(Karnataka Udyog Mitra/KUM)内 に、ジャパン・ヘルプデスクを設置済。 ・KUMによる民間の工場用地、工業団地 情報の一元管理と開示。 ・州政府産業コミッショナーがカルナタカ州工業団地 開発局(KIADB)に対して検討を指示。 ・その後、民間の所有する不動産情報の一元管理は困 難との回答。 SWC手続 きの整備 ・現状もKUMを唯一の窓口として投資許 認可申請を行うことが可能。ただし、SWC (Single Window Clearance)が機能するの は申請の受付までで、その後の州の関係 部局との調整は投資家自らが実施しなけ ればならず改善が必要。 ・オンライン申請ポータル(e-Udyami)を2013年2月に開 設済。 ・環境申請、電力利用申請等についてもオンライン上 で一元的に行うことのできるようにシステムの統合作 業中。 土地取得手 続きの簡略 化 ・土地所有権に関し、従前は10年間のリ ース期間終了後に所有権を取得可能であ ったが、制度変更がなされ、10年間の経 過後は最大30年間までのリース契約の延 長のみが可能となった。しかし、30年間 経過後の扱いが不透明であり、州政府に よる制度化が必要。 ・土地リース期間を最大99年間に延長することを決定 済。 ・KIADBが、インフラ(工業団地内に第 三次処理水を供給するためのパイプ)の 整備資金の財源確保のために、土地リー ス価格を引上げた。契約締結済の企業に も適用されるもので許容できない。 ・例外的な事例を除いて、今後は土地のリース価格を 吊り上げないことを確約。 その他個別 の認可手続 きの改善 ・KIADB等の州政府系の機関が開発した 工業団地に立地する場合には、工場建設 に係る消防省からの同意書(NOC)の取 付けを不要とするよう要請。 ・州政府の産業コミッショナーがKIADBに対して検討 を指示。 ・日本側は、KIADB、KSIIDCなどが開発する工業団地 に入居する企業(建物の高さ15m以上)には、消防省 からのNOCを不要とするよう要請。首席次官は、本措 置を廃止するように、関係者に指示した。ただし、防 火装置措置の遵守は、企業が責任をもって行うことに なる。 ・工場建設に係る地方自治体(パンチャ ヤット)からの認可取得の一元化を要請。 ・州政府はKIADBによる代行が可能であると回答。 ・その後、州政府としてはパンチャヤットの認可権限 を剥奪することは困難であると回答。その代わりに、 KIADB内にパンチャヤット専任の担当者を配置を検 討したいとの由。 ・建坪2万平方メートル以上の工場を建設 する場合に必要な州環境影響評価局 (SEIAA)からの承認取得の廃止。州の汚 染管理局(PCB)からの同意(CFE)取得 で足りるのではないか。 ・州政府としては中央政府(中央政府汚染管理局)の 所管事項との見解。(本件管轄が中央政府ゆえ、州政 府では解決できない。) ・工場の建物建設に対する目的税徴収 (Building and Other Construction Worker’s Welfare Cess)の適用除外。工場法で認可 された工場建設は、州の裁量で非課税扱 いにできるとされている。 ・州政府の産業コミッショナーがKIADBに対して検討 を指示。 ・建物の建設に対して、1%の目的税の支払いがあるが、 工場法で認可された工場建設は、州の裁量で、課税し なくてもよいとされている。首席次官から、KIADBに 対して検討を指示。 出所:各種資料に基づき新日本監査法人作成

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表 3-8 JCCIB の建議内容と州政府の対応状況(続き) 項目 建議内容 州政府の対応状況 その他個 別の認可 手続きの 改善(続 き)

