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児童期における時間的対比による自己理解の発達 ―児童は自己の“変化するところ”と“変化しないところ”をどのように捉えるか―

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(1)心理科学 第 41巻第 2号 (2020年 12月). 児童期における時間的対比による自己理解の発達 ―児童は自己の“変化するところ”と“変化しないところ”をどのように捉えるか― 松島 明日香 ( 滋賀大学 ). 答させるもの( Broughton, 1978)などである。こ. 問題と目的. れらの研究では児童期から青年期にかけてどのよ. 児童期の発達過程において、9,10 歳頃に発達. うな側面から自分自身を描出することが多いのか. の質的転換期があることが多くの研究者によって. という点に着目しており、年齢が上がるにつれて. 示されてきた。例えば、生沢(1976)は論理的な. 自分自身を身体的、外面的に言及する段階から内. 関係を把握し構成する段階として、長島・寺田. 面的・心理的な側面へと言及するようになること. (1977)は具体的事象の概念化がなされる時期と. を明らかしている。中でも、Livesley & Bromley. して、加藤(1987)は論理的思考が可能になる時. (1973)や Broughton(1978)の研究では、その. 期として 9,10 歳頃の発達の質的転換期を提起し. 転換点として 8 歳頃を一つの節目として取り上げ. ている。また、ピアジェによれば、9,10 歳頃は. ている。. 具体的操作期の第 2 段階にあたり、群性体にみら. 一方、「 自分とは何か 」といった漠然とした問. れる概念の階層関係を捉えるようになり始める時. いに対して自己定義させる方法ではなく、より具. 期としている( 中垣,2007)。どの研究において. 体的な質問方法を用いて幼児期から青年期まで. も、多少の表現の違いはあっても、9,10 歳頃の. の幅広い年齢を対象に自己理解の発達について. 発達の質的転換期を「 概念化された思考が可能に. の探求を試みたのが Damon & Hart( 1988)であ. なり始める時期 」として捉えている点では共通し. る。Damon & Hart は「 どんな人か 」といった自己. ている。. 定義のみならず、 「 どんなところが好きか 」といっ. このような認知発達において示される 9,10歳. た自己評価や「 どんな人になりたいか 」といった. 頃の発達の質的転換期は、児童期の自己理解の発. 自己への関心など 7 つの自己の側面からなる複数. 達にどのような変化をもたらすのであろうか。自. の具体的な質問を行い、その理由をたずねるイン. 己理解に関する初期の研究では、 「 自分とはどん. タビュー方法を提案している。そして、幼児期に. な人か 」について自由に語ったり、記述したりす. おいても身体的・外面的側面からだけでなく内面. る方法が主に取られてきた。例えば、自分自身や. 的・心理的側面からも自己を描出することを見. 自分の好きな人( 男子、女子、男性、女性 )、嫌. 出した。佐久間ら(2000)は Damon & Hart の分. いな人( 男子、女子、男性、女性 )についての印. 類枠組みの曖昧さを指摘し、子どもの自己理解の. 象について自由に説明させるものや( Livesley &. 実情に合致した「 身体的・外的属性 」 「 行動 」 「人. Bromley,1973)、 「私は誰か?( Who am I ? ) 」. 格特性 」の 3 つのカテゴリーに改変し、分析を試. という質問に対して自由に 20 個の文章を完成さ. みている。この 3 つのカテゴリーは自己理解の内. せるもの( Montemayor & Eisen,1977)、 「自分. 容的側面において相互排他的で最も上位のカテゴ. とは何か( what is the self ? ) 」の質問に口頭で回. リーであるとされる。その結果、行動および人格 - 17 -.

(2) 心 理 科 学 第 41 巻 第 2 号. 特性に関する描出は児童期以降の年齢の増加に伴. 自己理解は年齢にともなう発達的な変化が前提に. い増加し、身体的・外的属性に関する描出は減少. されていなかったこと( Suls & Mullen, 1982)な. していくといった従来の研究結果を支持する結果. どが関連していると考えられる。. を示しつつも、5 歳児において人格特性語を使用. 時間的対比による自己理解の発達について、古. しての描出がいくつか見られたことを報告してい. くは Zazzo(1969 / 1974)により 6、8、10、12. る。さらに、自己の評価的側面の理解に関しては、. 歳の児童を対象に自己の価値づけの発達過程を. 学年が上がるにつれて肯定的側面だけでなく否定. 調べた研究がある。この研究では、児童に “ 赤ん. 的側面を描出するものが増加することを報告して. 坊 ” 、“ 今の自分 ” 、“ おとな ” の中でなりたい( な. いる。自己評価において否定的側面が増加する結. りたくない )時期を選択させ、その理由を問う中. 果について、佐久間らは他者との比較を通して自. で、児童が過去、現在、未来の自己イメージをど. 己を捉えるようになるからだとしている。. のように捉えているのか、また、その自己イメー. 他者との比較を通した自己理解は社会的対比. ジは年齢が上がるにつれてどのように変化して. ( Social comparison )による自己理解と呼ばれて. いくのかをみている。“ 今の自分 ” をなりたい時期. いる。児童期中期になると、この社会的対比によ. として選択した理由の分析から、Zazzo は自己価. る自己理解や自己評価がこれまで以上に促される. 値の発達過程を次の 3 段階で示している。第 1 段. という結果が多くの研究者において報告されてお. 階は下の年齢との比較のみで「 今 」を価値づける. り( Suls & Mullen, 1982:Rubble, 1983:Harter,. 段階、第 2 段階は上の年齢との比較を行うことで. 2006)、児童期以降の自己理解の発達において、. 「 今 」を価値づける段階、第 3 段階は下と上の年. 社会的対比による自己理解の視点は欠かせないも. 齢とを同時に比較して「 今 」を価値づけるように. のと言えよう。. なる段階である。そして、第 3 段階にあたる時期. 一方、比較は自己と他者との間だけでなされ. が児童期中期から後期にかけてであることが示さ. るものではなく、現在の自己と過去( もしくは未. れている。Zazzo の提起は自己の価値づけという. 来 )の自己との間といった異なる時点における自. 限定された自己理解において見出されたものでは. 己の間でも行われており、この比較による自己理. あるが、より包括的に児童期における自己理解の. 解は時間的対比( temporal comparison)による自. 発達を調べた研究においても同様の傾向が示され. 己理解と呼ばれている( Albert,1977)。自己は. ている( 守屋ら,1972;服部,1997)。これらの. 他者との関係によって形づくられていくだけでは. 研究においても自己の理解はまず過去との対比か. なく、その人自身の時間軸上の歩みの中で形成さ. ら始まり、次に未来との対比によって自己を捉え. れていくものである。そのため、自己理解の発達. るようになることで、児童期中期以降に過去・現. 研究を進める上で、過去から現在に至るまでの過. 在・未来といった連続性の中で自己の時間的変化. 程の中で自己をどのように捉えて意味づけていく. が認識されるようになることが報告されている。. か、また現在から未来に向けてどのような自己を. さらに、児童期中期以降では認識される内容的側. つくり出していくかといった視点が欠かせない。. 面が外見的なものから内面的なものへと変わって. Butler(1998)は、社会的対比による自己理解の. いくことが示されている。ただし、これらの研究. 発達に関する研究は多く取り組まれているのに対. はダイレクトに時間的対比による自己理解を捉え. して、時間的対比による自己理解の発達について. ることを目的にしたものではなく、実証的に分析. はこれまでほとんど注意が向けられてこなかった. されているわけではない。また、認識される内容. と指摘している。その理由として、人は自己を理. 的側面においても、Zazzo が提起した発達過程の. 解する際に時間的対比よりも社会的対比をより重. 各段階において様々な水準による対比が想定され. 視すると考えられてきたこと、時間的対比による. るため、より詳細な分析を行う必要があると思わ - 18 -.

