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(1)

MUFGユニオンバンク 戦略調査(New York) 平松万由子 2017年4月

岐路に立つ米国自動車環境規制と

自動車業界の対応

1

(2)

はじめに

【本稿の構成】

 米国の自動車環境規制 P.3  2017-25年度の燃費規制の概要 P.4  中間審査再開に至った経緯 P.5  2022-25年度連邦基準のコンプライアンスシナリオ P.6  2016年度燃費基準の達成状況 P.7  米系メーカーの内燃開発動向 P.8  パワートレイン分野での技術動向 P.9  車体軽量化の取り組み状況 P.10  連邦基準見直しの方向性 P.11  カリフォルニアが主導するZEV規制への影響 P.12  最新のZEV規制コンプライアンスシナリオ P.13  まとめ P.14  トランプ大統領が、2022-25年の燃費・温室効果ガス(GHG)基準を緩和方向で見直す方針を示したことで、2012年に実現した「全米統一規 制」の行方は不透明になっている。州ごとに異なる規制に対応した車両製造を迫られる事態を避けるため、自動車業界は政権に対し、カリ フォルニア州との連携を求めているが、規制緩和に反対する州政府と政権の距離は埋まっていない。  連邦基準が緩む場合、注目されるのは、米国内で電動化の推進役となっているカリフォルニア州規制への影響。しかし「大気浄化法」に基づく 同州の規制権限は確立しており、ZEV規制が大幅に改変される可能性も低いと考えられる。このため、連邦レベルの規制対応は内燃機関重 視で進められる一方、カリフォルニアが主導するZEV規制対応としては、航続距離を延ばしたEV・PHEVの投入が並行して進むものとみられる。  興味深いのは、カリフォルニア州規制当局が年初に発表した報告書で、ZEV規制達成に必要なEV、FCEV、PHEVの販売台数は当初想定を 下回る可能性が示された点。これは、ZEV規制に由来する電動車両の台数が(HEVはZEV規制の「低公害車」対象外)、2025年時点でも米 国新車販売の2%に過ぎない可能性を示唆しており、電動車両の本格普及は遅れるとの見方がある。  内燃エンジン車との競争に晒される電動車両に、政策や規制の後押しが期待できなければ、米国では電動車両の販売が伸び難い状況が続 きかねず、本格普及の遅れはコスト低減の障壁にもなると考えられる。  一方、欧州や日本、中国では、2020年にかけてGHG排出規制が一層強化される点を踏まえると、仮に米国内で電動化への取り組みにやや ブレーキがかかっても、世界的に見れば電動化技術への投資に大きな後退はないだろう。その結果、自動車業界にとっては、世界的な規制強 化への対応でコストが上昇する一方、規制対応の道筋は、市場や州ごとに異なる状況が続く可能性がある。規制による普及の後押しが期待で きない場合、米国では、いかに規模の経済を実現しコスト低減に繋げるかが当面の課題となろう。 2

(3)

米国の自動車環境規制

米国では、前政権下で成立 した一段と厳しい燃費・温室 効果ガス(GHG)規制が2017 年度より発効したほか、カリ フォルニア州では今年秋口 以降(18年度~)、ZEV(低公 害車)規制※が変更となる。 全米規模でGHG排出規制が 導入されたのは2012年度から。 環境保護局(EPA)と運輸省 が協働し、既存の燃費規制 を強化する形で、CO2などの GHG排出規制が始まった。 独自の排ガス規制を施行す るカリフォルニア州も、同年から 連邦基準を受け入れ、全米で 燃費・GHG規制が統一された。 しかし、今後の政策の方向 性には不透明感が漂う。トラ ンプ政権は新基準のうち、 2022-25年度適用分について 緩和方向で見直すと発表。 政権は全米規制の一貫性を 保つ見地から、カリフォルニアと の合意形成を求めているが、 同州は機先を制して新基準 の維持を決定。一律規制の 枠組みが揺らぐ可能性がある。 3

岐路に立つ“全米一律”の燃費・温室効果ガス規制。2022年度以降の政策方向性は不透明に。

(出所)米運輸省、米環境保護局、カリフォルニア州大気資源局、米議会調査局、その他資料を基にMUFGユニオンバンク戦略調査チーム作成 連邦燃費規制(CAFE規制) 連邦温室効果ガス(GHG)規制 カリフォルニア州排ガス規制

【所管】 運輸省(NHTSA) 環境保護局(EPA) カリフォルニア州大気資源局(CARB)

