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大成建設技術センター報第 39 号 (2006) 鉄筋コンクリート構造の 3 次元非線形有限要素解析 *1 福浦尚之 Keywords : reinforced concrete, multi-directional cracks, three-dimensional nonlinear finit

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Academic year: 2021

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鉄筋コンクリート構造の3次元非線形有限要素解析

福浦 尚之

*1

Keywords : reinforced concrete, multi-directional cracks, three-dimensional nonlinear finite element analysis, performance-based design 鉄筋コンクリート,多方向ひび割れ,3次元非線形有限要素解析,性能照査型設計

1. はじめに

Xc Yc アクティブ クラックの スイッチ 正載荷時(ε1>ε2) 負載荷時(ε1<ε2) ε1 ε2 正載荷 正負交番載荷を受けるRC耐震壁 負載荷 Yc ε1 ε2 Xc 性能照査型設計法(性能規定型設計法)が設計実務 に取り入れられつつある中、非線形有限要素法により コンクリート構造物の挙動をシミュレーションする技 術は、設計技術を構成する要素の一つとして有用とな っている。また、近年の計算機容量、計算速度の飛躍 的な向上に伴い、従来では構造物を二次元にモデル化 する必要があったものが、構造をそのままにモデル化 して三次元非線形解析を実施することが可能かつ適切 な手法となりつつある。 外力を受ける鉄筋コンクリート(以下、RCと称す) 構造では、荷重の作用によりひび割れが発生し、大き な非線形性を示す。このため、RC部材の挙動を表現す るためのモデル化においては、材料の損傷過程をでき る限り実現象に忠実に再現できものであることが重要 である。また、地震による多方向からの揺れを受ける 三次元構造物では多方向にひび割れが発生することを 想定する必要がある。 多方向に発生するひび割れを扱うひび割れモデルに はこれまでに複数が発表されている。前川・福浦らは 平面応力場の構造要素内に非直交な独立4方向のひび 割れ群を有するRC挙動に対し、従来のアクティブクラ ックの概念1)を適用し、異なる方向を有するひび割れ 群間の相互作用を考慮した鉄筋コンクリートの構成則 を構築している2、3)。アクティブクラックの概念1)は、 岡村・前川がRCパネルの正負交番載荷モデルの構築 に際して初めて適用したものであり、図-1に示すよう に2方向にまで擬似直交ひび割れ軸を許し、主たる非 線形性を担う局所軸にひび割れ直方向のひび割れ幅が 大きい方を採用するものである。そして、Hauke・前川 は平面応力場での4方向ひび割れモデルを拡張し3次元応 力場での多方向ひび割れモデルを構築している3、4) また、Phamavanh5)らは格子等価連続体化法に基づき 最大4方向の非直交ひび割れを扱うことのできるひび割 れモデルを、米澤6)らは3軸応力下において9方向までの ひび割れを表現できるひび割れモデルを構築している。 本研究では、3次元応力場において6方向までのひび 割れの発生を考慮できるひび割れモデルを構築し、こ れを汎用構造解析プログラムにユーザーサブルーチン として組込み、その適用性について検討を行った。

2. 3 次元応力場での 6 方向ひび割れモデル

3次元応力場においても前述のアクティブクラックの 概念1)を適用する。すなわち、図-2に示すように3次元 空間上に発生した多数のひび割れ面の内、主たる非線 形性を担うひび割れ面にひび割れ面の法線方向のひび 割れ幅が大きい方を採用する。 著者らが構築した2次元平面応力場での非直交4方向 ひび割れモデル2)では、図-3に示すように2つの直交座 *1 技術センター土木技術研究所土木構工法研究室 図-1 アクティブクラックの概念 Fig.1 Concept of active crack

(2)