KIADBからの用地取得契約 ・契約金額が暫定(tentative premium)であることに対 して、5-10%を上限とし、増額期限も設けることを検 討中。

工業団地周辺の居住区の開発 ・工業団地1000エーカーにつき、10%の居住用の用地 を確保すると表明。

PESO(Petrol & Explosives Safety Organization) 認可 ・燃料貯蔵施設設置のNOC取得に時間がかかりすぎる ので、改善を要請。具体的に問題があれば、個別に相 談するよう回答。 KIADBの土地割当手続きに関する手続きの 簡素化を提案

首席次官はKSIIDC(Karnataka State Industrial and Infrastructure Development Corporation)社長に調査を指 示

【道路整備】 新設道路 の整備

・Satellite Town Ring Road

・国道209号線(NICEロードからハロハッリ 工業団地区間)

・目立った進捗はなし。州政府は各プロジェクトの進 捗をJCCIBに報告することを約束。

・Magadi-Tumkur Road: KSHIPプロジェクトの一環で進 展中。本年12月に完成予定。全長360kmのうち260㎞分 (6000エーカー)の用地取得が必要。

・Peripheral Ring Road(JICA支援案件) ・用地取得の費用負担について、州政府と中央政府間 で協議中 ・マルール経由国道4号線と国道7号線の接続 ・日本側より、州政府に改めて整備を要請。州政府と して検討する旨回答あり。 既設道路 の拡幅・ 補修 ・国道207号線の拡幅 ・国道209号線の拡幅 ・国道4号線のTumkur近郊のメンテナンス不 良 ・国道4号線は補修済。

・NH207(Tumkur Road- Hoskote)は、60%用地収用済 み。2年後に完成見込み。 ・NH209拡張(NICEロードからカナクプラ)は、ベン ガルールからカナクプラまでの必要用地の60%を収用 済み。 道路渋滞 の緩和 ・ベンガルール市内の混雑解消 ・JCCIBと継続協議。 ・日本側からは、KIPPを活用した道路インフラの改善、 及びITSの導入が改善策として提案されている。 【ナルサプラ工業団地内・周辺のインフラ整備】 道路 ・アクセス道路整備の早期実現 ・解決済み 電力 ・工業団地への電力の安定供給(工業団地付 近の変電所と工業団地を繋ぐ66kVの配電線 が1本整備済。ただし、もう1本の追加整備を 要請)。 ・州政府の産業コミッショナーが、ベンガルール電力 供給公社(BESCOM)に対して、対応を指示。 ・解決済み 工業用水 ・40MLDの第3次処理水設備を建設し、工業 団地への導水を要請(カドゥバサナハリ湖か らホスコテまで導水し、ホスコテに処理設備 を建設した上で、ナルサプラ工業団地まで導 水するもの)。 ・工事発注済。 ・40MLDの第三次処理水設備計画の早期実施 その他 ・病院の新設(ナルサプラ工業団地から最も 近い病院は約25km離れた場所に所在) ・消防署の新設(ナルサプラ工業団地から最 も近い消防署は約25km離れた場所に所在) ・交番の新設 ・トラックヤードの整備 ・職業訓練校の設置(該当企業が自社での人 材養成に方針転換し、建議書から取り下げ ・通勤用バスの整備(州政府側より提示され た運行スケジュールと工員の通勤時間とが 合わず、自社での通勤バス運行に方針転換 し、建議書から取り下げ) ・ESI診療所の設立⇒未解決 ・消防署の建設⇒未解決 ・交番の新設⇒整備済み ・トラックヤード⇒整備済 ・熟練工供給⇒折衝により解決 ・通勤バスの増便⇒折衝により解決 出所:各種資料に基づき新日本監査法人作成

