第6学年○組
社会科学習指導案
「世界に歩み出した日本」
1 こんな子どもたちが ○ 人物の生き方を追究する歴史学習で、意欲的に調べたり、自分の考えを資料ネットワーク図に 進んで表したりすることができる。 ○ 人物の考えや行動及び因果関係に関わる事実から考えをもつことはできる。しかし、複数の事 実を基に比較・総合して考えるといった手順で、より確かな考えを導くことは不十分である。 ○ 資料をもとに調べて考え、自分なりに丁寧にノートにまとめるといった資料活用はできている。 しかし、目的に応じて的確に資料収集・選択をしたり、選択した資料から多様な事実をより正確 に読み取ったりすることは不十分である。 ○ 基本的な年号や出来事などの歴史的事象に関する知識はよく身についている。しかし、事象が 起こった原因など因果関係に関しての説明は十分にはできない。 2 こんな教材と出会い 本単元は、日清・日露の戦争、条約改正、科学の発展などについて調べて、我が国の国力が充実 し国際的地位が向上したことを理解させることをねらっている。条約改正は、陸奥宗光、小村寿太 郎外相の時期に行われている。これは、我が国が立憲君主国として体制を整え、2つの戦争を行い、 産業の発展によって国力を充実させた時期と重なる。また、野口英世などの医学界における世界的 な活躍も見られる。つまり、この時期は、明治維新から富国強兵政策を進めてきた日本が、条約改 正をすることで西欧を中心とした列強の仲間入りをし、国際的地位を向上させた時期だと言える。 本単元は、条約改正までの歩みを資料から事実として把握した児童が、「陸奥宗光や小村寿太郎 によって、なぜ条約改正ができたのだろうか」考え、資料から読み取った事実からその理由を推理 して判断したり、人物の活躍や国力の充実や国際的地位の向上を自分の生活とのつながりなどの多 様な視点から価値判断したりでき、児童の思考力・判断力を高めることができる教材である。 3 こんな思考の場の積み上げで 「事実判断の思考」 学習問題をつかむ つ 1 条約改正に関わる事象を「いつ、誰が、何を、 「資料ネットワーク図」活用Ⅰ どのように」から考え、判断する。 ①資料 (1) 「ノルマントン号事件」や「ビゴーの風刺画」 「条約改正年表」から取り出した出来事 か 資料から当時の国際情勢に関心をもち、条約改 ◇資料ネットワーク図作成 正の理由を、年表から見出した事実から考えて ②自分で考えて ③友達と交流して 判断し、学習問題を話し合う。 条約改正に関わる出来事を分類して考 む (2) 学習問題解決に向けて、調べる出来事や人物 えながら疑問を焦点化し、資料ネットワ の関わり、方法を考え追究の視点を明確にする。 ーク図に表して、話し合う。 「推理の思考」 事象を関係づける 調 2 条約改正できた理由を「なぜ」という問いから 「資料ネットワーク図」活用Ⅱ 考え、判断する。 ①資料収集、資料選択 (1) 陸奥宗光・小村寿太郎・東郷平八郎・野口英 (資料)4人の考えや行為、それに関わる出来事 べ 世の業績と条約改正との関係を、「なぜ」とい ◇資料ネットワーク図作成 う問いから調べる。 ②自分で考えて ③友達と交流して 資料を読み取り、資料を関係づけなが る (2) 陸奥や小村によって条約が改正できた理由を ら条約改正できた理由を焦点化し、資料 「なぜ」という問いから話し合う。 ネットワーク図に表して、話し合う。 「価値判断の思考」 歴史的意味を考える 深 3 自分の生活とのつながりからこの時代を見直し、 「資料ネットワーク図」活用Ⅲ 人物の働きや国際的地位の向上の意味について、 ①資料再構成 自分なりの価値判断をする。 (資料)自分の生活とのつながり め (1) 自分の生活とのつながりからこの時代を調べ ◇資料ネットワーク図作成 直し、人物の活躍や国力の充実や国際的地位の ②自分で考えて ③友達と交流して 向上の意味を考え、判断する。 今までの資料や新たな資料を関係づけ る (2) 自分の生活とのつながりを基にして考えた、 て人物の働きや国力の向上、国際的地位 人物の活躍や国力の向上、国際的地位の向上の 向上の意味を焦点化し、資料ネットワー 意味を、根拠を広げて話し合う。 ク図に表して、価値判断し、話し合う。