(3) 松島:児童期における時間的対比による自己理解の発達. れる。なぜなら、幼児期においても過去や未来と. の概念操作の獲得が必要になると考えられる。過. の対比によって自己を捉えるようになることが. 去・現在・未来といった時間軸上において自己を. 複数の研究において報告されていることから( 都. 関連付けていく上で、「 変化する 」自己の理解だ. 筑,1981;小野,2001;吉田,2011;Harter,. けでなく、 「 変化しない 」自己の理解、すなわち. 2012;坂上,2012)、幼児期と児童期では自己. 普遍性をもった自己の理解に焦点を当てること. 理解の仕方に発達的な違いがあるのかを見ていく. は、児童期前半から後半にかけての発達的変化お. 必要があるためである。. よび 9,10 歳頃の発達の質的転換期を自己理解の. 児童期における時間的対比による自己理解の. 発達において明らかにする上でも重要であると考. 内容的側面に着目した数少ない研究に佐久間. える。. (2012)のインタビュー調査がある。佐久間は 1. 過去や未来との対比において「 変化する 」自己. 年生から 6 年生を対象に「1学年前の自分(どんな. に加えて、「 変化しない 」自己の理解を確かめる. 子だったか、どんなところが変化したか等 ) 」と. 方法として、Damon & Hart( 1988)は多くの自. 「1学年後の自分( どんな子になっているか、どん. 己理解に関する質問項目の中で「 過去と未来にお. なところが変化するか等 ) 」について質問を行い、. ける自己 」という項目を設定し、4 歳から 14 歳の. 佐久間ら(2000)の分類カテゴリーによって内容. 子どもを対象にインタビューを実施している。具. 的側面の分析を行っている。その結果、学年とと. 体的な手続きは、「 あなたは今から 5 年後と同じ. もに身体・外的属性による自己の描出は減少する. だと思いますか? それとも違うと思いますか?」. のに対して人格特性に関する描出と下位カテゴ. と質問し、次いで「 大人だったらどうですか?」、. リーにおける勤勉性、外向性への言及が増加する. 「5 年前だったらどうですか?」、「 赤ちゃんの時. といった、社会的対比による自己理解の発達と同. だったらどうですか?」と比較する対象を変えて. 様の結果を見出している。ただし、この研究は包. 質問を行っている。さらに、児童の返答に応じ. 括的に分析されていないのに加え、過去との対比. て「 何が同じですか( 何が違いますか )?、なぜ. による自己理解と未来との対比による自己理解に. それが重要ですか?」と追加質問することで、内. 関する回答をまとめて述べているため、それぞれ. 容的側面の発達的変化を明らかにしようとしてい. の質問に対する回答の傾向は不明である。. る。しかし、質問内容が対象児の返答に応じて流. これまで見てきたように、時間的対比による自. 動的であり、 「 変化する 」自己と「 変化しない 」自. 己理解研究は過去や未来の自己がどのように「 変. 己の両面を必ずしも捉えられる質問項目になって. 化してきたのか 」、もしくは「 変化するのか 」に. いない。また、どのような発達的変化が見られ. 着目して進められてきた。一方で、 「変化しない」. たのかについて明らかにされていない。佐久間ら. 自己も自己理解においては重要な側面であるのに. (2000)も Damon & Hart( 1988)の追試研究を 5 歳から 4 年生の子どもを対象に実施しているが、. も関わらず、あまり焦点が当てられてこなかっ た。現在の自己と過去や未来の自己との対比は、. 「 過去の自己 」については覚えていないという回. 異なる時点間の比較ということで、それ自体が. 答が多く、「 未来の自己 」では将来の夢やなりた. 「違い 」や「 変化 」を含み込んでいる。その中で「変. い職業名を答える子どもがいたことから「 過去と. 化しない 」自己を捉えるということは、変化に誘. 未来の自己 」の分析は除外されており、質問内容. 導されずに「 変化しないもの 」を取り出すことが. 自体の検討が求められている。. 求められる。そのためには、過去や未来の自己と. 田中・田中(1988)は自己形成視を捉える項. 現在の自己を統合するためのより抽象的な上位概. 目の中で「 小さい時と比べてどこが変わってきた. 念を持ち出す必要があり、これはピアジェの具体. か 」、 「 小さい時と比べて変わっていないところ. 的操作期における第 2 段階、すなわち 9,10 歳頃. はどこか 」、 「 大人と今とどこが違うか 」、 「 大人 - 19 -.