【根拠法】 エネルギー政策・節約法 大気浄化法 大気浄化法(209条) 【経緯】 • 燃費規制は「企業平均燃費(CAFE)」と呼ば れ、エネルギー政策・節約法に基づき、1978年 から導入された。運輸省NHTSAの管轄。 • 自動車メーカー毎に、各年度の全出荷車両 の平均燃費に対して規制をかけるもの。 • 石油危機後の導入以来、基準は概ね据え置 かれてきたが、オバマ政権は2012年度から2025 年度までの基準を強化。 • 排ガス基準と異なり、燃費基準の設定権限は 連邦政府(運輸省)のみに認められている。 • 「大気浄化法」に基づき、1970年代から、鉛・ PMなど有害物質の排出基準が設定された。 環境保護局(EPA)の管轄。 • 2007年に連邦最高裁が、温室効果ガス (GHG)は健康や福祉を脅かすとEPAが判断す れば大気浄化法によって規制できる、と判決。 • 2009年にオバマ政権EPAは、GHGを「有害物 質」と認定。2012年度から、カリフォルニア州とも 協力し、全国一律での自動車GHG排出規制 を導入。 • 大気浄化法209条は、連邦規制「適用除外」 をEPAから得ることを条件に、カリフォルニア州に 独自の排ガス基準を設定する権限を付与。 • カリフォルニア州は2005年、GHG排出規制に乗り 出すため、「適用除外」を申請したが、ブッシュ 政権EPAは、全米規制に統一性が無くなるとの 理由で承認を拒否。一転、オバマ政権は2025 年度までの同州の「適用除外」を承認。 • 同法177条は、他州がCA州の排ガス基準を採 択することを容認(現在13州及びDCが採択)。 【最新動向】 • トランプ政権は、オバマ政権下で成立した 2022-25年度連邦基準の見直しに着手。 • トランプ政権は、オバマ政権下で成立した2022-25年度連邦基準の見直しに着手。 • カリフォルニアは、オバマ政権下で成立した2022-25年度GHG基準とZEV規制の維持を決定。 0 10 20 30 40 50 60 '77 '81 '85 '89 '93 '97 '01 '05 '09 '13 '17 '21 '25 燃費:ガロン当たりマイル(mpg) 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 '77 '81 '85 '89 '93 '97 '01 '05 '09 '13 '17 '21 '25 温室効果ガス(GHG)排出量(g/mile) 2012年度から、排ガスに含まれるCO2等の GHG排出量の削減義務付けを開始。  それまでは、オゾンや鉛、粒子状物質(PM) などの有害汚染物質が対象。  燃費とGHG排出量は反比例するため、 2012年度以降の燃費基準は、GHG排 出基準に整合させた燃費基準を設定。 2012 2017 2012 2017

【 燃費基準と温室効果ガス(

GHG)基準を組み合わせた全米統一規制 】

50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 '77 '81 '85 '89 '93 '97 '01 '05 '09 '13 '17 '21 '25 温室効果ガス(GHG)排出量(g/mile) CA州は60年代から大気汚染対策として 排ガス規制を実施。その一環として90年代 から低公害車(ZEV)規制を導入。 2012-25年度の自州のGHG排出基準を連邦 基準に整合させ、全米規制の統一に協力。 2012 2017 2018年度~ ZEV規制変更 (※)ZEV規制の詳細は12ページ参照。

(4)

25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 車両サイズ(sq ft) 燃費基準(mpg)

2017-25年度の燃費規制の概要

2012年の原油高騰時に発布 された新基準は、2025年度ま でに平均燃費を、ガロン当た り54.5マイル(mpg)へ引き上げ る目標を掲げている。 しかしこれは、GHG基準に基 づく値のため、冷媒漏れが少 ないエアコン向けクレジットや、 オフサイクルクレジット等の柔 軟措置を含めた実質の燃費 目標は48.7-49.7mpgになる。 それでも、2015年度比で5割 の燃費向上が必要となり、過 去10年間の改善率(27%)に 比べ厳しい内容。 各社の目標値は、車種構成 に応じて決まる仕組みで、車 両サイズ毎の基準を出荷台 数で加重平均して計算する。 達成状況は、乗用車とライト トラックのトータルで評価するこ とで、各社が得意技術・車種 構成を選べる柔軟性を確保。 また、高出力・高トルクが求め られる大型ピックアップやSUVに 対しては、2021年度まで基準 を緩く設け、クレジットの貯蓄を 助ける工夫がされている。 4

2025年度までに5割の燃費改善を義務付け。過去10年の改善実績27%を大きく上回る厳しい内容。

(出所)米環境保護局、米運輸省などの資料を基にMUFGユニオンバンク戦略調査チーム作成

【規制達成を助ける柔軟措置】

オフサイクルクレジット 試験上は反映されなくても、実走燃費を改善する 効果のある技術(例:アイドリングストップ、ソーラー パネルなど)には、クレジットを付与。 エアコンクレジット GHG削減効果を考慮して、冷媒漏れが少ないエア コンを搭載する車両にはクレジットを付与。 クレジットの貯蓄 達成超過分をクレジットとして最長5年持ち越したり、 未達分を最長3年繰り越すことが可能。 クレジットの移動と 取引 乗用車とライトトラック間のクレジットの移動(上限 あり)や、企業間でのクレジット取引が可能。 エタノール対応車 エタノール対応車にはクレジットを付与。 ハイブリッドの 大型ピックアップ ハイブリッドの大型ピックアップトラックには、クレジット を付与。 罰金 基準を達成できない場合、「未達分0.1mpgにつき 5.50ドルx出荷台数」の罰金を支払う (2019年度から罰金14ドルへ引き上げ予定)。 ※中間審査では、2025年度に予想される乗用車とライトトラックの構成比 が当初の67:33から、53:47へ変更された。これに伴い、燃費目標も 54.5mpgから51.4mpgへ下がる可能性が示された。実走燃費では36mpg。

2017-25年度の燃費目標値】

【車両サイズ区分毎の基準値カーブ (

2016年度から2025年度の推移)】

36.6 mpg 54.2 mpg 中型セダン (例:ホンダAccord、フォードFusion) 45.2 mpg 年率4.6% 年率4.3% 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 車両サイズ(sq ft) 燃費基準(mpg) 24.3 mpg 32.8 mpg 大型ピックアップ (例:フォードF150、GM Silverado) 27.2 mpg 年率2.3% 年率4.8% 2025年度 2016年度 2016年度 2025年度 2021年度 2021年度 [乗用車] [ライトトラック] 20 25 30 35 40 45 50 55 '01 '03 '05 '07 '09 '11 '13 '15 '17 '19 '21 '23 '25 目標値 目標値(各種クレジットを含む) 実績値 燃費:ガロン当たりマイル(mgp) 54.5 48.7-49.7 36.6 44.7 目標:10年で51-54%改善 実績:10年で27%改善 32.2 40.3-41.0 35.1-35.4 燃費:ガロン当たりマイル(mpg)

