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家庭と学校における自分の色イメージ等に関する覚書 ―イメージ調査結果第1次データ集計を振り返って―

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Academic year: 2021

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(1)

家庭と学校における自分の色イメージ等に関する覚

書 ―イメージ調査結果第1次データ集計を振り返っ

て―

著者

久保田 力, 渡部 諭, 杉山 朗子

雑誌名

論集

43

発行年

2016-12-31

URL

http://hdl.handle.net/10097/00130340

(2)

(65)

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〇. はじめに

東北芸術工科大学

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私たちは,「芸術とスピリチュアリティ」の研究手段として質問紙調査の手 法を採用し,2010年以来3度の質問紙の改良を重ね,3度目の2013年12月...,2014 年1月に東北芸術工科大学(以下, 芸工大と略), 山形大学, 秋田県立大学の 3大学において実施した上記調査の結果の全貌をこの度公開する機会を得た (久保田・渡部・杉山共編著「色・五感・心理等に関するイメージ調査」(2013) 結果 第1次データ集全88項目に対する東北芸術工科大学生回答(自由記述含) の全体・性別・学部別グラフ一)『東北芸術工科大学紀要』第23号,pp.1-176, 2016年3月,電子版のみ= https://tuad.e-manager.jp/)。 その結果の一部から, これまで, 父母の色イメージの特徴(『論集』41号)及び兄弟姉妹の色イメー ジの特徴(『論集』42号) については, 本学会においても発表をしてきた通り である。 特に, 色彩感性の特徴については, この度の質問紙にて大幅に取り入れて, 他の質問項目と比較しつつ芸術的感性の特性を浮き彫りにする意味で重要視し ている。 上記家族への色イメージの他, 友人や尊敬する人物, また家庭におけ る自分および学校の中での自分の色イメージ, さらに, 趣味五感や喜怒哀楽 の感情や個人史等の色イメージにおいて種々の興味深い点が見受けられる。 因 みに, この開示データを久保田が担当する講義科目において芸工大の学生に閲 覧させて感想やコメントを先日聞いたところ, とても興味津々な意見を述べた レポートを提出してきた。 彼らにとっても, 自分を顧みながら,「他人の頭の 中を覗く」ような体験に遭遇することができたようで「大変面白く」「興味深い」 という反応だった。 色彩感性と他項目とのクロス集計や多次元的交差分析はこ

(3)

(66) 久保田カ・杉山朗子・渡部諭 れからも続けるべき意義のある研究課題であることを確認できたような感触を 持っている。 一方で, 少し色の問題に時間を費やしすぎてきたため, 本来の私たちの主要 な関心テーマであり, 質問紙後半部を構成するスピリチュアリティについての 質問項目の分析が遅れてしまっていることも十分反省している。 これまで本格 的な分析研究が滞っている感のあるスピリチュアリティ研究は, これから喫緊 に取り組むべき課題であると認識している。 今現在, その研究を推進している 最中である。 その一端は, 渡部久保田杉山共著「Spirituality評定尺度項目 に関する項目反応理論による分析」として『東北芸術工科大学紀要』24号, 2017年2月(pp. 1-12) (同上ネット版)に発表した。 本稿においては, 調査結果の全体像の公開報告を兼ねて(科研費による3年 間の研究期間も終了したことを含めて), 調査結果の第1次データから読み取 れる若干の全体的特徴を概観的に報告し, また, 今後予定している個別的な問 題意識や課題の確認作業を行うことによって, 新たな研究展開へ向けての問題 群整理及び問題提起としたい。 以下に, それぞれの質問項目グループにおいての, 回答の諸特徴を覚え書き 風に記しておく。 具体的には前記「第1次データ集」のグラフを参照しつつ確 認していただきたい。 1 . 色と感情についての覚書 A. 感情とポジティブな色 (幸 せ)男性 黄 女性 ピンク (嬉しい)全体オレンジ (楽しい)全体黄 (満 足)全体オレンジ 男性オレンジ 女性黄 (嬉しい)はオレンジ 性差あり クリーム ピンク 男性黄 男性オレンジ 黄 黄緑 女性オレンジ 女性オレンジ クリーム ピンク オレンジは美味しい色 友人の色 自分自身もオレンジ

(4)

家庭と学校における自分の色イメージ等に関する覚書 (67) (楽しい) 明度の高い黄色 (満 足)は, 集中度は低く, 色は多岐にわたる。 どういう点で満足してい るか個人差があると思われる (安 心)はクリー クリームは 心地よい匂い 触れた感じが心地良い 母の色の第 二位(女性では第1位) B. 五感との関係性 (眼で見て心地よい)と(耳で聞いて心地よい)は類似した結果 ミントブルー 水色 クリ ミントブルーは (好きな色) (美味しい)は オレンジ, クリー C. 感情とネガティブな色 (悲しい) ダルブルー 紺 黒 青 黒もあげられているが青系に集中 寒色の冷たさが関係か 黒に象徴されるように明度は低い (寂しい) ブルー 空色 ライトグレ明度は中から高め 暗くはない (怒 り) (苦しい) (緊 張) エンジ 赤 男性は赤のほうが上位 突発的で感情的 女性の方 がエンジ根深い怒りか 黒 紺 明度が最も低い 次に白があがるのは意外(緊張して頭が真っ白になったというよ うな表現に近いのか?) 芸術学部では, 黄色が続くのも不思議(エキセントリックという 意味での黄色なのか?注意喚起の黄色か?