(4) 心 理 科 学 第 41 巻 第 2 号. と今と同じところはどこか 」を問う質問を提案し. あり、児童期以降の特徴については触れられてい. ており、Damon & Hart( 1988)の質問項目に比. ない。. べ、より体系的で限定的な質問項目になってい. 以上より、児童期における時間的対比による自. る。さらに、小野(2011)は田中・田中(1988). 己理解の発達において、過去や未来との対比の中. の質問項目に若干の修正を加え、3 歳後半から 6. で「 変化する 」自己と「 変化しない 」自己の捉えが. 歳前半の幼児を対象にインタビューを実施して. どのような発達的変化を遂げていくのかについ. いる。田中・田中(1988)では過去との時間的対. て、その内容的側面からの実証的な検討は十分に. 比は「 変わった-変わっていない 」という表現で. 展開されているとは言い難い。また、これまでに. 質問しているのに対して、未来との時間的対比. 提起されている児童期前半から後半にかけての時. は「 違う-同じ 」という表現で質問している。そ. 間的対比による自己理解の発達的変化が、9,10. れに対して、小野(2011)は未来との時間的対比. 歳頃の発達の質的転換期との関係で十分に論じら. と同様に過去の時間的対比についても「 違う-同. れてきたわけではない。田中・田中(1988)や小. じ 」という表現に統一している。また、質問項目. 野(2011)の研究において、時間的対比による自. に子どもの実際の名前を入れ、比較対象を 2 つ明. 己理解が可能になり始める 5 歳以降では客観性を. 示している( ①「~ちゃんが小さかった時と今の. 欠いた、個人の経験や記憶に基づく具体的な言及. ~ちゃんとどこが違いますか 」、②「~ちゃんが. に留まることが示唆されている。このような傾向. 小さかった時と今の~ちゃんと同じところはどこ. が、概念操作を獲得するとされている 9,10 歳頃. ですか 」、③「~ちゃんが大人になった時と今の. になると、より客観性をもち、多面的に自己を捉. ~ちゃんとどこが違いますか 」、④「~ちゃんが. えるようになることで外見的で具体的な側面だけ. 大人になった時と今の~ちゃんと同じところはど. でなく内面的側面にまで自己の理解が及ぶように. こですか 」)。これらの修正により、異なる時点. なるのではないかと思われる。小野(2011)の質. の自己の関係が対比しやすいものになったと思. 問項目を用いたインタビューを児童期を対象に実. われる。田中・田中(1988)では、実証的なデー. 施することは、そのような質的な違いが 9,10 歳. タは示されていないが、5 歳後半から 6 歳頃にな. 頃に現れるのかを明らかにするために有効である. ると客観的ではないが小さい時から変わってきた. と思われる。さらに、小野(2011)が提案する質. 自己を捉え、大きくなったら何になりたいかを答. 問項目は体系的に構成されていることから、 「変. えるようになるとともに、小さい時から今も、そ. 化する 」自己と「 変化しない 」自己の両面から分. して大きくなっても変わらないところは何かにつ. 析することや各項目間の関連性を検討することが. いても答えるようになることを報告している。小. 可能になると考える。. 野(2011)においても、5 歳以降に自分の過去の. そこで、 本研究では児童期を対象に小野(2011). 経験を参照し、現在の自己と対比しながら自己の. の質問項目を参考にインタビューを実施し、佐久. 変化について述べるようになることを明らかにし. 間ら(2000)が提案した 3 つのカテゴリー分類に. ている。内容的側面についての言及はなされてい. もとづく内容的側面に着目することで以下の 3 点. ないが、回答プロトコルから外見的特徴(「 背 」、. について明らかにすることを目的とする。 (1)過. 「 顔 」、「 髪 」 )や行動的特徴(「~していた 」 )から. 去や未来との対比による自己の時間的変化をどう. 自己の変化を描出している幼児が多いことが見て. いった側面から描出するか。 (2) 「 変化する 」自己. 取れた。また、個人の経験や具体的なエピソード. だけではなく、「 変化しない 」自己をどういった. の記憶に基づく言及が多かったことが報告されて. 側面から描出するか( 自己の普遍性 )。 (3)過去と. いる。ただし、田中・田中(1988)や小野(2011). 対比される自己と未来と対比される自己をどのよ. の知見は幼児期に着目して述べられているもので. うに繋げて、自己の時間的変化を認識していくの - 20 -.

(5) 松島:児童期における時間的対比による自己理解の発達. か( 自己の連続性 )。以上について、児童期前半 から後半にかけて質的な変化が見出されるのか実. 3.質問内容. 証的な検討を試みる。内容的側面については 3 つ. 時間的対比による自己理解を確認するための. のカテゴリー分類に加えて自己評価的側面の分析. 質問内容は小野(2011)を参考に次のように改変. を行う中で、社会的対比による自己理解研究にお. した。①過去・差異: 「 ○○ちゃんが小さい時と. いて示された結果と同様の結果が得られるのかに. 今の○○ちゃんではどこが違いますか、どこが変. ついても明らかにする。. わってきたか教えてください 」、②過去・同一: 「 ○○ちゃんが小さい時と今の○○ちゃんではど こが同じですか、どこが変わっていないか教え. 方法. てください 」、③未来・差異: 「 おとなになった. 1.参加児. ○○ちゃんと今の○○ちゃんではどこが違いま. 関西圏の放課後児童クラブに通う小学 1 年生か. すか、どこが変わっていると思いますか 」、④未. ら 5 年生までの児童 103 名。参加児の内訳は 1 年. 来・同一: 「 おとなになった○○ちゃんと今の○. 生 20名(男児 10名、女児 10名、平均年齢 7歳 2ヵ. ○ちゃんではどこが同じですか、どこが変わって. 月、年齢範囲 6 歳 9 ヵ月~7歳 7ヵ月)、2年生 21. いないと思いますか 」。. 名(男児 10 名、女児 11名、平均年齢 8歳 0ヵ月、. 小野(2011)の手続きにおいて、質問項目に子. 年齢範囲 7歳 6ヵ月~8歳 7ヵ月)、3年生 20名(男. どもの実際の名前を入れて比較対象を 2 つ明示す. 児 10 名、女児 10 名、平均年齢 9 歳 0 ヵ月、年齢. ることで異なる時点の自己の関係が対比しやすく. 範囲 8 歳 5 ヵ月~ 9 歳 6 ヵ月)、4 年生 22 名(男児. なっていることからも、本研究でも同様の聞き方. 11 名、女児 11 名、平均年齢 10 歳 3 ヵ月、年齢. を取り入れた。一方、小野(2011)では対比する. 範囲 9 歳 6 ヵ月~ 10 歳 10 ヵ月)、5 年生 20 名(男. 時の表現を「 変わった-変わっていない 」ではな. 児 9 名、女児 11 名、平均年齢 11 歳 4 ヵ月、年齢. く「 違う-同じ 」に統一している。本研究では「 違 い 」と「 同じ 」に続いて「 変わっているか 」 「 変わっ. 1. 範囲 10 歳 8 ヵ月~ 11歳 11ヵ月)であった 。. ていないか 」を重ねて問うようにし、自己の変化 2.手続き. を意識した回答を得られることをねらいとした。. インタビューは遊びスペースとは異なる別室に. 比較する時期について、Damon & Hart( 1988). て筆者と参加児の二人きりで、両者が対面するか. や佐久間ら(2000)のように「5年前 」 「5 年後 」と. たちで実施した。最初に児童自身の生年月日と年. いった特定の時期を設定してしまうことで、指定. 齢、学年を確認した上で、自由に会話を行い、緊. された時期に忠実であろうとする児童にとっては. 張が解れたタイミングで時間的対比による自己理. 回答内容に制約を生じさせてしまう可能性が考え. 解に関するインタビューを開始した。児童の発言. られた。また、時間概念が未熟な児童においては、. 内容は、著者が逐語的に記録用紙に書き取って. かえって自己イメージを持ちにくくさせてしまう. いくかたちで記録した。調査時期は 2017 年 9 月. ことも考えられるため、「 小さい時 」 「 大人になっ. から 2018 年 3 月までであった。研究を行うにあ. た時 」と敢えて比較スパンを広くとり、児童自身. たって、市の福祉課の許可を得た上で、放課後児. が思い描きやすい過去や未来の自己像との対比を. 童クラブの指導員を通じて保護者に文書にて協力. 行えるようにした。. の同意を得た。. 質問は①から④の順に実施した。なお、小野. 1 調査期間が 7ヵ月間と長期であったため、一学年下の誕生月が早い児童と一学年上の誕生月が遅い児童で月齢が逆転 してしまうことが起きている。そのため、各学年の年齢範囲が重複しているところがある。 - 21 -.