(5)

中間審査再開に至った経緯

2017年度以降の新基準の内、 2022-25年度基準については、 EPAと運輸省が中間審査を 行った上、修正の是非を2018 年4月までに決定する運びと なっていた。 審査に当たっていたオバマ政 権下EPAは、政権交代前に 「適切」と判断し、新政権発 足の1週間前に予定前倒しで 基準の維持を決定。 しかし、規制緩和や化石燃 料重視の姿勢を打ち出すトラ ンプ政権は、同判断を白紙 化し、2022-25年度基準の審 査再開に乗り出した。結果は 2018年4月までに発表される。 基準の変更に議会承認は必 要ないが、行政手続法に則っ て、新基準の策定と通知、パ ブリックコメントの実施など、一 連の手続きを踏む必要あり。 基準が変更される場合、最 終規則の交付期限は2020年 4月に設定されている。 5

トランプ政権は、2022-25年度の連邦基準に関する中間審査を再開、一年以内に判断。

(出所)米運輸省、米環境保護局、米議会調査局、その他資料を基にMUFGユニオンバンク戦略調査チーム作成 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 オバマ政権は2017-25年 度のGHG排出・燃費基 準を発布。 オバマ政権EPAと運輸 省は、中間審査に先立 ち、技術開発・採用動 向の調査結果を発表。 EPAと運輸省が連携し 2018年4月迄に、2022-25年度基準の審査結 果をまとめる。 基準が変更される場合、 最終規則の交付期限 は2020年4月。 2022-25年度分について は、中間審査を行う事 で自動車業界と合意。 政権交代

【燃費・

GHG排出基準、中間審査と最終規則公布までのタイムライン】

オバマ政権EPAは中間 審査で、2022-25年度基 準を「適切」と判断し、 変更しない方針を発表。 トランプ大統領は、前 政権EPAの判断を白紙 化し、中間審査の再 開に乗り出した。

(6)

$-$20 $40 $60 $80 $100 $120 タ イ ヤ の 転 が り 抵 抗 低 減 10% 低摩擦潤滑油 ミ ラ ー サ イ ク ル 可 変 バ ル ブ タ イ ミ ン グ 機 構 空 気 抵 抗 の 低 減 10% 気筒休止 冷却 EG R エ ン ジ ン 摩 擦 の 低 減 CVT 軽量化 20% DOHC タ ー ボ ・直 噴 ・ダ ウ ン サ イ ズ DOHC タ ー ボ ・直 噴 ・ダ ウ ン サ イ ズ ・E GR 8速 AT ア イ ド リン グ ス ト ップ 48V マ イ ル ド ハ イ ブ リッ ド EV プ ラ グ イ ン ハ イ ブ リッ ド ハ イ ブ リッ ド $1 $10 $100 $1,000 $10,000 0% 20% 40% 60% 80% 技術コスト 燃費改善ポテンシャル 0% 100%

2022-25年度連邦基準のコンプライアンスシナリオ

今回白紙化された中間審査 では、多岐に亘る技術が精 査された上で、「2025年度の 新基準は、内燃機関の効率 化や軽量化・走行抵抗低減 を軸に達成可能」との認識が 示されていた。 これは権威ある米科学アカデ ミーの見方に一致。中型セダ ンの場合、燃費向上の7割は エンジンと変速機の効率化、 3割は軽量化等を通じて実 現可能と、アカデミーは予想。 電動化では、オフサイクルクレ ジットの対象になるアイドリン グストップや、48Vマイルドハイ ブリッドの伸び代が大きい一方、 電動車両(EV、HEV、PHEV) は費用対効果が課題となり、 普及率は各2-3%に留まる、と 中間審査は指摘していた。 バッテリーコストの逓減により、 電動化と内燃の費用対効果 はいずれ逆転する見込みだが、 2025年までの時間軸でみると、 内燃重視の戦略が優位。 EPAによると、2022-25年度の 規制対応コストは1台当たり 875ドルに抑えられる見通し。 6

内燃機関の効率化と軽量化を軸とした対応で新基準は達成可能。費用対効果についても内燃優位。

内燃エンジンの 効率化 51% 変速機の効率化 16% 軽量化、 走行抵抗の軽減 33% 中型セダンの燃費目標 2025年度:54.2mpg 技術領域 2025年度の搭載率 内燃エンジン ダウンサイズ(小排気量化)ターボ化 34% ミラーサイクルなどの高圧縮比化 27% 変速機 変速機の多段化(8速以上)や効率化 93% 軽量化、抵抗軽減 車体軽量化 9% オフサイクル技術(走行抵抗軽減を含む) 26% 電動化 アイドリングストップ 15% 48Vマイルドハイブリッド 18% ハイブリッド (HEV) 2% プラグインハイブリッド (PHEV) 2% 電気自動車(EV) 3% 自動車1台当たり 2021年度と比較した追加コスト $875 規制対応コスト 2016年度と比較した追加コスト $1,545 電気 自動車(EV) プラグイン ハイブリッド ハイブリッド DOHCターボ・直噴・ダウンサイズ(+EGR) ミラーサイクル 8速AT 48VマイルドHV 軽量化20% CVT 空気抵抗の低減10% 冷却EGR タイヤの転がり抵抗低減10% 低摩擦潤滑油 アイドリング ストップ 気筒休止