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(2)世界水準工業団地建設プロジェクト JETRO の調査「インドの工業団地と他国の工業団地比較」によると、インドの工業団地は、ASEAN の一般的な工業団地と比較すると、進出企業に係る操業前の負担が大きいとされる。主な違いとし ては、下表のとおりである。 表 3-9 インドの工業団地と他国の工業団地比較 インドの工業団地 ASEAN の一般的な工業団地 電気・水の 供給 ・ 電気・水の供給契約を自力で締結。 ・ 水道管は来ていないケースが多く、 自社で井戸を掘る必要がある。 ・ 停電頻発(大型発電機を自前整備) ・ 電気、水の供給契約を結ぶ際の工業 団地・政府支援がある ・ 工業団地内または近隣まで電線、水 道管が来ている ・ ほぼ停電・断水なく供給される 工業団地 内の道路 ・ 入居時に未整備のケースが多い ・ テナントが入る前に整備されてい る 土地造成 ・ テナントが土地造成を行う ・ 土地境界がよくわからない ・ 工業団地開発側にて土地造成を行 う 出所:JETRO こうした状況を踏まえ、日本政府は、ASEAN 等の工業団地と遜色のない、日本企業が進出しや すい工業団地のモデルケースを作ることを目的として、世界標準の工業団地建設計画が進めること を 2014 年に決定した。その対象地について検討が進められた結果、日印政府は、インド国内各地 の 11 工業団地を、日本工業団地として開発することについて、2015 年 4 月に合意した14 表 3-10 インドにおける日本工業団地候補地一覧 州 工業団地 1 アンドラ・プラデシュ 同州の南部国境とクリシュナパトナム港との間の地域 2 カルナタカ トゥムクル 3 タミル・ナド ポンネリ 4 タミル・ナド ワンハブチェンナイ 5 タミル・ナド 双日マザーソン 6 ハリヤナ ジャジャール 7 マハラシュトラ スパ 8 ラジャスタン ニムラナ 9 ラジャスタン ギロット 10 グジャラート マンダル

11 グレーターノイダ Integrated Industrial Township 12 マディヤ・プラデシュ インドールピタンプール工業団地 出所:経済産業省 この一環として、カルナタカ州においても、日本企業が進出しやすい環境を兼ね備えた工業団地 造成を日本政府が支援することを目的として、世界標準工業団地建設計画が進められることとなっ た。この世界水準工業団地建設に関するカルナタカ州における最近の進捗状況は、以下の表に示す とおりである。 14 2015 年 10 月にマディヤ・プラデシュ州のインドールピタンプール工業団地が追加され、計 12 となった。