(6) 心 理 科 学 第 41 巻 第 2 号. (2011)の研究では順序効果を避けるために①の. らかの発達における「構造的な変化」が反映され. み分析がなされている。本研究では、前に発言し. ている可能性があるため、9,10歳頃の発達の質. た内容をどのように次の質問に反映させるかと. 的転換期を見出す上で重要な分析指標となる。. いった個人内の回答内容の連続性にも着目して分. 「 無回答 」以外の3つのカテゴリーについては、. 析することを目的としているため、前の質問が次. 言及があったか、なかったかを分析の指標として. の質問への回答に影響することを考慮した上でイ. いるため、一つの質問項目に対する回答内容に 2. ンタビューを行った。回答に対しては、一度だけ. つ以上のカテゴリーが存在する場合があった。さ. 「 他にはありませんか?」と確認し、できるだけ. らに、「 行動・能力的特徴 」カテゴリーと「 内面的 特徴 」カテゴリーにおいては言及内容が多岐に渡. 多くの回答を引き出すようにした。. り、複数の観点からの言及が考えられるため、下 4.分析. 位カテゴリーを設けてより詳細な内容分析を行っ. 児童の回答内容を佐久間ら(2000)を参考にし. た。 「 行動・能力的特徴 」の下位カテゴリーとし. た「 外見的特徴 」 「 行動・能力的特徴 」 「 内面的特. て「 行動 」と「 能力 」、 「 内面的特徴 」の下位カテゴ. 2. 徴 」 の 3 つのカテゴリーに「 無回答 」を加えて分. リーとして「 性格 」と「 趣味・嗜好 」を設定し、そ. 類した( Table 1)。 「 無回答 」に含まれる「 ない 」. れぞれを肯定的側面と否定的側面に分類した。こ. や「 分からない 」といった回答には、①課題解決. れにより、時間的対比による自己理解の自己評価. のために提示された情報が十分処理できなかっ. 的側面の分析を試みる 3。分類は筆者と発達心理. た場合と②課題解決のために提示された情報を. 学を専門とする研究者 1 名が個別に行い、分類結. 十分に処理した上で、情報が足りないことを認. 果が一致しない点については協議の上、修正を. 識した場合の 2つの意味合いが想定される(近藤,. 行った。. 2014)。①は年齢とともに減少するが、②は①と. 最後に 4 つの質問項目間の回答内容の関連性か. は異なる学年的な傾向が示されている。その場合、. ら、児童期における自己の連続性の発達的特徴を. U字型発達曲線で知られているように、そこに何. 明らかにするため、個人内分析を行った。. Table 1 分類カテゴリーの一覧. 2 佐久間ら(2000)のカテゴリー名「身体的・外的属性」「行動」「人格特性」が本研究の「外見的特徴」「行動・能力的特 徴」「内面的特徴」にそれぞれ相当する。カテゴリー名に若干の変更を加えているが分類基準は同じである。 3 佐久間ら(2000)では 3 つのカテゴリーの下に細かく下位カテゴリーを設けているが、時間的対比による自己理解 の分類とは合致しない点が多いため本研究では引用せず、独自の下位カテゴリーを設けることとした。 - 22 -.

(7) 松島:児童期における時間的対比による自己理解の発達. 面的特徴 」 :F(4, 93)= 8.88, p < .01)。そこで、. 結果. Bonferroni 法による多重比較を行った結果、「 外. 1.カテゴリーの全体的特徴. 見的特徴 」では 2 年生が 4、5 年生に比べて言及得. 時間的対比による自己理解に関する①~④の質. 点が有意に高く( MSe = 1.62, p < .05)、「 内面. 問に対して、カテゴリーの「外見的特徴」、 「 行動・. 的特徴 」では 1、2 年生が 4、5 年生より、3 年生が. 能力的特徴 」、 「 内面的特徴」のどれに言及してい. 5 年生よりも言及得点が有意に低いことが分かっ. るのかについて佐久間ら(2000)の算出方法を参. た( MSe = 1.17, p < .05)。. 考に得点化した。各カテゴリーについて言及し ている場合は 1 点、言及していない場合は 0 点と. 2.質問項目ごとの分析. し、①~④の質問ごとに得点化した。その後、①. 2-1 「 変化するところ 」の分析. ~④の得点をカテゴリーごとに合計し、言及得点. 「 過去・差異 」質問と「 未来・差異 」質問に対す. を算出した。カテゴリー言及得点の平均値と標準. る言及内容をカテゴリーに分類し、各カテゴリー. 偏差を Table 2 に示す。算出した言及得点に学年. に 言 及 し た 児 童 の 学 年 ご と の 割 合 を Figure1、. や性別に違いがあるのかを調べるために学年( 被. Figure2 に示した。各カテゴリーに言及する割合. 験者間:水準 5)×性別( 被験者間:水準 2)×カ. に学年間で違いがあるのかを検討するため、カ. テゴリー( 被験者内:水準 3)の 3 要因混合計画. テゴリーごとにχ 2 検定を行った。ただし、期. の分散分析を行った。その結果、学年の主効果( F. 待度数が 5 未満のセルが 20%を超える場合には. (4, 93)= 5.27, p < .01)とカテゴリーの主効果. Fisher の直接確率検定を行った。その結果、「 過. ( F(2, 186)= 45.62, p < .01)、学年×カテゴ. 去・差異 」質問では「 内面的特徴 」にのみ学年に. リーの交互作用( F(8, 186)= 5.19, p < .01)が. よる有意な偏りが示された( p = .002)。ライア. 有意であった。その他の主効果及び交互作用は有. ン法による多重比較の結果、1 年生よりも 5 年生. 意ではなかった。学年×カテゴリーの交互作用に. で有意に「 内面的特徴 」に言及する割合が多くな. ついて単純主効果の検定を行った結果、全てのカ. ることが分かった( p = .003)。 「 外見的特徴 」や. テゴリーにおいて学年による有意な差が示された. 「 行動・能力的特徴 」および「 無回答 」に学年によ. (「外見的特徴 」 :F(4, 93)= 3.76, p < .01, 「行. る有意な偏りは示されなかった。. 動・能力的特徴 」 :F(4, 93)= 3.71, p < .01, 「内. 「 未来・差異 」質問では、 「 外見的特徴 」におい. Table 2 カテゴリー言及得点の平均値および標準偏差. - 23 -.

(8) 心 理 科 学 第 41 巻 第 2 号. Figure 1 「過去・差異」質問:各カテゴリーに言及した児童の学年ごとの割合. Figure 2 「未来・差異」質問:各カテゴリーに言及した児童の学年ごとの割合 て学年による有意な偏りが示された( χ 2 (4) =. 「 過去・同一 」質問と「 未来・同一 」質問に対す. 16.97, p < .01)。残差分析の結果、2年生、3年. る言及内容をカテゴリーに分類し、各カテゴリー. 生の割合が有意に多く、4 年生で有意に少なくな. に 言 及 し た 児 童 の 学 年 ご と の 割 合 を Figure3、. ることが分かった。 「 内面的特徴 」においても学. Figure4 に示した。各カテゴリーに言及する割合. 年による有意な偏りが示され( p = .002)、ライ. に学年間で違いがあるのかを検討するため、カテ. アン法による多重比較の結果、2 年生よりも 4 年. ゴリーごとにχ 2 検定を行った。ただし、期待度. 生、5 年生のほうが「内面的特徴」に言及する児童. 数が 5未満のセルが 20%を超える場合にはFisher. の割合が有意に多いことが分かった。 . の直接確率検定を行った。 「過去・同一」質問では、 「 外見的特徴 」において学年による有意な偏りが 示された( χ 2 (4) = 17.59, p < .01)。残差分析. 2-2 「 変化しないところ」の分析 - 24 -.