【中間審査: 主な燃費改善技術の搭載率見通し】

2025年度目標達成に貢献する技術】

(米科学アカデミー予想)

【燃費向上に関する技術の費用対効果 (

1%の燃費改善に要するコスト)】

2016年度:36.6mpg

(出所)米環境保護局(”Final Determination”、”Technical Assessment”)、ICCT、米科学アカデミー等 を基にMUFGユニオンバンク戦略調査チーム作成 可変バルブタイミング機構

1%の燃費改善に要するコスト

中型セダンの場合、電動化 に頼らず基準達成が可能

(7)

2016年度燃費基準の達成状況

2月に公表され2016年度の規 制達成状況(暫定値)による と、新車の平均燃費は 32.1mpgと前年から悪化し、 2004年度以来初めて目標値 を下回った。 それまではライトトラックの目標 未達分を乗用車の超過分で 穴埋めし、全体として目標を 達成してきた。 しかし昨年度は、乗用車の 目標超過分が縮小(達成率 低下)すると共に、ライトトラッ クの未達分が膨らみ、全体の 達成率が押し下げられた。 メーカー別達成状況をみると、 内燃機関の効率化や、HEV・ EVなどの投入で先行する日 系メーカーは全体目標を達成。 これに対し米系と欧州系メー カーは、乗用車とライトトラック の両方で目標を下回った。韓 国系メーカーの達成状況は、 まだら模様と言える。 但し今回の発表は、最終クレ ジット加算前の数値。最終結 果が公表される段階では、達 成状況が変わると考えられる。

全体の目標達成率は98%と、12年ぶりに基準未達。日系は達成率が高い一方、米系・欧州系は苦戦。

(出所)米環境保護局、米運輸省発表資料を基にMUFGユニオンバンク戦略調査チーム作成、一部推計 燃費(mpg) 乗用車 ライトトラック 全体 2015年度 実績 37.2 27.0 32.2 目標 35.5 27.4 31.6 達成率 105% 99% 102% 台数比率 59% 41% 100% 2016年度 実績 37.4 27.2 32.1 目標 36.9 28.8 32.8 達成率 101% 94% 98% 台数比率 56% 44% 100% 37.4 32.1 27.2 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 '02 '04 '06 '08 '10 '12 '14 '16 '18 '20 '22 '24 実績値(乗用車) 実績値(全体) 実績値(ライトトラック) 燃費:ガロン当たりマイル(mgp) 目標値 燃費(mpg) 乗用車 ライトトラック 全体 実績 目標 達成率 実績 目標 達成率 実績 目標 達成率 GM 35.0 36.6 96% 25.0 27.0 93% 29.7 31.5 94% フォード 36.0 36.5 99% 25.7 27.2 94% 30.5 31.5 97% FCA 31.6 35.8 88% 26.5 29.0 91% 28.1 31.2 90% トヨタ 40.0 37.4 107% 26.7 29.3 91% 34.4 34.0 101% ホンダ 42.2 37.6 112% 30.9 30.4 102% 37.6 34.7 109% 日産 41.0 37.1 110% 30.7 30.2 102% 38.0 35.1 108% スバル 38.2 37.9 101% 36.4 32.4 112% 37.0 34.2 108% マツダ 41.8 37.2 112% 34.3 31.4 109% 39.6 35.5 112% 現代 38.3 36.8 104% 26.3 30.5 86% 37.9 36.6 104% 起亜 36.2 37.1 98% 26.7 29.6 90% 34.2 35.6 96% ダイムラー 34.4 35.5 97% 27.3 29.5 93% 32.0 33.5 96% BMW 34.0 36.2 94% 28.8 29.9 96% 32.7 34.6 94% VW 33.0 37.8 87% 27.8 30.6 91% 32.0 36.4 88%

【米国における新車の燃費基準達成状況】

2016年度、メーカー別の燃費基準達成状況 (クレジット加算前の暫定値)】

(※)各社とも、通常1年余りの規制に対応できるクレジットを貯蓄しているため、クレジット加算後の達成状況は暫定値から変わる可能性が高い。 7 燃費:ガロン当たりマイル(mpg)

(8)

米系メーカーの内燃開発動向

高出力の大型車両を主要な 収益源とするGMやフォードは、 内燃機関の開発では、エンジ ンの出力を落とさず、ダウンサイ ズターボ化を通じ、燃費と走行 性能を向上させる方向を志向。 GMは、2009年の経営再建後、 プラットフォーム集約と合わせ、 多様化していたエンジンファミ リーの統廃合を進めてきた。 その一環で、2017年度以降は、 乗用車とSUVにおいて、従来 の2.4ℓ直4・3.6ℓV6エンジンを、 次世代の1.5-2.0ℓ直4Ecotech 直噴ターボエンジンに切り替え、 ダウンサイズする。V6-8の大排 気量エンジンを搭載する大型 スポーツカーには、気筒休止装 置を装着して燃費向上を図る。 またGMは、フォードと共同開 発した9速ATを2018年型以降 の大型乗用車や大型SUV、 ピックアップに搭載する予定。 フォードは2017年度から、最量 販モデルのF150ピックアップに 次世代EcoBoost直噴V6エン ジンを搭載し、V8からダウンサ イズすると共に、変速機には 新開発の10速ATを採用する。