4 こんな姿になってほしい ○ 陸奥や小村が主導した条約改正に関心をもち、進んで資料ネットワーク図に書き表しながら条 約改正ができた理由を調べたり、国際的地位の向上について考えたりすることができる。 ○ 条約改正ができた理由を、「法治・富国・強兵・科学」の4つの視点から複数の資料を基に調 べて、分析・比較・総合の思考操作を繰り返しながら、その理由を推理したり我が国の国際的地 位の向上について様々な根拠から価値判断したりすることができる。 ○ 目的をもって条約改正に関わる資料収集・選択をしたり、資料から的確に事実を読み取ったり しながら資料ネットワーク図に表すことができる。 ○ 陸奥や小村、東郷等が活躍した日清・日露の戦争、野口による科学への貢献などから、この時 代に国力が充実し条約が改正され、国際的地位が向上したことを理解し説明することができる。 ・ 条約改正までの出来事を、人物の活躍を基に法治・富国・強兵・科学の4つに分類して説明す ることができる。 ・ 条約改正ができた理由を人物の活躍や出来事を結んで説明することができる。 ・ 国力の充実や国際的地位向上につながる人物の活躍や出来事の意味を、様々な根拠から価値判 断し、自分なりの意味づけをして説明することができる。 5 単元の構想(11時間) 段階 学習活動・内容 学習活動への支援 配時 1 「ノルマントン号事件」や「ビゴーの 1 2枚の資料から当時の国際情勢を考えさ 2 風刺画」資料から、条約改正ができたこ せ、条約改正の理由を資料ネットワーク図 つ とに疑問をもち、「条約改正年表」から見 に疑問を焦点化しながら考えさせることで 出した出来事を分類して考え判断し、学 学習問題をつかませる。 習問題について話し合う。 (1) 「ノルマントン号事件」や「ビゴーの ○不平等条約の内容を振り返らせたり、自分 ① 風刺画」から条約改正の難しさについて が外務大臣だったらどうするか話し合わせ 話し合う。 たりして、改正の難しさとそのような中で ・日本人は見下されているよ。 改正できた事実を提示し、条約改正ができ ・列強中心の世界では条約改正は厳しいな。 たことへの関心を高める。 ・1911年になぜ改正できたのかな。 (2) 年表をもとに条約改正までの出来事を ○条約改正までの出来事を表した年表から、 ① 見出して4つに分類し、学習問題につい 改正につながったと予想する事実を見出さ か て話し合う。 せる。 『分類の4つの視点』 ○見出した事実を比べて分類させながら、資 法治に関して・・大日本帝国憲法 料ネットワーク図に疑問を焦点化させ、学 富国に関して・・工業発展と生産量の伸び 習問題について話し合わせる。 強兵に関すること・・日清・日露戦争 科学に関すること・・医学への貢献 ・日清、日露戦争ってどんな戦争だろう ○当時の新聞記事を提示し、新聞づくりを通 ・医学の貢献はどれ程世界に役立ったのか して調べることを知らせる。 ・この4つで西洋文明を身につけたから? ・当時の新聞記者になって ・どれが条約改正に役立ったのかな? ・改正に貢献したのは「これだ!」と考え るスクープ記事を見つけて 「学習問題をつかむ資料ネットワーク図」活用Ⅰ む 条約改正に関わる出来事を4つの視点に分類して考えながら疑問を焦点化し、資料 ネットワーク図に表して、学習問題について話し合う。 学習問題Ⅰ 陸奥宗光や小村寿太郎外務大臣のときに、なぜ、条約改正ができたのか調べて、 当時の新聞記者になって「条約改正新聞」をつくろう。 (3) 代表的な人物を知り、調べる計画を立 ○どの出来事や人物の活躍が条約改正に大き てる。 く貢献したと考えるか、出来事と人物を結 陸奥宗光・・・下関講話条約 んで考えて予想をさせる。 小村寿太郎・・ポーツマス条約 ○陸奥宗光の条約改正に望む演説の一部を提 東郷平八郎・・日本海海戦 示し、追究の視点をもたせる。 野口英世・・・医学の貢献 視点 (伊藤博文・・・大日本帝国憲法) ◇どの出来事によって条約改正できたか。 (渋沢栄一・・・産業の発展、企業) ◇誰の活躍が条約改正につながったか。 ・出来事(政策・方針)を比べる 共通点から ・人物の働きを比べる 相違点から