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表 3-11 世界水準工業団地建設に関するカルナタカ州における最近の進捗状況 時期 進捗内容 2015 年 2 月 カルナタカ州政府と経済産業省との間で MOC(Memorandum of Cooperation)締結 2015 年 3 月 日本政府による世界水準工業団地建設候補地としてトゥムクルが選定 2015 年 4 月 インド商工大臣と経済産業大臣との間でトゥムクルを Japan Industrial Township の候補地の一つとすることで合意 2015 年 7 月 第 1 回委員会の開催。 出所:各種資料基づき新日本監査法人作成 (3)既存の工業団地情報 日系企業の進出するベンガルール周辺の主な工業団地をまとめたのが下表である。 エレクトロニクスシティ、ビダディ等のベンガルール近郊の工業団地には空きがないところも散見 されるが、全体的には拡張計画のある工業団地も含めて、進出余地のある工業団地が多い。 表 3-12 ベンガルール周辺の日系企業進出済みまたは進出が有望視されている工業団地 工業団地名 地図 上 No. アクセス 開発 主体 土地価格 現状の進出余地 進出済主要日系企 業 Bidadi K-1 ベンガルール中心部より 28km。マイソール行き州道沿い KIAD B 販売済 空きなし トヨタ自動車、豊 田通商、豊田鉄工、 豊田合成、三井物 産、尾張精機 Electronics City K-2 ベンガルール中心部より 22 ㎞ KIAD B 販売済 空きなし アイシン精機、フ ァナック、横河電 機、安川電機 Narsapura K-3 ベンガルール中心部より 55 ㎞。チェンナイ行き国道 4 号線 沿い KIAD B Rs 3,400/㎡ (予定) 拡張計画ありその 一部を日本専用工 業団地とする意向 本田技研工業、バ ンドー化学 Doddaballa pura P-III K-4 ベンガルール中心部より 36 ㎞ KIAD B Rs 3,100/㎡ (予定) 約 250 エーカーの空き あり 武藤精密 Harohalli P-III K-5 ベンガルール中心部より 45 ㎞。カナクプラ行き国道 209 号線沿い KIAD B Rs3,100/㎡ (予定) 申請受付中(用地 収用中) 東海ゴム(P-II)、 川崎工業 Vasantha Narasapura P-II, III, IV K-6 ベンガルール中心部より約 86 ㎞。国道 4 号線沿い。トゥム クル市より約 15 ㎞。 KIAD B Rs1700/㎡ (予定) 約 924 エーカーの空き 地(P-II, III)。P-IV でさらに約 700 エーカ ー収用予定 東芝三菱電機 Vemgal K-7 ベンガルール中心部より約 50 ㎞。国道 4 号線沿い。 KIAD B Rs3,185/㎡ (予定) 申請受付中。P-1:約 620 エーカー。 なし Malur P-IV K-8 ベンガルール中心部より 45 ㎞。州道 99 号線沿い。 KIAD B Rs2,890/㎡ (予定) 申請受付中。総面 積は約 450 エーカー。 なし Gauribidanu r K-9 ベンガルール中心部より約 70 ㎞。州道 7 号線沿い。 KIAD B Rs3,088/㎡ (予定) 申請受付中。総面 積や約 600 エーカー。 なし Dabaspet P-V K-10 ベンガルール中心部より約 50 ㎞。州道 4 号線沿い。 KIAD B Rs3,700/㎡ (予定) 申請受付中。総面 積は約 890 エーカー。 東海理化、東洋電 機 Hosur T-13 ベンガルール中心部より約 40 ㎞。NH7 号線沿い。ベンガ ルール国際空港より 75 ㎞。 SIPC OT 未定 総面積は約 2,000 エ ーカー 日産自動車(アシ ョク・レイランド 日産ビークル) GMR Krishnagiri SEZ T-14 ベンガルール中心部より約 65 ㎞。NH7 号線沿い。ホスール より 20 ㎞。 GMR Rs2,250/㎡ 申込受付中。P-1: 3,300 エーカー、P-2: 1,000 エーカー開発予 定 なし 出所:JETRO

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図 3-6 ベンガルール近郊工業団地 出所:JETRO 3-4-2 カルナタカ州投資促進プログラム(KIPP)の進捗状況 (1)カルナタカ州の日系企業進出状況 カルナタカ州に進出している日系企業数は 2008 年には 104 社だったが、わずか 7 年で 314 社と 3 倍近くまで急伸している。バンガロール日本商工会は、2011 年に当時の日本人会商工部会が独立 するかたちで開始され、その後 2012 年 12 月に法人化を実現し、着実に会員数も増えている。 図 3-7 カルナタカ州進出日系企業の推移 出所:バンガロール日本商工会資料に基づき新日本監査法人作成 このように、カルナタカ州への日系企業の進出は着実に伸びているが、一方で、同州ではハード・ ソフト面ともに投資環境における課題は多いとされる。代表的なものとして、以下の点が指摘され ている。 ・ 工業団地の用地不足、基礎インフラ(道路、電力、水)の未整備 ・ 工業団地の維持管理負担 ・ 投資申請が不透明で時間がかかる ・ 熟練工の不足 104 123 155 182 228 299 314 0 0 52 74 99 111 127 0 50 100 150 200 250 300 350 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 カルナタカ州進出日系企業数 バンガロール日本商工会メンバー数

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なお、カルナタカ州投資促進プログラム(KIPP)では、このようなカルナタカ州の投資環境の 改善を目指して実施する予定となっている。