2017年度以降、エンジンの直噴ターボ化とダウンサイズ化を図りながら、高出力と燃費向上の両立を狙う。

(出所)米オークリッジ国立研究所、米環境保護局、Bloombergなどを基にMUFGユニオンバンク戦略調査チーム作成 年度 燃費 車両重量 出力 加速性能 GM 2011 93 111 111 99 2012 97 106 106 99 2013 99 107 108 98 2014 102 107 111 97 2015 98 113 122 94 フォード 2011 94 106 110 97 2012 102 101 105 96 2013 100 109 115 94 2014 102 105 110 94 2015 105 102 113 92 年度 燃費 車両重量 出力 加速性能 トヨタ 2011 108 96 91 103 2012 115 94 85 105 2013 113 95 88 104 2014 114 94 88 103 2015 113 96 89 103 ホンダ 2011 107 93 87 106 2012 119 88 84 106 2013 122 87 83 104 2014 122 90 87 101 2015 129 88 85 100

【米系メーカーの平均的な車両の特徴、日系との比較】

2011年度の業界平均を100として指数化したもの

GM・フォードの北米営業利益とライトトラック販売の相関関係】

8 (※)2010年から2016年のデータ (※)燃費はガロン当たりマイル数(数値が大きいほど燃費が良い)、車両重量は重さ、出力は馬力、加速性能はゼロから60mphに達する秒数、を指数化。 $2,000 $2,500 $3,000 $3,500 $4,000 $4,500 59% 61% 63% 65% 67% 69% 71% 73% 75% GM フォード 1台当たりの 北米営業利益 ライトトラック 販売比率 6% 7% 8% 9% 10% 11% 59% 61% 63% 65% 67% 69% 71% 73% 75% GM フォード 北米 営業利益率 ライトトラック 販売比率 米系は比較的大型(重量) で高出力の車両を重視

(9)

パワートレイン分野での技術動向

米国市場におけるパワートレ イン系技術の普及率をみると、 ここ5年間、内燃エンジンへの 直噴システムやターボの搭載 が順調に伸びている。 変速機では、4-5速に置き換 わる形で、8速以上への多段 化が進行。ハイブリッド以外で のCVT搭載率は19%に達した。 また、内燃エンジンにアイドリ ングストップ機能を装着する 動きが増えており、普及率は 過去5年間で9%へ伸びた。 原油安が逆風となり、電動 車両の普及率は3%に留まる。 この内EVについては、2016年 販売が8万台に達したものの、 好調なのは首位テスラのみで、 テスラを除いたEV販売は、2 年連続して前年割れとなった。 一方、18年度以降のZEV規 制変更に伴い、新たに対象に 加わる欧州や韓国系メーカー を中心に、クレジット獲得を睨 んだPHEV・EVの投入が加速。 ZEVクレジットは、EVモードの 航続距離に応じて付与される ため、電池容量の大きなモデ ルの投入が焦点になっている。 9

内燃エンジンの直噴・ターボ化、変速機の多段化が進展。電動化はZEVクレジットの獲得が当面の狙い。

(出所)米環境保護局、米運輸省データ、Wardsなど各種資料を基にMUFGユニオンバンク戦略調査チーム作成 9

【米国における主要なパワートレイン系技術の普及率】

【電動車両の販売台数とメーカー別シェア】

EV EVモード航続距離 テスラ MODEL S 250 mile テスラ MODEL X 250 日産 LEAF 84 BMW BMW i3 81 FCA 500 84 VW e-GOLF 83 GM SPARK 82 起亜 SOUL 93 フォード FOCUS 76 ダイムラー B250e 87 三菱 i-MiEV 62 GM BOLT 238 現代 IONIQ EV 124 テスラ MODEL 3 215 日産 LEAF 107 ホンダ CLARITY 80 (E) PHEV EVモード航続距離 GM VOLT 53 mile フォード FUSION 21 フォード C-MAX 19 BMW X5 14 アウディ A3 e-tron 16 現代 SONATA 27 ポルシェ CAYENNE 14 ボルボ XC90 14 BMW i8 15 BMW 328e 22 ポルシェ PANAMERA 15 ダイムラー S550e 14 ダイムラー GLE500e 19 BMW 740e 14 GM Cadillac CT6 30 トヨタ PRIUS PRIME 25 FCA PACIFICA 30 現代 IONIQ 27 起亜 OPTIMA 29 ホンダ CLARITY 42 HEV EV PHEV トヨタ 71% テスラ 52% GM 35% フォード 15% 日産 18% フォード 33% 現代 5% BMW 10% BMW 12% ホンダ 4% FCA 6% アウディ 6% 起亜 2% VW 5% ポルシェ 4% GM 1% GM 5% トヨタ 3% その他 1% その他 5% その他 6%

PHEVとEVの2016年度販売モデル、及び投入予定モデル】

枠内は2017年度以降に投入予定のEV・PHEVモデル(抜粋)。ZEVクレジット獲得を睨み、 EVモード航続距離が長い量販車モデルも登場。EVでは特定州への限定投入も目立つ。 2016年メーカー別市場シェア 93% 15% 7% 0% 10% 2% 8% 2% 97% 49% 22% 9% 9% 12% 19% 3% 0% 25% 50% 75% 100% 2011年度 2016年度 直噴シ ステム 8速以上 多段AT (除HEV) CVT 可変バ ルブ機構 ターボ アイドリングストップ 気筒休止 電動車両 (PHEV、 EV、HEV) 49 44 37 34 5 7 7 8 5 6 4 7 35 (2.2%) 32 (2.4%)(2.829 %)(2.428%)(2.228%) 47 (3.3%) 59 (3.8%) 57 (3.5%) 49 (2.8%) 49 (2.8%) 0 10 20 30 40 50 60 70 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 '15 '16 万台 (普及率) プラグインハイブリッド(PHEV) 電気自動車(EV) ハイブリッド(HEV) 0 2 4 6 '12 '13 '14 '15 '16 '12 '13 '14 '15 '16 (万台) EV販売内訳 テスラ その他合計 (万台)