(9) 松島:児童期における時間的対比による自己理解の発達. Figure 3 「過去・同一」質問:各カテゴリーに言及した児童の学年ごとの割合. Figure4 「未来・同一」質問:各カテゴリーに言及した児童の学年ごとの割合. の結果、2年生に比べて 4年生、5年生のほうが「外. は「 内面的特徴 」に言及する児童の割合が有意に. 見的特徴 」に言及する割合が有意に少ないことが. 多いことが分かった。. 分かった。また、「 行動・能力的特徴 」において. 「 未来・同一 」質問では、 「 内面的特徴 」と「 無. も学年による有意な偏りが示された( p = .001)。. 回答 」に学年による有意な偏りが示された(「 内面. ライアン法による多重比較の結果、1 年生、2 年. 的特徴 」:p = .001,「 無回答 」:p = .002)。ラ. 生、3年生に比べて 4年生では「行動、能力的特徴」. イアン法による多重比較の結果、2 年生、3 年生に. に言及する児童の割合が有意に多くなることが分. 比べて 5 年生のほうが「 内面的特徴 」に言及する. かった。また、 「 内面的特徴 」にも学年による有. 児童の割合が有意に多いことが分かった。また、. 意な偏りがあり( p = .001)、ライアン法による. 4 年生、5 年生に比べて 3 年生が有意に「 無回答 」. 多重比較の結果、1 年生、2年生に比べて 5年生で. が多いことが示された。 - 25 -.

(10) 心 理 科 学 第 41 巻 第 2 号. た ”)から過去と現在の自己を対比して捉えてい 2-3 「 行動・能力的特徴 」と「 内面的特徴 」の下. た。また、 「 内面的特徴 」への言及が表れ始める 3. 位カテゴリーの検討. 年生から 5 年生では「 趣味・嗜好 」や「 性格 」の肯. 社会的対比による自己理解の発達において、児. 定的側面(「 趣味・嗜好 」 :“~好きになった ” 、 「性. 童期中期以降に自己評価的側面がこれまで以上に. 格」 :“ 優しくなった ”)から過去と現在の自己を. 促され、肯定的側面だけでなく否定的側面による. 対比して捉えていた。. 自己の描出が増加することが知られている。その. 次に、「 未来・差異 」質問において「 行動・能力. ような傾向が時間的対比による自己理解において. 的特徴 」と「 内面的特徴 」の下位カテゴリーに言. も示されるのか、もしくは時間的対比独自の特徴. 及した児童の人数と割合をTable4に示す。 「行動・. が見出されるのかを明らかにするため、 「 行動・. 能力的特徴 」の「 能力 」の肯定的側面( “~できる. 能力的特徴 」と「 内面的特徴 」の下位カテゴリー. ようになる ”)への言及が 3 年生を境に 4 年生、5. の分析を行った。ここではサンプル数が少ないた. 年生では減少した。それに対して、4 年生と 5 年. め、パーセンテージによって学年ごとの傾向をつ. 生では「 行動( する )」 ( “~しているだろう ”)に言. かむにとどめる。. 及する児童が出現し始める。一方、 「 内面的特徴 」. まず、 「 過去・差異」質問において「行動・能力. の「性格 」の肯定的側面( “優しくなってる ”)に言. 的特徴 」と「 内面的特徴 」の下位カテゴリーに言. 及する割合は 4 年生、5 年生が 3 年生と変わらず. 及した児童の人数と割合をTable3に示す。 「行動・. に高かった。. 能力的特徴 」に言及した児童の多くが学年に関係. 続いて、「 過去・同一 」質問において「 行動・能. なく「 能力 」の肯定的側面(“~できるようになっ. 力的特徴 」と「 内面的特徴 」の下位カテゴリーに. Table3 「過去・差異」質問: 「行動・能力的特徴」と「内面的特徴」の 下位カテゴリーに言及した児童の学年ごとの人数(%). - 26 -.

(11) 松島:児童期における時間的対比による自己理解の発達. Table4 「未来・差異」質問: 「行動・能力的特徴」と「内面的特徴」の 下位カテゴリーに言及した児童の学年ごとの人数(%). Table5 「過去・同一」質問: 「行動・能力的特徴」と「内面的特徴」の 下位カテゴリーに言及した児童の学年ごとの人数(%). - 27 -.

(12) 心 理 科 学 第 41 巻 第 2 号. Table6 「未来・同一」 質問: 「行動・能力的特徴」 と 「内面的特徴」の 下位カテゴリーに言及した児童の学年ごとの人数(%). 言及した児童の人数と割合を Table5 に示す。 「行. 「 内面的特徴 」では、4 年生において「 趣味・嗜好 」. 動・能力的特徴 」では「行動」 (“~している”)以外. や「 性格 」の肯定的側面(“~が好きなのは変わら. のカテゴリーに言及する児童が4年生に若干いる. ない ” 、“ 今と同じで優しいと思う ” など )に言及し. だけであり、学年による特徴的な偏りは示されな. た児童の割合が多かったのに対して、5 年生では. かった。 「 内面的特徴 」に言及した児童では、3 年. 「 趣味・嗜好 」 「 性格 」の肯定的側面だけでなく否. 生以降になると「 性格 」の否定的側面(“ だらしな. 定的側面(“~が苦手なところ ” “ 怒りんぼう ”)に. い ” “ 面倒くさがり ”)に言及する児童の割合が多. 言及する児童が増え、視点が多様化することが分. く見られた。ただし、3年生、4年生では否定的側. かった。. 面をあげる児童の割合が過半数いるのに対して、 5 年生になると言及内容が多様化するため減少す. 3.過去・現在・未来の連続性の分析. る傾向にあった。一方で、3年生、4年生では「趣. Zazzo(1969 / 1974)をはじめ、守屋ら(1972). 味・嗜好 」の肯定的側面(“~が好きなのは変わら. や服部(1997)の研究において、児童期中期以降. ない ”)に言及する児童が他の学年に比べて多く. になると過去・現在・未来といった連続性の中で. 見られた。. 自己の時間的変化が認識されるようになることが. 最後に、 「 未来・同一」質問において「行動・能. 報告されている。その実証的検討と過去・現在・. 力的特徴 」と「 内面的特徴 」の下位カテゴリーに. 未来のどういった側面から連続的に捉えるように. 言及した児童の人数と割合を Table6 に示す。 「行. なるのかを調べるために、複数の質問項目にまた. 動・能力的特徴 」では、 「 過去・同一 」質問と同. がって比較する基準が共通している回答内容の. 様に学年による特徴的な偏りは示されなかった。. 分析を行った。①「 過去・差異 」質問と②「 過去・. - 28 -.

(13) 松島:児童期における時間的対比による自己理解の発達. Table 7 「過去・差異」 質問と 「未来・差異」 質問で基準が共通していた児童の回答内容. - 29 -.