2 条約改正ができた理由を調べる。 2 条約改正ができた理由を資料ネットワー 6 ク図作成(条約改正新聞づくり)を通して 調べ、話し合わせる。 (1) 条約改正ができた理由を、人物の活躍 ○出来事と人物の活躍を結んで、人物の活躍 と出来事を結びながら調べる。 の具体的事例を提示しながら調べさせる。 調 ①陸奥宗光の業績について調べる。 ○陸奥宗光の業績を、政策の内容と陸奥の働 ① ・日清戦争の内容 きの様子から調べさせる。 ・下関講和条約での陸奥宗光の働き ※重工業発展が始まったことを調べさせる。 ②小村寿太郎、東郷平八郎の業績につい ○小村寿太郎、東郷平八郎の業績を、政策の ① て調べる。 内容と小村、東郷の働きの様子から調べさ ・日露戦争の内容 せる。 ・日本海海戦での東郷平八郎の働き ※植民地の人々の喜び、日本への留学生の ・ポーツマス条約での小村寿太郎の働き 増加、韓国併合も調べさせる。 ③野口英世等の業績について調べる。 ○野口英世等(伊藤博文・渋沢栄一)の業績 ① ・世界に貢献する医学での活躍 を、政策の内容と野口等の働きの様子から ・今につながる多くの企業(渋沢栄一) 調べさせる。 ・大日本帝国憲法(伊藤博文) (2) 資料を選択し、資料ネットワーク図に ○選択した資料をもとに事実同士をを比べな ② 表現しながら条約改正ができた理由を考 がら関係づけ、資料ネットワーク図(条約 える。 改正新聞)に考えを焦点化させ表現させる。 視点 ○条約改正新聞(資料ネットワーク図)の書 政策(出来事)を比べて推理できることは? き方を確認する。 人物の働きを比べて推理できることは? べ ・色々な出来事を比べて、日露戦争に勝っ たことが一番外国が驚いている。だから 日本を怖れて改正したと思う。 (政策を比べて) ・2つの戦争も憲法もアジアでははじめて というのが似ているよ。だから西洋が認 めて改正ができたのかな。(政策を比べて) ・工業が発達してきたことや会社ができた ことは西洋の国に近づいているみたいだ よ。だから、外国も安心して改正したの かな。 (政策を比べて) ・東郷平八郎も野口英世も勇気をもって活 躍している。そんな日本人の勇気ある行 動に感動したからかな。(人物を比べて) (3) 条約改正ができた理由を資料ネットワ ○資料ネットワーク図を基に、条約改正がで ーク図をもとに話し合う。 きた理由を話し合う編集会議を行わせる。 ・戦争に勝ったからだけじゃなくて、今ま 特に、法治・富国・強兵・科学の視点から、 ① でアジアにはなかった産業を発展させた 出来事や人物の活躍に着目させ、比べて話 り憲法をつくったり、科学の分野で世界 し合わせることで、条約改正ができた理由 に貢献したりと新しいことをたくさんし についての考えを深めさせる。 る たから条約改正できたと思います。 <編集会議の手順と話し合う視点> (政策の新規性に着目) ①すべての政策・人物の働きの出し合い ・この時代の日本人は、小村や陸奥のよう ②政策や人物を比べ共通点を明確にする話し合い。 に、外国と堂々と交渉して憲法や戦争や 政策を比べて・・アジアにない新しい政策 産業など様々な分野で新しいことに挑戦 人物を比べて・・積極的な挑戦や勇気 し、政策を実現したことが、西洋と同じ ○話し合い後に、陸奥の「アジアにはない政 文明を身につけ、一人前の文明国と認め 策、日本人の進取の気性」が必要だと言っ られたから改正できたと思います。 た演説を知らせ、考えを確かにさせる。 (人物の働きのよさに着目) ○交流後に深まった考えを新たな資料ととも に資料ネットワーク図(条約改正新聞)に まとめさせる。 「事象を関係づける資料ネットワーク図」活用Ⅱ 事実を関係づけて、条約改正できた理由を資料ネットワーク図で焦点化して考え、 4つの視点と人物の活躍を結びながら条約改正ができた理由を話し合う。 条 約 改 正 新 聞 条 約 改 正 に 成 功 ! 小村寿太郎の 働き 日露戦争での、 ポーツマス条約 で粘り強い交渉 が、改正につな がる。 日露戦争と 東郷平八郎 日本海海戦で東郷 の決断と勝利が、 世界を驚かし、改 正につながる。 資料カード4 資料名等 小記事 (分析) 資料カード3 資料名等 小記事 (分析) 児童が一番のこだわりをもって 選んだ中心記事 中記事 (比較) 東郷と小村が関わった日露戦争に勝 利したことが外国が日本を見直す きっかけとなり、条約改正につなが りました。特に、この2人の態度が、 まさに、陸奥の進取の気性なのです。 社説:大記事(総合) ついに、我が国も西洋と対等になりました。これも、東郷と小村が発揮した勇気と 知恵、粘り強さ、挑戦していく気持ちのおかげです。このことによって、日露戦争に 勝ち、西洋の国が私たちを認め、条約改正されたのです。また、上の2番目の記事の ように、伊藤博文による憲法づくりはアジア初の新しい政策です。つまり、条約改正 できた理由は、小村・東郷・伊藤が示した一生懸命さと憲法制定・日露戦争の勝利が うまくつながったからだと言えるのです。 文責 ○○記者