(10)

普通鋼、35% ハイテン鋼、16% アルミ、10% 樹脂、8% マグネシウム、0.3% 1,500 1,550 1,600 1,650 1,700 1,750 1,800 1,850 1,900 1,950 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% '95 '96 '97 '98 '99 '00 '01 '02 '03 '04 '05 '06 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 新車の平均重量 構成素材の内訳 (重量ベース) 車体重量(キロ)

車体軽量化の取り組み状況

消費者の嗜好に合わせ、車の 大型化(重量化)・高出力化 が進んできた米国では、軽量 素材の採用が漸増している。 新車の構成素材内訳を見る と、普通鋼に置き換わる形で、 アルミとハイテン鋼の比重が 各々10%と16%へ上昇した。 他方、樹脂化の流れは足元 で一服しており、新たな軽量 素材として注目されるマグネシ ウムの割合も1%未満に留まる。 高額な設備投資を要する車 体の完全アルミ化は、現在 一部の車種に限られるが、ボ ンネットやドアにアルミを採用 する動きは、異材接合や成 型技術の進歩を通じて量販 車にも広がりつつある。 米アルミ大手のアルコアや ノベリスは、2025年までに北米 車1台当たりのアルミ使用量 が250キロ近く(現在184キロ) へ増えると見込んで近年生 産能力を増強。 但し、アルミは鋼材に比べ高 価な点が難点。廃材リサイク ルの普及もアルミ使用量増加 の鍵になると考えられる。 10

異材接合や成型技術の進歩により、アルミやハイテン鋼などの軽量化素材の採用が量販車にも拡大。

(出所)米環境保護局、ICCT、各種報道などを基にMUFGユニオンバンク戦略調査チーム作成 1,840キロ 1,640キロ 車種(モデル年度) 前世代からの軽量化 フォード F150 (2016) -288 kg 14% アウディ Audi Q7 (2016) -115 kg 5% 日産 Leaf (2016) -59 kg 4% GM Malibu (2016) -135 kg 9% GM Camaro (2016) -177 kg 10% マツダ Miata (2016) -67 kg 6% ホンダ Acura MDX (2017) -172 kg 8% GM GMC Acadia (2017) -318 kg 15% GM Cadillac CTS (2017) -95 kg 5% GM Volt (2017) -110 kg 6% GM Cruze (2017) -103 kg 7% FCA Pacifica (2017) -146 kg 7% GM Equinox (2018) -182 kg 10% $100 $200 $300 $400 $500 $600 $700

【米国における自動車の構成素材内訳と車体重量の推移】

【米国における車体軽量化の取り組み】

【車体アルミ化と廃材リサイクル(イメージ)】

ピックアップトラックの車体にアルミを 使う場合、鋼材に比べ、1台当たり 750ドル近い追加コストが発生。 工程で発生するアルミ廃材をリサイ クルすれば、追加コストを400ドル程 度に抑えることが可能との試算あり。

(11)

連邦基準見直しの方向性

米国自動車業界は、これまで 規制強化を見据えた対応を 進めてきたが、トランプ政権発 足後は一転、規制緩和を求 めロビー活動を展開している。 要求内容は、①54.5mpgの 遵守期限の延長(2025年度 まで2021年基準で据え置き) と、②クレジット制度の拡大、 の二点が柱と報じられている。 仮に、2025年度までの燃費 基準が41.0mpgで据え置かれ る場合、2015年比で27%の 改善率となる。これは、過去 10年の実績に等しく、目標 達成のハードルは下がる。 しかしその間に、欧州や日本、 中国ではGHG規制が一層強 化されることを踏まえると、米 国内の取り組みにややブレー キがかかっても、開発活動に 大きな後退は無いだろう。 欧州から撤退するGMにとって も、稼ぎ頭の中国での規制 対応は不可避。どのメーカー にとっても、欧州や中国に照 準を当てた電動化投資は今 後も増加すると予想される。 11

基準が緩む場合、米国内の取り組みは内燃重視に傾斜。欧州・中国に照準を当てた電動化投資は継続。

(出所)サプライヤーコメント、米自動車工業会(AAM)、ブローカーレポート、ICCTなどを基にMUFGユニオンバンク戦略調査チーム作成 実績:10年で27%改善 目標:10年で27%改善

2025年度までの基準が2021年度の水準で据え置かれるケース】

【世界主要市場で強化される燃費・

GHG排出基準】

20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 2000 2005 2010 2015 2020 2025 燃費:ガロン当たりマイル(mpg) 米国 インド 中国 日本 EU

?