(14) 心 理 科 学 第 41 巻 第 2 号. Table 8 「過去・同一」 質問と 「未来・同一」 質問で基準が共通していた児童の回答内容. 同一 」質問、③「 未来・差異」質問と④「未来・同. 準の共通性では学年による有意な偏りは示されな. 一 」質問の 2 つの質問間で同じ回答をする児童は. かった( χ 2 (4) = 6.93, n.s )。①「 過去・差異 」. ほとんどいなかったため、①「 過去・差異 」質問. 質問と③「 未来・差異 」質問で同様の回答をする. と③「 未来・差異 」質問、②「過去・同一」質問と. 児童の割合は 1 年生でも 40%存在しており、早. ④「 未来・同一 」質問のみを分析の対象とした。. い時期から過去から未来を通して共通した差異. 差異基準が共通していた全ての児童の回答内容と. 基準をもつことが示された。一方で、Table7 のカ. 同一基準が共通していた全ての児童の回答内容を. テゴリー一覧から、共通していた内容について、. Table7、Table8 に示した。実際には一人の児童か. 1、2 年生では圧倒的に「 外見的特徴 」 (「 大きさ 」、. ら発せられた回答は多岐に渡るが、共通していた. 「 顔 」、 「 髪型 」、「 服 」など )への言及が多いこと が分かった。3 年生で「 性格 」 ( A20)や「 頭の良さ 」. 基準に関わる回答のみを抽出して示す。 差異基準や同一基準に共通性のあった児童の割. ( A22)といった回答が出現し始め、5 年生になる. 2. 合に学年間で違いがあるか検討するためにχ 検. と「 本を読む 」 ( A55)、「 頭の良さ 」 ( A60)などの. 定を行った。児童の学年ごとの割合と調整され. 「 行動・能力的特徴 」や、 「 性格 」 ( A52)、 「 好き嫌. た残差を Table9 に示した。分析の結果、差異基. い」 ( A58)などの「 内面的特徴 」に言及する児童 - 30 -.

(15) 松島:児童期における時間的対比による自己理解の発達. Table 9 「過去・差異」 質問と 「未来・差異」 質問、「過去・同一」 質問と 「未来・同一」 質問において基準が共通する回答をした人数 (%) と調整された残差. が増加していた。. の結果、1 年生で両質問に同様の回答をする児童. 「 外見的特徴 」に言及する場合はその特徴のみ. の割合が有意に少なく、5 年生で有意に多くなる. が端的に述べられているのに対して、 「 行動・能. ことが分かった。3 年生で児童の割合が一度減少. 力的特徴 」や「 内面的特徴 」に言及する場合には、. しているが、その理由として 3 年生では④「 未来・. 一つの基準で過去を振り返り、現在、そして未来. 同一 」質問において無回答が多かったことが考え. への発展・変化が述べられている。そして、その. られる。Table8 のカテゴリー一覧から、共通して. ような過去から未来への繋げ方をする児童は 3 年. いた内容について見てみると、3 年生までは B1 を. 生頃から増加してくる。さらに、 「 色んなことを. 除いて全てが「 外見的特徴 」への言及であった。4 年生になると「歩ける」 ( B21)、 「 風邪を引かない」. 知るようになり、未来ではもっと色んなことを 知る 」 ( A26)、 「 今は前より男子としゃべらなく. ( B22)といった「 行動・能力的特徴 」や、 「 算数が. なったが、未来ではもっと他の人としゃべれるよ. 好き」 ( B17)、 「 ハートが好き」 ( B23)といった「内. うになってる 」 ( A62)というように過去・現在・. 面的特徴 」への言及が出現する。そして、5 年生. 未来といった時間軸上での発展について語られる. になると 11 人中 7 人の児童が同一基準として「 内. 際には「 もっと 」といった表現が使われることが. 面的特徴 」に言及するようになった。また、今回. 多いことが示された。 「 もっと 」という表現は差. のカテゴリー分類には設けていないが 3 年生以降 で「 命があること 」 ( B15)、「 子どもであること 」. 異基準が質問間で異なっていた児童においては見. ( B16)、 「 人間だということ 」 ( B25)といった回. られない表現であった。さらに、 「 怒りっぽかっ. 答が同一基準として示されていた。. たけど今は怒らなくなって、大人になったらもっ と怒らなくなるだろうし、優しくなってるかも 」 ( A49)、「 小さい時は魚好きやったけど今は嫌い. 考察. になって、大人になったら食べられるようになっ ていたい 」 ( A58)というように未来への変化に期. 本研究の目的は、児童が過去や未来との対比に. 待や希望が込められた回答も多く見られた。. よって自己の「 変化するところ 」と「 変化しない. 同一基準の共通性では学年による有意な偏りが. ところ 」をどういった側面から捉えているのか、. 2. そして、過去から未来への自己の連続性にどの. 示された( χ (4) = 10.41, p < .05)。残差分析 - 31 -.

(16) 心 理 科 学 第 41 巻 第 2 号. ように繋がっていくのか、その発達的変化を明ら. いためであろうか。変化に対する社会的な期待な. かにすることであった。さらに、その発達的変化. ど多様な要因が考えられるため、これについては. において 9,10 歳頃の発達の質的転換期を見出す. 今後の検討課題である。. ことができるのかについても検討することであっ. 未来との対比による自己の「 変化するところ 」. た。. の理解についても行動・能力的特徴への言及が学. 全ての質問項目に対して内面的特徴への言及が. 年に関係なく一定数存在していたが、その内容的. 学年が上がるにつれて増加することが示され、児. 側面を見ると 3年生までは「~できるようになる」. 童期前半から後半にかけて自己の内面への理解が. という自信や希望に満ちた回答が多いのに対し. 進むといった従来からの指摘が他者との社会的対. て、4 年生、5 年生ではそのような回答は減少し、. 比によるものだけではなく、自己内の時間的対比. 果たしてそうなるのかといった不確定なものだか. による理解にも共通するということが示された。. らこそ、 「~しているだろう 」 (“ 仕事してる ” “ 車の. 一方で、佐久間ら(2000)の社会的対比による自. 運転してる ”)といった “ 大人イメージ ” に基づく. 己理解の研究結果では行動・能力的特徴において. 事実の記述に留まる回答が増加する傾向にあっ. も内面的特徴と同様に学年が上がるにつれて増加. た。能力の肯定的な変化への言及は学年が上がる. することが報告されているが、本研究の過去と. につれて減少傾向にあるのに対して、「~が好き. の対比による自己の「 変化するところ 」の理解で. になってる 」 「 優しくなってる 」といった内面的. は、児童期前半においても行動・能力的特徴に言. 特徴への肯定的な変化への言及は 4 年生、5 年生. 及する児童の割合が一定数存在していた。下位カ. でも 3 年生と同様に多い傾向にあった。9,10 歳. テゴリーの分析から、 「~できるようになった」と. 頃には論理的思考が可能になることから( 加藤,. いった能力の肯定的側面に言及する割合が学年に. 1987)、 「 こういう理由でこのような結果になる 」. 関係なく最も多かったことからも、行動・能力的. と因果関係を客観的な根拠をもって捉えるように. 側面においては社会的対比より時間的対比の方が. なる。そのような思考を備えた 4 年生、5 年生で. 過去と現在の自己の変化を捉えるという点で対比. は不確定な未来において能力的な向上に対して客. がなされやすいことが推察される。都筑(1981). 観的根拠をもって言及しにくくなったことが考え. の 1 年前からの変化を質問した結果でも「 身体的. られる。そういった時期において、「~が好きに. 成長・力 」 ( 背が高くなった、跳び箱が跳べるよ. なってる 」 「 優しくなってる 」といった内面的変化. うになった)に言及する幼児が 6歳児で最も多く、. への期待は、未来を肯定的に展望するための大切. 吉田(2010)では 5 歳児で運動会の練習によって. な視点だと言えよう。社会的対比による自己理解. 自己の能力的側面の変化について報告できるよう. では児童期前半から児童期後半にかけて自己評価. になることを示していることからも、過去との対. が低下しやすいことが指摘されているが、過去・. 比による能力的側面からの自己の「 変化するとこ. 現在・未来といった自己の時間軸での対比におい. ろ 」の理解はかなり早い時期からなされていると. ては必ずしもそのような傾向ばかりでなく、過去. 言える。一方で、過去との対比による自己の「 変. と現在の対比により能力的な向上や内面的な深ま. 化しないところ 」の理解について、能力の肯定的. りによって自己の変化を捉えうること、そして、. 側面に言及する児童がほとんどいなかったのに対. 現在と未来の対比では能力的な向上への言及が減. して、内面的特徴においては 3 年生以降になると. 少する一方で内面的な豊かさの変化への期待は低. 否定的な性格( “ だらしない ” “ 面倒くさがり ”)を. 下しないということが示され、自己の理解を他者. あげる児童の割合が増える傾向にあった。変わる. だけでなく自己の時間軸の中で見ていくことの重. ことは成長するという意味で肯定的に捉えられや. 要性を示すことができたと言える。. すいが、変わらないことは否定的に捉えられやす. 次に、これまで十分に吟味されてこなかった自 - 32 -.