(5)

(68) 久保田カ・杉山朗子・渡部諭 2. 色と五感についての覚書 (眼で見て心地よくない) ワイン, 赤, 紫 (耳で聞いて心地よくない) 黒 こげ茶, 赤 (心地よくない匂い) こげ茶 キャメル (美味しくないと感じる色) 土の色岩の色などか 黒 青 紫 グレー=現実の食材の色としては非常に少ない色だ からと推定 黒はイカ墨, 黒ゴマなど少数 青はほとんどない ブルーベリもあるが紫紫はナス, ブルベリ, 熟し切って いないアケビ ブドウ グレー 現実の食材としてはほとんどない 敢えて言うなら魚? (触れて感じが心地よくない) 黒 こげ茶グレー=暗く色みを感じさせない色だから 3. 色を人生において大変意識した時の感情はどれに近いか。 =すべて赤がトップ しかし, 同じ赤でも性別や所属の属性によって意味合いが異なる。 この意 味合いの相違は大変興味深い。 ・デザイン工学部は(幸福) !=男性と同じ ・芸術学部は • 男性は ・女性は 4. 絆のイメー (驚き) ! (幸福)=デザイン工学部と同じ (安心) ! 黄色 赤 オレンジ 友人がオレンジの為オレンジかと予想されたが, 黄色が多い 明るさによる希望の感覚, 光が見えたと感じるからか?

(6)

家庭と学校における自分の色イメージ等に関する覚書 (69) 5. 問35-36=家庭における自分と学校における自分の色イメージについて この部分については本稿掲載の,男性と女性および全体の回答優位順(ソー ト)の棒グラフ(6種)ならびにクロス集計した結果のバブルチャート(2 種) を参照していただきたい。 • 自分=家庭の中ではオレンジ, 黄, クリーム[全体] → 楽しい, 嬉 しい色 • 自分=学校の中では透明, ライトグレー, オレンジ →特に透明とライトグレーについては, まだ方向性が定まらないから だろうか。 あるいは, 今が無の状態に近く, これから何色にも染め られるからだろうか。 A. 学校において ・女性は1位クリーム=安心の色 2位オレンジ=友人の色など, 人間 関係の色か。 3位は透明で5.9%。 ・尊敬する人の赤や青とは異なる。 ・男性は1位ライトグレー, 2位透明, 3位青, 4位赤, 5位黒 2位の透明は8.1%。 B. 家庭において ・女性は1位オレンジ, 2位黄, 3位クリーム(全体と同じ) 透明はわずか2% (28色中21位) • 男性は1位青, 2位黄緑 3位オレンジ, 4位黄, 5位赤 → 男性 色, 若さ, 明るさ 透明は4.4%で11位 C. 散布図(分布図)=バブルチャートから読み取れる主な特徴について (図中, 各円の内側の色が家庭, 外枠の色が学校における自分を示す。) 1)散布図を見ると, 女性, 男性ともに右斜め対角線状に比較的集中し ている。 対角線状に集中することは, 家庭と学校とにおいて自分の 色は同じ色を選択している傾向を示している。 彼らは比較的安定 したアイデンテイティーを保つものと思われる。 この特徴は上記の ソートグラフから察することは困難。

(7)

(70) 久保田カ・杉山朗子・渡部諭 問35

家庭の中でのあなた自身を色に例えると(男性) 611 . h .147

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(8)

家 庭 と 学 校 に お け る 自 分 の 色 イ メ ー ジ 等 に 関 す る 覚 書 (71) 家“てのg分と学口での自分イメージについての散布図(覺性) C

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(各円の内側が家庭,外枠が学校での自分のイメージ色である)

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(72) 久保田カ・杉山朗子・渡部諭 2)また, 特に女性の方には, 彩度の高い色相(サンプル表色番号1,-...,4) を家庭内の自分の色に, しかし, 学校の中ではもっと彩度の低いパ ステルカラーや明度が低い暗色(サンプル表色番号8 ,...,__,28)まで幅 広い選択がなされている。 それは図の左側の縦の集合を成している ように観察できる。 この縦系列の集合は, 男性ではほとんど目立っ ていない点は異なる。 ともあれ, 男性, 女性ともにサンプル表色の 1,..., 5のほぼ同じ明彩色によって家庭内および学校内の自分の色を イメージしている(図の左隅部分)ことは注目できる。 3)男性ではむしろ対角線状は女性ほどの集合ほどは明確ではないのと, 特にグレーや黒そして透明までと無彩色同士の組み合わせが目立つ。 透明同士の組み合わせが極端に多いのが気になる。 家庭内と学校内 でともに自分を透明と感じる仕方は, 存在感のなさを表明している のかどうか?(例えば,別の問で父の色を「透明」と回答した学生(女 性)の中には, 両親が離婚していて父とは暮らしていないからと説 明するレポートが見受けられた。)少なくともポジティブな意味に 解釈しにくいのは確かだろう。 4)このことは, 芸工大の学生 の男女比, つまりここ数年来, 男性約3 割に対して女性約7割という人数構成比と関係があるのかどうか。 ただ, これらの男性自身が, 多くの女性の中に囲まれておとなしく 影の薄い存在であると感じたとしても, 家庭内でも無彩色や透明で あると感じることとの理由や関連性は今のところ不明と言わざるを えない。 6. 霊魂観死生観誕生の色イメージについて 「透明」の出方には注目すべき点あり Ex. (霊魂)=透明&白, 水色, ラベンダー 空色と続く 無熱['生, 水分, 青白い光漂泊性, 神秘など (死) =黒透明, 白, ライトグレー グレー 無彩色に占められている, 無の世界 (死後)=透明最も多い, 白, 黒ライトグレー •それぞれ, 世界観は近いけれども微妙に異なる