標系(x1-y1,x2-y2)を導入し、その各々の座標軸をひび割 れ直交方向に関係付け、2次元平面応力場に発生するひ び割れをモデル化している。3次元応力場においても基 本的にはこの方法を踏襲し、図-4に示すように2つの3 次元直交座標系(x1-y1-z1, x2-y2-z2)を導入してその各々 の座標軸をひび割れ面の法線方向と関係付ける。これ により3次元空間に発生するひび割れを6つのひび割れ 面(2座標系×3座標軸=6)でモデル化する。 3次元空間上において、コンクリート応力を算定する ための直交座標系を設定するにはアクティブクラック 面のみの判定では不十分であり、アクティブクラック 面上における第2軸、第3軸を定める必要がある。これ については、アクティブクラック面の2次元ひずみ成分 に基づいて、アクティブクラック以外のひび割れ面に 関してアクティブクラック面の判定を行い第2アクティ ブクラック面を定める。すなわち、コンクリート応力 を算定するための直交座標系の各座標軸は常に固定さ れるものではなく、3次元空間内のひび割れ面分布とひ ずみ状態に応じて適切に、コンクリート応力を算定す るための直交座標系が構成される。例えば、x1軸-y2 軸-z1軸をもとに直交座標系を構成するような場合も生 じることになる。 3.コンクリートと鉄筋の材料モデル 本研究で用いたひび割れたコンクリートおよび鉄筋 の材料モデルの概要を図-5 に示す。コンクリートの圧 縮挙動に関してはコンクリート標準示方書7)に示され るσ-ε関係を基本とし、これにひび割れ直交方向の引 張りひずみεtmaxの影響による強度低下3)を考慮した。 引張り挙動に関しては、岡村・前川らによるコンクリート のテンションスティフニングを考慮したモデル3)とした。 また、圧縮・引張り挙動に関するする除荷・再載荷 挙動、引張り領域から圧縮領域に遷移する際のひび割 れの再接触挙動についても簡易にモデル化した。 せん断挙動については、李・前川による、ひび割れ面 の接触密度関数に基づくせん断挙動モデルを有限要素解 析に組込みやすいように簡略化したモデル3)を用いた。 ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ − × × × = 002 . 0 ' 2 002 . 0 ' ' 'c f c c c ε ε ϖ σ 式 (1) 図-2 3 次元空間におけるアクティブクラック Fig.2 Active crack in three dimensional space

ひび割れ面-1 εn2:ひび割れ面-2   の法線方向ひずみ εn1:ひび割れ面-1   の法線方向ひずみ アクティブクラック面=ひび割れ面-i        但し、εni=max(εn1,εn2,・・εni・・) ひび割れ面-i ・ ・ ・・ εni:ひび割れ面-i   の法線方向ひずみ ・ ・ ・・ x1軸 y1軸 x 2軸 y2軸 x1軸に対応する ひび割れ x2軸に対応する ひび割れ y1軸に対応するひ び割れ y2軸に 対応す るひび 割れ x1-y 1: 第一直交座標系 x2-y2: 第二直交座標系 ひび割れ面-2 図-3 2 次元空間における4 方向ひび割れモデルの概念 Fig.3 Concept of 4-way cracks model in two dimensional

space ひび割れ面 (法線方向はx1軸) x1軸 y1軸 z1軸 ひび割れ面 (法線方向はy1軸) ひび割れ面 (法線方向はz1軸) ひび割れ面 (法線方向はx1軸) x2軸 y2軸 z2軸 ひび割れ面 (法線方向はy2軸) ひび割れ面 (法線方向はz2軸) a)第一座標系 

x

1-

y

1-

z

1 b)第二座標系 

x

2-

y

2-

z

2 図-4 3 次元空間における 6 方向ひび割れモデルの概念 Fig.4 Concept of 6-way cracks model in three dimensional

(3)

σc εc 式(2) 式(1) σs εs τc γc 式(3) a)コンクリート圧縮・引張モデル b)コンクリートせん断モデル c)鉄筋モデル3、9) 図-5 コンクリートと鉄筋の応力ひずみ関係の概要

Fig.5 Stress-strain relationship of concrete and reinforcing bar

(

)