(※)図表はあくまでも目安。各国の車種構成や測定方法が異なるほか、柔軟措置の違いもあり、基準を一律に比較することは出来ない。 20 25 30 35 40 45 50 55 '01 '03 '05 '07 '09 '11 '13 '15 '17 '19 '21 '23 '25 目標値 目標値(各種クレジットを含む) 目標値(緩和された場合) 燃費:ガロン当たりマイル(mgp) 燃費:ガロン当たりマイル(mpg)

(12)

カリフォルニアが主導するZEV規制への影響

連邦基準が緩む場合、注目 されるのは、米国内で電動化 の推進役となっているカリフォ ルニア州規制への影響。 プルイットEPA長官は、カリフォ ルニア規制の実施を認めた 「適用除外」を支持するか否 か明言を避けており、同州の 大気資源局(CARB)は警戒 感を募らせている。 しかし、「大気浄化法」に基づ く「適用除外」の撤回は、法 的に困難との見方が多いため、 カリフォルニア州を含む10州で 採用されているZEV規制が大 幅に改変される可能性は低 いと考えられる。 興味深いのは、CARBが最近 まとめた報告書で、ZEV規制 達成に必要な低公害車(EV、 FCEV、PHEV)の販売台数は 当初予想を大きく下回る、と の予測が示されたこと。 次頁で解説する通り、背景 には①航続距離が長いEVや PHEVの投入が加速している こと、②テスラを中心にクレ ジットの取得や取引が進んで いること、が挙げられる。 12

ZEV規制は存続する公算大。但し、最新報告によると想定を下回るZEV台数で規制はクリアできる見通し。

(出所)カリフォルニア州大気資源局、その他各種資料を基にMUFGユニオンバンク戦略調査チーム作成 209条 カリフォルニア州は例外的に、連邦より厳しい排ガス 規制を設定する権利が認められている。但し、規制 を実施するに当たっては、EPAに連邦規制の「適用 除外」を申請し、承認される必要がある。 177条 その他の州は、連邦またはカリフォルニア州規制のどち らかを選択することが認められている。 大気浄化法 カリフォルニアは自州の排ガス基準を、オバマ政権 下で成立したGHG基準に整合。また排ガス規制 の一環で、2018-25年度のZEV規制を強化。 13州(+ワシントンDC)がカリフォルニア州の排ガス 基準を採用。このうち9州がZEV規制を導入。 全米10州が、ZEV規制を採用 カリフォルニアのほか、コネチカット、マサチューセッツ、オレゴン、 メイン、ニュージャージー、ロードアイランド、メリーランド、ニュー ヨーク、バーモントがZEV規制を導入。 10州合計の新車販売台数は、米国市場の28%に相当

【連邦規制の「適用除外」と、カリフォルニア州の排ガス規制】

カリフォルニア州12% その他9州16%

【米国新車販売に占める

ZEV規制採用州の割合】

カリフォルニア州大気資源局(CARB)は、オバマ政 権下で成立した2022-25年度GHG基準の維持を 決定。併せてZEV規制も予定通り実施する構え。 「適用除外」が撤回される場合は、法的措置を 辞さない構え。 ブッシュ政権は、2008年にカリフォルニア州の「適用 除外」申請を拒否。 オバマ政権は、2025年度までのカリフォルニア州の 「適用除外」を承認。 今回仮に、連邦基準が緩和されても、米国市 場の3割弱に相当する10州では電動化への取り 組み強化が余儀なくされる。 このため米自動車業界は、州毎に異なる車両製 造を迫られる事態を回避するため、EPAとカリフォ ルニア州に、規制の調和を要請。

(13)

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 400,000 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 FCEV(燃料電池車) EV (電気自動車) PHEV(プラグインハイブリッド) (年間販売台数)

最新のZEV規制コンプライアンスシナリオ

カリフォルニアを含む10州は、 低公害車(EV、FCEV、 PHEV)を一定割合以上、販 売することを義務付けるZEV 規制を実施している。 2025年度には州販売の22% に当たるZEVクレジット取得を 義務付けており、販売台数で は、低公害車の割合が15%に 達すると想定されていた。 しかし実際には、毎年の目標の 約2割を貯蓄したクレジットで 賄える状況で、2025年の基準 達成に必要な低公害車の販 売比率は、10州全体で7.5%、 カリフォルニア州では8%と、想 定を下回る見通しが示された。 CARBによると、予想以上に 航続距離が伸びていることが 原因で、現在EVには平均 3.29、PHEVには1.98のクレジッ トが付与されている他、テスラ が供給量の85%を占める形で 取引も活発に行われている。 ZEV規制に起因する電動車 両の販売は、2025年でも米国 市場の2%に過ぎないことを示 唆しておりこうした中で如何に コスト低減を進めるかが課題。 13

2025年の規制達成に必要な低公害車の割合は、10州新車販売の7.5%、米国市場の2%に相当。

(出所)カリフォルニア州大気資源局発表 “Midterm Review” などを基にMUFGユニオンバンク戦略調査チーム作成

• 州内販売台数の一定比率をZEV・TZEV区分で満たす義務 • EVモードの航続距離に応じてクレジットが付与される • クレジットの貯蓄、売買、州をまたぐ移動(FCEV)が可能 • 基準未達の場合、1台当たり5,000ドルの罰金を払う 10州の新車販売台数 に占める割合7.5% (CA州では8%) カリフォルニアを含む10州での 低公害車の販売台数イメージ

CARBによる最新のコンプライアンスシナリオ 】

航続距離に応じたクレジット換算方式 (2018年度~) • CARBの予想によると、2025年度の規制達成に必要 な低公害車(ZEV、TZEV)の割合は7.5~8.0% • これは米国新車市場の約2%に留まる (=10州での割合7.5% x 10州が米国市場に占める割合28%) カリフォルニア 米国

【 新車販売に占める低公害車の割合 】

8% 2% 3.5% 0.9% 0% 2% 4% 6% 8% 10% '12 '13 '14 '15 '16 '25E '12 '13 '14 '15 '16 '25E EV PHEV

【 カリフォルニア州

ZEV規制の概要 】

0 1 2 3 4 5 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 クレジット 航続距離(マイル) (ZEV1台当たりのクレジット点数は、 航続距離に応じて決まる) ZEV向けクレジット TZEV向けクレジット 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% 12.0% 14.0% 16.0% 2.5% 3.0% 3.5% 4.0% 4.5% 5.0% 5.5% 6.0% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 TZEV ZEV 新車販売台数の 22%に当たるクレ ジットを義務付け 下限 上限 (電気自動車、燃料電池車) (プラグインハイブリッド) 各年において取得が義務付けられて いるZEVクレジットの割合