3-5 アンドラ・プラデシュ州に関する本邦企業のニーズ調査

3-5-1 アンドラ・プラデシュ州の概要、州の産業 (1)アンドラ・プラデシュ州の概要 アンドラ・プラデシュ州は、2014 年 6 月に、テランガナ地域が分割されテランガナ州として独 立し、残る地域が新アンドラ・プラデシュ州として誕生した。新アンドラ・プラデシュ州の概況を まとめると、以下のとおり。 表 3-13 新アンドラ・プラデシュ州の概況 項目 データ 州都 アマラバティ(新州都予定地) 人口 約 4,930 万人 面積 160,205 平方キロメートル 州 GDP 4 兆 7,586 億ルピー(2013~2014 年度) GDP成長率 7.25% 工業団地 32SEZ、258 工業団地 出所:アンドラ・プラデシュ州ホームページ等 図 3-8 アンドラ・プラデシュ州地図

出所:Department of Industries, Government of Andhra Pradesh Homepage

新アンドラ・プラデシュ州のナイドゥ首相は、1995 年から 2004 年の 10 年間にわたり旧アンド ラ・プラデシュ州首相を務め、この間、マイクロソフトの開発センター誘致を始め、グーグル、IBM、 Dell、Oracle など世界の IT 大手企業の集積を促し、ハイデラバードをベンガルールに次ぐ一大 IT 都市にまで育成させた功績が高く評価されている。その後、2014 年の選挙で、新アンドラ・プラ デシュ州の首相に就任した。首相就任後は次々と新たな施策を打ち出しているが、その中でも特に

表  2-1    DMIC ファシリティ 19 案件の事業概要 分野 事業名(日本側企業) 事業概要・進捗状況 鉄道 1. アーメダバード市-ドレラ地区間鉄道建設事業 表 2-2 参照。2.デリー-マネサール工業団地-ニムラナ工業団地間の都市鉄道建設事業、※いわゆる、グルガオン-バワル表 2-2 参照。 3
図 2-4  インドにおける貨物専用鉄道の路線 出所:国土交通省 HP DFC は逼迫する鉄道貨物輸送能力を増強するため、インドの主要な消費地・生産拠点である首都 デリーと東西の玄関港であるムンバイ及びコルカタ並びに東南アジアとの玄関口である南東部チェ ンナイをそれぞれ結ぶ路線が計画され、現在東西回廊の開発が先行して進められている。デリーとム ンバイを結ぶ西部回廊は日本の有償資金協力により、本邦技術活用条件(STEP)による調達が進め られている。 前述の通り、DFC の沿線には産業都市あるいは日本工業団地
図 3-1  インド南部における日系企業の拠点数の推移 出所:JETRO 作成資料 3-2-2  CBIC マスタープランの概要 CBIC マスタープランは、インド南部の二大都市圏であるタミル・ナド州都チェンナイとカルナタ カ州都べンガルール間を基軸とし、アンドラ・プラデシュ州等の周辺地域も含めた経済連結性の強化 を目的として、今後 20 年間(2014 年~2033 年)の包括的な地域開発計画の策定、重点開発地域(ノ ード)の選定及び個別プロジェクトの優先順位付けを行った。同マスタープランの概要を図 3-
表 3-1  重点開発地域の概要 ノード名 ポネリ トゥムクゥル クリシュナパトナム 州 タミル・ナド カルナタカ アンドラ・プラデシュ 面積 約 4,200ha 約 4,800 約 4,900ha 州の日系企業既進出数 225 社(577 拠点) 182 社(395 拠点) 35 社(257 拠点) 8 州の日系企業進出事例 日産、東芝、コマツ、ヤ マハ、パナソニック、自 動車部品等 トヨタ、ホンダ(二輪) 、横河電機、日清食品、自動車部品等 いすゞ、コベルコ、エーザイ、自動車部品等 主要産業 自動車 自
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