μ ε μ ε μ ε μ ε ϖ ε ϖ 5000 6 . 0 1000 5000 1000 1000 1 . 0 0 . 1 1000 0 . 1 max max max max max > > ≥ − × − ≤ = t t t t t L L L               による低減率 最大引張ひずみ :ひび割れ直角方向の ここに、 4 . 0 ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ × = c tu t c f ε ε σ 式 (2) ずみ :ひび割れ発生時のひ ここに、εtu c cr c c G G γ τ ⎟⎟× ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ + = / 1 / 1 1 式 (3) 断剛性  :ひび割れ面でのせん      剛性 :ひび割れ前のせん断 ここに、 cr c G G 鉄筋の応力ひずみ関係は、鉄筋のバウシンガー効果 を考慮できる加藤モデル8)と同等の精度を有する数値 モデル3、9)を用いた。 ひび割れ前のコンクリートモデルについては簡易にモ デル化し、本研究では最大圧縮ひずみがコンクリート標 準示方書7)に示されるσ-ε曲線上において、ひずみの 値を 3 次元ひずみ成分から求められる最大圧縮ひずみと した場合の割線剛性を持つ非線形弾性体とした。 4.一様応力場での数値シミュレーション 本ひび割れモデルをユーザーサブルーチンとして汎用 解析プログラム ABAQUS に組込み、一様応力場での数 値シミュレーションを行った。図-6 に示す正六面体の 1 要素モデル(8 節点ソリッド要素)を対象に、Z 方向引 張、X 方向せん断、Y 方向せん断を順次載荷した。 解析結果を図-7~9 に示す。STEP-1 の Z 方向載荷で は、Z 軸に垂直に第 1 のひび割れ面が生じる。Z 方向 の力を除荷した後、STEP-2 で Y 方向にせん断力を交 番載荷させると Y-Z 面内で第 2,3 の 2 方向の斜めひび 割れ面が生じる。さらに、Y 方向のせん断力を除荷し た後、STEP-3 で X 方向にせん断力を交番載荷させる と X-Z 面内で第 4,5 の 2 方向の斜めひび割れ面が生じ、 合計 5 方向のひび割れ面が生じる。 STEP-1:引張載荷・除荷(pz=4.0N/mm2) STEP-2:せん断載荷・除荷 (τyz=5.0N/mm2) STEP-3:せん断載荷・除荷 (τxz =5.0N/mm2) X Y Z 正四面体要素:1辺 10cm コンクリート f 'c=40N/mm2 f t =2.5N/mm2 鉄筋比 pt =2% 図-6 一様応力場での数値シミュレーション Fig.6 Crack simulation on uniform stress field

σz - εz 関係 -6 -3 0 3 0.000 0.001 0.001 0.002 0.002 直ひずみ εz 直応力 σ z   ( N/ mm 2 ) STEP-1 STEP-2,3 X Z 第1ひび割れ 0° 図-7 一様応力場での数値シミュレーション結果(1) Fig.7 Results of crack simulation on uniform stress field (1)

(4)

5.多方向より荷重を受ける RC 円筒壁の数値シミュレ ーション 多方向よりの荷重を受けるRC円筒壁の載荷実験10) を対象に、数値シミュレーションを行った。図-10 に試 験体諸元を、表-1 に材料特性、及び図-11 に加力パター ンを示す。図-11 に示す加力パターンはRx=2/100 の場 合を示しているが、Rx=0.5~8/1000 で同じパターンに よる加力を行い、最後に押し切り加力を実施している。 解析モデルは図-12 に示すように、試験体を 8 節点ソ リッド要素を用いて壁部を鉛直方向に 5 分割、円周方 向に 16 分割(@22.5°)、壁厚方向に2分割してモデ ル化した。加力スラブ・基礎スラブについては壁部と 同様に 8 節点ソリッド要素でモデル化し、弾性体とし てひび割れは発生させないこととした。解析における 加力方法は、加力スラブ各 4 側面の中央位置(図-12、 ★印)で強制変位を与える方法によった。 解析ステップは、まず実験において水平加力前に導 入されている軸力(σ0=1.5N/mm2)に相当する応力を 再現するため加力スラブの単位体積重量を調整し、自 重解析を実施した。その後、十字加力、矩形加力のそ れぞれの水平方向加力を実施した。 図-13 に変形及び主ひずみ分布図を、解析と実験との 比較を図-14,15 に示す。主たる載荷方向である X 方向 について、解析の最大荷重は、実験と比較して十字加 力 で 81 % ( 1263/1567 = 0.81 )、 矩 形 加 力 で 74 % (911/1233=0.74)であり、解析のほうが実験よりも小 さくなっている。矩形加力と十字加力の比較では、実験 と同様に矩形加力の方は十字加力よりも強度低下してい るが、その度合いは実験では 78%(1233/1567=0.78)で あるのに対し、解析では 72%(911/1263=0.72)と若干 低くなっている。荷重-変形角関係における除荷時ルー 図-10 円筒試験体諸元