(14)

まとめ

 トランプ大統領が、2022-25年度の燃費・温室効果ガス(GHG)規制を見直す決定をしたことで、2012年度に実現した「全米統一 規制」の行方は不透明になっている。州ごとに異なる規制に対応した車両製造を迫られる事態を避けるため、自動車業界は政権 に対し、カリフォルニア州との連携を求めているが、規制緩和に反対するカリフォルニア州と政権の距離は埋まっていない。  カリフォルニア州は先日、機先を制して2022-25年度の基準維持を決定。また、「大気浄化法」に基づいて承認された連邦基準の 「適用除外」を守るためには、法的措置も辞さない構えを示しており、ZEV規制が大きく改変される可能性は低いと考えられる。  このため米国では、連邦レベルの規制対応は内燃機関重視で進められる一方、カリフォルニア州が主導するZEV規制対応としては 航続距離を延ばしたEVやPHEVの導入が一部地域で並行して進むものとみられる。  興味深いのは、カリフォルニア州規制当局が年初に発表した報告書で、ZEV規制達成に必要なEV、FCEV、PHEVの販売台数は 当初想定を下回るとの予測が示された点。航続距離が長いEVやPHEVの投入加速を背景に、クレジットの蓄積が進んでいること が原因で、2025年のZEV規制達成に必要なEV、FCEV、PHEV合計の販売比率は、カリフォルニア州で8.0%、ZEV規制を採用する 10州合計では7.5%となり、当初想定されていた15%を大きく下回る見通しとなった。  これはZEV規制に由来する電動車両(EV、FCEV、PHEV)の販売台数が、2025年でも米国市場の2%に過ぎないことを示唆してお り、電動車両の本格普及は遅れる可能性がある。原油安を背景として内燃エンジン車との競争に晒される電動車両に、政策や 規制の後押しが期待できなければ、米国では電動車両の販売が伸び難い状況が続きかねず、本格普及の遅れは、コスト低減の 障壁になると考えられる。  一方、欧州や日本、中国では、2020年にかけてGHG排出規制が一層強化される点を踏まえると、米国内で電動化の取り組みに ややブレーキがかかっても、世界的に見れば電動化技術への投資に大きな後退はないだろう。その結果、自動車業界にとっては、 世界的な規制強化への対応でコストが上昇する一方で、規制対応の道筋は、市場や州ごとに異なる状況が続く可能性がある。 規制による普及の後押しが期待できない場合、米国ではいかに規模の経済を実現しコスト低減に繋げるかが当面の課題となろう。 14

(15)

株式会社□■□■ 15 1.11 9.20 2.11 8.20 4.11 6.20 3.71 6.60 3.11 7.20 10.51 0.20 11.31 1.00 18.71 8.40 19.31 9.00 12.31 2.00 Top↓ ガイド 17.16 3.40 7.56 6.20 1.16 12.60 13.96 0.20→ 12.16 1.60 21.76 8.00 20.36 6.60 7.16 6.60 13.56 ←0.20 16.76 3.00 19.96 6.20 26.36 12.60 Left→ ガイド 9.20 1.11 8.20 2.11 6.20 4.11 6.60 3.71 7.20 3.11 0.20 10.51 1.00 11.31 8.40 18.71 9.00 19.31 2.00 12.31 ガイド Top↓ 3.40 17.16 6.20 7.56 12.60 1.16 0.20→ 13.96 1.60 12.16 8.00 21.76 6.60 20.36 6.60 7.16 ←0.20 13.56 3.00 16.76 6.20 19.96 12.60 26.36 ガイド Left→ Back Cover 2 発行:株式会社 三菱東京UFJ銀行 戦略調査部 企業調査室 〒100-8388 東京都千代田区丸の内2-7-1 本件照会先:秋元 弘一 (TEL:03-3240-5386、email:kouichi_2_akimoto@mufg.jp) www.mufg.jp 本プレゼンテーションにより、貴社と株式会社三菱東京UFJ銀行の間には何ら委任その他の契約関係が発生するものではなく、当行が一切法的な義務・責任を負うものではありません。 本資料は信頼できると考えられる各種データに基づいて作成されていますが、当行はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示したすべての内容は、当行の現時点での判断を示している に過ぎません。また、本資料に関連して生じた一切の損害については、当行は責任を負いません。その他専門的知識に係る問題については、必ず貴社の弁護士、税理士、公認会計士等の専門家にご相談の 上ご確認下さい。 株式会社三菱東京UFJ銀行と三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社は別法人です。本資料は三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社が提供する商品・サービスについて説明するものではありませ ん。また、株式会社三菱東京UFJ銀行の役職員は三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社が提供する商品・サービスの勧誘行為をすることはできません。 本資料は当行の著作物であり、著作権法により保護されております。当行の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、転送等により使用することを禁じます。 Copyright 2017 The Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ, Ltd. All rights reserved.

〒100-8388 東京都 千代田区 丸の内 2-7-1 株式会社 三菱東京UFJ銀行 戦略調査部 企業調査室 当行が契約している指定紛争解決機関 一般社団法人 全国銀行協会 連絡先 全国銀行協会相談室  電話番号: 0570-017109 または 03-5252-3772  受付時間: 月~金曜日9:00~17:00(祝日、12/31~1/3等を除く)

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