3 国際的地位向上につながる人物の活躍 3 価値判断の根拠を増やすために、自分の 3 や出来事と、自分たちの生活とのつなが 生活とのつながりがわかる資料を提示し、 りについて調べ、 国際的地位向上の基 新たな視点から資料を再構成して考えさせ となった人物の活躍や出来事について、 ることで、人物の活躍や国際的地位の向上 価値判断をする。 の意味についての考えを深めさせる。 (1) 国際的地位の向上と自分たちの生活と ○人物の活躍によって国際的地位が向上した ② のつながりについて調べ、人物の働きや ことと自分の生活とのつながりがわかる資 この時代の意味について判断の根拠を増 料を提示し、新たな学習問題について話し 深 やしながら資料ネットワーク図に表す。 合わせ、資料ネットワーク図に考えを表現 ①新たな事実を知り、判断の根拠を増やし させる。 て考える。 ○自分の生活とのつながりに気づかせ、学習 ◇自分の生活とのつながりから 問題Ⅱについて話し合わせる。 ・1000円紙幣の人物「野口英世」 ・今も続く様々な企業(産業の発達) ・アフリカにある野口英世病院(科学) ・記念艦三笠(戦争) ・日本国憲法(法治国家) ・公害の発生[鉱毒問題] ・延期になった姉妹校交流[韓国併合] 学習問題Ⅱ この時代の出来事や人々の活躍と私たちの生活とのつながりを調べて、当時の日本 の人に、私たちの考えを伝える「条約改正新聞Ⅱ」をつくろう。 ②資料をもとにして自分で資料ネットワー ○今まで活用した学習資料や新たな資料等を ク図(条約改正新聞Ⅱ)に表現する。 もとに、資料再構成活動を行わせ、人物の <新聞を書く視点> 働きやこの時代の意味についての考えを図 現在とのつながりを考えて・・・ (条約改正新聞Ⅱ)に表し、焦点化させる。 め ○新聞の書き方を確認する。 ◇応援すべき内容は? (時代そのものから・つながりから) ◇アドバイスすべき内容は? (時代そのものから・つながりから) ◇時代を一言で表すキャッチフレーズ 応援やアドバイスを効果的にするには 何年に新聞を発行するとよいか決める。 ・遅れていた日本が陸奥や小村等の努力に よって世界に認められ発展していった。 私たちの豊かな生活のスタートがこの時 代なのでとても大切な時代。特に、ポー ツマス条約で国民の批判に悩む小村を応 援するために 1904 年に発行したい。 ・第 20 回姉妹校交流が保留になるくらい、 る 韓国の人にとっては今もつらい思い出と して残っている。アジアの人が一緒に発 展することができなかったことが残念だ。 1910 年の日韓併合の前に発行したい。 (2) 条約改正によって国際的地位の向上を ○条約改正によって国際的地位の向上を成し ① 成し遂げた人々の働きや時代の意味につ 遂げた人々の働きや時代の意味について話 本 いて話し合う。 し合わせる。 時 <話し合いの観点> ・資料、時代の見方(表題、社説)発行年の違い。 <話し合いの形態>→同じ視点の少人数グループ <グループ編成の工夫> ・同じ視点で新聞に違いが見られるグループ 「歴史的意味を考える資料ネットワーク 活用Ⅲ 今までの資料や新たな資料を関係づけて人物の働きや国力の向上、国際的地位向上 の意味を焦点化し、資料ネットワーク図に表して、価値判断し、話し合う。 条 約 改 正 新 聞 2 今 の 日 本 の 出 発 点 の 時 代 児童が一番のこだわりをもって 選んだ中心記事 中記事 (比較) 現在に生きる私たちから見て、工業 の発展も会社ができたのも、今の日 本につながる大切なことでした。 この時代が、今の豊かな日本の土台 をつくりあげたと言えます。 重工業の発達 このころから、 日本の重工業の 発展が始まりま した。