Fig.10 Clyndrical specimens for experiments X Y 2700 2700 1985 1835 75 75 2700 400 10 00 50 0 1985 1835 75 75 単位:mm 加力スラブ 基礎スラブ 壁部(t=75) 壁部鉄筋比:1.2%      (鉛直・円周方向等量) 表-1 使用材料

Table 1 Mechanical properties of materials

加力スラブ 基礎スラブ 壁部 δ 加力スラブ L 変形角R=δ/L 図-11 加力パターン Fig.11 Loading pattens

コンクリート     (十字加力/矩形加力) 圧縮強度 f'c(N/mm 2) 31.8/34.3 割裂強度 ft(N/mm 2) 2.55/3.09 壁筋    降伏強度 σy(N/mm2) 375 ヤング率 Es(N/mm2) 200000 a)十字加力 -1.6 -0.8 0 0.8 1.6 -2 -1 0 1 2 RX (×10-3) R Y  ( × 1 0 -3) ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ b)矩形加力 -1.6 -0.8 0 0.8 1.6 -2 -1 0 1 2 RX (×10-3) R Y  ( ×1 0 -3) ① ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ② 図-8 一様応力場での数値シミュレーション結果(2) Fig.8 Results of crack simulation on uniform stress field (2)

図-9 一様応力場での数値シミュレーション結果(3) Fig.9 Results of crack simulation on uniform stress field (3)

τyz - γyz 関係 -6 -4 -2 0 2 4 6 -0.003 -0.002 -0.001 0.000 0.001 0.002 0.003 せん断ひずみ γyz せん 断応力  τ yz   ( N/m m 2 ) τxz - γxz 関係 -6 -4 -2 0 2 4 6 -0.003 -0.002 -0.001 0.000 0.001 0.002 0.003 せん断ひずみ γxz せん 断応 力  τ xz   ( N/m m 2 ) STEP-1,2 STEP-3 X Z 47° 47° 第4ひび割れ 第5ひび割れ STEP-1 STEP-2 STEP-3 Y Z 45° 48° 第2ひび割れ 第3ひび割れ

(5)

X Y Z ★ ★ 加力スラブ(弾性体) 基礎スラブ(弾性体) 壁部 ★:加力点( 4ヶ所) 図-13 変形及び主引張ひずみ(RX=8×10-3,RY=-0.64×10-3) 図-12 解析モデル

Fig.12 Mesh arrangement for analysis Fig.13 Displacement and tensile principal strain

b)解析結果(X方向) -1500 -1000 -500 0 500 1000 1500 2000 -10 -5 0 5 10 15 X方向変形角 RX (×10-3) X 方向荷重 Q X   (kN ) 解析 1263 d)解析結果(Y方向) -1500 -1000 -500 0 500 1000 1500 2000 -10 -5 0 5 10 15 Y方向変形角 RY (×10-3) Y 方向荷 重 Q Y   ( kN) 解析 1566 a)実験結果(X方向) -1500 -1000 -500 0 500 1000 1500 2000 -10 -5 0 5 10 15 X方向変形角 RX (×10-3) X 方向荷重  Q X  ( k N ) 実験 1567 c)実験結果(Y方向) -1500 -1000 -500 0 500 1000 1500 2000 -10 -5 0 5 10 15 Y方向変形角 RY (×10-3) Y 方向荷重 Q Y  ( k N ) 実験 1576 図-14 解析と実験の比較(十字加力)

Fig.14 Comparison of analysis and experiement on cross loading case

プの形状については、解析は実験と比較して除荷ルー プの膨らみがかなり小さくなっている。これは、材料 モデルによる除荷・再載荷挙動を簡易なモデルとした ことが原因と考えられる。今回の解析では包絡線・除 荷ループともに実験と比較して十分な整合性は得られ らなかったが、定性的には 3 次元応力下での 3 次元部 材のひび割れに伴う非線形挙動を非線形有限要素解析 にて表現が可能であることを示すことができたと考え る。今後、3 次元応力下での多方向ひび割れを表現す るモデルの改良及び個々の材料モデルの除荷・再載荷 挙動について改善が必要である。