(10)

家庭と学校における自分の色イメージ等に関する覚書 (73) これら生・死・死後・誕生等の色イメージ回答について4トン分析のグ ラフ化を行っているが, 今回は紙数の都合により割愛する。 7. その他今後の課題 ・問51 (霊魂)の言い換語(精神, 心・意識, 生命)X問52"-'68の因子分析 → 「魂」の捉え方の特徴の分析 ・問72"-'88の因子分析 → 「自分」と他の関連 タイプ分類の可能性 ・ 「赤」や「オレンジ」, 「黒」, 「白」の出方は興味深い →特定の色の現れ方を軸とした多次元的分析が可能ではないか •両親と自分といった, 人間関係の多重クロスは, 回答人数からも, 可能で ある。 ・スピリチュアリティの中の特定質問項目X感情, 五感人間関係個人史 などとのクロス分析や他項目交差分析は多種多様な組合せの可能性がある。 因みに, 今後の研究展開課題として最も精力を注ぎたい側面は, 「芸術的ス ピリチュアリティ」 をH. ガードナ等によって提唱されている多重知能論と の関連性において考察し, 我々の研究成果がどこまで適用できうるのか否かと いうことを中心に展開していきたいと考えている。「芸術的感性」もしくは「芸 術的スピリチュアリティ」の知能論的解釈の可能性とその実験的検証を視野に 見据えているところである。 例えば, 視覚・空間的知能を検証するために, 芸 術系とデザイン系の各学科やコースを便宜的に分類し, 平面(2次元)的表現, 立体(3次元)的表現に分けて集計・グラフ化する。 それと同時に, 言語的知 能を代表するものと見倣す文芸学科, 歴史遺産学科や企画構想学科との結果と 比較してみる。 具体的には, まず, 芸術学部では,

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平面表現=日本画・洋画・版画

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立体表現=彫刻・エ芸・テキスタイル

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言語表現=歴史遺産・ 文芸 なお ,美術史・文化財保存と総合美術はどちらにもあてはまらないので省略。 また, デザイン工学部では, lb平面表現=グラフィック・映像

(11)

(74) 久保田カ・杉山朗子・渡部諭 2b立体表現=プロダクト・建築環境 3b言語表現=企画構想 このような集計やグラフ化による分析によって, H. ガードナが提唱する8 種の多重知能(音楽的知能, 身体・運動的知能, 論理・数学的知能, 言語的知 能視覚・空間的知能, 対人的知能内省・内面的知能博物学的知能) の中 に未だ認定を躊躇されている「芸術的スピリチュアリティ」または「芸術的感 性」としての「芸術的知能」をどのように捉えることができるのかという大き な問題に取り組んでいきたい(ハワード・ガドナ著:松村暢隆訳『MI: 個 性を生かす多重知能の理論』新曜社, 2001年, 同:黒上晴夫訳『多元的知能 の世界一MI理論の活用と可能性』日本文教出版, 2003年など)。 ※本稿は平成28年度東北芸術工科大学学長裁量教育研究費助成による研究成果 の一部である。

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家庭と学校における自分の色イメージ等に関する覚書 (75)

Some Notices about Color images of Oneself in their Families and the School

Summing up the data from our questionnaire

Chikara KUBOTA

Akiko SUGIYAMA

Satoshi WATANABE

The sort-graph of the color images of Oneself in their families (male and female together) shows that orange (10.2%), yellow (9.5%) and cream (6.6%) are dominant. That of the color images in the school(Tohoku University of Art and Design), shows that transparent (6.4%), light gray (6.3%) and orange (6.0%) are dominant. It is interesting that transparent is the most dominant color in the school. Does this mean a negative thing?

Seen in two bubble-charts , both males and females tend to choose the same colors of themselves in their families and the school. This characteristic is clearer in females than in males. There are many students who took themselves as high brightness and high chroma (the numbers of the color sample list 1-6= in the families and numbers 1-6= in the school).

Among these facts, we are quite anxious about the males who chose the transparent image of themselves both in their families and the school. We are wondering if they have some clear identities or not.

参照

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