(17) 松島:児童期における時間的対比による自己理解の発達. 己の「 変化しないところ 」の理解について考察す. 質問者の意図や自分自身を相対化するとともに、. る。 「 変化するところ 」を問う質問に比べて「 変化. 「 変化しないところ 」の本質を捉えるようになり. しないところ 」を問う質問のほうが「 無回答 」の. 始めることで、質問に答えにくくなるということ. 児童が多かったことから、変化を述べるよりも変. が起きたのではないかと考えられる。田中・田中. 化しないことを述べる方が難しいことが示され. (1988)や小野(2011)の研究では幼児期におい. た。中でも、未来との対比による自己の「 変化し. ても「 変化しない 」自己の捉えが一定可能になる. ないところ 」について、 「 無回答 」が 3 年生で急増. ことが報告されているが、その捉えは客観性に欠. している。回答した児童においては、3 年生まで. け、状況依存的である。それに対して、9,10 歳. は外見的特徴への言及が主であり、内面的特徴へ. 頃の「 変化しない 」自己の捉えは客観性をもった. の言及はほとんどなされなかったのに対して、4. 本質的な自己の捉えの始まりであると言える。す. 年生、5 年生になると内面的特徴への言及が増加. なわち、過去・現在・未来を通した普遍的な自己. し、5 年生ではどの内容的側面よりも多くなって. の特性理解の始まりという点で幼児期の自己理解. いた。過去や未来の自己と現在の自己との対比. とは大きく異なる。また、本研究においては児童. は、比較時点が異なるという点で既に「変化する」. 期前半でも外見的特徴であれば自己の「 変化しな. ということを含み込んでいる。ゆえに、 「 変化し. いところ 」を捉えるようになり始めることが示さ. ないところ 」を問う質問は、変化に誘導されるこ. れたが、言葉といった命名によって自己の規定が. となく「 変化しないところ 」を取り出すことが求. 内面にまで及ぶことに児童期前半と後半では大き. められるため、「 変化するところ 」を問う質問に. な違いがあると思われる。すなわち、自己の「 変. 比べて、より負荷がかかることが推察される。ま. 化しない 」側面を外見的特徴から内面的特徴で捉. た、回答していたものが、一度無回答になり、再. えるようになることは群性体の分類操作が具体か. 度回答するようになるといった一時的な落ち込み. ら抽象へとより上位の概念で捉えるようになった. について、中村(2013)は発達の何らかの構造的. ことの反映であると言うことができるのではない. な変化を反映している可能性を示唆している。す. だろうか。. なわち、3 年生の「 落ち込み」に質的な変化が想定. また、そのように概念的な枠組みをもって自己. されるのである。異なる時点間の自己を統合する. を捉えるようになることで過去・現在・未来と. ためには、より抽象度の高い上位概念を持ち出す. いった時間軸上においても連続性をもって自己の. 必要があり、これは 9,10歳頃の概念操作の獲得. 内面的な「 変化するところ 」と「 変化しないとこ. を意味していると考えられる。ピアジェの発達段. ろ 」を述べるようになるとともに、自己の変化や. 階論における具体的操作期は群性体といった分類. 発展を願うようになることが示唆される。また、. が可能になる時期である。群性体とは、例えば品. 数は少なかったが、3 年生頃から現れ始めた過去・. 種としての “ スピッツ ” 、種としての “ いぬ ” 、哺. 現在・未来の共通項として「 命がある 」 「 お父さん. 乳類としての “ けもの ” 、脊椎動物としての “ どう. の子どもである 」 「 人間である 」といった回答は個. ぶつ ” を下位概念から上位概念へと分類操作して. 人に帰属するような個別的な概念を超えたより人. いくことである( 中垣,2007)。群性体に基づく. 間一般を意味する普遍的な概念である。そのよう. 思考自体は 7,8 歳頃に獲得されるが、10 歳頃に. な回答が学童期中期以降に現れることからも概念. なると「 具体的事物、事象に関連しながら、しか. の階層構造をもつ群性体のより高いレベルでの自. も具体物には直接的には導かれない、より高いレ. 己の捉えが児童期中期以降になされるようになる. ベルでの一般化、概念化された思考 」が可能にな. ことを裏付けている。ただし、そのような回答数. ると言われている( 藤村,2005)。このことから、. は本研究においてわずかであったことからも、人. 3 年生になると「 変化しないところ 」についての. 間一般に共通する普遍的な概念による自己の捉え - 33 -.