今の工業 国日本のスター トです。 渋沢起こした企業 渋沢は、たくさん 会社を作りました。 今も続く会社も多 くあります。今の 日本の会社のもと がこの時代です。 資料カード4 資料名等 小記事 (分析) 資料カード3 資料名等 小記事 (分析) 社説:大記事(総合) 1880年の明治時代のみなさん、私、○○記者は、みなさんの時代を「今の日本の出 発点の時代」と名付けました。つまりそれは、みなさんが進取の気性で示した、た くさんのことは、今もこの時代につながっているからです。例えば、工業の発展や 会社ができたことです。みなさんのおかげで、今の日本は産業が発展した国になっ ています。もっと頑張ってください。2番目は、残念なのですが、韓国との関係で す。1910年の皆さんは思いもよらないことでしょうが、私たちの姉妹校交流はこの ことが原因で・・・・現在のマイナス面もこの時代に始まっているようです。1910 年に併合を喜んだみなさん。そのことを考えてみてください。 文責○○記者
6 本時(深める段階) こんな子どもを目指します (本時の主眼) ○ 資料ネットワーク図(条約改正新聞Ⅱ)に表現したこの時代の人物の活躍や国力の充実、国際的 地位向上につながる出来事の意味について、応援やアドバイスを伝える新聞発行年から話し合うこ とで、この時代を自分の生活とのつながりから考え判断しながら、時代の意味についての考えを深 め資料ネットワーク図に表現することができる。 ○ 人物の活躍や国力の充実、国際的地位向上につながる出来事の意味を、自分の生活とのつながり というより広い視野から考えを深め、自分なりの価値判断でこの時代の意味を説明できる。 こんな考え方で指導します (資料ネットワーク図の活用) 本時で行う思考は「価値判断の思考」である。価値判断の思考は、判断の根拠を増やして、時代の 意味づけをすることである。 前時までに児童は、自分の生活とのつながりからこの時代について意味づけをした資料ネットワー ク図(条約改正新聞Ⅱ)を作成している。児童は、資料ネットワーク図に、記者の立場から事実を選 択し、自分がこの時代の人々に応援したいことやアドバイス及びそれを伝えるための適切な新聞の発 行年を考えて、表現している。 そこで本時では、一人ひとりの考えを出し合い、戦争の勝利(強兵)・産業の発展(富国)・憲法の 制定(法治)・科学への貢献の 4 つの視点から、出来事や人物の活躍への応援やアドバイスの内容や そのための新聞の発行年を互いに紹介させる。このことによって、児童は、自分の生活(現代)を基 点に、そのつながりからこの時代の意味を、より多くの判断根拠から価値判断できると考える。 そのための具体的な資料ネットワーク図の活用を、以下の3つから考えている。 ①アドバイスの内容や新聞発行年を話し合い、交流の視点を明確にする活動 ②少人数グループで個々の時代の見方を基にした応援内容や新聞発行年を図を示して紹介する活動 ・時代を同じ見方で考えている友達と ・違う見方で考えている友達と ③深まった考えを資料ネットワーク図に再構成する活動 本時学習はこのように考えています (本時の展開) 段階 学習活動・内容 学習活動への支援 1 本時学習のめあてを話し合う。 1 新聞記者の立場から考えたこの時代へ伝えたい こと(応援やアドバイスの視点)が互いに違って つ いることに着目させ、本時学習のめあてをつかま せる。 ○ 戦争、産業、憲法、医学の4つの視点のそれぞ か れで新聞の表題を発表させることで、個々の時代 の見方の違いに着目させる。 めあて む 「条約改正新聞Ⅱ」の内容を紹介し合い、条約改正の時代の人々に、もっと伝わりやすい 新聞を作り上げよう。 2 条約改正新聞Ⅱを紹介し合う。 2 資料ネットワーク図(条約改正新聞Ⅱ)で選択 した事実(資料)・考え・新聞発行年に着目して、 調 この時代の意味を自分の生活とつないで紹介させ る。 (1) 代表児童の図をもとに、アドバイ ○代表児童に図を示させながら、考えの基となった スをする内容について話し合う。 資料・そこからの考え・新聞発行年を発表させる。 