6. まとめ

本研究を以下にまとめる。 1)3 次元空間上に発生した多数のひび割れ面の内、主た

(6)

b)解析結果(X方向) -1500 -1000 -500 0 500 1000 1500 -10 -5 0 5 10 X方向変形角 RX (×10-3) X 方 向荷重  Q X  ( k N ) 解析 911 d)解析結果(Y方向) -1500 -1000 -500 0 500 1000 1500 -10 -5 0 5 10 Y方向変形角 RY (×10-3) Y方 向荷重  Q Y   (kN) 解析 999 a)実験結果(X方向) -1500 -1000 -500 0 500 1000 1500 -10 -5 0 5 10 X方向変形角 RX (×10-3) X 方 向荷重  Q X  ( k N ) 実験 1233 c)実験結果(Y方向) -1500 -1000 -500 0 500 1000 1500 -10 -5 0 5 10 Y方向変形角 RY (×10-3) Y方 向荷重  Q Y   (kN) 実験 1189 図-15 解析と実験の比較(矩形加力)

Fig.15 Comparison of analysis and experiement on rectangle loading case

る非線形性を担うひび割れ面としてひび割れ面の法 線方向のひび割れ幅が大きい方を採用する方法に基 づき、3 次元応力場において 6 方向までのひび割れの 発生を考慮できるひび割れモデルを構築した。 2)この多方向ひび割れモデルを汎用有限要素解析プロ グラムにユーザーサブルーチンとして組込み、一様応 力場での数値シミュレーション、多方向荷重入力を受 ける円筒 RC 壁の数値シミュレーションを行い、その 適用性について検証を行った。 3)多方向荷重入力を受ける円筒 RC 壁の数値シミュレ ーションでは、包絡線・除荷ループともに実験との十 分な整合性は得られらなかったが、定性的には 3 次元 応力下での 3 次元部材の挙動を非線形有限要素解析に て表現が可能であることを示すことができたと考える。 今後は、3 次元非線形有限要素解析の予測精度と適用 性の向上を図っていく必要がある。 参考文献 1)岡村 甫,前川宏一:鉄筋コンクリートの非線形解析と構 成則,技報堂出版,1991. 2)福浦尚之,前川宏一:非直交する独立 4 方向ひび割れ群を 有する平面 RC 要素の空間平均化構成モデル,土木学会論文 集,No.634/V-45, pp.177-196, 1999.11

3)Maekawa, K., Pimanmas, A. and Okamura, H.: NONLINEAR MECHANICS OF REINFORCED CONCRETE, Spon Press, London,2003.

4)Hauke, B. and Maekawa, K.:Three-dimensional modelling of reinforced concrete with multi-directional cracking,土木学会論 文集,No.634/V-45, pp.349-368, 1999.11 5)Phamavanh, K.,伊藤睦,中村光,田辺忠顕:RC構造の繰 り返し及び動的解析における格子等価連続体化法の適応性, 土木学会論文集,No.767/V-64, pp.161-176, 2004.8 6)米澤健次,長沼一洋,江戸宏彰:正負繰返し荷重を受 けるRC柱の三次元FEM解析,日本コンクリート工学年 次論文集,Vol.25, NO.2, pp.43-48, 2003. 7)土木学会:コンクリート標準示方書[構造性能照査編]編, 2002年制定

8)Kato, B. : Mechanical Properties of Steel under Load Cycles Idenlizing Seismic Action, CEB Bulletin D’Information, No.131, pp.7-27, 1979. 9)福浦尚之, 前川宏一:RC非線形解析に用いる鉄筋の繰り返 し履歴モデル,土木学会論文集,No.564/V-35, pp.291-296, 1997.5 10)小野英雄,北田義夫,渡辺英義,西川孝夫:水平2方向 同時加力を受けるRC造立体耐震壁のせん断耐力・変形性能 に関する実験的研究,建築学会構造系論文集,No.582, pp.123-132, 2004.8

Table 1  Mechanical properties of materials

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