(18) 心 理 科 学 第 41 巻 第 2 号. がより本格化するのはもっと先のことであり、そ. University Press.. のような回答が 6 年生、中学生で増加することが. 藤村宣之(2005).9 歳の壁:小学校中学年の発達と教育.. 予想される。. よくわかる認知発達とその支援,ミネルヴァ書房,. 以上、過去や未来といった自己の時間的対比の. 134-135.. 中で「 変化するところ 」と同時に「 変化しないと. Harter, S. (2006). The self. In W. Damon, R. M. Lerner, &. ころ 」を詳細に分析することで、児童期前半から. N. Eisenberg (Eds.), Handbook of child psychology:. 後半にかけての自己理解の質的な変化をより鮮. Vol.3. Social, emotional, and personality development. 明に取り出すことができた。また、自己の「 変わ. (6th ed., pp.505-570). New York: Wiley.. らない 」ところの理解( 自己の普遍性 )や過去か. Harter, S. (2012) . The construction of the self (2nd ed.).. ら未来へと繋がりをもつ自己の理解( 自己の連続. New York: Guilford Press.. 性 )が 9,10 歳頃の概念操作の獲得を基盤に可能. 服部敬子(1997).学童期における自己概念の質的変化と. になるということ、時間的対比は社会的対比とは. 教育上の留意点.教育方法の探究,第 1 巻,30-50.. 異なる自己の評価を行う可能性について示唆する. 生沢雅夫(1976).知能発達の基本構造.風間書房.. ことができた点は本研究の大きな成果であると言. 加藤直樹(1987).少年期の壁をこえる ― 九、十歳の節を. えよう。. 大切に ―.新日本出版社.. 本研究において「 内面的特徴 」に大きく分類し. 近藤龍彰(2014).幼児期における「 わからない 」反応の. てしまった言及内容は、児童が育ってきた環境や. 発達的変化:「 わからない 」状態の視覚化手続きを通. 築いてきた他者との関係性などの影響を受けて多. して.発達心理学研究,第 25 巻,第 1 号,38-46.. 岐に渡っており、今後は個々の人格発達的側面を. Livesley, W. J., & Bromley, D. B. (1973). Person perception. 考慮に入れて研究を進めていくことも重要な課題. in childhood and adolescence. London, New York, J.. であると考える。. Wiley. Montemayor, R., & Eisen, M. (1977). The development of self-conception from childhood to adolescence. 謝辞. Developmental Psychology, 13, 314-319.. 本研究にご協力いただきました放課後児童クラブの先生. 守屋慶子・森万岐子・平崎慶明・坂上典子(1972).児童. 方および児童の皆様に深く感謝申し上げます。. の自己認識の発達 ― 児童の作文の分析を通して ―. 教育心理学研究,第 20 巻,第 4 号,205-215. 長島瑞穂・寺田ひろ子(1977).子どもの発達段階.秋葉. 引 用 文 献. 英則他.小・中学生の発達と教育 ― 子どものとらえ. Albert, S. (1977) . Temporal comparison theory.. 方 ―.創元社.. Psychological Review, 84(6), 485-503.. 中村隆一(2013).発達の旅 ― 人生最初の 10 年 旅支度. Broughton, J. (1978). Development of concepts of self,. 編.クリエイツかもがわ.. mind, reality, and knowledge. New Directions for. 小野陵太(2011).幼児期における過去の自己との時間的. Child Development, 1, 75-100.. 対比による自己理解 ―「 小さかった時の自分と今の. Butler, R. (1998). Age trends in the use of social and. 自分 」―.人間発達研究所紀要,第 22・23 号合併号,. temporal comparison for self-evaluation: Examination of. 49-61.. a novel developmental hypothesis. Child Development,. ピアジェ,J. ( 2007).ピアジェに学ぶ認知発達の科学. (中. 69, 1054-1073.. 垣啓,訳 ),北大路書房.. Damon, W., & Hart, D. (1988). Self-understanding in. Ru b l e , D. N . ( 1 9 8 3 ) . T h e d e ve l o p m e n t o f s o c i a l. childhood and adolescence. Cambridge: Cambridge. comparison processes and their role in achievement- 34 -.

(19) 松島:児童期における時間的対比による自己理解の発達. related self-socialization. In E. T. Higgins, D. N. Ruble. In J. Suls (Ed.), Psychological Perspective on the self.. & W. W. Hartup(Eds.), Social cognition and social. Vol. 1. Lawrence Erlbaum Associate. 97-125.. development(pp. 134-157). Cambridge: Cambridge. 田中昌人・田中杉恵(1988).子どもの発達と診断 5 幼. University Press.. 児期Ⅲ.大槻書店.. 坂上裕子(2012).幼児は自己や他者に関する理解をどの. 都筑学(1981).幼児の自己意識の発達.教育心理学研究,. ように構築するのか ― 一児の 1 歳 8 ヵ月から 5 歳 3 ヵ. 第 29 巻,第 1 号,70-74.. 月までの発話記録の分析から ―.乳幼児教育学研究, 第 21号,29-45.. 吉田真理子(2010).幼児における時間の中の自己 ― 運動 会の事前事後インタビューから ―.心理科学,第 31. 佐久間(保崎)路子・遠藤利彦・無藤隆(2000).幼児期・. 巻,第 1 号,64-74.. 児童期における自己理解の発達:内容的側面と評価. 吉田真理子(2011).幼児における未来の自己の状態につ. 的側面に着目して.発達心理学研究,第 11巻,第 3号,. いての予測 : 未来の不確実性への気づきと「 心配 」.. 176-187.. 発達心理学研究,第 22 巻,第 1 号,44-54.. 佐久間路子(2012).縦断的インタビュー調査による児童. Zazzo, R. (1969). Le dynamisme évolutif chez L'enfant,. 期の自己概念の発達 ― 個人内の変化に着目して ―.. Zazzo, R. (Ed) Des garcons de 6 á 12 and paris; P. U. F.. 白梅学園大学 短期大学 研究年報,第 17 号,103-. 221-263.( 久保田正人・塚野州一訳(1974).学童の. 104.. 生長と発達.明治図書,210-252.). Suls, J., & Mullen, B. (1982). From the cradle to the grave:. (2020 年 5 月 26 日受稿、2020 年 9 月 21日受理). Comparison and self-evaluation across the life-span.. - 35 -.

(20) 心 理 科 学 第 41 巻 第 2 号. Development of Self-Recognition Based on Temporal Comparison in Childhood: How Do Children Describe the Parts of Themselves That “ Change” and Those That “ Do Not Change” ?. Asuka MATSUSHIMA (Shiga University). This study aimed to clarify the following. The participants appeared to find it more. three points. (1) From which aspects are one’. difficult to refer to “themselves that do not. s own temporal changes described based on. change” than referring to “themselves that. comparisons with the past and comparisons with. do change.” However, in the third grade, the. the future? (2) How are changes in oneself and. participants started to perceive the essence of. the “non-changing self ” recognized? (3) How do. “themselves that do not change” by being able. children talk about themselves in the continuity. to consider the relativity of their own self in. of past, present, and future? Regarding these. addition to a relativization of the intentions of. points, an empirical study was conducted to. the questioner. From around the fourth grade,. discover qualitative changes from early to late. there were more children who referred to. childhood.. internal characteristics as being the common. Interviews were held with 103 children. characteristics of “themselves that do not change”. from the first to fifth grade of elementary. in the past, present, and future. It was also. school (20 first graders, 21 second graders, 20. evident that they were able to talk about their. third graders, 22 fourth graders, and 20 fifth. own development and hopes using consistent. graders) regarding “past differences” , “future. standards for the past, present, and future.. differences” , “past similarities” , and “future. Thus, this demonstrates that children are able. similarities” .. to perceive of themselves in highly abstract and. The results showed that children’ s references. conceptual frameworks at around the age of 9 or. to internal characteristics in relation to all. 10. The developmental basis for this is assumed the. question items increased with age. These findings. acquisition of conceptual formation and advanced. also confirmed other studies on self-recognition. structures using the multi-layered structure seen. based on social comparison.. in the groupement advocated by Piaget.. - 36 -.

(21)

Table 7 「過去・差異」質問と「未来・差異」質問で基準が共通していた児童の回答内容

参照

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