予想されるアドバイスとその根拠(つながり) ○同じアドバイスでも、取り上げた資料が違う、考 ・足尾銅山鉱毒問題の1901年に発行し、 え(表題や社説)が違う、新聞発行年が違うなど べ 公害の発生には気をつけてというアドバイス 他の児童の図を代表児童の図と比較させ、その違 (北九州の公害や現在の環境問題から) いに着目させることで、交流の視点を明確にする。 ・韓国併合の1910年に発行し、併合まで ※比較できる他の児童の図がなければ教師が作成 はしないでというアドバイス した図と比較させる。 (20 回姉妹校交流の保留から) (2) 少人数で、応援をする内容につい ○少人数のグループで、互いの新聞の応援の内容を て紹介し合う。 紹介させる。 る ①時代を同じ見方で考えている友達と ②違う見方で考えている友達と
調 ・私は、「日本の医学が発達してきた時代」だ <紹介のさせ方> と考えます。野口英世が黄熱病の病原菌を ・この時代は・・・(新聞の表題)な時代だと考えま 発見して活躍したことが、今の医者になり す。それはこの資料とこの資料から・・・のよう たいという人を増やしたり今の医学の発展 に考えたからです。特に、∼が行われた○年に新 べ になったからです。だから新聞は、1910 年 聞を出そうと思います。 に出します。 <友達の考えを聞く視点> ・自分が取り上げた資料と違う資料はないか。 ※同じテーマグループで(取り上げる事実の違い) ・表題や社説に違いはないか。 る ※違うテーマグループで (歴史の見方の違い) ・同じ見方でも新聞発行年の違いはないか。 ※同じテーマグループで (歴史の見方の違い) ○違いに気づいたら質問させ、自分の新聞の見直し に生かせるようにする。 ○多くの考えにふれることができるような、交流形 態の工夫を行う。 3 人物の活躍や時代の意味についての 3 自分の生活とつないで考えた人物の活躍や時代 考えを資料ネットワーク図(条約改正 の意味について、新たな資料や考えを付加修正さ 深 新聞Ⅱ)にまとめる。 せながら資料ネットワーク図(条約改正新聞Ⅱ) にまとめさせる。 (1) 条約改正新聞Ⅱを修正する。 ○ 資料ネットワーク図(条約改正新聞Ⅱ)に、考 えの根拠となる資料を付加したり、そこから考え め を深めたりしながら表現させ、現在につながるこ の時代の人物の活躍や日本の発展について最終的 な価値判断をさせる。 ・考えの深まりがわかるように、色を変えた資料 る カードを使って表現させる。 ・新たな資料や考えを表現する場を紙面上に設定 しておく。 (2) 修正した新聞の内容について、代 ○ 根拠の増加や考えの深まりが確かになった児童 表児童の発表を聞く。 に新聞の内容を説明させることで、個々の考えの ・ 私は、1889 年の憲法がつくられたことを 深まりを意識させる。 スタートに、国会の開設や八幡製鉄所や野 ○ 4 つの視点すべてに、今に続くよさがあること 口英世の努力など、色々なことが行われ、「日 を再確認させる。 本の基礎が作られた時代」だと考えていま す。話し合いで、その他にも、渋沢栄一が 会社を作ったことも今につながる基礎と言 えるので、その資料を付け加えて新聞をつ くりました。 7 授業仮説 価値判断の思考を高める「深める」段階において、自分の生活とのつながりからこの時代の人物 の活躍や出来事の意味についての考えを話し合う際に、下のような3つの活動で構成した資料ネッ トワーク図の活用を行えば、児童は、より多くの判断の根拠(法治・富国・強兵・科学)から、こ の時代を自分の生活(現代)を基点にして考え、人物の活躍や国力の向上、国際的地位向上につな がる日本の発展を意味づけし、価値判断できるようになるだろう。 ①アドバイスの内容やアドバイス新聞発行年を話し合い、交流の視点を明確にする活動 ・代表児童による図を使った説明 ・同じ見方でも資料や考えが違う児童の図との比較による話し合いの視点の明確化 ②少人数グループで個の時代の見方を基にした応援内容や新聞発行年を図を示して紹介する活動 ・話し合う視点の提示 ・図を見せながら紹介する(事実と考えのつながりの明確化)。 ・より多くの交流ができる形態の工夫 ③深まった考えを資料ネットワーク図に再構成し、考えの深まりを自覚する活動 ・色を変えた資料カードの活用 ・資料ネットワーク図(条約改正新聞Ⅱ)の空欄に深まった考えを表現させる図の工夫 ・代表児童の発表から事実(資料カード)の増加や考えの高まりを意識する活動